JP5493671B2 - 塗料用湿気硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、塗料用湿気硬化性組成物に関する。さらに詳しくは、製造が容易で、塗膜特性に優れ、塗膜の平滑性と耐ブロッキング性を両立した塗料用湿気硬化性組成物に関する。
従来、物品に塗る塗料としては、溶剤型の塗料が使用されてきた。特に、自動車用など厳しい品質を要求される分野に使用するために、種々の要求が満足された塗料が開発され、使用されてきた。
しかし、近年の地球環境に対する関心の高まりから、大量の溶剤が揮発する溶剤型塗料は敬遠され、塗料の一層のハソリッド化、さらには粉体塗料への変更が求められている。
一般的にビニル系共重合体を含有する塗料組成物によるハイソリッド塗料や、粉体塗料を使用した場合、外観特性、物理特性、化学特性および貯蔵安定性を満足するものではなかった。特に平滑性とブロッキング性を同時に十分満足することはできなかった。平滑性を向上させるためには、溶融粘度を低下させることが最も効果的である。しかし、溶融粘度を低下させるためには、ガラス転移温度を低下させなければならず、この方法では、平滑性とブロッキング性の両性能を満足することは不可能であった。
これを解決する1つの方法として、例えば特許文献1には、ビニル系重合体の分子量分布、すなわちゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)を小さくし、重合体の溶融粘度を下げ、平滑性とブロッキング性を両立させた塗料用湿気硬化性組成物が提案されている。
特開平11−130931号公報
特許文献1に開示される原子移動ラジカル重合(ATRP)法は、臭化銅を触媒として用いる方法であり、毒性のある銅をビニル系重合体から取り除くのが難しく、多大な経済的負担を要する。また、臭素のようなハロゲン化物が残存し、耐候性および耐久性にも悪影響を及ぼすという問題がある。更には、触媒を併用するため、ポリマーの着色、異臭、高コストおよび塗膜にした際の密着性不足などの問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、1つの分子に少なくとも1つの架橋性シリル基を有するビニル系共重合体を安価に、かつ、容易な方法で提供するとともに、高い塗膜特性を有する塗料用湿気硬化性組成物を提供することにある。
本発明らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体が、特定のリビングラジカル重合開始剤を用いて製造されたものである場合に、当該ビニル系重合体を含む塗料用湿気硬化性組成物は、優れた塗膜特性を発現することを見出した。
すなわち、本発明に係る塗料用湿気硬化性組成物は、以下の通りである。
1.架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体を含む塗料用湿気硬化性組成物であって、前記ビニル系重合体が以下の工程により製造されたものであることを特徴とする塗料用湿気硬化性組成物。
[1]一般式(2)で示される化合物をリビングラジカル重合開始剤として、一般式(3)で示される架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーを0.1〜10質量%含むビニル系モノマーをリビングラジカル重合することにより、末端にカルボキシル基を有するビニル系重合体を製造する工程。
[2]上記ビニル系重合体と、一般式(4)で示される架橋性シリル基を有するグリシジル化合物とを反応させる工程。
Figure 0005493671
{式中、R 1 は炭素数1〜2のアルキル基または水素原子であり、R 2 は炭素数1〜2のアルキル基またはニトリル基であり、R 3 は−(CH 2 )m−、mは0〜2の整数であり、R 5 およびR 6 は炭素数1〜4のアルキル基である。}
Figure 0005493671
{式中、R 7 は水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基であり、nは0〜2の整数である。}
Figure 0005493671
{式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基であり、nは0〜2の整数である。}
.上記工程[1]が、溶剤中で行われることを特徴とする上記.に記載の塗料用湿気硬化性組成物。
.上記溶剤が、オルトギ酸メチルまたはオルト酢酸メチルであることを特徴とする上記.に記載の塗料用湿気硬化性組成物。
.上記工程[1]のリビングラジカル重合中に、末端にカルボキシル基を有するビニル系重合体と、一般式(4)示される架橋性シリル基を有するグリシジル化合物との反応が、同時に行われることを特徴とする上記.〜.のいずれかに記載の塗料用湿気硬化性組成物。
.一般式(3)で示される架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーを、リビングラジカル重合の重合率70%〜99%の範囲で添加し共重合させることを特徴とする上記.〜.のいずれかに記載の塗料用湿気硬化性組成物。
.上記工程[1]で得られた末端にカルボキシル基を有するビニル系重合体と、一般式(4)示される架橋性シリル基を有するグリシジル化合物とのモル比が1:0.8〜2.0であることを特徴とする上記.〜.のいずれかに記載の塗料用湿気硬化性組成物。
