JP5495059B2 - 穿孔工具 - Google Patents

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Description

本発明は穿孔工具に関し、特に先端工具により被穿孔材が穿孔された深さを測定可能な穿孔工具に関する。
従来からドリルビットを回転させると共にドリルビットに打撃力を加えて被穿孔材を穿孔するハンマドリル等の穿孔工具が知られている。穿孔工具は打撃力を発生させるために、モータと、シリンダと、シリンダ内に配置されたピストンと、モータの回転力をピストンの往復運動に変換する運動変換機構と、ピストンにより駆動される打撃子と、打撃子が衝突する中間子とを備えている。また、穿孔工具の先端部には先端工具が装着され、打撃子が中間子に衝突することにより、中間子を介して打撃力が先端工具に伝達されるように構成されている。また、モータの回転力が先端工具に伝達されて先端工具はその軸心を中心として回転するように構成されている。
また、穿孔工具には先端工具の延出方向に平行に延出するゲージが設けられている。先端工具が被穿孔材に対して穿孔してゆき、所望の深さまで穿孔したときにゲージの延出端が被穿孔材の表面に当接することで、所望の深さまで穿孔したことを穿孔工具のユーザは認識することができるように構成されている。このようなハンマドリルは、例えば特開2009−241229号公報(特許公報1)に記載されている。
特開2009−241229号公報
しかし、従来の穿孔工具ではゲージが設けられていたため、穿孔の際にゲージが邪魔になることがある。そこで、本発明は、ゲージを備えていない構成で所望の深さまで穿孔したことをユーザが認識することができる穿孔工具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、先端部と後端部とを有し、被穿孔材に対して穿孔する先端工具を該先端部に取り付け可能なハウジングと、該ハウジングに収容された動力発生源と、該動力発生源により発生した動力を該先端工具に伝達する動力伝達部と、該ハウジングに設けられ該被穿孔材の表面までの距離に対応する電圧を出力可能な距離センサと、第1の増幅率で該電圧を増幅可能な第1電圧増幅手段と、第2の増幅率で該電圧を増幅可能な第2電圧増幅手段と、該第1電圧増幅手段又は該第2電圧増幅手段により増幅された該電圧を読取り、該距離センサから該被穿孔材の表面までの距離を該電圧に基づいて判断する判断手段と、を備える穿孔工具を提供している。
ハウジングに設けられ被穿孔材の表面までの距離に対応する電圧を出力可能な距離センサと、第1の増幅率で電圧を増幅可能な第1電圧増幅手段と、第2の増幅率で電圧を増幅可能な第2電圧増幅手段と、第1電圧増幅手段又は第2電圧増幅手段により増幅された電圧を読取り、距離センサから被穿孔材の表面までの距離を電圧に基づいて判断する判断手段と、を備えるため、先端工具には短いものや長いものがあるが、短い先端工具が取り付けられ距離センサから被穿孔材の表面までの距離が短い場合であっても、長い先端工具が取り付けられ距離センサから被穿孔材の表面までの距離が長い場合であっても、場合に応じて、第1の増幅率により増幅されて得られた電圧に基づいて、又は第2の増幅率により増幅されて得られた電圧に基づいて、距離センサから被穿孔材の表面までの距離の判断を行うことができる。
ここで、該判断手段は読取可能な該電圧の上限値及び下限値を有し、該第1の増幅率で増幅されて得られた該電圧が該上限値と該下限値との間の値を有する場合には、該第1の増幅率により増加されて得られた該電圧に基づいて該距離センサから該被穿孔材の表面までの距離を判断することが好ましい。
判断手段は読取可能な電圧の上限値及び下限値を有し、第1の増幅率で増幅されて得られた電圧が上限値と下限値との間の値を有する場合には、第1の増幅率により増加されて得られた電圧に基づいて距離センサから被穿孔材の表面までの距離を判断するため、短い先端工具が取り付けられ距離センサから被穿孔材の表面までの距離が短い場合であっても、長い先端工具が取り付けられ距離センサから被穿孔材の表面までの距離が長い場合であっても、第1の増幅率により増幅されて得られた電圧、又は第2の増幅率により増幅されて得られた電圧を、判断手段の読取可能な電圧の上限値と下限値との間の値を有するようにすることができ、所定の誤差の範囲内で距離センサから被穿孔材の表面までの距離の測定を行うことができる。
