JP5493871B2 - 送り駆動装置のバックラッシ量検知方法、及び送り駆動装置のバックラッシ量検知装置 - Google Patents

送り駆動装置のバックラッシ量検知方法、及び送り駆動装置のバックラッシ量検知装置 Download PDF

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Description

本発明は、送り駆動装置のバックラッシ量検知方法、及び送り駆動装置のバックラッシ量検知装置に関する。特に、振幅又は周波数が変化する往復運動を被駆動体に行わせて、位置フィードバックの振幅及びモータトルクの振幅のデータを解析することでバックラッシ量を検知する技術に関する。
数値制御工作機械などの各種製造装置では、サーボモータの回転運動を、ギヤ及びボールねじ機構を備えた運動伝達機構を介して被駆動体に伝え、所望の運動を行わせている。運動伝達機構を長期間使用すると、摩耗などを原因とするバックラッシが大きくなり、運動精度が低下する。運動精度が低下した状態で数値制御工作機械の使用を続けると、不良品を大量に生産し、莫大な損失を生むことになる。
運動伝達機構の劣化の検出を目的とした種々の技術がある。例えば、特許文献1は、運動中のモータトルクに発生する振動が閾値と同数及び閾値より大きくなった場合に劣化があると判定する駆動装置のバックラッシ防止技術を開示している。
特許文献2が開示している工作機械の摩擦力測定技術では、送り駆動系の回転系の摩擦トルク、及び直線移動系の摩擦力を、NC制御部を利用して簡単に測定する。測定した摩擦力が予め設定した許容範囲を外れた場合に、劣化があると判断する。
特開2000−52178号公報 特開2004−362204号公報
従来の技術では、モータトルクの変化に基づいて運動伝達機構の劣化は検出できるが、具体的にどのくらいの大きさのバックラッシが発生しているかについては検出できない。実用上は、製品の許容精度に応じて精度劣化の許容値が決まる。それ故、運動伝達機構の劣化の検出だけでは不十分であり、バックラッシの大きさ(バックラッシ量)、精度低下の度合いを正確に検出する必要がある。バックラッシの大きさを正確に検出できれば、製品の許容誤差とバックラッシ量の検出結果に基づいて、運動伝達機構を修理するべきか否かを判断できるようになる。
本発明の目的は、運動伝達系に存在するバックラッシ量を検知することができるバックラッシ量検知方法、及びバックラッシ量検知装置を提供することである。
本発明の第一の態様に係る送り駆動装置のバックラッシ量検知方法は、被駆動体と、前記被駆動体を直線的に移動駆動させる為のボールねじ機構と、前記ボールねじ機構のボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、前記サーボモータを駆動制御する制御部とを有する送り駆動装置における運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを検知するバックラッシ量検知方法であって、前記サーボモータによって、前記ボールねじ機構を介して、位置指令の振幅変化させ正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせて、位置フィードバックの実績値の振幅と、モータトルクの指令値の振幅相関関係を示す相関データを取得する第1工程と、前記第1工程において取得した前記相関データを用いて、前記位置フィードバックの実績値の振幅と、前記モータトルクの指令値の振幅の関係から前記運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを推定する第2工程と、を備えている。
本発明の第一の態様に係る送り駆動装置のバックラッシ量検知方法では、運動伝達系に存在するバックラッシを、特別な測定器を使うことなく、簡単に短時間で、かつ高精度に推定できる。
それ故、作業者は、工作機械を分解することなく、通常の定期点検の際に駆動機構の劣化状態を診断できる。作業者は、バックラッシ量を測定する目的で製造ラインを止める必要がない。作業者は、製造ライン全体に影響を及ぼす故障が生じる前に、問題を見つけて修理できるようになる。送り駆動装置のバックラッシ量検知方法は、サーボモータを制御する制御部を用いて、相関データの取得及びバックラッシ量の推定演算を行うこともできる。
本発明の第二の態様に係る送り駆動装置のバックラッシ量検知方法は、被駆動体と、前記被駆動体を直線的に移動駆動させる為のボールねじ機構と、前記ボールねじ機構のボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、前記サーボモータを駆動制御する制御部とを有する送り駆動装置における運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを検知するバックラッシ量検知方法であって、前記サーボモータによって、前記ボールねじ機構を介して、位置指令の周波数変化させ正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせて、位置フィードバックの実績値の振幅と前記周波数との相関関係を示す第一相関データと、モータトルクの指令値の振幅と前記周波数との相関関係を示す第二相関データとを取得する第1工程と、前記第1工程において取得した前記第一相関データ前記第二相関データを用いて前記運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを推定する第2工程と、を備えている。
本発明の第二の態様に係る送り駆動装置のバックラッシ量検知方法では、運動伝達系に存在するバックラッシを、特別な測定器を使うことなく、簡単に短時間で、かつ高精度に推定できる。
本発明の第一の態様に係る送り駆動装置のバックラッシ量検知方法は、前記第1工程においては前記位置指令の周波数一定で且つ振幅徐々に変化させる前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせ、前記第2工程においては前記モータトルクの指令値の振幅の変化率が所定の値と等しい又は所定の値より大きいときの前記位置フィードバックの実績値の振幅をバックラッシの大きさとして推定してもよい。
この場合、モータトルクの振幅が急変するときの位置フィードバックの振幅を精度良く検知できる。それ故、バックラッシ量を精度良く検知することができる。
本発明の第二の態様に係る送り駆動装置のバックラッシ量検知方法は、前記第1工程においては前記位置指令の振幅一定で且つ周波数徐々に変化させる前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせ、前記第2工程においては、前記モータトルクの指令値の振幅が摩擦トルクと同値又は摩擦トルクより大きい値となる周波数のうち、前記モータトルクの指令値の振幅が極大となる周波数である第一周波数を求め、前記第一周波数と同値又は前記第一周波数よりも大きい周波数のうち、前記モータトルクの指令値の振幅が最小となる周波数である第二周波数における前記位置フィードバックの実績値の振幅をバックラッシの大きさとして推定してもよい。
この場合、モータトルクの振幅が摩擦トルクと同値又は摩擦トルクより大きい値となる周波数のうち、モータトルクの振幅が極大となる第一周波数を求める。その後、第一周波数と同値又は第一周波数よりも大きい周波数のうち、モータトルクの振幅が最小となる周波数のときの位置フィードバックの振幅を精度よく検知することができる。それ故、バックラッシ量を精度良く検知することができる。
本発明の第一又は第二の態様に係る送り駆動装置のバックラッシ量検知方法は、前記第1工程において前記運動伝達系に存在する摩擦力よりも大きい慣性力が発生する条件下で前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせてもよい。
