しかしながら、特許文献1に記載されている構造のものにおいて使用されているダストボックスは、清掃ブラシを内蔵した構造のもので、大容積を有するものであり、また、塵埃の押し込み構造としては、ダストボックス内部において、押し込み部材を往復回動させる構造のものである。すなわち、大容量のダストボックスの内部で押し込み部材を回動させる構造が採用されているのである。そのため、押し込み部材によって充分な押し込み力が得られているとはいい難い。
そこで、押し込み力を向上するため、図14に示すように、ダストトボックス150内に塵埃を圧縮するための帯板状の圧縮板151を設けて、塵埃を出すとダストボックス150内に圧縮状態で多量に収納することで、塵埃を捨てる回数を減らすようにした構造の空気調和機が考えられる。なお、図14において、152は塵埃取入口、153は清掃ブラシ、154は清掃ブラシ153に付着した塵埃を掻き落とすブラシ清掃部材である。しかしこの構造では、ダストボックス150内において帯板状の圧縮板151を、図14の矢印Cに示す方向に往復移動させながら塵埃を圧縮することになるので、この圧縮板151の大きな動きによってダストボックス150内の塵埃が飛散し易くなって、塵埃取入口152から漏れ出てしまうといった不具合が生じることおそれがある。
この発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、エアフィルタから除去されてダストボックス内に収容される塵埃を、ダストボックスから漏れ出させることなくスムーズに圧縮して、ダストボックス内に収容できる塵埃量を増やして、塵埃を捨てる手間を軽減することができるエアフィルタの自動清掃機能を備えた空気調和機を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1の空気調和機は、エアフィルタ21から除去した塵埃を収容するダストボックス71、101を備えたフィルタ自動清掃機能付き空気調和機であって、上記ダストボックス71、101は、塵埃取入口80、110と、塵埃取入口80、110から投入された塵埃を収納する塵埃収納部81、111とを有し、上記塵埃取入口80、110またはその近傍に塵埃搬送手段86、116を回転自在に軸支し、塵埃搬送手段86、116をその場で回転駆動することにより、一方向に連続して回転する塵埃搬送手段86、116外周の摩擦によって塵埃を移動させ、これにより塵埃を順次送り込み、塵埃収納部81、111内に圧縮状態で収納することを特徴としている。
請求項2の空気調和機は、上記ダストボックス71、101は、ガイド壁82、112と逆止壁83、113とを有し、上記塵埃取入口80、110は、ガイド壁82、112と逆止壁83、113との両先端部間に区画形成されており、上記塵埃搬送手段86、116をガイド壁82、112と逆止壁83、113との間に配置すると共に、この塵埃搬送手段86、116とガイド壁82、112との間から塵埃を塵埃収納部81、111内に搬送することを特徴としている。
請求項3の空気調和機は、上記塵埃収納部81、111内に搬送された塵埃が、上記逆止壁83、113に圧接することを特徴としている。
請求項4の空気調和機は、上記塵埃搬送手段86、116とガイド壁82、112先端部との間隔を、上記塵埃搬送手段86、116と逆止壁83、113先端部との間隔よりも大きくしたことを特徴としている。
請求項5の空気調和機は、上記逆止壁83、113を塵埃搬送手段86、116の高さ以上の高さ位置に設けたことを特徴としている。
請求項6の空気調和機は、上記エアフィルタ21から塵埃を除去する回転ブラシ72、102を有し、上記塵埃搬送手段86、116は、上記回転ブラシ72、102の下方に配置されると共に、回転ブラシ72、102と略平行な軸心周りに回転する圧縮ロッド86、116で構成されていることを特徴としている。
請求項7の空気調和機は、上記圧縮ロッド86を上記回転ブラシ72と同方向に回転させ、上記ガイド壁82を、回転ブラシ72の回転方向前方側に配置し、上記逆止壁83を、それよりも回転ブラシ72の回転方向後方側に配置したことを特徴としている。
請求項8の空気調和機は、上記圧縮ロッド116を上記回転ブラシ102と逆方向に回転させ、上記ガイド壁112を、回転ブラシ102の回転方向後方側に配置し、上記逆止壁113を、それよりも回転ブラシ102の回転方向前方側に配置したことを特徴としている。
