JP5493619B2 - デジタル印刷用熱転写材及び画像形成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱転写材に関し、特に、デジタル印刷用の熱転写材及び当該デジタル印刷用熱転写材を用いた画像形成物に関する。
一般的な産業用途の印刷方式には、凸版印刷、平版印刷及び凹版印刷等の版を用いた印刷方法と、デジタル印刷による版を用いない印刷方法がある。
版を用いる印刷方法は、いったん版を作成すれば安価に大量に印刷ができる利点があり、少品種を大量に印刷する場合に有利だが、版の製造や大量印刷のための大型の装置の用意に手間とコストがかかり、少量多品種を即時に印刷するのが難しいという問題がある。
これに対して、版を用いないデジタル印刷は、上記版を用いる方法に比べて、比較的小さなデジタル印刷機で、熱転写方式やインクジェット方式による印刷が可能であるため初期コストが低く済むという利点がある。また、デジタル印刷では、コンピュータのデータを印刷機(プリンターともいう。)に送り直接印刷することが可能であり、版を製造する手間が不要なため、少量多品種の印刷が即時に、高い生産性で可能であるという利点がある(デジタル印刷は要求に応じてすぐに印刷可能という意味でオンデマンド印刷ともいわれる。)。この高い生産性を生かし熱転写方式により、包装材の内容物表示やバーコード表示、食品パッケージの消費期限表示等の印刷が行われている。
近年、商品の高付加価値化及びライフサイクルの短縮化が進み、高付加価値化のために商品の高意匠化も要求されている。ライフサイクルの短縮化により、多品種を即時に印刷できる熱転写方式等のデジタル印刷の重要性が増してきている。
しかし、従来の熱転写方式によるバーコード表示、消費期限表示及びファクシミリ画像等は、要求に応じた即時の高速印刷を優先しているため、版を用いる印刷方法に比べて解像度が低く不鮮明であるという問題や、経時や擦れ等による表示のゆがみやかすれが簡単に生じ、耐候性及び耐擦過性等の耐久性が低いという問題があった。特に、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある。)、ナイロン及びポリエチレン等の軟らかい包装材、いわゆる軟包装材に用いた場合に、耐久性が低いため、印刷部分が折り曲げに耐えられずヒビ割れしてしまう問題もあった。特許文献1の熱転写シートを用いてもそれによる印字や画像の耐久性は十分ではなく、耐久性や高意匠性の要求される商品へ応用することができなかった。
従来のバーコード表示及び消費期限表示等の印刷は、バーコードの読み取り、消費期限の読み取りを目的としており、ある程度不鮮明であったり、ゆがみやかすれがあってもその読み取りが可能であれば目的を達成できていた。
しかし、不鮮明であったり、耐久性が低いと、商品や包装材等のデザイン(画像)表示及びロゴ表示等の高意匠画像に用いた場合に外観を損ない、商品イメージを低下させてしまう問題がある。
このようなことから高意匠性の要求される商品や包装等に対しても、少量多品種の要求に応じた即時の熱転写方式による高速印刷が可能でありながら、耐久性に優れた印刷が可能な熱転写材及び少量多品種の用途でも耐久性に優れた画像形成物が要求されている。
特開2000−025343号公報
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、少量多品種の要求に応じた即時の熱転写方式による高速印刷が可能でありながら、耐久性に優れた印刷が可能な熱転写材及び当該熱転写材を用いた少量多品種の用途でも耐久性に優れた画像形成物を提供することを目的とする。
本発明者が鋭意検討した結果、従来の高速印刷を目的とした主に熱可塑性樹脂からなる樹脂層を有する熱転写材を用いて印刷を行っても当該樹脂層の耐久性が不十分であるため、当該熱可塑性樹脂に代えて、成分として電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる層を少なくとも1層含む転写層を形成することにより、優れた耐久性を有する熱転写材が得られ、且つ、色材を当該転写層に含ませることにより、高意匠性の要求される商品本体や包装材の表示に用いることができることを見出した。すなわち、本発明に係るデジタル印刷用熱転写材は、基材の一面側の転写層に、硬化して優れた硬度を発現する電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる硬化樹脂層を少なくとも1層含み、且つ、当該転写層に色材を含ませることにより、高い耐久性を有し、耐久性及び高意匠性の要求される表示の印刷に用いることができる。
本発明に係る第一のデジタル印刷用熱転写材は、基材の一面側に、少なくとも硬化樹脂層Bを含む着色転写層Aが設けられており、
当該硬化樹脂層Bは、色材及び第一の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物bの硬化物からなり、
前記着色転写層Aがさらに硬化樹脂層Cを含み、
当該硬化樹脂層Cは、熱可塑性樹脂及び/又は第二の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物cの硬化物からなることを特徴とする。
本発明に係る第二のデジタル印刷用熱転写材は、基材の一面側に、少なくとも硬化樹脂層D及び硬化樹脂層Eを含む着色転写層A’が設けられており、
当該硬化樹脂層Dは、色材及び熱可塑性樹脂及び/又は第一の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物dの硬化物からなり、
当該硬化樹脂層Eは、第二の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物eの硬化物からなることを特徴とする。
なお、本発明において電離放射線は、紫外線(以下、UVともいうことがある。)、X線、γ線、高速荷電粒子線及び高速中性子線を含む概念である。
本発明において、電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線の照射により硬化する性質を有する樹脂を意味し、当該硬化性樹脂は、ポリマーの他、モノマー、オリゴマー等の硬化性前駆体を、特別な記載がない限り包含する概念である。また、電離放射線硬化樹脂とは、電離放射線の照射により硬化した樹脂を意味する。
本発明に係る第一のデジタル印刷用熱転写材の好適な実施形態では、前記樹脂組成物bが、さらに熱可塑性樹脂を含み、且つ、前記第一の電離放射線硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の合計100質量%に対して、第一の電離放射線硬化性樹脂が80〜99.5質量%及び熱可塑性樹脂が0.5〜20質量%含まれることが、硬化樹脂層Bの転写性を高める点から好ましい。
本発明に係る第一のデジタル印刷用熱転写材の好適な実施形態では、上記樹脂組成物cがさらに色材を含むことも可能である。
本発明に係る画像形成物は、上記デジタル印刷用熱転写材を用いて、被転写体に当該デジタル印刷用熱転写材の着色転写層A又は着色転写層A’を熱転写してなることを特徴とする。
本発明に係る画像形成物において、前記熱転写が、サーマルプリンターを用いて冷時剥離で行われることが、優れた耐久性を得る点から好ましい。
本発明に係るデジタル印刷用熱転写材は、基材の一面側に転写性を有し、且つ、電離放射線硬化樹脂層と色材を有する層が一体で又は別々に積層されて設けられていることで、少量多品種の要求に応じた即時の高速印刷が可能でありながら、加えて、硬度に優れる電離放射線硬化樹脂により耐久性に優れ、耐久性及び高意匠性の要求される表示の印刷に用いることができる。また、当該デジタル印刷用熱転写材の着色転写層A又は着色転写層A’を被転写体に転写することにより得られる画像形成物は、耐久性に優れ、高意匠性の要求される商品や包装等に好適に用いることができる。
図1は、本発明に係る第一のデジタル印刷用熱転写材の層構成の一例を模式的に示した図である。 図2は、本発明に係る第二のデジタル印刷用熱転写材の層構成の一例を模式的に示した図である。 図3は、本発明に係る第二のデジタル印刷用熱転写材の層構成の他の一例を模式的に示した図である。 図4は、本発明に係る第一のデジタル印刷用熱転写材の層構成の他の一例を模式的に示した図である。 図5は、本発明に係る第二のデジタル印刷用熱転写材の層構成の他の一例を模式的に示した図である。 図6は、本発明に係る第一のデジタル印刷用熱転写材の層構成の他の一例を模式的に示した図である。 図7は、本発明に係る画像形成物の層構成の一例を模式的に示した図である。 図8は、本発明に係る画像形成物の層構成の他の一例を模式的に示した図である。
以下、まず本発明に係るデジタル印刷用熱転写材について説明し、次いで当該デジタル印刷用熱転写材の製造方法について説明する。
なお、本発明において(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
なお、本発明において電離放射線は、紫外線、X線、γ線、高速荷電粒子線及び高速中性子線を含む概念である。
なお、フィルムとシートのJIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅の割りには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。従って、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本発明では、厚みの厚いもの、および薄いものの両方の意味を含めて、「フィルム」と定義する。
本発明において、分子量とは、分子量分布を有する場合には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である重量平均分子量を意味し、分子量分布を有しない場合には、化合物そのものの分子量を意味する。
本発明において、電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線の照射により硬化する性質を有する樹脂を意味し、当該硬化性樹脂は、ポリマーの他、モノマー、オリゴマー等の硬化性前駆体を、特別な記載がない限り包含する概念である。また、電離放射線硬化樹脂とは、電離放射線の照射により硬化した樹脂を意味する。
