JP5493558B2 - 微細条溝パターン生成方法 - Google Patents
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Description
反射作用を有する画像を実体化し、画像を表現するという方法がある。
なお、異方性反射現象とは、媒体の平滑な表面に対し、向きの揃った細かい凹凸をつけると、媒体の表面に対して入射した光が特定の方向に強く反射する現象をいう。
以下、異方性反射現象を起こす性質を異方性反射作用ということとする。また、異方性反射現象が生じる表面を持つ媒体を異方性反射媒体ということとする。
異方性反射媒体を作成する方法としては、特許文献1では、光学異方性要素データを回転させ、所定の角度を持たせた状態で所定の領域に配置して微細条溝パターンを作成し、同パターンデータにより媒体上に微細条溝を形成することを提案している。
なお、ここでのベクトル場の値とは、立体感を表現しようとする対象物の立体形状に基づき生成する、各セルの微細条溝の角度である。
立体形状情報から、平面上の微細条溝パターンの傾きの分布を示すベクトル場データを生成するベクトル場データ生成ステップと、
前記微細条溝パターンのライン幅、スペース幅、セルサイズ等のパラメータを設定するパラメータ設定ステップと、
前記平面を、前記セルサイズにしたがって任意の多角形のセルに分割するセル生成ステップと、
前記セル内の任意の点を該セルの代表点と見なし、該代表点に対応する位置の前記ベクトル場データに基づき、前記パラメータを用いて、該セルが持つべき微細条溝パターンのパターンデータを算出する微細条溝パターン生成ステップと、
微細条溝パターン生成ステップで算出した各セルのパターンデータを平面上に配置し、異方性反射媒体加工のための切削データを生成する切削データ生成ステップと、
を有することを特徴とする。
本発明における微細条溝パターンとは平面を分割した多角形の小領域(セル)に所定の角度の縞状のパターンを配置したもので、この微細条溝パターンに基づき平面上に条溝を加工することにより、異方性反射媒体を作成することができる。
図2は正方形のセルで構成した微細条溝パターンの例であり、図3は六角形のセルで構成した微細条溝パターンの例である。
ベクトル場データ生成手段401は、微細条溝パターンの向きの分布を記録したデータであり、例としては、微細条溝パターンの向きを0〜255の画素値に置き換えたグレースケールモードのTIFF形式画像である。多角形生成手段402は、任意の形状で対象領域全体をセルに分割する手段である。パラメータ入力手段403は微細条溝パターンのライン幅、スペース幅、セル枠設定等のパラメータ値をユーザが設定する手段である。ライン幅は微細条溝のラインの太さであり、スペース幅はライン同士の間隔、セル枠設定は、セルに枠をつけるか否かの設定である。微細条溝パターン生成手段404は、セルの微細条溝パターンを生成する手段である。切削データ生成手段405は、任意の形状で分割されたセルごとに固有の角度を持つ微細条溝パターンのベクトルデータを生成する手段である。
パラメータ設定ステップ(S11)では、微細条溝パターンを作成するにあたり、微細条溝パターンのラインの太さを示すライン幅(例えば20μm)、ライン同士の間隔を示すスペース幅(例えば80μm)、セルの形状、セルの大きさ(例えば、セルの辺の長さ1mm程度)を示すセルサイズ等の各種パラメータが設定される。
セル生成ステップ(S12)では、多角形データを生成するための画像データを用意しておき、パラメータ設定ステップ(S11)で設定されたセルの形状、セルサイズに従って画像データを多角形のセルに分割する。
図6(a)は正方形のセルの場合、また、図6(b)は六角形のセルの場合の様態を示している。分割により生成された各セルの情報は、セルを形成する多角形の頂点の座標、または重心座標として保持される。また、各セルには、セルIDを付与しておくと、以降の処理に好都合である。
ベクトル場の値は、物体に当たった光の反射の状態を数値に置き換えた値であり、例えば、対象とする物体の三次元立体モデルを元に、投影面に対して投影した平面画像の各点における三次元立体モデルの面の方向と、光源の方向や視線の方向を加味して生成した角度の情報である。このように求めた各点の角度情報は、−90度から+90度に分布するが、−90度から+90度の分布では、作成される微細条溝のパターンがセル単位で作成するために、微細条溝バターンが不連続に見える場合があるため、−45度から+45度の分布に置き換えて連続的に見せるようにしている。
図9は、三次元立体モデルとベクトル場データの関係を示す図である。
三次元立体モデルの表面に標本点を設けて微細条稿パターンの微細条稿角度θを求めている。標本点をxy平面に投影した座標値に対応するベクトル場データの画素を求めて、求めた画素の画素値を微細条溝角度θを0〜255階調に変換した値に変更する。ベクトル場データの全画素について微細条溝角度θを求めて画素値に置き換えている。従って、ベクトル場データは例えばTIFF画像で作成して、角度情報を0〜225の値に置き換えて記録することになる。本実施例では、ベクトル場データをTIFF画像にしているが、画像フォーマットについては特に制限があるわけでもなく、座標位置を角度情報の対応がとれたテキストデータでも問題はない。
図10は、三次元立体モデルより微細条溝角度θを求めるときの図を示している。三次元立体モデルは、多数のポリゴンデータからなり、三次元データに多数の標本点を設定し、三次元立体モデルの表面全体に分布するようにすることが好ましい。ここでは、1点をサンプルとして示す。三次元空間に投影面と法線投影面の2つの面が定義された状態を示している。投影面は、三次元空間上のモデルから算出した微細条項パターンを記録する面を示している。投影面は、三次元座標系においてZ=0で定義されたxy平面である。投影面において、x軸の正方向を基準方向として定めている。そして、三次元空間上に3次元モデルを設定し、その表面上の標本点P(x、y、z)としたとき、その標本点Pに単位法線ベクトルNを定義する。標本点Pを投影面に投影した点を投影点Q(x、y、0)とする。