請求項9の空気調和機は、上記回転ブラシ72、102に付着した塵埃を回転ブラシ72、102から除去するブラシ清掃部材85、115を、回転ブラシ72、102と圧縮ロッド86、116との間に設けたことを特徴としている。
請求項10の空気調和機は、上記ブラシ清掃部材115の基端部近傍にガイド壁112が形成されていることを特徴としている。
請求項11の空気調和機は、上記塵埃取入口80、110またはその近傍に、互いに逆転する一対の圧縮ロッドを回転自在に支持して塵埃搬送手段を構成し、両圧縮ロッドを回転駆動することにより両圧縮ロッド間から塵埃を塵埃収納部81、111内に圧縮状態で収納することを特徴としている。
請求項12の空気調和機は、上記回転ブラシ72、102に付着した塵埃を回転ブラシ72、102から除去するブラシ清掃部材85、115を、圧縮ロッド86、116と回転ブラシ72、102との間に設けたことを特徴としている。
請求項13の空気調和機は、上記圧縮ロッド86、116の表面を粗面化していることを特徴としている。また、請求項14の空気調和機は、上記圧縮ロッド86、116の表面に突部120を設けていることを特徴としている。
請求項15の空気調和機は、エアフィルタ21から除去した塵埃を収容するダストボックス71を備えたフィルタ自動清掃機能付き空気調和機であって、上記ダストボックス71は、塵埃取入口80と、塵埃取入口80から投入された塵埃を収納する塵埃収納部81とを有し、少なくとも一部が上記塵埃収納部81内に露出するように圧縮ロッド91を回転自在に軸支し、圧縮ロッド91をその場で回転駆動することにより、一方向に連続して回転する圧縮ロッド91外周の摩擦によって塵埃を移動させ、これにより塵埃を順次送り込み、塵埃収納部81内に圧縮状態で収納することを特徴としている。
請求項16の空気調和機は、上記圧縮ロッド91の表面を粗面化していることを特徴としている。また、請求項17の空気調和機は、上記圧縮ロッド91の表面に突部を設けていることを特徴としている。
請求項18の空気調和機は、上記圧縮ロッド91には、螺旋条93aを形成していることを特徴としている。
請求項19の空気調和機は、上記エアフィルタ21は、移動可能に設けられており、その移動中にフィルタ21表面に摺接すると共に、その軸心がフィルタ21移動方向とは交差するように配置された回転ブラシ72によって塵埃が除去されように構成されており、上記圧縮ロッド86、91、116は、上記回転ブラシ72、102とほぼ平行に設けられていることを特徴としている。
この発明の空気調和機では、塵埃搬送手段86、116を回転駆動することによって塵埃を塵埃収納部81、111内に圧縮状態で収納することから、塵埃収納部81、111内に多量の塵埃を収容することができ、塵埃を捨てる回数を減らして、塵埃を捨てる手間を軽減することができる。しかも、塵埃搬送手段86、116の移動範囲(動き)を小さくして、塵埃収納部81、111内における塵埃の飛散を抑えているので、従来よりも圧縮力を大きくでき、しかも帯板状の圧縮板を往復移動させるときと比べて、ダストボックス71、101内の塵埃を塵埃取入口80、110から漏れ出させることなくスムーズに圧縮することができる。
また、請求項2の空気調和機では、塵埃取入口80、110から投入されて塵埃搬送手段86、116に付着した塵埃を、塵埃搬送手段86、116の表面とガイド壁82、112の先端部との間から塵埃収納部81、111内へスムーズに導くことができ、しかも塵埃搬送手段86、116に付着したままの塵埃が塵埃取入口80から漏れ出ることを防ぐことができる。
請求項3〜請求項5の空気調和機では、塵埃の漏れ出しを防止しながら塵埃の確実な圧縮が行えると共に、コンパクトな構成でありながら収納可能な塵埃量を確保(増加)することができる。
特に、請求項8の空気調和機によれば、回転ブラシ102の回転方向Aと圧縮ロッド116の回転方向Dを互いに逆方向にしているので、圧縮力(押し込み力)を一段と向上することができる。また、請求項10の空気調和機によれば、ガイド壁112を櫛歯状のブラシ清掃部材115の基端部側に形成しているので、ブラシ清掃部材115と圧縮ロッド116との距離を短くでき、塵埃の移動距離が減少して、塵埃の圧縮がスムーズに行える。
また、請求項11のように、塵埃搬送手段を、互いに逆転する一対の圧縮ロッドで構成し、圧縮ロッド間において塵埃を圧縮しながら塵埃収納部へと圧縮状態で収納するようにした場合には、確実な圧縮動作が得られ、塵埃を一段と効率良く圧縮できる。
