JP5493871B2 - 送り駆動装置のバックラッシ量検知方法、及び送り駆動装置のバックラッシ量検知装置 - Google Patents
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Description
特許文献2が開示している工作機械の摩擦力測定技術では、送り駆動系の回転系の摩擦トルク、及び直線移動系の摩擦力を、NC制御部を利用して簡単に測定する。測定した摩擦力が予め設定した許容範囲を外れた場合に、劣化があると判断する。
図1、図2に示すように、マシニングセンタ1は、ワークと工具とをXYZ直交座標系における各軸方向へ独立に相対移動させることで、ワークに所望の機械加工(例えば、「フライス削り」、「穴空け」、「切削」等)を施すことができる工作機械である。マシニングセンタ1は、ベース2と、機械本体3(図2参照)と、スプラッシュカバー4とを主に備えている。ベース2は、鋳鉄製の基台である。機械本体3はベース2の上部に位置し、ワークの切削加工を行う。スプラッシュカバー4は箱状であり、機械本体3とベース2の上部を覆う。
図2に示すように、機械本体3は、コラム16と、主軸ヘッド7と、主軸(図示外)と、工具交換装置(ATC)20と、テーブル10とを主に備えている。コラム16は、ベース2の後部のコラム座部23の上面に固定し、鉛直上方に延びる。主軸ヘッド7は、コラム16の前面に沿って昇降可能であり、内部に主軸を回転可能に支持している。工具交換装置20は、主軸ヘッド7の右側に位置し、主軸の先端に保持してある工具ホルダと他の工具ホルダとを交換する。テーブル10は、ベース2の上部に位置し、ワークを着脱可能に固定する。箱状の制御ボックス19は、コラム16の後部側に設けている。制御ボックス19は、その内部に、マシニングセンタ1の動作を制御する数値制御装置50を備えている。
図2に示すように、テーブル10は、サーボモータからなるX軸モータ71(図4参照)及びY軸モータ72(図4参照)を用いて、X軸方向(機械本体3の左右方向)及びY軸方向(機械本体3の奥行き方向)に移動する。移動機構は以下の構成からなる。直方体状の支持台12は、テーブル10の下側に設けている。支持台12は、その上部に、X軸方向に沿って延びる1対のX軸送りガイドレールを設けている。1対のX軸送りガイドレールは、その上部に、テーブル10を移動可能に支持している。
図2,図3に示すように、コラム16の前面側で上下方向に延びるガイドレールが、リニアガイドを介して主軸ヘッド7を昇降自在に支持している。主軸ヘッド7は、コラム16の前面側に上下方向に延びるように設けた送りネジに対してナットで連結している。送りネジをZ軸モータ73(図4参照)で正逆方向に回転駆動することで、主軸ヘッド7が上下方向に昇降駆動する。サーボアンプ63が、数値制御装置50のCPU51からの制御信号に基づいてZ軸モータ73を駆動することで、主軸ヘッド7が昇降駆動する。
図4に示すように、制御部としての制御装置50は、マイクロコンピュータを含み、入出力インタフェース54と、CPU51と、ROM52と、RAM53と、軸制御回路61a〜64a,75aと、サーボアンプ61〜64と、電流検出器61b〜64bと、微分器71b〜74bとを備えている。サーボアンプ61〜64は、夫々X軸モータ71、Y軸モータ72、Z軸モータ73、主軸モータ74に接続している。軸制御回路75aはマガジンモータ75に接続している。
Kb(Xs)・Xs+Ka(Xn)・Xn=ft(Xt) (1)
Xn = Xt−(L/2π)θs−Xs (2)
Ka(Xn)は、ボールねじシャフト76を基準としたナット77の変位Xnを変数とした非線形の関数であり、ボールねじシャフト76及びナット77の軸方向ばね剛性を示す。
ft(Xt)は、テーブル変位Xtを変数とした非線形の関数であり、リニアガイドの摩擦力を示す。
Xs:ボールねじシャフト76の軸方向変位[m]
Ka:ボールねじシャフト76とナット77との間の軸方向ばね剛性[N/m]
Xn:ボールねじシャフト76を基準としたナット77の変位[m]
L:ボールねじシャフト76のリード[m]
θs:ボールねじシャフト76の回転角度[rad]
ft:リニアガイドの摩擦力[N]
Xt:テーブル変位[m]
Bb:ベアリング78のバックラッシ量[m]
Bn:ボールねじシャフト76とナット77との間のバックラッシ量[m]
R:R=L/2π
例えば、テーブル10が動かないように固定してX軸モータ71を駆動した場合、位置指令がバックラッシ量を超えたところでモータトルク指令が大きくなる。それ故、モータトルク指令が変化したときの変位からバックラッシ量を推定できると推測する。しかし、上記の方法を実施することは、現実的には難しい。
図14に示すように、モータトルク指令の振幅は、位置フィードバックの振幅の変化(慣性力の変化)に関係なくほぼ一定である。
F=−MAω2sinωt (3)
CPU51は、モータトルク指令の値、及び位置フィードバックの値を、1msec周期で取得し、RAM53に格納する(S3)。モータトルク指令、位置フィードバックの値は、軸制御回路61a,62aが入出力するデータから取得することができる。図24は、S3において取得した値の例を示す。
図25に示すバックラッシ量推定演算処理は、操作入力部81から所定の開始指令を入力すると、CPU51が実行する。CPU51は、データ取得制御(図23参照)で取得した値から、位置フィードバックの振幅とモータトルク指令の振幅との相関関係を示す相関データを算出する。CPU51は、算出した結果を時系列に沿ってRAM53に格納する(S10)。図17は、算出した相関データを示す図である。図23の制御、及びS10の制御を実行する制御装置50がデータ取得部に相当する。
