JP5492035B2 - 樹脂組成物の吸水劣化度評価方法およびこれを用いた樹脂組成物の耐水性評価方法 - Google Patents

樹脂組成物の吸水劣化度評価方法およびこれを用いた樹脂組成物の耐水性評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂組成物の吸水劣化度評価方法およびこれを用いた樹脂組成物の耐水性評価方法に関する。
電気機器では、例えばモールド用電気絶縁材料や半導体封止材料としてエポキシ樹脂などの樹脂を含む樹脂組成物が使用される場合がある。この樹脂組成物には、機械特性を向上させるため、または熱膨張係数を下げるため、一般に無機フィラーが配合される。
樹脂組成物の吸水は、樹脂組成物の成形体(以下、「製品」と呼ぶ)の絶縁特性の劣化を招くため、樹脂組成物としては耐水性の高いものが使用される。このため、樹脂組成物の耐水性が高いか否かを評価することは重要である。
無機フィラーと樹脂とを含む樹脂組成物の耐水性を評価する方法として、従来、樹脂組成物を特定寸法のシート状に成形加工し、そのシートについて加湿及び浸水処理を施したのち、体積抵抗率、誘電率、曲げ強さなどの諸特性を測定し、こうして測定された諸特性と別途求められた吸水率との関係を求めることにより耐水性を評価する方法が知られている。
あるいは製品から特定寸法のシート片を切り出し、そのシート片について、体積抵抗率、誘電率、曲げ強さなどの諸特性を測定し、こうして測定された諸特性と別途求められた吸水率との関係を求めることにより耐水性を評価する方法も知られている。
エポキシ樹脂技術協会編、「総説エポキシ樹脂」、応用編I、p.93−96、2003
しかし、上記方法では、体積抵抗率、誘電率、曲げ強さを測定するために、樹脂組成物をシート状に成形したり、製品から特定寸法のシート片を切り出したりする必要があるため、以下のような課題を有していた。
即ち、樹脂組成物をシート状に成形加工する場合、樹脂組成物を必要な幅、長さ、厚さに成形加工した後、滑らかな表面出しの研磨が必要になる。このため、樹脂組成物の耐水性を評価するのにかなりの時間がかかる。また製品からシート片を切り出す場合、製品が複雑な形状を有していたり、小型であったりすると、上記諸特性の評価試験に必要な十分な長さ、面積をとることができない場合があり、評価試験が実施できず、その結果、耐水性を評価することができない場合があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、樹脂組成物の吸水劣化度を簡易に評価できる樹脂組成物の吸水劣化度評価方法及びこれを用いた樹脂組成物の耐水性評価方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、無機フィラーを含有する樹脂組成物の耐水性を調べている際に、樹脂組成物を破断し、その破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、樹脂組成物中の水分量が多いほど、その樹脂組成物の破断面におけるフィラーの割合が多く、樹脂組成物中の水分量が少ないほど、その樹脂組成物の破断面におけるフィラーの割合が少ないことを突き止めた。このことから、樹脂組成物の破断する場所として、樹脂、無機フィラー、および、樹脂と無機フィラーとの界面が考えられるところ、これらのうち樹脂と無機フィラーとの界面の破断が吸水劣化の主要因と考えられる。また樹脂組成物の破断面におけるフィラーの割合を測定するのに樹脂組成物の形状は問われない。こうして本発明者は、樹脂組成物の破断面におけるフィラーの割合を測定することで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、無機フィラーと樹脂とを含む樹脂組成物から試験サンプルを準備する準備工程と、前記試験サンプルの破断面における前記無機フィラーの割合を測定する測定工程とを含むことを特徴とする樹脂組成物の吸水劣化度評価方法である。
