JP5495833B2 - アルカリ乾電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、正極缶、正極合剤、ゲル状負極合剤、セパレータ等を備えたアルカリ乾電池に関するものである。
図5に示されるように、一般的なアルカリ乾電池101は、有底筒状をなす正極缶102の内部に中空円筒状の正極合剤103を嵌入するとともに、正極缶102の中心部にゲル状負極合剤104を充填し、正極合剤103とゲル状負極合剤104との間にセパレータ105を介在させた構造を有している(例えば特許文献1参照)。また、正極缶102の開口部は、封口ガスケット106、負極集電子107、負極端子板108などを含んで構成された負極集電体109によって液密的に封口されている。なお近年、この種のアルカリ乾電池では、材料費を削減することが強く要求されている。そこで、正極合剤103の内径を大きくしたり、正極合剤103の高さを低くしたりするなどして、正極合剤103を減量することが考えられている。
特開平7−134977号公報(図1等参照)
ところが、正極合剤103の内径を大きくした場合には、その分だけセパレータ105やゲル状負極合剤104の使用量が増加するため、殆ど材料費を削減することができない。一方、正極合剤103の高さを低くした場合には、材料費を削減することができるが、以下のような問題が生じてしまう。即ち、正極合剤103を正極缶102の奥まで嵌入すると、セパレータ105において正極合剤103にも封口ガスケット106にも保持されない領域R1が大きくなる。この場合、外部からの衝撃によって領域R1に力が加わると、領域R1に破断が生じたり、セパレータ105の開口が変形して封口ガスケット106との間に隙間が生じたりすることがある。すると、破断した箇所や生じた隙間からゲル状負極合剤104が漏出する結果、内部ショートが起こることで電圧が低下し、場合によってはアルカリ乾電池101が発熱するおそれがある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、材料費を削減することができ、しかも耐衝撃性に優れたアルカリ乾電池を提供することにある。また、別の目的は、上記の優れたアルカリ乾電池を得るうえで好適な製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための手段[1]〜[4]を以下に列挙する。
[1]底部外側中央部に正極端子が配置された有底筒状の正極缶と、前記正極缶の内部に嵌入されかつ同心状に配置された中空円筒状をなす複数の正極合剤と、前記正極缶の中心部に配置されたゲル状負極合剤と、前記正極合剤と前記ゲル状負極合剤との間に介在されたセパレータと、前記正極缶の開口部に配置された封口ガスケットとを備え、前記封口ガスケットが、負極集電子が挿通されるボス孔が設けられたボス部と、前記ボス部の外周部から延設された周縁部とを有するアルカリ乾電池において、前記複数の正極合剤の合計の高さが、前記アルカリ乾電池の総高の75%以下であり、前記周縁部において前記底部側に最も突出した突出部分の前記正極端子の先端面を基準とした高さから、最も開口部寄りに配置された正極合剤の開口部側端面の前記正極端子の先端面を基準とした高さを引いた値が、前記アルカリ乾電池の総高の3%以下であることを特徴とするアルカリ乾電池。
従って、手段1によると、複数の正極合剤の合計の高さがアルカリ乾電池の総高の75%以下となるため、正極合剤を減量して材料費を削減することができる。しかも、封口ガスケットに設けられた突出部分の正極端子の先端面を基準とした高さから、最も開口部寄りに配置された正極合剤の開口部側端面の正極端子の先端面を基準とした高さを引いた値が、アルカリ乾電池の総高の3%以下となる。このため、各正極合剤の合計の高さを低くして正極合剤を減量した場合であっても、セパレータにおける殆どの領域が正極合剤や封口ガスケットで保持されるため、外部からの衝撃に起因するセパレータの破断や変形が生じにくくなり、上記した内部ショートが起こりにくくなる。即ち、耐衝撃性に優れたアルカリ乾電池を得ることができる。
[2]前記複数の正極合剤のうち、特定の正極合剤と、前記特定の正極合剤に隣接する正極合剤との間に隙間があることを特徴とする上記手段1に記載のアルカリ乾電池。
