JP6653504B2 - ミッドカイン結合性ペプチドアプタマーおよびその使用 - Google Patents

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Description

本発明は、ミッドカインに特異的に結合するペプチドアプタマー、該ペプチドアプタマーを使用したミッドカインの検出方法およびがんの診断方法等に関する。
近年、がんの治療法は、従来の外科的処置の他、化学療法、放射線療法などにおいて新たな手法が開発され、目覚ましい進歩を遂げており、がん患者の生存率も改善されてきている。しかしながら、依然として、ステージの進んだがんの治療が困難であることには変わりなく、がんの早期発見が、良好な予後を可能にする上で、非常に重要である。
がんの確定診断は、様々な検査により慎重に行う必要があるため、職場や自治体によって行われる健康診断や人間ドックなどにおいて、超音波検査、X線検査、内視鏡検査、CT検査、MRI検査などに加え、病理検査によりがんの種類、性質を特定して行われることが多い。最近では、これらの検査に加え、腫瘍マーカーの検査を組み合わせて行うケースも増えている。腫瘍マーカーは、その特異性によっては、常に正確な判断が可能であるとまでは言えないが、体への負担が少なく、がん発症の第1次的なスクリーニング検査としては、非常に優れている。
これまでに、腫瘍マーカーとして、AFP(肝臓がんなど)、CEA(消化器系がん)、CA125(膵臓がんなど)などが知られているが、その他に、ミッドカイン(Midkine、以下、「MK」と略記する場合もある)が、腫瘍マーカーとして注目されている。MKは、神経突起成長促進因子2として知られており、ヘパリン結合性の増殖・分化因子で分子量約13kDa、リジン(K)やアルギニン(R)などの塩基性アミノ酸残基を多く含むため正の電荷が強いタンパク質である(非特許文献1および2)。MKの立体構造は、ともに3つの逆並行βシートで構成される15から52番目のアミノ酸領域のN末端ドメインと62から104番目のアミノ酸領域のC末端ドメイン、2つのドメインから構成される。また、MKポリペプチド鎖中には10個のシステイン(C)があり、N末端・C末端ドメイン内にて形成するジスルフィド結合はそれぞれ2か所と3か所で合計5か所存在する。
MKに関する総論がいくつか報告されており、MKは多くのヒト癌組織で、非癌組織と比較して発現が増大していることが確認されている。具体的には、神経芽細胞腫(ニューロブラストーマ)、膠芽腫(グリオブラストーマ)、肝臓癌、食道扁平上皮癌、口腔扁平上皮癌、甲状腺癌、膀胱癌、前立腺癌、大腸癌、胃癌、胸部癌、乳癌、膵臓癌、肺癌、子宮癌、卵巣癌、ウィルムス腫瘍などの多くの癌組織で確認されている(非特許文献2)。
また、様々な癌患者の血清中においてMK値が上昇していることが確認されている(非特許文献3)。具体的には抗MK抗体を用いたEnzyme-linked immunoassay(EIA、またはEnzyme-linked immunosorbent assay;ELISA)により、肝臓癌、肺癌、胆管癌、結腸癌、食道癌、胃癌またはニューロブラストーマ患者の血清中におけるMK値が、非癌患者と比較して上昇していることが確認されている(非特許文献4〜非特許文献8)。さらに、癌患者の尿中におけるMK値が上昇していることも報告されている(非特許文献9)。
以上のように、MKは腫瘍マーカーとして高い有効性が示唆されている。
検体における腫瘍マーカーを検出するには、抗体を用いることが多い。例えば、非特許文献6には、ウサギ由来抗MK抗体とニワトリ由来抗MK抗体を用いてEIA(またはELISA)を実施したことが報告されている。
現在、抗体に並ぶ分子認識物質として、アプタマー(RNAまたはDNAアプタマー、ペプチドアプタマー)が注目されつつある。実際、MKに特異的で高親和性のRNAアプタマーが試験管内淘汰により取得されている(特許文献1)。
しかしながら、ミッドカインに対するペプチドアプタマーに関する報告は未だに存在しない。
WO2008/059877
Kadomatsuら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 151, 1312-1318(1988) Tomokuraら, J. Biol. Chem., 265, 10765-10770(1990) JonoおよびAndo, Cancers, 2, 624-641(2010) Songら, Biomedical Research, 18, 375-381(1997) Muramatsuら, Journal of Biochemistry, 119, 1171-1175(1996) Ikematsuら, British Journal of Cancer, 83, 701-706(2000) Ikematsuら, British Journal of Cancer, 88, 1522-1526(2003) Ikematsuら, Cancer Science, 99, 2070-2073(2008) Ikematsuら, Biochemical and Biophysical Research Communications, 306, 329-332(2003) Ikuraら, Science, 256, 632-638(1992) Montigianiら, Journal of Molecular Biology, 258, 6-13(1996)