また、該距離センサは、該ハウジングの後端部から先端部へと向かう方向において所定の領域をなし該被穿孔材の表面が該所定の領域内に位置しているときには所定の誤差の範囲内で該距離センサから該被穿孔材の表面までの距離の測定が可能な有効測定範囲を有し、各該増幅率で増幅されて得られた該電圧の範囲であって該上限値と該下限値との間となる該電圧の範囲に対応する該距離センサから該被穿孔材の表面までの距離の範囲は、該有効測定範囲内においてそれぞれ異なる領域をなし、該異なる領域の総和は該有効測定範囲を含むことが好ましい。
距離センサは、ハウジングの後端部から先端部へと向かう方向において所定の領域をなし被穿孔材の表面が所定の領域内に位置しているときには所定の誤差の範囲内で距離センサから被穿孔材の表面までの距離の測定が可能な有効測定範囲を有し、各増幅率で増幅されて得られた電圧の範囲であって上限値と下限値との間となる電圧の範囲に対応する距離センサから被穿孔材の表面までの距離の範囲は、有効測定範囲内においてそれぞれ異なる領域をなし、異なる領域の総和は有効測定範囲を含むため、距離センサの有効測定範囲内の全領域において、所定の誤差の範囲内で距離センサから被穿孔材の表面までの距離の測定を行うことができる。
また、該電圧増幅手段は2つの該増幅率で該電圧を常時増幅することが好ましい。電圧増幅手段は2つの増幅率で電圧を常時増幅するため、判断手段は、2つの増幅率で増幅されて得られた電圧を選択することができ、構成を複雑にせずに済み、距離の出力のための処理に時間が係ることを極力抑えることができる。
また、該ハウジングの後端部から先端部へと向かう方向における該ハウジングの先端から該先端工具の先端までの領域は、取り付け可能な全ての該先端工具について該有効測定範囲内にあることが好ましい。
ハウジングの後端部から先端部へと向かう方向におけるハウジングの先端から先端工具の先端までの領域は、取り付け可能な全ての先端工具について有効測定範囲内にあるため、取り付け可能な全ての先端工具について、所定の誤差の範囲内で距離センサから被穿孔材の表面までの距離の測定を行うことができる。
以上より本発明は、ゲージを備えていない構成で所望の深さまで穿孔したことをユーザが認識することができる穿孔工具を提供することができる。
本発明の実施の形態による穿孔工具を示す断面図。 本発明の実施の形態による穿孔工具のエア流路を示す要部断面図。 本発明の実施の形態による穿孔工具の距離センサを示す要部断面図。 本発明の実施の形態による穿孔工具の制御回路部、インバータ回路部、及び電動モータ等を示す回路図。 本発明の実施の形態による穿孔工具の距離センサの有効測定範囲を示すグラフ。 本発明の実施の形態による穿孔工具における各増幅率毎の出力電圧と測定距離との関係を示すグラフ。 本発明の実施の形態による穿孔工具における動作を示すフローチャート。
本発明による穿孔工具の実施の形態について図1乃至図7を参照しながら説明する。図1に示すように、穿孔工具1はロータリーハンマドリルであり、ハンドル部10と、モータハウジング20と、ギヤハウジング60とによりハウジングが構成されている。以下の説明では図1における左側を穿孔工具1の後端側、右側を穿孔工具1の先端側と定義し、図1における上側を穿孔工具1の上側、下側を穿孔工具1の下側と定義して説明する。ハウジングの先端と後端とを結ぶ方向におけるハウジングの長さ、即ち図1における左右方向における長さは30cm〜40cm程度である。