従って、手段2によると、電解液を、正極合剤の内周面からだけでなく、上記の隙間に露出している面(即ち、特定の正極合剤の底部側端面や隣接する正極合剤の開口部側端面)からも吸収させることができるため、正極合剤への電解液の吸収作業を短時間で行うことができる。よって、アルカリ乾電池の生産効率が向上する。さらに、正極合剤は放電によって膨張するため、隙間を設けることにより、反応を促す効果も得られる。
[3]前記正極合剤の外径が、前記正極缶の内径よりも0.1mm以上0.3mm以下だけ大きいことを特徴とする上記手段1または2に記載のアルカリ乾電池。
従って、手段3によると、正極合剤の外径を正極缶の内径よりも0.1mm以上0.3mm以下だけ大きくすることにより、正極合剤を正極缶の内部に嵌入した際に、正極缶の内面に正極合剤の外周面が密着するようになる。その結果、特定の正極合剤と隣接する正極合剤との間に隙間があったとしても、正極缶と正極合剤との間で良好な接触状態を長期に亘って維持することができ、外部からの衝撃に起因する正極合剤の移動を防止することできる。従って、アルカリ乾電池の耐衝撃性をよりいっそう高めることができる。
なお、正極合剤の外径が正極缶の内径に対して0.1mm未満だけ大きい場合、即ち、正極合剤の外径から正極缶の内径を引いた値が0.1mm未満である場合、正極合剤の移動を十分に防止することができない。一方、正極合剤の外径が正極缶の内径に対して0.3mmよりも大きい場合、即ち、正極合剤の外径から正極缶の内径を引いた値が0.3mmよりも大きい場合、正極合剤を嵌入する際に正極缶が割れてしまう可能性が高くなる。
[4]上記手段1乃至3のいずれか1つに記載のアルカリ乾電池の製造方法であって、中空円筒状をなす前記複数の正極合剤を作製する正極合剤作製工程と、前記複数の正極合剤を前記正極缶の内部に嵌入させる嵌入工程とを含み、前記嵌入工程では、前記複数の正極合剤のうち、特定の正極合剤と、前記特定の正極合剤に隣接する正極合剤とを、両者の間に隙間を持たせた状態で嵌入させることを特徴とするアルカリ乾電池の製造方法。
従って、手段4によると、嵌入工程において特定の正極合剤と隣接する正極合剤との間に隙間を持たせることにより、複数の正極合剤の合計の高さをアルカリ乾電池の総高の75%以下にすることが可能となるため、正極合剤を減量して材料費を削減することができる。しかも、上記の隙間を持たせることで、最も開口部寄りに配置された正極合剤を正極缶の開口部に近付けることができるため、封口ガスケットに設けられた突出部分の正極端子の先端面を基準とした高さから、最も開口部寄りに配置された正極合剤の開口部側端面の正極端子の先端面を基準とした高さを引いた値を、アルカリ乾電池の総高の3%以下とすることが可能となる。このため、正極合剤を減量した場合であっても、セパレータにおける殆どの領域が正極合剤や封口ガスケットで保持されるため、外部からの衝撃に起因するセパレータの破断や変形が生じにくくなり、上記した内部ショートが起こりにくくなる。即ち、耐衝撃性に優れたアルカリ乾電池を得ることができる。
また、電解液を、正極合剤の内周面からだけでなく、上記の隙間に露出している面(即ち、特定の正極合剤の底部側端面や隣接する正極合剤の開口部側端面)からも吸収させることができるため、正極合剤への電解液の吸収作業を短時間で行うことができる。よって、アルカリ乾電池の生産効率が向上する。さらに、正極合剤は放電によって膨張するため、隙間を設けることにより、反応を促す効果も得られる。
以上詳述したように、請求項1〜3に記載の発明によると、材料費を削減することができ、しかも耐衝撃性に優れたアルカリ乾電池を提供することができる。請求項4に記載の発明によると、上記の優れたアルカリ乾電池を得るうえで好適な製造方法を提供することができる。
本実施形態におけるアルカリ乾電池を示す概略断面図。 実施例2におけるアルカリ乾電池を示す概略断面図。 他の実施形態におけるアルカリ乾電池を示す概略断面図。 他の実施形態におけるアルカリ乾電池を示す概略断面図。 従来技術におけるアルカリ乾電池を示す概略断面図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1に示されるように、本実施形態の筒型のアルカリ乾電池11(LR20:単1形)を構成する正極缶21は、正極集電体を兼ねる有底円筒状の電池用金属部品であって、ニッケルめっき鋼板の多段深絞り加工によって形成されている。正極缶21の底部22の外側中央部には、正極端子23が突設されている。また、正極缶21の胴部24の外面側には外装ラベル25が貼付されている。
