以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態による作業機械の駆動装置の構成について説明する。
この第1実施形態による作業機械の駆動装置は、クレーンやショベル等の作業機械に設けられ、その作業機械の作業用アタッチメントを駆動するためのものである。
この第1実施形態による作業機械の駆動装置は、エンジン2と、動力分配装置4と、メイン油圧ポンプ6と、作業用油圧モータ8と、作業用圧油供給回路10と、発電機16と、バッテリ18と、補助ポンプ用電動機20と、補機用電動機22と、コンバータ24と、補助ポンプ用インバータ26と、補機用インバータ28と、補助油圧ポンプ30と、補給配管31と、補給配管チェック弁32と、背圧チェック弁33と、配管34と、パイロット圧用ポンプ35と、操作装置36と、操作状態検出装置38と、パイロット圧供給回路40と、パイロット圧供給配管41と、リリーフ弁44と、コントローラ46とを備えている。
エンジン2は、動力の出力軸(図示せず)を有しており、その出力軸が動力分配装置4の動力の入力側に接続されている。動力分配装置4は、エンジン2の動力をメイン油圧ポンプ6、パイロット圧用ポンプ35及び発電機16にそれぞれ分配する。
メイン油圧ポンプ6は、エンジン2の動力を受けて作動し、圧油を吐出するものである。このメイン油圧ポンプ6は、動力分配装置4の動力の出力側に接続された入力軸6aを有する。動力分配装置4によって分配されるエンジン2の動力は、この入力軸6aに入力される。メイン油圧ポンプ6は、可変容量型の油圧ポンプであり、圧油の吐出口6bを有する。
作業用油圧モータ8は、圧油の供給を受けて作業用アタッチメント100を駆動するものである。この作業用油圧モータ8は、本発明の作業用アクチュエータの概念に含まれるものである。作業用油圧モータ8は、いずれにも圧油の供給が可能な第1供給口8a及び第2供給口8bを有しており、それら両供給口8a,8bのうち圧油が供給された供給口に対応する向きに作業用アタッチメント100を駆動する。具体的には、作業用油圧モータ8は、第1供給口8aに圧油が供給されることによって作業用アタッチメント100を一方向に駆動し、第2供給口8bに圧油が供給されることによって作業用アタッチメント100を他方向に駆動する。
作業用圧油供給回路10は、メイン油圧ポンプ6に接続されており、そのメイン油圧ポンプ6から吐出される圧油を作業用油圧モータ8へ供給する油圧回路である。この作業用圧油供給回路10は、コントロールバルブ52と、供給配管53と、供給配管用チェック弁54と、配管55と、第1連通配管56と、第2連通配管57と、連結配管58と、接続配管59と、戻り油用配管60と、第1チェック弁61aと、第2チェック弁61bと、第1リリーフ弁62aと、第2リリーフ弁62bとを含む。
コントロールバルブ52は、メイン油圧ポンプ6から吐出される圧油を作業用油圧モータ8の両供給口8a,8bのうち操作装置36による作業用アタッチメント100の操作方向に応じた一方の供給口へ流す。
具体的には、コントロールバルブ52は、供給配管53を介してメイン油圧ポンプ6の吐出口6bと接続されている。供給配管53には、供給配管用チェック弁54が設けられている。また、供給配管53のうち供給配管用チェック弁54が設けられた部位よりもメイン油圧ポンプ6寄りの部位とコントロールバルブ52とが配管55を介して接続されている。また、コントロールバルブ52は、第1連通配管56を介して作業用油圧モータ8の第1供給口8aと接続され、第2連通配管57を介して作業用油圧モータ8の第2供給口8bと接続されている。
第1連通配管56と第2連通配管57は、連結配管58を介して互いに連結されている。連結配管58には、第1チェック弁61aと第2チェック弁61bが設けられている。連結配管58のうち第1チェック弁61aと第2チェック弁61bの間の部分から第1連通配管56へ第1チェック弁61aをバイパスするように第1リリーフ弁62aが設けられている。また、連結配管58のうち第1チェック弁61aと第2チェック弁61bとの間の部分から第2連通配管57へ第2チェック弁61bをバイパスするように第2リリーフ弁62bが設けられている。そして、連結配管58のうち第1チェック弁61aと第2チェック弁61bの間の部分は、接続配管59を介してコントロールバルブ52と接続されている。また、コントロールバルブ52には、タンクTに繋がる戻り油用配管60が接続されている。
また、コントロールバルブ52は、いずれにもパイロット圧の供給が可能な第1ポート52a及び第2ポート52bを備えている。第1ポート52aは、作業用油圧モータ8の第1供給口8aに対応しており、第2ポート52bは、作業用油圧モータ8の第2供給口8bに対応している。そして、コントロールバルブ52は、供給配管53と第1連通配管56及び第2連通配管57との間の圧油の流通を遮断し、供給配管53から配管55を通じて接続配管59への圧油の流通を許容する中立状態52cと、供給配管53から第1連通配管56への圧油の流通を許容するとともに第2連通配管57から戻り油用配管60への圧油の流通を許容し、配管55から接続配管59への圧油の流通を遮断する第1連通状態52dと、供給配管53から第2連通配管57への圧油の流通を許容するとともに第1連通配管56から戻り油用配管60への圧油の流通を許容し、配管55から接続配管59への圧油の流通を遮断する第2連通状態52eとの間で切替可能となっている。
操作装置36が操作されていない作業用アタッチメント100の待機状態では、コントロールバルブ52は、中立状態52cに保持されている。そして、作業用アタッチメント100を一方向へ動かすために操作装置36が操作されて第1ポート52aにパイロット圧が供給されると、コントロールバルブ52は、第1連通状態52dに切り替えられ、作業用アタッチメント100を他方向へ動かすために操作装置36が操作されて第2ポート52bにパイロット圧が供給されると、コントロールバルブ52は、第2連通状態52eに切り替えられる。
発電機16、バッテリ18、補助ポンプ用電動機20及び補機用電動機22は、互いに電気的に接続されている。
発電機16は、動力の入力軸16aを有しており、この入力軸16aは動力分配装置4の動力の出力側に接続されている。発電機16は、動力分配装置4によって分配されるエンジン2の動力を受けて作動し、発電を行う。
バッテリ18は、発電機16によって発電された電力を蓄電する一方、蓄電した電力を補助ポンプ用電動機20及び補機用電動機22に供給する。なお、このバッテリ18は、本発明の蓄電装置の概念に含まれるものである。