上記事情に鑑み、本発明は、ミッドカインに特異的に結合するペプチドアプタマー、並びに、該ペプチドアプタマーを使用したミッドカインの検出方法およびがんの診断方法等の提供を解決課題とする。
本発明者らは、カルモジュリン結合性ペプチド(Calmodulin-binding peptide;CBP)の一アミノ酸変異配列または野生型配列が、ミッドカインに対して特異的親和性を示すペプチドアプタマーとなることを見出した。ここで、「CBP」とは、骨格筋ミオシン軽鎖リン酸化酵素におけるカルモジュリン結合領域のことである(非特許文献10)。カルモジュリンは、細胞内の至る所に存在するカルシウム結合タンパク質で、多くの種類のタンパク質を対象として、その制御を行い様々な細胞機能(炎症、代謝、アポトーシス、筋肉収縮、細胞内移動、短期・長期記憶、神経成長、免疫など)に影響を与えるタンパク質である。カルモジュリンはカルシウムイオン依存的な構造変化によって、特定の対象タンパク質のCBP領域に結合し、信号伝達等の機能を示す。Montigianiらは、CBPのどのアミノ酸残基がカルモジュリンとの相互作用に重要なのか、アラニンスキャニングの手法を用いて調査したところ、野生型配列(wtCBP)から一アミノ酸変異型配列のCBP(mtCBP)は、カルモジュリン―CBPの相互作用に関して、およそ1000倍解離定数(K)が低くなることを報告している(非特許文献11)。
本発明者らは、表面プラズモン共鳴法によるBIAcore解析にて、カルシウムイオン非存在条件において、mtCBPおよびwtCBPが、ミッドカインに特異的に結合することを見出し、本発明を完成させた。
したがって、本発明は以下の(1)〜(7)である。
(1)以下の(a)または(b)のペプチドアプタマーを含んでなる、ミッドカインの検出薬。
(a)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドアプタマー、
(b)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、ミッドカインに結合するペプチドアプタマー
(2)以下の(a)または(b)のペプチドアプタマーを含んでなる、がんの検査薬。
(a)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドアプタマー、
(b)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、ミッドカインに結合するペプチドアプタマー
(3)前記ペプチドアプタマーが標識物質を有することを特徴とする上記(1)に記載の検出薬、または上記(2)に記載の検査薬。
(4)少なくとも上記(2)または(3)に記載のがんの検査薬を含むがん診断用キット。
(5)以下の(a)または(b)のペプチドアプタマーを試料と接触させる工程を含む、ミッドカインの検出および/または定量方法。
(a)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドアプタマー、
(b)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、ミッドカインに結合するペプチドアプタマー
(6)以下の(a)または(b)のペプチドアプタマーを被験者由来の生体試料と接触させる工程含む、がんの診断方法。
(a)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドアプタマー、
(b)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、ミッドカインに結合するペプチドアプタマー
(7)前記ペプチドアプタマーが標識物質を有することを特徴とする上記(5)に記載の検出方法、または上記(6)に記載の診断方法。
本発明は、ミッドカインと特異的に結合するペプチドアプタマーを提供する。抗体によりミッドカインを検出する場合、非特異的交叉反応が生じる可能性があるのに対し、該ペプチドアプタマーを用いると交叉反応が低減し、より特異的なミッドカインの検出が可能となる。
本発明は、がんの罹患性を診断する上で、身体に対し非侵襲的かつ簡便に行うための手段、診断方法を提供する。本発明が提供するペプチドアプタマーは、腫瘍マーカーとして利用可能なミッドカインに特異的に結合することができる。ペプチドは抗体などと比較すると化学合成が容易であり、また、安価に調製することができるため、本発明は汎用性の高いがんの診断方法を提供することが可能である。
