JP5497396B2 - クレーンの給電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、港湾や内陸地のコンテナターミナルなどで、コンテナの荷役に使用される門型クレーンの給電装置に関するものである。
港湾や内陸地等のコンテナターミナルでは、岸壁クレーンや門型クレーンによって、船舶及びトレーラ間のコンテナの荷役を行っている。図8に港湾のコンテナターミナル50の概略図を示す。コンテナ船56のコンテナ53を、岸壁クレーン55によりトレーラ54に積載し、門型クレーン24Xによりトレーラ54からコンテナ載置ブロックであるレーン52に載置する。また、コンテナ53を、トレーラ54に積載したまま、荷物の目的地に運搬することもある。
ここで、門型クレーン24Xは、レールマウント式とタイヤ式に大別することができる。レールマウント式門型クレーン(Rail Mounted Gantry Crane、以下、RMGという)は、レーン52に沿って敷設したレール上を移動し、荷役作業を行う。RMGの動力となる電気は、クレーン24Xに設置したケーブルとターミナル内の給電設備を連結して供給することが多い。
これに対して、タイヤ式門型クレーン(Rubber Tired Gantry Crane、以下、RTGという)は、タイヤで走行するため、例えばレーン52Aからレ
ーン52Cへのレーン間の移動(レーンチェンジ)が容易に行え、荷役作業の多いレーン52に移動させて荷役効率を高めることができる。このRTGの機動性を生かすために、
RTGの動力は、RTGに設置したディーゼル発電機等の内部電源から供給する電気であることが多い。
近年、環境への配慮からRTGのエネルギー源を、排気ガスを発生するディーゼル発電
機から、コンテナターミナル50から供給する陸電へ切り換えることが進んでいる(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、RMGと同じように、RTGにケーブルリールを用いて給電を行う方法が開示されている。また、他の方法として、給電トロリ方式を採用することもある。
図9に給電トロリ方式の1例を示す。クレーン24Yに、コンテナターミナル50に設置した給電線21Xから、給電用移動台車(以下、給電台車という)20Xを介して給電する。給電台車20Xは、一方をクレーン24Yの受電装置30と接続し、他方を給電線21Xと接触した状態で給電を行っている。なお、給電台車20Xは、ワイヤ28でクレーン24Yに連結しており、クレーン24Yの走行に追従して移動するように構成している。なお、図8及び9に示したx軸、y軸及びz軸は、それぞれクレーンの横行方向x、走行方向y及び鉛直方向zを示している。また、25は走行輪、29は懸吊装置(スプレッダ)、31は横行装置、51は地表面を示している。
上記のように、クレーンの給電を、ケーブルリールや給電トロリ方式にすると、環境対策は実現できるが、同時に問題も発生する。即ち、クレーンがレーン間を移動するときに、受電ケーブル27のコネクタを着脱する時間が必要となり、このコネクタ着脱のための作業員を配置するコストが増加し、又は、コネクタ着脱作業時の安全性の確保が問題となっている。
具体的には、例えばクレーン24Yがレーンチェンジを行う際に、まず、地上作業員又
はクレーンオペレータが、給電台車20Xとクレーンの受電ケーブル27のコネクタ、及びワイヤ28を外す。次に、クレーンに搭載したバッテリー又はディーゼル発電機等を内部電源として、クレーンのレーンチェンジ(横行方向xへの移動)を行い、クレーンを目的のレーンまで移動させる。次に、移動先の給電台車とコネクタの接続を行う。
レーンチェンジの際には、以上の作業を毎回行う必要があり、例えばクレーンオペレータがコネクタの着脱を行う場合は、地上20m以上のクレーン操作室と地表面を梯子等で移動する必要がある。ここに、安全性の問題があり、また時間ロスの発生による荷役効率の低下という問題がある。他方で、コネクタ着脱のための作業員を配置した場合には、そのためのコストが問題となる。