補助ポンプ用電動機20は、発電機16及びバッテリ18と電気的に接続されている。この補助ポンプ用電動機20は、発電機16とバッテリ18のうち少なくとも一方から供給される電力によって駆動されて補助油圧ポンプ30を駆動する。この補助ポンプ用電動機20は、本発明の電動機の概念に含まれるものである。
補機用電動機22は、発電機16及びバッテリ18と電気的に接続されている。この補機用電動機22は、発電機16とバッテリ18のうち少なくとも一方から供給される電力によって駆動されて補機102を駆動する。補機102は、例えば、作業機械の運転室内に設けられる空調機等である。
コンバータ24は、発電機16とバッテリ18との間の電気の伝達経路に設けられている。コンバータ24は、バッテリ18と電力の授受を行い、発電機16を制御するものである。
補助ポンプ用インバータ26は、バッテリ18と補助ポンプ用電動機20との間の電気の伝達経路に設けられている。この補助ポンプ用インバータ26は、バッテリ18と電力の授受を行い、補助ポンプ用電動機20を制御するものである。
補機用インバータ28は、バッテリ18と補機用電動機22との間の電気の伝達経路に設けられている。この補機用インバータ28は、バッテリ18と電力の授受を行い、補機用電動機22を制御するものである。
補助油圧ポンプ30は、補助ポンプ用電動機20によって駆動されて作業用圧油供給回路10へ圧油を供給するものである。この補助油圧ポンプ30は、固定容量型の油圧ポンプであり、メイン油圧ポンプ6の最大容量よりも小さい容量を有する。また、補助油圧ポンプ30は、圧油の吐出口30aを有する。この補助油圧ポンプ30の吐出口30aは、補給配管31を介して作業用圧油供給回路10の接続配管59に接続されている。これにより、補助油圧ポンプ30から吐出された圧油は、補給配管31を通じて接続配管59に供給される。
補給配管チェック弁32は、補給配管31に設けられている。この補給配管チェック弁32は、接続配管59側から補助油圧ポンプ30側への圧油の逆流を防止するものである。
背圧チェック弁33は、作業用圧油供給回路10のうち補助油圧ポンプ30から圧油が供給される接続配管59における油圧を設定圧力以上に維持するためのものである。この背圧チェック弁33は、本発明の作業用圧力維持部の概念に含まれる。背圧チェック弁33は、配管34と補給配管31のうち補給配管チェック弁32が設けられた部位よりも接続配管59側の部位とを介して接続配管59に接続されている。また、背圧チェック弁33は、配管34と反対側においてタンクTに接続されている。背圧チェック弁33は、配管34側の圧力が所定の設定圧(クラッキング圧)以上に上昇した場合に開状態となり、配管34側の圧力がその設定圧よりも低い場合には閉状態を維持する。配管34側の圧力が前記設定圧を超えて背圧チェック弁33が開状態になると、配管34から背圧チェック弁33を通じてタンクTへ圧油が逃がされる。換言すれば、配管34側の圧力(作業用圧油供給回路10の接続配管59における圧力)は、背圧チェック弁33の設定圧以上の圧力に維持される。
パイロット圧用ポンプ35は、エンジン2の動力を受けて作動し、コントロールバルブ52へ供給するパイロット圧用の圧油を吐出するものである。このパイロット圧用ポンプ35は、動力の入力軸35aを有している。この入力軸35aは、動力分配装置4の動力の出力側に接続されており、動力分配装置4によって分配されるエンジン2の動力は当該入力軸35aに入力される。また、パイロット圧用ポンプ35は、圧油の吐出口35bを有している。
操作装置36は、作業用アタッチメント100を操作するためのものである。この操作装置36は、操作レバー36aと、操作装置本体36bとを有する。
操作レバー36aは、オペレータが作業用アタッチメント100の動作方向及び動作速度を指示するために操作するものである。この操作レバー36aは、中立位置に対して一方側と他方側とに倒すことが可能なように操作装置本体36bに設けられている。操作レバー36aを中立位置から一方側へ倒すことによって作業用アタッチメント100の一方側への動作を指示可能であり、操作レバー36aを中立位置から他方側へ倒すことによって作業用アタッチメント100の他方側への動作を指示可能となっている。また、操作レバー36aの倒す量の増減によって、作業用アタッチメント100の動作速度の増減を指示できるようになっている。
操作状態検出装置38は、操作装置本体36bに付設されており、操作レバー36aが中立位置にあるか又は中立位置から傾倒されているかを検出することにより、操作装置本体36bによる作業用アタッチメント100の操作が待機状態であるか否かを検出するものである。この操作状態検出装置38は、その検出結果に応じた信号をコントローラ46へ出力する。
パイロット圧供給回路40は、パイロット圧用ポンプ35から吐出されたパイロット圧用の圧油をコントロールバルブ52の両ポート52a,52bのうち操作装置36によって指示された作業用アタッチメント100の操作方向に対応したポートへ流す油圧回路である。このパイロット圧供給回路40は、操作装置36の操作レバー36aが中立位置から前記一方側へ倒されることに応じてパイロット圧用ポンプ35からの圧油をコントロールバルブ52の第1ポート52aへ流し、操作装置36の操作レバー36aが中立位置から前記他方側へ倒されることに応じてパイロット圧用ポンプ35からの圧油をコントロールバルブ52の第2ポート52bへ流す。このパイロット圧供給回路40は、第1リモコン弁64と、第2リモコン弁65と、第1ポート接続配管66と、第2ポート接続配管67と、減圧弁68と、パイロット圧回路内接続配管69とを含む。
第1リモコン弁64は、第1ポート接続配管66を介してコントロールバルブ52の第1ポート52aに接続されており、第2リモコン弁65は、第2ポート接続配管67を介してコントロールバルブ52の第2ポート52bに接続されている。また、両リモコン弁64,65には、パイロット圧回路内接続配管69が接続されている。
減圧弁68は、パイロット圧回路内接続配管69に設けられており、このパイロット圧回路内接続配管69は、パイロット圧供給配管41を介してパイロット圧用ポンプ35の吐出口35bに接続されている。減圧弁68は、パイロット圧用ポンプ35からパイロット圧供給配管41を通じてパイロット圧供給回路40のパイロット圧回路内接続配管69に供給される圧油の圧力を所定の圧力に減圧する。
