JP5495526B2 - 熱源システムおよびその制御方法 - Google Patents
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Description
また、半導体製造設備を備えた工場には、冷水以外に、半導体製造設備にて洗浄水として用いられる60〜70℃程度の高温水や、暖房用の32〜45℃程度の中温水が要求される。
同図に示されているように、ターボ冷凍機101は、電動モータ103によって駆動され、冷媒を圧縮するターボ圧縮機105と、ターボ圧縮機105によって圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器107と、凝縮器107によって凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁(図示せず)と、膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器109とを備えている。
蒸発器109には、冷水が流れる冷水配管110が接続されており、蒸発器109にて蒸発する冷媒の蒸発潜熱によって冷水が冷却されるようになっている。冷水配管110には、冷水ポンプ112が設けられており、この冷水ポンプ112によって半導体製造設備等の冷水を使用する外部負荷(図示せず)と蒸発器109との間で冷水が循環供給されるようになっている。
凝縮器107には、冷却水が流れる冷却水配管114が接続されており、凝縮器107にて凝縮する冷媒の凝縮潜熱を冷却水が排熱するようになっている。冷却水配管114には、冷却水ポンプ116が設けられており、この冷却水ポンプ116によって冷却塔118と凝縮器107との間で冷却水が循環供給されるようになっている。冷却塔118は、冷却水を散水部120にて外気に散水して冷却する方式となっており、散水された冷却水を冷却するためのファン119を備えている。
したがって、高温水を得るために、熱源システムの高段側としてヒートポンプを用いることが有利と考えられる。しかし、高温水を得る高段側にヒートポンプを用いたとしても、さらなる省エネルギーの実現には、冷水を得る低段側の冷凍機と組み合わせた熱源システム全体としての省エネルギーを考慮する必要がある。
すなわち、本発明にかかる熱源システムは、冷媒の蒸発熱によって冷水を冷却する低段側蒸発器と、冷媒の凝縮熱を冷却水に排熱する低段側凝縮器とを有し、前記低段側蒸発器にて冷却された冷水を外部負荷へ出力する冷水主制御ヒートポンプと、前記低段側凝縮器から排熱を得た冷却水と熱交換するための中温水用熱交換器によって加熱された中温水、又は、前記低段側凝縮器内に設けた中温水用熱交換器によって加熱された中温水から熱が与えられて冷媒が蒸発する高段側蒸発器と、冷媒の凝縮熱によって高温水を加熱する高段側凝縮器とを有し、該高段側凝縮器にて加熱された高温水を外部負荷へ出力する温水主制御ヒートポンプと、を備えた熱源システムにおいて、前記冷却水を外気に散水して冷却する冷却塔を備え、該冷却塔は、冷却水温度を調整する冷却水温度調整手段を有し、前記高温水の設定温度に基づいて、前記冷却水の下限温度が設定され、前記温水主制御ヒートポンプが出力する熱負荷に対する前記冷水主制御ヒートポンプが出力する熱負荷の割合が所定値以上となった場合に、前記冷却水の設定温度として前記下限温度が用いられることを特徴とする。
冷却水の下限温度は、より具体的には、要求される高温水温度を温水主制御ヒートポンプによって実現することができる最低限必要な温度とされる。
中温水は、低段側凝縮器から排熱を得た冷却水と熱交換するための中温水用熱交換器によって排熱を間接的に得るようにしてもよいし、低段側凝縮器内に設けた中温水用熱交換器によって排熱を直接得る(いわゆるヒートリカバリー機)ようにしても良い。
冷水は、例えば、5〜10℃程度とされ、半導体製造設備の冷却水や、半導体製造設備が設置された工場(例えばクリーンルーム)の冷房に用いられる。
高温水は、例えば、60〜70℃程度とされ、半導体製造設備の洗浄水の加熱に用いられる。
なお、冷水主制御ヒートポンプ及び温水主制御ヒートポンプとしては、例えば、ターボ圧縮機を備えたターボ冷凍機を用いることが好ましい。
また、冷水主制御ヒートポンプ及び温水主制御ヒートポンプは、それぞれ、1台に限定されるものではなく、それぞれを複数台備えた熱源システムであってもよい。
