JP5494943B2 - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents
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Description
可変動弁装置には、エンジンで多く採用されているマルチバルブ(一対の吸気バルブ、一対の排気バルブ)のバルブ間の位相を可変させて、マルチバルブの開いている期間を変更させる構造がある。例えば特許文献1,2のような一対の吸気バルブまたは一対の排気バルブを駆動する一対のカムのうち、一方のカムに対し他方のカムの位相を可変する装置が提案されている。
ところが、引用文献1,2のベーン式のアクチュエータ(第2位相制御機構)は、カムシャフトとは反対側からカムシャフト中心にねじ込まれるボルト部材で、ベーンをインナカムシャフトに固定したり、カムシャフトとは反対側からねじ込まれるボルト部材で、アクチュエータの本体各部を固定したりする構造が開示されているだけである。つまり、ベーンハウジングをアウタカムシャフトに固定する構造は見当たらず、ベーンハウジングとアウタカムシャフトとについては、別途、他の固定手段を用いて、ベーンハウジングをアウタカムシャフトに固定することになる。
そこで、本発明の目的は、簡単な構造で、ベーン式のアクチュエータがアウタカムシャフト、インナカムシャフトに固定できる内燃機関の可変動弁装置を提供することにある。
請求項4に記載の発明は、さらに既存の部品を流用して、奇数個のベーン室をもつアクチュエータの回転バランスが確保されるよう、固定ボルト部材と第2ボルト部材との双方が通る仕切りハウジング部分に対し、対角に配置されるベーンに、ベーンの動きを規制するロックピンを設け、仕切りハウジング部分とバランスさせることとした。
したがって、ベーン式のアクチュエータは、アウタカムシャフト、インナカムシャフトに別々に固定される部品であるが、いずれも同一方向からの簡単なねじ作業で取り付けやメンテナンスのための取り外しが行えることから、アクチュエータの取付性、メンテナンス性の向上が図れる。しかも、アクチュエータの本体は、第1、第2ボルト部材とは反対側からねじ込まれる固定ボルト部材により一体化することで、単品部品として取り扱いやすくなり、第1、第2ボルト部材による固定を含め、取扱性が向上する。
請求項3の発明によれば、第2ボルト部材の略線対称なる配置により、アクチュエータの回転バランスは確保しやすい。
図1は内燃機関、例えば複数気筒のレシプロエンジン(以下、単にエンジンという)の平面を示し、図2は図1中のI−I線に沿う断面を示していて、同図中1は同エンジンのシリンダブロック、2は同シリンダブロック1の頭部に搭載されたシリンダヘッドを示している。
シリンダヘッド2の下面には、各気筒3に対応してそれぞれ燃焼室5が形成されている。各燃焼室5には、吸気を行なう一対の吸気ポート7(2個)、排気を行なう一対の排気ポート(図示しない)が開口している。各吸気ポート7には、ステム端にそれぞれタペット9が装着された一対の吸気バルブ10(2個)が設けられている。そして、各タペット9の上面がシリンダヘッド2の上部に臨んでいる。各排気ポート(図示しない)には、同様に一対の排気バルブ(いずれも図示しない)が設けられ、同様に、バルブ基端部がシリンダヘッド2の上部に臨んでいる。これら吸気バルブ10、排気バルブ(図示しない)にて、吸気ポート7、排気ポート(図示しない)が開閉される。さらに各燃焼室5には、図示はしないが点火プラグがそれぞれ設けられる。
すなわちカムシャフト14のシャフト部材は、パイプ部材で構成されたアウタカムシャフト17a内に、制御部材をなす軸部材で構成されたインナカムシャフト17bを回動可能に収めた二重シャフト17で形成される。この二重シャフト17も排気側のカムシャフト13と同様、気筒3が並ぶ方向に沿って配置される。この二重シャフト17のうちの一方の端部となるアウタカムシャフト17aの一方の端部は、アウタカムシャフト17a端に取り付けられたカムピース37を介して、シリンダヘッド2の端側に設置されている軸受部18aに回動自在に支持される。またアウタカムシャフト17aの中間部は、タペット9,9間に設置されている中間の軸受部18bに回転自在に支持される。これで、両シャフト17a,17b共、同一軸心を中心に回転できるようにしている。なお、アウタカムシャフト17aとインナカムシャフト17bとの間は、クリアランスを有する構造にすることで、相対変位可能となっている。
すなわち、基準側となる固定カム20は、例えば左側のタペット9と対応したアウタカムシャフト17aの外周部分に設けられている。具体的には固定カム20は、板カムで形成され、アウタカムシャフト17aの外側に嵌めることにより固定してある。この固定カム20のカム面が左側のタペット9と当接し、固定カム20のカム変位が左側の吸気バルブ10aに伝わる。
ベーン30は、胴部28の中央の空間に回動自在に収まる円形な軸部30aを有している。これで、凹部26、端壁部29および軸部30aで囲まれる部位に、例えば遅角室をなす3つのベーン室32を形成している。ベーン30は、この軸部30aの外周面から等間隔で放射状に延び各ベーン室32内に突き出て、各ベーン室32内をそれぞれ仕切っている。ベーン30のうちの一つには、各ベーン30の動きを規制するための油圧作動式のロックピン30bが突没可能に組み込んである。同構造から本体25aを構成している。
これで、本体25aは、カムシャフト14の中心の周りに、3つのベーン30、ベーン室32が配置された構造で、同本体25aの一側部、ここでは右側の端壁部29を、アウタカムシャフト端が取り付くアウタカムシャフト取付部としている。さらに軸部30aの右端部の中心部分は、右側の端壁部29中央に形成した開口部29aから外部に臨み、インナカムシャフト17bに取り付くインナカムシャフト取付部としている。