さらに、圧縮ロッド86、116の表面を粗面化したり、圧縮ロッド86、116の表面に突部120を形成したりした場合には、この表面に接触した塵埃との摩擦力を高めて、塵埃を一段と効率良く圧縮できる。
ブラシ清掃部材85、115を設けた場合には、回転ブラシ72、102に付着した塵埃を、ブラシ清掃部材85、115によって除去して圧縮ロッド86、116へ導くことができ、ブラシ72、102による清掃効率を向上するとともに、塵埃を一段と効率良く圧縮できる。
塵埃収納部81内に圧縮ロッド91を配置した場合には、圧縮ロッド91を回転駆動することによって塵埃を塵埃収納部81内に圧縮状態で収納することから、塵埃収納部81内に多量の塵埃を収容することができ、塵埃を捨てる回数を減らして、塵埃を捨てる手間を軽減することができる。しかも、圧縮ロッド91の移動範囲(動き)を小さくして、塵埃収納部81内における塵埃の飛散を抑えているので、従来のように帯板状の圧縮板を往復移動させたり、長手方向の一端部を中心として回転させたりするときと比べて、ダストボックス71内の塵埃を塵埃取入口80から漏れ出させることなくスムーズに圧縮することができる。
圧縮ロッド91に螺旋条93aを形成した場合には、圧縮ロッド91の表面に接触した塵埃を、螺旋条93aによって案内しながら圧縮ロッド91の長手方向の一端側若しくは他端側に順次送り込むことができ、塵埃を一段と効率良く圧縮できる。
次に、この発明の空気調和機の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は空気調和機の全体の分解斜視図、図2は同じくその縦断面図である。空気調和機は、本体ユニット10と、フィルタユニット20と、外装ケース50と、清掃ユニット70とを有している。
上記本体ユニット10は、底フレーム11を有し、この底フレーム11に室内熱交換器12、送風ファン(クロスフローファン)13、電装品箱14等が装着されたもので、室内空気を吸い込んで冷房、暖房、除湿等の空調運転を行うようになっており、底フレーム11の下面には吸い込んだ調節後の空気を、室内へと返流させるための空気吹出口15が形成されている。
上記フィルタユニット20は、図1のように、左右一対の枠ユニット22a、22bを有し、各枠ユニット22(以下、左右を特に区別しない場合には、枠ユニットを符号22で示す)にそれぞれエアフィルタ21が移動可能に支持されている。正面から見て右側に位置する枠ユニット22aの詳細を、図3に示している。枠ユニット22は、下部に位置する本体部23と、本体部23から斜め上方に延びるガイドアーム24とを有している。左右の本体部23にはそれぞれ、後述するフィルタ21の移送手段としてピニオン30が装着されている。また、上記本体部23に向かって右側方には、上下一対のモータ26、27が取り付けられている。これら各モータ26、27はいずれもピニオン30の駆動手段となるもので、下側のモータ26は、図示した右側枠ユニット22aのフィルタ21を駆動し、上側のモータ27は、図1に示す左側の枠ユニット22bのフィルタ21を駆動するためのものである。上側のモータ27から左側フィルタ21を駆動するのは、その回転出力を伝達軸38aで左側の枠ユニット22bに伝達し、図示しないギア群を利用して行っている。なお、図3に示すように、各枠ユニット22においては、本体部23の前面側は、扉部41となされており、その上部を支点として、その下部が前後方向に回動可能となっている。
図4に示すように、エアフィルタ21は帯状のものであって、その両側部の枠体21aの裏面側において、上記ピニオン30と噛合うラック部35が形成されている。この場合、図2及び図5に示すように、初期位置(通常の使用位置)においては、フィルタ21の下端部がピニオン30の近傍に位置するように取り付けるものとする。そして、この状態では、フィルタ21は、上記枠ユニット22の本体部23とガイドアーム24の両内側に形成されている左右一対の通常ガイド部31によって、その両側からガイドされている。そして、フィルタ21は、従来の空気調和機と同様に、室内熱交換器12の風上側のほぼ
全域を覆うようになっている。