ハンドル部10は略U字状をなしており、その上部は、モータハウジング20の一部であって後述の電動モータ21を収容している部分20Aとプラスチックで一体成型され、ハンドル部10はモータハウジング20の一部をなしている。ハンドル部10の後部10A下部には、電源ケーブル11が取付けられていると共に、スイッチ機構12が内蔵されている。スイッチ機構12には、使用者によって操作可能なトリガ13が機械的に接続されている。電源ケーブル11はスイッチ機構12を図示せぬ外部電源に接続しており、トリガ13を操作することにより、スイッチ機構12と図示せぬ外部電源との接続と断続とが切換えられる。また、ハンドル部10の後部10Aであってトリガ13よりもすぐ下の部分は、ハンドル部10の後部10Aを穿孔工具1のユーザが把持したときに、中指と薬指によって把持される部分たる把持部10Cをなす。
ハンドル部10の前部10Bには距離センサ14が設けられている。距離センサ14は、ハンドル部10の前部10Bの上部に設けられており、後端部側から先端部側へと向かう方向において、距離センサ14に対向配置される図示せぬ被穿孔材と距離センサ14との間の距離を測定可能である。距離センサ14が設けられている位置は、電源ケーブル11及び後述の先端工具2を除いた穿孔工具1の重心近傍の位置、即ち、ハンドル部10とモータハウジング20とギヤハウジング60とから構成されるハウジング(これら内部に収容されている部材を含む)の重心近傍の位置である。この位置は、ハンドル部10の後部10Aの把持部10Cと、穿孔工具1の先端部に相当するギヤハウジング60の先端部60Aとを結ぶ仮想直線I上である。また、この位置は、ギヤハウジング60の先端部60Aから距離Lsだけ後端側へ向かった位置である。
距離センサ14は、図3に示すようにその略全体が樹脂製のカバー14Aにより覆われている。カバー14Aの後部はゴムからなる弾性部材14Bを介してハンドル部10の前部10Bの上部に固定されている。距離センサ14は後述のようにマイコン110(図4)に電気的に接続されており、また、マイコン110は後述の電動モータ21に電気的に接続されている。マイコン110は判断手段に相当する。また、距離センサ14は図示せぬ入力部の穴深さ設定ボタン117(図4)に電気的に接続されており、穴深さ設定ボタン117においては後述のように所望の穿孔深さを入力可能である。入力される穿孔深さの値は、より具体的には、3cm〜6cm程度である。
距離センサ14は赤外線センサにより構成されており、赤外線の波長は850nm程度であり、有効測定範囲を有している。より具体的には、図5に示すように、距離センサ14からの距離がL1よりも小さい場合には、僅かな電圧変動が大きな距離差として検出されてしまうため出力が安定せず、距離の値の誤差が大きく、所定の誤差の範囲内で距離の測定を行うことができない。また、距離センサ14からの距離がL2よりも大きい場合には、電圧値が小さく距離センサ14からの距離に基づいて距離出力として電圧が十分に出力されないため、分解能が低く、距離の値の誤差が大きく、所定の誤差の範囲内で距離の測定を行うことができない。ハウジングの先端部から後端部へと向かう方向において、図1に示すように最も距離センサ14に近い有効測定範囲の端縁から距離センサ14までの距離をL1とし、最も距離センサ14から遠い有効測定範囲の端縁から距離センサ14までの距離をL2としたときに、図1に示すように、ハウジングの先端側におけるL1の端からL2の端までの所定の領域Luにわたって有効測定範囲は存在する。被穿孔材の表面がLu内に位置しているときには、±1.5mm以内の誤差の範囲内で距離の測定が可能である。L1と、L2と、Lsと、後述のLbとは、L1≦Ls且つLs+Lb≦L2の関係を満たしている。ハウジングの先端部と後端部とを結ぶ方向における有効測定範囲の長さは70cm程度であり、L1は10cm程度であり、L2は80cm程度である。
モータハウジング20内には電動モータ21が収納されている。電動モータ21はACブラシレスモータにより構成されており、後述のマイコン110により回転の制御が行われる。電動モータ21は出力軸22を備えており出力軸22は回転駆動力を出力する。出力軸22の基部には軸流ファン22Aが出力軸22と同軸的に一体回転可能に設けられている。