(デジタル印刷用熱転写材)
本発明に係るデジタル印刷用熱転写材は、基材の一面側の転写層に従来の耐久性の不十分な熱可塑性樹脂のみを樹脂成分として含む樹脂層のみを用いるのではなく、転写層に、耐久性の確保のために、さらには当該耐久性の確保による高意匠性が要求される製品への印刷のために、電離放射線硬化性樹脂を必須成分とする組成物の硬化物からなる硬化樹脂層を少なくとも1層用い、且つ、当該転写層に色材を含ませた着色転写層を有する。
(1)着色転写層の耐久性の確保(意匠性の向上)のために、当該着色転写層には、電離放射線硬化性樹脂を含む組成物の硬化物からなる硬化樹脂層が含まれる。
(2)着色転写層は、上記硬化樹脂層のみからなる単層構造でも良いし、更に他の層(特に剥離層)を含む多層構造であってもよい。また、着色転写層が多層構造の場合、色材は、硬化樹脂層以外の層に含まれていても良い。
(3)組成物(硬化樹脂層)は、電離放射線硬化性樹脂を必須成分として含むことを条件に、熱可塑性樹脂を含有していても良い。熱可塑性樹脂を含有することで、着色転写層の熱転写性が向上する。ただし、好ましい含有割合の範囲がある(熱転写性を向上させるのに有効な量であるが、耐久性を高めるためには多すぎないほうが良い。)。
(4)剥離層としては、電離放射線硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層を設けることができる。電離放射線硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層であるから、樹脂成分として電離放射線硬化性樹脂のみ含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層であってもよいし、樹脂成分として熱可塑性樹脂のみ含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層であってもよいし、電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層であってもよい。
以上より、類型的に分類すれば上記着色転写層は、大きく分けて、上記電離放射線硬化性樹脂を必須成分とする組成物の硬化物からなる硬化樹脂層に色材が含まれる第一の形態と、当該硬化樹脂層以外の着色転写層の層に色材が含まれる第二の形態の2つがある。
そして、上記第一の形態においては、着色転写層は、以下の(i)〜(iv)の4つの形態をとり得る。
(i)色材を含む硬化樹脂層の単層構成の形態。
(ii)当該色材を含む硬化樹脂層に、当該硬化樹脂層の転写性を高めるために当該硬化樹脂層の耐久性を確保できる範囲で熱可塑性樹脂が含まれている形態。
(iii)当該色材を含む硬化樹脂層の転写性又は耐久性を高めるため、さらに樹脂成分として電離放射線硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂を含む組成物の硬化物からなる硬化樹脂層を、色材を含む硬化樹脂層の基材側又は当該色材を含む硬化樹脂層の基材とは反対側に有する多層構成の形態。
(iv)上記(iii)の電離放射線硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂を含む組成物の硬化物からなる硬化樹脂層に色材が含まれている形態。
上記第二の形態においては、着色転写層は、以下の(v)及び(vi)の2つの形態をとり得る。
(v)着色転写層の耐久性を高めるために樹脂成分として電離放射線硬化性樹脂を必須成分とする組成物の硬化物からなる硬化樹脂層及び色材を含み、当該硬化樹脂層の転写性又は耐久性を高めるため、樹脂成分として電離放射線硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂を含む組成物の硬化物からなる硬化樹脂層を含む多層構成であり、当該色材を含まない硬化樹脂層と色材を含む硬化樹脂層のいずれが基材側であっても良い形態。
(vi)上記(v)の色材を含まない電離放射線硬化性樹脂を必須成分とする組成物の硬化物からなる硬化樹脂層に、着色転写層の転写性を高めるために当該硬化樹脂層の耐久性を確保できる範囲で熱可塑性樹脂が含まれている形態。
すなわち、基材の一面側に、上記第一の形態の着色転写層(以下、着色転写層Aとする。)を有するのが、以下の第一のデジタル印刷用熱転写材であり、基材の一面側に、上記第二の形態の着色転写層(以下、着色転写層A’とする。)を有するのが以下の第二のデジタル印刷用熱転写材である。
本発明に係る第一のデジタル印刷用熱転写材は、基材の一面側に、少なくとも硬化樹脂層Bを含む着色転写層Aが設けられており、
当該硬化樹脂層Bは、色材及び第一の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物bの硬化物からなることを特徴とする。
本発明に係る第二のデジタル印刷用熱転写材は、基材の一面側に、少なくとも硬化樹脂層D及び硬化樹脂層Eを含む着色転写層A’が設けられており、
当該硬化樹脂層Dは、色材及び熱可塑性樹脂及び/又は第一の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物dの硬化物からなり、
当該硬化樹脂層Eは、第二の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物eの硬化物からなることを特徴とする。
着色転写層Aは、少なくとも硬化樹脂層Bからなる。すなわち、硬化樹脂層B1層のみで形成される場合がある。
一方、後述する第二のデジタル印刷用熱転写材の着色転写層A’は、少なくとも硬化樹脂層D及び硬化樹脂層Eからなる点で、着色転写層Aと異なる。
図1は、本発明に係る第一のデジタル印刷用熱転写材の層構成の一例を模式的に示した図である。第一のデジタル印刷用転写材1は、基材10の一面側に、色材及び第一の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物bの硬化物からなる硬化樹脂層B30からなる着色転写層A20が設けられている。
図2は、本発明に係る第二のデジタル印刷用熱転写材の層構成の一例を模式的に示した図である。第二のデジタル印刷用転写材2は、基材10の一面側に、基材10に近い側から熱可塑性樹脂及び/又は第一の電離放射線硬化性樹脂、及び色材を含む樹脂組成物dの硬化物からなる硬化樹脂層D40並びに第二の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物eの硬化物からなる硬化樹脂層E50からなる着色転写層A’21が設けられている。
図3は、本発明に係る第二のデジタル印刷用熱転写材の層構成の他の一例を模式的に示した図である。第二のデジタル印刷用転写材2は、基材10の一面側に、基材10に近い側から第二の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物eの硬化物からなる硬化樹脂層E50並びに熱可塑性樹脂及び/又は第一の電離放射線硬化性樹脂及び色材を含む樹脂組成物dの硬化物からなる硬化樹脂層D40からなる着色転写層A’21が設けられている。
図4及び図5は、それぞれ、本発明に係る第一及び第二のデジタル印刷用熱転写材の層構成の他の一例を模式的に示した図である。
本発明に係る第一及び第二のデジタル印刷用熱転写材は、必要に応じて、図4に示すように、デジタル印刷用熱転写材の基材10とは反対側に、着色転写層A20の被転写体への転写性を高めるために着色転写層A20の一部として接着層60を設けたり、又は図5に示すように、基材10の硬化樹脂層D40、硬化樹脂層E50、及び接着層60からなる着色転写層A’21とは反対側に、転写時のプリンターのサーマルヘッドの熱によるスティッキングや印字しわを抑制するため耐熱滑性層70を設けても良い。
なお、スティッキングとは、熱転写時にサーマルヘッドが熱転写材の基材に融着することをいう。
また、印字しわとは、印字時にプリンターのサーマルヘッドから供給される熱によって熱転写材に皺が発生し、印字に乱れが生じることをいう。
その他、図示しないが接着層と硬化樹脂層の間に意匠性を高めるための蒸着層を設けても良い。
以下、本発明に係る第一及び第二のデジタル印刷用熱転写材を順に説明する。
(第一のデジタル印刷用熱転写材)
本発明に係る第一のデジタル印刷用熱転写材は、基材の一面側に、少なくとも硬化樹脂層Bを含む着色転写層Aが設けられており、
当該硬化樹脂層Bは、色材及び第一の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物bの硬化物からなることを特徴とする。
また、着色転写層Aが色材を含む硬化樹脂層Bのみからなる層構成である場合、後述する硬化樹脂層Cを設けた場合や、第二のデジタル印刷用熱転写材よりも層構成が簡素となり、工程の簡略化により製造コストを抑えることができる利点がある。
図6は、本発明に係る第一のデジタル印刷用熱転写材の層構成の他の一例を模式的に示した図である。
図6に示すように、本発明に係る第一のデジタル印刷用熱転写材1には、転写性や耐久性を向上させるために必要に応じて基材10と硬化樹脂層B30との間に、着色転写層A20の一部として、熱可塑性樹脂及び/又は第二の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物cの硬化物からなる硬化樹脂層C80を設けても良い。
また、図示しないが、基材10の一面に、基材10側から硬化樹脂層B30及び硬化樹脂層C80を含む着色転写層Aが設けられている層構成すなわち、図6の硬化樹脂層B30と硬化樹脂層C80の配置を入れ替えた層構成でも良い。
以下、本発明に係る第一のデジタル印刷用熱転写材の必須の構成要素である基材及び少なくとも硬化樹脂層Bを含む着色転写層A並びに必要に応じて適宜設けることができる着色層のその他の層である硬化樹脂層C、剥離層、蒸着層及び接着層並びに着色転写層以外のその他の層である耐熱滑性層を説明する。
(基材)