正極缶21の内部には、中空円筒状に成形された2個の正極合剤31,32が縦積み状態で嵌入されかつ同心状に配置されている。正極合剤31,32は、二酸化マンガンあるいはオキシ水酸化ニッケル等の酸化剤を含む環状(または管状)の成形合剤である。
さらに、正極缶21の中心部には、亜鉛合金粉末、ゲル化剤、アルカリ電解液などを混合してなるゲル状負極合剤51が配置されている。なお本実施形態では、アルカリ電解液として水酸化カリウム水溶液を用いている。また、亜鉛合金粉末としては、数十〜数百ppmのインジウム、ビスマス及びアルミニウムを含有するものが好適である。なお、ゲル化剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸及びその塩類、アルギン酸ソーダ、エーテル化デンプン等が好適である。
また、各正極合剤31,32とゲル状負極合剤51との間には、ビニロン繊維やレーヨン繊維を基材とした不織布からなる円筒状のセパレータ41が介在されている。なお、セパレータ41中及び正極合剤31,32中には、アルカリ電解液が浸潤されている。
また、正極缶21の開口部26の内面側には、負極端子板61と負極集電子71と封口ガスケット81とを組み付けてなる負極集電体60が配置されている。また、正極缶21の開口部26付近には、負極集電体60を載置するためのビード部27が形成されている。そして、そのビード部27上に負極集電体60を載置した状態で、正極缶21の開口部26にカール及び絞り加工を施すことにより、正極缶21が封口される。
封口ガスケット81は中央部にボス部82を備えており、そのボス部82を貫通する断面円形状のボス孔82a内には負極集電子71が挿通可能となっている。ボス部82の外周部からは周縁部83が延設され、周縁部83において底部22側に最も突出した突出部分は、断面凹状をなす屈曲部84となっている。なお、屈曲部84は、セパレータ41の内側に配置されている。封口ガスケット81は、平面視で円形状を呈する合成樹脂製の部材であって、例えばナイロン等のようなポリアミド樹脂からなる射出成形部品である。なお、ポリアミド樹脂の代わりに、ポリプロピレン等のようなポリオレフィン樹脂等を用いてもよい。
負極端子板61は導電性金属製の板材からなる。負極端子板61は、正極缶21と同じ材料であるニッケルめっき鋼板のプレス成形によって形成され、封口ガスケット81を介して正極缶21の開口部26を封口している。
負極集電子71は、スズめっき真鍮線等のような導電性金属製の棒材からなっている。負極集電子71の先端部73は、ゲル状負極合剤51中に挿入されている。一方、負極集電子71の基端部72は、ボス部82のボス孔82aを挿通するとともに、負極端子板61の内面側中央部に対してスポット溶接等により固着されている。
なお本実施形態では、アルカリ乾電池11の総高Cが61mmに設定されている。また、正極合剤31の高さB1が23mmに設定され、正極合剤32の高さB2が同じく23mmに設定され、正極合剤31,32の合計の高さBが46mmとなっている。従って、正極合剤31,32の合計の高さBは、アルカリ乾電池11の総高Cの75%となる。また、正極合剤31,32の外径は、互いに等しく設定されるとともに、正極缶21の内径よりも0.1mmだけ大きい寸法に設定されている。さらに、最も開口部26寄りに配置された特定の正極合剤31と、正極合剤31に隣接する正極合剤32との間には、幅1.2mmの隙間S1が生じている。なお、アルカリ乾電池11の総高Cとは、正極端子23の先端面28から負極端子板61の外面61aまでの距離である。また、正極合剤31の高さB1とは、底部側端面31bから開口部側端面31aまでの距離であり、正極合剤32の高さB2とは、底部側端面32bから開口部側端面32aまでの距離である。
さらに本実施形態では、正極端子23の先端面28を基準とした屈曲部84の高さA1から、先端面28を基準とした開口部側端面31aの高さA2を引いた値Aが、1.8mmに設定されている。従って、値Aは、アルカリ乾電池11の総高Cの3.0%となる。なお、高さA1とは、正極端子23の先端面28から屈曲部84の外面において最も底部22側に突出した部分(点P1参照)までの距離である。また、高さA2とは、正極端子23の先端面28から正極合剤31の開口部側端面31aまでの距離である。
次に、アルカリ乾電池11の製造方法を説明する。