特に、バランスの確保が難しいとされる3つのベーン室30をもつアクチュエータ25は、2本の固定ボルト34、2本の取付ボルト39bを用い、ベーンハウジング27の1つの仕切り部分28cに、固定ボルト34の1本と取付ボルト39bの1本との両方を通し、残るうちの1つの仕切り部分28bに、残る1本の固定ボルト34を通し、残る仕切り部分28aに残る1本の取付ボルト39bを通し、仕切り部分28cと対角に配置されるベーン30にロックピン30bを配置する構造にすると、アクチュエータ25の単体部品では回転バランスは乱れるものの、アクチュエータ25をカムシャフト14に取り付けると、その時点から各部のバランスが採れる構造となり、アクチュエータ25全体の回転バランスが満たせる。つまり、最少のボルト数、さらには既存の部品の流用で、容易に3つのベーン室30をもつアクチュエータ25の回転バランスを確保することができる。本実施形態では、高い精度の回転バランスを確保するために、ベーン30の大きさを変えたり、ベーン30に重さ抜き用の孔部31を形成したりしている(重量配分の変更)。
15 可変動弁装置
17a アウタカムシャフト
17b インナカムシャフト
20 固定カム(第1カム)
22a カム山部(第2カム)
25 ベーン式のアクチュエータ
25a 本体
27 ベーンハウジング
28a〜28c 仕切り部分(仕切りハウジング部分)
30 ベーン
30b ロックピン
32 ベーン室
34 固定ボルト(固定ボルト部材)
39a 取付ボルト(第1ボルト)
39b 取付ボルト(第2ボルト)
Claims (5)
- 外周部に第1カムと当該第1カムを基準に周方向に変位可能な第2カムとを有するアウタカムシャフト内にインナカムシャフトを回動可能に収めて構成されるカムシャフトと、
前記カムシャフトの端部に設けられ、前記アウタカムシャフトと前記インナカムシャフトとを相対変位させ前記第1カムを基準に前記第2カムの位相を変更させるベーン式のアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータは、前記カムシャフトの中心の周りに配置された複数のベーン室を有するベーンハウジングと、前記カムシャフトの中心側から放射状に延びて前記ベーン室内を仕切るベーンと含んで構成される本体を有し、
前記本体は、前記カムシャフト側からねじ込まれる固定ボルト部材により一体化され、
前記アクチュエータの前記カムシャフトとは反対側から、前記カムシャフトの中心へ向ってねじ込まれ前記ベーンを前記インナカムシャフトに固定する第1ボルト部材と、
前記アクチュエータの前記カムシャフトとは反対側から、前記カムシャフトの中心から離れた部位へねじ込まれ前記ベーンハウジングを前記アウタカムシャフトに固定する第2ボルト部材とを有し、
前記一体化された本体が、前記第1ボルト部材、前記第2ボルト部材にてそれぞれ前記インナカムシャフトおよび前記アウタカムシャフトに固定される
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。 - 前記ベーンハウジングは、前記複数のベーン室の間を仕切る仕切りハウジング部分をそれぞれ有し、
同一の仕切りハウジング部分に、前記カムシャフト側からの固定ボルト部材と前記カムシャフトとは反対側からの第2ボルト部材との双方が通る
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。 - 前記第2ボルト部材は、前記カムシャフトの回転軸中心に対し、複数本が略同一半径でかつ、略線対称に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 前記ベーンハウジングは、奇数個のベーン室を有し、
前記ベーン室内を仕切るベーンは、当該ベーンの動きを規制するロックピンを有し、
前記隣り合うベーン室の間を仕切る同一の仕切りハウジング部分に、前記固定ボルト部材と前記第2ボルト部材との双方が通り、
当該第2ボルト部材と固定ボルト部材との双方が通る仕切りハウジング部分と対角に配置されるベーンに、当該仕切りハウジング部分に対しバランスさせるように前記ロックピンが設けられる
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の内燃機関の可変動弁装置。 - 前記ベーンハウジングのベーン室は、3個であり、隣り合うベーン室の間はそれぞれ仕切りハウジング部分で仕切られ、
前記ベーン室内を仕切るベーンは、当該ベーンの動きを規制するロックピンを有し、
前記アクチュエータは、前記ベーンハウジングおよび前記ベーンを含んで構成される本体を有するとともに、当該本体の各部が、カムシャフト側からねじ込まれる2本の固定ボルト部材により一体化され、
当該一体化された本体が、1本の第1ボルト部材、2本の第2ボルト部材にて前記カムシャフトとは反対側から前記アウタカムシャフトおよび前記インナカムシャフトに固定され、
前記3つの仕切りハウジング部分の1つに、前記固定ボルト部材の1本と前記第2ボルト部材の1本とが通り、
残る一方の仕切りハウジング部分に、残る1本の固定ボルト部材が通り、他方の仕切りハウジング部分に、残る1本の第2ボルト部材が通り、
前記固定ボルト部材と前記第2ボルト部材とが通る仕切りハウジング部分と対角に配置されるベーンに、前記ロックピンが配置され、
前記アクチュエータが前記カムシャフトに取り付けられたとき、当該アクチュエータ全体の回転バランスが満たせるようにしてある
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
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