この方法によれば、試験サンプルの破断面における無機フィラーの割合を測定すると、その割合の大小により樹脂組成物の吸水劣化の程度を知ることができる。そして、本発明の樹脂組成物の吸水劣化度評価方法においては、試験サンプルの破断面における無機フィラーの割合が測定されるだけであるため、試験サンプルの形状は問われない。このため、試験サンプルについて体積抵抗率などの諸特性を測定する必要がなくなり、特定寸法のシートに成形加工したり特定寸法のシートに切り出したりする必要がなくなる。よって、本発明の吸水劣化度評価方法によれば、樹脂組成物の吸水劣化度を簡易に評価することができる。
また本発明は、同一の組成を有し水分量の異なる複数の樹脂組成物を準備する第1工程と、前記複数の樹脂組成物の各々について吸水劣化度を評価し、これらの水分量と吸水劣化度の評価結果との関係に基づいて前記樹脂組成物の耐水性を評価する第2工程とを含み、前記第2工程において、前記樹脂組成物の吸水劣化度を、上述した樹脂組成物の吸水劣化度評価方法を用いて評価することを特徴とする樹脂組成物の耐水性評価方法である。
この樹脂組成物の耐水性評価方法によれば、同一の組成を有し水分量の異なる複数の樹脂組成物を準備し、複数の樹脂組成物の各々について吸水劣化度を評価し、これらの水分量と吸水劣化度の評価結果との関係に基づいて樹脂組成物の耐水性が評価される。このとき、樹脂組成物の吸水劣化度については、上述した吸水劣化度評価方法が用いられるため、樹脂組成物の吸水劣化度を簡易に評価することができる。よって、本発明の耐水性評価方法によれば、樹脂組成物の耐水性を簡易に評価することができる。
本発明によれば、樹脂組成物の耐水性を簡易に評価できる樹脂組成物の吸水劣化度評価方法及びこれを用いた樹脂組成物の耐水性評価方法が提供される。
実施例1の96h浸水処理した試験サンプルの破断面のSEM写真を示す図である。 実施例1の浸水処理前における試験サンプルの破断面のSEM写真を示す図である。 実施例1に係るフィラーの割合と水分量との関係を示すグラフである。 実施例2の96h浸水処理した試験サンプルの破断面のSEM写真を示す図である。 実施例2の浸水処理前における試験サンプルの破断面のSEM写真を示す図である。 実施例2に係るフィラーの割合と水分量との関係を示すグラフである。 実施例1のフィラーの割合と、比較例1の体積抵抗率との関係を示すグラフである。 実施例2のフィラーの割合と、比較例2の体積抵抗率との関係を示すグラフである。 実施例1のフィラーの割合と、比較例1の曲げ強さ保持率との関係を示すグラフである。 実施例2のフィラーの割合と、比較例2の曲げ強さ保持率との関係を示すグラフである。
<樹脂組成物の吸水劣化度評価方法>
以下、本発明に係る樹脂組成物の吸水劣化度評価方法について説明する。
(準備工程)
はじめに、樹脂組成物から試験サンプルを準備する。樹脂組成物は、無機フィラーと樹脂とを含むものである。試験サンプルは樹脂組成物の一部を切り出したものでもよく、樹脂組成物の全部で構成されていてもよい。また試験サンプルはいかなる形状のものであってもよい。
ここで、樹脂は、特に制限されるものではないが、樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂などを用いることができる。
無機フィラーも特に制限されるものではないが、無機フィラーとしては、例えばシリカ、アルミナ、ガラスビーズ、クレー、炭酸カルシウムなどを用いることができる。
樹脂組成物は、既に成形加工されて製品の一部として使用されているものであってもよく、未だ成形加工されていない段階のものであってもよい。樹脂組成物が製品の一部として使用される場合、そのような製品としては、ケーブル接続部、変圧器、コンデンサなどのモールド機器が挙げられる。樹脂組成物が製品の一部として使用されているものである場合、その樹脂組成物の一部を任意の形状に切り出したものを試験サンプルとすればよい。また樹脂組成物が未だ成形加工されていない段階のものである場合も、特別な形状に成形加工する必要はなく、例えばペレット状にしたものを試験サンプルとすればよい。