まず、正極合剤作製工程を行い、中空円筒状をなす2個の正極合剤31,32を作製する。具体的には、まず、正極活物質である二酸化マンガン及び黒鉛にバインダーを添加して乾式混合し、次いでアルカリ電解液を添加しながら湿式混合する。そして、得られた混合物を圧延、粉砕後、整粒された二次粒子を得る。なお、得られた二次粒子を成型金型を用いて中空円筒状に成形すれば、正極缶21の内部に嵌入可能な正極合剤31,32が作製される。
続く嵌入工程では、多段深絞り加工によって有底円筒状に形成した正極缶21を準備し、準備した正極缶21の内部に正極合剤31,32を嵌入させる。その結果、正極缶21の内面と正極合剤31,32の外周面とが直接接触するようになる。また、正極合剤31,32の外径は正極缶21の内径よりも0.1mmだけ大きく形成されているため、正極合剤31,32の外周面は正極缶21の内面に密着する。さらに、嵌入工程では、特定の正極合剤31と、特定の正極合剤31に隣接する正極合剤32とを、両者の間に隙間S1を持たせた状態で嵌入させている。なお、嵌入時における隙間S1の幅は、本実施形態では1.2mmとなる。その後、正極缶21の開口部26付近の直径を少し小さくする加工(ビーディング加工)を行うことにより、ビード部27を形成する。ビード部27は、正極缶21の側面を回転している円盤状ローラーで押圧することによって形成される。
その後、開口部26の内周面に、必要に応じてシール剤(図示略)を塗布する。次に、正極合剤31,32の中空部にセパレータ41を挿入する。さらに、セパレータ41の内部にアルカリ電解液を注入し、セパレータ41及び正極合剤31,32にアルカリ電解液を浸潤させる。その後、セパレータ41の内部にゲル状負極合剤51を充填する。
その後、封口ガスケット81のボス部82に設けられたボス孔82aに負極集電子71を挿通させた状態で、負極集電子71の先端部73をゲル状負極合剤51中に挿入する。また、負極集電体60をビード部27上に載置する。そして、この状態で、正極缶21の開口部26にカール及び絞り加工を施して封口する。さらに、正極缶21の外表面に外装ラベル25を巻き付ければ、図1に示すアルカリ乾電池11が完成する。
以下、上述した実施形態をより具体化した実施例を挙げて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例a]
A.試作例の作製及び評価試験の方法
ここでは、アルカリ乾電池(LR20)を実際にいくつか作製し、評価用サンプルとした。具体的には、B(正極合剤の合計の高さ)/C(アルカリ乾電池の総高)(%)、A(屈曲部の正極端子の先端面を基準とした高さから、最も開口部寄りに配置された正極合剤の開口部側端面の正極端子の先端面を基準とした高さを引いた値)/C(%)、EMD(二酸化マンガン)使用量(指数)などを任意に変更することで、表1に示す複数の試作例(実施例1〜3、従来例1,2、比較例1〜3)を作製した。
本実施例では、各試作例に対する評価試験として、落下試験及び振動試験を行った。落下試験では、試作例であるアルカリ乾電池を段ボール箱に100本収容し、これらのアルカリ乾電池を負極側を下向きにして配置した。そして、この状態のアルカリ乾電池を2mの高さから垂直に自由落下させた。また振動試験では、アルカリ乾電池を段ボール箱に100本収容し、振幅が1.0mm(合計変位距離が2.0mm)となる単振動を、アルカリ乾電池に対して上向き、下向き、横向きの3方向にそれぞれ120分ずつ付与した。なお、単振動の周波数を5Hz〜60Hzの範囲内に設定するとともに、1分間に1Hzの割合で周波数を上昇及び下降させた。
落下試験及び振動試験の終了後、各アルカリ乾電池の開路電圧を測定し、開路電圧が試験前と比べて10mV以上低下しているものの数をカウントした。その結果を表1に併せて示す。
B.評価試験の結果
Figure 0005495833
(1)従来例1,2
B/Cを78%(EMD使用量100)、A/Cを2.0%とした従来例1(即ち、正極合剤の高さを低くしていない従来例)では、100個全てのアルカリ乾電池において、開路電圧が試験前と比べて10mV以上低下していないことを確認した。一方、B/Cを76%(EMD使用量97)、A/Cを3.5%とした従来例2(即ち、正極合剤の高さを低くした従来例)では、100個中5個のアルカリ乾電池の開路電圧が落下試験前と比べて10mV以上低下し、100個中1個のアルカリ乾電池の開路電圧が振動試験前と比べて10mV以上低下した。