BIAcoreを用いた分子間相互作用の模式図。 アナライトのセンサーチップSAへの固定化。(a)ビオチン化mtCBPの固定化。(b)ビオチン化wtCBPの固定化。(c)ビオチン化Anti-NM23 pep.の固定化。 縦軸は、センサーチップ表面における分子の質量変化をRU(Resonance unit)値として表す。RUは、その分子の質量変化をSPRシグナルに変換したときの数値に相当する。以下、図3〜図11において同じ。 ミッドカイン(Midkine)-mtCBP間のBIAcoreによるシングルサイクルカイネティクス解析。 (A)Fc = 1(リファレンスセル)におけるセンサーグラム。(B)Fc = 2(測定セル)におけるセンサーグラム。(C)Fc = 2-1(測定セルとリファレンスセルの差)におけるセンサーグラム。 ミッドカイン(Midkine)-mtCBP分子間相互作用の速度論解析。 BSA-mtCBP間のBIAcoreによるシングルサイクルカイネティクス解析。 (A)Fc = 1(リファレンスセル)におけるセンサーグラム。(B)Fc = 2(測定セル)におけるセンサーグラム。(C)Fc = 2-1(測定セルとリファレンスセルの差)におけるセンサーグラム。 GFP-mtCBP間のBIAcoreによるシングルサイクルカイネティクス解析。 (A)Fc = 1(リファレンスセル)におけるセンサーグラム。(B)Fc = 2(測定セル)におけるセンサーグラム。(C)Fc = 2-1(測定セルとリファレンスセルの差)におけるセンサーグラム。 IgG-mtCBP間のBIAcoreによるシングルサイクルカイネティクス解析。 (A)Fc = 1(リファレンスセル)におけるセンサーグラム。(B)Fc = 2(測定セル)におけるセンサーグラム。(C)Fc = 2-1(測定セルとリファレンスセルの差)におけるセンサーグラム。 サバイビン(Survivin)-mtCBP間のBIAcoreによるシングルサイクルカイネティクス解析。 (A)Fc = 1(リファレンスセル)におけるセンサーグラム。(B)Fc = 2(測定セル)におけるセンサーグラム。(C)Fc = 2-1(測定セルとリファレンスセルの差)におけるセンサーグラム。 ミッドカイン(Midkine)-wtCBP間のBIAcoreによるシングルサイクルカイネティクス解析。 (A)Fc = 1(リファレンスセル)におけるセンサーグラム。(B)Fc = 2(測定セル)におけるセンサーグラム。(C)Fc = 2-1(測定セルとリファレンスセルの差)におけるセンサーグラム。 ミッドカイン(Midkine)-wtCBP分子間相互作用の速度論解析。 ミッドカイン(Midkine)-Anti-NM23 pep.間のBIAcoreによるシングルサイクルカイネティクス解析。 (A)Fc = 1(リファレンスセル)におけるセンサーグラム。(B)Fc = 2(測定セル)におけるセンサーグラム。(C)Fc = 2-1(測定セルとリファレンスセルの差)におけるセンサーグラム。
本発明の第1の実施形態は、ミッドカインに結合する(または親和性を有する)ペプチドアプタマー(ミッドカイン結合性ペプチドアプタマー)含んでなる、ミッドカインの検出薬(または検出試薬)である。
アプタマー(aptamer)は、特定の分子と特異的な親和性または結合性を有する分子で、DNAやRNAからなる核酸アプタマー、ペプチドからなるペプチドアプタマーなどがある。本発明の実施形態で使用されるミッドカイン結合性ペプチドアプタマー(以下、「本発明に係るペプチドアプタマー」とする)は、ミッドカインと結合するペプチドであれば如何なるものであってもよい。
試料中のミッドカインを検出する場合、抗ミッドカイン抗体も使用できるが、抗体は本来のエピトープではなく類似のエピトープを認識することによる非特異的交叉反応を起こすこともあり、非特異的な検出を伴う可能性がある。これに対し、本発明に係るペプチドアプタマーは、抗体とは異なる様式でミッドカインを認識していることが予想されるため、抗体よりも、より特異的なミッドカインの検出が期待できる。
本発明に係るペプチドアプタマー、例えば、限定はしないが、配列番号1もしくは配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、または、配列番号1もしくは配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸(例えば1〜約50個、好ましくは1〜約30個、より好ましくは1〜約20個、さらにより好ましくは1〜約10個、最も好ましくは1〜約5個(例、1個又は2個))が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、ミッドカインに結合するペプチドである。
あるいは、本発明に係るペプチドアプタマーは、例えば、限定はしないが、配列番号1もしくは配列番号2で表されるアミノ配列からなるペプチド、または、配列番号1もしくは配列番号2で表されるアミノ酸配列と約70%以上、より好ましくは約80%以上、より好ましくは、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、最も好ましくは99%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、ミッドカインに結合するペプチドである。
本発明に係るペプチドアプタマーは、塩の形態で提供されてもよい。塩としては、例えば、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属;アルミニウム、アンモニウム)、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン)、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸)、有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸)、塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン、リジン、オルニチン)または酸性アミノ酸(例、アスパラギン酸、グルタミン酸)との塩などが挙げられる。