そして、第1リモコン弁64は、操作装置36の操作レバー36aが中立位置にあるとき及び前記他方側へ倒されたときにはパイロット圧回路内接続配管69から第1ポート接続配管66への圧油の流通を遮断する一方、操作レバー36aが前記一方側へ倒されたときにはその操作レバー36aの動作が操作装置本体36bから伝達されることによりパイロット圧回路内接続配管69から第1ポート接続配管66への圧油の流通を許容する状態となる。また、第2リモコン弁65は、操作装置36の操作レバー36aが中立位置にあるとき及び前記一方側へ倒されたときにはパイロット圧回路内接続配管69から第2ポート接続配管67への圧油の流通を遮断する一方、操作レバー36aが前記他方側へ倒されたときにはその操作レバー36aの動作が操作装置本体36bから伝達されることによりパイロット圧回路内接続配管69から第2ポート接続配管67への圧油の流通を許容する状態となる。また、両リモコン弁64,65は、操作レバー36aの傾倒量が増加するにつれてパイロット圧回路内接続配管69から対応するポート接続配管66,67への圧油の流通可能量を増加させる。
リリーフ弁44は、パイロット圧供給配管41に接続されており、このリリーフ弁44を介してパイロット圧供給配管41がタンクTに接続されている。リリーフ弁44は、パイロット圧用ポンプ35から吐出された圧油の圧力が当該リリーフ弁44の設定圧力を超えた場合にパイロット圧供給配管41からタンクTへ圧油を逃がす。
コントローラ46は、エンジン2の駆動制御、コンバータ24、補助ポンプ用インバータ26及び補機用インバータ28の制御を行うものである。そして、このコントローラ46は、操作装置36によって作業用アタッチメント100の操作が行われていない状態である待機状態のときに、エンジン2を停止させるとともに、バッテリ18から供給される電力によって補助ポンプ用電動機20を作動させて補助油圧ポンプ30を作動させる。
具体的には、コントローラ46は、操作状態検出装置38から送られてくる検出信号に基づいて作業用アタッチメント100が操作状態であるか又は待機状態であるかを判断する。すなわち、コントローラ46は、前記検出信号が操作レバー36aの傾倒操作を検出したことを表す信号である場合には作業用アタッチメント100が操作状態であると判断し、前記検出信号が操作レバー36aが中立位置にあることを検出したことを表す信号である場合には作業用アタッチメント100が待機状態であると判断する。そして、コントローラ46は、作業用アタッチメント100が待機状態であると判断した場合には、エンジン2の駆動を停止させてエンジン2をアイドルストップさせるとともに、補助ポンプ用インバータ26を制御することによりバッテリ18の電力によって補助ポンプ用電動機20を作動させる。これにより、補助ポンプ用電動機20によって補助油圧ポンプ30が作動する。一方、コントローラ46は、作業用アタッチメント100が操作状態であると判断した場合には、エンジン2を作動させるとともに、補助ポンプ用インバータ26を制御することにより補助ポンプ用電動機20の駆動を停止させる。これにより、補助油圧ポンプ30の駆動が停止する。
次に、図2及び図3に示すフローチャートに従って、この第1実施形態による作業機械の駆動装置の動作について説明する。本実施形態の作業機械の駆動装置では、図2及び図3に示す制御サイクルが繰り返し行われている。
具体的には、コントローラ46は、エンジン2の駆動状態(回転数)を監視しており、エンジン2がアイドルストップ状態であるか否かを判断する(ステップS1)。ここで、コントローラ46は、エンジン2がアイドルストップ状態であると判断した場合には、次に、作業用アタッチメント100が操作状態であるか否かを判断する(ステップS3)。この際、コントローラ46は、上記したように操作状態検出装置38から送られてくる検出信号に基づいて作業用アタッチメント100が操作状態であるか否かを判断する。
コントローラ46は、作業用アタッチメント100が操作状態であると判断した場合には、エンジン2を始動させ(ステップS5)、その後、補助ポンプ用インバータ26を制御して補助ポンプ用電動機20を駆動停止させる(ステップS7)。この状態では、メイン油圧ポンプ6が、動力分配装置4によって分配されるエンジン2の動力を受けて駆動され、作業用圧油供給回路10へ圧油を供給する。作業用圧油供給回路10では、コントロールバルブ52が、作業用油圧モータ8の両供給口8a,8bのうち操作レバー36aの傾倒方向に応じた供給口に前記メイン油圧ポンプ6から供給された圧油を第1連通配管56と第2連通配管57のうち対応するものを通じて流す。
作業用油圧モータ8は、その第1供給口8a又は第2供給口8bのうち前記圧油が供給された供給口に対応した向き、すなわち操作レバー36aの傾倒方向に応じた向きに回転して作業用アタッチメント100を操作レバー36aの傾倒方向に応じた向きに動作させる。また、コントロールバルブ52は、操作レバー36aの傾倒量の増減に応じて作業用油圧モータ8へ流す圧油の流量を増加させ、それによって作業用油圧モータ8の回転速度を増減して作業用アタッチメント100の動作速度を変化させる。
一方、コントローラ46は、前記ステップS3の判断において、作業用アタッチメント100が操作状態ではない、すなわち、作業用アタッチメント100が待機状態であると判断した場合には、次に、バッテリ18の蓄電量(SOC:State Of Charge)が設定値よりも大きいか否かを判断する(ステップS9)。ここで、コントローラ46は、バッテリ18の蓄電量が設定値よりも大きいと判断した場合には、エンジン2のアイドルストップ状態を継続させる(ステップS11)。一方、コントローラ46は、バッテリ18の蓄電量が設定値以下であると判断した場合には、前記ステップS5以降の処理を行う。この際、発電機16は、動力分配装置4によって分配されるエンジン2の動力を受けて作動し、発電を行う。この発電機16によって発電された電力は、バッテリ18に蓄電され、バッテリ18の蓄電量が増加する。
また、コントローラ46は、前記ステップS1の判断において、エンジン2がアイドルストップ状態ではないと判断した場合には、次に、バッテリ18の蓄電量(SOC)が設定値よりも大きいか否かを判断する(ステップS13)。ここで、コントローラ46は、バッテリ18の蓄電量が設定値よりも大きいと判断した場合には、次に、作業用アタッチメント100が待機状態であるか否かを判断する(ステップS15)。この際、コントローラ46は、前記ステップS3と同様、操作状態検出装置38から送られてくる検出信号に基づいて作業用アタッチメント100が待機状態であるか否かを判断する。
