JP5492325B2 - 光ファイバ母材を製造する方法及び光ファイバ母材 - Google Patents

光ファイバ母材を製造する方法及び光ファイバ母材 Download PDF

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Description

本発明は、コア部とクラッド部とを有する光ファイバの母材に関し、特には、内部に多数の空孔や空隙などを有する特殊な構造を有する光ファイバ母材を製造する方法及び光ファイバ母材に関する。
光ファイバの技術進歩に伴い、特殊な構造を有する光ファイバが実現されるようになって来た。上記特殊な構造を有する光ファイバとして、図18に示すものがある。同図(a)の空孔アシストファイバ、同図(b)のフォトニック結晶型ファイバ、そして同図(c)のマルチコアファイバである。これらの光ファイバは、光ファイバ母材を製造する工程が従来の方法に比して複雑で非常に手間とコストのかかる複数の加工処理工程を経て製造されている。
すなわち、上記空孔アシストファイバは、まずVAD法(気相軸付け法:Vaper phase Axial Deposition method)で母材の中心にコア材30を、その外周にクラッド31を形成して第1の母材が製造される。次いでその第1の母材のコア30の外周のクラッド31内に複数の貫通孔32をその母材の長手方向にドリルによって切削する方法、あるいは超音波を用いて切削する方法などによってこじ開けて貫通孔付き第1の母材に加工される。その後に上記貫通孔付き第1の母材の洗浄、脱水、乾燥工程を経て空孔アシストファイバ用母材を完成させ、この母材を線引きしてファイバが製造されている。
フォトニック結晶型ファイバもVAD法で石英ガラス母材31を作成する第1工程と、その後の母材の中に数十個以上の貫通孔32をその母材長手方向に上記に示した機械研削によってこじ開ける工程が設けられ、その後に上記母材の洗浄、脱水、乾燥、加熱工程を経てフォトニック結晶型ファイバ母材とし、その後に母材を線引きしてファイバが得られている。フォトニック結晶型ファイバの別の製造方法として、複数本のガラス細管を束ねたものを線引きしてファイバ化する方法も用いられている。
マルチコアファイバは、まずVAD法でSiOロッドからなる第1の母材31が製造される。次いで、その第1の母材31に所望間隔をおいて長手方向に延びる複数の貫通孔を、上記したように、ドリルによって切削する方法、超音波を用いて切削する方法などによってこじ開ける。この工程の後に上記貫通孔付き母材の洗浄、脱水、乾燥、加熱工程を経て上記貫通孔の中に別の工程で製造しておいたコア母材301〜307を挿入後、融着してマルチコアファイバ母材が得られる。そしてこの母材を線引きしてマルチコアファイバが製造されている。
特開2003-040637号公報 特開2003-342031号公報 特開2003-342032号公報 特開2004-339004号公報 特開2005-263576号公報 特開2006-044950号公報 特開2006-069871号公報 特開2007-072251号公報 特開2008-310034号公報 特開2009-149470号公報 特開2010-173917号公報
このように上記光ファイバはいずれも光ファイバ母材の製造工程の段階において複雑で非常に手間とコストのかかる複数の加工処理を経なければならない。
更に難題は上記加工工程で光損失要因が付加されることである。また光ファイバ母材のコア径、外径の寸法を高精度に制御することが難しいという問題点もある。
また、空孔アシストファイバやフォトニック結晶型ファイバを実現するためには、VAD法で製造した光ファイバ母材の長手方向に複数の貫通孔を精密に機械的に開ける工程とその貫通孔の内面の研磨工程、上記貫通孔の開けた母材の脱水工程をしなければならない。マルチコアファイバを実現するためには、複数の貫通孔を機械的に開けた後にその貫通孔の内面の研磨工程を経てそれらの貫通孔内にコアロッド材料を挿入後に貫通孔の隙間とコアロッド材とを高温で加熱して中実な母材にするための融着工程を行なわなければならない。これらの複数の工程には多大なコストがかかる。
その次に問題になるのは各工程中に光損失要因(貫通孔の内面の荒れによる散乱損失の誘因、貫通孔の内面への不純物の付着による吸収損失の誘因、コアロッド外周への不純物の付着による吸収損失の誘因など)が付加されて光ファイバにした段階で光損失が増大することである。更に問題な事はドリルや超音波によるガラス端面部からの長さ方向に寸法精度の良い貫通した孔開けを行なうことは容易ではない。孔開けを行った後で、貫通孔の内面を研磨やエッチングすることで該貫通孔の寸法精度を高めたり内面の荒れを小さくしたりすることも行われているが、このような作業も非常に手間がかかる。結果的に長尺の光ファイバ母材の長手方向に高寸法精度で面荒れの小さくて真直度が良く、真円度の良い貫通孔を開けることが難しいために低散乱損失で長尺の光ファイバを実現するのが難しい。