本発明に係るペプチドアプタマーのC末端は、通常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート(−COO−)の他、当該カルボキシル基は、アミド(−CONH)やエステル(−COOR)等に化学修飾されていてもよい。ここで、エステル中のRとしては、C1−6アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル)、C3−8シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル)、C1−6アリール基(例えば、フェニル、α−ナフチル)、フェニル−C1−2アルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル)、α−ナフチル−C1−2アルキル基(例えば、α−ナフチルメチル)等が挙げられる。その他、経口用エステルとして汎用されているピバロイルオキシメチルエステルとすることも可能である。本発明に係るペプチドアプタマーがC末端以外にもそのペプチド鎖中にカルボキシル基を有する場合には、当該カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明に係るペプチドアプタマーに含まれる。この場合のエステルとしては上記の各エステルが挙げられる。同様に、本発明に係るペプチドアプタマーのN末端は、通常アミノ基(−NH)であるが、当該アミノ基は、ホルミル基、アセチル基等のC1−6アシル基等で化学修飾されていてもよい。その他、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したものや、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な官能基(例えば、ホルミル基、アセチル等)で化学修飾されているものや糖鎖の結合しているものも本発明に係るペプチドアプタマーに含まれる。
また、本発明に係るペプチドアプタマーには、非天然型のペプチド結合、例えば、ケトメチレン、チオアミドなどによって構成されるものも含まれる。
本発明に係るペプチドアプタマーは、限定はしないが、例えば、配列番号1または配列番号2およびその変異体のアミノ酸配列に基づいて調製したcDNAなどを使用して、in vitroにおける無細胞翻訳系や、生物学的に合成することで調製する他、化学的ペプチド合成法(固相法または液相法)によって調製することができる。
本発明に係るペプチドアプタマーを化学的に合成する場合、本発明に係るペプチドアプタマーを構成するペプチドの一部もしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造することができる。合成反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、再結晶などを組み合わせてペプチドを単離精製することができる。
本発明の第2の実施形態は、本発明に係るペプチドアプタマー(または上記ミッドカインの検出薬)を含んでなる、がんの検査薬である。
ミッドカインは多くのヒト癌組織(例えば、神経芽細胞腫(ニューロブラストーマ)、膠芽腫(グリオブラストーマ)、肝臓癌、食道扁平上皮癌、口腔扁平上皮癌、甲状腺癌、膀胱癌、前立腺癌、大腸癌、胃癌、胸部癌、乳癌、膵臓癌、肺癌、子宮癌、卵巣癌、ウィルムス腫瘍)で、非癌組織と比較して発現が増大していることが確認されている(非特許文献2)。また、癌患者の血清中においてミッドカインの量が上昇していることも報告されている(非特許文献3)。従って、被験者由来の生体試料中のミッドカイン量を測定し、対照者(がんに罹患していないことが確認されている者)由来の生体試料中のミッドカイン量と比較することで、当該被験者が、がんに罹患しているか、またはがんに罹患している可能性があるかどうかについて、判断することができる。
検査の対象となる「がん」は、特に限定されず、上述の癌、肉腫の他、それ以外の癌、肉腫、液性がんが含まれる。
本発明に係るペプチドアプタマーは、該ペプチドアプタマーとミッドカイン複合体の存在を検出または定量するために使用可能な種々の標識物質、例えば、蛍光物質(例えば、FITC、FAMなど)、発光物質(例えば、ルミノール、ルシフェリンなど)、放射性同位体(3H、32P、14Cなど)などのほか、ビオチン、アビジン(ストレプトアビジン)を該ペプチドアプタマーに結合して提供してもよい。