また、冷水主制御ヒートポンプの凝縮器を「低段側凝縮器」と表現し、温水主制御ヒートポンプの凝縮器を「高段側凝縮器」と表現しているが、これは、冷水主制御ヒートポンプの方が温水主制御ヒートポンプよりも外部負荷へ出力する媒体(水)の温度が低いので区別のために便宜上「低段側」と表現しているにすぎず、それ以上の意味に限定を行うものではない。したがって、「低段側蒸発器」と「高段側蒸発器」との関係も同様であり、また、本明細書では同様の意味で「低段側」と「高段側」という用語が用いられる。
中温水は、凝縮器の排熱によって加熱されるので、低段側凝縮器の排熱を奪う冷却水の温度に大きく依存する。そこで、要求される中温水の設定温度範囲を満たすように運転温度を設定し、かつ冷却水の下限温度よりも高い温度で運転することにより、中温水だけでなく高温水をも所望の温度範囲にて出力することができる。
したがって、冷水主制御ヒートポンプが要求する冷却水運転温度と温水主制御ヒートポンプが要求する冷却水運転温度が一致したとしても、この運転温度が中温水設定温度範囲内でなければ、この運転温度は用いられず、中温水設定温度範囲内で両ヒートポンプの運転が最も効率的に運転できる(例えば最も消費電力が少ない運転となるように)冷却水温度に運転温度が設定される。
一方、冷水に要求される熱量が小さい冬期のような場合には、冷水主制御ヒートポンプの熱負荷(ひいては消費電力)が小さくなり、温水主制御ヒートポンプの消費電力がむしろ大きくなる場合がある。この場合には、冷却水温度を上げて温水主制御ヒートポンプの消費電力を抑えることが好ましい。
そこで、冷水主制御ヒートポンプと温水主制御ヒートポンプの消費電力の和を考慮して、冷却水の運転温度を設定することとし、熱源システム全体としての省エネルギー運転を実現する。
冷却水温度調整手段としては、例えば、冷却水を冷却するファンの回転数を可変制御する回転数可変制御手段、ファンの発停を制御するファン発停制御手段、ファンによって冷却される熱交換部(散水部)をバイパスする冷却水流量を調整する制御弁、冷却水を供給する冷却水ポンプの流量を制御する流量制御手段等が挙げられる。
図1に示されているように、熱源システムは、低段側に設けられた冷水主制御ヒートポンプ1と、高段側に設けられた温水主制御ヒートポンプ51とを備えている。
各ヒートポンプ1,51には、ターボ圧縮機を備えたターボ冷凍機(又はターボヒートポンプ)が用いられている。
冷却塔18は、冷却水を散水部20にて大気中に散水して冷却する方式となっており、散水された冷却水を冷却するためのファン19を備えている。ファン19は、インバータ付きモータによって回転数可変とされており、冷却水温度を制御できるようになっている。
冷却水ポンプ16及びファン19は、冷却塔18の制御部(図示せず)の指示に従い所定回転数にて動作する。
なお、さらに、冷却水が散水部20をバイパスするように冷却水バイパス配管を設け、この冷却水バイパス配管の流量を制御することによって冷却水温度を制御するようにしても良い。
高段側制御部70と低段側制御部30とは互いにデータ通信が可能とされている。高段側制御部70は、運転状態に応じて、設定された高温水温度を実現する要求中温水温度を、低段側制御部30に出力する。ただし、要求中温水温度は、後述するように、暖房を行う外部負荷から要求される温度範囲(例えば32〜45℃)内に設定される。
冷水主制御ヒートポンプ1は、冷却水温度が低いほど高効率にて運転できるので、可能な限り冷却水温度を低くするように要求する。特に、冷熱の割合が大きい夏期では、11〜13℃程度の冷却水温度を要求する。ただし、温水主制御ヒートポンプ51では、要求される温度の高温水(例えば60〜70℃)を出力するために最低限必要な高段側蒸発器57の飽和圧力(飽和温度)すなわち中温水温度が存在する。そこで、所望の高温水温度を得るために必要な中温水温度を確保するために、温水主制御ヒートポンプ51の能力を考慮して、冷却水温度の下限値を設ける必要がある。
図3には、所定の熱負荷における、冷却水温度に対する消費電力が示されている。破線L1は冷水主制御ヒートポンプ1の消費電力を示し、細実線L2は温水主制御ヒートポンプ51の消費電力が示されている。太実線L3は、各ヒートポンプ1,51の消費電力の和が示されている。
破線L1からわかるように、冷水主制御ヒートポンプ1では、同じ熱負荷でも、冷却水温度が低いほど高効率となり消費電力が低下する。一方、細実線L2からわかるように、温水主制御ヒートポンプ51では、同じ熱負荷でも、冷却水温度が高いほど高効率となり消費電力が低下する。したがって、太実線L3からわかるように、各ヒートポンプ1,51の消費電力の和には、最小値となる冷却水温度が存在する。低段側制御部30では、この消費電力の和の最小値を示す冷却水温度を演算する。