また、コネクタの自動着脱装置も提案されているが、上記の問題を解決するには至っていない。即ち、コネクタを自動着脱するためには、コネクタの雄部と雌部の位置合わせを精度よく行う必要があるが、巨大な走行輪25を有するクレーン24Yと給電台車20Xの位置合わせを行うことは困難となる。また、タイヤ式のクレーン(RTG)は、クレー
ンの走行する走行路の凹凸や、スプレッダ29の移動で重心位置の変化によるタイヤの径の変動が、主な原因となって横行方向x(レーンに対して直角方向)に走行偏差(ずれ)が発生する。この走行偏差により、コネクタの雄部と雌部の位置合わせが困難となる問題を有している。
加えて、この走行偏差の発生により、受電ケーブル27が引っ張られ切断しないように、予め長めにしているが、この受電ケーブル27が機器に接触したり、巻きついたり、ねじれて折損したりする問題も有している。
特開2007−223805号公報
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、コネクタを着脱する際の作業時間を短縮し、この着脱作業の安全性を向上し、作業に必要となるコストを低減し、さらに、コネクタから伸びるケーブルの折損等が発生しない耐久性の高いクレーンの給電装置を提供することである。
上記の目的を達成するための本発明に係るクレーンの給電装置は、海上用輸送コンテナを載置するレーンに沿って敷設した給電線と、前記コンテナを荷役するクレーンに連結され、前記クレーンの走行に追従して前記給電線に沿って移動する給電台車と、前記クレーンと前記給電台車を電気的に接続するコネクタ部とを備え、前記給電台車から前記クレーンに前記コネクタ部を介して給電するクレーンの給電装置において、前記コネクタ部が、前記クレーンに設けられ、接続端子を有した雄部と、前記給電台車に設けられ、前記接続端子と電気的に接続する給電接続部を有した雌部を備え前記クレーンに、前記雄部と接続され、前記雄部を起伏又は旋回して前記雌部に接触させる起伏装置を設け、前記起伏装
置により、前記雄部が起伏又は旋回して前記雌部に接触すると、前記雄部の前記接続端子と前記雌部の前記給電接続部が電気的に接続されるように構成されることを特徴とする。
上記のクレーンの給電装置において、前記雄部が、前記クレーンの横行方向に延長した腕部と、前記腕部に沿って移動可能に設置した前記接続端子を有しており、前記雌部が、前記給電接続部と、前記雄部の前記腕部と接触する1対の縦ガイドと、前記雄部の前記接続端子と接触する少なくとも1つの横ガイドを有しており、前記起伏装置により前記雄部が起伏又は旋回させて前記雌部に向けて接近すると、前記雄部の前記腕部と前記1対の縦ガイドのどちらか一方との接触により、前記腕部が前記1対の縦ガイドの間に収まる位置まで前記給電台車が移動し、一方、前記雄部の前記接続端子と前記横ガイドの接触により、前記接続端子が前記給電接続部まで前記腕部に沿って移動して、前記接続端子と前記給電接続部が電気的に接続されるように構成されることを特徴とする。
上記のクレーンの給電装置において、前記1対の縦ガイドの対向する面が、前記腕部と接触する第1の案内面で構成されると共に、該第1の案内面が、前記腕部と該第1の案内面の接触により前記腕部から該第1の案内面に前記給電台車の走行方向の力が働いて前記給電台車が移動するように斜面で構成され、前記横ガイドの前記給電接続部側の面が、前記接続端子と接触する第2の案内面で構成されると共に、該第2の案内面が、前記接続端子と該第2の案内面の接触により該第2の案内面から前記接続端子に前記腕部に沿った方向に力が働いて前記接続端子が前記腕部に沿って移動するように斜面で構成されることを特徴とする。また、上記のクレーンの給電装置において、前記接続端子、又は前記給電接続部、若しくは前記接続端子と前記給電接続部の両方に、電磁石を設置したことを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明に係るクレーンの給電装置の接続方法は、海上用輸送コンテナを載置するレーンに沿って敷設した給電線と、前記コンテナを荷役するクレーンに連結され、前記クレーンの走行に追従して前記給電線に沿って移動する給電台車と、前記クレーンと前記給電台車を電気的に接続するコネクタ部とを備えると共に、前記コネクタ部が、前記クレーンに設けられ、接続端子を有した雄部と、前記給電台車に設けられ、前記接続端子と電気的に接続する給電接続部を有した雌部を備えて構成され、前記給電台車から前記クレーンに前記コネクタ部を介して給電するクレーンの給電装置の接続方法において、前記雄部を起伏又は旋回して前記雌部に接触させて、前記雄部の前記接続端子と前記雌部の前記給電接続部を電気的に接続することを特徴とする。