本発明の実施形態のミッドカインの検出薬およびがんの検査薬には、本発明に係るペプチドアプタマーの他、検出薬組成物または検査薬組成物として許容される他の成分が含まれていてもよい。このような「他の成分」は、検出薬または検査薬が使用される態様に応じて、当業者により適宜選択可能である。例えば、担体、生理食塩水、防腐剤(アジ化ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノールなど)、安定剤(プロピレングリコール、アスコルビン酸など)、賦形剤(乳糖、デンプン、ソルビトール、D−マンニトールなど)、緩衝剤(ラウリル硫酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウムなど)、保存剤(塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、メチルパラベンなど)などを、「他の成分」として使用してもよい。
本発明の実施形態のミッドカインの検出薬およびがんの検査薬は、本発明に係るペプチドアプタマーを適当な容器またはパック中に使用説明書と共に含めて、キットの形態で提供することもできる。当該キットにおいては、検出薬または検査薬の構成成分を、その活性が低下することを防ぐなどの理由により、各構成成分を別々に包装してもよい。キット中に含まれる構成成分は、該構成成分が活性を長期間有効に持続し、構成成分が吸着せず、また、変質しないような材質の容器中に供給される。
さらに、上記キットには、本発明に係るペプチドアプタマーが支持体(例えば、マルチウェルプレート、ガラスまたは金属などのプレート、磁気(性)ビーズまたは樹脂ビーズなど)上に固定された状態で含まれていてもよい。
キットに添付される使用説明書は、紙または他の材質上に印刷されて提供されてもよく、CD−ROM、DVD−ROMなどの媒体に記録して供給されてもよい。あるいは、その使用説明が、供給者のウェッブサイトなどに開示されていてもよい。
本発明の第3の実施形態は、本発明に係るペプチドアプタマーを使用したミッドカインの検出方法および/または定量方法である。具体的には、第3の実施形態によれば、本発明に係るペプチドアプタマーを試料と接触させ、該ペプチドアプタマーとミッドカインの複合体の有無を検出し、また、該ペプチドアプタマーとミッドカインの複合体の量を測定して、試料中に存在するミッドカインの有無および存在量を測定することができる。
本発明に係るペプチドアプタマーを使用したミッドカインの検出または定量方法としては、免疫学的手法またはペプチドアプタマーの結合性を利用した方法により行うことができ、例えば、免疫クロマトグラフィー法、ウェスタンブロッティング法、ELISA法(例えば、直接競合ELISA、間接競合ELISA、サンドイッチELISAなど)、放射免疫測定法(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、免疫組織化学的染色法、水晶振動子マイクロバランス法(Quartz crystal microbalance;QCM)および磁性ビーズ(例えば、Therma-Max(登録商標);JNC株式会社)を使用した方法など、当業者において周知の方法を挙げることができる。
本発明の第4の実施形態は、被験者が、がんに罹患しているかどうかを判断するがんの診断方法である。具体的には、本発明に係るペプチドアプタマーを被験者由来の生体試料と接触させ、該生体試料中のミッドカインの存在量を、上述のミッドカインの検出または定量方法などを用いて測定し、対照試料(がんに罹患していないことが確認されている者由来の生体試料)中のミッドカインの存在量と比較して、被験者由来の生体試料中のミッドカイン量が有意に高ければ、該被験者はがんに罹患している、または、がんに罹患している可能性があると判断することで、がんの診断を行うことができる。
非特許文献6においては、対照血清試料中に存在するミッドカインの存在量の平均値が約0.15 ng/mLであったのに対し、被験者由来の生体試料(血清)には0.5 ng/mL(カットオフ値)以上、多い場合では5 ng/mL以上のミッドカインが存在していることが報告されている。本発明のがんの診断方法においては、例えば、対照試料中に存在するミッドカインの存在量よりも、例えば、2倍以上、好ましくは、3倍以上多く被験者由来の生体試料に存在している場合に、被験者が、がんに罹患している可能性があると判断することができる。
本発明のがんの診断方法において使用される「生体試料」は、生体から採取した試料であればいかなるものでもよく、例えば、被験者から採取した組織もしくは細胞、該組織もしくは細胞を培養した培養物の他、被験者由来の血液、血漿、血清、唾液、尿、涙などであってもよく、特に限定はされない。
以下の実施例は、あくまでも例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
本実施例は、ミッドカイン結合性ペプチドアプタマーの例として、配列番号1および配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを使用して、ミッドカインとの相互作用(結合性)を、表面プラズモン共鳴分析法によるBIAcore解析を行った結果である。
1.材料等
1−1.機器・ソフトウェア
測定機器:BIAcore X100 Plus Package(GEヘルスケア社)
解析ソフトウェア:BIA control software(GEヘルスケア社)
BIA evaluation software(GEヘルスケア社)
1−2.試薬
アナライト
(A)ミッドカイン;ATGen社(NCBI accession no. NP_00238;配列番号3)