この他、上記VAD法で製造した空孔アシストファイバ、フォトニック結晶型ファイバ、マルチコアファイバの光ファイバ母材のコア径、外径を精度良く制御することが難しいといった問題点もある。このように従来の空孔アシストファイバ、フォトニック結晶型ファイバ、マルチコアファイバの母材には散乱損失、表面粗さ、寸法精度の点で多くの課題があった。また、生産性が極めて低い製造方法であるため、製造した光ファイバの価格が非常に高価なっていた。さらに、外径、コア径、および外径とコア径の比、それぞれのコア間隔、空孔径、空孔間隔などの光ファイバの構造パラメータを高寸法精度に制御することが難しく、再現性も低かった。
そこで、本発明の目的は前記した従来の種々の課題を解決することができる光ファイバ母材を提供するものである。
上記課題を解決するために成された本発明は、光ファイバ母材の製造方法及び光ファイバ母材の発明からなる。
本発明の第1態様に係る光ファイバ母材の製造方法は、コア用SiO系ガラスを含んだロッドを所定の間隔をおいて容器内に複数本配置し、シリカ粉末、蒸留水、分散剤、硬化性樹脂を含むガラス原料溶液と硬化剤を前記容器内に注入し、前記ガラス原料溶液が自己硬化反応により固化した後、その固化体から前記容器を脱離し、該固化体を乾燥、塩素ガス中で加熱することによりマルチコア光ファイバ用の光ファイバ母材を製造する方法である。
また、本発明の第2態様に係る光ファイバ母材の製造方法は、金属ロッドを容器内の中心及びその周りに所定の間隔をおいて複数本配置し、80%〜92%のシリカ粉末、蒸留水、分散剤、硬化性樹脂を含むガラス原料溶液と硬化剤を前記容器内に注入し、前記ガラス原料溶液が自己硬化反応により固化した後、その固化体から前記容器及び前記金属ロッドを脱離し、該固化体を乾燥、塩素ガス中で加熱することによりSiOクラッド層の中心とその周りに複数の空孔を有する光ファイバ母材を製造する方法である。
さらに、本発明の第3態様に係る光ファイバ母材の製造方法は、金属ロッドを容器内の中心の周りに所定の間隔をおいて複数本配置し、80%〜92%のシリカ粉末、蒸留水、分散剤、硬化性樹脂を含むガラス原料溶液と硬化剤を前記容器内に注入し、前記ガラス原料溶液が自己硬化反応により固化した後、その固化体から前記容器及び前記金属ロッドを脱離し、
該固化体を乾燥、塩素ガス中で加熱することによりSiOクラッド層の中心の周りに複数の空孔を有する光ファイバ母材を製造する方法である。この製造方法では、上記した製造方法と異なり、得られた光ファイバ母材のクラッド層の中心に空孔がない。
さらに、本発明の光ファイバ母材は、上記の第2又は第3の態様の製造方法により製造された光ファイバ母材であって、空孔が型抜きにより形成されていることを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、上記容器のサイズ(円形容器の場合はその内径及び長さ(高さ))を大きくしておくことにより、容易に大口径の光ファイバ母材を実現することができ、これにより長尺の光ファイバを得ることができる。
しかも、コア用SiO系ガラスを含んだロッドの外周にガラス原料液体が液体の状態で接して固化することによりSiOクラッド層が形成されるので、該ロッドの外周面と前記SiOクラッド層が密着し、且つ、該ロッドの外周に均一な成分のSiOクラッド層を分厚く形成することができる。また、これによりコア用SiO系ガラスを含んだロッドの外周とSiOクラッド層の界面を極めて滑らかにすることができるので、この界面での散乱損失の極めて小さい光ファイバを実現することができる。
さらに本発明によれば、内面が鏡面研磨されて表面粗さが0.2μm以下、好ましくは0.01μmから0.03μmのステンレス製の容器を用いることによって、SiOクラッド層の外周面の表面粗さを0.4μm以下の極めて滑らかな状態にすることができる。また、SiOクラッド層の外形形状を容器の内形形状で高寸法精度に実現することができるので、高寸法精度に保たれた光ファイバ母材を実現することができ、かつ真直度と真円度の良い光ファイバ母材を製造することができる。従って、この光ファイバ母材を線引きして得られる光ファイバは、その機械的強度、寸法精度が極めて優れたものとすることができる。なお、硬化性樹脂を含んだクラッド層用SiOガラス原料溶液と硬化剤を前記容器内に注入して固化させた後、その固化体を高温加熱すると、該固化体は約82%に収縮することが実験的にわかっているので、この収縮率を考慮に入れて光ファイバ母材の外径を設計すればよい。また、固化体が収縮しても、得られる光ファイバ母材(SiOクラッド層)の外周面は鏡面状態を保ったままとなる。
また、コア用SiO系ガラスを含んだロッドの外周にSiOガラス原料溶液が液体の状態で接して固化することにより均一な成分のSiOクラッド層が形成されるので、散乱損失の極めて小さい光ファイバを実現することができる。このように、光ファイバ母材の内面、外面を鏡面状態に形成でき、しかも外径、コア径、などの構造パラメータを設計したとおりに高寸法精度で実現することができる。また光ファイバ母材の長さも容器の長さを変えることによって20cm程度から100cm程度の長さのものでも容易に実現することができる。いわゆる超大型サイズの光ファイバ母材を実現することができる。