基材としては、耐熱性、機械的強度、製造に耐える機械的強度、耐溶剤性などがあれば、用途に応じて種々の材料を用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレート‐イソフタレート共重合体、テレフタル酸‐シクロヘキサンジメタノール‐エチレングリコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンナフタレートの共押し出しフィルムなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、イミド系樹脂、セルロース系フィルムなどが適用でき、耐熱性、機械的強度がよいポリエチレンテレフタレートが好ましい。
基材は、上記樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。また、基材は、延伸フィルムでも未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向又は二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。
基材の厚さは、画像形成物の要求される耐久性等に応じて適宜調節すればよく特に限定されない。通常、2.5〜50μm程度が適用できるが、2.5〜12μmが好ましく、4〜6μmが特に好ましい。50μmを超える厚さでは、熱転写時のサーマルヘッドの熱の伝達が悪くなるおそれがあり、2.5μm未満では、機械的強度及び耐熱強度が不足するおそれがある。基材は、上記樹脂の少なくとも1層からなるフィルムとして使用する。
(着色転写層A)
着色転写層Aは、第一のデジタル印刷用熱転写材において、基材の一面側に設けられる転写性を有する層であり、少なくとも色材及び電離放射線による硬化性を有する第一の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物bの硬化物からなる硬化樹脂層Bを含む。
着色転写層Aは、硬化樹脂層Bを少なくとも含み、デジタル印刷用熱転写材の耐久性、剥離性、転写性等を向上させるために適宜、硬化樹脂層C、剥離層、蒸着層及び接着層等のその他の層を含んでいても良い。
以下、着色転写層Aの必須構成要素である硬化樹脂層B及び必要に応じて設けることができるその他の層を説明する。
(硬化樹脂層B)
本発明の硬化樹脂層Bは、色材及び電離放射線による硬化性を有する第一の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物bの硬化物からなり、硬度に優れる電離放射線硬化性樹脂の硬化した硬化樹脂層に色材が含まれ、優れた耐久性の発現に寄与している。
後述する硬化樹脂層Cも有する場合、硬化樹脂層Bは、基材と硬化樹脂層Cの間に設けられていても良いし、基材に硬化樹脂層Cを介して設けられていても良い。
樹脂組成物bには、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記第一の電離放射線硬化性樹脂及び色材の他、デジタル印刷用熱転写材や画像形成物の要求される性能に応じて、その他の樹脂、分散剤、光重合開始剤及び離型剤等のその他の成分を加えても良い。
硬化樹脂層Bの厚さは、要求される耐久性、意匠性等により適宜調節すればよいが、0.5〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
以下、硬化して硬化樹脂層Bとなる樹脂組成物bについて説明する。
(樹脂組成物b)
本発明の樹脂組成物bは、色材及び第一の電離放射線硬化性樹脂を少なくとも含み、電離放射線の照射により硬化し、硬化樹脂層Bとなる組成物である。樹脂組成物bには、必要に応じてその他の樹脂、分散剤、光重合開始剤及び離型剤等のその他の成分が含まれていても良い。
(第一の電離放射線硬化性樹脂)
第一の電離放射線硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の電離放射線の照射により硬化して硬化樹脂となり、硬化樹脂層のマトリクスとなる成分である。
従来のバーコード表示、消費期限表示及びファクシミリ画像等の耐久性よりも高速性が要求される熱転写方式による印刷には、電離放射線硬化性樹脂よりも比較的安価な熱可塑性樹脂(ワックス)等の材料が用いられていた。また、デザインやロゴ等の意匠性や耐久性が高く、大量生産が要求される印刷には、版を用いるグラビア印刷(凹版印刷)等が用いられていた。
このため、従来では熱転写方式において、敢えて、耐久性に優れるが比較的高価な材料である電離放射線硬化性樹脂を用いることはなかった。
これに対して、本発明者の検討により、熱転写材にこの電離放射線硬化性樹脂を含む組成物を硬化させてなる層を適用することにより、少量多品種の生産に適したデジタル印刷において、画像形成物の耐久性が向上でき、高い意匠性が要求されるデザインやロゴ等の印刷にも適用できることがわかった。
第一の電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線により硬化する硬化性を有するものであれば特に限定されず、従来公知の電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
第一の電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリル変性ポリエステル、不飽和エチレン系モノマー、不飽和エチレン系オリゴマー等の電離放射線硬化性樹脂等が挙げられる。
特に耐薬品性、耐光性及び耐候性等の耐久性に優れる点から、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリル変性ポリエステル等の電離放射線硬化性樹脂が好ましく、ウレタン変性メタクリレート樹脂がより好ましい。上記ウレタン変性(メタ)アクリレート樹脂としては、特開2006−309205号公報に記載されているウレタン変性(メタ)アクリル系樹脂を用いることができる。
上記第一の電離放射線硬化性樹脂は、硬化後の硬化樹脂層Bの柔軟性及び粘度を調整する点から、その1分子中の側鎖に10〜70個の電離放射線硬化性基を有していることが好ましい。
ウレタン変性(メタ)アクリレート樹脂の分子量は、10,000〜200,000が好ましく、20,000〜40,000がより好ましい。
上記ウレタン変性(メタ)アクリレート樹脂の他、ウレタンアクリレートも用いることができる。ウレタンアクリレートの市販品としては、例えば、日本合成化学工業(株)製:UV3200B、UV3000B及びUV3520TL等が挙げられる。
また、本発明の第一の電離放射線硬化性樹脂としては、アクリル系及び電離放射線による硬化性を有するその他の単官能モノマー、多官能モノマー、単官能オリゴマー及び多官能オリゴマーも挙げられる。
上記分子量10,000以上の電離放射線硬化性樹脂に加えて、これらモノマー及びオリゴマーを用いることにより、硬化樹脂層Bの柔軟性及び粘度を調整することができ、塗布適性や製膜性を向上させることができる。
上記多官能モノマー及び多官能オリゴマーの官能基数は、特に限定されるものではないが、耐熱性を向上させる点から3以上であることが好ましく、また、柔軟性を維持する点から20以下が好ましい。
多官能モノマー及び多官能モノマーは、市販品を用いても良く、市販品としては例えば、新中村化学工業(株)製:NKオリゴU−15HAや、SARTOMER社製:SR−399等が挙げられる。
上記第一の電離放射線硬化性樹脂は1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせても良い。
第一の電離放射線硬化性樹脂として上記ウレタン変性(メタ)アクリレート樹脂と多官能モノマー又は多官能オリゴマーを組み合わせて用いる場合、硬化樹脂層Bの強度、耐熱性、耐擦過性、耐水性、耐薬品性及び基材に対する密着性の点から、ウレタン変性(メタ)アクリレート樹脂100質量%に対し、多官能モノマー又は多官能オリゴマーを5〜90質量%用いることが好ましく、10〜70質量%用いることがより好ましい。
(色材)
色材は本発明に係るデジタル印刷用熱転写材を用いて形成される画像形成物の意匠性を高めるための成分である。
色材としては、染料及び/又は顔料を用いることができる。
染料は顔料と比較して極めて分散性が良く、いわば分子レベルで分散しているため、透明性などの光学的性能が顔料に比べ優れている。
顔料は、樹脂組成物bを硬化させる際の紫外線の吸収効率及び当該紫外線の照射により発生するフリーラジカルを補足する確率が染料に比べ低いため、染料を用いた場合よりも紫外線による組成物の硬化が阻害されにくい利点がある。
なお、阻害されたことにより硬化が不十分な場合、硬化樹脂層Bの耐熱性が低く、熱転写時にクラックが発生したり、転写後の画像形成物の耐久性が低下する問題もある。
顔料の材料としては特に限定されず、また、複数顔料を混合して調色してもよい。例えば、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド207などのキナクリドン系、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー173、C.I.ピグメントオレンジ61などのイソインドリノン系、C.I.ピグメントイエロー139などのイソリンドリン系、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド177などのスレン系、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド178などのペレリン系、C.I.ピグメントオレンジ43などのペリノン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、C.I.ピグメントイエロー138などのキノフタロン系、ピグメントレッド254(ジケトピロロピロールレッド、赤色)などのジケトピロロピロール系、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントオレンジ68、ピグメントイエロー150(ニッケルアゾイエロー4G、黄色)などの金属錯体顔料等を用いることができる。
顔料は、分散時に平均粒径を0.2μm以下、且つ、最大粒径を1μm以下にすることが好ましい。ここで平均粒径、及び最大粒径は、日機装(株)製:MICROTRAC UPAを用いて、動的光散乱法によりメチルエチルケトンを溶媒として測定した体積分布からの値であり、平均粒径は累積50%値である。