次に、上記通常ガイド部31と折返しガイド部32について説明する。図2及び図5には、枠ユニット22の側部の縦断面図を示している。図において、左側が風上側、右側が風下側である。枠ユニット22の側部外壁は、下部から中央部にかける部分が幅広に形成されており、下端部が円弧状に形成されると共に、その内部に上記ピニオン30が収納されている。そしてピニオン30の上方には、区画部材33が、枠ユニット22の側部外壁と所定の間隔を置いて配置され、前方側には、枠ユニット22の前側外壁と区画部材33の前面との間に通常ガイド部31が、また、枠ユニット22の後側外壁と区画部材33の後面との間に折返しガイド部32がそれぞれ形成されている。また、折返しガイド部32は、通常ガイド部31の中途、やや上部の連通部34において、通常ガイド部31に連通している。すなわち、フィルタ21を通常使用位置に保持する通常ガイド部31と、この通常ガイド部31の一端部に連なると共に、湾曲部36を介して折返されて通常ガイド部31の中途部に連なる折返しガイド部32とを有することになり、湾曲部36内にピニオン30が収納されている。ピニオン30は、その回転軸が水平方向、すなわちフィルタ21の移動方向とは直交し、かつフィルタ平面に沿う方向に延びるように配置されている。このようなピニオン30は、各枠ユニット22において、左右一対のものとして、2個ずつ配置されている。
そして、上記のように、エアフィルタ21とピニオン30とを内蔵した左右一対の枠ユニット22a、22bを連結すると共に、右側の枠ユニット22aに駆動手段としてのモータ26、27を付設し、各モータ26、27で各ピニオン30を駆動可能にすることによって、フィルタユニット20が構成される。そして、図2に示すように、フィルタユニット20は、底フレーム11に対して取り付けられている。各枠ユニット22の先端部に設けた係合爪片28が、底フレーム11の上端部に係止され、また各枠ユニット22の下部に突設された取付片29が底フレーム11の吹出口15の近傍にビス止め固定されている。そして、図2に示すように、このフィルタユニット20の下部の位置においては、各枠ユニット22の下部位置(すなわち、ピニオン30の下方位置と対応する位置)が開放されており、この下部開放部に移動してくるエアフィルタ21の表面を、後述する清掃ユニット70の回転ブラシ72によって清掃するようになっている。
上記外装ケース50は、本体ユニット10及びフィルタユニット20を外側から覆うようにして、フィルタユニット20に着脱可能に取り付けられている。この外装ケース50は、その前面側に開閉可能な前面パネル60を備えており、この前面パネル60の裏面側に、フィルタユニット20の扉部41、41が配置されている。従って、外装ケース50全体を取り外さなくても、前面パネル60のみを開放若しくは取り外すことで、扉部41、41が露出して開閉操作が可能となり、エアフィルタ21、21の着脱を行うことができるようになっている。
上記清掃ユニット70は、図2及び図7に示すように、外装ケース50に着脱可能に取り付けられて、エアフィルタ21から除去した塵埃を収容するダストボックス71と、エアフィルタ21の表面に摺接してエアフィルタ21に付着した塵埃を掻き取る回転ブラシ72とを備えている。
ダストボックス71は、図7に示すように、本体ケース74と、この本体ケース74に取り付けられた蓋ケース75とを組み合わせることで横長の箱形に形成されて、その上部開放部76が上記フィルタユニット20の下部開放部に対向するようにして、フィルタユニット20の下方位置において配置されている。
回転ブラシ72は、図7及び図8に示すように、ダストボックス71の蓋ケース75に回転自在に支持された回転軸77と、この回転軸77の外周面に植設されたブラシ毛78とからなり、そのブラシ毛78の一部を上部開放部76から臨ませるようにして、ダストボックス71内にその長手方向に沿って収容されている。この回転ブラシ72は、その回転軸77(軸心)がフィルタ21の移動方向とは交差するように配置されている。なお、回転ブラシ72の回転軸77の一端側には、ギア79が取り付けられており、このギア79を図示しない駆動モータ等の駆動手段によって回転駆動させることで、回転ブラシ72が回転軸77を中心として回転するようになっている。
そして、ダストボックス71には、図7に示すように、回転ブラシ72の下方位置において塵埃取入口80が開口され、塵埃取入口80から投入された塵埃を収納する塵埃収納部81が設けられている。塵埃取入口80は、本体ケース74側から突出した板状のガイド壁82と、蓋ケース75側から突出した板状の逆止壁83との両先端部間に区画形成されて、回転ブラシ72に沿って配されている。