また、本発明では、容器の形状を変えるだけで、光ファイバ母材の外形を高寸法精度で円形、四角形、あるいは多角形といった所望形状に容易に実現することができるので、種々の用途(通信用、医療用、照明用、加工用、エネルギー伝送用、など)に適した光ファイバを実現することができる。
また、容器内の中心とその周りに、表面が十分に鏡面研磨されて鏡面状態(表面粗さが0.03μm以下)で寸法精度が高く、真直度と真円度の優れた丸い金属ロッドを配置した状態で硬化性樹脂を含んだ石英ガラス溶液と硬化剤を容器内に注入して自己硬化反応により固化後に該金属ロッドと容器を脱離し、その後に該固化体の乾燥、高温加熱によってSiOクラッド層内の中心及びその外周に所望間隔をおいて内面が鏡面状態(金属ロッドの表面粗さが0.03μm以下の場合、得られた光ファイバ母材の空孔内面の表面粗さは0.4μm以下程度であった。)の空孔が複数個設けられている光ファイバ母材を得ることができるので、散乱損失の極めて低く、寸法精度、損失以外の光学特性(カットオフ波長、モードフィールド径、開口数、ゼロ分散波長、など)の優れたフォトニックバンドギャップ型ファイバ母材を得ることができる。
また、コア用SiO系ガラスを含んだロッドを、屈折率を高めるための添加物を添加したSiOガラス層と、該SiOガラス層の外周に設けられた、前記添加物を添加しないSiO層から構成すると、開口数の高い光ファイバ母材を得ることができる。このような光ファイバ母材は上記種々の用途に用いることができる。
また、屈折率を高めるための添加物を添加したSiOガラス層と、その外周を覆うSiO薄層とから構成すると、あるいは、コア用SiO系ガラスを含んだロッドを、屈折率を高めるための添加物を添加したSiOガラス層と、該SiOガラス層の外周に設けられた、Fを添加したSiOガラス層と、該Fを添加したSiOガラス層の外周に設けられた前記添加物及びFのいずれも添加しないSiOガラス層から構成すると、コアとクラッドの屈折率差が大きい光ファイバ母材を実現することができる。また、このように屈折率差を大きく取ることができれば、マルチコアファイバを実現する際にそれぞれのコア内を伝搬する光同士の干渉が小さい、すなわち、クロストークの小さいマルチコアファイバを実現することができる。また、Fを添加したSiOガラス層を設けることにより、それぞれのコア間隔を狭めて配置させてより多くのコアを設けることができ、一本のマルチコアファイバでより大容量の情報を伝送させることができる。
また、屈折率を高めるための添加物を添加したSiOガラス層に、さらに希土類元素を添加すると、ファイバ型の光増幅器やレーザーなどの機能性ファイバを得ることができる。屈折率を高めるための添加物を添加したSiOガラス層に添加する希土類元素の種類、添加量を変えることにより、性能の異なった機能性ファイバを実現することができる。特に、マルチコアファイバにおいては、複数のコア用SiO系ガラスを含んだロッドの屈折率を高めるための添加物を添加したSiOガラス層に添加する希土類元素の種類、添加量を変えることにより、増幅度、波長などの異なった光増幅器、レーザーを実現することができる。
本発明の光ファイバ母材の実施例1に係る光ファイバ母材の正面断面図(a)、側面図(b)。 光ファイバ母材の製造工程を示すフローチャート。 光ファイバ母材製造中の成型金型容器の正面図(a)、平面図(b)。 本発明の光ファイバ母材の実施例2に係る光ファイバ母材の正面断面図(a)、側面図(b)。 光ファイバ母材製造中の成型金型容器の正面図(a)、平面図(b)。 本発明の光ファイバ母材の実施例3に係る光ファイバ母材の正面断面図(a)、側面図(b)。 本発明の光ファイバ母材の実施例4に係る光ファイバ母材の正面断面図(a)、側面図(b)。 本発明の光ファイバ母材の実施例5に係る光ファイバ母材の正面断面図(a)、側面図(b)。 本発明の光ファイバ母材の実施例6に係る光ファイバ母材の正面断面図。 本発明の光ファイバ母材の実施例6に係る光ファイバ母材の正面断面図(a)、屈折率分布(b)。 本発明の光ファイバ母材の実施例7に係る光ファイバ母材の正面断面図(a)、別の例の正面断面図(b)。 本発明の光ファイバ母材の実施例8に係る光ファイバ母材の正面断面図。 光ファイバ母材製造中の成型金型容器の正面図(a)、平面図(b)。 本発明の光ファイバ母材の実施例9に係る光ファイバ母材の正面断面図。 光ファイバ母材製造中の成型金型容器の正面図(a)、平面図(b)。 本発明の光ファイバ母材の実施例10に係る光ファイバ母材の正面断面図。 本発明の光ファイバ母材の実施例11に係る光ファイバ母材の正面断面図(a)、屈折率分布(b)。 従来のファイバの断面構造を示す図。
以下、本発明のいくつかの実施例を図面を参照して説明する。
図1に本発明の光ファイバ母材の第1実施例を示す。
同図(a)は上記光ファイバ母材の側面断面図、(b)は上記光ファイバ母材の側面図である。この光ファイバ母材1は、コア用SiO系ガラスを含んだロッド2(以下、ガラスロッド2という)と、その外周を覆うSiOクラッド層4からなる。ガラスロッド2の中心部は、GeOを5重量%から25重量%の範囲で添加したSiOガラス層2aからなり、外周部はSiOガラス層3からなるSiO系ガラスロッド、4は本発明の方法によって形成した上記ガラスロッド2を覆っているSiOクラッド層である。