染料の材料としては、熱的に安定な昇華しにくい染料が好ましく、例えば、ダイレクトスカイブルー、タートラジン、アシッドバイオレット8B、サフラニン、オーラミン、クリスタルバイオレット、メチレンブルー、サンクロミンファーストブル−MB、エリオフロムアズロールB1アリザリンイエローBネナフトールAS、ニグロシン、スピリットブラックEB、バリファストオレンジ320f3、オイルブラック 215、バターイエロー等を用いることができる。
上記色材は1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
(樹脂組成物bのその他の成分)
硬化樹脂層Bは電離放射線硬化性樹脂の硬化物であることにより優れた耐久性を得ることを主目的としているが、当該耐久性を確保しながら、硬化樹脂層Bの転写性の向上や、硬化性を促進させることを目的として、硬化して硬化樹脂層Bとなる樹脂組成物bには熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、分散剤、光重合開始剤、溶剤及び離型剤等のその他の成分が含まれていても良い。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、冷却により硬化及び乾燥により固化が可能であり、上記第一の電離放射線硬化性樹脂とともに硬化樹脂層のマトリクスを形成する。
熱可塑性樹脂としては、熱転写時の熱で基材からの剥離性が向上するものであれば特に制限がなく、従来公知のものを適宜選択して用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、環状オレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種の単量体のみからなる重合体であっても良いし、2種以上の単量体からなる共重合体であっても良い。
熱可塑性樹脂は、硬化樹脂層Bの耐久性を確保できる範囲で用いてよく、好ましくは、第一の電離放射線硬化性樹脂が80〜99.5質量%、熱可塑性樹脂が0.5〜20質量%の範囲で用いる。
(熱硬化性樹脂)
樹脂組成物bには、硬化樹脂層Bの耐熱性を高めるために、上記第一の電離放射線硬化性樹脂による硬化樹脂層Bの耐久性を確保できる範囲で、熱硬化性樹脂が含まれていても良い。
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル、メラミン系樹脂及びエポキシ系樹脂等が例示できる。
熱硬化性樹脂の含有量は、第一の電離放射線硬化性樹脂100質量%に対して、熱硬化性樹脂10〜80質量%が好ましい。
(分散剤)
分散剤は、顔料を分散させるための成分である。
分散剤としては、特に限定されず、公知のものを適宜選択して用いることができる。例えば、脂肪族系多価カルボン酸塩、ポリエーテルポリエステルカルボン酸塩、高分子ポリエステルポリアミン塩、高分子量カルボン酸長鎖アミン塩などのアニオン系分散剤、脂肪族のアイミン塩、第4級アンモニウム塩、ポリアミノアマイド及びその塩、長鎖ポリアミノアマイドのリン酸塩などのカチオン系分散剤、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量ポリアステル酸塩などの電気的中性系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタンエステルなどの非イオン系分散剤、親油基にフッ化炭素を有するなどのフッ素系分散剤、高分子分散剤などを用いることができる。
高分子系分散剤の市販品としては、ビックケミー・ジャパン(株)製:Disperbyk160シリーズ、楠本化成(株)製:ディスパロン#703、日本エヌエスシー社製:ソルスパーズ5000、22000、24000、32000、33000及び33500等が挙げられる。
樹脂組成物bに、第一の電離放射線硬化性樹脂、顔料及び分散剤が含まれる場合、第一の電離放射線硬化性樹脂:顔料:分散剤の質量基準での比が、600〜1200:100:30〜150であることが好ましい。
(光重合開始剤)
樹脂組成物bに添加する光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、αーアミロキシムエステル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、チオキサントン類等が適用できる。
また、必要に応じて、光増感剤、光重合促進剤を用いても良い。光増感剤、光重合促進剤としては、公知の光増感剤でよく、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン系化合物;アントラキノン、メチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物;ベンジル;ジアセチル;アセトフェノン、ベンゾフェノン等のフェニルケトン化合物;ジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムスルフィド等のスルフィド化合物;α−クロルメチルナフタリン;アントラセンおよびヘキサクロロブタジエン、ペンタクロロブタジエン等のハロゲン化炭化水素、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリーnーブチルホスフィン等がある。このような光重合開始剤及び光増感剤の含有量は、上記ウレタン変性(メタ)アクリレート樹脂を用いる場合、当該樹脂100質量%に対して、0.5〜10質量%の範囲で用いることが好ましい。
(溶剤)
溶剤としては、第一の電離放射線硬化性樹脂組成物に対する溶解性や色材の分散性及び樹脂組成物bの塗布性を考慮して適宜選択して用いることができ、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系有機溶剤等が挙げられる。また、上記溶剤からなる混合系溶剤も好ましく用いられる。
(離型剤)
離型剤としては、公知の離型剤を用いてよく、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス、フッ素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等であり、特に好ましくは変性シリコーンである。具体的には、変性シリコーンオイル側鎖型、変性シリコーンオイル両末端型、変性シリコーンオイル片末端型、変性シリコーンオイル側鎖両末端型、トリメチルシロキシケイ酸を含有するメチルポリシロキサン(シリコーンレジンと称されている)、シリコーングラフトアクリル樹脂、及びメチルフェニルシリコーンオイル等がある。
離型剤は、硬化樹脂層Bの耐久性を確保できる範囲で用いてよく、好ましくは、上記第一の電離放射線硬化性樹脂100質量%に対して、0.5〜5質量%用いる。
(その他の成分)
上記の他、公知の重合防止剤、粘度調節剤、界面活性剤及び消泡剤等を用いても良い。これらは、硬化樹脂層Bの耐久性を確保できる範囲で用いる。好ましくは、それぞれ、上記第一の電離放射線硬化性樹脂100質量%に対して、0.1〜2質量%用いる。
(着色転写層Aのその他の層)
着色転写層Aには、上記硬化樹脂層Bの他、転写性や耐久性等を高めるために、以下の硬化樹脂層C、剥離層、蒸着層及び接着層等のその他の層が含まれていても良い。
以下、着色転写層Aのその他の層を説明する。
(硬化樹脂層C)
硬化樹脂層Cは、着色転写層Aの転写性や耐久性を向上させるために、着色転写層Aの一部として必要に応じて設けられる層であり、熱可塑性樹脂及び/又は電離放射線による硬化性を有する第二の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物cの硬化物からなる。
硬化樹脂層Cは、基材と硬化樹脂層Bの間に設けられていても良いし、硬化樹脂層Bを介して基材に設けられていても良い。
紫外線を吸収し、組成物の硬化を阻害しやすい赤色系色材を用いる場合、上記樹脂組成物bではなく、樹脂組成物cに、当該赤色系色材を含ませることにより、硬化樹脂組成物bには当該紫外線を吸収し硬化を阻害しやすい赤色系色材が含まれないため、硬化樹脂層Bの硬化を十分に行うことができ、本発明に係るデジタル印刷用熱転写材や画像形成物の耐久性を向上させることができる。
また、樹脂組成物cに熱可塑性樹脂を含ませ、硬化樹脂層Cを基材と硬化樹脂層Bとの間に設けることにより、硬化樹脂層Cが転写時の箔切れ性を向上させ、バリの発生も抑制し、着色転写層Aを精度よく基材から剥離して転写することができる。
硬化樹脂層Cは、上述したように色材を含むことができるが、硬化樹脂層Cが硬化樹脂層Bとの間に設けられる層構成、且つ、樹脂組成物bで用いる色材が当該樹脂組成物bの硬化を阻害しやすい色材以外の場合は、樹脂組成物cに色材を加えず、樹脂組成物bのみに色材を加えることが好ましい。この理由は、樹脂組成物cに色材が含まれる場合、基材に樹脂組成物cを塗布し、硬化樹脂層Cを形成後に当該硬化樹脂層C上に、溶剤を含む樹脂組成物bを塗布すると当該溶剤により硬化樹脂層Bの色材が樹脂組成物bに移り、層間で色材によるコンタミネーション(混合)が生じ、解像度が低下するおそれがあり、これを防止するためである。
硬化樹脂層Cの厚さは、要求される性能に応じて適宜調節すればよく、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましい。
以下、硬化して硬化樹脂層Cとなる樹脂組成物cについて説明する。
(樹脂組成物c)
樹脂組成物cは、熱可塑性樹脂及び/又は第二の電離放射線硬化性樹脂を含み、電離放射線の照射、乾燥、熱乾燥(加熱)又はこれらの組み合わせにより硬化する組成物である。上記樹脂組成物bで挙げた、色材、分散剤及び光重合開始剤等のその他の成分が含まれていても良い。
(第二の電離放射線硬化性樹脂)
樹脂組成物cで用いることができる第二の電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線により硬化する硬化性を有するものであれば特に限定されず、従来公知の電離放射線硬化性樹脂を用いることができ、上記樹脂組成物bで挙げたものを用いることができる。
第二の電離放射線硬化性樹脂は、上記第一の電離放射線硬化性樹脂と実質的に同一でもよく、異なっていても良い。同一である場合、層間の密着性に優れる点から好ましい。ここで実質的とは、基本骨格や反応機構が同じであればよく、置換基や鎖長が異なってもよいことを意味する。