.上記架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量が5000〜50000であり、かつ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.05〜3.0以下であることを特徴とする上記1.〜.のいずれかに記載の塗料用湿気硬化性組成物。
本発明に係る塗料用湿気硬化性組成物は、以上のように、特定のリビングラジカル重合開始剤を用いて製造した架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体を含有する。そのため、塗膜の平滑性と耐ブロッキング性を両立することができ、高い塗膜特性を有する。また、本発明の工程によって、架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体を安価に、かつ、容易に製造することができる。
本発明に用いられるリビングラジカル重合法は、特表2003−500378号で示されるニトロオキサイドラジカルを用いるリビングラジカル重合方法であり、各種のビニルモノマーを制御よく重合できる。一般式(2)で示される特定の重合開始剤を用いれば、末端にカルボキシル基を有するビニル系重合体が得られる。本発明に用いるリビングラジカル重合は、バッチプロセス、セミバッチブロセス、管式連続重合プロセス、連続攪拌槽型プロセス(CSTR)等のどのようなプロセスでも重合できる。好ましくはバッチプロセス、セミバッチブロセス、管式連続重合プロセス、さらに好ましくはバッチプロセスがよい。重合形式は溶剤を用いないバルク重合、溶剤系の溶液重合でもよい。
本発明に係る架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体は、次の工程[1]および[2]により製造されたものである。
[1]一般式(2)で示される化合物をリビングラジカル重合開始剤として、一般式(3)で示される架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーを0.1〜10質量%含むビニル系モノマーをリビングラジカル重合することにより、末端にカルボキシル基を有するビニル系重合体を製造する工程。
[2]上記ビニル系重合体と、一般式(4)で示される架橋性シリル基を有するグリシジル化合物とを反応させる工程。
上記工程[1]の重合温度は100〜150℃が好ましく、より好ましくは105〜135℃であり、さらに好ましくは110〜125℃である。重合温度が100℃未満であると、重合速度が著しく遅くなる。一方、重合温度が150℃より高いとニトロオキサイドラジカルが生長ラジカルをキャップできなくなり、生長ラジカル同士の再結合反応や不均化反応、高分子主鎖からの水素引抜反応やバックバイティング反応からのβ分解反応が生じ、リビング重合性を失い、ラジカル重合を制御できなくなる。
また、重合の際、ニトロキシラジカルを添加することで、分子量分布の制御および重合速度を調節することができる。その使用量は、リビングラジカル重合開始剤[一般式(1)]1molに対し、0.001〜0.2倍が好ましい。さらに好ましくは0.003〜0.1倍が好ましく、特に好ましくは0.005〜0.05倍である。当該モル比が0.001倍より少ないとニトロキシラジカルの効果が得られず、0.2倍を超える量を添加すると、反応速度が著しく低下するため、生産効率を悪化する。
具体的なニトロキシラジカル化合物としては、限定はされないが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。また、一般式(4)のニトロキシラジカルを使用してもよい。ニトロキシラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても構わない。
Figure 0005493671
本発明で使用する重合溶剤は、有機炭化水素系化合物が適当であり、テトラヒドロフランおよびジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類等、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が例示され、これらの1種または2種以上を用いることができる。特に好ましい溶剤は(メタ)アクリル酸エステル共重合体をよく溶解し、かつ、水分を除去できるオルトギ酸メチル、オルト酢酸メチルである。湿気硬化性のシリル基を含有する高分子を製造するので、重合系内の水分をできるだけ少なくしないと重合中に架橋反応が生じ、分子量分布の広いポリマーとなるからである。オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチルを使用すると、シリル基の架橋反応を生じさせることなく安定に重合することができる。
溶剤の使用量は、モノマー100質量部に対し、0〜200質量部が好ましく、0〜100質量部とすることがより好ましい。特に好ましくは0〜50質量部である。溶剤が多すぎると、溶剤に起因する連鎖移動反応が発生し、分子量制御、分子量分布制御、末端のリビング性等の重合制御が悪くなる。
本発明の重合に用いるビニル系モノマーとしてはラジカル重合性があれば特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。なお、上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を表す。
本発明におけるリビングラジカル重合で共重合する架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーは、一般式(3)で示される。具体的には3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