ガイド壁82は、図7に示すように、その根元部から先端部に向かって(前側から後側に向かって)下り傾斜した状態で、回転ブラシ72の下方位置において回転ブラシ72に沿って配されており、先端部が下方へ折り曲げられている。逆止壁83は、図7に示すように、その根元部から先端部に向かって(後側から前側に向かって)下り傾斜した状態で、回転ブラシ72の下方位置において回転ブラシ72に沿って配されている。すなわち、ガイド壁82と逆止壁83は、側面視略V字状に配されていて、その底部分に位置する隙間が塵埃取入口80となっている。そして、ガイド壁82及び逆止壁83によって仕切られた本体ケース74の下部空間が、塵埃収納部81とされている。
また、ダストボックス71には、回転ブラシ72に付着した塵埃を塵埃取入口80へ掻き落とすためのブラシ清掃部材85と、塵埃取入口80から投入された塵埃を塵埃収納部81内に圧縮状態で収納するための圧縮ロッド86とが設けられている。
ブラシ清掃部材85は、図7及び図8に示すように、蓋ケース75に取り付けられていて、その櫛状の先端部が後側から前側に向かって上り傾斜した状態で、回転ブラシ72の下方位置において回転ブラシ72に沿って配されている。そして、櫛状の先端部が回転ブラシ72のブラシ毛78に食い込んだ状態となって、回転ブラシ72の回転(図7の矢印Aで示す反時計周りの回転)に伴って、ブラシ毛78に付着した塵埃を掻き落とすようになっている。
圧縮ロッド86は、図7に示すように、本体ケース74に回転自在に支持された回転軸87と、この回転軸87の外周面に取り付けられた表面が粗面化された摩擦材88とからなり、ブラシ清掃部材85よりも下方において回転ブラシ72とほぼ平行に設けられて塵埃取入口80またはその近傍に配されている。なお、圧縮ロッド86の回転軸87の一端側には、図示しないギアが取り付けられており、このギアが図示しない駆動モータ等の駆動手段によって回転駆動させることで、圧縮ロッド86が回転軸87を中心として回転(図7の矢印Bで示す反時計周りに回転)するようになっている。この場合、回転ブラシ72の駆動手段と圧縮ロッド86の駆動手段とを同じにして、回転ブラシ72と圧縮ロッド86とを連動させて回転駆動させるようにしても良い。なお、圧縮ロッド86の表面を粗面化するためには、上記のように摩擦材88を用いる他、合成樹脂製の圧縮ロッド86の表面部に凹凸や溝を設けることによっても実施可能である。
そして、圧縮ロッド86の表面が塵埃収納部81に向かう方向に移動する側に上記ガイド壁82を配置し、また、圧縮ロッド86の表面が塵埃収納部81から離れる方向に移動する側に上記逆止壁83を配置し、圧縮ロッド86の表面とガイド壁82の先端部との間隔を、圧縮ロッド86の表面と逆止壁83の先端部との間隔よりも大きくしている。これにより、回転ブラシ72から掻き落とされて圧縮ロッド86に付着した塵埃を、圧縮ロッド86の表面とガイド壁82の先端部との間から塵埃収納部81内へスムーズに導くことができ、しかも圧縮ロッド86に付着したままの塵埃が塵埃取入口80から漏れ出ることを防ぐことができるようになっている。しかも、圧縮ロッド86の表面が粗面化されているので、塵埃を、圧縮ロッド86の表面とガイド壁82の先端部との間から塵埃収納部81内へと導く際の押圧力が一段と強くなり、このため塵埃の収納動作を確実に行うことができる。
上記空気調和機においては、フィルタ21を図2及び図5に示す通常位置に位置させて空調運転を行う。そして、運転終了時あるいは所定時間運転を行った後の運転終了時等に、フィルタ21の自動清掃作業を行う。以下、この手順について、図5及び図6を参照しながら説明する。なお、説明の便宜上、図5の状態(通常運転時の状態)においてフィルタ21の下側部分を先端部と呼び、フィルタ21の上側先端部分を後端部と呼ぶ。まず、図5の状態から、各モータ26、27を駆動し、ピニオン30を回転させると共に、清掃ユニット70の回転ブラシ72及び圧縮ロッド86を回転駆動する。そうすると、ピニオン30にフィルタ21のラック部35が噛合い、フィルタ21は下降し、先端部はピニオン30の周囲を通って折返され、裏面側(空気流通方向の後側)を上昇していく。