上記SiOクラッド層4は、硬化性樹脂を含んだ石英ガラス溶液と硬化剤を金属容器内に注入して自己硬化反応により固化後に該容器を脱離し、その後に該固化体の乾燥、高温加熱によって得られる。図1(a)の符合5はガラスロッド2とSiOクラッド層4の界面を示しており、本実施例ではこの界面が極めて滑らかに形成されていることが特徴である。すなわち、ガラスロッド2の外周に石英ガラス溶液が液体の状態で接して固化してSiOクラッド層4が形成されるので、ガラスロッド2の外周にSiOクラッド層4が均一に形成され、散乱損失の極めて小さい光ファイバを実現することができる。符合6は光ファイバ母材1の外周部(外周面)であり、この外周部6の外径を金属容器の形状によって精密に制御できることが本実施例の特徴である。
本実施例の光ファイバ母材1の具体的な製造方法を図2に示す。また光ファイバ母材1の製造用の金属容器構造を図3に示す。図3に示すように、金属容器7は内面8が鏡面研磨されて表面粗さが0.01μmから0.03μmであり、ステンレス製の容器(内径D0:152mm、円筒の長さL0:488mmで液9を固化させた後に上記固化体を取り出せるように半割構造になっている。容器は底付きで上蓋もある。)である。
このような金属容器7の中心に、VAD法で製造した、直径Dcが12mmの第1の母材を配置する。この第1の母材は、中心部にGeOを5重量%から25重量%の範囲で添加した上記のガラスロッド2に相当する。その後、硬化性樹脂を含んだ石英ガラス溶液と硬化剤を混合した液9を上記金属容器7内に注入して自己硬化反応により固化後に該金属容器7を脱離し、その後に該固化体の乾燥、高温加熱によって図1の光ファイバ母材1を得た。ここで硬化性樹脂を含んだ石英ガラス溶液は乾燥、塩素ガス中で高温加熱によるガラス化による収縮率を固化前の形状に比して82%程度のわずかな形状縮小に抑えるため及び割れやクラックの発生を抑えるために、粒径が2μm以下(好ましくは1μm以下)のシリカ粉末を分散剤(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液)と蒸留水の混合液に入れたものを用いた。硬化性樹脂にはデナコールEX512と呼ばれる液体樹脂を用いた。そして硬化剤としてトリエチレンテトラミンを用いた。そして上記収縮率を得るために、上記材料の調合量(重量%)をシリカ粉末87%、蒸留水21.2%、分散剤2.7%、硬化性樹脂10.1%とした。すなわち、シリカ粉末の調合量を圧倒的に多くすることにより、収縮率を高くすることができ、割れやクラックをなくすことができた。そしてCH基やOH基などの不純物の量を低減することができた。
このような硬化性樹脂を含んだ石英ガラス溶液を用いると、ゾルゲル法で用いている有機オキシシラン(例えば、テトラエトキシシラン)溶液と純水による加水分解反応による石英ガラスの作成に比して極めて形状の制御が容易であり、割れやクラックの発生がほとんど無い。ゾルゲル法は加水分解反応で石英ガラスが得られるが、石英ガラスの生成率も低く、母材の径方向及び軸方向の収縮率が大きく異なるので、割れやクラックの発生があり、これは大型母材を実現しようとするとますます割れやクラックの発生が問題になり、大型母材を実現することができない。また1日以上の長時間をかけて加水分解反応を起こさせないと割れやクラックが起き易いし、かつ割れやクラックを起こさせないためにも乾燥及び高温加熱にも10日以上の長時間をかけないといけない。それに比べて本発明の方法ではシリカ粉末を用い、このシリカ粉末を上記液体を用いて固化させているので、径方向及び軸方向の収縮率がほとんど変わらず、割れやクラックの発生がほとんど無い。そのためにゾルゲル法の1/10以下の時間で固化させることができ、乾燥も50℃から120℃の低温で1/2以下の時間でよい。また金型に上記溶液を入れる前に溶液を真空脱法して入れることにより、固化したガラス母材内に空隙の混入がほとんど無くなる。
高温加熱はガラス母材の中の不要な物を蒸発、除去するために1300℃から1500℃の範囲で塩素ガス雰囲気中で行なうのが好ましい。またゾルゲル法ではCH基、Si−H基、OH基などが大量に含まれるので、それの除去が極めて難しく、光通信で使用する波長帯において損失増大の要因になっていて低損失光ファイバを実現することは難しい。これに対して本発明の方法では、後述するように、CH基、Si−H基、OH基による損失はほとんど無い。