該架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーは、初期から重合系に添加してもよいが、好ましくは重合率70%〜99%の時点で重合系に添加されるのが好ましい。さらに好ましくは重合率85%〜98%であり、特に好ましくは同93%〜97%である。重合率70%以下で添加すると、α末端のシリル基に近くなり優れた引張物性が得られない。一方、重合率99%を超えて添加すると共重合率が低下し、高分子鎖に導入されない恐れがある。
本発明における架橋性シリル基含有(メタ)アクリルモノマーの量は、全体の重合性モノマーに対し、1〜30質量%の範囲が好ましい。1質量%未満では塗膜の耐ブロッキング性が低下してしまう。30質量%を超えると、塗膜の架橋密度が高すぎ、もろくなるため好ましくない。
本発明では、一般式(4)に示される架橋性シリル基含有グリシジル化合物をリビングラジカル重合で得られた末端カルボキシ基と反応させ、高分子末端にシリル基を導入させる。一般式(4)に示される架橋性シリル基含有グリシジル化合物の具体例としては3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
反応に用いる該架橋性シリル基含有グリシジル化合物の量は、一般式(2)の化合物を1モルとしたとき0.8〜2.0モルが好ましい。さらに好ましくは1.0〜1.7モルであり、特に好ましくは1.1〜1.5モルである。モル比が0.8より小さいと、末端に導入されるシリル基の量が減り、硬化物の引張物性が落ちる。一方、2.0を超えると、未反応の架橋性シリル基含有グリシジル化合物が系内に残り、硬化時に架橋密度を過度に下げ、塗膜特性を悪くする。
また、上記工程[2]の反応温度は80〜200℃であることが好ましい。100〜170℃がより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。反応温度が200℃より高すぎると末端のニトロオキサイドがはずれ、バックバイティング反応やベータ開裂がおき、低分子量成分が増え、塗膜物性に悪影響を及ぼす。80℃より低いと反応が遅く、生産効率を著しく悪くする。
工程[2]の反応には生産効率を高めるために触媒を用いるのが好ましい。触媒はグリシジル基とカルボキシル基の反応を早め、架橋性シリル基に影響を与えないものであれば特に制限はないが、好ましい触媒はトリブチルアンモニウムブロマイドが好ましい。トリブチルアンモニウムブロマイドはシリル基の反応に影響を与えず、効果的にグリシジル基とカルボキシ基との反応を早めることが出来る。
触媒の添加量は、末端にカルボキシル基を有するビニル系重合体量に対して0.1〜2質量%であることが好ましく、0.2〜1質量%であることがより好ましく、0.3〜0.5質量%であることが特に好ましい。触媒量が0.1質量%より少ないと、効果が小さく生産性を向上できない。一方、触媒量が2質量%を越えると、後の製品中に沈殿してくるなどの悪影響を及ぼす。
該反応の反応時間は特に制限はないが、生産性を考えると短いほうがよく、リビングラジカル重合とのin−situ反応で同時に行うことが生産効率を高める上でも最も好ましい。
本発明に係る架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体は、次の工程[A]〜[C]によっても製造することができる。
[A]一般式(1)で示されるリビングラジカル重合開始剤と、一般式(3)で示される架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーを反応させ、架橋性シリル基含有の重合前駆体を製造する工程。
[B]上記重合前駆体を用いて、架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマー以外のビニル系モノマーをリビングラジカル重合させる工程。
[C]上記工程[B]の重合率が70〜99%の時点で、さらに架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーを添加して、共重合させる工程。
Figure 0005493671
{式中、R 1 は炭素数1〜2のアルキル基または水素原子であり、R 2 は炭素数1〜2のアルキル基またはニトリル基であり、R 3 は−(CH 2 )m−、mは0〜2の整数であり、R 4 は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜18のヒドロキシル基含有アルキルエーテル基、R 5 およびR 6 は炭素数1〜4のアルキル基である。}
上記工程[A]において、リビングラジカル重合開始剤(1)と反応させる架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマー(3)は、上記工程[1]で使用したものと同じモノマーを使用するができる。それらの中でも、重合前駆体に効率よく架橋性シリル基を導入することができることから、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
