JP5497616B2 - マイクロホンおよびマイクロホン装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数台のマイクロホンを接続して動作させるマイクロホン及び同マイクロホンにて構成されるマイクロホン装置に関するものである。
エレクトレットコンデンサマイクロホンのうち、インピーダンス変換器としてのFET(電界効果トランジスタ)のドレイン側から出力を得るドレイン出力(2線式)のエレクトレットコンデンサマイクロホンが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような形態のエレクトレットコンデンサマイクロホンは「プラグインパワー方式」などの名称で知られている。図5にプラグインパワー方式のエレクトレットコンデンサマイクロホンの例を示す。
図5において、マイクロホンユニット100は、振動板と固定極のいずれか一方にエレクトレット材を有するマイクロホンカプセル110と、インピーダンス変換器としてのFET120と、を備えている。プラグインパワー方式は、FET120のドレインDに対して直列に負荷抵抗RLと直流電源Vccを接続し、負荷抵抗RLの両端の電圧変化を出力端子T1、T2から得るように構成されている。
FET120は、ゲートGとソースSとの間にダイオードと高抵抗を接続するバイアス内蔵型であり、ドレイン電流はゲートG−ソースS間の電圧が0のときのドレイン電流値(Idss)で固定される。このマイクロホン10を、負荷抵抗RLに対して並列に複数台を接続することで、それぞれのマイクロホンからの音声信号を合成して得ることができる。
しかし、負荷抵抗RLに対して並列に複数のマイクロホンユニット100を接続すると、台数によって負荷抵抗RLの直流両端電圧が変化する。そのため、接続される台数によっては、負荷抵抗RLの直流両端電圧が直流電源Vccの電源電圧に近づくことになる。そうすると、FET120のドレインDとソースS間の電圧が減少しすぎてFET120が動作できなくなる。
このようなマイクロホンユニットを並列接続することで生じるインピーダンス変換器の動作電流減少を解消する方法として、接続するマイクロホンの台数に応じて負荷抵抗RLの抵抗値を適宜切り替える方法がある。しかしながら、負荷抵抗RLの抵抗値を設置時や使用時に切り替える作業が必要になるため、実用において煩雑かつ不便である。
そこで、上記のような煩雑さと不便さを解消する方法として、負荷に出力トランスを用いる方法が知られている。この方法によれば、接続するマイクロホンの台数(消費電流)によってFET120のドレインDとソースS間の電圧が低下することはない。しかしながら、出力トランスに直流電流が流されることにより直流磁化が発生し、トランス性能が劣化するという別の課題が生ずる。
そこで、上記の課題を解決するマイクロホン装置として、出力回路部に出力トランスとカレントミラー回路とを備えることで、特段の調整を行うことなく、複数のマイクロホンを並列に接続して用いることができるマイクロホン装置が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開平8−33090号公報 特開2006−197284号公報
特許文献2に係るマイクロホン装置の例を図4に示す。図4に示す、マイクロホン装置は、複数のマイクロホンユニット100a〜100cが、装置本体200に並列に接続されている。マイクロホンユニット100a〜100cは、図5で示したエレクトレットコンデンサマイクロホンユニットと同じ構成であって、振動板と固定極のいずれか一方にエレクトレット材を有するマイクロホンカプセル110a〜110cと、インピーダンス変換器としてのFET120a〜120cと、をそれぞれ備えている。なお、各固定極はFET120a〜120cのゲートGに接続され、各振動板はFET120a〜120cのソースSとともに接地に接続されている。
装置本体200には、直流電源Vccと、負荷として用いる音声信号出力用の出力トランス201と、カレントミラー回路204が含まれている。出力トランス201の1次側巻線202は、センタータップ202cにより一方の巻線部202aと他方の巻線部202bとに分けられており、その一方の巻線部202aに対してマイクロホンユニット100a〜100cが備えるFET120a〜120cのドレインDが並列的に接続されている。上記1次巻線202の他方の巻線部202bはカレントミラー回路204に接続され、上記センタータップ202cは直流電源Vccの正極に接続されている。出力トランス201の2次側巻線203は図示しない音声出力回路に接続されている。