コントローラ46は、作業用アタッチメント100が待機状態であると判断した場合には、エンジン2を駆動停止(アイドルストップ)させ(ステップS17)、その後、補助ポンプ用インバータ26を制御してバッテリ18に蓄電されている電力により補助ポンプ用電動機20を起動させる(ステップS19)。これにより、補助ポンプ用電動機20によって補助油圧ポンプ30が駆動され、補助油圧ポンプ30から圧油が補給配管31を通じて作業用圧油供給回路10の接続配管59に供給される。この際、エンジン2がアイドルストップしていることから、メイン油圧ポンプ6は駆動停止している。また、操作装置36による作業用アタッチメント100が待機状態であるため、コントロールバルブ52は、中立状態52cとなっており、供給配管53から両連通配管56,57のうちの一方への圧油の流通及び両連通配管56,57のうちの他方から戻り油用配管60への圧油の流通が遮断されている。補助油圧ポンプ30から接続配管59へ供給される圧油は、コントロールバルブ52で圧油の漏出が生じた場合に接続配管59から連結配管58を通じて第1連通配管56及び/又は第2連通配管57に導入される。これにより、コントロールバルブ52で圧油の漏出が生じたとしても、連通配管56,57内の油圧及び作業用油圧モータ8に供給される油圧が維持される。
一方、コントローラ46は、前記ステップS15の判断において、作業用アタッチメント100が待機状態ではない、すなわち、作業用アタッチメント100が操作状態であると判断した場合には、コンバータ24を制御して発電機16による発電量を減少させるか又は発電機16を作動停止させる(ステップS21)。
また、コントローラ46は、前記ステップS13においてバッテリ18の蓄電量が設定値以下であると判断した場合には、コンバータ24を制御して発電機16による発電量を増加させる(ステップS23)。これにより、バッテリ18の蓄電量が増加する。
以上のようなステップS7、S11、S19、S21及びS23のプロセスの後、次の制御サイクルが今回の制御サイクルと同様に繰り返し行われる。
以上のようにして、この第1実施形態による作業機械の駆動装置の動作が行われる。
以上説明したように、この第1実施形態では、作業用アタッチメント100の待機状態においてエンジン2が停止されるため、エンジン2のアイドルストップを実施することができ、燃費を向上することができる。しかも、作業用アタッチメント100が待機状態のときに補助油圧ポンプ30が作動して作業用圧油供給回路10へ圧油を供給するため、待機状態にある作業用アタッチメント100の操作再開時における応答性を向上することができる。従来では、作業用アタッチメントの作動時と待機時の両方においてメイン油圧ポンプから作業用アクチュエータへ圧油を供給するために前記作動時にはエンジンでメイン油圧ポンプを駆動し、前記待機時にはエンジンをアイドルストップするとともに電動機でメイン油圧ポンプを駆動するため、その待機時において停止したエンジンが電動機の負荷とならないようにクラッチでエンジンとメイン油圧ポンプとを切り離す必要がある。これに対して、この第1実施形態では、エンジン2によるメイン油圧ポンプ6の駆動系統と補助ポンプ用電動機20による補助油圧ポンプ30の駆動系統とがそれぞれ独立しているため、従来のように作業用アタッチメントの待機時にクラッチでエンジンとメイン油圧ポンプとを切り離さなくても、エンジン2が補助ポンプ用電動機20の負荷となることはない。このため、この第1実施形態では、待機状態にある作業用アタッチメント100の操作の再開時にクラッチによるエンジン2とメイン油圧ポンプ6との接続を行わなくてもよく、当該操作の再開時における作業用アタッチメント100の応答性を向上することができる。
また、この第1実施形態では、従来のようにエンジンとメイン油圧ポンプとの間の接続/切断を切り換えるクラッチが用いられていないため、そのようなクラッチの磨耗に起因する部品交換を行わなくてもよく、その結果、部品交換にかかる作業負担を削減することができる。
また、作業用アタッチメント100の待機時には、作業用圧油供給回路10へ大きな油圧を供給する必要はなく、最小限の油圧を供給しておけばよい。ところで、従来のように、作業用アタッチメントの操作時に作業用油圧モータへ圧油を供給するメイン油圧ポンプによって作業用アタッチメントの待機時も圧油を供給しようとする場合には、メイン油圧ポンプを駆動効率(ポンプ効率)の悪い容量の領域で駆動せざるを得ず、補助ポンプ用電動機に掛かる負荷が増大して補助ポンプ用電動機の消費電力が増大する。
具体的には、メイン油圧ポンプは、図4に示すように、操作装置の操作レバーの操作量(傾倒量)が大きい場合にはその容量が大きくなるように制御されるのが一般的である。作業用アタッチメントの待機状態では、操作レバーの操作量(傾倒量)は0である。そして、この作業用アタッチメントの待機状態では、作業用油圧モータに圧油を供給する必要がないため、メイン油圧ポンプは作業用圧油供給回路にその回路の作動上必要な最小限の油圧を供給しておくだけでよい。このため、メイン油圧ポンプは、その容量が図4の最小容量qp1となるように制御される。しかし、可変容量型であるメイン油圧ポンプを最小容量qp1で駆動する場合には、そのメイン油圧ポンプのポンプ効率(駆動効率)が当該メイン油圧ポンプを最大容量qp2で駆動する場合におけるポンプ効率η2(図5参照)よりも低い効率η1(図5参照)となる。このため、この場合には、補助ポンプ用電動機の負荷が増大し、その結果、補助ポンプ用電動機の消費電力が増大する。
これに対して、この第1実施形態では、補助油圧ポンプ30は、作業用圧油供給回路10に最小限の油圧を供給するためにのみ用いられるものであるため、図6に示すようにその容量がメイン油圧ポンプ6の最小容量と同等である油圧ポンプを当該補助油圧ポンプ30として用いることができる。その結果、作業用アタッチメント100が待機状態でエンジン2がアイドルストップしている際に補助油圧ポンプ30を駆動する際、その補助油圧ポンプ30のポンプ効率はη2(図7中の実施形態参照)となり、メイン油圧ポンプ6を最小容量で駆動する場合のそのメイン油圧ポンプ6のポンプ効率η1(図7中の比較例参照)よりも高くなる。すなわち、この第1実施形態では、補助油圧ポンプ30をその容量を最大限に利用した状態で駆動することができるため、良好な駆動効率で補助油圧ポンプ30を駆動することができる。その結果、補助油圧ポンプ30を駆動する補助ポンプ用電動機20に掛かる負荷が小さくなって補助ポンプ用電動機20の消費電力が減少し、バッテリ18の電力保持時間の減少を抑制することができる。
従って、この第1実施形態では、待機状態にある作業用アタッチメント100の操作再開時における応答性の向上、部品交換にかかる作業負担の削減及びバッテリ18の電力保持時間の減少の抑制を図りつつ、燃費を向上することができる。
また、この第1実施形態では、作業用アタッチメント100が待機状態でエンジン2がアイドルストップしている期間にコントロールバルブ52と作業用油圧モータ8とを繋ぐ連通配管56,57へ補助油圧ポンプ30から補給配管31、接続配管59及び連結配管58を通じて圧油を供給することができる。これにより、前記待機状態においてコントロールバルブ52から圧油の漏出があった場合でも、作業用油圧モータ8へ供給されている油圧が前記圧油の漏出によって低下し、作業用油圧モータ8の意図しない駆動が生じるのを防ぐことができる。その結果、前記待機状態において前記圧油の漏出に起因する作業用アタッチメント100の意図しない駆動、例えば、作業用アタッチメント100がクレーンのフック用ウィンチである場合には、吊荷を吊っているフック装置の意図しない降下等が生じるのを防ぐことができる。