リビングラジカル重合開始剤(1)と、架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーとの反応は、リビングラジカル重合開始剤1モルに対して、当該モノマー0.5〜2.2モルを反応させることが好ましく、より好ましくは0.7〜1.5モルである。0.5モル未満であると、硬化反応時に架橋性シリル基が少なすぎ、未硬化となる場合がある。一方、2.2モルを越えると、リビングラジカル重合開始剤と反応する架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーに分布が生じる場合がある。また、重合前駆体生成時に未反応の架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーが多く残り、これらがリビングラジカル重合時に共重合して架橋性シリル基が主鎖中に分散してしまう場合がある。
工程[A]の反応温度は、好ましくは50〜120℃であり、より好ましくは55〜110℃であり、さらに好ましくは60〜100℃であり、更に好ましくは65〜90℃である。重合温度が50℃未満であると、反応速度が著しく遅くなる場合がある。一方、重合温度が120℃より高いとリビングラジカル重合開始剤と反応する架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーに分布が生じやすい。
工程[A]の反応率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。反応率が70%未満であると、未反応の架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーが多く残り、これらがリビングラジカル重合時に共重合して架橋性シリル基が主鎖中に分散してしまう場合がある。反応率はGPCにより追跡することができ、反応終了後、反応液を脱溶することにより、架橋性シリル基含有の重合前駆体が得られる。
次に、工程[B]は、上記重合前駆体を用いて、架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマー以外のビニル系モノマーをリビングラジカル重合させる工程である。架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマー以外のビニル系モノマーは、上記工程[1]に記載したモノマーを使用することができる。ビニル系モノマーは、重合前駆体1モルに対し、8〜200モルが好ましく、より好ましくは10〜150モルである。さらに好ましくは20〜100モルである。8モル未満の場合は、塗膜特性が低下する場合がある。一方、200モルを超える場合は、溶融粘度が高くなり、塗膜の平滑性が悪くなる場合がある。
架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマー以外のビニル系モノマーとしては、(メタ)アクリル系化合物が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル化合物がより好ましい。(メタ)アクリル系化合物の使用割合としては、工程[B]で用いる上記ビニル系モノマー全量を100質量%とした時に、40〜100質量%が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
また、工程[B]の重合温度は100〜150℃が好ましく、より好ましくは105℃〜135℃であり、さらに好ましくは110〜125℃である。重合温度が100℃未満であると、重合速度が著しく遅くなる。一方、重合温度が150℃より高いとニトロオキサイドラジカルが生長ラジカルをキャップできなくなり、生長ラジカル同士の再結合反応や不均化反応、高分子主鎖からの水素引抜反応やバックバイティング反応からのβ分解反応が生じ、リビング重合性を失い、ラジカル重合を制御できなくなる。
次に、工程[C]は、上記工程[B]の重合率が70〜99%の時点で、さらに架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーを添加して、共重合させる工程である。より好ましい重合率は、80〜99%である。重合率が70%未満では、ビニル系重合体の末端付近に架橋性シリル基が導入されないため、硬化物の力学的特性が不十分となる。
工程[C]で用いられる架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーは、工程[A]で用いたものと同じモノマーを使用することができる。工程[C]における架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーの量は、工程[B]で使用する重合前駆体1モルに対し、0.1〜10モルが好ましい。より好ましくは0.4〜5モルであり、さらに好ましくは0.6〜3モルである。特に好ましくは0.8〜1.5モルである。0.1モル未満では、硬化物が弱く、優れた力学的特性を示さない。一方、10モルを超えると、硬化物の架橋密度が高くなりすぎ破断伸びも低く、脆くなるため好ましくない。
本発明において製造される架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体は、反応後(工程[2]または工程[C]終了後)、残揮発分を取り除く工程を必要とする場合がある。脱溶プロセスとしては、流下式蒸発機、薄膜蒸発機や押出機式乾燥機等の一般に用いられる脱溶プロセスであれば何でもよい。脱溶温度条件は好ましくは250℃以下がよい。より好ましくは170℃以下、特に好ましくは100℃以下である。250℃以下であればリビングラジカル重合末端は解離せず、ポリマーの分解による低分子量物の生成が起きない。一方、250℃を超える場合には、リビングラジカル重合末端が解離し、高分子鎖が一部分解し低分子量物が生成される。また、着色も発生するので好ましくない。