この際、回転ブラシ72は、ピニオン30とは逆方向に回転(図7の矢印Aで示す反時計周りに回転)し、移動中のフィルタ21表面に摺接して塵埃を掻き取る。そして、フィルタ21の先端部が通常ガイド部31の中途の連通部34に至ると、フィルタ21の先端部は、この連通部34から通常ガイド部の上端部、つまりフィルタ21の後端部が位置していた部分へと導かれる。このとき、フィルタ21の後端部が、既に、上記連通部34を通過しているように、フィルタ21の長さと関連して連通部34の位置を設定しておく。この移送過程にいて、清掃ユニット70によってフィルタ21の清掃を行い、この部分の清掃が完了すると、ピニオン30の回転、及び回転ブラシ72の回転駆動を停止し、往路の清掃作業を終了する。次に、復路の清掃作業を行うが、この際には、ピニオン30の回転方向を上記往路とは逆にし、フィルタ21を、折返しガイド部32から通常ガイド部31へと移送することによって清掃を行う。なお、この往路の清掃作業に際しては、回転ブラシ72をフィルタ21の送り速度よりも速く回転駆動させるか、若しくは、回転ブラシ72の回転駆動を停止させておく。
このような自動清掃作業によって回転ブラシ72により掻き取られた塵埃は、その一部がダストボックス71のガイド壁82の上面に落下して、ガイド壁82の傾斜に沿って塵埃取入口80に導かれて、塵埃取入口80から塵埃収納部81内へと送られる。また、回転ブラシ72から落下せずに付着したままの塵埃は、ブラシ清掃部材85によって掻き落とされて、塵埃取入口80から塵埃収納部81内へと送られる。
このとき、ガイド壁82の上面に落下してくる塵埃は、主として密度が低く嵩高いホコリ状のものであるので、圧縮ロッド86とガイド壁82の先端部との間で圧縮されて、圧縮された状態の塵埃が塵埃収納部81内へと送られることになる。また、このとき、ダストボックス71の塵埃収納部81内では、圧縮ロッド86が回転(図7の矢印Bで示す反時計周りに回転)しており、塵埃取入口80付近まで溜まった塵埃収納部81内の塵埃を、その摩擦材88の回転によって後方(逆止壁83の裏側)へ向けて順次送り込むと共に、最終的には逆止壁83に圧接させることで、塵埃収納部81内の塵埃を圧縮状態で収納する。このとき、圧縮ロッド86は、その回転軸87を中心として回転しているだけであって、その移動範囲(動き)を小さくしているから、塵埃収納部81内における塵埃の飛散を抑えて、帯板状の圧縮板を往復移動させるときと比べて、ダストボックス71内の塵埃を塵埃取入口80から漏れ出させることなくスムーズに圧縮することができる。塵埃が塵埃収納部81内いっぱいに溜まると、外装ケース50からダストボックス71を取り外して、ダストボックス71内の塵埃を捨てることになるが、上記のように塵埃を圧縮状態で収納することで、塵埃収納部81内に多量の塵埃を収容することができ、塵埃を捨てる回数を減らして、手間を軽減することができる。
次に、この発明における空気調和機の第2の実施形態について説明する。この実施形態は、図9〜図12に示すように、清掃ユニット100を変更したものである。本体ユニット10、フィルタユニット20、外装ケース50、前面パネル60は、図9に示すように、上記第1の実施形態のものと略同一であるので、同一機能部分に同一の符号を付してその説明を省略する。清掃ユニット100は、外装ケース50に着脱可能に取り付けられて、エアフィルタ21から除去した塵埃を収容するダストボックス101と、エアフィルタ21の表面に摺接してエアフィルタ21に付着した塵埃を掻き取る回転ブラシ102とを
備えている。
ダストボックス101は、図10に示すように、本体ケース104と、この本体ケース104に取り付けられた蓋ケース105とを組み合わせることで横長の箱形に形成されて、その上部開放部106が上記フィルタユニット20の下部開放部に対向するようにして、フィルタユニット20の下方位置において配置されている。この場合、図7の実施形態とは異なり、空気調和機の前面側に蓋ケース105が配置され、その背面側に本体ケース104が配置されている。また、図11に示すように、本体ケース104には、回転ブラシ102が軸支され、また、蓋ケース105には、圧縮ロッド116が軸支されている。そして、本体ケース104は、図10及び図11に示すように、上ケース部材118と下ケース部材119とブラシ清掃部材115とから成るものであって、上ケース部材118に、ブラシ清掃部材115が取り付けられている。