また、この第1実施形態では、接続配管59に背圧チェック弁33が接続されているため、作業用アタッチメント100が待機状態でエンジン2がアイドルストップしている期間にコントロールバルブ52から圧油の漏出が生じた場合でも、補助油圧ポンプ30から補給配管31を通じて接続配管59へ供給される圧油の圧力を背圧チェック弁33の設定圧力以上に維持することができる。その結果、前記圧油の漏出に起因する作業用油圧モータ8の意図しない駆動及びそのことに起因する作業用アタッチメント100の意図しない駆動の発生を有効に防止することができる。
また、この第1実施形態では、作業用アタッチメント100が待機状態で、かつ、バッテリ18の蓄電量が設定値以上である場合に、エンジン2がアイドルストップして補助ポンプ用電動機20が作動するので、作業用アタッチメント100の待機時にバッテリ18の蓄電量不足に起因する補助ポンプ用電動機20の意図しない作動不能及びそのことに起因する補助油圧ポンプ30から作業用圧油供給回路10への圧油の供給不能が生じるのを防ぐことができる。
なお、この第1実施形態において、補助油圧ポンプ30が可変容量型の油圧ポンプであり、かつ、その補助油圧ポンプ30の容量の制御により補助油圧ポンプ30の圧油の吐出流量が制御されてもよい。
(第2実施形態)
次に、図8を参照して、本発明の第2実施形態による作業機械の駆動装置について説明する。
この第2実施形態による作業機械の駆動装置では、作業用圧油供給回路10のうち補助油圧ポンプ30から圧油が供給される部分には、油圧の変動を平滑化するための作業回路用アキュームレータ70が接続されている。また、この第2実施形態では、作業用圧油供給回路10のうち補助油圧ポンプ30から圧油が供給される部分における油圧を作業用圧力検出器71で検出し、その作業用圧力検出器71による検出圧力が設定圧力以上となった場合に補助ポンプ用電動機20の駆動を停止させて補助油圧ポンプ30の駆動を停止させる。
具体的には、この第2実施形態の作業機械の駆動装置は、補給配管31に接続された作業回路用アキュームレータ70及び作業用圧力検出器71を備えている。
この第2実施形態では、補給配管31は、第1連通配管56に接続された第1分岐配管31aと、第2連通配管57に接続された第2分岐配管31bとに分岐している。すなわち、この第2実施形態では、補助油圧ポンプ30から補給配管31に吐出された圧油は、第1分岐配管31aと第2分岐配管31bとに分かれて流れ、第1連通配管56と第2連通配管57にそれぞれ導入される。また、第1分岐配管31aには、チェック弁73が設けられており、第2分岐配管31bには、チェック弁74が設けられている。
作業回路用アキュームレータ70及び作業用圧力検出器71は、補給配管31のうち前記両分岐配管31a,31bの分岐点よりも補助油圧ポンプ30側の部位に接続されている。
作業回路用アキュームレータ70は、補助油圧ポンプ30から補給配管31への圧油の吐出が開始されて補給配管31内の油圧及び補給配管31に繋がる作業用圧油供給回路10の連通配管56,57内の油圧が昇圧する時のその油圧の圧力変動を平滑化する。
作業用圧力検出器71は、補給配管31内の圧力、すなわち補給配管31に繋がり、補助油圧ポンプ30からの圧油が供給される連通配管56,57内の圧力を検出する。この作業用圧力検出器71は、その検出圧力に応じた検出信号をコントローラ46へ出力する。
コントローラ46は、作業用圧力検出器71から送られてくる検出信号に基づいてその作業用圧力検出器71の検出圧力を監視している。このコントローラ46は、エンジン2をアイドルストップさせた後、作業用圧力検出器71による検出圧力が設定圧力以上となった場合に補助ポンプ用インバータ26を制御することにより補助ポンプ用電動機20の駆動を停止させて補助油圧ポンプ30の駆動を停止させる。
この第2実施形態による作業機械の駆動装置の上記以外の構成は、上記第1実施形態による作業機械の駆動装置の構成と同様である。
次に、図9を参照して、この第2実施形態による作業機械の駆動装置の動作について説明する。
この第2実施形態では、コントローラ46は、作業用アタッチメント100が待機状態となり、バッテリ18の蓄電量が設定値よりも大きい場合には、上記第1実施形態の場合と同様、エンジン2の駆動を停止させ、その後、補助ポンプ用インバータ26を制御して補助ポンプ用電動機20を作動させる。これにより、補助油圧ポンプ30が補助ポンプ用電動機20によって駆動され、補給配管31に圧油を吐出する。
補給配管31に圧油が吐出されることにより、図9のA部に示すように作業用圧力検出器71の検出圧力が上昇する。コントローラ46は、作業用圧力検出器71から送られる検出信号に基づいてその作業用圧力検出器71による検出圧力を監視しており、その検出圧力が上限設定圧力P2以上となった場合(図9中のB時点)には、補助ポンプ用インバータ26を制御して補助ポンプ用電動機20の駆動を停止させる。
この補助ポンプ用電動機20の駆動停止後、作業用圧油供給回路10におけるコントロールバルブ52等からの圧油の漏出により、連通配管56,57内の圧力及び補給配管31内の圧力が徐々に低下し、作業用圧力検出器71の検出圧力が低下していく(図9中のC部参照)。コントローラ46は、作業用圧力検出器71の検出圧力が下限設定圧力P1以下となった場合(図9中のD時点)に補助ポンプ用インバータ26を制御して補助ポンプ用電動機20を再始動させ、補助油圧ポンプ30を再始動させる。これにより、作業用圧力検出器71の検出圧力、すなわち補給配管31内の圧力及び連通配管56,57内の圧力が上昇する(図9中のE部参照)。このような動作が繰り返し行われることにより、補給配管31内の圧力が下限設定圧力P1以上でかつ上限設定圧力P2以下の範囲に維持される。
この第2実施形態による作業機械の駆動装置の上記以外の動作は、上記第1実施形態の場合と同様である。
以上説明したように、この第2実施形態では、作業用アタッチメント100が待機状態でエンジン2がアイドルストップしている期間に作業用圧油供給回路10の連通配管56,57内の油圧が上限設定圧力P2以上になれば、コントローラ46が補助ポンプ用電動機20の駆動を停止させて補助油圧ポンプ30の駆動を停止させる。すなわち、この第2実施形態では、エンジン2のアイドルストップ期間中に補助ポンプ用電動機20を常時駆動して補助油圧ポンプ30を常時駆動する場合と異なり、補助ポンプ用電動機20が必要な場合にのみ駆動されるので、補助ポンプ用電動機20のための電力消費量が削減される。その結果、バッテリ18の電力保持時間が延び、省エネルギ効果が向上する。