この場合、運動伝達系に存在する摩擦力よりも大きい慣性力が発生する条件下で正弦波往復運動を被駆動体に行わせるので、摩擦力の影響を軽減することができる。
本発明の第三の態様に係る送り駆動装置のバックラッシ量検知装置は、被駆動体と、前記被駆動体を直線的に移動駆動させる為のボールねじ機構と、前記ボールねじ機構のボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、前記サーボモータを駆動制御する制御部とを有する送り駆動装置における運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを検知するバックラッシ量検知装置であって、前記制御部に前記サーボモータを駆動制御させることで、位置指令の振幅変化させ正弦波往復運動を前記ボールねじ機構を介して前記被駆動体に行わせて、位置フィードバックの実績値の振幅と、モータトルクの指令値の振幅相関関係を示す相関データを取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得した前記相関データを用いて、前記位置フィードバックの実績値の振幅と、前記モータトルクの指令値の振幅の関係から前記運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを推定するバックラッシ量演算部と、を備えている。
本発明の第三の態様に係る送り駆動装置のバックラッシ量検知装置では、運動伝達系に存在するバックラッシを、特別な測定器を使うことなく、簡単に短時間で、かつ高精度に推定できる。それ故、作業者は、バックラッシ量を測定する目的で製造ラインを止めることなく、通常の定期点検の際に駆動機構の劣化状態を診断できる。作業者は、製造ライン全体に影響を及ぼす故障が生じる前に、問題を見つけて修理できる。送り駆動装置のバックラッシ量検知装置は、サーボモータを制御する制御部を用いて、相関データの取得及びバックラッシ量の推定演算を行うこともできる。
本発明の第四の態様に係る送り駆動装置のバックラッシ量検知装置は、被駆動体と、前記被駆動体を直線的に移動駆動させる為のボールねじ機構と、前記ボールねじ機構のボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、前記サーボモータを駆動制御する制御部とを有する送り駆動装置における運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを検知するバックラッシ量検知装置であって、前記制御部に前記サーボモータを駆動制御させることで、位置指令の周波数変化させ正弦波往復運動を前記ボールねじ機構を介して前記被駆動体に行わせて、位置フィードバックの実績値の振幅と前記周波数相関関係を示す第一相関データと、モータトルクの指令値の振幅前記周波数相関関係を示す第二相関データとを取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得した前記第一相関データ及び前記第二相関データを用いて前記運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを推定するバックラッシ量演算部と、を備えている。
本発明の第四の態様に係る送り駆動装置のバックラッシ量検知装置では、運動伝達系に存在するバックラッシを、特別な測定器を使うことなく、簡単に短時間で、かつ高精度に推定できる。
本発明の第三の態様に係る送り駆動装置のバックラッシ量検知装置では、前記データ取得部は、前記制御部にサーボモータを駆動制御させることで、前記位置指令の周波数一定で且つ振幅徐々に変化させる前記正弦波往復運動を前記ボールねじ機構を介して前記被駆動体に行わせて前記相関データを取得し、前記バックラッシ量演算部は、前記データ取得部が取得した前記相関データに基づいて、前記モータトルクの指令値の振幅の変化率が所定の値と等しい又は所定の値より大きいときの前記位置フィードバックの実績値の振幅をバックラッシの大きさとして推定してもよい。
この場合、モータトルクの振幅が急変するときの位置フィードバックの振幅を精度良く検知できる。それ故、送り駆動装置のバックラッシ量検知装置は、バックラッシ量を精度良く検知することができる。
本発明の第四の態様に係る送り駆動装置のバックラッシ量検知装置では、前記データ取得部は、前記位置指令の振幅一定で且つ周波数徐々に変化させる前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせて前記第一相関データ及び前記第二相関データを取得し、前記バックラッシ量演算部は、前記データ取得部が取得した前記第二相関データに基づいて、前記モータトルクの指令値の振幅が摩擦トルクと同値又は摩擦トルクより大きい値となる周波数のうち、前記モータトルクの指令値の振幅が極大となる周波数である第一周波数を求める第一周波数決定部と、前記データ取得部が取得した前記第二相関データに基づいて、前記第一周波数と同値又は前記第一周波数よりも大きい周波数のうち、前記モータトルクの指令値の振幅が最小となる周波数である第二周波数を求める第二周波数決定部と、前記データ取得部が取得した前記第一相関データから、前記第二周波数決定部が求めた前記第二周波数のときの前記位置フィードバックの実績値の振幅をバックラッシの大きさとして推定する推定部とを備えてもよい。
この場合、第一周波数と同値又は第一周波数よりも大きい周波数のうち、モータトルクの振幅が最小となる周波数を精度よく検知することができる。それ故、バックラッシ量を精度良く検知することができる。
本発明の第三又は第四の態様に係る送り駆動装置のバックラッシ量検知装置では、前記データ取得部は、前記運動伝達系に存在する摩擦力よりも大きい慣性力が発生する条件下で前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせてデータを取得してもよい。
この場合、運動伝達系に存在する摩擦力よりも大きい慣性力が発生する条件下で正弦波往復運動を被駆動体に行わせるので、摩擦力の影響を軽減することができる。
実施例に係るマシニングセンタの正面図である。 機械本体の斜視図である。 主軸ヘッド及び自動工具交換装置などの側面図である。 マシニングセンタの数値制御装置のブロック図である。 送り駆動機構の模式図である。 輪郭運動精度の測定結果(正常状態)を示す説明図である。 輪郭運動精度の測定結果(バックラッシあり状態)を示す説明図である。 ステップ応答のシミュレーション結果の線図である。 ステップ応答の実験結果の線図である。 ステップ応答時のモータトルク指令のシミュレーション結果の線図である。 ステップ応答時のモータトルク指令の実験結果の線図である。 バックラッシのばね特性を考慮した送り駆動機構の力学的モデルの説明図である。 周波数10Hzで振幅を変化させたときのサーボデータ(位置指令と位置フィードバック)を示すタイムチャートである。 周波数10Hzで振幅を変化させたときのサーボデータ(モータトルク指令)を示すタイムチャートである。 周波数50Hzで振幅を変化させたときのサーボデータ(位置指令と位置フィードバック)を示すタイムチャートである。 周波数50Hzで振幅を変化させたときのサーボデータ(モータトルク指令)を示すタイムチャートである。 周波数を固定して振幅を変化させた場合における位置フィードバックの振幅とモータトルク指令の振幅の相関データを示す線図である。 周波数を固定して振幅を変化させた場合における位置フィードバックの振幅とモータトルク指令の振幅の相関データを示す線図である。 X軸のモータトルク指令の振幅の微分を示す線図である。 Y軸のモータトルク指令の振幅の微分を示す線図である。 X軸のモータトルク指令の振幅の2階微分を示す線図である。 Y軸のモータトルク指令の振幅の2階微分を示す線図である。 