図2に示すように軸流ファン22Aの下方には、下方へ延出し更に先端側へ延出して、距離センサ14の上部、先端側の部分、及び後端側の部分にそれぞれ対向する空間へ連通するエア流路20aが形成されている。軸流ファン22Aが回転することにより、図2に示す矢印のように、モータハウジング20の後部に形成された空気流入口からのエアが電動モータ21近傍に流れ、エア流路20aを流れ、距離センサ14の上部及び後端側の部分の近傍を流れて、距離センサ14が冷却される。また、エア流路20aを流れてきたエアは距離センサ14の先端側の部分の近傍を流れ、後述の先端工具2による穿孔により生じた切粉が距離センサ14に付着することを防止する。エア流路20aは先端側エア流路及び後端側エア流路に相当する。
ギヤハウジング60は樹脂成型されて構成されており、モータハウジング20の先端側に設けられている。ギヤハウジング60内には、第1中間シャフト61が、出力軸22を延ばすように同軸的に配置され、軸受63により回転可能に支承されている。第1中間シャフト61の後端は出力軸22と連結している。第1中間シャフト61の先端には第4ギヤ61Aが設けられている。また、ギヤハウジング60内には、出力軸21と平行に第2中間シャフト72が、軸受72Bによってその軸心を中心に回転可能に支承されている。
第2中間シャフト72の後端部には、第4ギヤ61Aと噛合する第5ギヤ71が同軸固定されている。第2中間シャフト72の先端側にはギヤ部72Aが形成され、後述する第6ギヤ73と噛合している。ギヤハウジング60内であって第2中間シャフト72の上方の位置には、シリンダ74が設けられている。シリンダ74は第2中間シャフト72と平行に延びて回転可能に支承されている。第6ギヤ73はシリンダ74の外周に固定され、上述したギヤ部72Aとの噛合により、シリンダ74はその軸心を中心として回転可能である。
シリンダ74の先端側には工具保持部15が設けられており、後述の先端工具2が着脱自在に取付けられる。第2中間シャフト72の中間部分には、バネによって後端側へ付勢されるクラッチ76がスプライン係合されており、クラッチ76は、ギヤハウジング60に設けられた図示せぬチェンジレバによってハンマドリル・モードとドリルモードとを切換え可能である。クラッチ76の電動モータ21側には、回転運動を往復運動に変換する運動変換部80が第2中間シャフト72に回転可能に外装されている。運動変換部80の腕部80Aは、第2中間シャフト72の回転により穿孔工具1の前後方向に往復動作可能に設けられている。
シリンダ74内にはピストン82が設けられている。ピストン82は、第2中間シャフト72と平行な方向に往復運動可能且つシリンダ74内で摺動可能に装着されている。ピストン82内には打撃子83が内装されており、シリンダ74内であってピストン82と打撃子83の間には空気室84が画成される。打撃子83の空気室側の反対位置には、中間子85がシリンダ74内にピストン82の運動方向に摺動可能に支承されている。中間子85の打撃子側反対位置には、図示せぬ先端工具2が位置している。よって打撃子83は中間子85を介して先端工具2を打撃可能である。
クラッチ76がハンマドリル・モードに切換えられているときには、クラッチ76により第2中間シャフト72と運動変換部80とが結合している。運動変換部80は、ピストンピン81を介して、シリンダ74内に設けられたピストン82と連動するように接続されるように構成されている。
先端工具2はドリルビットであり、その先端部に図1に示すようにドリル2Aを有しており、回転及びその軸方向へ往復動することにより図示せぬ被穿孔材に対して穿孔する。先端工具2は、工具保持部15に対して着脱可能であり、交換可能である。また、交換可能な先端工具2は、穿孔工具1を製造しているメーカー純正のものだけでも、長手方向における長さが90mm程度のものから450mm程度のものまでといった具合に様々であり、また、先端がドリル2Aとなっておらず他の形状となっているものもある。しかし、先端工具2のメーカー純正の先端工具2であれば、いずれを取り付けた場合であっても、ハウジングの後端部から先端部へと向かう方向におけるギヤハウジング60の先端部60Aから先端工具2の先端までの領域は、有効測定範囲内にある。工具保持部15に着脱可能な先端工具2であって長手方向における長さが最大のものを工具保持部15に装着したときに、ハウジングの後端部から先端部へと向かう方向におけるギヤハウジング60の先端部60Aから先端工具2の先端までの距離をLbとする。