また、この第2実施形態では、エンジン2がアイドルストップして補助油圧ポンプ30から作業用圧油供給回路10の連通配管56,57に圧油が供給される際、これらの連通配管56,57に補給配管31を介して接続される作業回路用アキュームレータ70が、作業用圧油供給回路10で生じる昇圧時の圧力変動を平滑化する。
この第2実施形態による上記以外の効果は、上記第1実施形態による効果と同様である。
なお、この第2実施形態において、エンジン2がアイドルストップしている期間に作業用圧力検出器71の検出圧力が上限設定圧力P2以上になった場合に補助ポンプ用電動機20の駆動を停止させて補助油圧ポンプ30の駆動を停止させる代わりに、補助ポンプ用電動機20の回転数を低下させて補助油圧ポンプ30の圧油の吐出量を減少させてもよい。
また、コントローラ46が、作業用圧力検出器71の検出圧力を設定圧力から減じることによりそれらの偏差を求め、その求めた偏差が小さくなるに従って補助ポンプ用電動機20の回転数を減少させて補助油圧ポンプ30の圧油の吐出量を減少させる一方、その求めた偏差が大きくなるに従って補助ポンプ用電動機20の回転数を増加させて補助油圧ポンプ30の圧油の吐出量を増加させるような制御を行ってもよい。なお、この場合に、補助油圧ポンプ30として可変容量型の油圧ポンプを用いるとともに、コントローラ46が、前記偏差が小さくなるに従って補助油圧ポンプ30の容量を減少させることによりその補助油圧ポンプ30の圧油の吐出量を減少させる一方、前記偏差が大きくなるに従って補助油圧ポンプ30の容量を増加させることによりその補助油圧ポンプ30の圧油の吐出量を増加させるようにしてもよい。
(第3実施形態)
次に、図10を参照して、本発明の第3実施形態による作業機械の駆動装置について説明する。
この第3実施形態による作業機械の駆動装置では、作業用アタッチメント100が待機状態でエンジン2がアイドルストップしている期間に補助油圧ポンプ30からパイロット圧供給回路40へ圧油を供給する。そして、この第3実施形態では、パイロット圧供給回路40のうち補助油圧ポンプ30から圧油が供給される部分における油圧をパイロット圧検出器78で検出し、そのパイロット圧検出器78による検出圧力が設定圧力以上となった場合に補助ポンプ用電動機20の駆動を停止させて補助油圧ポンプ30の駆動を停止させる。
具体的には、この第3実施形態では、補助油圧ポンプ30の吐出口30aが補給配管31を介してパイロット圧供給配管41に接続されている。このパイロット圧供給配管41には、チェック弁41aが設けられている。また、この第3実施形態の作業機械の駆動装置は、パイロット圧回路内接続配管69に接続されたパイロット圧用アキュームレータ77及びパイロット圧検出器78を備えている。
パイロット圧用アキュームレータ77は、補助油圧ポンプ30から補給配管31への圧油の吐出が開始されてその圧油が供給されるパイロット圧回路内接続配管69内の油圧が昇圧する時のその油圧の圧力変動を平滑化する。
パイロット圧検出器78は、パイロット圧供給配管41内の圧力、すなわち補助油圧ポンプ30から吐出されてパイロット圧供給回路40のリモコン弁64,65へ供給される圧油の圧力を検出する。このパイロット圧検出器78は、その検出圧力に応じた検出信号をコントローラ46へ出力する。
コントローラ46は、パイロット圧検出器78から送られてくる検出信号に基づいてそのパイロット圧検出器78の検出圧力を監視している。このコントローラ46は、エンジン2をアイドルストップさせた後、パイロット圧検出器78による検出圧力が設定圧力以上となった場合に補助ポンプ用インバータ26を制御することにより補助ポンプ用電動機20の駆動を停止させて補助油圧ポンプ30の駆動を停止させる。
なお、この第3実施形態において、パイロット圧供給配管41に接続されたリリーフ弁44は、本発明のパイロット圧維持部の概念に含まれるものであり、パイロット圧供給配管41における油圧を当該リリーフ弁44による設定圧力以上に維持する。
また、この第3実施形態において、補助油圧ポンプ30は、パイロット圧用ポンプ35の容量よりも小さい容量を有している。
また、この第3実施形態では、補助油圧ポンプ30と作業用圧油供給回路10とは接続されておらず、補助油圧ポンプ30から作業用圧油供給回路10へは圧油が供給されない。また、この第3実施形態の作業機械の駆動装置は、前記作業用油圧モータ8の代わりに作業用油圧シリンダ79を備えている。この作業用油圧シリンダ79は、本発明の作業用アクチュエータの概念に含まれるものである。作業用油圧シリンダ79は、79a及び79bを有するシリンダと、このシリンダ内に装填されるピストンと、このピストンに繋がるピストンロッド79cとを有する。前記第1供給口79aは、第1連通配管56を介してコントロールバルブ52に接続されており、前記第2供給口79bは、第2連通配管57を介してコントロールバルブ52に接続されている。前記ピストンロッド79cは、作業用アタッチメント100に接続され、第1供給口79aに圧油が供給されたときに作業用アタッチメント100とともに一方向へ動かされ、第2供給口79bに圧油が供給されたときに作業用アタッチメント100とともに他方向へ動かされる。また、この第3実施形態では、作業用圧油供給回路10に前記の連結配管58、接続配管59、チェック弁61a,61b及びリリーフ弁62a,62bは設けられていない。
この第3実施形態による作業機械の駆動装置の上記以外の構成は、上記第1実施形態による作業機械の駆動装置の構成と同様である。
次に、この第3実施形態による作業機械の駆動装置の動作について説明する。
この第3実施形態では、上記第2実施形態と同様にしてコントローラ46が補助ポンプ用電動機20の駆動を制御する。
具体的には、この第3実施形態では、作業用アタッチメント100が待機状態となり、バッテリ18の蓄電量が設定値よりも大きい場合に、エンジン2がアイドルストップされる一方、補助ポンプ用電動機20が駆動されて補助油圧ポンプ30が駆動し、その補助油圧ポンプ30が補給配管31に圧油を吐出する。
この状態で、コントローラ46は、パイロット圧検出器78から送られる検出信号に基づいてそのパイロット圧検出器78による検出圧力を監視しており、その検出圧力が上限設定圧力以上となった場合には、補助ポンプ用インバータ26を制御して補助ポンプ用電動機20の駆動を停止させる。