周波数を固定して振幅を変化させる往復運動からデータを取得するデータ取得制御のフローチャートである。 図23のデータ取得制御で取得したモータトルク指令と位置フィードバックのデータ例を示す図表である。 図23のデータ取得制御に続くデータ取得制御とバックラッシ量推定演算処理のフローチャートである。 負荷質量0kgの場合のバックラッシ量の実験値と推定値を示す図表である。 実測バックラッシ量40μmの場合の負荷質量とバックラッシ量の推定値を示す図表である。 位置指令の振幅を固定して周波数を変化させたときのサーボデータ(位置フィードバック)のタイムチャートである。 位置指令の振幅を固定して周波数を変化させたときのサーボデータ(モータトルク指令)のタイムチャートである。 周波数を変化させた場合における位置フィードバックの振幅を示す線図である。 周波数を変化させた場合におけるモータトルク指令を示す線図である。 周波数を変化させた場合における位置フィードバックの振幅を示す線図である。 周波数を変化させた場合におけるモータトルク指令を示す線図である。 位置指令の振幅を固定して周波数を変化させる往復運動からデータを取得するデータ取得制御のフローチャートである。 図34に続くデータ取得制御とバックラッシ量推定演算処理のフローチャートである。 周波数を変化させる方法によるバックラッシ量推定結果を示す図表である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例に基づいて説明する。
最初に、マシニングセンタ1(数値制御工作機械)の構成について説明する。
図1、図2に示すように、マシニングセンタ1は、ワークと工具とをXYZ直交座標系における各軸方向へ独立に相対移動させることで、ワークに所望の機械加工(例えば、「フライス削り」、「穴空け」、「切削」等)を施すことができる工作機械である。マシニングセンタ1は、ベース2と、機械本体3(図2参照)と、スプラッシュカバー4とを主に備えている。ベース2は、鋳鉄製の基台である。機械本体3はベース2の上部に位置し、ワークの切削加工を行う。スプラッシュカバー4は箱状であり、機械本体3とベース2の上部を覆う。
ベース2はY軸方向に長い略直方体状の鋳造品である。ベース2の下部の四隅には、高さ調節が可能な脚部2aを夫々設けている。
機械本体3(図2参照)の加工領域は、スプラッシュカバー4の内側に設けている。スプラッシュカバー4の前面には開口部を設けている。開口部には、1対のスライド式の開閉扉5,6を設けている。開閉扉5,6には、矩形状のガラス窓部5a,6aを夫々設けている。開閉扉5,6には取っ手部5b,6bを設けている。取っ手部5b,6bを互いに離れる方向に開くことで開口部が開口し、作業者は、ベース2の上に固定した被駆動体としてのテーブル10(図2参照)に対してワークの着脱を行う。
操作パネル80は、前記開口部の右側に設けている。操作パネル80は、テンキー、各種操作キーを備えたキーボード81を備えている。操作パネル80は、キーボード81の上部に、設定画面又は実行動作を表示するための液晶ディスプレイ82を備えている。作業者は、操作パネル80のディスプレイ82を確認してキーボード81を操作することで、ワーク加工を実行する加工プログラム、及び各種パラメータ等を設定することができる。
次に、機械本体3について説明する。
図2に示すように、機械本体3は、コラム16と、主軸ヘッド7と、主軸(図示外)と、工具交換装置(ATC)20と、テーブル10とを主に備えている。コラム16は、ベース2の後部のコラム座部23の上面に固定し、鉛直上方に延びる。主軸ヘッド7は、コラム16の前面に沿って昇降可能であり、内部に主軸を回転可能に支持している。工具交換装置20は、主軸ヘッド7の右側に位置し、主軸の先端に保持してある工具ホルダと他の工具ホルダとを交換する。テーブル10は、ベース2の上部に位置し、ワークを着脱可能に固定する。箱状の制御ボックス19は、コラム16の後部側に設けている。制御ボックス19は、その内部に、マシニングセンタ1の動作を制御する数値制御装置50を備えている。
次に、テーブル10の移動機構について説明する。
図2に示すように、テーブル10は、サーボモータからなるX軸モータ71(図4参照)及びY軸モータ72(図4参照)を用いて、X軸方向(機械本体3の左右方向)及びY軸方向(機械本体3の奥行き方向)に移動する。移動機構は以下の構成からなる。直方体状の支持台12は、テーブル10の下側に設けている。支持台12は、その上部に、X軸方向に沿って延びる1対のX軸送りガイドレールを設けている。1対のX軸送りガイドレールは、その上部に、テーブル10を移動可能に支持している。
支持台12は、ベース2の上部に位置している。ベース2は、その上部に、長手方向に沿って延びる1対のY軸送りガイドレールを設けている。1対のY軸送りガイドレールは、支持台12を上部に移動可能に支持している。以上の構成で、テーブル10は、支持台12に設けたX軸モータ71で、X軸送りガイドレールに沿ってX軸方向に移動する。テーブル10は、ベース2に設けたY軸モータ72で、Y軸送りガイドレールに沿ってY軸方向に移動する。
テレスコピック式に収縮するテレスコピックカバー13,14は、X軸送りガイドレールを覆う。テレスコピックカバー15とY軸後ろカバーは、Y軸送りガイドレールを覆う。テーブル10がX軸方向及びY軸方向の何れの方向に移動した場合でも、テレスコピックカバー13,14,15及びY軸後ろカバーが、常にX軸送りガイドレール及びY軸送りガイドレールを覆う。
次に、主軸ヘッド7の昇降機構について説明する。
図2,図3に示すように、コラム16の前面側で上下方向に延びるガイドレールが、リニアガイドを介して主軸ヘッド7を昇降自在に支持している。主軸ヘッド7は、コラム16の前面側に上下方向に延びるように設けた送りネジに対してナットで連結している。送りネジをZ軸モータ73(図4参照)で正逆方向に回転駆動することで、主軸ヘッド7が上下方向に昇降駆動する。サーボアンプ63が、数値制御装置50のCPU51からの制御信号に基づいてZ軸モータ73を駆動することで、主軸ヘッド7が昇降駆動する。
工具交換装置20は、工具マガジン21及び工具交換アーム22等を備えている。工具マガジン21は、工具26を支持する工具ホルダを複数格納する。工具交換アーム22は、工具ホルダを把持して搬送する。工具マガジン21の内側には、工具ホルダを支持する複数の工具ポットと、該工具ポットを工具マガジン21内で搬送する搬送機構とを設けている。
次に、マシニングセンタ1の電気的構成について説明する。
図4に示すように、制御部としての制御装置50は、マイクロコンピュータを含み、入出力インタフェース54と、CPU51と、ROM52と、RAM53と、軸制御回路61a〜64a,75aと、サーボアンプ61〜64と、電流検出器61b〜64bと、微分器71b〜74bとを備えている。サーボアンプ61〜64は、夫々X軸モータ71、Y軸モータ72、Z軸モータ73、主軸モータ74に接続している。軸制御回路75aはマガジンモータ75に接続している。
X軸モータ71、Y軸モータ72は、テーブル10をX軸方向、Y軸方向に移動させる為のものである。マガジンモータ75は、工具マガジン21を回転移動させる為のものである。主軸モータ74は、主軸を回転させる為のものである。X軸モータ71、Y軸モータ72、Z軸モータ73、主軸モータ74は、夫々エンコーダ71a〜74aを備えている。
軸制御回路61a〜64aは、CPU51からの移動指令量を受けて、電流指令(モータトルク指令)をサーボアンプ61〜64に出力する。サーボアンプ61〜64は、電流指令を受けてモータ71〜74に駆動電流を出力する。軸制御回路61a〜64aは、エンコーダ71a〜74aから位置フィードバックの信号を受けて、位置のフィードバックの制御を行う。微分器71b〜74bは、エンコーダ71a〜74aから受けた位置フィードバックの信号を微分して速度フィードバックの信号に変換し、軸制御回路61a〜64aに速度フィードバック信号を出力する。
