JP4924194B2 - 媒体、媒体作製装置、媒体作製方法及びそのプログラム - Google Patents
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図1は、第1の実施の形態に係る媒体作製装置1を実現するコンピュータのハードウェア構成図である。尚、図1のハードウェア構成は一例であり、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
コンピュータは、制御部3、記憶部5、メディア入出力部7、通信制御部9、入力部11、表示部13、周辺機器I/F部15等が、バス17を介して接続される。
ROMは、不揮発性メモリであり、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。
RAMは、揮発性メモリであり、記憶部5、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部3が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
これらの各プログラムコードは、制御部3により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
入力部11を介して、コンピュータに対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。
図2は、媒体作製装置1の機能の概要を示すブロック図である。
法線ベクトルN1は、投影面S1上の点pを始点とし、投影面S1に定義した座標系に対する方位角φと仰角kとで表現できる。一方、法線ベクトルN1の情報を継承する媒体上(2次元平面上)の溝の方向ベクトルは、媒体面における方位角のみで表現できることから、法線ベクトルN1の情報を全て継承することはできない。従って、方向ベクトル算出手段23は、法線ベクトルN1を所定の方位角に投影して次元を減ずることにより、媒体上の溝の方向ベクトルに情報を継承する。
法線投影面S2は、投影面S1に対して垂直であり、方位角α方向に設けられた新たな投影面である。方向ベクトル算出手段23は、法線ベクトルN1を法線投影面S2に投影した法線ベクトルN2の仰角tを算出し、仰角tの値を媒体上の溝の方向ベクトルに継承する。尚、仰角tは、図4に示すように、S2内でPを通過し、S1に垂直な線を基準(t=0度)とし、基準線と法線ベクトルN2とのなす角度によって定義する。
ここで、立体形状の隠面は投影されないから、法線ベクトルN1の向きは、必ず点Pから見て投影面S1の表の方向になる。従って、仰角tは180度(−90度≦t≦90度)の範囲を取り得る。
次に、媒体上の溝の方向ベクトルを示す角度をθとする。θとtは何らかの相関関係を有することで、仰角tの値を媒体上の溝の方向ベクトルに継承することができる。本実施の形態では、立体形状を媒体上に出来る限り正確に表現するために、θとtは線形関係を維持するように設定する。また、立体形状に含まれる最も形状の異なる部分が最も異なる角度を継承するために、θ=t/2としてθの取り得る範囲を90度(−45度≦θ≦45度)とする。これは、θ=tとしてθの取り得る範囲を180度(−90度≦θ≦90度)とすると、最も形状の異なる部分、例えば、t=90度の部分とt=−90度の部分が、媒体上の溝の方向に継承したときに同じ方向を持つことになる。そうすると、立体形状に含まれる最も形状の異なる部分が、類似した異方性反射特性を有することになり、好ましくないからである。但し、θの取り得る範囲は90度に限定されるものではなく、媒体の使用目的や立体像の特性等に応じて任意に設定することが可能である。
以上のように、方向ベクトル算出手段23は、法線ベクトルの情報を継承した媒体上の溝の方向ベクトルを示す角度θを算出する。
実際のシーンを肉眼で観察またはカメラで撮影した場合、一般的に、観察者または撮影者の位置から一定の距離の面において焦点が合い、その手前、またはその奥の位置では次第に像がぼけること(=被写界深度の効果)が経験的に分かっている。これらの経験により、奥行きの認知においては像のぼけが重要な役割を持っていると考えられるため、擬似的に焦点面前後でのぼけを表現する。これによって、最終的に媒体上に表現された立体像は、観察者から一定の距離の面にある形状だけに焦点が合っており、その距離(焦点面)から手前もしくは奥に存在する形状には、焦点面からの距離に応じてぼけて観察される。
ある画素(x、y)に対し、溝の方向ベクトルを示す角度をG(x、y)とする。また、ある画素(x、y)に対し、奥行き値をZ(x、y)とする。そして、奥行き値Z(x、y)に応じた最大変位量をM(x、y)とする。このとき、ぼかし後の方向ベクトルを示す角度G´(x、y)は、G´(x、y)=G(x、y)+RND×M(x、y)と表すことができる。ここで、RNDは、例えば、−1≦RND≦1の範囲の一様分布に従う乱数である。このように、溝の方向ベクトルを示す角度にランダムな変位量を加減することで、媒体上の溝による反射に鋭さがなくなり、媒体上に表現された立体像のぼけが観察される。