上記のクレーンの給電装置の接続方法において、前記雄部が、前記雄部を起伏又は旋回させて前記雌部に接触させる起伏装置に接続され、且つ前記クレーンの横行方向に延長した腕部と、前記腕部に沿って移動可能に設置した前記接続端子とを有しており、前記給電台車に設けた前記雌部が、前記接続端子と接続する給電接続部と、前記雄部の前記腕部と接触する1対の縦ガイドと、前記雄部の前記接続端子と接触する少なくとも1つの横ガイドを有しているクレーンの給電装置の接続方法であって、前記起伏装置によって、前記雄部を起伏又は旋回させて前記雌部に接近させる起伏装置作動ステップと、前記雄部と前記雌部の接近により、前記雄部の前記腕部と前記雌部の前記1対の縦ガイドのどちらかが接触し、前記腕部が前記1対の縦ガイドの間に収まる位置まで前記給電台車が移動する走行方向位置合わせステップと、前記雄部と前記雌部の接近により、前記雄部の前記接続端子と前記雌部の前記横ガイドが接触し、前記接続端子が前記給電接続部まで前記腕部に沿って移動する横行方向位置合わせステップと、を有していることを特徴とする。
上記のクレーンの給電装置の接続方法において、前記起伏装置作動ステップが、前記起伏装置から上方に起こされた前記雄部を前記起伏装置の上方から水平方向に転倒するステップ、又は前記起伏装置から下方に伏せられた前記雄部を前記起伏装置の下方から水平方向に跳ね上げるステップ、又は前記雄部を前記起伏装置を中心に水平方向に旋回するステップの内のいずれか一つであることを特徴とする。
本発明に係るクレーンの給電装置によれば、クレーンと給電台車を接続するコネクタ部の位置合わせ及び接続を、起伏装置の作動により自動的に行う構成とすることにより、クレーンのレーンチェンジの際に、クレーンオペレータのコネクタ連結作業に伴う時間ロスをなくし、作業の安全性の問題を解決し、更に、コネクタ連結作業のための作業員を、地上に配置することによるコストアップを防止することができる。
即ち、起伏装置の作動に伴い稼働するコネクタ部の雄部を、縦ガイド及び横ガイドで給電接続部に導く構成により、クレーンに走行偏差等が発生している(位置がずれている)場合においても、コネクタ部の雄部と雌部の位置合わせが容易に、かつ高精度に行うことができるため、コネクタ部の接続を自動化することができる。なお、コネクタ部は、クレーン側に雄部又は雌部を設置し、給電台車側に雌部又は雄部を設置する。
更に、1対の縦ガイドがそれぞれクレーンの走行方向へ第1の案内面を有し、横ガイドがクレーンの横行方向へ第2の案内面を有している構成により、縦ガイド及び横ガイドを単純な構造とすることができるため、低コストでコネクタ部を提供することが可能となる。また、単純な構造であるため、潮風に曝される港湾のコンテナターミナル等の過酷な環境下で使用した場合でも、耐久性が高く、故障の少ないコネクタ部として提供することができる。
更に、電磁石によりコネクタ部の接続を固定する構成により、クレーンの走行に伴う振動等で、コネクタ部の接続が不意に外れることを防止することができる。また、レーンチェンジ等によりコネクタ部の接続の解除が必要となった場合には、電磁石への電流を停止して、自動で解除することができる。なお、接続端子と給電接続部の両方に電磁石を設置する場合は、両方の電磁石の磁極を同じものと(例えば、両方N極と)して、コネクタ部の接続の解除をすることもできる。
更に、起伏装置の制御により、腕部を上方から水平方向に転倒するステップを有する転倒式の給電装置の接続方法により、コネクタ部の接続を自動化することが可能となる。即ち、走行方向位置合わせステップでは、腕部で第1の案内面を押し、この力により給電台車が移動し、腕部と給電接続部の走行方向の位置を自動的に合わせることができる。また、横行方向位置合わせステップでは、第2の案内面で接続端子を押し、この力により接続端子が移動し、接続端子と給電接続部の横行方向の位置を自動的に合わせることができる。