固化した乾燥体のガラス化による収縮率は元の形状に比して約82%のわずかな収縮であり、その結果、外径125mm、長さ400mm、コア径10mmのガラス化した光ファイバ母材1が得られた。この光ファイバ母材の外形変動は0.5%以下で、かつ光ファイバ母材の表面粗さは0.1μm以下であった。これは内面8が鏡面研磨されて表面粗さが0.01μmから0.03μmの金属容器7のステンレス製の容器を用いて光ファイバ母材を製造したことにより得られたものである。この光ファイバ母材の外形の均一性は形状の均一な光ファイバを実現する上で極めて有効である。また表面粗さが少ないことは光ファイバの機械的強度を向上させる上で極めて有効である。また光ファイバの構造パラメータ(コア径、外径など)を精確に設定することができる。すなわち、本発明では径方向および軸方向にもほとんど一様にわずかに縮小するだけであるので、構造パラメータの設計が容易である。この光ファイバ母材1を高温電気炉内に所望速度で送り込みながら線引きして外径が125μm、コア径が10μmの光ファイバを得た。この光ファイバは約800kmの長さにすることができるが、ここでは実験であるために約10kmの光ファイバを得て散乱損失を測定した。
その結果、波長1.55μmにおいて、0.23dB/kmの損失であった。その損失の内訳を調べたところ、レーリー散乱損失が0.14dB/km、構造不整による散乱損失が0.02dB/km、赤外部、紫外部における固有吸収と不純物による吸収が0.07dB/kmであった。このように構造不整による散乱損失が極めて低いという結果は、ガラスロッド2とSiOクラッド層4の界面5が均一に形成されるという本発明の特徴を裏付ける結果であった。またCH基、Si−H基による損失は無いことが確認できた。本発明はゾルゲル法では実現が困難な良好な結果を得ることができた。本発明のもう一つの特徴は光ファイバ母材の外形寸法を金属容器の寸法で容易に制御できることである。
なお、光ファイバ母材の製造方法の一つにゾルゲル法がある。ゾルゲル法では、液体状の原料物質(ゾル)を金型容器に注入し、ゲル状態を作った後に乾燥・焼結してガラス化することによって光ファイバ母材を製造する。液体状の原料物質を金型容器に注入する点で上記した本実施例に係る製造方法と類似する。しかし、上記した製造方法では、固化した乾燥体のガラス化による収縮率が元の形状に比して約82%であるのに対して、ゾルゲル法では焼結による収縮率が径方向と軸方向で極端に異なり、30%から60%の差があるので、割れやクラックが発生しやすい。そのために大型母材の製造は難しい。このため、寸法精度の点で本実施例の製造方法よりも劣る。
また、ゾルゲル法では通常、オルトケイ酸テトラメチル(TMOS)やオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を水と反応させてシリカゲルにするが、この場合シリカゲル中にヒドロキシ基(OH基)が含まれてしまう。シリカゲルを乾燥・焼結してガラス化するまでの過程でヒドロキシ基を取り除くことは難しいため、ゾルゲル法により得られた光ファイバ母材はヒドロキシ基を含み、この母材から作られる光ファイバは損失が大きくなる。
これに対して、本実施例の製造方法では、上記したように、光ファイバ母材にヒドロキシ基が含まれることがなく、光ファイバの吸収損失を小さく抑えることができる。
図4に本発明の光ファイバ母材の第2実施例を示す。同図(a)は上記光ファイバ母材の側面断面図、(b)は上記光ファイバ母材の側面図である。
この光ファイバ母材1Aは、大口径の光ファイバ母材の実施例である。これは図5に示す金属容器を用いて製造した。まず、ガラスロッド2は中心に屈折率を高めるGeO添加物を添加したSiO層2aを有し、その外周にFを添加したSiO層10、そしてその外周にFを添加しないSiOガラス層3を有した母材である。このガラスロッド2の外周に図5の方法を用いてSiOクラッド層4を形成して実現したのが大口径の光ファイバ母材1Aである。
この光ファイバ母材1Aは、図5に示すように、内面8が鏡面研磨されて表面粗さが0.01μmから0.03μmのステンレスの金属容器7内の中心部に上記構造のガラスロッド2に相当する第1の母材を配置した状態で硬化性樹脂を含んだSiOのガラス原料溶液と硬化剤を混合した液9を上記容器7内に注入して自己硬化反応により固化後に容器の脱離、該固化体の乾燥、塩素ガス中で高温加熱を経て得たSiOガラス層である。この光ファイバ母材1Aの特徴は、比屈折率差を大きく取れ、大口径に実現できることと、低散乱損失、高寸法精度、高機械強度、長尺の光ファイバを実現することができることである。
図6に本発明の空孔アシスト光ファイバ母材の実施例を示す。同図(a)は上記光ファイバ母材の側面断面図、(b)は上記光ファイバ母材の側面図である。この光ファイバ母材1Bは、実施例1に示した第1の母材を金属容器7(図3参照)の中心に配置させ、その外周に所望の間隔を置いて複数本のステンレス製金属ロッド(表面粗さが0.03μm以下)を配置した状態で硬化性樹脂を含んだ石英ガラス溶液と硬化剤の混合液9を金属容器7内に注入して自己硬化反応により固化後に該金属ロッドと金属容器の脱離後、該固化体の乾燥、高温加熱を経て製造される。これにより、中心にガラスロッド2を有し、その外周のSiOクラッド層4の中に所望間隔をおいて空孔11が8個設けられていることを特徴とする光ファイバ母材1Bが得られる。この光ファイバ母材1Bの特徴は、空孔11の高真円度、高真直度、高寸法精度、空孔11の間隔の高寸法精度を実現でき、空孔11内の表面粗さを0.1μm以下に製造できることである。また光ファイバ母材の構造パラメータである、コア径、外径、空孔径、空孔間隔、真円度などを高寸法精度に実現することができた。