(熱可塑性樹脂)
樹脂組成物cで用いることができる熱可塑性樹脂としては、熱転写時の熱で基材からの剥離性が向上するものであれば特に制限がなく、従来公知のものを適宜選択して用いることができ、上記樹脂組成物bで挙げたものを用いることができる。
樹脂組成物cには、上記第二の電離放射線硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が含まれていればよく、両方が含まれていても良い。また、それぞれ、1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
樹脂組成物cに上記第二の電離放射線硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂が含まれている場合、第二の電離放射線硬化樹脂及び熱可塑性樹脂は、要求される性能に応じて含有量を適宜調節して用いればよく、樹脂組成物c中の全成分に対し、第二の電離放射線硬化性樹脂が80〜99.5質量%、熱可塑性樹脂が0.5〜20質量%であることが好ましい。なお、含有量の計算では、離型剤は第二の電離放射線硬化性樹脂量に含めるものとする。
(樹脂組成物cのその他の成分)
樹脂組成物cには本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、色材の他、上記樹脂組成物bで挙げたその他の成分を用いて良い。樹脂組成物cのその他の成分は、上記樹脂組成物bのその他の成分と同じでも異なっていても良い。
(樹脂組成物cの色材)
樹脂組成物cの色材としては、上記樹脂組成物bで挙げたものを用いることができる。
(蒸着層)
蒸着層は、上記硬化樹脂層の基材とは反対側の面に設けて光(可視光)を反射する金属又はその酸化物、硫化物、若しくは窒化物等の薄膜の層であり、本発明の画像形成物の意匠性の向上に寄与する。
蒸着層としては、Cr、Ni、Ag、Au及びAl等の金属並びにその酸化物、硫化物及び窒化物等の薄膜を単独又は複数を組み合わせてもよい。蒸着層の厚さは、10〜2000nmが好ましく、20〜100nmがより好ましい。蒸着層の厚さが10nm未満では、光がある程度透過して効果が減じてしまう。2000nmより厚くても、反射効果は変わらないため、コストが増大してしまう。金属薄膜は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの真空薄膜法で得られる。
(接着層)
接着層は、着色転写層を被転写体に転写する際に、被転写体への転写性(接着性)を向上させるために必要に応じて設ける層である。また、デジタル印刷用熱転写材に設けず、被転写体側に設けても良い。
接着層は熱で溶融又は軟化して接着する熱接着型接着剤を用いることができ、当該熱接着型接着剤としては、例えば、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などのビニル系樹脂、アクリル系やメタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニールエーテル樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられる。中でも接着力などの点で、塩化ビニール−酢酸ビニール共重合樹脂、アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。
これらの樹脂を単独又は複数を組み合せて使用する。
また、必要に応じて、公知の充填剤、可塑剤、着色剤及び帯電防止剤などの添加剤を、適宜加えてもよい。
接着層の厚さは、通常は0.05〜10μm、好ましくは0.1〜5μmである。接着層の厚さが0.05μm以上であれば、被転写体との接着力が得られ、10μmを超えると、表面の凹凸が著しい被転写材には効果的だが、サーマルヘッドの熱の利用効率が低下し、解像度を劣化させるおそれがあるため好ましくない。
(着色転写層A以外の層)
(耐熱滑性層)
本発明に係る第一のデジタル印刷用熱転写材には、基材の着色転写層とは反対側に、必要に応じて耐熱滑性層を設けることができる。耐熱滑性層を設けることによりサーマルヘッドの熱によるスティッキングや印字しわ等を防止し、より安定して高品質な転写を行うことができるため好ましい。
耐熱滑性層は、耐熱性のある熱可塑性樹脂と、熱離型剤又は滑剤のはたらきをする物質とを、基本的な構成成分とする。
耐熱性のある熱可塑性樹脂としては、適宜選択して用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、アクリル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、環化ゴム及びポリビニルアルコール等が挙げられる。
これらの樹脂に加えて用いることができる滑り性付与剤としては、リン酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及びリン酸エステル系化合物であり、さらに充填剤を添加することがより好ましい。
耐熱滑性層となる組成物は、耐熱滑性層の熱可塑性樹脂100質量%に対し、上記滑剤又は熱離型剤を10〜100質量%の割合で配合する。
耐熱滑性層の塗布量は、固形分で、0.1g/m〜4.0g/mが好ましい。基材と耐熱滑性層の付着を確実にするために、予め基材上にプライマー層を設けてもよい。
(第二のデジタル印刷用熱転写材)
本発明に係る第二のデジタル印刷用熱転写材は、基材の一面側に、少なくとも硬化樹脂層D及び硬化樹脂層Eを含む着色転写層A’が設けられており、
当該硬化樹脂層Dは、色材及び熱可塑性樹脂及び/又は電離放射線による硬化性を有する第一の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物dの硬化物からなり、
当該硬化樹脂層Eは、電離放射線による硬化性を有する第二の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物eの硬化物からなることを特徴とする。
本発明に係る第二のデジタル印刷用熱転写材は、着色転写層A’において、色材を含む硬化樹脂層Dと電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層Eが別々に積層されていることにより、色材が上記硬化樹脂層Bで述べたように、紫外線を吸収して樹脂組成物の硬化を阻害しやすい色材であっても硬化樹脂層Eには色材を含ませないことも可能であるため、当該硬化樹脂層Eを十分に紫外線で硬化させることができ、耐久性に優れたデジタル印刷用熱転写材を得ることができる利点がある。
着色転写層A’において、硬化樹脂層Dと硬化樹脂層Eは図2及び3に示したように、どちらが基材側であっても良い。
以下、本発明に係る第二のデジタル印刷用熱転写材の必須の構成要素である基材並びに少なくとも硬化樹脂層D及び硬化樹脂層Eを含む着色転写層A’を説明する。
(基材)
基材は上記第一のデジタル印刷用熱転写材の基材と同様の基材を用いることができる。
(着色転写層A’)
着色転写層A’は、第二のデジタル印刷用熱転写材において、基材の一面側に設けられる転写性を有する層であり、少なくとも硬化樹脂層D及び硬化樹脂層Eを含む。
着色転写層A’は、硬化樹脂層D及び硬化樹脂層Eの他、デジタル印刷用熱転写材の耐久性、剥離性、転写性等を向上させるために適宜、剥離層、蒸着層及び接着層等のその他の層を含んでいても良い。
第二のデジタル印刷用熱転写材の着色転写層A’は、少なくとも硬化樹脂層D及び硬化樹脂層Eからなる点で、第一のデジタル印刷用熱転写材の着色転写層Aと異なる。
以下、着色転写層A’の必須構成要素である硬化樹脂層D及び硬化樹脂層E並びに必要に応じて設けることができるその他の層を説明する。
(硬化樹脂層D)
硬化樹脂層Dは、色材及び熱可塑性樹脂及び/又は電離放射線による硬化性を有する第一の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物dの硬化物からなる。
紫外線を吸収し、組成物の硬化を阻害しやすい赤色系色材を用いる場合、後述する樹脂組成物eではなく、樹脂組成物dに、当該赤色系色材を含ませることにより、硬化樹脂層Eの硬化を十分に行うことができ、本発明に係るデジタル印刷用熱転写材や画像形成物の耐久性を向上させることができる。
また、樹脂組成物dに熱可塑性樹脂を含ませ、硬化樹脂層Dを基材と硬化樹脂層Eとの間に設けることにより、硬化樹脂層Dが転写時の箔切れ性を向上させ、バリの発生も抑制し、着色転写層A’を精度よく基材から剥離して転写することができる。
硬化樹脂層Dの厚さは、要求される性能に応じて適宜調節すればよく、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましい。
以下、硬化して硬化樹脂層Dとなる樹脂組成物dについて説明する。
(樹脂組成物d)
本発明の樹脂組成物dは、色材及び第一の電離放射線硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂を少なくとも含み、電離放射線の照射、乾燥、熱乾燥(加熱)又はこれらの組み合わせにより硬化する組成物である。樹脂組成物dには、必要に応じてその他の樹脂、分散剤、光重合開始剤及び離型剤等のその他の成分が含まれていても良い。
(第一の電離放射線硬化性樹脂)
第一の電離放射線硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の電離放射線により硬化して硬化樹脂となり、硬化樹脂層のマトリクスとなる成分であり、上記樹脂組成物bの第一の電離放射線硬化性樹脂と同様のものを用いることができる。
(熱可塑性樹脂)
樹脂組成物dには、硬化樹脂層Dの転写性を向上させるために、熱可塑性樹脂が含まれていても良い。
熱可塑性樹脂としては、上記樹脂組成物cで挙げたものと同様のものを用いることができる。
樹脂組成物dには、上記第一の電離放射線硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂のいずれかを単独で用いても良く、両方が含まれていても良い。また、それぞれ、1種単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