本発明に係る架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で、1000〜20000が好ましく、2000〜15000がより好ましく、2500〜10000が更に好ましい。Mnが1000に満たない場合は、塗膜特性が低下する場合がある。一方、Mnが20000を超える場合は、溶融粘度が非常に高くなり、塗膜の平滑性が悪くなる場合がある。
上記ビニル重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1.05〜3.0であり、好ましくは1.3〜1.8であり、より好ましくは1.6未満である。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、上記範囲であれば、塗膜用湿気硬化性組成物とした際の粘度を低く抑えて取り扱いを容易にし、かつ、十分な塗膜特性を得ることができる。
上記ビニル系重合体のガラス転移温度は10〜100℃が好ましく、さらに好ましくは20〜70℃である。ガラス転移温度が10℃以下では、貯蔵安定性が低下する場合がある。一方、100℃以上では溶融粘度が低くなりすぎてしまい、塗膜外観が悪くなる場合がある。
本発明の架橋性シリル基を有するビニル系重合体は、高分子鎖1本あたりの架橋性シリル基の平均数(個数f)は、1.0〜10.0が好ましい。より好ましくは1.4〜7.0であり、さらに好ましくは1.8〜5.0である。平均数(個数f)は以下のように計算される。
平均数(個数f)=上記ビニル系重合体中の架橋性シリルの官能基濃度[mol/kg]/(1000/数平均分子量)
平均数(個数f)が1.0より小さいと、塗料用湿気硬化性組成物から得られる硬化物は架橋密度が小さいため、破断強度が非常に弱いものになる。一方、10.0より大きいと、架橋密度が高すぎ、脆くて、可とう性の低い塗膜となる場合がある。
本発明の塗料用湿気硬化性組成物は、本発明の目的が達成される限り、上記ビニル系重合体に加え、通常、塗料に添加される種々の添加剤を含有することができる。本発明の塗料用湿気硬化性組成物には、目的に応じ、適宜、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などを包含する合成樹脂組成物、繊維素若しくは繊維素誘導体などを包含する天然樹脂、または半合成樹脂組成物を配合して塗膜外観および塗膜特性を向上させることもできる。
本発明の塗料用湿気硬化性組成物には、目的に応じ、適宜、硬化触媒、顔料、流動調整剤、チクソ剤(チクソトロピー調整剤)、帯電防止剤、表面調整剤、光沢付与剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、ワキ防止剤、スリップ剤、酸化防止剤、純水等の添加剤を配合してもよい。また、クリアコートとして使用する場合に少量の顔料を配合し、完全に隠ぺい性の発現しない程度に着色しても良い。
硬化触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセトアセトナート、ジブチル錫ジエチルヘキサノレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等の4価のスズ化合物類、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類、オクチル酸鉛、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩、過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂、過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤等のシラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
これらの硬化触媒の使用量は、架橋性シリル基を有するベース樹脂100質量部に対して0.05〜5質量部の範囲で添加すれば好ましい結果が得られる。0.1〜1質量部の範囲がより好ましい。これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の塗料用湿気硬化性組成物をハイソリッド塗料として用いる場合、塗料全体を100質量%としたときに、有機溶剤を0〜50質量%、より好ましくは0〜35質量%を含有させることができる。有機溶剤としては、エーテル、エステル、ケトン、芳香族および脂肪族炭化水素、アルコール、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
塗料用湿気硬化性組成物を調整するには、周知のいずれの方法を採用してもよい。調整方法として、各成分を混合した後、加熱ロール、エクスクルーダーなどの溶融混練機により、溶融混合する、もしくは冷却の後粉砕して粉体塗料とする方法等が挙げられる。
塗装方法については静電吹付法、流動浸漬法等の周知の塗装方法によって被塗物を塗装し、通常これを室温〜80℃で2〜20日間硬化させることにより、粉体塗装による塗膜を得ることができる。また、ハイソリッド塗料の場合にも、同様の硬化条件で塗膜を得ることができる。
以下に本発明の実施例を合成例、比較例と共に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことは言うまでもない。なお、以下において「部」は特に断らない限り質量基準である。
また、合成例、実施例および比較例における「Mn」は、数平均分子量を意味し、「Mw」は、重量平均分子量を意味し、「Mw/Mn」は分散度を意味する。この「Mn」および「Mw」は、下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリスチレン換算で算出された値である。