(B)ウシ血清由来アルブミン(Bovine serum albumin:BSA);TaKaRa社
(C)緑色蛍光タンパク質(Green fluorescent protein:GFP)UV5;(Suzukiら, Biochim. Biophys. Acta, 1679, 222-229 (2004);Suzukiら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 330, 454-460 (2005))
(D)ウサギ血清由来免疫グロブリンG(IgG);Sigma社
(E)サバイビン(Survivin);ATGen社(NCBI accession no. NP_001159;配列番号4)
ヒト由来サバイビンタンパク質で、N末端にカルモジュリンを融合させており、このカルモジュリンがカルシウムイオン依存的にmtCBP、wtCBPに対して親和性を示す。
リガンド
(a)ミオシン軽鎖キナーゼ2由来カルモジュリン結合ペプチド(wtCBPを記す)
Biotin-(PEG 12 spacer)-AAARWKKNFIAVSAANRFKKIS(分子量3303.9)(配列番号5)
(PEG 12 spacer: -NH-(C2H4-O-)12-C2H4-CO-)
(b)上記(a)の変異体(N8A変異体(下線部);mtCBPを記す)(非特許文献11)
Biotin-(PEG 12 spacer)-AAARWKKAFIAVSAANRFKKIS(分子量3260.8)(配列番号6)
本先行研究において、カルシウムイオン存在下、mtCBPとwtCBPのカルモジュリンタンパク質に対する解離定数(KD)はそれぞれ2.2 (±1.4) x 10-12 M、3.7 (±1.8) x 10-9Mである。
(PEG 12 spacer: -NH-(C2H4-O-)12-C2H4-CO-)
(c) NM23タンパク質結合性ペプチド(anti-NM23 pep.を記す)
Biotin-Ahx-IRNGPSSP(分子量1168)(配列番号7)
(Ahx: -NH-C5H10-CO-)
NM23タンパク質結合性ペプチドは、NM23タンパク質に対して進化分子工学技術を用いて取得されたペプチドアプタマーで、K = 10-10 M。NM23タンパク質は、細胞の分化誘導抑制因子、又は癌転移関連因子と呼ばれ、Nucleoside diphosphate kinase1と同一物質である。埼玉県がんセンターの角らにより、白血病細胞や悪性リンパ腫細胞において、NM23タンパク質の異常発現が報告されており、がんマーカーとしての有用性が期待されている(角純子、横山明弘, 臨床血液, 39, 92-94 (1998))。
2.方法
2−1.BIAcore解析
BIAcore X100 Plus Packageを用いたアナライトとリガンドの分子間相互作用解析の模式図を図1に示す。
アナライトは、Fc = 1(リファレンスセル)から、リガンドが固定化されたFc = 2(測定セル)を連続的に流れる。アナライトがセンサーチップ上のリガンドと相互作用する場合(センサーチップへの非特異的な相互作用を含む)、センサーグラム上のレスポンス(RU値)が上昇する。アナライト―リガンドの特異的親和性はFc = 2-1(測定セルとリファレンスセルのレスポンスの差)から評価される。BIA evaluation softwareにてFc = 2-1のカーブフィッティング等を行い、速度論解析が行われる。
2−2.ビオチン化リガンドのセンサーチップ上への固定化
本実施例では、「1.材料等」にて示した3種類のビオチン化リガンド(mtCBP、wtCBP、anti-NM23 pep.)それぞれを、ストレプトアビジン修飾センサーチップ(Sensor chip SA(GE ヘルスケア社))上に固定化した。その固定化方法は、BIAcore X100 control softwareのワークフローに従い、50 mM 水酸化ナトリウム、1M塩化ナトリウムによるセンサーチップ表面の洗浄(3回)の後、HBS−EP+(10 mM HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid )[pH 7.4]、150 mM塩化ナトリウム、3 mM EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)、0.05% Polysorbate 20(Tween20))にて終濃度10〜30 μMにて調製した各ビオチン化リガンド溶液をインジェクトした。その結果を図2に示す。
センサーチップSA上へ固定化されたビオチン化リガンドの固定化量は3種類とも飽和しており、それぞれ1292RU (mtCBP)、1364RU (wtCBP)、381RU (Anti-NM23 pep.)であった。ビオチン化リガンドの分子量から考察しても、これらペプチドのセンサーチップ上への固定化量が飽和していると解するのが合理的である。
2−3.シングルサイクル解析における実験条件
本実施例において、BIAcore X100 Plus Packageを用いたアナライトとリガンドの分子間相互作用解析は、シングルサイクルカイネティクス解析法にて行った。BIA control softwareのワークフローに従い、以下の実験条件にて行った。