(測定工程)
次に、上記試験サンプルを破断し、その破断面における無機フィラーの割合を測定する。試験サンプルの破断は、例えばJIS K7171「プラスチック−曲げ特性の求め方」に準拠した3点曲げ治具を用いて行うことができる。
また試験サンプルの破断面における無機フィラーの割合は、例えば走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析装置による元素分析(SEM−EDS(Scanning Microscope Energy-Dispersive X-ray Spectroscopy)元素分析)により測定することができる。この場合、SEMで観察した観察エリアについて元素分析が行われ、分析対象となる観察エリア全体から元素分析により測定される元素の質量の総和を100質量%とした場合における無機フィラーの質量割合が算出されることになる。例えば無機フィラーがシリカ(SiO)である場合、Siが全てSiOになっているものとしてSiOの質量割合が測定される。また無機フィラーがシリカ(SiO)及びアルミナ(Al)である場合、SiおよびAlがそれぞれ全てSiOおよびAlになっているものとしてSiO及びAlの質量割合が算出される。このとき、無機フィラーの質量割合は、無機フィラーの質量割合の測定値の信頼性を向上させるため、ZAF法を用いて算出される。ZAF法は、EDS分析の際に観察エリアから放出される特性X線の強度が原子番号効果、吸収効果、蛍光励起効果を受けるので、これらの三つの効果を補正し、Si元素の質量割合について正しい値を求めるためのものである。
このとき、破断面の観察倍率は、破断面ができるだけ平坦とみなせる倍率まで拡大することが好ましい。これは、観察している破断面の凹凸による測定精度の低下を避けるためである。ここで、観察倍率は、観察エリア内において無機フィラーが10個以上存在する倍率であることが好ましい。この場合、観察エリアにおける無機フィラーの個数が10個未満である場合に比べて、例外的に大きい粒径を持つ無機フィラーの影響を小さくすることができ、得られる無機フィラーの割合の測定値の信頼性をより向上させることができる。また複数の異なる観察エリアを観察して無機フィラーの割合を測定し、それらの平均値を無機フィラーの割合として用いることが、測定値の信頼性を向上させる観点から好ましい。このとき、観察する観察エリアは通常は3〜10箇所である。
なお、試験サンプルの破断面における無機フィラーの割合の測定は、SEM−EDS元素分析による方法に代えて、X線光電子分光分析(XPS又はESCA)、オージェ電子分光分析(AES又はSAM)、X線マイクロアナライザ(EPMA,XMA)、二次イオン質量分析(SIMS又はIMA)、FT赤外分光分析(FT−IR)又は蛍光X線分析(XRF)による方法を用いて行うこともできる。また、上述した分析による方法では、無機フィラーの割合に、破断面の内側にある無機フィラーの情報までも反映されるが、試験サンプルの破断面における無機フィラーの割合の測定は、無機フィラーの割合に、破断面の内側にある無機フィラーの情報までもが反映されない方法、例えばSEMによって観察される全体像の面積のうちの露出している無機フィラーの表面積の割合を測定する方法によって行ってもよい。上記方法の中でも、SEM−EDS元素分析による方法が、測定値が容易で且つ信頼性が高いことから好ましい。
上記のようにして試験サンプルの破断面における無機フィラーの割合を測定すると、その割合の大小により樹脂組成物の吸水劣化の程度を知ることができる。例えばフィラーの割合が少ない場合は、吸水劣化の程度が小さいことを表す。これに対し、フィラーの割合が大きい場合には、吸水劣化の程度が大きいことを表す。そして、本発明の吸水劣化度評価方法においては、試験サンプルの破断面における無機フィラーの割合が測定されるだけであるため、試験サンプルの形状は問われない。このため、樹脂組成物の吸水劣化度を評価するために、試験サンプルについて体積抵抗率などの諸特性を測定する必要がなくなり、これら諸特性を測定するためにシート状に成形加工したり切り出したりする必要がなくなる。よって、本発明の吸水劣化度評価方法によれば、試験サンプルが微量であっても、樹脂組成物の吸水劣化度を簡易に評価することができる。
