以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態以降において、既に説明された実施形態と共通又は類似する構成について、既に説明された実施形態と共通の符号を用い、また、図示や説明を省略することがある。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係るダイカストマシンDC1の射出装置1の要部の構成を示す図である。
射出装置1は、不図示の型締装置に保持された固定金型101及び移動金型103により形成されたキャビティ105に溶湯(溶融状態の金属材料)を射出・充填する装置である。
射出装置1は、キャビティ105に連通する射出スリーブ3と、射出スリーブ3内において溶湯をキャビティ105へ押し出すプランジャ5と、プランジャ5を駆動する射出シリンダ装置7とを有している。また、射出装置1は、射出シリンダ装置7を液圧式の駆動方法により駆動する液圧部9と、射出シリンダ装置7を電動式の駆動方法により駆動する電動部11と、液圧部9及び電動部11を制御する制御装置13とを有している。
射出スリーブ3は、例えば、固定金型101に挿通されるように設けられている。プランジャ5は、射出スリーブ3を摺動するプランジャチップ5aと、プランジャチップ5aに固定されたプランジャロッド5bとを有している。射出スリーブ3に形成された給湯口3aから溶湯が射出スリーブ3内に供給された状態で、プランジャチップ5aが射出スリーブ3内をキャビティ105に向かって摺動する(前進する)ことにより、溶湯はキャビティ105に射出、充填される。
射出シリンダ装置7は、射出シリンダチューブ15と、射出シリンダチューブ15の内部を摺動可能な射出ピストン17と、射出ピストン17に固定され、射出シリンダチューブ15から延び出る射出ピストンロッド19とを有している。なお、射出ピストン17及び射出ピストンロッド19は、それぞれ別個に形成されて互いに固定されていてもよいし、一体的に形成されて互いに固定されていてもよい。
射出シリンダチューブ15は、例えば、内部の断面形状が円形の筒状体である。射出シリンダチューブ15の内部は、射出ピストン17により、射出ピストンロッド19が延び出る側の射出ロッド側室15rと、その反対側の射出ヘッド側室15hとに区画されている。射出ロッド側室15r及び射出ヘッド側室15hに選択的に作動液が供給されることにより、射出ピストン17は射出シリンダチューブ15内を摺動する。
射出シリンダ装置7は、プランジャ5に対して同軸的に配置されている。そして、射出ピストンロッド19は、プランジャ5にカップリングを介して連結されている。射出シリンダチューブ15は、不図示の型締装置などに対して固定的に設けられている。従って、射出ピストン17の射出シリンダチューブ15に対する移動により、プランジャ5は射出スリーブ3内を前進又は後退する。
液圧部9は、射出シリンダ装置7に作動液を供給可能なアキュムレータ21と、アキュムレータ21と射出シリンダ装置7との間の作動液の流れを制御するサーボバルブ23とを有している。
アキュムレータ21は、重量式、ばね式、空気圧式、シリンダ式、プラダ式などの適宜な形式のアキュムレータにより構成されてよい。例えば、アキュムレータ21は、空気圧式、シリンダ式又はプラダ式のアキュムレータであり、アキュムレータ21内に保持されている空気が圧縮されることにより蓄圧され、その蓄圧された圧力により作動液を供給する。
アキュムレータ21は、射出ヘッド側室15hと接続されている。従って、蓄圧されたアキュムレータ21の作動液を放出することにより、射出ヘッド側室15hに作動液を供給して、射出ピストン17を前進させることが可能である。また、逆に、電動部11により射出ピストン17を後退させて、射出ヘッド側室15hの作動液をアキュムレータ21へ押し出せば、アキュムレータ21を蓄圧することが可能である。