<GPC測定条件>
装置:HLC−8120(東ソー社製)
カラム:TSKgel SuperMultiporeHZ−M 4本(東ソー社製)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン 0.35ml/min
検出器:RI
また、重合体における、架橋性シリル基のファンクショナリティーは、NMRスペクトルの積分比から評価し、ガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう)は、DSC(示差走査熱量測定)による比容の温度変化から測定した。
<架橋性シリル基含有ビニル系重合体の調製>
合成例1(重合体Aの調製)
オイルジャケットを備えた容量1リットルの加圧式攪拌槽型反応器にメタクリル酸メチル(以下、「MMA」ともいう)121質量部、スチレン(以下、「St」ともいう)25質量部、アクリル酸ブチル(以下、「BA」ともいう)21質量部、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(以下、「MDMS」ともいう)19質量部、リビングラジカル重合開始剤[式(6)]31.1質量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン23.1質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド(以下、「TBAB」ともいう)6.3質量部、オルトギ酸エステル(以下、「MOA」ともいう)176質量部からなる混合液を仕込み、混合液は窒素バブリングで十分に脱気された。ジャケット温度を105℃に上昇させ重合反応を開始し、反応液温度が105℃保たれるようジャケット温度は調整された。6時間後にMMA、St、BA、MDMSの重合率は90%、92%、88%、95%であった。そこに、MDMS19質量部添加し、105℃のまま4時間反応させた。この時点でのMMA、St、BA、MDMSの重合率は94%、94%、92%、99%であった。冷却後、反応液を抜き出し、減圧度0.3kPa、90℃で5時間かけ蒸発機で減圧乾燥し、約200質量部の重合体を得た。重合体の性状はMw3500、Mn2800、Mw/Mn1.25、ガラス転移温度64℃であった。また酸価0.1mgKOH/gとなり、リビングラジカル重合開始剤[式(6)]のカルボキシル基の反応率は99%となった。重合体の高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は2.9であった。
Figure 0005493671
合成例2(重合体Bの調製)
オイルジャケットを備えた容量1リットルの加圧式攪拌槽型反応器にMMA170質量部、St34質量部、BA41質量部、リビングラジカル重合開始剤[式(6)]30.8質量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン22.9質量部、TBAB6.3質量部、MOA176質量部からなる混合液を仕込み、混合液は窒素バブリングで十分に脱気された。ジャケット温度を105℃に上昇させ重合反応を開始し、反応液温度が105℃保たれるようジャケット温度は調整された。6時間後にMMA、St、BAの重合率は91%、89%、87%であった。そこへMDMS19質量部添加し、105℃のまま4時間反応させた。この時点でのMMA、St、BA、MDMSの重合率は96%、91%、95%、99%であった。冷却後、反応液を抜き出し、減圧度0.3kPa、90℃で5時間かけ蒸発機で減圧乾燥し、約200質量部の重合体を得た。重合体の性状はMw3940、Mn3010、Mw/Mn1.31、ガラス転移温度65℃であった。また酸価0.1mgKOH/gとなり、リビングラジカル重合開始剤[式(6)]のカルボキシル基の反応率は99%となった。重合体の高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は2.0であった。
合成例3(重合体Cの調製)
オイルジャケットを備えた容量1リットルの加圧式攪拌槽型反応器にMMA191質量部、アクリル酸メチル(以下、「MA」ともいう)55質量部、リビングラジカル重合開始剤[式(6)]30.4質量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン22.6質量部、TBAB6.2質量部、MOA176質量部からなる混合液を仕込み、混合液は窒素バブリングで十分に脱気された。ジャケット温度を105℃に上昇させ重合反応を開始し、反応液温度が105℃保たれるようジャケット温度は調整された。6時間後にMMA、MAの重合率は94%、84%であった。そこへMDMS19質量部添加し、105℃のまま4時間反応させた。この時点でのMMA、MA、MDMSの重合率は97%、91%、98%であった。冷却後、反応液を抜き出し、減圧度0.3kPa、90℃で5時間かけ蒸発機で減圧乾燥し、約200質量部の重合体を得た。重合体の性状はMw3960、Mn3070、Mw/Mn1.29、ガラス転移温度64℃であった。また酸価0.1mgKOH/gとなり、リビングラジカル重合開始剤[式(6)]のカルボキシル基の反応率は99%となった。重合体の高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は1.9であった。
合成例4(重合体Dの調製)