CPU51は、モータトルク指令の振幅の2階微分の最大値が所定の閾値又は閾値より大きいか判定する(S12)。所定の閾値は、例えば1.0Nmである。CPU51は、閾値未満と判定した場合には(S12:No)、機械は正常(有害なバックラッシが存在しない)と判断し(S13)、処理を終了する。
本実施例においては、2階微分が最大となるときを、モータトルク指令の振幅が急激に変化したときとしている。精度が低くても問題がない場合は、2階微分を用いずに微分を用いてもよい。その場合、RAM53に格納したモータトルク指令の振幅の差分が最大となるときを、急激に変化したときと判断する。
周波数が高いときに位置フィードバックの振幅が小さくなるので、結果的に、小さい振幅の運動でも相応の加速度を発生させることができる。それ故、小さいバックラッシ量の検出が可能になると考える。
CPU51は、モータトルク指令、及び位置フィードバックの値を、1msec周期で取得し、RAM53に格納する(S22)。モータトルク指令、及び位置フィードバックの値は、軸制御回路61aが入出力するデータから取得する。
バックラッシ量推定演算処理は、操作入力部81から所定の開始指令を入力すると、CPU51が実行する。データ取得制御(図34参照)で取得したサーボデータを用いて、CPU51は、位置フィードバックの振幅(図32参照)、及びモータトルク指令の振幅(図33参照)を算出する。CPU51は、算出した結果を時系列に沿ってRAM53に記憶する(S30)。CPU51は、モータトルク指令の振幅が最初に極大になる周波数f1をサーチする(S31)。
上記実施例2では、CPU51は、周波数を10Hzから260Hzまで段階的に変化させたが、連続的に変化させてもよい。周波数は、大きくしていくのではなく、小さくしていってもよい。振幅及び周波数は、両方を変化させてもよい。
図36に示すように、実測値との間の誤差を10μm以内としてバックラッシ量を推定することができた。周波数を変化させる方法では、閾値の設定等に注意を払う必要はないので、より実用的である。
本実施例では、モータトルクの振幅として、モータトルク指令の振幅を用いているが、駆動電流値を用いてもよい。
Claims (10)
- 被駆動体と、前記被駆動体を直線的に移動駆動させる為のボールねじ機構と、前記ボールねじ機構のボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、前記サーボモータを駆動制御する制御部とを有する送り駆動装置における運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを検知するバックラッシ量検知方法であって、
前記サーボモータによって、前記ボールねじ機構を介して、位置指令の振幅を変化させる正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせて、位置フィードバックの実績値の振幅と、モータトルクの指令値の振幅との相関関係を示す相関データを取得する第1工程と、
前記第1工程において取得した前記相関データを用いて、前記位置フィードバックの実績値の振幅と、前記モータトルクの指令値の振幅との関係から前記運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを推定する第2工程と、
を備えた送り駆動装置のバックラッシ量検知方法。 - 被駆動体と、前記被駆動体を直線的に移動駆動させる為のボールねじ機構と、前記ボールねじ機構のボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、前記サーボモータを駆動制御する制御部とを有する送り駆動装置における運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを検知するバックラッシ量検知方法であって、
前記サーボモータによって、前記ボールねじ機構を介して、位置指令の周波数を変化させる正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせて、位置フィードバックの実績値の振幅と前記周波数との相関関係を示す第一相関データと、モータトルクの指令値の振幅と前記周波数との相関関係を示す第二相関データとを取得する第1工程と、
前記第1工程において取得した前記第一相関データと前記第二相関データとを用いて前記運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを推定する第2工程と、
を備えた送り駆動装置のバックラッシ量検知方法。 - 請求項1の発明において、前記第1工程においては前記位置指令の周波数を一定で且つ振幅を徐々に変化させる前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせ、前記第2工程においては前記モータトルクの指令値の振幅の変化率が所定の値と等しい又は所定の値より大きいときの前記位置フィードバックの実績値の振幅をバックラッシの大きさとして推定する送り駆動装置のバックラッシ量検知方法。