軸制御回路61a〜64aは、微分器71b〜74bから速度フィードバック信号を受けて、速度フィードバックの制御を行う。電流検出器61b〜64bは、サーボアンプ61〜64がモータ71〜74に出力する駆動電流を検出する。電流検出器61b〜64bは、検出した駆動電流を軸制御回路61a〜64aにフィードバックする。軸制御回路61a〜64aは、電流検出器61b〜64bがフィードバックした駆動電流で、電流(トルク)の制御を行う。
一般的に、モータ71〜74に流れる駆動電流とモータ71〜74にかかる負荷トルクは概略一致する。それ故、モータ71〜74に流れる駆動電流を検出する電流検出器61b〜64bで、モータ71〜74にかかる負荷トルクを検出することができる。軸制御回路61a〜64aは、CPU51からの移動指令量を受けて、マガジンモータ75を駆動する。制御装置50には、報知機構としての表示器82と、操作キー等を備えた操作入力部81とが接続している。
次に、前記のマシニングセンタ1に本発明を適用した場合の実施例1について詳しく説明する。図5に示すように、X軸送り駆動機構は、サーボモータ71(X軸モータ)の回転運動を、ボールねじ機構を構成するボールねじシャフト76及びナット77を介して直進運動に変換し、テーブル10を駆動する。ベアリング78は、ボールねじシャフト76の軸方向の移動を拘束している。上述したサーボモータ71の回転運動を直進運動に変換してテーブル10を駆動する系を、運動伝達系と称す。X軸送り駆動機構とは、サーボモータ(X軸モータ71)と、ベアリング78と、ボールねじシャフト76と、ナット77と、テーブル10とを示す。X軸送り駆動装置とは、X軸送り駆動機構に、制御装置50を接続したものを示す。
マシニングセンタ1は、同様の構造のX,Y,Z軸方向の3組の送り駆動機構を組み合わせることで、3次元の切削加工を行うことができる。送り駆動機構の送り運動の精度(以降、送り精度と称す)が低下すると、切削加工の精度は低下する。ベアリング78とボールねじシャフト76との間、及びボールねじシャフト76とナット77との間に、摩耗等の理由でバックラッシが存在する場合、送り駆動機構は、テーブル10の軸方向の運動を拘束できず、送り精度が低下する。
発明者は、送り駆動装置における運動伝達系に存在するバックラッシがマシニングセンタ1の送り精度に与える影響を調べた。図6、図7は、JIS(日本工業規格) B6336-7 で規定した形状に基づいて送り駆動機構を動作した場合の結果である。図6が、バックラッシのない正常状態の場合である。図7は、X軸方向の送り駆動装置にバックラッシが存在する場合である。これらの図からわかるように、バックラッシが存在すると送り精度が大きく低下する。
ボールねじシャフト76の回転角度を直進運動に変換した量(変位換算量)がバックラッシ量よりも小さい場合には、テーブル10は動かずにX軸モータ71とボールねじシャフト76のみが回転する。それ故、X軸モータ71に作用する摩擦トルクは、テーブル10の運動に起因する成分を含まない。ボールねじシャフト76の回転角度の変位換算量がバックラッシ量よりも大きくなると、テーブル10が運動する。それ故、X軸モータ71に作用する摩擦トルクは、テーブル10に作用する摩擦力に起因する成分も含む。
以上の仮定に基づいて、発明者は、ステップ応答のシミュレーションと実験とを行い、バックラッシ量を推定できるか検討した。シミュレーションは,論文「垣野ほか,NC工作機械における送り駆動系のトータルチューニングに関する研究(第1報),精密工学会誌,Vol.60,No.8 (1994) pp.1097-1101.」が開示しているモデルを参考にして行った。実験に使用した送り駆動装置は、ベアリング78とボールねじシャフト76との間に約10μm、ボールねじシャフト76とナット77との間に約20μmのバックラッシ量を有している。シミュレーションでも同程度のバックラッシ量を想定した。図8、図9は、ステップ応答のシミュレーション結果と実験結果を示す。位置指令は、0μmから50μmまで、10μmずつ階段状に変化させて与えている。図中、実線が位置指令を示し、破線がテーブル10の位置を示す。
図8のシミュレーション結果によると、位置指令がバックラッシ量の30μmよりも小さい、又はバックラッシ量と同じ30μmである間は、テーブル10は殆ど動かない。位置指令が30μmを超えると、テーブル10が動く。これに対し、図9の実験結果によると、実際には、位置指令がバックラッシ量より小さい場合にも、テーブル10は少しずつ移動していることがわかる。
図10、図11は、夫々、図8、図9の運動を行っているときのモータトルク指令のシミュレーション結果と実験結果である。図10のシミュレーション結果では、位置指令が、バックラッシ量より大きい40μm及び40μmより大きい値となると、モータトルク指令が倍以上になっている。これに対し、図11の実験結果では、位置指令の増加とともにモータトルク指令も徐々に増加し、バックラッシ量との明確な関係はない。
実験結果とシミュレーション結果とで違いがあるのは、位置指令がバックラッシ量より小さい領域では、変位に依存するばね特性があることが理由であると考える。即ち、バックラッシが存在していたとしても、実際には機械的な接触が全くなくなることはない。それ故、ベアリング78とボールねじシャフト76との間、及びボールねじシャフト76とナット77との間に鋼球、グリース等が介在することは、送り駆動機構がばね特性を有することである。テーブル10の直進運動を案内しているリニアガイドの摩擦特性は、数100μm以下の変位領域で変位に依存する非線形ばね特性を示すことが分かっている(例えば,佐藤ほか:直動転がり案内における摩擦特性の実験的挙動解析,日本機械学会論文集(C 編),Vol.73,No.734,(2007),pp.2811-2819.)。
図12は、以上の特性を考慮した送り駆動機構の力学的モデルである。バックラッシが存在するベアリング78とボールねじシャフト76との間、及びボールねじシャフト76とナット77との間は、バックラッシ量より小さい領域において、変位に依存する非線形なばね特性をもつ。テーブル10を案内するリニアガイドの摩擦特性も、微小変位領域では変位に依存するばね特性をもち、ある変位以上で摩擦力が飽和する。
図12のモデルから、微小変位領域(バックラッシ内を移動する)では変位の釣り合いの式(1)を得る。式(1)は、ベアリング78とボールねじシャフト76との間、及びボールねじシャフト76とナット77との間の軸方向のばね復元力の合計と、リニアガイドで生じる非線形な摩擦特性による力との釣り合いを示す。式(1)が成り立つ場合に、バックラッシ量より小さい指令でもテーブルが動くことになる。
Kb(Xs)・Xs+Ka(Xn)・Xn=ft(Xt) (1)
Xn = Xt−(L/2π)θs−Xs (2)
Kb(Xs)は、ボールねじシャフト76の軸方向の変位Xsを変数とした非線形の関数であり、ベアリング78とボールねじシャフト76との間の軸方向ばね剛性を示す。
Ka(Xn)は、ボールねじシャフト76を基準としたナット77の変位Xnを変数とした非線形の関数であり、ボールねじシャフト76及びナット77の軸方向ばね剛性を示す。
ft(Xt)は、テーブル変位Xtを変数とした非線形の関数であり、リニアガイドの摩擦力を示す。
Kb:ベアリング78とボールねじシャフト76との間の軸方向ばね剛性[N/m]
Xs:ボールねじシャフト76の軸方向変位[m]
Ka:ボールねじシャフト76とナット77との間の軸方向ばね剛性[N/m]
Xn:ボールねじシャフト76を基準としたナット77の変位[m]
L:ボールねじシャフト76のリード[m]
θs:ボールねじシャフト76の回転角度[rad]
ft:リニアガイドの摩擦力[N]
Xt:テーブル変位[m]
Bb:ベアリング78のバックラッシ量[m]