ここで、起伏装置の制御は、例えば、クレーンの操作室、又は制御盤室、又は走行輪近傍の外部操作用ボックス、又は管理棟から制御することができるため、クレーンオペレータは、コネクタ連結作業のためにクレーンから降車しないで、レーンチェンジを行うことができる。そのため、レーンチェンジに要する時間を短縮して、荷役効率を向上することができる。
更に、起伏装置の制御により、腕部を下方から水平方向に跳ね上げるステップを有する跳ね上げ式の給電装置の接続方法により、コネクタの接続を自動化することが可能となる。また、この方法により、接続端子引き上げ手段が不要となるため、コネクタ部の構成を単純化することができ、コネクタ部のコストを抑制することができる。更に、コネクタ部の構造の単純化により、コネクタ部の耐久性を向上することができる。
更に、起伏装置の制御により、腕部を、起伏装置を中心に水平方向に旋回する旋回式の給電装置の接続方法により、前述の跳ね上げ式と同様の作用効果を得ることができる。
本発明に係る実施の形態のクレーンの給電装置を示した図である。 本発明に係る実施の形態のコネクタ部の雌部を示した図である。 本発明に係る実施の形態のコネクタ部の雄部を示した図である。 コネクタ部におけるクレーン走行方向の位置合わせの様子を示した図である。 コネクタ部におけるクレーン横行方向の位置合わせの様子を示した図である。 本発明に係る異なる実施の形態のクレーンの給電装置を示した図である。 本発明に係る異なる実施の形態のクレーンの給電装置を示した図である。 コンテナターミナルの概略を示した図である。 従来技術のクレーンの給電装置を示した図である。
以下に、本発明に係る実施の形態のクレーンの給電装置について、図面を参照しながら説明する。図1に給電装置1の概略を示しており、クレーン24と給電台車20を、コネクタ部2により接続している。コネクタ部2は、雄部3と雌部4で構成しており、雄部3は、起伏装置13に接続し、かつクレーン24の横行方向xに延伸した腕部5と、腕部5に沿って移動可能に設置した接続端子7を有している。雌部4は、接続端子7の集電子6と接続する給電接続部8と、腕部5を給電接続部8に導く1対の縦ガイド9と、接続端子7を給電接続部8に導く横ガイド10を有している。ここで、コネクタ部2の連結は、雄部3を矢印S1に示す様に上方から水平方向へ転倒して行う(転倒式の接続方法)。
また、前記雄部3は、クレーン24の脚部26に設置しており、クレーン24は走行輪25により走行及びレーンチェンジのため走行輪25を90°旋回させた後に横行を行う。次に、給電台車20に関して説明する。給電台車20は、コンテナターミナル50のレーン52(図8参照)に沿って設置した給電線21から電気の供給を受けるように構成している。給電線21は、地平面51に設置した架台23に設置しており、給電台車20の有する集電子22は、この給電線21と接触しながら移動する。
ここで、電気は、コンテナターミナル50の給電設備から給電線21に流れ、給電台車20の集電子22を経由して雌部4の給電接続部8に流れる。更に、この給電接続部8から雄部3の集電子6を経由して、クレーン24に流れるように構成している。
従来は、特にレーンチェンジ後にクレーン24と給電台車20の連結を行う際、コネクタ部2の雄部3と雌部4の位置を合わせることが困難であった。つまり、レーンチェンジの際にクレーン24は、横行方向xに移動しながら、給電台車20に接近するが、このとき、コネクタ部2の雄部3と雌部4の位置が、横行方向xにずれる問題を有していた。
しかしながら、図1に示すコネクタ部2を利用することで、このずれが発生している状態であっても、雄部3と雌部4を連結することができる。このとき、接続端子7は、腕部5上を移動可能に構成する必要がある。
なお、給電台車20とクレーン24の連結において、電気的接続にはコネクタ部2を利用し、給電台車20をクレーン24に追従させるための物理的な連結は、別途、従来技術の給電台車用牽引装置を設置するとよいが、コネクタ部2を物理的な給電台車用牽引装置として利用することも可能である。つまり、コネクタ部2により、給電台車20を牽引し、クレーン24の走行に追従させることができる。