次に、図4を用いて、マイコン110を含む制御回路部と、インバータ回路部102及び電動モータ21の回路構成について説明する。制御回路部は、スイッチ操作検出回路111と、印加電圧設定回路112と、距離深さ設定回路113と、原点位置設定回路114と、回転子位置検出回路115と、穴深さ制御機能オン・オフボタン116と、制御信号出力回路119と、増幅回路Aと、増幅回路Bと、を備えている。
スイッチ操作検出回路111は、トリガ13の押込の有無を検出し、マイコン110へ出力する。印加電圧設定回路112は、トリガ13から出力された目標値信号に応じて、インバータ回路部102のスイッチング素子Q1〜Q6を駆動するためのPWM駆動信号のPWMデューティを設定し、マイコン110へ出力する。
穴深さ制御機能オン・オフボタン116はマイコン110に接続されている。穴深さ制御機能オン・オフボタン116を切換えることにより、後述の穴深さ設定ボタン117により設定された穴の深さで穿孔を行うか、当該設定された穴の深さに係らず穿孔を行うか、の切換えを行うことができる。
距離深さ設定回路113には、穿孔しようとする穴の深さに設定を行うための穴深さ設定ボタン117が接続されている。原点位置設定回路114には、穿孔しようとする穴に対する原点位置に穿孔工具1をセットしたときに押圧することで原点位置の設定を行うための原点位置設定ボタン118が接続されている。
回転子位置検出回路115は、ホールIC21Aから出力された回転位置検出信号に基づいて電動モータ21のロータの回転位置を検出し、マイコン110へ出力する。増幅回路A及び増幅回路Bには、距離センサ14が接続されている。
マイコン110は、印加電圧設定回路112からの出力に基づいてPWMデューティーの目標値を算出する。また、回転子位置検出回路115からの出力に基づいて、適切に通電するステータ巻線を決定し、出力切替信号H1〜H3およびPWM駆動信号H4〜H6を生成する。PWM駆動信号H4〜H6はPWMデューティーの目標値の大きさに基づいてデューティー幅が決定されて出力される。制御信号出力回路119は、マイコン110で生成された出力切替信号H1〜H3及びPWM駆動信号H4〜H6をインバータ回路部102に出力する。
インバータ回路部102には、商用電源201からの交流電力が整流回路101を介して給電される。インバータ回路部102では、出力切替信号H1〜H3およびPWM駆動信号H4〜H6に基づきスイッチング素子が駆動されて、通電されるステータ巻線が決定される。さらにPWM駆動信号はPWMデューティーの目標値でスイッチングされている。これにより、電動モータ21の三相のステータ巻線(U、V、W)に電気角120度の三相交流電圧が順に印加されることとなる。
増幅回路Aでは、距離センサ14から出力された電圧を第1の増幅率で増幅可能である。また、増幅回路Bでは、距離センサ14から出力された電圧を第1の増幅率よりも大きな第2の増幅率で増幅可能である。増幅回路A及び増幅回路Bにおいては、穿孔工具1の動作時に常時電圧が増幅され出力される。また、マイコン110により構成されている演算部は、図6に示すように、読取可能な電圧の上限値Vmaxと下限値Vminとを有しており、この範囲内のみ電圧値を読取れるように構成されている。増幅回路Aは第1電圧増幅手段に相当し、増幅回路Bは第2電圧増幅手段に相当する。