サーボバルブ23は、入力された電圧に応じた開口度で開くことにより、流量を無段階で調整可能である。また、サーボバルブ23は、開口度に応じた信号S2を出力可能であり、その信号S2に基づいてフィードバック制御がなされる。サーボバルブ23は、例えば、圧力補償付の流量制御弁により構成されている。サーボバルブ23の駆動方式は、例えば、ソレノイド(モータ)、液圧回路が順次作動してスプールを駆動する電気−液圧式である。その液圧回路は、例えば、アキュムレータ21の圧力をパイロット圧力として利用する。
サーボバルブ23は、アキュムレータ21と射出ヘッド側室15hとを接続する流路に設けられている。従って、サーボバルブ23は、アキュムレータ21から射出ヘッド側室15hへ供給される作動液の流量を制御して射出シリンダ装置7の速度を制御可能であり、いわゆるメータイン回路を構成している。
なお、射出ロッド側室15rは、射出ピストン17の移動に伴う容量の変化に応じて適宜に作動液が供給又は排出されるようになっている。例えば、射出ロッド側室15rには、タンク22が接続されている。
電動部11は、射出ピストン17に固定的に設けられたラック25と、ラック25に噛み合い可能なピニオン27とを有している。
ラック25は、ラック用ロッド29に設けられている。ラック用ロッド29は、射出ピストン17に固定され、射出シリンダチューブ15から射出ピストンロッド19とは反対側に延び出ている。なお、射出ピストン17及びラック用ロッド29は、それぞれ別個に形成されて互いに固定されていてもよいし、一体的に形成されて互いに固定されていてもよい。
ラック用ロッド29は、例えば、射出ピストン17よりも径の小さい円柱状に形成されており、射出ピストン17と軸芯が一致するように固定されている。なお、ラック用ロッド29の径は、射出ピストンロッド19の径よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
ラック用ロッド29は、比較的長く形成されている。例えば、ラック用ロッド29は、射出ピストン17の射出シリンダチューブ15に対する可動距離の2倍を超える長さに形成されている。従って、ラック用ロッド29は、射出ピストン17が前進限に位置しても、射出ピストン17とは反対側の部分が射出シリンダチューブ15の外部に位置する。ラック25は、ラック用ロッド29のうち、射出ピストン17が前進限に位置しても、射出シリンダチューブ15の外部に位置する部分に設けられている。
ラック25は、特に図示しないが、ラック用ロッド29の外周面に設けられ、ラック用ロッド29の軸方向(射出ピストン17の進退方向)に沿って配列された複数の歯を有している。複数の歯は、例えば、射出ピストン17の可動距離と同等の長さに亘って配列されている。ラック25は、ラック用ロッド29の上面、側面、下面のいずれに設けられてもよく、本実施形態では、ラック25がラック用ロッド29の下面に設けられた場合を例示している。
ピニオン27は、ラック用ロッド29の軸方向(射出ピストン17の進退方向)に直交する方向(図1の紙面貫通方向)を回転軸RAの延びる方向として配置されている。ピニオン27は、概ね円盤状に形成されており、特に図示しないが、外周面に沿って配列され、ラック25の複数の歯と噛み合い可能な複数の歯を有している。従って、ピニオン27が一方向に回転されることにより、ラック25を前進させることが可能であり、ピニオン27が他方向に回転されることにより、ラック25を後退させることが可能である。
図2は、図1のII−II線矢視方向の断面を含む、電動部11を模式的に示す図である。
電動部11は、回転式の電動機31と、電動機31の回転を減速してピニオン27に伝達する減速機33と、ラック25とピニオン27との噛み合いを制御する噛合制御装置35と、ラック25とピニオン27との噛み合いを検出する噛合検出器37とを有している。
電動機31は、直流モータでも交流モータでもよい。また、電動機31は、誘導モータや同期モータ等の適宜なモータにより構成されてよい。電動機31は、例えば、サーボモータとして構成されており、電動機31の回転を検出するエンコーダ39と、電動機31に電力を供給するサーボドライバ(サーボアンプ)41と共にサーボ機構を構成している。