特許文献2に係るマイクロホン装置は、マイクロホンの接続台数の増加に応じて増える動作電流を、カレントミラー回路204によって作り出すことができ、また、出力トランス201の1次巻線202には、センタータップ202cからみて一方の巻線部202aと他方の巻線部202bに、互いに反対向きの電流が流れるため、直流電流の飽和を防ぐことができる。しかし、特許文献2に係るマイクロホン装置は、出力トランスとカレントミラー回路が必要であり、かつ、FETのドレインの交流インピーダンスが高いことから、外部からの雑音が入り込みやすいという問題がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、出力トランス回路やカレントミラー回路などを用いることなく、より簡易な構成を用いて、複数台のマイクロホンを電源に対して並列に接続して動作させることができるマイクロホンおよび、同マイクロホンにて構成されるマイクロホン装置を提供することを目的とする。
本発明は、振動板と固定極のいずれか一方にエレクトレット材を有しインピーダンス変換器としてのFETを含むマイクロホンユニットと、マイクロホンユニットから出力される音声信号を外部に出力する出力端子と、マイクロホンユニットとは異なる他のマクロホンユニットの出力端子が挿入される入力端子と、を有し、入力端子に、他のマイクロホンユニットの出力端子が挿入されているとき、当該マイクロホンユニットの出力信号には、他のマイクロホンの出力信号が加えられて出力されることを主な特徴とする。
また、本発明は、上記のマイクロホンに関するものであって、マイクロホンユニットの入力端子に他のマイクロホンユニットの出力端子が挿入されていないときは、入力端子の信号端子は接地されており、マイクロホンユニットの入力端子に他のマイクロホンユニットの出力端子が挿入されたときは、入力端子の信号端子と出力端子の信号端子が接続されることを特徴とする。
また、本発明は、上記のマイクロホンに関するものであって、出力端子と入力端子は3極の端子であって、信号端子、電源端子、接地端子からなることを特徴とする。
また、本発明は、マイクロホン装置に関するものであって、複数台のマイクロホンを数珠つなぎ状に複数台接続されてなるマイクロホン装置であって、各マイクロホンが上記のマイクロホンからなることを特徴とする。
また、本発明は、マイクロホン装置に関するものであって、振動板と固定極のいずれか一方にエレクトレット材を有しインピーダンス変換器としてのFETを含むマイクロホンユニットと、マイクロホンユニットから出力される音声信号を外部に出力する出力端子と、マイクロホンユニットとは異なる他のマクロホンユニットの出力端子が挿入される入力端子と、を備え、各マイクロホンは、入力端子に他のマイクロホンの出力端子が挿入されているときは、マイクロホンユニットの振動板側の信号線と他のマイクロホンの出力端子の信号端子が電気的に接続され、マイクロホンの出力信号に、前段に接続された他のマイクロホンの出力信号が加えられて出力されることを特徴とする。
本発明によれば、出力トランス回路やカレントミラー回路などを用いることなく、より簡易な構成を用いて、複数台のマイクロホンを電源に対して並列に接続して動作させることができるマイクロホンおよび、同マイクロホンにて構成されるマイクロホン装置を得ることができる。
本発明に係るマイクロホン装置の構成例を概略的に示す構成図である。 本発明に係るマイクロホンの例を示す回路図である。 本発明に係るマイクロホン装置の接続状態例を示す回路図である。 従来のマイクロホン装置の例を示す回路図である。 従来のドレイン出力(2線式)のマイクロホンの構成例を概略的に示す回路図である。
以下、本発明に係るマイクロホンおよびマイクロホン装置の実施例について、図を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るマイクロホンおよびマイクロホン装置の例を示す外観図である。図1において、マイクロホン装置3は、複数のマイクロホン1を直列的に接続して数珠つなぎ状態とし、最後段のマイクロホン1には電源を含む装置2に接続してなる。各マイクロホン1は、出力端子であるプラグ14と、図1に正対した左側に設けられている図示しない入力端子であるジャック13がそれぞれに備わっている。最前段のマイクロホン1のプラグ14が次段のマイクロホン1のジャック13に挿入され、次段のマイクロホン1のプラグ14が次々段のマイクロホン1のジャック13に挿入され、これを連続的に接続することで、各マイクロホン1が数珠つなぎ状の接続、いわゆるデイジーチェーン接続になっている。