また、M(x、y)は奥行き値Z(x、y)で一意に定まる関数であるから、M(Z)と表すこともできる。
図5に示すように、関数M(Z)は、Zfを境界点として線形に増減する。直線の勾配をaとすると、(1)Z<Zfの場合、M(Z)=−a×(Z−Zf)、(2)Z=Zfの場合、M(Z)=0、(3)Z>Zfの場合、M(Z)=a×(Z−Zf)である。従って、関数M(Z)は、レンズ系の焦点が合っている焦点面までの距離Zfと、関数M(Z)の直線の勾配aとの二つのパラメータによって決定される。本実施の形態では、これらのパラメータは処理を開始する前に入力し、様々な値でぼかし処理を行うことができる。
また、関数M(Z)はZfを境界点として線形に増減するものとしたが、Z<Zfの場合に単調減少、かつ、Z>Zfの場合に単調増加することが満たされれば、曲線的に増減するものであっても良い。
ローパスフィルタリングとは、周辺の画素に対称的な係数をかけ、その平均を取って画素の出力値を求める手法である。ローパスフィルタリングによって、画像を滑らかにする効果やぼやけさせる効果が得られる。画像処理の世界では、色が徐々に変化している部分やほとんど変化していない部分を画像の低周波領域と呼び、色が細かく変化する部分や大きく変化している部分を高周波領域と呼ぶ。ローパスフィルタリングでは、画像の低周波領域についてはほとんど変化を与えずそのまま通過させて、高周波領域を平滑化する。
図6に示すように、左図は3×3の単純平均フィルタであり、ある画素におけるフィルタの出力値は、自身とその周辺の画素を合計した9画素の平均値となる。また、右図は5×5の単純平均フィルタであり、ある画素におけるフィルタの出力値は、自身とその周辺の画素を合計した25画素の平均値となる。このように、単純平均フィルタにおいては、3×3、5×5といったフィルタサイズが大きいほどフィルタリングの効果が大きくなる。逆に、フィルタリングの効果を制御する唯一のパラメータはフィルタサイズである。
また、フィルタサイズnは定数ではなく奥行き値Z(x、y)で一意に定まる関数であり、n(Z)と表すこともできる。
図7に示すように、関数n(Z)は、Zfを中心にして階段状に増減する。図7の破線で示す直線の勾配をaとすると、(1)Z<Zfの場合、n(Z)=2×[−a×(Z−Zf)]+1、(2)Z=Zfの場合、n(Z)=1、(3)Z>Zfの場合、n(Z)=2×[a×(Z−Zf)]+1である。ここで、[X]は床関数を表し、Xを超えない最大の整数である。
このように、関数n(Z)は、レンズ系の焦点が合っている焦点面までの距離Zfと、関数n(Z)の直線の勾配aとの二つのパラメータによって決定される。本実施の形態では、これらのパラメータは処理を開始する前に入力し、様々な値でぼかし処理を行うことができる。
また、関数n(Z)はZfを境界点として直線的に増減するものとしたが、Z<Zfの場合に単調減少、かつZ>Zfの場合に単調増加することが満たされれば、曲線的に増減するものであっても良い。
そして、各種の製版機器や切削機は、版下データに基づいて媒体上の表面に微小な溝を形成し、異方性反射特性を有する立体像を実体化する。
作製される媒体は、カタログ、パンフレット、ポスター、カレンダー、トレーディングカード、包装パッケージ、書籍、銘板、雑貨、樹脂成型品、エンボス製品等がある。
図8は、媒体作製装置1の処理手順を示すフローチャートである。
処理が終了していない場合、ステップ103から繰り返す。
処理が終了している場合、ステップ109に進む。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態と比較すると、ぼかし処理の対象を方向ベクトルではなく法線ベクトルとした実施の形態となっている。
図9は、媒体作製装置1aの機能の概要を示すブロック図である。
尚、図2に示す構成要素と同一の機能を果たす要素には、同一の番号を付して重複した説明を避ける。
第1の実施の形態では、ぼかし対象が媒体上の溝の方向ベクトル群であるため、溝の方向ベクトルを示す角度(自由度1)に対して処理を行う。一方、第2の実施の形態では、ぼかし対象が立体形状の法線ベクトル群であるため、法線ベクトルを示す方位角と仰角と(自由度2)に対して、独立に、第1の実施の形態と同様の処理を行う。尚、法線ベクトルのx、y、z成分に対して独立に処理を行っても良い。
図10は、媒体作製装置1aの処理手順を示すフローチャートである。
処理が終了していない場合、ステップ203から繰り返す。
処理が終了している場合、ステップ209に進む。
3………制御部
5………記憶部
7………メディア入出力部
9………通信制御部
11………入力部
13………表示部
15………周辺機器I/F部