- 請求項2の発明において、前記第1工程においては前記位置指令の振幅を一定で且つ周波数を徐々に変化させる前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせ、前記第2工程においては、前記モータトルクの指令値の振幅が摩擦トルクと同値又は摩擦トルクより大きい値となる周波数のうち、前記モータトルクの指令値の振幅が極大となる周波数である第一周波数を求め、前記第一周波数と同値又は前記第一周波数よりも大きい周波数のうち、前記モータトルクの指令値の振幅が最小となる周波数である第二周波数における前記位置フィードバックの実績値の振幅をバックラッシの大きさとして推定する送り駆動装置のバックラッシ量検知方法。
- 請求項1乃至4のいずれか1の発明において、前記第1工程において前記運動伝達系に存在する摩擦力よりも大きい慣性力が発生する条件下で前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせる送り駆動装置のバックラッシ量検知方法。
- 被駆動体と、前記被駆動体を直線的に移動駆動させる為のボールねじ機構と、前記ボールねじ機構のボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、前記サーボモータを駆動制御する制御部とを有する送り駆動装置における運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを検知するバックラッシ量検知装置であって、
前記制御部に前記サーボモータを駆動制御させることで、位置指令の振幅を変化させる正弦波往復運動を前記ボールねじ機構を介して前記被駆動体に行わせて、位置フィードバックの実績値の振幅と、モータトルクの指令値の振幅との相関関係を示す相関データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得した前記相関データを用いて、前記位置フィードバックの実績値の振幅と、前記モータトルクの指令値の振幅との関係から前記運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを推定するバックラッシ量演算部と、
を備えた送り駆動装置のバックラッシ量検知装置。 - 被駆動体と、前記被駆動体を直線的に移動駆動させる為のボールねじ機構と、前記ボールねじ機構のボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、前記サーボモータを駆動制御する制御部とを有する送り駆動装置における運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを検知するバックラッシ量検知装置であって、
前記制御部に前記サーボモータを駆動制御させることで、位置指令の周波数を変化させる正弦波往復運動を前記ボールねじ機構を介して前記被駆動体に行わせて、位置フィードバックの実績値の振幅と前記周波数との相関関係を示す第一相関データと、モータトルクの指令値の振幅と前記周波数との相関関係を示す第二相関データとを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得した前記第一相関データ及び前記第二相関データを用いて前記運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを推定するバックラッシ量演算部と、
を備えた送り駆動装置のバックラッシ量検知装置。 - 請求項6の発明において、前記データ取得部は、前記制御部にサーボモータを駆動制御させることで、前記位置指令の周波数を一定で且つ振幅を徐々に変化させる前記正弦波往復運動を前記ボールねじ機構を介して前記被駆動体に行わせて前記相関データを取得し、
前記バックラッシ量演算部は、前記データ取得部が取得した前記相関データに基づいて、前記モータトルクの指令値の振幅の変化率が所定の値と等しい又は所定の値より大きいときの前記位置フィードバックの実績値の振幅をバックラッシの大きさとして推定する送り駆動装置のバックラッシ量検知装置。 - 請求項7の発明において、前記データ取得部は、前記位置指令の振幅を一定で且つ周波数を徐々に変化させる前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせて前記第一相関データ及び前記第二相関データを取得し、
前記バックラッシ量演算部は、
前記データ取得部が取得した前記第二相関データに基づいて、前記モータトルクの指令値の振幅が摩擦トルクと同値又は摩擦トルクより大きい値となる周波数のうち、前記モータトルクの指令値の振幅が極大となる周波数である第一周波数を求める第一周波数決定部と、
前記データ取得部が取得した前記第二相関データに基づいて、前記第一周波数と同値又は前記第一周波数よりも大きい周波数のうち、前記モータトルクの指令値の振幅が最小となる周波数である第二周波数を求める第二周波数決定部と、
前記データ取得部が取得した前記第一相関データから、前記第二周波数決定部が求めた前記第二周波数のときの前記位置フィードバックの実績値の振幅をバックラッシの大きさとして推定する推定部とを備えた送り駆動装置のバックラッシ量検知装置。 - 請求項6乃至9のいずれか1の発明において、前記データ取得部は、前記運動伝達系に存在する摩擦力よりも大きい慣性力が発生する条件下で前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせてデータを取得する送り駆動装置のバックラッシ量検知装置。
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