最後段のマイクロホンは装置2に接続され、装置2が備える電源から動作電流が接続コードを介して供給される。この動作電流は、最後段のマイクロホン1から最前段のマイクロホン1に向けて、各マイクロホン1のジャック13とプラグ14の接続を介して供給される。すなわち、各マイクロホン1は電源に対して並列に接続されている。
以上のように、本発明に係るマクロホンおよびマイクロホン装置は、電源に対して数珠つなぎ状に接続し、多数のマイクロホンを用いるときに必要となる配線の敷設などの設置作業を軽減することができる。
次に、本発明に係るマイクロホンについて、より詳細に説明する。図2は、本発明に係るマイクロホンの実施例を示す回路図である。図2において、マイクロホン1は、エレクトレットコンデンサマイクロホンユニットであるマイクロホンユニット10と、入力端子を構成するジャック13と、出力端子を構成するプラグ14と、を有してなる。
マイクロホンユニット10は、振動板と固定極のいずれか一方にエレクトレット材を有するマイクロホンカプセル11と、インピーダンス変換器としてのFET12とを、備えている。マイクロホンカプセル11の固定極はFET12のゲートGに接続され、マイクロホンカプセル11の振動板はジャック13の信号端子Tに接続されるとともに抵抗R1
を介してプラグ14およびジャック13の接地端子Sに接続されている。FET12のドレインDはプラグ14の電源端子Rに接続され、ソースSは出力端子の信号端子Tに結合コンデンサを介して接続されるとともに、抵抗R2を介してプラグ14およびジャック13の接地端子Sに接続されている。
出力端子であるプラグ14は、結合コンデンサに接続される信号端子Tと、電源端子Rと、接地端子Sと、を有する3極の端子である。
ジャック13は、プラグ14に対応する3つの端子を有してなる。プラグ14を構成する3つの端子は信号端子T、電源端子R、接地端子Sであって、プラグ14が有する3つの端子(信号端子T、電源端子R、接地端子S)と、それぞれ対応する。図2は、ジャック13に他のマイクロホン1のプラグ14が挿入されてない状態を示している。図2において明らかなように、ジャック13にプラグ14が挿入されていないとき、ジャック13の信号端子Tは、接地されている。すなわち、振動板側は接地されているので、マイクロホン1は単体のマイクロホンとしても動作する。
図示しない他のマイクロホン1のプラグ14がジャック13に挿入されると、ジャック13の信号端子Tは接地から離れて、ジャック13の信号端子Tと他のマイクロホン1のプラグ14の信号端子Tに接続される。言い換えると、他のマイクロホン1のプラグ14の信号端子Tが、当該マイクロホン1の振動板に接続され出力信号に加えられる。加えられた出力信号は、当該マイクロホン1におけるプラグ14の信号端子Tから出力される。また、他のマイクロホン1のプラグ14が挿入されたマイクロホン1においては、マイクロホンカプセル11の振動板が抵抗R1を介して接地されていることによって音声信号出力が確保されている。
また、マイクロホン1の動作電流は、後段のマイクロホン1に接続したプラグ14の電源端子Rを介して供給される。電源端子RはFETのドレインDにつながっているので、動作電流はFET12のドレインDに供給されて、さらに前段に接続される他のマイクロホン1のジャック13が備える電源端子Rを介して前段のマイクロホン1へと供給される。このように、プラグ14を他のマイクロホン1が備えるジャック13に挿入して数珠つなぎ状に接続しデイジーチェーン接続になったとき、図示しない電源から供給される動作電流は、プラグ14とジャック13の接続を介して順次供給される。すなわち、本発明に係るマイクロホンは、ジャック13にプラグ14を繋がなければ、単体のマイクロホンとして動作し、プラグ14にジャック13をつないだときは、振動板側の端子と前段の出力端子が電気的に接続して、各マイクロホン1の出力信号が加算されて出力される。