回転ブラシ102は、ダストボックス101の本体ケース104に回転自在に支持された回転軸107と、この回転軸107の外周面に植設されたブラシ毛108とからなり、そのブラシ毛108の一部を上部開放部106から臨ませるようにして、ダストボックス101内にその長手方向に沿って収容されている。この回転ブラシ102は、その回転軸107(軸心)がフィルタ21の移動方向とは交差(直交)するように配置されている。なお、回転ブラシ102の回転軸107の一端側には、ギア(図示せず)が取り付けられており、このギアを図示しない駆動モータ等の駆動手段によって回転駆動させることで、回転ブラシ102が回転軸107を中心として回転するようになっている。また、図11に示すように、回転軸107の軸方向中央部には、ギア109が取着されている。このギア109は、後述するように、圧縮ロッド116を回転駆動するためのものである。
そして、ダストボックス101には、図10に示すように、回転ブラシ102の下方位置において塵埃取入口110が開口され、塵埃取入口110から投入された塵埃を収納する塵埃収納部111が設けられている。上記本体ケース104のブラシ清掃部材115の取付基部の近傍には、ガイド壁112が形成され、また、蓋ケース105には逆止壁113が形成されている。この場合、図7の実施の形態とは逆に、空気調和機の前面側に逆止壁113が、また背面側にガイド壁112が配置されている。そして、ガイド壁112と逆止壁113との間に、塵埃取入口110が区画形成されている。また、塵埃取入口110内において、ガイド壁112及び逆止壁113と相対向するように圧縮ロッド116が、回転ブラシ102に沿って配置されている。また、逆止壁113は、圧縮ロッド116の軸心よりも上方(圧縮ロッド116よりも高い位置)に配置されている。
上記ダストボックス101のブラシ清掃部材115は、回転ブラシ102に付着した塵埃を塵埃取入口110へ掻き落とすためのものであり、圧縮ロッド116は、ブラシ清掃部材115によって塵埃取入口110から投入された塵埃を塵埃収納部111内に圧縮状態で収納するための塵埃搬送手段となるものである。
ブラシ清掃部材115は、図10及び図11に示すように、本体ケース105の上ケース部材118に取り付けられていて、その櫛状の先端部が後側から前側に向かって上り傾斜した状態で、回転ブラシ102の下方位置において回転ブラシ102に沿って配されている。そして、櫛状の先端部が回転ブラシ102のブラシ毛108に食い込んだ状態となって、回転ブラシ102の回転(図10の矢印Aで示す反時計周りの回転)に伴って、ブラシ毛108に付着した塵埃を掻き落とすようになっている。
圧縮ロッド116は、図12に示すように、蓋ケース105に回転自在に支持された回転軸117から成り、この回転軸117の外周面に波形の突条120が形成されている。この突条120は、回転軸117の外周面において、径方向に相対向するように約1/4の領域に設けたもので、径方向に相対向する約1/4の他の領域はそのままの状態としている。端的にいうと、回転軸117の外周面における上下各部に波形の突条120を形成し、左右両側はそのままの状態としているということである。この場合、図11のように、回転軸117の軸方向の中央部において、突条120の形成位置の位相を90°だけずらせて配置しているが、これは、突条120によって塵埃を移動、圧縮する際に、最大トルクを分散させ、必要な駆動力を低減するためである。この圧縮ロッド116は、ブラシ清掃部材115よりも下方において回転ブラシ102とほぼ平行に設けられて塵埃取入口110に配されている。また、圧縮ロッド116の回転軸117の軸方向中央部には、ギア121が取り付けられており、このギアが上記回転ブラシ102のギア109と噛合っている。そして、図示しない駆動モータ等の駆動手段によって回転ブラシ102を回転駆動することで、圧縮ロッド116が回転軸117を中心として回転(図10の矢印Dで示す時計周りに回転)するようになっている。この場合、圧縮ロッド116は、回転ブラシ102とは逆方向に回転駆動されることになる。