(2)比較例1〜3
B/Cを75%(EMD使用量96)、A/Cを4.2%とした比較例1では、100個中12個のアルカリ乾電池の開路電圧が落下試験前と比べて10mV以上低下し、100個中8個のアルカリ乾電池の開路電圧が振動試験前と比べて10mV以上低下した。また、B/Cを75%、A/Cを3.5%とした比較例2では、100個中4個のアルカリ乾電池の開路電圧が落下試験前と比べて10mV以上低下し、100個中1個のアルカリ乾電池の開路電圧が振動試験前と比べて10mV以上低下した。さらに、B/Cを73%(EMD使用量94)、A/Cを3.5%とした比較例3では、100個中2個のアルカリ乾電池の開路電圧が落下試験前と比べて10mV以上低下し、同じく100個中2個のアルカリ乾電池の開路電圧が振動試験前と比べて10mV以上低下した。
(3)実施例1〜3
B/Cを75%、A/Cを3.0%とした実施例1では、100個全てのアルカリ乾電池において、開路電圧が試験前と比べて10mV以上低下していないことを確認した。また、B/Cを75%、A/Cを−0.5%とした実施例2についても、B/Cを73%、A/Cを3.0%とした実施例3についても、100個全てのアルカリ乾電池において、開路電圧が試験前と比べて10mV以上低下していないことを確認した。なお、実施例1は、上述した実施形態のアルカリ乾電池11(図1参照)と同一の構造を有するものである。また、実施例2は、図2に示されるアルカリ乾電池11Aと同一の構造を有するものである。このアルカリ乾電池11Aでは、屈曲部84Aの正極端子23Aの先端面28Aを基準とした高さA1が、最も開口部26A寄りに配置された正極合剤33の開口部側端面33aの先端面28Aを基準とした高さA2よりも小さくなっている。このため、高さA1から高さA2を引いた値Aが負の値になり、A/Cも負の値(−0.5%)となる。また、特定の正極合剤33と、特定の正極合剤33に隣接する正極合剤34との間に生じた隙間S2は、正極合剤31,32の隙間S1(図1参照)よりも大きくなっている。
以上の結果から、正極合剤を減量したとしても、B/Cが75%以下であって、A/Cが3.0以下であれば、開路電圧が試験前と比べて10mV以上低下しないことが確認された。即ち、B/C,A/Cを上記のように設定すれば、耐衝撃性に優れたアルカリ乾電池が得られることが確認された。
[実施例b]
A.試作例の作製及び評価試験の方法
基本的に実施例aの方法に準じて複数の試作例を作製した。具体的には、B/C(%)、A/C(%)、正極合剤の外径から正極缶の内径を引いた値(mm)などを任意に変更することで、表2に示す複数の試作例(実施例4,5、比較例4〜6)を作製した。そして、これらについて実施例aと同様の評価試験を行った。その結果を表2に示す。
B.評価試験の結果
Figure 0005495833
(1)比較例4〜6
B/Cを75%、A/Cを3.0%、正極合剤の外径から正極缶の内径を引いた値をそれぞれ0mm,−0.1mmとした比較例4,5では、100個全てのアルカリ乾電池において、開路電圧が落下試験前と比べて10mV以上低下していないことを確認した。しかし、比較例4では、100個中1個のアルカリ乾電池の開路電圧が振動試験前と比べて10mV以上低下し、比較例5では、100個中5個のアルカリ乾電池の開路電圧が振動試験前と比べて10mV以上低下した。また、B/Cを75%、A/Cを4.2%、正極合剤の外径から正極缶の内径を引いた値を0.1mmとした比較例6では、100個中12個のアルカリ乾電池の開路電圧が落下試験前と比べて10mV以上低下し、100個中8個のアルカリ乾電池の開路電圧が振動試験前と比べて10mV以上低下した。
(2)実施例4,5
B/Cを75%、A/Cを3.0%、正極合剤の外径から正極缶の内径を引いた値を0.3mmとした実施例4では、100個全てのアルカリ乾電池において、開路電圧が試験前と比べて10mV以上低下していないことを確認した。また、B/Cを75%、A/Cを3.0%、正極合剤の外径から正極缶の内径を引いた値を0.1mmとした実施例5についても、100個全てのアルカリ乾電池において、開路電圧が試験前と比べて10mV以上低下していないことを確認した。なお、実施例5は、上述した実施形態のアルカリ乾電池11(図1参照)と同一の構造を有するものである。