<樹脂組成物の耐水性評価方法>
以下、本発明に係る樹脂組成物の耐水性評価方法について説明する。
(第1工程)
樹脂組成物の耐水性を評価するには、まず同一の組成を有し水分量の異なる複数の樹脂組成物を準備する。ここで、同一の組成とは、樹脂組成物に含まれている成分が同一であり且つ水分量がゼロである場合に各成分の配合量も同一であることを言う。
同一の組成を有し水分量の異なる複数の樹脂組成物を準備するには、例えば同一の組成を有する複数の樹脂組成物の各々に対する浸水処理時間を変えればよい。通常、浸水処理時間が長くなるほど、樹脂組成物中の水分量が多くなり、浸水処理時間が短くなるほど、樹脂組成物中の水分量が少なくなる。
ここで、水分量の測定方法としては、例えば樹脂組成物の加熱による質量の減量分から水分量を求める加熱減量法や、樹脂組成物を100℃以上に加熱し水分を抽出した後、カールフィッシャー試薬を滴下することにより水分量を求めるカールフィッシャー法などを用いることができる。中でも、カールフィッシャー法が、少量のサンプルで数10ppm程度の水分量まで測定できることから好ましく用いられる。
(第2工程)
次に、複数の樹脂組成物の各々について吸水劣化度を評価し、これらの水分量と吸水劣化度の評価結果との関係を求める。ここで、吸水劣化度は、例えば無機フィラーの割合であってもよい。そして、この関係に基づいて樹脂組成物の耐水性を評価する。このとき、樹脂組成物の吸水劣化度については、上述した樹脂組成物の吸水劣化度評価方法を用いて評価する。具体的には、上記関係から、無機フィラーの割合が大きくなり始める水分量を求めることで、樹脂組成物の耐水性の程度を評価することができる。例えば水分量が0.3質量%でフィラーの割合が増加し、吸水劣化が始まる場合と、水分量が1.0質量%でフィラーの割合が増加し、吸水劣化が始まる場合とでは、後者の樹脂組成物の方が、前者の樹脂組成物よりも耐水性が高いことになる。
このように、本発明に係る樹脂組成物の耐水性評価方法によれば、樹脂組成物の吸水劣化度については、上述した吸水劣化度評価方法を用いて評価される。このため、樹脂組成物の吸水劣化度を簡易に評価することができる。よって、本発明の耐水性評価方法によれば、樹脂組成物の耐水性を簡易に評価することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示す組成を有するエポキシ樹脂組成物Aを準備した。そして、長さ80mm、幅10mm、厚さ2mmのシートにしたエポキシ樹脂組成物Aを、表2に示すように、0h、12h、96hの浸水処理時間で浸水処理した。
続いて、浸水処理したエポキシ樹脂組成物Aの各々を試験サンプルとし、その試験サンプルを、JIS K7171「プラスチック−曲げ特性の求め方」に準拠した3点曲げ治具を用いて破断した。なお、本実施例はモデル実験のため、試験サンプルを破断に用いた3点曲げ治具にあわせた寸法、形状としているが、同一条件、同一治具で破断できれば、試験サンプルの形状は問わない。例えば、円筒状のモールド部品では筒のまま切りだしたものをそのまま使用しても良い。また、円筒状で筒が大きければ、円弧状で長手方向に切りだしたものを使用しても良い。
続いて、その試験サンプルの破断面におけるシリカの割合を、SEM−EDS元素分析により測定した。具体的には、試験サンプルの破断面における異なる5箇所の観察エリアの各々をSEMにより250倍の観察倍率で観察しながらEDS元素分析によりSi元素の質量割合を測定し、この測定値の平均値に基づいて、シリカの質量割合を算出した。このとき、観察エリアからEDS元素分析により測定される元素の質量の総和を100質量%とした。結果を表2に示す。