Bn:ボールねじシャフト76とナット77との間のバックラッシ量[m]
R:R=L/2π
以上のように、微小変位領域における非常に低速のテーブル10の移動では、バックラッシ内部に存在するばね特性、及びリニアガイドに存在する非線形な摩擦特性が影響する。それ故、モータトルク指令からバックラッシ量を推定することは難しい。
例えば、テーブル10が動かないように固定してX軸モータ71を駆動した場合、位置指令がバックラッシ量を超えたところでモータトルク指令が大きくなる。それ故、モータトルク指令が変化したときの変位からバックラッシ量を推定できると推測する。しかし、上記の方法を実施することは、現実的には難しい。
以上の理由から、バックラッシ量を推定する方法は、テーブル10の慣性力を利用することが有効である。バックラッシ内部に存在するばね特性の力よりも大きい慣性力が発生する条件でテーブル10を駆動した場合、変位がバックラッシ量より小さい領域(微小変位領域)では、テーブル10は動かない。変位がバックラッシ量よりも大きい領域では、テーブル10も動く。それ故、テーブル10が動くときのモータトルク指令の変化からバックラッシ量を推定できると考える。
慣性力を発生させるには加速度を与えることが必要である。加速度を与えるには、正弦波往復運動を実施することが有効である。正弦波往復運動を実施すると、変位が最大になるときに加速度は最大になる。
図13、図14は、約20μmのバックラッシが存在する送り駆動機構において、周波数を10Hzに固定し、位置指令の振幅が20〜520μmまで20μm刻みで段階的に変化する運動を行った結果である。図13は、位置指令、及び位置フィードバックの測定結果を示す。図14は、モータトルク指令の測定結果を示す。各振幅では5往復、つまり0.5秒間の正弦波往復運動を実施している。位置フィードバックとは、モータ端に設けたロータリエンコーダ71aが出力する回転角度を、テーブル変位に換算したものである。
図13に示すように、位置フィードバックの振幅は、位置指令の振幅に比べて小さい。この原因は、制御系の応答遅れであり、一般的な現象である。
図14に示すように、モータトルク指令の振幅は、位置フィードバックの振幅の変化(慣性力の変化)に関係なくほぼ一定である。
運動中のモータトルク指令には、送り駆動機構に作用する摩擦力、及び慣性力の両方が影響する。別途行った測定では、等速運動中のモータトルク指令の値は0.5〜1.0Nmであった。図14に示すように、モータトルク指令の振幅の値はほぼ1.0Nmである。それ故、10Hzの往復運動では慣性力よりも摩擦力による影響が支配的となり、バックラッシによる影響が現れにくいと推定する。
図15、図16には、図13、図14と同じ測定実験を周波数50Hzで行った場合の結果を示す。各振幅での往復運動は、0.5秒ずつ行っている。図15に示すように、位置フィードバックの振幅は、周波数が10Hzである場合(図13参照)と比べて小さい。この原因は、制御系の応答遅れである。図16に示すように、周波数が10Hzである場合の結果(図14参照)とは大きく異なり、2秒付近でモータトルク指令の振幅が急激に大きくなる。以後、モータトルク指令の振幅は直線的に大きくなっている。
この原因は、2秒付近で位置フィードバックの振幅がバックラッシ量を上回り、以後はテーブル10も一緒に運動することにある。それ故、モータトルク指令は、位置フィードバックの振幅の増加に伴い慣性力が増加することで大きくなる。2秒経過前は、位置フィードバックの振幅がバックラッシ量より小さい。それ故、モータ71及びボールねじシャフト76のみが運動し、慣性力が小さい。以上のように、慣性力が支配的な状況で運動を行うと、バックラッシによる影響がモータトルク指令に明確に現れる。
質量Mのテーブル10に振幅A、角振動数ωの往復運動を実施したときの慣性力Fは、式(3)となる。慣性力Fは、角振動数ωの2乗に比例する。式(3)が表す慣性力Fが、摩擦力、及びバックラッシが持つばね特性の力よりも十分大きくなる条件を決めて往復運動を実施すれば、バックラッシによる影響がモータトルク指令に現れる。
F=−MAω2sinωt (3)
図15、図16と同じ実験を、バックラッシがない正常状態、約40μmのバックラッシが存在する状態、約50μmのバックラッシが存在する状態の3通りの場合について行った。図17は、前述した実験における位置フィードバックの振幅とモータトルク指令の振幅との相関関係を示す。図17に示すように、バックラッシがない場合には、位置フィードバックの振幅と、モータトルク指令の振幅とが比例関係にある。バックラッシが存在する場合には、バックラッシ量に相当する位置フィードバックの振幅、及びバックラッシ量よりも大きい位置フィードバックの振幅となると、モータトルク指令の振幅が急激に大きくなっている。
図18は、テーブル10に配置する負荷質量を変えて上記の実験を行った場合の実験結果を示す。実験は、約40μmのバックラッシが存在する状態で行った。図18に示すように、テーブル10に配置する負荷質量が増えると、モータトルク指令の振幅は、位置フィードバックの振幅がバックラッシ量より大きい領域で増大する。反対に、モータトルク指令の振幅が変化する変位は、テーブル10に配置する負荷質量が増えても変化がない。
以上の結果から、モータトルク指令の振幅が大きく変化するときの位置フィードバックの振幅に基づいて、送り駆動機構に存在するバックラッシの大きさ(バックラッシ量)を推定することができる。モータトルク指令の振幅は、バックラッシ量を境にステップ状に変化するのではなく、位置フィードバックの振幅の増加に従って緩やかに変化している。原因は、バックラッシが存在する場合のばね特性が、変位の関数として滑らかに変化していることによると考える。
図17、図18に示すような結果からバックラッシ量を推定する方法はいくつか考え得る。本実施例では、モータトルク指令の振幅の2階微分を使ってバックラッシ量を推定する。図19、図20は、図17の結果からモータトルク指令の微分(時間微分)を計算した結果を示す。図19は、X軸の送り駆動機構についての結果である。図20は、Y軸の送り駆動機構についての結果である。マシニングセンタ1では、Y軸送り駆動機構の上にX軸送り駆動機構を配置している。それ故、Y軸の被駆動体の質量は、X軸の被駆動体の質量と比べてかなり大きい。Y軸の送り駆動機構にバックラッシは存在していない。
図19によれば、バックラッシが存在する場合、モータトルク指令の振幅の微分は、位置フィードバックの振幅がバックラッシ量に相当するときに大きい。言い換えると、モータトルク指令の振幅は、バックラッシ量に相当する位置フィードバックの振幅時に急激に変化している。それ故、モータトルク指令の振幅の微分が最大になるときの位置フィードバックの振幅を、バックラッシ量の推定値とすることもできる。しかし、単に微分の最大値をみてバックラッシ量を推定すると、実際にはバックラッシが存在しない場合にもバックラッシ量を推定することになる。例えば、図19に示したバックラッシがない場合の結果を見ると、位置フィードバックの振幅が約120μmであるときに微分が最大になる。この場合、バックラッシが存在しないにも関わらず、バックラッシ量が120μmであると誤って推定することとなる。
誤った推定の実行を防止するために、閾値を設定する。モータトルク指令の振幅の微分の最大値が閾値以下ならば、バックラッシが存在しないと判定する。図19の結果の場合、閾値を1に設定すれば、実際にバックラッシが存在する場合のみバックラッシ量を推定できる。しかし、図20に示すY軸の送り駆動機構についての結果をみると、Y軸にはバックラッシが存在しないにも関わらず、モータトルク指令の振幅の微分が閾値を超えている。その原因は、Y軸の負荷質量が大きく、慣性力が大きいためである。
