JP5493130B2 - 自己抗体の検出方法 - Google Patents
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自己抗体抗原タンパク質としてHSP70、SOD2及びPRDX6を用いた。抗原タンパク質はいずれも、N末端側に緑色蛍光タンパク質(GFP)とタンパク質精製用のヒスチジンタグを融合させ、C末端にシステインタグを結合させたリコンビナントタンパク質として大腸菌内で発現させた。70kDaと比較的大きなタンパク質であるHSP70は、2つのドメインに分けて発現させた。すなわち、HSP70のC末端ドメイン(HSP70C)、HSP70のN末端ドメイン(HSP70N)、SOD2、又はPRDX6の4種類の抗原タンパク質の各N末端側に、GFP及びヒスチジンタグを順次付加させ、各C末端側にシステインタグを付加させた4種類の融合タンパク質(GFP−HSP70C;GFP−HSP70N;GFP−SOD2;GFP−PRDX6)を大腸菌内で発現させ、リコンビナント融合タンパク質を作製した。なお、コントロールとしてGFP、ヒスチジンタグ及びシステインタグが融合したタンパク質(GFPとのみ記載)を用いた(図1a)。
事前に蛍光顕微鏡でGFP蛍光を確認した、4種類の抗原タンパク質及びコントロールが結合した基板(抗原チップ)をTBS−T溶液(10mM Trizma Base、150mM NaCl、0.1% Tween 20(登録商標)、pH7.5)中で10分間洗浄後、還元剤溶液(640mM 2−ME/TBS−T)中で30分間振盪し、5%BSA/TBS−T溶液中で1時間ブロッキング処理を行った。次に1次抗体として5倍希釈の患者血清液中で1時間30分間振盪した後(図2(1))、500倍希釈の抗GFPマウス抗体(Santa Cruz社製)溶液中で30分間振盪することで1次抗体反応を行った(図2(2))。TBS−T溶液で洗浄後、Alexa633標識抗ヒトIgG抗体(図2(3))及びAlexa555標識抗マウスIgG抗体(図2(4))の混合液中で1時間、TBS−T溶液で洗浄した。洗浄は24ウェルプレート、1次抗体液処理は96ウェルプレート、2次抗体液処理は48ウェルプレートにて行った。Cy3蛍光(抗GFP抗体検出)でチップ固定化タンパク量を、Cy5蛍光(抗ヒトIgG抗体検出)で自己抗体量を画像化した(図2(5))。各タンパクスポットの詳細な観察は蛍光顕微鏡にて、蛍光量測定はイメージスキャナーScan Array(Perkin Elmer社製)にて行った。Cy3(Laser power90%、PMT gain95%)、Cy5(Laser power95%、PMT gain95%)にて検出した。さらに、患者血清31試料について、検出器を、ProScan Array(Perkin Elmer社製)に変え、Cy3(Laser power90%、PMT gain50%)、Cy5(Laser power90%、PMT gain90%)にて検出を行い、検出値をCy5/Cy3(自己抗体量/固定化タンパク量)で補正し(図2(6))、基板上5〜6スポットの平均値を各血清の判定値とした。結果を図3に示す。
上記のように、同じ方法を用いてもGFP抗体の検出が低下していることがあったことから、あらかじめWB解析で自己抗体の検出が高いと確認された患者血清No.150、No.193の2検体を用いて、検出方法の再検討を行った。種々の検討を行った中で、タンパク質の立体構造を崩し抗原エピトープを裸出させる目的で、タンパク質の変性剤SDS及び還元剤2−MEを含む変性・還元剤溶液(2% SDS/640mM 2−ME/50mM Tris-HCl(pH 6.8)/10% glycerol)中で95℃、5分間の熱処理を行うように変更し(図4、改良点1)、熱処理前、熱処理後、及び検出操作後に抗原チップを蛍光顕微鏡にて撮影して比較した(図5)ところ、熱処理なしの抗原チップは検出操作後でもGFP蛍光が検出されたが、熱処理した抗原チップは熱処理直後にGFP蛍光が検出されなくなり、この蛍光消失は検出操作終了後まで持続した。GFPの蛍光消失は立体構造が崩れていることを示していると考えられた。他方、タンパク質の変性剤(SDS)及び還元剤(2−ME)の存在下に熱処理を行うと、各スポットの抗体で検出されるGFPのシグナル(Cy3による蛍光)はより強くより均一になった(図5、右から2番目の下段図を上段図と比較参照)。一方で自己抗体検出には大きな変化は認められなかった(図5、右端の下段図を上段図と比較参照)。従って、抗原チップをあらかじめタンパク質の変性剤及び還元剤の存在下に熱処理することにより、基板上に固定化されている抗原タンパク質の量はGFP抗体を用いてCy3検出として定量できると考えられた。