また96h浸水処理したエポキシ樹脂組成物についてその破断面をSEMにて観察した結果を図1に、浸水処理する前のエポキシ樹脂組成物についてその破断面をSEMにて観察した結果を図2に示す。図1及び図2において、より濃い色で表示されている平滑な部分がシリカである。図1及び図2に示す結果より、浸水処理時間が長くなると、破断面において観察されるシリカの数が増加していることが分かる。
一方、0.5gのエポキシ樹脂組成物Aを、表2に示すように、0h、12h、96hの浸水処理時間で浸水処理したのち、0.5mm径以下となるように粉砕し粉砕物を得た。続いて、各粉砕物について、カールフィッシャー法(電量滴定法)により、エポキシ樹脂組成物中の水分(質量%)を測定した。具体的には、エポキシ樹脂組成物を200℃で加熱して15分間水分の抽出を行ったのち、カールフィッシャー試薬を滴下することにより水分量を測定した。
そして、水分量とシリカの割合との関係を求め、樹脂組成物の耐水性の結果を調べた。結果を図3に示す。
(比較例1)
実施例1のエポキシ樹脂組成物Aを成形加工して、2mm(厚さ)×100mm×100mmの第1シート(3枚)と、2mm(厚さ)×10mm×100mmの第2シート(3枚)とを準備した。そして、3枚の第1シートおよび3枚の第2シートの各々について、表2に示すように、0h、12h、96hの浸水処理時間で浸水処理した。そして、浸水処理した3枚の第1シートの各々については、厚さ方向に500Vの電圧を印加し、1分後の電流値を用いて体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。また浸水処理した3枚の第2シートの各々については、圧縮速度1mm/分で圧縮することにより曲げ強さを測定し、曲げ強さ保持率を算出した。曲げ強さ保持率は、浸水処理時間が0hであるときの曲げ強さを100とした場合の相対値を%単位で示したものである。結果を表2に示す。
一方、0.5gのエポキシ樹脂組成物Aを、表2に示すように、0h、12h、96hの浸水処理時間で浸水処理したのち、0.5mm径以下となるように粉砕し粉砕物を得た。続いて、各粉砕物について、カールフィッシャー法(電量滴定法)により、エポキシ樹脂組成物中の水分(質量%)を測定した。具体的には、エポキシ樹脂組成物を200℃で加熱して15分間水分の抽出を行ったのち、カールフィッシャー試薬を滴下することにより水分量を測定した。なお、表2において、比較例1の結果は、実施例1の結果と対比しやすくするため、横並びにしてある。
(実施例2)
表1に示す組成を有するエポキシ樹脂組成物Bを準備した。そして、このエポキシ樹脂組成物Bについて、表2に示すように、0h、12h、96hの浸水処理時間で浸水処理した。
続いて、浸水処理したエポキシ樹脂組成物Bの各々を試験サンプルとし、その試験サンプルを実施例1と同様にして破断しその破断面におけるシリカの割合を測定した。結果を表2に示す。また96h浸水処理したエポキシ樹脂組成物についてその破断面をSEMにて観察した結果を図4に、浸水処理する前のエポキシ樹脂組成物についてその破断面をSEMにて観察した結果を図5に示す。図4及び図5において、より濃い色で表示されている平滑な部分がシリカである。図4及び図5に示す結果より、浸水処理時間が長くなると、破断面において観察されるシリカの数が増加していることが分かる。
一方、0.5gのエポキシ樹脂組成物Bを、表2に示すように、0h、12h、96hの浸水処理時間で浸水処理したのち、0.5mm径以下となるように粉砕し粉砕物を得た。続いて、各粉砕物について、比較例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物中の水分(質量%)を測定した。
そして、水分量とシリカの割合との関係を求め、樹脂組成物の耐水性の結果を調べた。結果を図6に示す。
(比較例2)