オイルジャケットを備えた容量1リットルの加圧式攪拌槽型反応器にMOA400質量部、リビングラジカル重合開始剤[式(6)]41.8質量部、3−アクリロキシプロピルジメトキシモノメチルシラン(以下、「ADMS」ともいう)24質量部からなる混合液を仕込み、混合液は窒素バブリングで十分に脱気された。ジャケット温度を75℃に上昇させ反応を開始し、反応液温度が75℃保たれるように調整された。4時間後に冷却し反応を終了した。反応液を分析するとADMSの重合率は98%であった。冷却後、減圧度0.3kPa、80℃で5時間かけ、減圧乾燥した。そこに、MMA165質量部、St34質量部、BA28質量部、MOA183質量部からなる混合液を仕込み、混合液は窒素バブリングで十分に脱気された。ジャケット温度を105℃に上昇させ重合反応を開始し、反応液温度が105℃保たれるようジャケット温度は調整された。6時間後にMMA、St、BAの重合率は90%、83%、86%であった。そこへMDMS19質量部添加し、105℃のまま4時間反応させた。この時点でのMMA、St、BA、MDMSの重合率は95%、92%、95%、99%であった。冷却後、反応液を抜き出し、減圧度0.3kPa、90℃で5時間かけ蒸発機で減圧乾燥し、約200質量部の重合体を得た。重合体の性状はMw3840、Mn2950、Mw/Mn1.30、ガラス転移温度63℃であった。また酸価0.1mgKOH/gとなり、リビングラジカル重合開始剤[式(6)]のカルボキシル基の反応率は99%となった。重合体の高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は2.0であった。
合成例5(重合体Eの調製)
オイルジャケットを備えた容量1リットルの加圧式攪拌槽型反応器にMMA189質量部、St51質量部、BA34質量部、リビングラジカル重合開始剤[式(6)]14.4質量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10.7質量部、TBAB2.9質量部、MOA188質量部からなる混合液を仕込み、混合液は窒素バブリングで十分に脱気された。ジャケット温度を105℃に上昇させ重合反応を開始し、反応液温度が105℃保たれるようジャケット温度は調整された。6時間後にMMA、St、BAの重合率は92%、84%、87%であった。そこへMDMS9質量部添加し、105℃のまま4時間反応させた。この時点でのMMA、St、BA、MDMSの重合率は95%、92%、96%、99%であった。冷却後、反応液を抜き出し、減圧度0.3kPa、90℃で5時間かけ蒸発機で減圧乾燥し、約200質量部の重合体を得た。重合体の性状はMw9220、Mn7200、Mw/Mn1.28、ガラス転移温度67℃であった。また酸価0.1mgKOH/gとなり、リビングラジカル重合開始剤[式(6)]のカルボキシル基の反応率は99%となった。重合体の高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基数f(Si)は1.9であった。
合成例6(重合体Fの調製)
1リットルのセパラブルフラスコにトルエン200質量部を加え、加熱攪拌し、トルエンが還流を始めたら、MMA160質量部、BA50質量部、MDMS188質量部、アゾビスイソブチロニトリル(以下「V−60」ともいう)13質量部を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間還流を続けた後、V−60 10質量部を加えて1時間還流し、その後還流を停止した。このときのMMA、BA、MDMSの重合率はそれぞれ91%、91%、98%あった。冷却後、反応液を抜き出し、減圧度0.3kPa、80℃で5時間かけ蒸発機で減圧乾燥し、約250質量部の重合体を得た。得られた重合体の性状はMw5400、Mn2300、Mw/Mn2.35、ガラス転移温度は59℃、エポキシ基のファンクショナリティーは5.7であった。
合成例7(重合体Gの調製)
1リットルのセパラブルフラスコにトルエン200質量部を加え、加熱攪拌し、トルエンが還流を始めたら、MMA160質量部、BA50質量部、MDMS188質量部、V−60 9質量部を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間還流を続けた後、V−60 10質量部を加えて1時間還流し、その後還流を停止した。このときのMMA、BA、MDMSの重合率はそれぞれ91%、93%、96%あった。冷却後、反応液を抜き出し、減圧度0.3kPa、80℃で5時間かけ蒸発機で減圧乾燥し、約250質量部の重合体を得た。得られた重合体の性状はMw9870、Mn3300、Mw/Mn2.99、ガラス転移温度は68℃、エポキシ基のファンクショナリティーは5.6であった。
Figure 0005493671
<塗料用湿気硬化性組成物の調整>
実施例1〜4、比較例1および2、並びに、参考例1(粉体塗料組成物の調製)
実施例1〜4、比較例1および2、並びに、参考例1の粉体塗料用組成物について、下記の方法により調製した。下記表2に記載の原料および配合割合に従い、ビニル系重合体(A〜G)および硬化触媒を配合して、三井三池製作所社製「FM10B型ヘンシェルミキサー」を用いて、3分間乾式混合した。次いで、BUSS社製エクストルーダー「PR46」を用いて110℃で溶融混練した後、冷却し、各粉体塗料用組成物を得た。
各粉体塗料用組成物の性能試験を行なうため、0.8T×70×150mmのリン酸亜鉛処理板を被塗物として、粉体塗料用組成物を厚さ50〜70μmに塗装した後、50℃で10日間加熱し、塗膜を作成した。
Figure 0005493671