破線L1及び細実線L2は、複数の値の冷熱負荷および温熱負荷に応じて予め用意されており、マップ又は数値テーブルとして低段側制御部30のメモリに格納されている。
先ず、現在時刻の時間ステップSiにおける冷却水温を決定する(ステップS0)。
冷却塔18が散水式となっているので、外気温度(乾球温度)センサおよび相対湿度センサから(ステップS1)、湿球温度を演算し(ステップS2)、初期値となる冷却水温度T0を演算する(ステップS3)。
次に、冷水主制御ヒートポンプ1の冷水出口設定温度から(ステップS4)、冷却水温度の上限値である上限温度T2を得る(ステップS5)。同様に、温水主制御ヒートポンプ51の温水出口設定温度から(ステップS6)、冷却水温度の下限値である下限温度T1を得る(ステップS7)。
冷水主制御ヒートポンプ1の消費電力gl(T)は、冷水主制御ヒートポンプ1の負荷Qlを用いて、負荷率xlの例えば二次式として、以下のようにして求める。
gl(xl,T)={al(T)・xl2+bl(T)・xl+cl(T)}・Ql
ここで、負荷率xlとは、冷水主制御ヒートポンプ1の定格負荷に対する割合を意味し、0から1.2程度の値となる。また、al,bl,clといった係数は、各温度Tに応じた変数となっており、予め事前運転や設計条件によって設定されている。
温水主制御ヒートポンプ51の消費電力gh(T)についても同様に、温水主制御ヒートポンプ51の負荷Qhを用いて、負荷率xhの例えば二次式として、以下のようにして求める。
gh(xh,T)={ah(T)・xh2+bh(T)・xh+ch(T)}・Qh
ここで、負荷率xhとは、温水主制御ヒートポンプ51の定格負荷に対する割合を意味し、0から1.2程度の値となる。また、ah,bh,chといった係数は、各温度Tに応じた変数となっており、予め事前運転や設計条件によって設定されている。
gtotal(T)=gl(xl,T)+gh(xh,T)
上式による演算結果は、低段側制御部30のメモリに格納される。この演算結果を用いて各温度Tにおけるgtotal(T)を比較することにより、最小の消費電力となるT=Tm(ステップS9)を決定する。次に、ステップ10へ進み、求められたTmがTm≧T0であればT=Tmを最適値とする(ステップS11)。TmがTm<T0であればT=T0を最適値とする(ステップS12)。ただし、T0<T1の場合、T1〜T2の範囲でTmを求め、T2<T0の場合、T1〜T2の範囲でTmを求め、T1<T0<T1の場合、T0〜T2の範囲でTmを求めることとする。
このように求めた最適値が現在の時間ステップ(i)における最適冷却水温度Tmとなる。そして、次の時間ステップSi+1での最適値を求めるように(ステップS13)、ステップS0から同様の演算を繰り返す。
以上のように求められた最適冷却水温度Tmを、制御目標値として設定冷却水温度とする。
このように決定された設定冷却水温度は、冷却塔の制御部(図示せず)へと送信され、設定冷却水温度が満たされるようにファン19の回転数や冷却水ポンプ16の回転数が制御される。
ただし、暖房が必要ない場合といった外部負荷から中温水設定範囲の要求がない場合には、中温水設定温度範囲にかかわらず、各ヒートポンプ1,51の消費電力が最小となるように決定する。
このような冷却水温度の設定方法は、図5に示すように、中温水の出力が要求されない熱源システムに対しても有効である。図5の熱源システムでは、図1に示した中温水熱交換器21、中温水供給配管27等が省略されている。そして、低段側凝縮器7にて排熱を奪った冷却水の一部を中温水抽出配管73によって抽水し、高段側蒸発器59へと導き、高段側蒸発器59に温熱を与えた後に、冷却水ポンプ16の上流側の冷却水配管14へと返送するようになっている。なお、図1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
所望の高温水温度を得るために必要な中温水温度を確保するように、冷却水温度の下限値を設けることとし、必要量の低段側凝縮器7排熱を中温水に与えることができるようにした。したがって、熱源システムは、下限値を下回らない冷却水温度にて運転されることになる。このように、高温水の設定温度に基づいて冷却水の下限温度が定められるので、冷水主制御ヒートポンプ1が低温の冷却水温度を要求した場合であってもこれを制限し、所望温度の中温水を確保することによって、温水主制御ヒートポンプ51にて所望温度の高温水を出力することができる。換言すると、所望温度の高温水および冷水を得るだけでなく、温水主制御ヒートポンプ51からみて効率的な中温水温度と、冷水主制御ヒートポンプ1からみて効率的な冷却水温度とを両立させ、熱源システム全体として高いエネルギー効率を実現することができる。