モータトルク指令の振幅の微分からバックラッシ量を推定する場合、被駆動体の質量に応じてバックラッシ判定の閾値を変える必要がある。それ故、実用上は不便である。図21には、X軸の送り駆動機構について、位置フィードバックの振幅と、モータトルク指令の振幅の2階微分との関係を示す。図22には、Y軸の送り駆動機構について位置フィードバックの振幅と、モータトルク指令の振幅の2階微分との関係を示す。モータトルク指令の振幅の2階微分は、質量の大きいY軸送り駆動機構においても、設定した閾値以内に収まっている。それ故、モータトルク指令の振幅の2階微分を用いれば、閾値を変えることなく、バックラッシ量を推定することができる。
以上のことから、運動伝達系に存在するバックラッシ量を推定する処理のフローチャート(図23、図25参照)を作成した。
図23のデータ取得制御、及び図25のバックラッシ量推定演算処理の制御プログラムは、ROM52に予め格納している。制御装置50が、軸制御回路61a,62a、及びサーボアンプ61,62を介してX軸、Y軸のモータ71,72を制御する。制御装置50は、周波数を固定して振幅が変化する正弦波往復運動をX軸、Y軸の送り駆動機構に実行する。図23、図25のフローチャート中の符号Si(i=1,2,・・)は、各ステップを示す。
図23に示すフローチャートは、制御装置50に操作入力部81からの所定の開始指令を入力すると実行する。CPU51は、位置指令の振幅Xを20μm(初期値)に設定する(S1)。CPU51は、周波数50Hz、位置指令の振幅Xμmの往復運動を、X軸、Y軸の送り駆動機構に実行する(S2)。
CPU51は、モータトルク指令の値、及び位置フィードバックの値を、1msec周期で取得し、RAM53に格納する(S3)。モータトルク指令、位置フィードバックの値は、軸制御回路61a,62aが入出力するデータから取得することができる。図24は、S3において取得した値の例を示す。
CPU51は、0.5秒が経過したか否かを判定する(S4)。経過していない場合(S4:No)、S2へ戻る。経過している場合(S4:Yes)、CPU51は、位置指令の振幅が520μm又は520μmより大きいか否かを判定する(S5)。520μmより小さい場合(S5:No)、CPU51は、位置指令の振幅Xを20μmインクリメントし(S6)、S2へ移行する。位置指令の振幅が520μm又は520μmより大きい場合(S5:Yes)、必要なデータを取得したので、処理を終了する。
次に、図25のフローチャートについて説明する。
図25に示すバックラッシ量推定演算処理は、操作入力部81から所定の開始指令を入力すると、CPU51が実行する。CPU51は、データ取得制御(図23参照)で取得した値から、位置フィードバックの振幅とモータトルク指令の振幅との相関関係を示す相関データを算出する。CPU51は、算出した結果を時系列に沿ってRAM53に格納する(S10)。図17は、算出した相関データを示す図である。図23の制御、及びS10の制御を実行する制御装置50がデータ取得部に相当する。
CPU51は、位置フィードバックの振幅とモータトルク指令の振幅との相関データを処理し、モータトルク指令の振幅の2階微分を算出する(S11)。図21、図22は、モータトルク指令の振幅の2階微分をグラフ化した図である。微分とは、S10において時系列に沿って記憶した演算結果について、隣り合う値の差分値を求めることである。2階微分とは、微分で求めた値の差分を求めることである。
CPU51は、モータトルク指令の振幅の2階微分の最大値が所定の閾値又は閾値より大きいか判定する(S12)。所定の閾値は、例えば1.0Nmである。CPU51は、閾値未満と判定した場合には(S12:No)、機械は正常(有害なバックラッシが存在しない)と判断し(S13)、処理を終了する。
CPU51は、2階微分の最大値が所定の閾値又は閾値より大きいと判定した場合には(S12:Yes)、モータトルク指令の振幅の2階微分が最大となるデータ番号NをRAM53に格納する(S14)。CPU51は、データ番号Nの位置フィードバックの振幅をバックラッシ量Bと推定する(S15)。CPU51は、Bmmのバックラッシ量を検出した旨のメッセージを表示器82に表示出力し、Bmmのバックラッシ量を検出したことをRAM53に記憶する(S16)。S16の後、この制御は終了する。図25のS11〜S16の制御を実行する制御装置50がバックラッシ量演算部に相当する。
本実施例においては、2階微分が最大となるときを、モータトルク指令の振幅が急激に変化したときとしている。精度が低くても問題がない場合は、2階微分を用いずに微分を用いてもよい。その場合、RAM53に格納したモータトルク指令の振幅の差分が最大となるときを、急激に変化したときと判断する。
図26は、バックラッシ量の異なる送り駆動機構について実験した結果を示す。図26に示すように、実測値との間の誤差を10μm以内としてバックラッシ量を推定することができた。図27は、約40μmのバックラッシをもつ送り駆動機構において、テーブル10にのせる負荷質量を4通りに変えた場合の実験結果を示す。図27によれば、負荷質量の違いがバックラッシ量の推定結果に影響する。
以上説明したように、制御装置50は、周波数が一定で振幅が徐々に大きくなる正弦波往復運動をテーブル10に実行させて、位置フィードバックの振幅とモータトルク指令の振幅との関係からバックラッシ量を推定する。実施例1では、往復運動の位置指令の振幅を20μmから520μmまで段階的に変化させたが、往復運動の位置指令の振幅を連続的に変化させてもよい。往復運動の位置指令の振幅は、振幅を大きくしていくのではなく、小さくしていってもよい。往復運動の位置指令は、振幅及び周波数の両方を変化させてもよい。
制御装置50は、サーボモータ71,72を駆動制御し、モータトルク指令及び位置フィードバックのサーボデータを取得する。制御装置50は、取得したデータから、位置フィードバックの振幅とモータトルク指令の振幅との相関データを取得する。制御装置50は、取得した相関データを解析することでバックラッシ量を推定する。それ故、作業者は、運動伝達系に存在するバックラッシを、特別な測定器を使うことなく、簡単に短時間で、かつ高精度に推定できる。制御装置50は、モータトルク指令の振幅の2階微分を算出して、2階微分が最大となる位置フィードバックの振幅をバックラッシ量として推定する。それ故、制御装置50は、負荷質量の大小に関係しない閾値を用いて、バックラッシ量の存在を判定することができる。
制御装置50は、振幅が徐々に変化する往復運動を実行させるので、モータトルク指令の変化率が大きいときの位置フィードバックの振幅を精度良く検知することができる。
実施例2では、位置指令の振幅を変化させるのではなく、位置指令の振幅は一定として周波数を段階的に徐々に変化させる往復運動をテーブル10に行わせる方法を採用した。一定の振幅を指令したとしても、制御系の特性の影響で、実際には周波数によって位置フィードバックの振幅が変化する。それ故、振幅を徐々に変化させる場合と同じ効果を得ることができる。
周波数が高いときに位置フィードバックの振幅が小さくなるので、結果的に、小さい振幅の運動でも相応の加速度を発生させることができる。それ故、小さいバックラッシ量の検出が可能になると考える。
図28、図29は、位置指令の振幅を0.1mmとし、周波数を10Hzから260Hzまで段階的に変化させて往復運動を行った場合の結果を示す。図28は、位置フィードバック(変位)の測定結果である。図29は、モータトルク指令の測定結果である。図28、図29によれば、周波数の変化に伴って位置フィードバック及びモータトルク指令の振幅が段階的に変化していることがわかる。
図28、図29と同じ実験を、バックラッシがない正常状態、バックラッシ量が約10μmの状態、バックラッシ量が約30μmの状態の3通りの送り駆動機構について行った。同実験の結果から、各周波数における位置フィードバックの振幅及びモータトルク指令の振幅を求めた。図30に、横軸を周波数として位置フィードバックの振幅をプロットした結果を示す。図31に、横軸を周波数としてモータトルク指令の振幅をプロットした結果を示す。