さらに、先に抗原チップに固定された複合タンパク質のGFP部分に結合した抗マウスGFP抗体や抗原タンパク質部分に結合した自己抗体が、抗体自体がもつ立体構造により近傍の別の場所の抗体結合を阻害して、最終的な検出を低下させている可能性も考えられた。そこで、混合して使用していた2種の蛍光標識2次抗体1時間振盪のうち、最初の30分を500倍希釈抗ヒトIgG抗体のみで振盪させ、残り30分で500倍希釈抗マウスIgG抗体を追加して振盪するという2段階に改変した(図4、改良点2)。患者血清No.193とNo.150を用いた蛍光検出結果をグラフ化し(図6a−d)、改良前(□;熱処理なし、2次抗体混合)、改良点1の後(△;熱処理あり、2次抗体混合)と改良点1及び2の後(○;熱処理あり、2次抗体2段階)を比較した。HSP70C検出においては、改良前では検出結果にばらつきがみられたが、改良1及び2の後ではばらつきが少なくなり、直線性が得られるようになった(図6a、c)。また、No.193血清のPRDX6においては、改良前では自己抗体の検出が低かったが、改良1及び2の後には高くなった(図6b)。No.150血清のPRDX6においては、改良後でもCy3蛍光の比較的強いスポットにおいてもCy5検出は低く、PRDX6自己抗体は検出限界以下と思われた(図6d)。したがって、基板の熱処理と2次抗体2段階処理という2つの改良には顕著な検出改善効果が認められた。
抗原チップを熱処理し、その後の2次抗体反応を2段階で操作するという上記実施例4の方法(改良点1及び2)が血清中に存在する自己抗体を検出するうえで有効な手段であることがわかったので、HCV陽性肝細胞癌(HCV+/HCC+)患者、HCV陽性他疾患(HCV+/HCC−他疾患)患者、HCV陰性他疾患(HCV−/HCC−他疾患)患者及び健常者の4グループから31検体の血清を採取し、それら血清中に存在する自己抗体量を上記実施例4の方法(改良点1及び2)を用いて検出した。結果を図7及び8に示す。図7には、ProScan Array (Perkin Elmer社製) autoadjust-modeにて表示された健常者及びHCV陰性他疾患(HCV−/HCC−他疾患)患者の血清からの検出例が示されているが、いずれの場合においてもCy3蛍光検出(抗GFP抗体検出)は良好であるのに対し、Cy5蛍光検出(抗ヒトIgG抗体検出)はバックグランド以下の検出しか得られなかった。そのため、こうした健常者及びHCV陰性他疾患(HCV−/HCC−他疾患)患者の血清を陰性と判定した。図8では、HCV陽性肝細胞癌患者(HCV+/HCC+)患者からの検出例が示されているが、Cy3蛍光検出(抗GFP抗体検出)は良好であり、またCy5蛍光検出(抗ヒトIgG抗体検出)は特定の抗原タンパク列にのみ認められた。こうしたHCV陽性肝細胞癌患者(HCV+/HCC+)患者の血清を陽性と判定した。
Claims (9)
- 以下の工程を備えた自己抗体の検出方法。
(a)抗原タンパク質と、該抗原タンパク質のN末端又はC末端に融合した蛍光タンパク質、及び蛍光タンパク質を融合した反対の末端に融合したシステインタグとを含む複合タンパク質を調製する工程;
(b)工程(a)で調製した複合タンパク質のシステインタグと、アミノ基を介してマレイミド基を導入した基板表面のマレイミド基とを反応させ、共有結合により基板表面に複合タンパク質を固定して抗原タンパクチップを調製する工程;
(c)工程(b)で調製した抗原タンパクチップを、タンパク質の変性剤及び還元剤の存在下に加熱処理する工程;
(d)加熱処理後の抗原タンパクチップに、血清と抗蛍光タンパク質非ヒト抗体とを作用させる工程;
(e)蛍光物質[I]で標識された抗ヒトIg抗体と、蛍光物質[I]と異なる蛍光物質[II]で標識された抗非ヒトIg抗体とを順次2段階で反応させる工程;
(f)蛍光物質[I]/蛍光物質[II]の蛍光強度の比を算出する工程; - 蛍光タンパク質として緑色蛍光タンパク質(GFP)を用いることを特徴とする請求項1記載の自己抗体の検出方法。
- 複合タンパク質が、抗原タンパク質のN末端に融合した蛍光タンパク質及びC末端に融合したシステインタグを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の自己抗体の検出方法。
- 複合タンパク質が、GFPのN末端にヒスチジンタグがさらに融合されていることを特徴とする請求項2又は3記載の自己抗体の検出方法。
- 工程(c)と工程(d)の間に、BSAブロッキング処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の自己抗体の検出方法。
- タンパク質の変性剤としてSDS、還元剤として2−メルカプトエタノールを用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の自己抗体の検出方法。
- 蛍光物質としてCy3とCy5を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の自己抗体の検出方法。
- 基板として、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)がコーティングされているDLCチップを用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の自己抗体の検出方法。
- 抗原タンパク質が、HSP70、SOD2、又はPRDX6であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の自己抗体の検出方法。
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