次に、本発明に係るマイクロホンをデイジーチェーン接続し、マイクロホン装置として動作させる形態の実施例について図3を用いて説明する。図3に示すように、マイクロホン装置3は、複数のマイクロホン1aから1dと、電源Vccを備える装置2を有してなる。なお、説明の都合上、4台マイクロホン(1aから1d)を例に用いているが、本発明に係るマイクロホン装置は、この台数に限ることはなく、電源から供給される動作電流が許容する範囲内でさらに多数のマイクロホンを接続して用いることができる。
図3において、プラグ14とジャック13の図示は省略している。図3に示すように、各マイクロホン1aから1dの電源端子Rは、各マイクロホン1aから1dのインピーダンス変換器であるFET12のドレインDに接続されて、電源であるVccに接続されている。また、接地端子Sは、各マイクロホン1aから1dの振動板側に各抵抗R1a、R1b、R1c、R1dを介して接続されている。各マイクロホン1aから1dの信号出力端子である信号端子Tは、後段のマイクロホン1の振動板側に接続されている。このように、各マイクロホン1aから1dは、電源に対しては並列となり、出力信号は直列接続となる。各マクロホン1aから1dにおいて、FETのソースと接地との間に接続されている抵抗を図3では、符号R2a、R2b、R2c、R2dで表している。
FET12はドレイン接地回路になっているので、その増幅度は略1倍である。したがって、複数のマイクロホン1の出力信号が直列接続になっても、過剰に増幅されることはなく、各マイクロホン1のマイクロホンユニット11の入力に応じた出力が得られる。このように、本発明に係るマイクロホン装置は、複数のマイクロホンから入力された信号を加算して1つの信号として出力することができ、かつ、信号の加算によってレベルが変動することがない。
このように、本発明に係るマイクロホン装置は、出力回路においてカレントミラー回路や出力トランスが不要となり、出力信号はソースフォロワーであるので、交流インピーダンスが低く、外部からの雑音の影響を受けにくい。
本発明に係るマイクロホンを並列接続してなるマイクロホン装置は、例えば会議場のマイクロホン装置や防犯カメラと併用される防犯システムなどに適用できるものである。
1 マイクロホン
2 本体装置
3 マイクロホン装置
11 マイクロホンカプセル
12 FET
13 ジャック
14 プラグ

Claims (5)

  1. 振動板と固定極のいずれか一方にエレクトレット材を有しインピーダンス変換器としてのFETを含むマイクロホンユニットと、
    上記マイクロホンユニットから出力される音声信号を外部に出力する出力端子と、
    上記マイクロホンユニットとは異なる他のマクロホンユニットの出力端子が挿入される入力端子と、を有し、
    上記入力端子に、上記他のマイクロホンユニットの出力端子が挿入されているとき、当該マイクロホンユニットの出力信号には、上記他のマイクロホンの出力信号が加えられて出力されることを特徴とするマイクロホン。
  2. 上記マイクロホンユニットの入力端子に上記他のマイクロホンユニットの出力端子が挿入されていないときは、上記入力端子の信号端子は接地されており、
    上記マイクロホンユニットの入力端子に上記他のマイクロホンユニットの出力端子が挿入されたときは、上記入力端子の信号端子と上記出力端子の信号端子が接続されることを特徴とする請求項1記載のマイクロホン。
  3. 上記出力端子と上記入力端子は3極の端子であって、信号端子、電源端子、接地端子からなることを特徴とする請求項2記載のマイクロホン。
  4. 複数台のマイクロホンを数珠つなぎ状に複数台接続されてなるマイクロホン装置であって、各マイクロホンが上記請求項1または2に記載のマイクロホンからなることを特徴とするマイクロホン装置。
  5. 振動板と固定極のいずれか一方にエレクトレット材を有しインピーダンス変換器としてのFETを含むマイクロホンユニットと、上記マイクロホンユニットから出力される音声信号を外部に出力する出力端子と、上記マイクロホンユニットとは異なる他のマクロホンユニットの出力端子が挿入される入力端子と、を備えたマイクロホン装置であって、
    上記各マイクロホンは、
    上記入力端子に他のマイクロホンの出力端子が挿入されているときは、上記マイクロホンユニットの振動板側の信号線と上記他のマイクロホンの出力端子の信号端子が電気的に接続され、上記マイクロホンの出力信号に、前段に接続された他のマイクロホンの出力信号が加えられて出力されることを特徴とするマイクロホン装置。
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