図30によれば、周波数が高くなればなるほど位置フィードバックの振幅が小さくなることがわかる。図31では、モータトルク指令の振幅は、ある周波数までは大きくなる。モータトルク指令の振幅は、極大値をとった後は減少に転じ、その後再び増加している。モータトルク指令の振幅が極大になる周波数、及び極小になる周波数が、機構に存在するバックラッシの大きさによって変化していることがわかる。
即ち、振幅が大きい低周波数域ではテーブル10も一緒に運動している。周波数が高くなると、慣性力が増加してモータトルク指令が大きくなる。さらに周波数が高くなると、位置フィードバックの振幅がバックラッシ量より小さくなり、モータの回転運動がテーブルまで伝わらなくなる。それ故、モータトルク指令の振幅が減少する。それ以上周波数を上げると、位置フィードバックの振幅はさらに小さくなるが、モータ及びボールねじシャフトの慣性モーメントの影響で、モータトルク指令の振幅が増加する。
以上のことから、モータトルク指令の振幅が極小になるときの位置フィードバックの振幅がバックラッシ量に相当すると考える。図32は、約25μmのバックラッシが存在する状態でテーブル10に負荷質量を与えた実験での、位置フィードバックの振幅の測定結果を示す。図33は、前述した実験におけるモータトルク指令の振幅の測定結果を示す。図32、図33によれば、モータトルク指令の振幅が極小となる80Hzよりも周波数が高い領域では、モータトルク指令の振幅は、負荷質量が変化しても変化していない。
周波数が80Hzよりも低い領域では、モータトルク指令の振幅は、負荷質量を増やすと増加しているので、テーブル10が往復運動していることがわかる。即ち、図33から、モータトルク指令の振幅が極小となる周波数が80Hzであることがわかる。図32から、周波数が80Hzであるときの位置フィードバックの振幅は25μmと決定できる。この位置フィードバックの振幅25μmをバックラッシ量であると推定することができる。
図34は、データ取得制御処理のフローチャートである。図35は、バックラッシ量推定演算処理のフローチャートである。
データ取得制御処理、バックラッシ量推定演算処理の制御プログラムは、制御装置50のROM52に予め格納している。図34、図35のフローチャート中の符号Si(i=1,2・・)は、各ステップを示すものである。
図34に示すデータ取得制御は、操作入力部81から所定の開始指令を入力すると、CPU51が実行する。CPU51は、周波数Yを10Hz(初期値)に設定する(S20)。CPU51は、周波数YHz、位置指令の振幅0.1mmの往復運動を、X軸の送り駆動機構について実行する(S21)。
CPU51は、モータトルク指令、及び位置フィードバックの値を、1msec周期で取得し、RAM53に格納する(S22)。モータトルク指令、及び位置フィードバックの値は、軸制御回路61aが入出力するデータから取得する。
CPU51は、0.5秒が経過したか否かを判定する(S23)。0.5秒経過していない場合(S23:No)、S21へ戻る。0.5秒経過した場合(S23:Yes)、CPU51は、周波数YHzが260Hz又は260Hzより大きいか否かを判定する(S24)。260Hz未満の場合(S24:No)、CPU51は、周波数Yを10Hzインクリメントし(S25)、S21へ移行する。周波数YHzが260Hz又は260Hzより大きい場合(S24:Yes)、必要なデータを取得したので、CPU51は、処理を終了する。
次に、図35のフローチャートについて説明する。
バックラッシ量推定演算処理は、操作入力部81から所定の開始指令を入力すると、CPU51が実行する。データ取得制御(図34参照)で取得したサーボデータを用いて、CPU51は、位置フィードバックの振幅(図32参照)、及びモータトルク指令の振幅(図33参照)を算出する。CPU51は、算出した結果を時系列に沿ってRAM53に記憶する(S30)。CPU51は、モータトルク指令の振幅が最初に極大になる周波数f1をサーチする(S31)。
CPU51は、周波数f1でのモータトルク指令の振幅が、等速運動時のモータトルク指令の2倍より小さいか否かを判定する(S32)。モータトルク指令の振幅が、等速運動時のモータトルク指令の2倍より小さい場合(S32:Yes)、CPU51は、モータトルク指令の振幅が次に極大になる周波数f1をサーチし(S33)、S34へ移行する。モータトルク指令の振幅が、等速運動時のモータトルク指令の2倍より小さくない場合(S32:No)、CPU51は、そのままS34へ移行する。CPU51は、周波数がf1又はf1より大きく、且つモータトルク指令の振幅が最小になる周波数f2をサーチする(S34)。CPU51は、周波数f2での位置フィードバックの振幅を、バックラッシ量Bと推定する(S35)。
CPU51は、Bmmのバックラッシ量を検出した旨のメッセージを表示器82に表示出力し、Bmmのバックラッシ量を検出したことをRAM53に記憶する(S36)。S36の後、この制御は終了する。図34の制御、及びS30の制御を実行する制御装置50がデータ取得部に相当する。図35のS31〜S36の制御を実行する制御装置50がバックラッシ量演算部に相当する。
上記実施例2では、CPU51は、周波数を10Hzから260Hzまで段階的に変化させたが、連続的に変化させてもよい。周波数は、大きくしていくのではなく、小さくしていってもよい。振幅及び周波数は、両方を変化させてもよい。
図36は、周波数を変化させてバックラッシ量を推定する方法を、種々の状態の送り駆動機構に適用した結果を示す。
図36に示すように、実測値との間の誤差を10μm以内としてバックラッシ量を推定することができた。周波数を変化させる方法では、閾値の設定等に注意を払う必要はないので、より実用的である。
以上説明したように、制御装置50は、振幅が一定で周波数が徐々に大きくなるような正弦波往復運動をテーブル10に実行させる。制御装置50は、モータトルク指令及び位置フィードバックのデータを取得する。制御装置50は、取得したデータから、位置フィードバックの振幅と周波数との相関データ、及びモータトルク指令の振幅と周波数との相関データを算出する。制御装置50は、モータトルク指令の振幅が最小となる周波数のときの位置フィードバックの振幅をバックラッシ量と推定する。それ故、送り駆動装置のバックラッシ量検知方法及びバックラッシ量検知装置は、送り駆動機構に存在するバックラッシの大きさを簡便かつ定量的に精度よく評価できる。送り駆動装置のバックラッシ量検知方法及びバックラッシ量検知装置は、運動伝達系に存在するバックラッシを、特別な測定器を使うことなく、簡単に短時間で、且つ高精度に推定できる。
本実施例では、往復運動として正弦波を用いているが、余弦波を用いてもよい。
本実施例では、モータトルクの振幅として、モータトルク指令の振幅を用いているが、駆動電流値を用いてもよい。
本発明は、サーボモータの回転運動を、運動伝達機構を介して被駆動体に伝える構造をもつ機械装置全般に適用できる。例えば、工作機械、各種搬送装置、各種製造装置、各種ロボット、電動パワーステアリング、航空機の補助翼駆動機構、原子力プラントの燃料棒昇降装置、縫製装置などに適用できる。

Claims (10)

  1. 被駆動体と、前記被駆動体を直線的に移動駆動させる為のボールねじ機構と、前記ボールねじ機構のボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、前記サーボモータを駆動制御する制御部とを有する送り駆動装置における運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを検知するバックラッシ量検知方法であって、