増幅回路Aにより増幅され出力された電圧は、図6において曲線Vaで示されている。増幅回路Bにより増幅され出力された電圧は、図6において曲線Vbで示されている。上限値Vmaxと下限値Vminとの間に位置しているVaの部分であって、所定の誤差の範囲内で電圧値に対する距離を測定可能な距離の範囲は、LA1以上LA2以下である。上限値Vmaxと下限値Vminとの間に位置しているVbの部分であって、所定の誤差の範囲内で電圧値に対する距離を測定可能な距離の範囲は、LB1以上LB2以下である。マイコン110(図4)は、後述のようにVa、Vbのうちのいずれか一方を選択して当該選択した電圧値に基づいて、図示せぬ被穿孔材と距離センサ14との間の距離を判断する。即ち、増幅回路Aと増幅回路Bとを用いることにより、図6に示すように、距離センサ14からの距離がLA1以上LB2以下となる範囲において、所定の誤差の範囲内で距離の測定を可能とすることができるように構成されている。
以上の構成の穿孔工具1の電動モータ21の駆動時には、電動モータ21の回転出力は第1中間シャフト61、第4ギヤ61A、及び第5ギヤ71を介して第2中間シャフト72に伝わる。第2中間シャフト72の回転は、ギヤ部72Aと第6ギヤ73との噛合によりシリンダ74に伝わり、図示せぬ先端工具2に回転力が伝えられる。クラッチ76をハンマドリル・モードに移動させると、クラッチ76が運動変換部80と結合し、第2中間シャフト72の回転駆動力が運動変換部80に伝わる。運動変換部80では回転駆動力がピストンピン81を介してピストン82の往復運動に変換される。ピストン82の往復運動により打撃子83とピストン82との間に画成された空気室84中の空気の圧力は上昇及び低下を繰り返し、打撃子83に打撃力を付与する。打撃子83が前進して中間子85の後端面に衝突し、中間子85を介して打撃力が図示せぬ先端工具2に伝達される。このようにしてハンマドリル・モードでは図示せぬ先端工具2に回転力と打撃力が同時に付与される。
クラッチ76がドリルモードにあるときは、クラッチ76は第2中間シャフト72と運動変換部80との接続を断ち、第2中間シャフト72の回転駆動力のみがギヤ部72A、第6ギヤ73を介してシリンダ74に伝達される。よって、図示せぬ先端工具2には回転力のみが付与される。
穿孔時のマイコン110の制御は次のように行われる。先ずトリガ13が操作されてオンになったか否かの判断を行う(S1)。トリガ13がオンになっていなければ(S1:NO)、使用者による原点位置設定ボタン118の押圧により原点位置の設定を行い(S10)、使用者による穴深さ設定ボタン117の押圧により距離の設定値の記憶を行い(S11)、トリガ13が操作されてオンになったか否かの判断を行う(S1)。
トリガ13が操作されてオンになっていれば(S1:YES)、モータ起動開始し(S2)、Va及びVbをマイコン110が検出する(S3)。次に、VbがVmaxよりも小さいか否かの判断を行う(S4)。VbがVmaxよりも小さければ(S4:YES)、次に、VbがVminよりも大きいか否かの判断を行う(S5)。VbがVminよりも大きければ(S5:YES)、Vbに対応する、図示せぬ被穿孔材と距離センサ14との間の距離を判断する(S6)。次に、判断した距離が、S11において設定し記憶した距離へ到達したか否かの判断を行う(S7)。判断した距離が、S11において設定し記憶した距離へ到達していれば(S7:YES)、モータを停止させる(S8)。
S4においてVbがVmaxよりも小さくなければ(S4:NO)、次に、VaがVmaxよりも小さいか否かの判断を行う(S12)。VaがVmaxよりも小さければ(S12:YES)、次に、VaがVminよりも大きいか否かの判断を行う(S13)。VaがVminよりも大きければ(S13:YES)、次に、Vaに対応する、図示せぬ被穿孔材と距離センサ14との間の距離を判断し(S14)、次に、判断した距離が、S11において設定し記憶した距離へ到達したか否かの判断を行う(S7)。判断した距離が、S11において設定し記憶した距離へ到達していれば(S7:YES)、モータを停止させる(S8)。
S5においてVbがVminよりも大きくなければ(S5:NO)、次に、VaがVmaxよりも小さいか否かの判断を行う(S12)。VaがVmaxよりも小さければ(S12:YES)、次に、VaがVminよりも大きいか否かの判断を行う(S13)。VaがVminよりも大きければ(S13:YES)、次に、Vaに対応する、図示せぬ被穿孔材と距離センサ14との間の距離を判断し(S14)、次に、判断した距離が、S11において設定し記憶した距離へ到達したか否かの判断を行う(S7)。判断した距離が、S11において設定し記憶した距離へ到達していれば(S7:YES)、モータを停止させる(S8)。