ランニング緩衝液:HBS-EP+ for MK-CBP (10 mM HEPES [pH 7.4]、500 mM塩化ナトリウム、30 mM EDTA、0.05% Tween20)
アナライト濃度:アナライト溶液をランニング緩衝液にて希釈して調製した。
アナライト溶液流速:30μL/分
結合反応時間:120秒
解離反応時間:600秒

測定に使用したビオチン化ペプチドが固定化されたセンサーチップSAは、HBS-EP+(10 mM HEPES [pH 7.4]、150 mM塩化ナトリウム、3 mM EDTA、0.05% Tween20)中にて、4℃で保存した。
3.結果
3−1.Midkine-mtCBP分子間相互作用解析
ミッドカインとmtCBPのBIAcoreによる分子間相互作用解析の結果を図3に示す。ミッドカインは、ランニング緩衝液(HBS-EP+ for MK-CBP)にて希釈し、12.5 nM、25 nM、50 nM、100 nM、200 nMに調製したミッドカイン溶液をインジェクトした。
ミッドカインは、塩基性タンパク質であり、ランニング緩衝液(pH 7.4)中では正電荷を帯びていると考えられる。HBS-EP+(10 mM HEPES [pH 7.4]、150 mM塩化ナトリウム、3 mM EDTA、0.05% Tween20)をランニング緩衝液に用いた場合、ミッドカインがセンサーチップSAとの静電的な非特異的相互作用により、リファレンスセルでは結合を示唆するセンサグラムパターンが認められた。ランニング緩衝液をHBS-EP+ for MK-CBPに変更し、塩濃度を500 mMにすることで、この非特異的相互作用を解消することが出来た。また、金属イオンによる影響を解消するために、30 mM EDTAにてランニング緩衝液を調製した。
図3(A)にて、ランニング緩衝液にHBS-EP+ for MK-CBPを用いることで、ミッドカインのセンサーチップSAへの非特異的相互作用を抑えることが出来ている。また、図3(B)では、mtCBPが固定化されたセンサーチップへのミッドカインの相互作用が認められ、測定セルとリファレンスセルの差分であるFc =2-1では特異的結合を示すセンサグラムパターンが得られた(図3(C))。
図3(C)の結果をBIA evaluation softwareを用いて速度論解析を行った(図4)。
BIA evaluation softwareによるミッドカインとmtCBPの1:1結合のカーブフィッティングの結果、結合速度定数(ka)= 7.113 x 104 (1/Ms)、解離速度定数(kd)= 5.785 x 10-4 (1/s)、解離定数(KD = kd/ka)= 8.132 x 10-9 (M)と算出された。
3−2.BSA-mtCBP分子間相互作用解析
BSAとmtCBPのBIAcoreによる分子間相互作用解析の結果を図5に示す。BSAはランニング緩衝液 (HBS-EP+ for MK-CBP)にて希釈し、12.5 nM、25 nM、50 nM、100 nM、200 nMに調製したBSA溶液をインジェクトした。
図5より、Fc = 1とFc = 2のセンサーグラムのレスポンスパターンは類似している。またその差分を示すFc = 2-1のセンサーグラムでは、レスポンスの増加が見られないことからBSAがmtCBPに親和性を示すことは確認できなかった。
3−3.GFP-mtCBP分子間相互作用解析
GFPとmtCBPのBIAcoreによる分子間相互作用解析の結果を図6に示す。GFPはランニング緩衝液 (HBS-EP+ for MK-CBP)にて希釈し、0.32 nM、1.6 nM、8 nM、40 nM、200 nMに調製したGFP溶液をインジェクトした。
図6(A)におけるリファレンスセルでのセンサーグラムより、GFPがセンサーチップSAに対し若干の非特異的な親和性を示していることが確認でき、これによりFc = 2-1のセンサーグラムにおいて、GFPのセンサーチップSAへの非特異的結合に因る負のレスポンスが確認できた。また、測定セルにおいては特異的結合のセンサグラムパターンではなく、GFPのmtCBPに対する親和性がないことを示していた。
3−4.IgG-mtCBP分子間相互作用解析
IgG(ウサギ血清由来)とmtCBPのBIAcoreによる分子間相互作用解析の結果を図7に示す。IgGはランニング緩衝液(HBS-EP+ for MK-CBP)にて希釈し、12.5 nM、25 nM、50 nM、100 nM、200 nMに調製したIgG溶液をインジェクトした。
図7より、測定セルのセンサグラムパターンとリファレンスセルのセンサグラムパターンは類似しており、それらの差分のセンサグラムパターンにおけるレスポンス値の変化は5RU以内であった。以上のことからIgG(ウサギ血清由来)とmtCBP間には親和性がないことが示された。
3−5.サバイビン-mtCBP分子間相互作用解析
サバイビンとmtCBPのBIAcoreによる分子間相互作用解析の結果を図8に示す。サバイビンをランニング緩衝液(HBS-EP+ for MK-CBP)にて希釈し、0.32 nM、1.6 nM、8 nM、40 nM、200 nMに調製したミッドカイン溶液をインジェクトした。
図8より、測定セルのセンサグラムパターンとリファレンスセルのセンサグラムパターンは類似しており、それらの差分のセンサグラムパターンにおけるレスポンス値の変化は5RU以内であった。以上のことからサバイビンmtCBP間には親和性がないことが示された。