    前記サーボモータによって、前記ボールねじ機構を介して、位置指令の振幅変化させ正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせて、位置フィードバックの実績値の振幅と、モータトルクの指令値の振幅相関関係を示す相関データを取得する第1工程と、
    前記第1工程において取得した前記相関データを用いて、前記位置フィードバックの実績値の振幅と、前記モータトルクの指令値の振幅の関係から前記運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを推定する第2工程と、
    を備えた送り駆動装置のバックラッシ量検知方法。
  2. 被駆動体と、前記被駆動体を直線的に移動駆動させる為のボールねじ機構と、前記ボールねじ機構のボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、前記サーボモータを駆動制御する制御部とを有する送り駆動装置における運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを検知するバックラッシ量検知方法であって、
    前記サーボモータによって、前記ボールねじ機構を介して、位置指令の周波数変化させ正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせて、位置フィードバックの実績値の振幅と前記周波数との相関関係を示す第一相関データと、モータトルクの指令値の振幅と前記周波数との相関関係を示す第二相関データとを取得する第1工程と、
    前記第1工程において取得した前記第一相関データ前記第二相関データを用いて前記運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを推定する第2工程と、
    を備えた送り駆動装置のバックラッシ量検知方法。
  3. 請求項1の発明において、前記第1工程においては前記位置指令の周波数一定で且つ振幅徐々に変化させる前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせ、前記第2工程においては前記モータトルクの指令値の振幅の変化率が所定の値と等しい又は所定の値より大きいときの前記位置フィードバックの実績値の振幅をバックラッシの大きさとして推定する送り駆動装置のバックラッシ量検知方法。
  4. 請求項2の発明において、前記第1工程においては前記位置指令の振幅一定で且つ周波数徐々に変化させる前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせ、前記第2工程においては、前記モータトルクの指令値の振幅が摩擦トルクと同値又は摩擦トルクより大きい値となる周波数のうち、前記モータトルクの指令値の振幅が極大となる周波数である第一周波数を求め、前記第一周波数と同値又は前記第一周波数よりも大きい周波数のうち、前記モータトルクの指令値の振幅が最小となる周波数である第二周波数における前記位置フィードバックの実績値の振幅をバックラッシの大きさとして推定する送り駆動装置のバックラッシ量検知方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1の発明において、前記第1工程において前記運動伝達系に存在する摩擦力よりも大きい慣性力が発生する条件下で前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせる送り駆動装置のバックラッシ量検知方法。
  6. 被駆動体と、前記被駆動体を直線的に移動駆動させる為のボールねじ機構と、前記ボールねじ機構のボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、前記サーボモータを駆動制御する制御部とを有する送り駆動装置における運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを検知するバックラッシ量検知装置であって、
    前記制御部に前記サーボモータを駆動制御させることで、位置指令の振幅変化させ正弦波往復運動を前記ボールねじ機構を介して前記被駆動体に行わせて、位置フィードバックの実績値の振幅と、モータトルクの指令値の振幅相関関係を示す相関データを取得するデータ取得部と、
    前記データ取得部が取得した前記相関データを用いて、前記位置フィードバックの実績値の振幅と、前記モータトルクの指令値の振幅の関係から前記運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを推定するバックラッシ量演算部と、
    を備えた送り駆動装置のバックラッシ量検知装置。
  7. 被駆動体と、前記被駆動体を直線的に移動駆動させる為のボールねじ機構と、前記ボールねじ機構のボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、前記サーボモータを駆動制御する制御部とを有する送り駆動装置における運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを検知するバックラッシ量検知装置であって、
    前記制御部に前記サーボモータを駆動制御させることで、位置指令の周波数変化させ正弦波往復運動を前記ボールねじ機構を介して前記被駆動体に行わせて、位置フィードバックの実績値の振幅と前記周波数相関関係を示す第一相関データと、モータトルクの指令値の振幅前記周波数相関関係を示す第二相関データとを取得するデータ取得部と、
    前記データ取得部が取得した前記第一相関データ及び前記第二相関データを用いて前記運動伝達系に存在するバックラッシの大きさを推定するバックラッシ量演算部と、
    を備えた送り駆動装置のバックラッシ量検知装置。
  8. 請求項6の発明において、前記データ取得部は、前記制御部にサーボモータを駆動制御させることで、前記位置指令の周波数一定で且つ振幅徐々に変化させる前記正弦波往復運動を前記ボールねじ機構を介して前記被駆動体に行わせて前記相関データを取得し、
    前記バックラッシ量演算部は、前記データ取得部が取得した前記相関データに基づいて、前記モータトルクの指令値の振幅の変化率が所定の値と等しい又は所定の値より大きいときの前記位置フィードバックの実績値の振幅をバックラッシの大きさとして推定する送り駆動装置のバックラッシ量検知装置。
  9. 請求項7の発明において、前記データ取得部は、前記位置指令の振幅一定で且つ周波数徐々に変化させる前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせて前記第一相関データ及び前記第二相関データを取得し、
    前記バックラッシ量演算部は、
    前記データ取得部が取得した前記第二相関データに基づいて、前記モータトルクの指令値の振幅が摩擦トルクと同値又は摩擦トルクより大きい値となる周波数のうち、前記モータトルクの指令値の振幅が極大となる周波数である第一周波数を求める第一周波数決定部と、
    前記データ取得部が取得した前記第二相関データに基づいて、前記第一周波数と同値又は前記第一周波数よりも大きい周波数のうち、前記モータトルクの指令値の振幅が最小となる周波数である第二周波数を求める第二周波数決定部と、
    前記データ取得部が取得した前記第一相関データから、前記第二周波数決定部が求めた前記第二周波数のときの前記位置フィードバックの実績値の振幅をバックラッシの大きさとして推定する推定部とを備えた送り駆動装置のバックラッシ量検知装置。
  10. 請求項6乃至9のいずれか1の発明において、前記データ取得部は、前記運動伝達系に存在する摩擦力よりも大きい慣性力が発生する条件下で前記正弦波往復運動を前記被駆動体に行わせてデータを取得する送り駆動装置のバックラッシ量検知装置。
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