S12においてVaがVmaxよりも小さくなければ(S12:NO)、次に、トリガ13がオフになっているか否かの判断を行う(S15)。同様に、S13においてVaがVminよりも大きくなければ(S13:NO)、次に、トリガ13がオフになっているか否かの判断を行う(S15)。トリガ13がオフになっている場合には(S15:YES)、トリガ13が操作されてオンになったか否かの判断を再び行う(S1)。トリガ13がオフになっていない場合には(S15:NO)、再びVa及びVbをマイコン110が検出する(S3)。
S7において、判断した距離が、S11において設定し記憶した距離へ到達していなければ(S7:NO)、次に、トリガ13がオフになっているか否かの判断を行う(S15)。トリガ13がオフになっている場合には(S15:YES)、トリガ13が操作されてオンになったか否かの判断を再び行う(S1)。トリガ13がオフになっていない場合には(S15:NO)、再びVa及びVbをマイコン110が検出する(S3)。
S8におけるモータの停止後には、トリガが操作されオフになっているか否かの判断を行う(S9)。トリガが操作されてオフになっている場合には(S9:YES)、トリガ13が操作されオンになったか否かの判断を再び行う(S1)。トリガがオフになっていない場合には(S9:NO)、トリガが操作されオフになっているか否かの判断を再び行う(S9)。
上述のように距離センサ14と、増幅回路Aと、増幅回路Bと、マイコン110と、を備えるため、先端工具2には短いものや長いものがあるが、短い先端工具2が取り付けられ距離センサ14から図示せぬ被穿孔材の表面までの距離が短い場合であっても、長い先端工具2が取り付けられ距離センサ14から図示せぬ被穿孔材の表面までの距離が長い場合であっても、場合に応じて、第1の増幅率により増幅されて得られた電圧に基づいて、又は第2の増幅率により増幅されて得られた電圧に基づいて、距離センサ14から図示せぬ被穿孔材の表面までの距離の判断を行うことができる。
また、マイコン110は読取可能な電圧の上限値及び下限値を有し、第1の増幅率で増幅されて得られた電圧が上限値と下限値との間の値を有する場合には、第1の増幅率により増加されて得られた電圧に基づいて距離センサ14から図示せぬ被穿孔材の表面までの距離を判断するため、短い先端工具2が取り付けられ距離センサ14から図示せぬ被穿孔材の表面までの距離が短い場合であっても、長い先端工具2が取り付けられ距離センサ14から図示せぬ被穿孔材の表面までの距離が長い場合であっても、第1の増幅率により増幅されて得られた電圧、又は第2の増幅率により増幅されて得られた電圧を、マイコン110の読取可能な電圧の上限値と下限値との間の値を有するようにすることができ、所定の誤差の範囲内で距離センサ14から図示せぬ被穿孔材の表面までの距離の測定を行うことができる。従って、2つの異なる増幅率でセンサ出力を増幅することにより、1つの増幅率だけでセンサ出力を増幅する場合に比べて、測定距離の範囲を広くとることが可能となる。
距離センサ14は、ハウジングの後端部から先端部へと向かう方向において所定の領域をなし図示せぬ被穿孔材の表面が所定の領域内に位置しているときには所定の誤差の範囲内で距離センサ14から図示せぬ被穿孔材の表面までの距離の測定が可能な有効測定範囲を有し、各増幅率で増幅されて得られた電圧の範囲であって上限値と下限値との間となる電圧の範囲に対応する距離センサ14から図示せぬ被穿孔材の表面までの距離の範囲は、有効測定範囲内においてそれぞれ異なる領域LA1〜LA2、LB1〜LB2をなし、異なる領域LA1〜LA2、LB1〜LB2の総和LA1〜LB2は有効測定範囲Luを含むため、距離センサ14の有効測定範囲Lu内の全領域において、所定の誤差の範囲内で距離センサ14から図示せぬ被穿孔材の表面までの距離の測定を行うことができる。