また真直度、真円度、寸法精度の良い光ファイバ母材を実現することができた。さらに空孔の内面の表面粗さを0.1μm以下に抑えることが出来たので、低散乱損失特性を実現することができた。特に空孔の内面の表面粗さを0.1μm以下に抑えることが出来たことにより、小さな曲げ(曲げ半径<5mm)に対する損失増加量を低減することができた。本発明の最大の特徴は、従来のように、母材の長手方向にドリルによって切削する方法、あるいは超音波を用いて切削する方法などによってこじ開けて貫通孔を設ける必要がないことである。すなわち、従来のような機械的な加工を用いないで内面荒れのきわめて小さい空孔を実現することができることである。しかも空孔の縮小も前記した収縮率でわずかに収縮するだけである。そしてそれぞれの空孔の内径、空孔間隔を機械寸法精度に製造することができることである。これは所望の光学特性を再現性良く実現する上で極めて有利である。
図7に本発明のフォトニックバンドギャップ型光ファイバ母材の実施例を示す。同図(a)は上記光ファイバ母材の側面断面図、(b)は上記光ファイバ母材の側面図である。この光ファイバ母材1Cは、第1の母材の代わりに表面が十分に鏡面研磨されて鏡面状態(表面粗さが0.03μm以下)で寸法精度が高く、真直度と真円度の優れた丸い金属ロッドを丸い金属容器の中心部に配置し、その金属ロッドの外周に所望の間隔を置いてさらに複数本の表面が十分に鏡面研磨されて鏡面状態(表面粗さが0.03μm以下)で寸法精度が高く、真直度と真円度の優れた丸い金属ロッドを配置した状態で硬化性樹脂を含んだ石英ガラス溶液と硬化剤を容器内に注入して自己硬化反応により固化後に該それぞれの金属ロッドと容器を脱離し、その後に該固化体の乾燥、高温加熱を経て製造される。これによって、中心に空孔12(製造した空孔内面の表面粗さは0.2μm以下程度であった。)を有し、その外周のSiOクラッド層4の中に所望間隔をおいて内面が鏡面状態(製造した空孔内面の表面粗さは0.1μm以下程度であった。)の空孔11が複数個設けられている光ファイバ母材1を得ることができる。この光ファイバ母材1Cは、中心部の空孔内の表面粗さが極めて少ないので、光信号をこの空孔内に無駄な放射損を生じないように閉じ込めて低損失で伝送させることができ、また散乱損失も極めて低くすることができた。また寸法精度、損失以外の光学特性の優れたフォトニックバンドギャップ型ファイバ母材である。また上記方法で得たSiOクラッド層4内にはCH基、OH基、遷移金属などの不純物がほとんど無いので、より一層の低損失光ファイバ母材を実現することができた。
なお、図示しないが、光ファイバ母材1Cの中心部の空孔12を中実にしたフォトニック結晶型ファイバ母材も製造し、これを線引きして光ファイバを実現した。製造した光ファイバの構造は外径123μm、空孔11の数40個、空孔11の径3μm、空孔11の間隔5.9μmであり、空孔11の内面の表面粗さは平均で0.2μm以下、外径の表面粗さ0.2μm以下であり、波長1.55μmにおける損失0.8dB/km、波長1.31μmにおける損失1.2dB/km、波長1.07μmにおける損失2dB/kmであった。この結果により本発明の石英ガラス中にCH基、Si−H基はほとんど無く、OH基も極めて少ないことを実証することができた。また空孔内面の表面粗さが少ないことも低散乱損失特性が得られて低損失特性になっていることから検証することができた。上記特性は従来のVAD法で製造した光ファイバの特性とほとんど変わらない特性であった。しかし本発明は従来の製造方法に比して、圧倒的に低価格で、再現性良く製造し易く、高寸法精度の構造を実現できるという利点がある。また本発明は光ファイバの分散値、零分散波長などの光学特性も精度良く制御して製造することができる。従ってフォトニック結晶型ファイバ母材の実施例も従来のような機械的な加工を用いないで内面荒れのきわめて小さい空孔を精度良く実現することができることである。
図8に本発明のフォトニック結晶型光ファイバ母材の別の実施例を示す。同図(a)は上記光ファイバ母材の側面断面図、(b)は上記光ファイバ母材の側面図である。この光ファイバ母材1Dは、丸い金属容器の中心部に実施例1で示した第1の母材を配置させ、その外周に所望間隔を置いて複数本の金属ロッドを配置した状態で硬化性樹脂を含んだSiOのガラス原料溶液と硬化剤を容器内に注入して自己硬化反応により固化後に該金属ロッドと容器の脱離後、該固化体の乾燥、高温加熱を経て得ることができる。この光ファイバ母材1Dは、中心にGeO添加物を添加したSiOガラス層2aを有し、その外周をSiOガラス層3で覆ったガラスロッド2と、該ガラスロッド2の外周をSiOクラッド層4で覆い、該SiOクラッド層4の中に所望間隔をおいて空孔11を複数個設けた構造のフォトニック結晶型光ファイバ母材である。この光ファイバ母材1Dはコアであるガラスロッド2とクラッドであるSiOクラッド層4の中に空孔11を複数個配置させることによって比屈折率差を大きく取れるので、高開口数を実現することができる。また、この実施例もガラス層3とSiOガラス層との界面を均一に製造することができ、かつ空孔11の内面の表面粗さを小さくすることができるので、低散乱損失特性を実現することができる。この実施例も従来のような機械的な加工を用いないで内面荒れの極めて小さい空孔を実現することができることである。