このとき、コネクタ部2による連結は、フレキシブルな連結を実現することができる。つまり、クレーン24の走行に伴い発生する横行方向xに発生する走行偏差は、接続端子7が腕部5上を移動することにより、吸収することができる。また、鉛直方向zの振動は、起伏装置13の揺動により吸収することができる。
図2にコネクタ部2の雌部4を示しており、雌部4は、クレーン24の走行方向yに配置した1対の縦ガイド9と、横行方向xに配置した横ガイド10と、給電接続部8を有している。給電接続部8は、雄部3の集電子6と連結して電気を流すように構成している。
また、縦ガイド9は傾斜した第1の案内面11を有しており、横ガイド10は傾斜した第2の案内面12を有している。
図3にコネクタ部2の雄部3を示しており、雄部3は、起伏装置13から延伸した腕部5と、腕部5上を移動自在となるように設置した接続端子7を有している。この接続端子7は、雌部4の給電接続部8と接続する集電子6と、この集電子6が他の部材に接触するのを防止する集電子プロテクタ15を有している。
また、ワイヤ14を接続端子7に連結し、滑車16を介して腕部5内に通し、端部を図示しないトルクモータ等の接続端子用牽引装置に接続している。このワイヤ14により、接続端子7を腕部5に沿って鉛直方向zに移動することが可能となっている。ここで、接続端子用牽引装置によりワイヤ14を繰り出せば、接続端子7は自重により、鉛直下向きに移動するように構成している。
なお、接続端子用牽引装置を、電磁石で構成してもよい。例えば、腕部5の外周面にS極の磁界を形成し、接続端子7の腕部5と対向する内周面にN極の磁界を形成して、腕部5のS極の磁界を腕部5の下端から上端へ移動して、反発力により接続端子7を腕部5の上端まで移動する構成としてもよい。
図4に、雄部3と雌部4が走行方向yにずれている場合に、腕部5が縦ガイド9により導かれる様子を示している。矢印S2は、腕部5の断面の動きを示しており、鉛直上方から転倒してくる腕部5は、まず、縦ガイド9の第1の案内面11と接触する。そして、腕部5は、自重と起伏装置13の作動により、更に鉛直下向きに下がろうとするため、雌部4に第1の案内面11から走行方向yの力が働く。この走行方向yの力により、雌部4を有する給電台車20は、腕部5が1対の縦ガイド9の間に収まる位置まで走行方向yに移動する。ここで、この給電台車20の移動方向を矢印S3で示す。
上記の構成により、コネクタ部2の雄部3と雌部4の走行方向yにおける位置合わせが実現する。この位置合わせの許容範囲を大きくするために、縦ガイド9の走行方向yの長さを延伸してもよい。
図5に、雄部3と雌部4が横行方向xにずれている場合に、接続端子7が横ガイド10により導かれる様子を示している。矢印S4は、腕部5の側面の動きを示しており、鉛直上方から転倒してくる腕部5の上端に配置した接続端子7は、まず、横ガイド10の第2の案内面12と接触する。そして、腕部5は、自重と起伏装置13の作動により、更に鉛直下向きに下がろうとするため、接続端子7に第2の案内面12から横行方向xの力が働く。この横行方向xの力により、接続端子7は、腕部5に沿って横行方向xに移動する。ここで、この接続端子7の移動方向を矢印S5で示す。
上記の構成により、コネクタ部2の雄部3と雌部4の横行方向xにおける位置合わせが実現する。この位置合わせの許容範囲を大きくするために、横ガイド10の横行方向xの長さを延伸してもよい。また、図5では、クレーンの遠方から近づける方向に向かって、接続端子7の位置合わせを行う構成に関して説明したが、クレーンの近傍から遠ざける方向に向かって、接続端子7の位置合わせを行う構成としてもよい。また、集電子プロテクタ15は、集電子6と第2の案内面12が接触して、集電子6が変形等を起こさないために設置している。
上記の縦ガイド9による走行方向yの位置合わせと、横ガイド10による横行方向xの位置合わせは、同時に行う。つまり、雄部3の転倒に伴い、給電台車20が走行方向yに移動すると同時に、接続端子7が横行方向xに移動し、給電接続部8と集電子6が接続す
るように構成している。
このコネクタ部2の位置合わせは、雄部3と雌部4の接触により、自動的に行うことができるため、コネクタ部2の構成を単純化することが可能であり、起伏装置13の制御以外に特に複雑な制御を必要としない。そのため、自動着脱を可能とするコネクタ部2を低コストで提供することが可能となる。