増幅回路A、増幅回路Bは第1の増幅率、第2の増幅率でそれぞれ電圧を常時増幅するため、マイコン110は、2つの増幅率で増幅されて得られた電圧を選択することができ、構成を複雑にせずに済み、距離の出力のための処理に時間が係ることを極力抑えることができる。
ハウジングの後端部から先端部へと向かう方向におけるハウジングの先端から先端工具2の先端までの領域は、取り付け可能な全ての先端工具2について有効測定範囲内にあるため、取り付け可能な全ての先端工具2について、所定の誤差の範囲内で距離センサ14から図示せぬ被穿孔材の表面までの距離の測定を行うことができる。
本発明の穿孔工具は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、本実施の形態では、増幅回路A、増幅回路Bの二つの回路を有していたが、二つに限定されず、複数の増幅回路が設けられていればよい。
また、使用時には、常時増幅回路A、増幅回路Bの二つの回路は電圧の増幅を行っていたが、常時行わず、どちらか一方の増幅回路を選択して増幅を行うようにしてもよい。
また、本実施の形態では穿孔工具1はロータリーハンマドリルであったが、ロータリーハンマドリルに限定されない。被穿孔材に対して穿孔する工具であればよい。
本発明のハンマドリルは、被穿孔材に対して先端工具によって所望の深さまで穿孔する穿孔工具の分野において特に有用である。
1・・・穿孔工具 2・・・先端工具 10・・・ハンドル部 10C・・・把持部 14・・・距離センサ 14B・・・弾性部材 15・・・工具保持部 20・・・モータハウジング 21・・・電動モータ 22・・・出力軸 22A・・・軸流ファン 20a・・・エア流路 60・・・ギヤハウジング 60A・・・ギヤハウジングの先端部 110・・・マイコン A、B・・・増幅回路

Claims (5)

  1. 先端部と後端部とを有し、被穿孔材に対して穿孔する先端工具を該先端部に取り付け可能なハウジングと、
    該ハウジングに収容された動力発生源と、
    該動力発生源により発生した動力を該先端工具に伝達する動力伝達部と、
    該ハウジングに設けられ該被穿孔材の表面までの距離に対応する電圧を出力可能な距離センサと、
    第1の増幅率で該電圧を増幅可能な第1電圧増幅手段と、
    第2の増幅率で該電圧を増幅可能な第2電圧増幅手段と、
    該第1電圧増幅手段又は該第2電圧増幅手段により増幅された該電圧を読取り、該距離センサから該被穿孔材の表面までの距離を該電圧に基づいて判断する判断手段と、を備えることを特徴とする穿孔工具。
  2. 該判断手段は読取可能な該電圧の上限値及び下限値を有し、該第1の増幅率で増幅されて得られた該電圧が該上限値と該下限値との間の値を有する場合には、該第1の増幅率により増加されて得られた該電圧に基づいて該距離センサから該被穿孔材の表面までの距離を判断することを特徴とする請求項1記載の穿孔工具。
  3. 該距離センサは、該ハウジングの後端部から先端部へと向かう方向において所定の領域をなし該被穿孔材の表面が該所定の領域内に位置しているときには所定の誤差の範囲内で該距離センサから該被穿孔材の表面までの距離の測定が可能な有効測定範囲を有し、
    各該増幅率で増幅されて得られた該電圧の範囲であって該上限値と該下限値との間となる該電圧の範囲に対応する該距離センサから該被穿孔材の表面までの距離の範囲は、該有効測定範囲内においてそれぞれ異なる領域をなし、該異なる領域の総和は該有効測定範囲を含むことを特徴とする請求項2記載の穿孔工具。
  4. 該電圧増幅手段は2つの該増幅率で該電圧を常時増幅することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の穿孔工具。
  5. 該ハウジングの後端部から先端部へと向かう方向における該ハウジングの先端から該先端工具の先端までの領域は、取り付け可能な全ての該先端工具について該有効測定範囲内にあることを特徴とする請求項記載の穿孔工具。
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