<ハイソリッド塗料用組成物の調製>
実施例および、並びに比較例3および4(ハイソリッド塗料用組成物)
実施例および、並びに比較例3および4のハイソリッド塗料用組成物について、下記の方法により調製した。下記表3に記載の配合に従い、ビニル系重合体(A,B,F,G)、硬化触媒および有機溶剤を配合した。エアスプレーができるように、25℃で、粘度を20秒(Zahncup#2)に調整して、ハイソリッド塗料を作成した。
各ハイソリッド塗料の性能試験を行なうため、0.8T×70×150mmのリン酸亜鉛処理板を被塗物として、ハイソリッド塗料用組成物を厚さ50〜70μmに噴霧塗装し、これを、50℃で10日間加熱し、塗膜を作成した。
上記により得られた塗膜について、以下の(1)〜(4)に示した性能試験を行った。
Figure 0005493671
<塗膜の性能試験>
底面積が約20cm2の円筒容器に、上記により得られた塗膜を、高さが6cmとなるように入れ、30℃で7日間静値した。その後、上記円筒容器から塗膜を取り出して、その塗膜について下記の性能試験をおこなった。
(1)耐ブロッキング性
上記の通り、30℃で7日間静値した後の上記円筒容器から取り出した塗膜について、その塗膜のブロッキング状態を目視および指触で観察し、下記の基準に従って評価した。
◎:固まりが全く認められなかった。
○:米粒状の固まりが認められた。
×:容器の形のまま固まっていた。
(2)目視外観(塗膜の平滑性及び鮮映性)
上記の通り、30℃で7日間静値した後の上記円筒容器から取り出した塗膜について、その塗膜の外観をツヤ及び平滑性について、目視観察して、下記基準に従って評価した。
◎:特に優れていた。
○:良好であった。
×:劣っていた。
(3)ロングウエーブ(塗膜の平滑性)
上記の通り、30℃で7日間静値した後の上記円筒容器から取り出した塗膜について、
ウエーブスキャンプラス(BYK社製)にてロングウエーブを測定した。このロングウエーブは、塗膜の平滑性を表す指標であり、数値が小さいほど塗膜の表面は平滑となる。
(4)60度 表面光沢
村上式光沢計を使用して60度の角度で測定した。数字が大きい程、光沢が高いことを示す。
Figure 0005493671

本発明は、製造が容易で、塗膜特性に優れ、塗膜の平滑性と耐ブロッキング性を両立した塗料用湿気硬化性組成物を提供する。

Claims (7)

  1. 架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体を含む塗料用湿気硬化性組成物であって、前記ビニル系重合体が以下の工程により製造されたものであることを特徴とする塗料用湿気硬化性組成物。
    [1]一般式(2)で示される化合物をリビングラジカル重合開始剤として、一般式(3)で示される架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーを0.1〜10質量%含むビニル系モノマーをリビングラジカル重合することにより、末端にカルボキシル基を有するビニル系重合体を製造する工程。
    [2]上記ビニル系重合体と、一般式(4)で示される架橋性シリル基を有するグリシジル化合物とを反応させる工程。
    Figure 0005493671
    {式中、R 1 は炭素数1〜2のアルキル基または水素原子であり、R 2 は炭素数1〜2のアルキル基またはニトリル基であり、R 3 は−(CH 2 )m−、mは0〜2の整数であり、R 5 およびR 6 は炭素数1〜4のアルキル基である。}
    Figure 0005493671
    {式中、R 7 は水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基であり、nは0〜2の整数である}
    Figure 0005493671
    {式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基であり、nは0〜2の整数である}
  2. 上記工程[1]が、溶剤中で行われることを特徴とする請求項に記載の塗料用湿気硬化性組成物。
  3. 上記溶剤が、オルトギ酸メチルまたはオルト酢酸メチルであることを特徴とする請求項に記載の塗料用湿気硬化性組成物。
  4. 上記工程[1]のリビングラジカル重合中に、末端にカルボキシル基を有するビニル系重合体と、一般式(4)示される架橋性シリル基を有するグリシジル化合物との反応が、同時に行われることを特徴とする請求項のいずれかに記載の塗料用湿気硬化性組成物。
  5. 一般式(3)で示される架橋性シリル基含有(メタ)アクリル系モノマーを、リビングラジカル重合の重合率70%〜99%の範囲で添加し共重合させることを特徴とする請求項のいずれかに記載の塗料用湿気硬化性組成物。
  6. 上記工程[1]で得られた末端にカルボキシル基を有するビニル系重合体と、一般式(4)示される架橋性シリル基を有するグリシジル化合物とのモル比が1:0.8〜2.0であることを特徴とする請求項のいずれかに記載の塗料用湿気硬化性組成物。
  7. 上記架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量が1000〜20000であり、かつ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.05〜3.0以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の塗料用湿気硬化性組成物。
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