図6に、本発明に係る異なる実施の形態のコネクタ部2Aを示す。このコネクタ部2Aの雄部3は、2つの腕部5を有しており、雌部4は横ガイド10を1つとしたことを特徴としている。コネクタ部2Aの接続時には、図6に示すように、腕部5は、横ガイド10の両側を通過するように構成している。
ここで、横ガイド10を、縦ガイド9よりも低い位置に設置することが望ましく、この構成により腕部5を横ガイド10の両側にスムーズに納めることができる。また、横ガイド10の第2の案内面12を下方に凸となる円弧状に形成すると、集電子6を給電接続部8にスムーズに導くことが可能となる。同様に、縦ガイド9の第1の案内面11を下方に凸となる円弧状に形成すると、腕部5を2つの縦ガイド9の間にスムーズに導くことが可能となる。
このコネクタ部2Aは、腕部5を2つとして、雄部3の剛性を向上したため、このコネクタ部2Aで給電台車20を牽引して、クレーン24の移動に追従させることが可能となる。つまり、コネクタ部2Aにより、クレーン24と給電台車20の電気的接続に加えて、給電台車20を物理的に牽引する手段として利用することができる。
図7に、本発明に係る異なる実施の形態の給電装置1Bを示す。この給電装置1Bのコネクタ部2Bの連結は、雄部3を矢印S6に示すように、下方から水平方向へ跳ね上げて行う(跳ね上げ式の接続方法)。起伏装置13の作動により跳ね上げた雄部3は、集電子6と給電接続部8を接続する。この接続を、集電子6及び給電接続部8の少なくとも一方に設置した電磁石により固定する。連結を解除する際は、電磁石への通電を停止して行う。
この跳ね上げ式のコネクタ部2Bの構成により、接続端子7は自重により腕部5の下端に移動するため、ワイヤ14等の接続端子引き上げ手段の設置が不要となる。このため、コネクタ部2Bを単純な構造とすることができ、コネクタ部2Bを低コストで提供することができる。また、コネクタ部2Bの構造の単純化により、耐久性の高いコネクタ部として提供することが可能となる。
また、コネクタ部の接続方法において、起伏装置13を中心に雄部3を水平方向に旋回して行なってもよい(旋回式の接続方法)。この接続は、集電子6及び給電接続部8の少なくとも一方に設置した電磁石により固定する。なお、雄部3の腕部5は、起伏装置13から水平に延長して形成してもよいし、角度をつけて形成してもよい。
例えば、起伏装置13に対して腕部5の先端部が低い位置になるように雄部3を構成した場合、接続端子7は自重により腕部5の先端部に移動するため、ワイヤ14等の接続端子引き上げ手段の設置が不要となる。
以上、給電台車20に雌部4を、クレーン24に雄部3を設置したコネクタ部2、2A、2Bの例を説明したが、給電台車20に雄部3を、クレーン24に雌部4を設置してコネクタ部を形成してもよい。なお、起伏装置13の制御等、稼働する装置をクレーン24側に設置した方が、クレーン24の操作室から制御するための構成を単純化することがで
きる。
1 給電装置
2、2A、2B コネクタ部
3 雄部
4 雌部
5 腕部
6 集電子
7 接続端子
8 給電接続部
9 縦ガイド
10 横ガイド
11 第1の案内面
12 第2の案内面
13 起伏装置
20 給電台車
24 クレーン
50 コンテナターミナル
x 横行方向
y 走行方向
z 鉛直方向

Claims (6)

  1. 海上用輸送コンテナを載置するレーンに沿って敷設した給電線と、前記コンテナを荷役するクレーンに連結され、前記クレーンの走行に追従して前記給電線に沿って移動する給電台車と、前記クレーンと前記給電台車を電気的に接続するコネクタ部とを備え、前記給電台車から前記クレーンに前記コネクタ部を介して給電するクレーンの給電装置において、
    前記コネクタ部が、前記クレーンに設けられ、接続端子を有した雄部と、前記給電台車に設けられ、前記接続端子と電気的に接続する給電接続部を有した雌部を備え
    前記クレーンに、前記雄部と接続され、前記雄部を起伏又は旋回して前記雌部に接触させる起伏装置を設け、