(色材)
色材は本発明に係るデジタル印刷用熱転写材を用いて形成される画像形成物の意匠性を高めるための成分である。
色材は上記樹脂組成物bで挙げたものと同様のものを用いることができる。
(樹脂組成物dのその他の成分)
樹脂組成物dのその他の成分は上記樹脂組成物bで挙げたものと同様のものを用いることができる。
(硬化樹脂層E)
硬化樹脂層Eは、第二の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物eの硬化物からなり、第二のデジタル印刷用熱転写材の耐久性発現に寄与する層である。
紫外線を吸収し、組成物の硬化を阻害しやすい赤色系色材を着色転写層A’に用いる場合、上記樹脂組成物dのみに当該赤色系色材を含ませ、樹脂組成物eには当該赤色系色材を含ませないことにより、硬化樹脂層Eの硬化を十分に行うことができ、本発明に係るデジタル印刷用熱転写材や画像形成物の耐久性を向上させることができる。
また、樹脂組成物d及び樹脂組成物eの両方に色材が含まれる場合も、樹脂組成物dのみに上述のような赤色系色材を含ませ、樹脂組成物eには当該赤色系以外の色材を含ませることにより、紫外線を吸収する赤色系色材により樹脂組成物eの硬化が阻害されないため、硬化樹脂層Eは硬化が十分となり、本発明に係る第二のデジタル印刷用熱転写材や画像形成物の耐久性を優れたものとすることができる。また、逆に樹脂組成物dには赤色系以外の色材を含ませ、樹脂組成物eには赤色系の色材を含ませてもよい。
硬化樹脂層Eの厚さは、要求される性能に応じて適宜調節すればよく、0.2〜5μmが好ましく、0.3〜2μmがより好ましい。
以下、硬化して硬化樹脂層Eとなる樹脂組成物eについて説明する。
(樹脂組成物e)
本発明の樹脂組成物eは、第二の電離放射線硬化性樹脂を少なくとも含み、電離放射線の照射により硬化する組成物である。樹脂組成物eには、必要に応じてその他の樹脂、色材、分散剤、光重合開始剤及び離型剤等のその他の成分が含まれていても良い。
(第二の電離放射線硬化性樹脂)
第二の電離放射線硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の電離放射線により硬化して硬化樹脂となり、硬化樹脂層のマトリクスとなる成分であり、上記樹脂組成物bの第一の電離放射線硬化性樹脂と同様のものを用いることができる。また、樹脂組成物dの第一の電離放射線硬化性樹脂と同じでもよく、異なっていても良い。
(樹脂組成物eのその他の成分)
樹脂組成物eには、当該樹脂組成物eの硬化物の硬化樹脂層Eの耐久性を確保する範囲で熱可塑性樹脂、色材及び光重合開始剤等のその他の成分が含まれていても良い。
熱可塑性樹脂は、硬化樹脂層Eの耐久性を確保できる範囲で用いてよく、好ましくは、第二の電離放射線硬化性樹脂が80〜99.5質量%、熱可塑性樹脂が0.5〜20質量%の範囲で用いる。
色材及び光重合開始剤等のその他の成分は、上記樹脂組成物bで挙げたものと同様のものを、同様の添加量で用いることができる。
(着色転写層A’のその他の層)
本発明に係る第二のデジタル印刷用熱転写材の着色転写層A’には、上記必須の硬化樹脂層D及びE以外に、必要に応じて、剥離層、蒸着層及び接着層等のその他の層が含まれていても良い。
これらその他の層は、上記第一のデジタル印刷用熱転写材で挙げたものと同様のものを用いることができる。
(着色転写層A’以外の層)
(耐熱滑性層)
本発明に係る第二のデジタル印刷用熱転写材には、基材の着色転写層A’とは反対側に、サーマルヘッドの熱によるスティッキングや印字しわ等を防止するため、必要に応じて耐熱滑性層を設けることができる。
耐熱滑性層となる組成物は、上記着色転写層Aで挙げたものを用いることができる。
(デジタル印刷用熱転写材の製造方法)
本発明の第一及び第二のデジタル印刷用熱転写材の製造方法は、基本的に、上記基材の一面側に、調製した樹脂組成物等の着色転写層の各層の形成材料を、基材に近い側の層から塗布し、硬化させ、積層していく。
(樹脂組成物の調製方法)
樹脂組成物の調製方法は、従来公知の顔料分散液等の調製方法を用いることができる。すなわち、電離放射線硬化性樹脂、色材、必要に応じて加えられる分散剤及び溶剤等のその他の成分を、任意の順序で溶剤に混合し、ニーダー、ロールミル、アトライタ、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー及びサンドミル等の公知の分散機を用いて分散させることによって樹脂組成物を調製することができる。また色材として顔料を用いる場合、顔料分散時に、電離放射線硬化性樹脂、顔料及び分散剤のように分散が比較的容易な組み合わせで分散し、その後その他の材料を攪拌、混合し樹脂組成物を得ることも可能である。
(樹脂組成物の塗布方法)
塗布方法としては、公知のコーティング法又は印刷法で塗布すればよい。塗布法としては、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート及びグラビアリバースコート等が適用できる。
塗布量は要求される性能に応じて適宜調節すればよく、好ましくは上記各層で述べた膜厚となるように塗布する。
なお、基材に隣接する着色転写層の一部の硬化樹脂層は、転写後、通常被転写体側へ移行するが、硬化樹脂層の一部が基材へ残る場合もあり、この場合も機能的には影響がないので、本発明の範囲内である。
(各層の形成方法)
電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を硬化させ硬化樹脂層を形成する場合は、樹脂組成物の塗膜に電離放射線を照射し、硬化させればよい。紫外線による硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク及びメタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用することができる。紫外線の波長は300〜400nmが好ましい。
基材の着色転写層とは反対側に耐熱滑性層を形成する場合は、着色転写層を形成する前、形成しながら、形成後のいずれの段階で耐熱滑性層を形成しても良い。
(画像形成物)
本発明に係る画像形成物は、上記第一又は第二のデジタル印刷用熱転写材を用いて、被転写体に当該デジタル印刷用熱転写材の着色転写層A又は着色転写層A’を熱転写してなることを特徴とする。
図7及び図8は、それぞれ、本発明に係る画像形成物の層構成の一例を模式的に示した図である。
図7は、図2のデジタル印刷用熱転写材を被転写体に転写した場合の層構成を模式的に示した図である。図2のデジタル印刷用熱転写材では、基材10の一面側に、基材10側から硬化樹脂層D40及び硬化樹脂層E50を含む着色転写層A’21が積層されていたが、転写により、画像形成物3においては被転写体90側から硬化樹脂層E50及び硬化樹脂層D40という層構成になっている。
図8は、図6のデジタル印刷用熱転写材を被転写体に転写した場合の層構成を模式的に示した図である。図8の画像形成物3においては、被転写体90側から硬化樹脂層B30及び硬化樹脂層C80という層構成になっている。
(被転写体)
被転写体とする媒体としては、特に限定されず、例えば、天然繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフイルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等いずれのものでもよい。
特に、本発明に係るデジタル印刷用熱転写材を用いることにより、耐久性に優れるため、軟包装材に用いても、当該軟包装材の変形による転写部分の割れや剥離等を抑えることができる。
被転写体の用途についても、株券、証券、証書、通帳類、乗車券、車馬券、印紙、切手、鑑賞券、入場券、チケット等の金券類、キャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、メンバーズカード、グリーティングカード、ハガキ、名刺、運転免許証、ICカード、光カードなどのカード類、カートン、容器等のケース類、バッグ類、帳票類、封筒、タグ、OHPシート、スライドフィルム、しおり、カレンダー、ポスター、パンフレット、メニュー、パスポート、POP用品、コースター、ディスプレイ、ネームプレート、キーボード、化粧品、腕時計、ライター等の装身具、文房具、レポート用紙など文具類、建材、パネル、エンブレム、キー、布、衣類、履物、ラジオ、テレビ、電卓、OA機器等の装置類、各種見本帳、アルバム、また、コンピュータグラフィックスの出力等、種類を問うものではない。また、被転写体はその一部が着色、印刷、その他の加飾が施されていてもよい。
(画像形成物の製造方法)
本発明の画像形成物は、上記被転写体及び上記デジタル印刷用熱転写材を準備し、当該被転写体にデジタル印刷用熱転写材の着色転写層を転写することで製造される。
具体的には、公知の熱転写方法を用いることが可能で、サーマルヘッドを用いた熱転写プリンター(サーマルプリンター)、熱ロールによる全面又はストライプ転写、熱刻印によるホットスタンプ(箔押)等を用いることが可能である。中でも、少量多品種の要求に応じた即時の高速印刷が可能でありながら、耐久性に優れた画像形成物を得る点から、サーマルプリンターを用いて熱転写することが好ましい。
画像形成物の製造において、加熱により硬化樹脂層等が軟化又は溶融して被転写体に定着した後、放置等により冷却して転写した硬化樹脂層等が固化してから、基材を被転写体から剥離する冷時剥離及び硬化樹脂層等を加熱すると同時又は当該硬化樹脂層等が軟化又は溶融状態のまま、基材を被転写体から剥離する熱時剥離という方法がある。
熱時剥離は抵抗体がヘッドの端部にあり熱転写材との接触面積の小さいエッジヘッドにより短時間で加熱を行い転写層を熱転写するため、生産性が高いという利点があり、バーコード表示、消費期限表示等の高速印刷に特に適している。
一方、冷時剥離は、抵抗体がヘッドの面上にあり、熱転写材との接触面積が熱時剥離よりも比較的大きいフラットヘッドにより、エッジヘッドよりも比較的長い時間加熱を行い、被転写体表面を軟化又は半ば溶融させて転写層を転写・接着させ、転写層が固化してから基材を被転写体から剥離するため、画像形成物の耐久性が向上するという利点がある。