また、本実施形態では、一つの熱源システムについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図1,図5及び図6に示した熱源システムを複数組み合わせたものでも良い。この場合には、各熱源システムに共通とされた冷却塔を備えていることが好ましい。
また、本実施形態では、設定冷却水温度の演算を低段側制御部30で演算することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、高段側制御部70で演算することとしても良いし、別個独立した制御部を設けてもよい。
また、本実施形態では図4のグラフの元データとしてマップや数値テーブルをメモリに格納することとしたが、各負荷に応じて冷却水温度から消費電力が得られる所定の演算式をメモリに格納し、この演算式から冷却水温度を導くようにしても良い。
5 低段側ターボ圧縮機
7 低段側凝縮器
9 低段側蒸発器
10 冷水配管
14 冷却水配管
16 冷却水ポンプ
18 冷却塔
21 中温水用熱交換器
27 中温水供給配管(中温水出力手段)
51 温水主制御ヒートポンプ
55 低段側ターボ圧縮機
57 高段側凝縮器
59 高段側蒸発器
64 高温水配管
Claims (5)
- 冷媒の蒸発熱によって冷水を冷却する低段側蒸発器と、冷媒の凝縮熱を冷却水に排熱する低段側凝縮器とを有し、前記低段側蒸発器にて冷却された冷水を外部負荷へ出力する冷水主制御ヒートポンプと、
前記低段側凝縮器から排熱を得た冷却水と熱交換するための中温水用熱交換器によって加熱された中温水、又は、前記低段側凝縮器内に設けた中温水用熱交換器によって加熱された中温水から熱が与えられて冷媒が蒸発する高段側蒸発器と、冷媒の凝縮熱によって高温水を加熱する高段側凝縮器とを有し、該高段側凝縮器にて加熱された高温水を外部負荷へ出力する温水主制御ヒートポンプと、
を備えた熱源システムにおいて、
前記冷却水を外気に散水して冷却する冷却塔を備え、
該冷却塔は、冷却水温度を調整する冷却水温度調整手段を有し、
前記高温水の設定温度に基づいて、前記冷却水の下限温度が設定され、
前記温水主制御ヒートポンプが出力する熱負荷に対する前記冷水主制御ヒートポンプが出力する熱負荷の割合が所定値以上となった場合に、前記冷却水の設定温度として前記下限温度が用いられることを特徴とする熱源システム。 - 前記中温水を外部負荷へ出力する中温水出力手段を備え、
該中温水出力手段に要求される中温水設定温度範囲内で、前記冷却水の運転温度が設定されることを特徴とする請求項1に記載の熱源システム。 - 前記中温水出力手段に対する出力要求がない場合には、前記中温水設定温度範囲にかかわらず、前記冷却水の前記運転温度が設定されることを特徴とする請求項2に記載の熱源システム。
- 前記冷水主制御ヒートポンプが消費する電力と前記温水主制御ヒートポンプが消費する電力との和が略最小となるように、前記冷却水の運転温度が設定されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の熱源システム。
- 冷媒の蒸発熱によって冷水を冷却する低段側蒸発器と、冷媒の凝縮熱を冷却水に排熱する低段側凝縮器とを有し、前記低段側蒸発器にて冷却された冷水を外部負荷へ出力する冷水主制御ヒートポンプと、
前記低段側凝縮器から排熱を得た冷却水と熱交換するための中温水用熱交換器によって加熱された中温水、又は、前記低段側凝縮器内に設けた中温水用熱交換器によって加熱された中温水から熱が与えられて冷媒が蒸発する高段側蒸発器と、冷媒の凝縮熱によって高温水を加熱する高段側凝縮器とを有し、該高段側凝縮器にて加熱された高温水を外部負荷へ出力する温水主制御ヒートポンプと、
を備えた熱源システムの制御方法において、
前記熱源システムは、前記冷却水を外気に散水して冷却する冷却塔を備え、
該冷却塔は、冷却水温度を調整する冷却水温度調整手段を有し、
前記高温水の設定温度に基づいて、前記冷却水の下限温度が設定され、
前記温水主制御ヒートポンプが出力する熱負荷に対する前記冷水主制御ヒートポンプが出力する熱負荷の割合が所定値以上となった場合に、前記冷却水の設定温度として前記下限温度を用いることを特徴とする熱源システムの制御方法。
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