なお、後述する動作の説明において、電動機31が停止しているとき、電動機31は、トルクフリーの状態とされてもよいし、一定位置に停止するように制御されてもよいし、ブレーキを含んで構成され、ブレーキが使用されてもよい。射出装置の具体的な構成及び電動機31が停止される状況に応じて適切な停止方法が選択されてよい。
減速機33は、特に図示しないが、例えば、複数の歯車列を含んで構成されており、電動機31の回転を減速してピニオン27に伝達する。これにより、大きなトルクをピニオン27に加えることが可能となる。
噛合制御装置35は、ピニオン27を回転軸RA方向においてラック25に対して移動させることにより、ピニオン27とラック25とを互いに噛み合わせ、又は、その噛み合わせを解除する。
噛合検出器37は、ピニオン27の回転軸RA方向における位置検出に基づいて、ピニオン27とラック25との噛み合いの有無を検出する。例えば、噛合検出器37は、ピニオン27がラック25と噛み合う位置に位置しているときにはオフされており、ピニオン27がラック25との噛み合いを解除する位置に移動したときにピニオン27に操作されてオンされる、レバー式のスイッチにより構成されている。
図3は、図2の噛合制御装置35付近における拡大図である。
噛合制御装置35は、ピニオン27に挿入される軸部材43と、ピニオン27を回転軸RA方向に駆動する駆動装置45とを有している。
軸部材43は、減速機33の出力軸も兼ねる部材である。軸部材43は、減速機33から延び出る大径軸部43aと、大径軸部43aの先端に設けられた小径軸部43bとを有している。大径軸部43a及び小径軸部43bは、例えば、概ね円柱状に形成されている。なお、大径軸部43a及び小径軸部43bは、それぞれ別個に形成されて互いに固定されていてもよいし、一体的に形成されて互いに固定されていてもよい。
小径軸部43bは、大径軸部43aよりも径が小さく形成されている。また、小径軸部43bは、スプライン軸として構成されており、小径軸部43bの外周面には、小径軸部43bの軸方向(回転軸RA方向)に延びるスプライン43cが形成されている。スプライン43cの数は適宜に設定されてよい。
ピニオン27は、その中心に小径軸部43bが挿入される孔部が形成されるとともに、その孔部の内周面には、回転軸RA方向に延び、スプライン43cに嵌合する突条部27cが形成されている。従って、スプライン43c及び突条部27cにより構成されるキー溝機構により、ピニオン27は、小径軸部43bに対して、回転軸RA方向に移動可能且つ回転軸RA回りに移動不可能である。
そして、ピニオン27は、小径軸部43bに対して回転軸RA方向に移動することにより、ラック25と噛み合う位置と、ラック25との噛み合いが解除される位置との間で移動する。なお、大径軸部43aは、ピニオン27の減速機33側(図3の紙面左側)への移動限界を規定するストッパとして機能可能である。
駆動装置45は、ピニオン27を、ラック25と噛み合う位置から噛み合いが解除される位置へ付勢する弾性部材47と、ピニオン27を、ラック25との噛み合いが解除される位置から噛み合う位置へ弾性部材47の付勢力に抗して駆動する噛合シリンダ装置49とを有している。
弾性部材47は、例えば、コイルばねにより構成され、伸縮方向を回転軸RAの延びる方向に一致させ、且つ、圧縮された状態で、ピニオン27と噛合シリンダ装置49の噛合シリンダチューブ55との間に配置されている。噛合シリンダチューブ55は、回転軸RAの延びる方向においてラック25に対して移動不可能に設けられている。そして、弾性部材47は、伸長しようとする復元力により、ピニオン27をラック25に対して付勢している。
噛合シリンダ装置49は、いわゆる回転液圧シリンダ装置により構成されており、シリンダ本体51と、回転継手53とを有している。
シリンダ本体51は、噛合シリンダチューブ55と、噛合シリンダチューブ55に収容され、噛合シリンダチューブ55に対して摺動可能な不図示の噛合ピストンと、当該噛合ピストンに固定された連結部材57とを有している。