    前記起伏装置により、前記雄部が起伏又は旋回して前記雌部に接触すると、前記雄部の前記接続端子と前記雌部の前記給電接続部が電気的に接続されるように構成されることを特徴とするクレーンの給電装置。
  2. 前記雄部が、前記クレーンの横行方向に延長した腕部と、前記腕部に沿って移動可能に設置した前記接続端子を有しており、
    前記雌部が、前記給電接続部と、前記雄部の前記腕部と接触する1対の縦ガイドと、前記雄部の前記接続端子と接触する少なくとも1つの横ガイドを有しており、
    前記起伏装置により前記雄部が起伏又は旋回させて前記雌部に向けて接近すると、前記雄部の前記腕部と前記1対の縦ガイドのどちらか一方との接触により、前記腕部が前記1対の縦ガイドの間に収まる位置まで前記給電台車が移動し、一方、前記雄部の前記接続端子と前記横ガイドの接触により、前記接続端子が前記給電接続部まで前記腕部に沿って移動して、前記接続端子と前記給電接続部が電気的に接続されるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のクレーンの給電装置。
  3. 前記1対の縦ガイドの対向する面が、前記腕部と接触する第1の案内面で構成されると共に、該第1の案内面が、前記腕部と該第1の案内面の接触により前記腕部から該第1の案内面に前記給電台車の走行方向の力が働いて前記給電台車が移動するように斜面で構成され、
    前記横ガイドの前記給電接続部側の面が、前記接続端子と接触する第2の案内面で構成されると共に、該第2の案内面が、前記接続端子と該第2の案内面の接触により該第2の
    案内面から前記接続端子に前記腕部に沿った方向に力が働いて前記接続端子が前記腕部に沿って移動するように斜面で構成されることを特徴とする請求項2に記載のクレーンの給電装置。
  4. 海上用輸送コンテナを載置するレーンに沿って敷設した給電線と、前記コンテナを荷役するクレーンに連結され、前記クレーンの走行に追従して前記給電線に沿って移動する給電台車と、前記クレーンと前記給電台車を電気的に接続するコネクタ部とを備えると共に、前記コネクタ部が、前記クレーンに設けられ、接続端子を有した雄部と、前記給電台車に設けられ、前記接続端子と電気的に接続する給電接続部を有した雌部を備えて構成され、前記給電台車から前記クレーンに前記コネクタ部を介して給電するクレーンの給電装置の接続方法において、
    前記雄部を起伏又は旋回して前記雌部に接触させて、前記雄部の前記接続端子と前記雌部の前記給電接続部を電気的に接続することを特徴とするクレーンの給電装置の接続方法。
  5. 前記雄部が、前記雄部を起伏又は旋回させて前記雌部に接触させる起伏装置に接続され、且つ前記クレーンの横行方向に延長した腕部と、前記腕部に沿って移動可能に設置した前記接続端子とを有しており、
    前記給電台車に設けた前記雌部が、前記接続端子と接続する給電接続部と、前記雄部の前記腕部と接触する1対の縦ガイドと、前記雄部の前記接続端子と接触する少なくとも1つの横ガイドを有しているクレーンの給電装置の接続方法であって、
    前記起伏装置によって、前記雄部を起伏又は旋回させて前記雌部に接近させる起伏装置作動ステップと、
    前記雄部と前記雌部の接近により、前記雄部の前記腕部と前記雌部の前記1対の縦ガイドのどちらかが接触し、前記腕部が前記1対の縦ガイドの間に収まる位置まで前記給電台車が移動する走行方向位置合わせステップと、
    前記雄部と前記雌部の接近により、前記雄部の前記接続端子と前記雌部の前記横ガイドが接触し、前記接続端子が前記給電接続部まで前記腕部に沿って移動する横行方向位置合わせステップと、を有していることを特徴とする請求項4に記載のクレーンの給電装置の接続方法。
  6. 前記起伏装置作動ステップが、前記起伏装置から上方に起こされた前記雄部を前記起伏装置の上方から水平方向に転倒するステップ、又は前記起伏装置から下方に伏せられた前記雄部を前記起伏装置の下方から水平方向に跳ね上げるステップ、又は前記雄部を前記起伏装置を中心に水平方向に旋回するステップの内のいずれか一つであることを特徴とする請求項5に記載のクレーンの給電装置の接続方法。
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