実施例2のエポキシ樹脂組成物Bを成形加工して、2mm(厚さ)×100mm×100mmの第1シート(3枚)と、2mm(厚さ)×10mm×100mmの第2シート(3枚)とを準備した。そして、3枚の第1シートおよび3枚の第2シートの各々について、表2に示すように、0h、12h、96hの浸水処理時間で浸水処理した。浸水処理した3枚の第1シートの各々については、比較例1と同様にして体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。また浸水処理した3枚の第2シートの各々については、比較例1と同様にして曲げ強さを測定し、曲げ強さ保持率を算出した。曲げ強さ保持率は、比較例2において浸水処理時間が0hであるときの曲げ強さを100とした場合の相対値を%単位で示したものである。結果を表2に示す。
一方、0.5gのエポキシ樹脂組成物Bを、表2に示すように、0h、12h、96hの浸水処理時間で浸水処理したのち、0.5mm径以下となるように粉砕し粉砕物を得た。続いて、各粉砕物について、比較例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物中の水分(質量%)を測定した。なお、表2において、比較例2の結果は、実施例2の結果と対比しやすくするため、横並びにしてある。
表2に示す結果から、シリカの割合と体積抵抗率との関係を求めた。結果を図7及び図8に示す。図7は、実施例1のシリカの割合と比較例1の体積抵抗率との関係を示すグラフであり、図8は、実施例2のシリカの割合と比較例2の体積抵抗率との関係を示すグラフである。図7及び図8のいずれにおいても、縦軸は体積抵抗率を表し、対数表示で示してある。またシリカの割合と曲げ強さ保持率との関係についても求めた。結果を図9及び図10に示す。図9は、実施例1のシリカの割合と比較例1の曲げ強さ保持率との関係を示すグラフであり、図10は、実施例2のシリカの割合と比較例2の曲げ強さ保持率との関係を示すグラフである。また図9及び図10において、縦軸は曲げ強さ保持率を表し、対数表示で示してある。
図7及び図8に示す結果から分かるように、シリカの割合が増加すると体積抵抗率が低下し、シリカの割合が減少すると体積抵抗率が増加しており、シリカの割合と体積抵抗率との間には強い相関関係が観測された。また図9及び図10に示す結果から分かるように、シリカの割合が増加すると曲げ強さ保持率が低下し、シリカの割合が減少すると曲げ強さ保持率が増加しており、シリカの割合と曲げ強さ保持率との間にも強い相関関係が観測された。このことから、本発明の吸水劣化度評価方法により、その試験サンプルの破断面におけるシリカの割合を測定するだけで樹脂組成物の吸水劣化度を的確に評価できることが分かった。
このことから、実施例1,2のそれぞれについて、樹脂組成物中の水分量に対する樹脂組成物の吸水劣化の程度、即ち樹脂組成物の耐水性を評価できることが分かった。
以上より、本発明の吸水劣化度評価方法によれば、樹脂組成物の吸水劣化度及び耐水性を簡易に評価できることが確認された。

Claims (3)

  1. 無機フィラーと樹脂とを含む樹脂組成物から試験サンプルを準備する準備工程と、
    前記試験サンプルの破断面における前記無機フィラーの割合を測定する測定工程と
    を含むこと、
    を特徴とする樹脂組成物の吸水劣化度評価方法。
  2. 同一の組成を有し水分量の異なる複数の樹脂組成物を準備する第1工程と、
    前記複数の樹脂組成物の各々について吸水劣化度を評価し、これらの水分量と吸水劣化度の評価結果との関係に基づいて前記樹脂組成物の耐水性を評価する第2工程とを含み、
    前記第2工程において、前記樹脂組成物の吸水劣化度を、請求項1記載の樹脂組成物の吸水劣化評価方法を用いて評価すること、
    を特徴とする樹脂組成物の耐水性評価方法。
  3. 前記第1工程において、同一の組成を有し水分量の異なる複数の樹脂組成物が、同一の組成を有する複数の樹脂組成物の各々に対する浸水処理時間を変えることによって得られる、請求項2に記載の樹脂組成物の耐水性評価方法。
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