この補助ポンプ用電動機20の駆動停止後、パイロット圧供給回路40におけるリモコン弁64,65等からの圧油の漏出に起因してパイロット圧検出器78の検出圧力が低下していく。コントローラ46は、パイロット圧検出器78の検出圧力が下限設定圧力以下となった場合に補助ポンプ用インバータ26を制御して補助ポンプ用電動機20を再始動させ、補助油圧ポンプ30を再始動させる。これにより、パイロット圧検出器78の検出圧力が上昇する。このような動作が繰り返し行われることにより、パイロット圧供給回路40内の圧力が前記下限設定圧力以上でかつ前記上限設定圧力以下の範囲に維持される。
以上説明したように、この第3実施形態では、作業用アタッチメント100の待機状態においてエンジン2が停止されるため、エンジン2のアイドルストップを実施することができ、燃費を向上することができる。また、この第3実施形態では、上記第1実施形態と同様、エンジン2と油圧ポンプとの間の動力伝達経路の接続/切断を行うクラッチが不要なので、待機状態にある作業用アタッチメント100の操作再開時における応答性の向上及び部品交換にかかる作業負担の削減を図ることができる。
また、作業用アタッチメント100の待機時には、パイロット圧供給回路40へ大きな油圧を供給する必要はなく、最小限の油圧を供給しておけばよい。このため、この第3実施形態では、作業用アタッチメント100の待機時にパイロット圧供給回路40へ圧油を供給する補助油圧ポンプ30としてメイン油圧ポンプ6の最大容量よりも小さい容量を有する油圧ポンプが用いられている。このため、補助油圧ポンプ30をその容量を最大限に利用した状態で駆動することができ、良好な駆動効率で補助油圧ポンプ30を駆動することができる。その結果、補助油圧ポンプ30を駆動する補助ポンプ用電動機20に掛かる負荷が小さくなって補助ポンプ用電動機20の消費電力が減少し、バッテリ18の電力保持時間の減少を抑制することができる。
従って、この第3実施形態では、待機状態にある作業用アタッチメント100の操作再開時における応答性の向上、部品交換にかかる作業負担の削減及びバッテリ18の電力保持時間の減少の抑制を図りつつ、燃費を向上することができる。
また、この第3実施形態では、作業用アタッチメント100が待機状態でエンジン2がアイドルストップしている期間にパイロット圧供給回路40において圧油の漏出が生じた場合でも、パイロット圧供給回路40内の圧力を下限設定圧力以上に維持することができるため、前記圧油の漏出に起因するパイロット圧の低下を防ぐことができる。その結果、作業用アタッチメント100の操作再開時における作業用アタッチメント100の応答性を良好に維持することができる。
また、この第3実施形態では、作業用アタッチメント100が待機状態でエンジン2がアイドルストップしている期間にパイロット圧検出器78の検出圧力が上限設定圧力以上になれば、コントローラ46が補助ポンプ用電動機20の駆動を停止させて補助油圧ポンプ30の駆動を停止させるから、補助ポンプ用電動機20の電力消費を削減することができる。その結果、バッテリ18の電力保持時間が延び、省エネルギ効果が向上する。
また、この第3実施形態では、エンジン2がアイドルストップして補助油圧ポンプ30からパイロット圧供給回路40に圧油が供給される際、当該パイロット圧供給回路40に接続されたパイロット圧用アキュームレータ77が、パイロット圧供給回路40で生じる昇圧時の圧力変動(パイロット圧の変動)を平滑化することができる。
また、この第3実施形態では、作業用アタッチメント100が待機状態で、かつ、バッテリ18の蓄電量が設定値以上である場合に、エンジン2がアイドルストップして補助ポンプ用電動機20が作動する。このため、作業用アタッチメント100の待機時にバッテリ18の蓄電量不足に起因する補助ポンプ用電動機20の意図しない作動不能及びそのことに起因する補助油圧ポンプ30からパイロット圧供給回路40への圧油の供給不能が生じるのを防ぐことができる。
(第4実施形態)
次に、図11を参照して、本発明の第4実施形態による作業機械の駆動装置について説明する。
この第4実施形態では、補給配管31が供給配管53に接続されており、作業用アタッチメント100が待機状態でエンジン2がアイドルストップしている期間に補助油圧ポンプ30が供給配管53へ圧油を供給するようになっている。
また、この第4実施形態では、作業回路用アキュームレータ70が作業用圧油供給回路10のコントロールバルブ52と接続されており、切替弁80により、エンジン2の回転数が設定回転数以下の場合に作業回路用アキュームレータ70とコントロールバルブ52との間の圧油の流通を許容する一方、エンジン2の回転数が設定回転数よりも高い場合に作業回路用アキュームレータ70とコントロールバルブ52との間の圧油の流通を遮断する圧油の流通制御を行う。
具体的には、この第4実施形態では、作業回路用アキュームレータ70がアキュームレータ接続配管82を介してコントロールバルブ52と接続されている。アキュームレータ接続配管82には、電磁弁である切替弁80が設けられている。また、アキュームレータ接続配管82は、コントロールバルブ52が中立状態52cであるときにそのコントロールバルブ52を介して供給配管53と連通され、コントロールバルブ52が第1連通状態52d又は第2連通状態52eであるときに供給配管53と遮断される。なお、供給配管53には、チェック弁53aが設けられている。
切替弁80は、アキュームレータ接続配管82における作業回路用アキュームレータ70とコントロールバルブ52との間の圧油の流通を許容する状態である連通状態80aと、作業回路用アキュームレータ70とコントロールバルブ52との間の圧油の流通を遮断し、コントロールバルブ52側から流れてくる圧油をタンクTへ流す状態である遮断状態80bとに切替可能に構成されている。
コントローラ46は、エンジン2の回転数を監視しており、エンジン2の回転数が設定回転数以下である場合には切替弁80を前記連通状態80aとし、エンジン2の回転数が設定回転数よりも高い場合には切替弁80を前記遮断状態80bとする。具体的には、コントローラ46は、エンジン2をアイドルストップさせてその回転数が設定回転数以下になった場合に切替弁80を前記連通状態80aとし、エンジン2を作動させてその回転数が設定回転数よりも高くなった場合に切替弁80を前記遮断状態とする。
また、この第4実施形態では、アキュームレータ接続配管82のうち作業回路用アキュームレータ70と切替弁80との間の部位に作業用圧力検出器71が接続されている。
また、この第4実施形態による作業機械の駆動装置は、パイロット圧用インバータ84と、パイロット圧用電動機86とを備えている。そして、この第4実施形態では、パイロット圧用ポンプ35がパイロット圧用電動機86によって駆動される。
パイロット圧用電動機86は、発電機16及びバッテリ18と電気的に接続されている。このパイロット圧用電動機86の動力の出力軸は、パイロット圧用ポンプ35に接続されている。パイロット圧用電動機86は、発電機16とバッテリ18のうち少なくとも一方から供給される電力によって駆動されてパイロット圧用ポンプ35を駆動する。