図9に本発明のマルチコア光ファイバ母材の実施例を示す。同図(a)は上記光ファイバ母材の側面断面図、(b)は上記光ファイバ母材の側面図である。この光ファイバ母材1Eは中心部にガラスロッド2を有し、その外周のSiOクラッド層4内に複数本のガラスロッド2Aが所望間隔で設けられた構造のマルチコアファイバ母材である。この光ファイバ母材1Eは、金属容器の中心にガラスロッド2に相当する第1の母材を配置させ、該第1の母材の外周に複数本のガラスロッド2Aに相当する第2の母材を所望間隔で配置した状態で硬化性樹脂を含んだSiOのガラス原料溶液と硬化剤を金属容器内に注入して自己硬化反応により固化させ、その後に脱容器、該固化体の乾燥、高温加熱を経て製造される。これによって、中心のガラスロッド2とその外周に所望間隔をおいて配置された複数のガラスロッド2Aの周りにSiOクラッド層4が均一に形成されるので、ガラスロッド2及びガラスロッド2AとSiOクラッド層4の界面での不要な散乱損失を抜本的に低減した超低散乱損失のマルチコアファイバ母材を実現することができる。またマルチコア光ファイバではそれぞれのコアの寸法、コア間隔を精密に制御して製造することが最も重要であるが、本発明ではマルチコアファイバ内のコア(即ち、SiO系ガラスロッド)の形状、コア間隔、ファイバの外形を高寸法精度に保った状態で実現することができるという利点もある。
従来のマルチコアファイバの製造方法では、複数の貫通孔を機械的に開ける工程と、その後にその貫通孔の内面の研磨工程を経てそれらの貫通孔内にコアロッド材料を挿入する工程、そして後に高温で加熱して貫通孔とコアロッド材との隙間を無くして中実な母材にするための融着工程が必要であったが、本発明ではこれらの工程が不要であるという大きな特徴がある。これによって高寸法精度で低損失な光ファイバを再現性良く低価格で製造することができる。
図10に本発明のマルチコア光ファイバ母材の第2実施例を示す。同図(a)は上記光ファイバ母材1Fの断面図、(b)は上記光ファイバ母材1F内の中心部のガラスロッド2の屈折率分布、(c)は周辺部のガラスロッド2Aの屈折率分布を示したものである。この実施例では、中心のガラスロッド2の屈折率分布を、周辺部の6個のガラスロッド2Aの屈折率分布と異ならせた。このように複数本あるSiO系ガラスロッドの少なくとも一つの屈折率分布(比屈折率差)を異ならせることにより、マルチコアファイバ内のコアの少なくとも一つの中には伝送状態を異ならせて伝送させることができ、また比屈折率差を大きく取ることによりそれぞれのコアを接近して配置させることができるので、よりファイバの設計自由度が広がり、さらなる大容量情報伝送ができるようになる。
図11に本発明の光ファイバ母材の実施例を示す。同図(a)は外形が四角形の光ファイバ母材13の実施例、同図(b)は外形が六角形の光ファイバ母材14の実施例の実施例を示したものである。このような多角形の外形を有する光ファイバ母材は金属容器の形状を変えるだけで実現することができる。しかも、所望形状の円形、四角形、あるいは多角形のSiO系ガラスロッドを有する光ファイバ母材を高寸法精度で容易に実現することができる。そのために種々の用途に適したファイバを実現することができる。
図12に本発明の光ファイバ母材の実施例を示す。これは図11(a)で示した、外形が四角形の光ファイバ母材13を円形のSiOガラス管15の中に4箇所(161、162、163、164)で接するように配置した構造とすることにより、上記四角形の母材13とSiOガラス管15との間に空隙17を設け、これによりクラッドの屈折率が等価的に低く、開口数の大きい光ファイバ母材1Gを実現したものである。この光ファイバ母材1Gは図13に示したような金属容器を用いて製造した。すなわち、まず丸い金属容器7内に該金属容器7の内径よりも外径の小さい金属管18を配置させる。この金属管18は外形が円形で内部に断面形状が四角形の空間19がある。そして第1母材(ガラスロッド2)を金属管18内の中心部に配置させ、上記外側の金属容器7と内側の金属管18の間、及び金属管18と第1母材1の間に硬化性樹脂を含んだSiOのガラス原料溶液と硬化剤の混合液91及び92をそれぞれ注入して自己硬化反応により固化させ、その後に金属管18と金属容器7の脱離、該固化体の乾燥、高温加熱によって光ファイバ母材13が得られる。
図14に本発明の光ファイバ母材の実施例を示す。これは外形が円形の母材1を外形が円形で内断面が四角形のSiOガラス管20の内断面の中に4箇所(161、162、163、164)で接するように配置した構造とすることにより、上記円形の母材1とSiOガラス管20との間に空隙17を設けさせ、これによりクラッドの屈折率が等価的に低くなり、開口数の大きい光ファイバ母材1Hを実現したものである。この光ファイバ母材1Hは図15に示したような金属容器を用いて製造した。