本発明に係る画像形成物は冷時剥離及び熱時剥離のいずれでも形成可能であるが、耐久性に優れた画像形成物を得る点から、冷時剥離を行うことが好ましい。
このことより、本発明の画像形成物は、熱転写がサーマルプリンターを用いて冷時剥離で行われることが特に好ましい。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
シリコーンは、信越化学工業(株)製:アミノ変性反応性シリコーンオイル(側鎖型)KF860を用いた。
多官能モノマーは、新中村化学工業(株)製:NKオリゴU−15HAを用いた。
ウレタンアクリレートは、日本合成化学工業(株)製:UV−3200Bを用いた。
光重合開始剤(1)は、チバ・ジャパン製:イルガキュア907を用いた。
光重合開始剤(2)は、チバ・ジャパン製:イルガキュア184を用いた。
イソホロンジイソシアネートの三量体は、HULS社製:VESTANAT T1890(融点110℃)を用いた。
ペンタエリスリトールトリアクリレートは、大阪有機化学工業(株)製:ビスコート300を用いた。
メタクリル樹脂は、クラレ(株)製、パラペットGFを用いた。
基材(1)として、東レ(株)製:ポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラー6CF53)、厚さ6μmを用いた。
基材(2)として、東レ(株)製:ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ4.5μmを用いた。
被転写体(1)として、易接着処理したリンテック(株)製:ポリエチレンテレフタレート基材(PET WH 50)を用いた。
被転写体(2)として、外面未処理のナイロン基材(ユニチカ(株)製:エンブレムON 厚さ25μm)を用いた。
2−イソシアネートエチルメタクリレートは、昭和電工(株)製:カレンズMOIを用いた。
高分子系分散剤は、日本エヌエスシー社製:ソルスパーズ33500を用いた。
スチレン−アクリロニトリル共重合体は、ダイセル化学工業(株)製:セビアンADを用いた。
熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂は、ユニチカ(株)製、エリーテルUE3200を用いた。
メラミン−アルデヒド樹脂球状微粒子は、(株)日本触媒製:エポスターS、粒径0.3μmを用いた。
ステアリン酸亜鉛(ジンクスステアリルアシッドフォスフェート)は、堺化学工業(株)製:LBT−1830を用いた。
αオレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノイソプロピルエステル共重合物は、ペトロライト社製:セラマー1608を用いた。
芳香族系石油樹脂は、(新日本石油(株)製:日石ネオポリマー160)を用いた。
ノルボルネン樹脂は、JSR(株)製:アートンGを用いた。
アクリルポリオール樹脂は、綜研化学(株)製:サーモラックSU−100Aを用いた。
カルナバワックスエマルジョンは、コニシ(株)製:WE95を用いた。
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(1)は、三井・デュポン ポリケミカル(株)製:EV220を用いた。
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(2)は、三井・デュポン ポリケミカル(株)製:EV420を用いた。
ポリビニルブチラール樹脂は、積水化学工業(株)製:エスレックBX−1を用いた。
タルクは、日本タルク(株)製:ミクロエースL−1を用いた。
ポリイソシアネートは、武田薬品工業(株)製:タケネートA3を用いた。
アクリル樹脂は、三菱レイヨン製:BR113を用いた。
青顔料は、山陽色素(株)製:シアニンブルーKRGを用いた。
各略語の名称はそれぞれ、以下の通りである。
MEK:メチルエチルケトン
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
THF:テトラヒドロフラン
PET:ポリエチレンテレフタレート
(製造例1)
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、トルエン40gおよびMEK40gをアゾ系の開始剤とともに仕込み、HEMA22.4g、MMA70.0g、トルエン20g及びMEK20gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。
これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート27.8g、トルエン20g及びMEK20gの混合液を加えて、ラウリン酸ジブチル錫を触媒として付加反応させた。反応生成物をIR分析によりイソシアネート基の2200cm−1の吸収ピークの消失を確認し反応を終了した。
上記で得られたウレタン変性アクリレート系樹脂の溶液は、不揮発分41.0%、粘度130mPa(30℃)であり、ウレタン変性アクリレート系樹脂の分子量は35,000、ポリマー1分子中の二重結合の平均個数は13.8モル%、酸価は0(mgKOH/g)であった。
(樹脂組成物(i)の調製)
以下の組成に加え、MEKを溶剤とし、固形分濃度50%の樹脂組成物(i)を調製した。
製造例1のウレタン変性アクリレート系樹脂溶液(固形分基準):100質量部
シリコーン:1質量部
多官能モノマー:10質量部
ウレタンアクリレート:10質量部
光重合開始剤(1):5質量部
(樹脂組成物(ii)の調製)
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、酢酸エチル206.1g及びイソホロンジイソシアネートの三量体133.5gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだのち、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.38g、ペンタエリスリトールトリアクリレート249.3g及びジブチル錫ジラウレート0.38gを仕込んだ。80℃で5時間反応させたのち酢酸エチル688.9gを添加して冷却した。得られた反応生成液は赤外吸収スペクトル分析の結果、イソシアネート基の吸収が消滅していることを確認した。反応生成液から酢酸エチルを留去したものの軟化温度は43℃であった。
得られた反応生成液に、メタクリル樹脂を、反応生成液固形分100質量部につき25質量部、酢酸エチル290質量部、光重合開始剤(2)3.75質量部を添加して、樹脂組成物(ii)を得た。
以下の組成で、各樹脂組成物をそれぞれ、調製した。
(樹脂組成物(1))
樹脂組成物(i):1000質量部(固形分基準)
C.I.ピグメントブルー16(フタロシアニン系顔料):100質量部
高分子系分散剤:120質量部
トルエン/MEK=1/1:2000質量部
(樹脂組成物(2))
ノルボルネン樹脂:40質量部
アクリルポリオール樹脂:10質量部
C.I.ピグメントレッド254(ジケトピロロピロールレッド):25質量部
高分子系分散剤:5質量部
トルエン/MEK=1/1:50質量部
(樹脂組成物(3))
樹脂組成物(ii):1000質量部
トルエン/MEK=1/1:2000質量部
(樹脂組成物(4))
C.I.ピグメントイエロー180:100質量部
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(1):500質量部
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(2):500質量部
トルエン/MEK=1/1:900質量部
(樹脂組成物(5))
青顔料:9質量部
アクリル樹脂:21質量部
ポリエチレンワックス:2質量部
トルエン/MEK=1/1:68質量部
(耐熱滑性層用樹脂組成物)
スチレン−アクリロニトリル共重合体:8.5質量部
熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂:0.5質量部
メラミン−アルデヒド樹脂球状微粒子:2.5質量部
ステアリン酸亜鉛(ジンクスステアリルアシッドフォスフェート):5.0質量部
MEK:83.0質量部
トルエン:0.5質量部
(接着層用樹脂組成物)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(VA=28%、MI=15):40質量部
αオレフィン−無水マレイン酸共重合体−無水マレイン酸モノイソプロピルエステル共重合物:20質量部
芳香族系石油樹脂:25質量部
エチレン−酢酸ビニル共重合体ディスパージョン(VA=8%、MI=25):15質量部
MEK:120質量部
シクロヘキサン:310質量部
トルエン:270質量部
参考例1)
基材(1)の一面側に、上記調製した耐熱滑性層用樹脂組成物をグラビアコーターにより塗布し、塗膜とし、100℃で乾燥して、厚さ0.2μmの耐熱滑性層を形成した。
次いで、基材(1)の耐熱滑性層を形成した側とは反対側に、樹脂組成物bとして、上記調製した樹脂組成物(1)をグラビアコーターにより塗布し、塗膜とし、100℃で乾燥し、高圧水銀灯を用いて光照射し、その塗膜を硬化させ、厚さ1.0μmの硬化樹脂層Bを形成した。
次いで、硬化樹脂層B上に、上記調製した接着層用樹脂組成物をグラビアコーターにより塗布し、塗膜とし、100℃で乾燥し、厚さ0.2μmの接着層を形成し、参考例のデジタル印刷用熱転写材(1)を得た。
次いで、被転写材体(1)上に、端面側サーマルヘッドを搭載したイーデーエム(株)製 SD3iプリンタを用いて、印字速度6inch/secの印字条件で転写を行い、被転写体(1)上に、被転写体側から接着層及び硬化樹脂層Bを転写した画像形成物(1)を得た。
(実施例2)
基材(1)の一面側に、上記調製した耐熱滑性層用樹脂組成物をグラビアコーターにより塗布し、塗膜とし、100℃で乾燥して、厚さ0.2μmの耐熱滑性層を形成した。
次いで、基材(1)の耐熱滑性層を形成した側とは反対側に、樹脂組成物dとして、上記調製した樹脂組成物(2)をグラビアコーターにより塗布し、塗膜とし、100℃で乾燥した。