パイロット圧用インバータ84は、バッテリ18とパイロット圧用電動機86との間の電気の伝達経路に設けられており、バッテリ18と電力の授受を行ってパイロット圧用電動機86の駆動を制御する。
コントローラ46は、パイロット圧用インバータ84を制御して、エンジン2の駆動時には発電機16から供給される電力によってパイロット圧用電動機86を駆動し、エンジン2のアイドルストップ時にはバッテリ18から供給される電力によってパイロット圧用電動機86を駆動する。これにより、エンジン2の駆動時及びアイドルストップ時のいずれの場合にもパイロット圧用ポンプ35が駆動され、そのパイロット圧用ポンプ35からパイロット圧供給回路40へパイロット圧用の圧油が供給される。
この第4実施形態による作業機械の駆動装置の上記以外の構成は、上記第3実施形態による作業機械の駆動装置の構成と同様である。
この第4実施形態では、作業用アタッチメント100の操作の再開時における作業用アタッチメント100の良好な動作の応答性を確保することができる。その理由は、以下の通りである。
作業用アタッチメント100が待機状態でエンジン2をアイドルストップさせた場合には、メイン油圧ポンプ6の駆動が停止するため、メイン油圧ポンプ6から圧油が吐出されない。従って、仮に供給配管53へのメイン油圧ポンプ6以外からの圧油の補給がなければ、供給配管53内の圧力が低下する。この状態で操作装置36による操作が行われた場合には、エンジン2が始動してメイン油圧ポンプ6から供給配管53への圧油の吐出が再開されるが、供給配管53内の圧力が低下していることに起因して作業用圧油供給回路10から作業用油圧モータ8へ供給する油圧を作業用油圧モータ8の駆動に要する圧力まで昇圧するのに時間が掛かり、操作装置36への操作の入力が行われてから作業用油圧モータ8が実際に起動するまでのタイムラグが長くなる。すなわち、待機状態にある作業用アタッチメント100の操作の再開時における応答性が悪くなる。
これに対して、この第4実施形態では、作業用アタッチメント100が待機状態でエンジン2がアイドルストップしている期間に補助油圧ポンプ30から作業用圧油供給回路10のうちメイン油圧ポンプ6とコントロールバルブ52とを繋ぐ供給配管53へ圧油を供給することができるため、エンジン2のアイドルストップに起因してメイン油圧ポンプ6から供給配管53へ圧油が吐出されなくなっても、補助油圧ポンプ30から供給される圧油によって供給配管53内の圧力を所定の圧力に維持することができる。このため、作業用アタッチメント100の操作の再開時における作業用アタッチメント100の良好な動作の応答性を確保することができる。
また、この第4実施形態では、エンジン2がアイドルストップされてその回転数が設定回転数以下になったときには、作業回路用アキュームレータ70が、作業用圧油供給回路10のうち補助油圧ポンプ30から圧油が供給される供給配管53の昇圧に伴う圧力変動をコントロールバルブ52、アキュームレータ接続配管82及び切替弁80を通じて平滑化することができる一方、エンジン2が駆動してその回転数が設定回転数よりも高くなったときには、切替弁80が、コントロールバルブ52と作業回路用アキュームレータ70との間の圧油の流通を遮断することで、メイン油圧ポンプ6から供給される油圧を作業用圧油供給回路10を通じて作業用油圧モータ8へ与えることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上記各実施形態において、コントローラ46は、待機状態にある作業用アタッチメント100の操作が再開された場合に、エンジン2を起動し、そのエンジン2の回転数の上昇に応じて補助ポンプ用電動機20の回転数を低下させてもよい。
図12には、当該変形例にかかる補助ポンプ用電動機20の回転数の経時変化、エンジン2の回転数の経時変化、及び、作業用圧油供給回路10内の回路圧又はパイロット圧供給回路40内の回路圧の経時変化が示されている。この図12を参照して、エンジン2が待機状態でエンジン2がアイドルストップしている状態から時間t1においてエンジン2が起動する場合には、エンジン2の慣性の影響によりエンジン2の回転は直ちには立ち上がらず、その回転が完全に立ち上がるのに時間t2まで掛かる。この場合、メイン油圧ポンプ6は、エンジン2の回転の立ち上がりに応じて駆動するため、その圧油の吐出量が完全に立ち上がるまでに時間を要する。このような状況において、補助ポンプ用電動機20の駆動をエンジン2の起動のタイミングである前記t1の時点から直ちに停止させると、図12中のG部のように補助ポンプ用電動機20の回転数が急速に低下し、補助油圧ポンプ30の圧油の吐出量がメイン油圧ポンプ6の圧油の吐出量が十分に立ち上がっていない状態で急速に0まで減少する。その結果、作業用圧油供給回路10内の圧力又はパイロット圧供給回路40内の圧力が図12中のH部に示すように前記時間t1から前記時間t2までの期間で低下する。この場合には、この期間に操作装置36による作業用アタッチメント100の操作があった場合に作業用油圧モータ8の作動の遅れ又はコントロールバルブ52の作動の遅れが生じる。
そこで、本変形例では、コントローラ46が、補助ポンプ用インバータ26を制御して補助ポンプ用電動機20の回転数を図12中のJ部に示すようにエンジン2の回転数の上昇に応じて徐々に低下させる。この構成によれば、メイン油圧ポンプ6の圧油の吐出量と補助油圧ポンプ30の圧油の吐出量との合計が前記時間t1から時間t2の間の期間で殆ど変化せず、作業用圧油供給回路10内の圧力又はパイロット圧供給回路40内の圧力が前記時間t1から時間t2の間の期間で殆ど変化しなくなる。従って、この構成によれば、作業用圧油供給回路10内の圧力又はパイロット圧供給回路40内の圧力が一時的に低下して作業用油圧モータ8の作動の遅れ又はコントロールバルブ52の作動の遅れが生じるのを防ぐことができ、その結果、作業用アタッチメント100の応答性の悪化を防ぐことができる。
なお、バッテリ18の蓄電量が設定値よりも小さくなった際にエンジン2を起動する場合に、コントローラ46が上記変形例と同様の補助ポンプ用電動機20の制御を行ってもよい。
また、本発明の蓄電装置として、バッテリの代わりにキャパシタ等の蓄電装置を用いてもよい。
また、上記各実施形態において、本発明の作業用アクチュエータとして作業用油圧モータを用いているものは、その作業用油圧モータの代わりに作業用油圧シリンダを用いてもよく、本発明の作業用アクチュエータとして作業用油圧シリンダを用いているものは、その作業用油圧シリンダの代わりに作業用油圧モータを用いてもよい。