17………バス
19………ネットワーク
21………立体形状設計手段
22………法線ベクトル算出手段
23………方向ベクトル算出手段
24………奥行き値算出手段
25………方向ベクトルぼかし手段
26………版下データ作成手段
27………法線ベクトルぼかし手段
Claims (14)
- 表面が微小な溝の集合から形成された異方性反射特性を有する媒体の作製に用いる媒体作製装置であって、
所望の立体形状を設計する立体形状設計手段と、
前記立体形状の各画素における法線ベクトルを算出する法線ベクトル算出手段と、
前記法線ベクトルの情報を継承した前記媒体上の前記溝の方向ベクトルを算出する方向ベクトル算出手段と、
前記立体形状の各画素における奥行き値を算出する奥行き値算出手段と、
前記方向ベクトル群に対し、前記奥行き値に応じたぼかしを施す方向ベクトルぼかし手段と、
を具備することを特徴とする媒体作製装置。 - 前記方向ベクトルぼかし手段は、前記方向ベクトル群に対し、前記奥行き値に応じたランダムな変位量を加減するものであることを特徴とする請求項1に記載の媒体作製装置。
- 前記方向ベクトルぼかし手段は、前記方向ベクトル群に対し、前記奥行き値に応じた強度でローパスフィルタリングを行うものであることを特徴とする請求項1に記載の媒体作製装置。
- 前記方向ベクトルぼかし手段によってぼかしを施された方向ベクトル群を基に版下データを作成する版下データ作成手段、
を更に具備することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の媒体作製装置。 - 表面が微小な溝の集合から形成された異方性反射特性を有する媒体の作製に用いる媒体作製装置であって、
所望の立体形状を設計する立体形状設計手段と、
前記立体形状の各画素における法線ベクトルを算出する法線ベクトル算出手段と、
前記立体形状の各画素における奥行き値を算出する奥行き値算出手段と、
前記法線ベクトル群に対し、前記奥行き値に応じたぼかしを施す法線ベクトルぼかし手段と、
前記法線ベクトルの情報を継承した前記媒体上の前記溝の方向ベクトルを算出する方向ベクトル算出手段と、
を具備することを特徴とする媒体作製装置。 - 前記方向ベクトル算出手段によって算出された方向ベクトル群を基に版下データを作成する版下データ作成手段、
を更に具備することを特徴とする請求項5に記載の媒体作製装置。 - 表面が微小な溝の集合から形成された異方性反射特性を有する媒体の作製に用いる媒体作製装置の媒体作製方法であって、
前記媒体作製装置の制御部が、
所望の立体形状を設計するステップと、
前記立体形状の各画素における法線ベクトルを算出するステップと、
前記法線ベクトルの情報を継承した前記媒体上の前記溝の方向ベクトルを算出するステップと、
前記立体形状の各画素における奥行き値を算出するステップと、
前記方向ベクトル群に対し、前記奥行き値に応じたぼかしを施すステップと、
を含むことを特徴とする媒体作製方法。 - 前記ぼかしを施すステップは、前記方向ベクトル群に対し、前記奥行き値に応じたランダムな変位量を加減するものであることを特徴とする請求項7に記載の媒体作製方法。
- 前記ぼかしを施すステップは、前記方向ベクトル群に対し、前記奥行き値に応じた強度でローパスフィルタリングを行うものであることを特徴とする請求項7に記載の媒体作製方法。
- 前記媒体作製装置の制御部が、前記ぼかしを施すステップによってぼかしが施された方向ベクトル群を基に版下データを作成するステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれかに記載の媒体作製方法。 - 表面が微小な溝の集合から形成された異方性反射特性を有する媒体の作製に用いる媒体作製装置の媒体作製方法であって、
前記媒体作製装置の制御部が、
所望の立体形状を設計するステップと、
前記立体形状の各画素における法線ベクトルを算出するステップと、
前記立体形状の各画素における奥行き値を算出するステップと、
前記法線ベクトル群に対し、前記奥行き値に応じたぼかしを施すステップと、
前記法線ベクトルの情報を継承した前記媒体上の前記溝の方向ベクトルを算出するステップと、
を含むことを特徴とする媒体作製方法。 - 前記媒体作製装置の制御部が、前記方向ベクトルを算出するステップによって算出された方向ベクトル群を基に版下データを作成するステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の媒体作製方法。 - コンピュータを請求項1から請求項6までのいずれかに記載の媒体作製装置として機能させるプログラム。
- 請求項10または請求項12に記載の媒体作製方法によって作成された前記版下データに基づいて、表面に微小な溝を形成することによって作製された前記媒体。
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