上記第2の実施の形態において、第1の実施の形態と大きく異なる点は、回転ブラシ102と圧縮ロッド116とが互いに逆方向に回転するということである。また、これに起因して、この実施形態においては、空気調和機の前面側に逆止壁113が、また、空気調和機の背面側にガイド壁112が配置されている。なお、この場合においても、圧縮ロッド116の表面とガイド壁112の先端部との間隔を、圧縮ロッド116の表面と逆止壁113の先端部との間隔よりも大きくしている。この実施の形態の空気調和機においては、フィルタ21の自動清掃作業を行う際に、圧縮ロッド116と回転ブラシ102との間の塵埃は、両者の回転によって、塵埃取入口110の方向へと搬送され、圧縮ロッド116の突条120に掻き取られ、図10に矢印Eで示すように、塵埃取入口110から塵埃収納部111内へと送られる。このように、塵埃が回転ブラシ102によって搬送される方向に従って(搬送される方向と同方向に)、圧縮ロッド116によって塵埃を掻き落とすようにしているので、塵埃の除去をスムーズ行うことができる。
特に、回転ブラシ102から除去した塵埃を重力方向に移動させながら圧縮していくことで、自然な流れで塵埃を排出することができる。また、塵埃の移動と圧縮とを同一の部品(圧縮ロッド116)で行うことにより、省スペースで、なおかつ簡素な構成で塵埃を圧縮することが可能となる。しかも、圧縮ロッド116に波形の突条120を設けたことによって、圧縮力(押し込み力)を向上することができる。さらに、回転ブラシ102の回転方向Aと圧縮ロッド116の回転方向Dを互いに逆方向にしているので、圧縮力(押し込み力)を一段と向上することができる。また、上記第1実施形態に比較して、回転ブラ BR>V102とガイド壁112(及び圧縮ロッド116)との距離を短くできるため、塵埃(ホコリ)の飛び散り、巻き上げを防止することができる。また、ガイド壁112を櫛歯状のブラシ清掃部材115の基端部側に形成しているので、ブラシ清掃部材115と圧縮ロッド116との距離を短くでき、塵埃の移動距離が減少して、塵埃の圧縮がスムーズに行える。
図13は、他の実施形態に係る空気調和機の清掃ユニット90を示している。この清掃ユニット90においては、ガイド壁82及び逆止壁83が廃止されていて、ダストボックス71の塵埃収納部81内に圧縮ロッド91が配され、塵埃収納部81の上側の開放部分全体が塵埃取入口80となっている。
圧縮ロッド91は、本体ケース74に回転自在に支持された回転軸92と、この回転軸92の外周面に取り付けられた表面が粗面化された摩擦材93とからなり、ブラシ清掃部材85よりも下方において回転ブラシ72とほぼ平行に配されている。なお、圧縮ロッド91の回転軸92の一端側には、図示しないギアが取り付けられており、このギアを図示しない駆動モータ等の駆動手段によって回転駆動させることで、圧縮ロッド91が回転軸92を中心として回転(図9の矢印Bで示す反時計周りに回転)するようになっている。
この圧縮ロッド91の摩擦材93の外周面には、その長手方向の略全長に亘って螺旋条93aが形成されていて、摩擦材93に接触した塵埃を、螺旋条93aによって案内しながら圧縮ロッド91の長手方向の一端側若しくは他端側に順次送り込むことで、塵埃収納部81内の塵埃を圧縮状態で収納するようになっている。この場合においても、圧縮ロッド91は、その回転軸92を中心として回転しているだけであって、その移動範囲(動き)を小さくしているから、塵埃収納部81内における塵埃の飛散を抑えて、塵埃をダストボックス71内から漏れ出させることなくスムーズに圧縮することができる。なお、その他の構成は、図7に示す実施形態と同様であり、図13において図7に示す実施形態と同様の機能を有する部材については同符号を付してある。
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記塵埃搬送手段は、互いに逆転する一対の圧縮ロッドを塵埃取入口(あるいはその近傍)に設けることによっても構成可能である。すなわち、一対の圧縮ロッドによって、回転ブラシから除去されて落下してきた塵埃を、圧縮ロッド間で圧縮すると共に、塵埃収納部内に圧縮状態で収納するのである。また、上記図13の実施の形態では、圧縮ロッド91の全体を塵埃収納部81内に配置しているが、圧縮ロッド91の一部だけが塵埃収納部81内に露出するような配置態様を採用することもできる。さらに、この発明は、室内空気を吸い込んで、冷房、暖房、除湿を行う空気調和機だけに限らず、室内空気中に含まれる塵埃を捕捉する空気清浄機能のみを有する空気調和機に対しても適用可能である。また、フィルタを移動させる移動手段としては、上述したループ方式のものに限らず、巻き取り方式であっても良い。