以上の結果から、正極合剤の外径を正極缶の内径よりも0.1mm以上0.3mm以下だけ大きくすれば、開路電圧が試験前と比べて10mV以上低下しないことが確認された。また、正極合剤の外径を正極缶の内径よりも0.1mm以上0.3mm以下だけ大きくしたとしても、A/Cを3%以下に設定しなければ、開路電圧が試験前と比べて10mV以上低下することが確認された。即ち、正極合剤の外径を正極缶の内径よりも0.1mm以上0.3mm以下だけ大きくし、かつ、B/C,A/Cを上記のように設定すれば、耐衝撃性に優れたアルカリ乾電池が得られることが確認された。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態のアルカリ乾電池11では、2個の正極合剤31,32の合計の高さBをアルカリ乾電池11の総高Cの75%としているため、正極合剤31,32を減量して材料費を削減することができる。しかも、正極端子23の先端面28を基準とした屈曲部84の高さA1から、先端面28を基準とした開口部側端面31aの高さA2を引いた値Aが、アルカリ乾電池11の総高Cの3%以下となる。このため、各正極合剤31,32の合計の高さBを低くして正極合剤31,32を減量した場合であっても、セパレータ41における殆どの領域が正極合剤31,32や封口ガスケット81で保持されるため、外部からの衝撃に起因するセパレータ41の破断や変形が生じにくくなる。その結果、破断箇所や変形箇所からのゲル状負極合剤51の漏出を防ぐことができ、漏出に起因した内部ショートの発生を防止することができる。即ち、耐衝撃性に優れたアルカリ乾電池11を得ることができる。
(2)本実施形態では、アルカリ電解液を、正極合剤31,32の内周面からだけでなく、隙間S1に露出している面(即ち、正極合剤31の底部側端面31bや正極合剤32の開口部側端面32a)からも吸収させることができるため、正極合剤31,32へのアルカリ電解液の吸収作業を短時間で行うことができる。よって、アルカリ乾電池11の生産効率が向上する。
(3)正極合剤31,32の合計の高さBを従来よりも低くした場合、正極合剤31,32の外径が正極缶21の内径よりも小さいと、外部からの衝撃によって正極合剤31,32が初期の位置(組立時の位置)からずれてしまう可能性がある。この問題を解決するために、正極合剤31,32と正極缶21との間に詰め物を充填する方法が考えられるが、詰め物の材料費が必要となってしまう。
そこで本実施形態では、正極合剤31,32の外径を正極缶21の内径よりも0.1mmだけ大きくすることにより、正極合剤31,32を正極缶21の内部に嵌入した際に、正極缶21の内面に正極合剤31,32の外周面を密着させている。その結果、上記した詰め物がなくても、正極缶21と正極合剤31,32との間で良好な接触状態を長期に亘って維持することができ、外部からの衝撃に起因する正極合剤31,32の移動を防止することできる。従って、コストの上昇を伴わずに、アルカリ乾電池11の耐衝撃性を高めることができる。
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
・上記実施形態のアルカリ乾電池11では、正極缶21の内部に2個の正極合剤31,32が嵌入されていたが、正極合剤が3個以上嵌入されていてもよい。例えば図3に示されるように、正極缶21Bの内部に3個の正極合剤35,36,37が嵌入されたアルカリ乾電池11Bであってもよい。この場合、正極合剤35の高さB1´、正極合剤36の高さB2´及び正極合剤37の高さB3´は互いに同一に設定され、正極合剤35〜37の合計の高さB´は、アルカリ乾電池11Bの総高C´の75%となる。また、正極端子23Bの先端面28Bを基準とした屈曲部84Bの高さから、先端面28Bを基準とした開口部側端面35aの高さを引いた値A´は、アルカリ乾電池11Bの総高C´の3.0%となる。
なお、正極缶21Bの内部に3個の正極合剤35〜37が嵌入される場合、最も開口部26Bから離れた箇所に配置された特定の正極合剤37と、正極合剤37に隣接する正極合剤36との間のみに隙間S3が設けられていてもよい(図3参照)。また図3において、最も開口部26B寄りに配置された特定の正極合剤35と、正極合剤35に隣接する正極合剤36との間のみに隙間が設けられていてもよい。さらに、図4に示されるように、最も開口部26Cから離れた箇所に配置された特定の正極合剤40と、正極合剤40に隣接する正極合剤39との間に隙間S5が設けられるだけでなく、最も開口部26C寄りに配置された特定の正極合剤38と、正極合剤38に隣接する正極合剤39との間にも隙間S4が設けられたアルカリ乾電池11Cであってもよい。なお、隙間S4の幅は、隙間S5の幅よりも小さくなっているが、隙間S5の幅よりも大きくしてもよいし、隙間S5の幅と同一にしてもよい。