次いで、その乾燥した塗膜上に、樹脂組成物eとして、上記調製した樹脂組成物(3)をグラビアコーターにより塗布し、塗膜とし、100℃で乾燥し、高圧水銀灯を用いて紫外線波長365nmでの積算露光量として、光照射し、その樹脂組成物(2)の塗膜と、樹脂組成物(3)の塗膜を硬化させ、基材側から厚さ0.3μmの硬化樹脂層D及び厚さ0.6μmの硬化樹脂層Eを形成した。
次いで、硬化樹脂層E上に上記調製した接着層用樹脂組成物をグラビアコーターにより塗布し、塗膜とし、100℃で乾燥し、厚さ0.2μmの接着層を形成し、実施例のデジタル印刷用熱転写材(2)を得た。
次いで、参考例1の転写において、デジタル印刷用熱転写材(1)に代えてデジタル印刷用熱転写材(2)を用いた以外は参考例1と同様に転写を行い、被転写体(1)上に、被転写体側から接着層、硬化樹脂層E及び硬化樹脂層Dを転写した画像形成物(2)を得た。
参考例2
基材(1)の一面側に、上記調製した耐熱滑性層用樹脂組成物をグラビアコーターにより塗布し、塗膜とし、100℃で乾燥して、厚さ0.2μmの耐熱滑性層を形成した。
次いで、基材(1)の耐熱滑性層を形成した側とは反対側に、樹脂組成物bとして、上記調製した樹脂組成物(1)をグラビアコーターにより塗布し、塗膜とし、100℃で乾燥し、厚さ約1.0μmの硬化樹脂層Bを形成した。
次いで、硬化樹脂層B上に、30nmのアルミ蒸着層を形成した。
次いで、蒸着層上に、上記調製した接着層用樹脂組成物をグラビアコーターにより塗布し、塗膜とし、100℃で乾燥し、厚さ0.2μmの接着層を形成し、メタリックカラーの参考例のデジタル印刷用熱転写材(3)を得た。
次いで、参考例1の転写において、デジタル印刷用熱転写材(1)に代えてデジタル印刷用熱転写材(3)を用いた以外は参考例1と同様に転写を行い、被転写体(1)上に、被転写体側から接着層、アルミ蒸着層及び硬化樹脂層Bを転写した画像形成物(3)を得た。
参考例3
参考例1において、被転写体(1)を被転写体(2)とし、被転写体(2)の未処理の外面に転写(印字)を行った以外は参考例1と同様に行い、被転写体(2)上に、被転写体側から接着層及び硬化樹脂層Bを転写した画像形成物(4)を得た。
(実施例5)
実施例2において、被転写体(1)を被転写体(2)とし、被転写体(2)の未処理の外面に転写(印字)を行った以外は実施例2と同様に行い、被転写体(2)上に、被転写体側から接着層、硬化樹脂層E及び硬化樹脂層Dを転写した画像形成物(5)を得た。
参考例4
参考例2において、被転写体(1)を被転写体(2)とし、被転写体(2)の未処理の外面に転写(印字)を行った以外は参考例2と同様に行い、被転写体(2)上に、被転写体側から接着層、アルミ蒸着層及び硬化樹脂層Bを転写した画像形成物(6)を得た。
(比較例1)
基材(2)の一面側に、上記調製した耐熱滑性層用樹脂組成物をグラビアコーターにより塗布し、塗膜とし、100℃で乾燥して、厚さ0.2μmの耐熱滑性層を形成した。
次いで、基材(2)の耐熱滑性層を形成した側とは反対側に、樹脂組成物(4)をグラビアコーターにより塗布し、塗膜とし、100℃で乾燥し、厚さ1.0μmの樹脂層(1)を形成した。
次いで、樹脂層(1)上に上記調製した接着層用樹脂組成物をグラビアコーターにより塗布し、塗膜とし、100℃で乾燥し、厚さ0.2μmの接着層を形成し、比較例のデジタル印刷用熱転写材(4)を得た。
次いで、参考例1の転写において、デジタル印刷用熱転写材(1)に代えてデジタル印刷用熱転写材(4)を用いた以外は参考例1と同様に転写を行い、被転写体(1)上に、被転写体側から接着層及び樹脂層(1)を転写した画像形成物(7)を得た。
(比較例2)
基材(2)の一面側に、上記調製した耐熱滑性層用樹脂組成物をグラビアコーターにより塗布し、100℃で乾燥して、厚さ0.2μmの耐熱滑性層を形成した。
次いで、基材(2)の耐熱滑性層を形成した側とは反対側に、上記調製した樹脂組成物(5)をグラビアコーターにより塗布し、塗膜とし、100℃で乾燥して樹脂層(2)を成膜し、比較例のデジタル印刷用熱転写材(5)を得た。
次いで、参考例1の転写において、デジタル印刷用熱転写材(1)に代えてデジタル印刷用熱転写材(5)を用いた以外は参考例1と同様に転写を行い、被転写体(1)上に、被転写体側から樹脂層(2)を転写した画像形成物(8)を得た。
(比較例3)
比較例1において、被転写体(1)を被転写体(2)とし、被転写体(2)の未処理の外面に転写(印字)を行った以外は比較例1と同様に行い、被転写体(2)上に、被転写体側から接着層及び樹脂層(1)を転写した画像形成物(9)を得た。
実施例2及び5、参考例1〜4並びに比較例1〜3で得られた画像形成物(1)〜(9)について、以下に示す方法で耐擦過性試験及び耐アルコール性試験を行い、印字部の汚れ及び地汚れ(非印字部の汚れ)を評価することにより耐久性を評価した。
(耐擦過性)
耐擦過性試験機には、スガ試験機(株)製:摩擦試験機 FR−2Sを使用した。この装置はJIS規格の学振型摩擦堅ろう度試験機であり、下記条件で摩擦した際の印字物の堅ろう性を下記基準で評価することにより耐擦過性を評価した。
(試験条件)
荷重 :500gf
摩擦速度:30回/min
往復回数:50回
当て布:白綿布(かなきん3号、JIS L 0803準拠)
(耐擦過性評価基準)
◎:印字部の脱落が全く無く、地の部分の汚れ全く無い。
○:印字部の脱落がほとんど無く、地の部分の汚れが少しある。
△:印字部の脱落が少しあり、地の部分の汚れがある。
×:印字部の脱落が目立ち、地の部分の汚れが非常にある。
(耐アルコール性)
耐擦過性試験で用いたものと同じ試験機を用いて、画像形成物の印字部と、溶剤が浸された当て布とを接触させて下記条件で擦り、印字物の表面状態を目視にて観察し、下記の評価基準にて耐アルコール性を評価した。
(試験条件)
荷重 :500gf
摩擦速度:30回/min
往復回数:100回
当て布:白綿布(かなきん3号、JIS L 0803準拠)
溶剤 :変性エタノール
(耐アルコール性評価基準)
○:印字部が判読可能であり、汚れはあまり無い。
△:印字部の判読は可能であるが、汚れがある。
×:印字部の判読が不可能で、汚れが著しい。
(地汚れ)
上記の印字条件にて得られた印字物において、非印字部の汚れの有無を目視にて観察し、下記の判断基準にて地汚れの評価を行なった。
(評価基準)
○:耐擦過性試験及び耐アルコール性試験のいずれの後にも非印字部の汚れがほとんど認められない。
×:耐擦過性試験又は耐アルコール性試験のいずれかの後に非印字部の汚れが著しく、目立つ。
(評価結果)
実施例2及び5、参考例1〜4並びに比較例1〜3の評価結果を、表1に示す。
Figure 0005493619
(結果のまとめ)
表1より、電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる層を含む着色転写層を有する実施例2及び5、並びに参考例1〜4では、電離放射線硬化性樹脂による硬度が発揮され、被転写体がPET基材のような剛直な基材でも、ナイロンのような軟らかい素材でも耐擦過性、耐アルコール性及び地汚れで良好な結果が得られた。
しかし、電離放射線硬化性樹脂を含まない組成物の硬化物からなる樹脂層を有する比較例1〜3では、熱可塑性樹脂が電離放射線硬化性樹脂よりも硬度に劣るため、画像形成物の耐擦過性、耐アルコール性及び地汚れの評価では印字部の脱落が起こり、印字部が判読不可能となり、地の汚れも著しく目立ってしまった。
1 第一のデジタル印刷用熱転写材
2 第二のデジタル印刷用熱転写材
3 画像形成物
10 基材
20 着色転写層A
21 着色転写層A’
30 硬化樹脂層B
40 硬化樹脂層D
50 硬化樹脂層E
60 接着層
70 耐熱滑性層
80 硬化樹脂層C
90 被転写体

Claims (7)

  1. 基材の一面側に、少なくとも硬化樹脂層Bを含む着色転写層Aが設けられており、
    当該硬化樹脂層Bは、色材及び第一の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物bの硬化物からなり、
    前記着色転写層Aがさらに硬化樹脂層Cを含み、
    当該硬化樹脂層Cは、熱可塑性樹脂及び/又は第二の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物cの硬化物からなることを特徴とする、デジタル印刷用熱転写材。
  2. 前記樹脂組成物bが、さらに熱可塑性樹脂を含み、且つ、前記第一の電離放射線硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の合計100質量%に対して、第一の電離放射線硬化性樹脂が80〜99.5質量%、及び熱可塑性樹脂が0.5〜20質量%含まれることを特徴とする、請求項1に記載のデジタル印刷用熱転写材。
  3. 前記樹脂組成物cがさらに色材を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のデジタル印刷用熱転写材。
  4. 基材の一面側に、少なくとも硬化樹脂層D、及び硬化樹脂層Eを含む着色転写層A’が設けられており、
    当該硬化樹脂層Dは、色材及び熱可塑性樹脂及び/又は第一の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物dの硬化物からなり、
    当該硬化樹脂層Eは、第二の電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物eの硬化物からなることを特徴とする、デジタル印刷用熱転写材。
  5. 前記樹脂組成物eが、さらに熱可塑性樹脂を含み、且つ、前記第二の電離放射線硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の合計100質量%に対して、第二の電離放射線硬化性樹脂が80〜99.5質量%、及び熱可塑性樹脂が0.5〜20質量%含まれることを特徴とする、請求項に記載のデジタル印刷用熱転写材。
  6. 請求項1乃至のいずれか一項に記載のデジタル印刷用熱転写材を用いて、被転写体に当該デジタル印刷用熱転写材の着色転写層A又は着色転写層A’を熱転写してなることを特徴とする、画像形成物。
  7. 前記熱転写が、サーマルプリンターを用いて冷時剥離で行われることを特徴とする、請求項に記載の画像形成物。
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