標本点Pは三次元立体モデルの表面上のサンプル点として多数定義されているため、これらについて投影点Qも投影面上に多数定義される。多数の投影点Qについても設定角度θが定義される。三次元立体モデルが含まれる投影面領域全体に対して、設定角度θを求めることができる。
微細条溝パターンデータは多角形セルの領域毎に微細条溝角度θを決めて、多角形セル領域に縞状のパターンをいれて作成したものである。多角形セルの領域内に代表点をきめて、代表点に対応する微細条溝角度θを求めて縞状パターンの角度を求める。
(S1)セルの重心の座標O(Ox,Oy)に対応する微細条溝角度θをセルに描画する微細条溝パターンの傾きとする。重心を、そのセルの原点座標とする。
(S2)セルに描画する微細条溝の本数を算出する。微細条溝の本数を下式より算出することができる。
n=c/[(l+s)・cosθ]
:微細条溝の本数
:セル一辺のサイズ(mm)
:ライン幅のサイズ(mm)
:スペース幅のサイズ(mm)
:微細条溝の角度(rad)
例として、=1.0、=0.08、=0.12、セルの形状が正方形の場合には、
n=1.0/[(0.08+0.12)・cosθ]=5.0
となり、正方形のセル内には5本の微細条溝が描画される。
(S3)O(Ox,Oy)を通る線分l0の式を導出する。O(Ox,Oy)を通る線分の切片b0は下式より算出することができる。
b0 = Oy
l0の式:y=tanθ・x+b0
(S4)セルに最初に引く微細条溝の始点S0(SOx,S0y)を算出する。点Soはセルの辺γ0と線分l0の交点である。すなわち2直線の交点の座標を算出すればよい。γ0上の頂点の座標P0(P0x,P0y)、P1(P1x,P1y)から導出できる。
γ0:y=α・x+β
α=(P1x ‐P0y)/(P1x‐P0x)
β=P0y‐α・P0x
(S5)セルに最初に引く微細条溝の終点e0(e0x,e0y)を算出する。微細条溝の終点e0(e0x,e0y)は、線分l0とセルの辺(γ1〜γ4のいずれか)との交点であるので、(S4)と同様2直線の交点の座標を算出することができる。
(S6)次に引く微細条溝の始点S1(S1x,S1y)を算出する。次に引く微細条溝は線分l0からスペース幅s分離れているので、線分l0からスペース幅だけ離れた微細条溝は、y軸の正と負の方向に計2本存在する(図11参照)。まず、S1xを算出し、その後線分l0の切片b1を算出し、S1xを算出する。(y軸の正方向は下付き文字が+、負方向は下付き文字が-とする。)
S1x+=S0x +S/sinθ
S1x-=S0x ‐S/sinθ
b1+=b0 +S/cosθ
b1-=b0 ‐S/cosθ
S1y+=tanθ・S1x++b1+
S1y-=tanθ・S1x-+b1-
(S7)S1(S1x,S1y)を通る線分l1の式を導出する。
l1:y=tanθ・x+b1
(S8)次に引く微細条溝の終点e1(e1x,e1y) を算出する。e1(e1x,e1y)は、線分l1とセルの辺(γ1〜γ4のいずれか)との交点である。よって、(S4)と同様2直線の交点の座標を算出すればよい。
(S9)(S3)から(S8)の処理を微細条溝の本数分行う。本ある微細条溝の始点の座標と始点Sn(Snx,Sny)を通る切片bnを算出する一般式は以下のようにでき、微細条溝の終点の座標は始点を通る線分と辺との交点から算出できる。
<始点の座標>
S(n+1)x+=Snx +S/sinθ
S(n+1)x-=Snx ‐S/sinθ
<切片>
bn+=b0 +S/cosθ・n
bn-=b0 ‐S/cosθ・n
<終点の座標>
S(n+1)y+=tanθS(n+1)x+ +bn+
S(n+1)y-=tanθS(n+1)x- +bn-
ちなみに、微細条溝をエッチング加工等で成型する場合は、パターンデータは版下を描画するためのラスターデータとなるが、この場合も、上記で求めた始点/終点を示す座標から描画パターンを生成することができる。
11 微細条溝パターン
12 条溝角度
15 直線
Claims (1)
- 平面上に設けた小領域であるセルに形成した微細条溝がなす異方性反射作用により立体感などの視覚効果を得る異方性反射媒体を作成するための微細条溝パターン作成方法であって、
前記微細条溝パターンのライン幅、スペース幅、セルサイズを含むパラメータを設定するパラメータ設定ステップと、
前記平面を、前記セルサイズにしたがって任意の多角形のセルに分割するセル生成ステップと、
立体形状情報から、平面上の微細条溝パターンの傾きである微細条溝角度の分布を示すベクトル場データを生成するベクトル場データ生成ステップと、
前記セル内の任意の点を該セルの代表点と見なし、該代表点に対応する位置の前記微細条溝角度と、前記ライン幅、スペース幅、セルサイズを用いて、微細条溝の傾きを示す直線を特定し、該直線と該セルを構成する辺との交点を求めることにより、該セルが持つべき微細条溝のパターンを、各微細条溝の始点と終点で表現した微細条溝パターンデータを算出する微細条溝パターン生成ステップと、
前記微細条溝パターン生成ステップで算出した各セルの微細条溝パターンデータを平面上に配置し、異方性反射媒体加工のための切削データを生成する切削データ生成ステップと、
を有することを特徴とする微細条溝パターン作成方法。
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