・上記実施形態では、本発明をLR20(単1形)のアルカリ乾電池11に具体化したが、例えばLR6(単3形)のアルカリ乾電池11B,11C(図3,図4参照)などに具体化してもよいし、LR14(単2形)、LR03(単4形)、LR1(単5形)のアルカリ乾電池などに具体化してもよい。さらには、ZRタイプのアルカリ乾電池などに具体化してもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)上記手段1乃至3のいずれか1つにおいて、前記突出部分とは、前記セパレータの内側に配置された断面凹状をなす屈曲部であり、前記突出部分の前記正極端子の先端面を基準とした高さとは、前記先端面から前記屈曲部の外面において最も前記底部側に突出した部分までの距離であることを特徴とするアルカリ乾電池。
(2)上記手段2において、前記正極合剤の嵌入時における前記隙間の幅は0.1mm以上5.0mm以下であることを特徴とするアルカリ乾電池。
11,11A,11B,11C…アルカリ乾電池
21,21B…正極缶
22…正極缶の底部
23,23A,23B…正極端子
26,26A,26B,26C…正極缶の開口部
28,28A,28B…正極端子の先端面
31,32,33,34,35,36,37,38,39,40…正極合剤
31a,33a,35a…開口部側端面
41…セパレータ
51…ゲル状負極合剤
71…負極集電子
81…封口ガスケット
82…ボス部
82a…ボス孔
83…周縁部
84,84A,84B…突出部分としての屈曲部
A,A´…突出部分の正極端子の先端面を基準とした高さから開口部側端面の正極端子の先端面を基準とした高さを引いた値
A1…突出部分の正極端子の先端面を基準とした高さ
A2…開口部側端面の正極端子の先端面を基準とした高さ
B,B´…正極合剤の合計の高さ
C,C´…アルカリ乾電池の総高
S1,S2,S3,S4,S5…隙間

Claims (4)

  1. 底部外側中央部に正極端子が配置された有底筒状の正極缶と、前記正極缶の内部に嵌入されかつ同心状に配置された中空円筒状をなす複数の正極合剤と、前記正極缶の中心部に配置されたゲル状負極合剤と、前記正極合剤と前記ゲル状負極合剤との間に介在されたセパレータと、前記正極缶の開口部に配置された封口ガスケットとを備え、前記封口ガスケットが、負極集電子が挿通されるボス孔が設けられたボス部と、前記ボス部の外周部から延設された周縁部とを有するアルカリ乾電池において、
    前記複数の正極合剤の合計の高さが、前記アルカリ乾電池の総高の75%以下であり、
    前記周縁部において前記底部側に最も突出した突出部分の前記正極端子の先端面を基準とした高さから、最も開口部寄りに配置された正極合剤の開口部側端面の前記正極端子の先端面を基準とした高さを引いた値が、前記アルカリ乾電池の総高の3%以下である
    ことを特徴とするアルカリ乾電池。
  2. 前記複数の正極合剤のうち、特定の正極合剤と、前記特定の正極合剤に隣接する正極合剤との間に隙間があることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ乾電池。
  3. 前記正極合剤の外径が、前記正極缶の内径よりも0.1mm以上0.3mm以下だけ大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のアルカリ乾電池。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアルカリ乾電池の製造方法であって、
    中空円筒状をなす前記複数の正極合剤を作製する正極合剤作製工程と、前記複数の正極合剤を前記正極缶の内部に嵌入させる嵌入工程とを含み、
    前記嵌入工程では、前記複数の正極合剤のうち、特定の正極合剤と、前記特定の正極合剤に隣接する正極合剤とを、両者の間に隙間を持たせた状態で嵌入させる
    ことを特徴とするアルカリ乾電池の製造方法。
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