まず丸い金属容器7内に外形が四角形でその内断面が円形からなる第2の金属容器22を配置させる。そして第1母材(ガラスロッド2)を第2の金属容器22の中心部に配置させ、上記外側の金属容器7と内側の第2の金属容器22の間、及び第2の金属容器22内と第1母材の間に硬化性樹脂を含んだSiOのガラス原料溶液と硬化剤の混合液91及び92をそれぞれ注入して自己硬化反応により固化させ、その後に金属容器7と第2の金属容器22の脱離、該固化体の乾燥、高温加熱によって光ファイバ母材1Hが得られる。
図16に本発明の光ファイバ母材の実施例を示す。これは図11(b)で示した、外形が六角形の光ファイバ母材14を円形のSiOガラス管15の中に6箇所(161、162、163、164、165、166)で接するように配置した構造とすることにより、上記六角形の母材14とSiOガラス管15との間に空隙17を設け、これによりクラッドの屈折率が等価的に低くなり、開口数の大きい光ファイバ母材1Jを実現したものである。
図17に本発明の光ファイバ母材の実施例を示す。この光ファイバ母材1Kは、ガラスロッド2の中心部23内に高屈折率の添加物と希土類元素を共添加したことを特徴とする。上記希土類元素として、Er、Nd、Pr、Ce、Ybなどを用いることができる。なお、上記中心部23内には希土類元素以外の共添加材料として、Al、Geなどを用いてもよい。このように希土類元素やAl、Geを添加した光ファイバ母材1Kを得ることにより、光増幅器やレーザーを実現することができる。
本発明は上記実施例に限定されない。例えば、金属容器、金属ロッド、金属管の材質はステンレス以外に、Au、Ni、Cuなどの材質のものを用いてもよい。硬化性樹脂を含んだSiOのガラス原料溶液の調合量はシリカ粉末87%、蒸留水21.2%、分散剤2.7%、硬化性樹脂10.1%に限定されるものではない。本発明はシリカ粉末の調合量を圧倒的に多くしたことを特徴とするもので、この調合量を80%以上、92%程度にまで多くすることができる。第1母材の中心にはGeO以外に、Al、P、TiO、などのSiOの屈折率を高める添加物を添加しても良い。金属容器7の内径Do、長さLoは上記値に限定されない。これらの内径Do、長さLoが大きいほど長尺の光ファイバを実現することができるので、Doは30mm程度から300mm程度の大きさでも良い。Loは20mm程度から1000mm程度でも良い。第1母材の直径Dcも10mm程度から100mm程度でも良い。図6において、空孔の数量は限定されず、4個から30個の範囲から選ぶことができる。図7及び図8のフォトニックファイバの空孔の数量も限定されない。また空孔径は0.5μmから5μmの範囲が好ましい。空孔間隔も1μmから6μmの範囲から選ぶことが出来る。図7の空孔12の空孔径は0.5μmから5μmの範囲が好ましい。図9及び図10のマルチコアファイバ母材の第1母材の数量は4個から30個の範囲が好ましい。またこれらの第1母材の間隔も20μmから60μmの範囲が好ましい。本発明の光ファイバ母材の外径は特に限定されるものではない。
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1J、1K、13、14…光ファイバ母材
2…ガラスロッド(コア用SiO系ガラスを含んだロッド)
2a…中心部
3…SiOガラス層
4…SiOクラッド層
5…界面
6…外周部
7…金属容器

Claims (4)

  1. コア用SiO系ガラスを含んだロッドを所定の間隔をおいて容器内に複数本配置し、
    シリカ粉末、蒸留水、分散剤、硬化性樹脂を含むガラス原料溶液と硬化剤を前記容器内に注入し、
    前記ガラス原料溶液が自己硬化反応により固化した後、その固化体から前記容器を脱離し、
    該固化体を乾燥、塩素ガス中で加熱することによりマルチコア光ファイバ用の光ファイバ母材を製造する方法。
  2. 金属ロッドを容器内の中心及びその周りに所定の間隔をおいて複数本配置し、
    80%〜92%のシリカ粉末、蒸留水、分散剤、硬化性樹脂を含むガラス原料溶液と硬化剤を前記容器内に注入し、
    前記ガラス原料溶液が自己硬化反応により固化した後、その固化体から前記容器及び前記金属ロッドを脱離し、
    該固化体を乾燥、塩素ガス中で加熱することによりSiOクラッド層の中心とその周りに複数の空孔を有する光ファイバ母材を製造する方法。
  3. 金属ロッドを容器内の中心の周りに所定の間隔をおいて複数本配置し、
    80%〜92%のシリカ粉末、蒸留水、分散剤、硬化性樹脂を含むガラス原料溶液と硬化剤を前記容器内に注入し、
    前記ガラス原料溶液が自己硬化反応により固化した後、その固化体から前記容器及び前記金属ロッドを脱離し、
    該固化体を乾燥、塩素ガス中で加熱することによりSiOクラッド層の中心の周りに複数の空孔を有する光ファイバ母材を製造する方法。
  4. 請求項2又は3に記載の方法で製造された光ファイバ母材において、
    固化体に対して、空孔が型抜きにより形成されていることを特徴とする光ファイバ母材。
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