ここで使用したサバイビンは、N末端にカルモジュリンが修飾された融合タンパク質で、BIAcoreによるシングルサイクルカイネティクス解析のランニング緩衝液にHBS−PCa(10 mM HEPES [pH 7.4]、150 mM塩化ナトリウム、2 mM塩化カルシウム、0.05% Tween20)を用いた場合、カルモジュリンがCBPと相互作用することが認められている。しかし、HBS-EP+ for MK-CBPはカルシウムイオンを含まず、また、30 mM EDTAを含んでいることから、サバイビン(N末端カルモジュリン修飾)とmtCBPの相互作用には、カルモジュリンは寄与しないことが考えられ、図8はサバイビンがmtCBPに対して親和性を示さないことが言える。
3−6.Midkine-wtCBP分子間相互作用解析
ミッドカインとwtCBPのBIAcoreによる分子間相互作用解析の結果を図9に示す。ミッドカインは、ランニング緩衝液(HBS-EP+ for MK-CBP)にて希釈し、12.5 nM、25 nM、50 nM、100 nM、200 nMに調製したミッドカイン溶液をインジェクトした。
図9(C)の結果をBIA evaluation softwareを用いた解析を行った(図10)。
BIA evaluation softwareによるMidkineとwtCBPの1:1結合のカーブフィッティングの結果から、ミッドカインとwtCBP間において親和性を持つと予測できるセンサグラムパターンになっていると考えられる。しかし、正確な定量性を示すのは不十分な結果であり、より高濃度のミッドカイン溶液を用いた解析が必要だと考えられる。つまり、mtCBPと比較してwtCBPは弱い親和性を示すと予測される。
3−7.Midkine-Anti-NM23 pep.分子間相互作用解析
ミッドカインとAnti-NM23 pep.のBIAcoreによる分子間相互作用解析の結果を図11に示す。
ミッドカインをランニング緩衝液(HBS-EP+ for MK-CBP)にて希釈し、12.5 nM、25 nM、50 nM、100 nM、200 nMに調製したミッドカイン溶液をインジェクトした。
図11より、測定セルのセンサグラムパターンとリファレンスセルのセンサグラムパターンは類似しており、それらの差分のセンサグラムパターンにおけるレスポンス値の変化は5RU以内であった。以上のことからミッドカインとAnti-NM23 pep.間には親和性がないことが示された。
以上の結果をまとめたものを表1に示す。
本発明は、がんに罹患の有無に関する判断の基礎を提供するものであり、がんの早期発見を可能ならしめ、以て、より有効ながん治療を可能にするもので、医療分野の技術の発展に寄与するものである。

Claims (7)

  1. 以下の(a)または(b)のペプチドアプタマーを含んでなる、ミッドカインの検出薬。
    (a)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドアプタマー、
    (b)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からなり、かつ、ミッドカインに結合するペプチドアプタマー
  2. 以下の(a)または(b)のペプチドアプタマーを含んでなる、がんの検査薬。
    (a)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドアプタマー、
    (b)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からなり、かつ、ミッドカインに結合するペプチドアプタマー
  3. 前記ペプチドアプタマーが標識物質を有することを特徴とする請求項1に記載の検出薬、または請求項2に記載の検査薬。
  4. 少なくとも請求項2または3に記載の検査薬を含むがん診断用キット。
  5. 以下の(a)または(b)のペプチドアプタマーを試料と接触させる工程を含む、ミッドカインの検出および/または定量方法。
    (a)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドアプタマー、
    (b)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からなり、かつ、ミッドカインに結合するペプチドアプタマー
  6. 以下の(a)または(b)のペプチドアプタマーを被験者由来の生体試料と接触させる工程含む、がんに罹患している可能性を予想して、がんの診断を補助する方法。
    (a)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチドアプタマー、
    (b)配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からなり、かつ、ミッドカインに結合するペプチドアプタマー
  7. 前記ペプチドアプタマーが標識物質を有することを特徴とする請求項5に記載の検出方法、または請求項6に記載の診断を補助する方法。
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