噛合シリンダチューブ55は、特に図示しないが、射出シリンダチューブ15と同様に、その内部が噛合ピストンにより2つのシリンダ室に区画されている。また、連結部材57は、噛合シリンダチューブ55から延び出ており、ピニオン27に固定されている。
従って、2つのシリンダ室の一方に作動液を供給して連結部材57を噛合シリンダチューブ55の内部に引き込むことにより、弾性部材47の付勢力に抗してピニオン27をラック25と噛み合う位置に移動させることができる。また、その作動液が供給されたシリンダ室の圧抜きを行うと、ピニオン27は、弾性部材47の付勢力により、ラック25との噛み合いが解除される位置へ移動する。
なお、シリンダ室への作動液の供給は、例えば、不図示の液圧回路を介してアキュムレータ21の作動液が供給されることにより行われる。連結部材57は、適宜な形状及び数とされてよい。図3では、連結部材57が小径軸部43bを囲む筒状体の一部のような形状とされている場合を例示している。弾性部材47は、連結部材57に嵌められている。
回転継手53は、シリンダ本体51(噛合シリンダチューブ55)と回転軸RA回りに互いに相対回転可能に連結されている。また、特に図示しないが、回転継手53の内部では、シリンダ本体51に対して固定的に設けられた流路と、回転継手53に対して固定的に設けられた流路とが、回転継手53とシリンダ本体51との相対回転に関わらずに接続が維持されるように設けられている。シリンダ本体51に固定的に設けられた流路は、シリンダ本体51のシリンダ室に接続され、回転継手53に対して固定的に設けられた流路は、回転継手53の外部に開口するポートと接続されている。
従って、シリンダ本体51は、ピニオン27とともに回転軸RA回りに回転可能であり、また、その回転に関わらず、回転継手53を介して作動液が供給されることにより駆動され、ピニオン27を回転軸RA方向に移動させることが可能である。
なお、シリンダ本体51は、例えば、噛合シリンダチューブ55が軸部材43に固定されるとともに、その反対側において適宜なベアリングユニット59により噛合シリンダチューブ55に固定的な部分が回転可能に支持されることにより、回転軸RA回りに回転可能に支持されている。
図1に戻って、制御装置13は、例えば、CPU61、ROMやRAM等のメモリ63、入力回路65、及び、出力回路67を含んで構成されている。CPU61は、メモリ63に記憶されたプログラムを実行し、入力回路65を介して入力される入力信号に基づいて、各部を制御するための制御信号を出力回路67を介して出力する。
入力回路65に信号を入力するのは、例えば、ユーザの入力操作を受け付ける入力装置69、エンコーダ39(図2)、射出ピストンロッド19の位置を検出する位置センサ71、サーボバルブ23、射出ヘッド側室15hの圧力を検出する第1圧力センサ73、アキュムレータ21の圧力を検出する第2圧力センサ75、及び、噛合検出器37(図2)である。
出力回路67が信号を出力するのは、例えば、ユーザに情報を表示する表示器77、サーボドライバ41、サーボバルブ23、及び、噛合シリンダ装置49への作動液の供給等を制御する不図示の液圧回路に含まれる不図示の制御弁である。
位置センサ71は、射出シリンダチューブ15に対する射出ピストンロッド19の位置を検出するものであり、プランジャ5の位置を間接的に検出するものである。位置センサ71は、例えば、射出ピストンロッド19に設けられ、射出ピストンロッド19の軸方向に延びる不図示のスケール部とともにリニアエンコーダを構成している。なお、位置センサ71、又は、制御装置13は、検出した位置を微分することにより、速度を検出することが可能である。
第1圧力センサ73は、溶湯をキャビティ105に射出するときにプランジャ5が溶湯に加える圧力(射出圧力)等のプランジャ5が溶湯に加える圧力を間接的に検出するものである。
以上の構成を有する射出装置1の動作を説明する。
図4は、射出装置1における射出圧力P及び射出速度Vの変化を示すグラフである。
射出装置1は、概観すると、低速射出、高速射出、及び、増圧(昇圧)を順に行う。すなわち、射出装置1は、射出の初期段階においては、溶湯の空気の巻き込みを防止するために比較的低速でプランジャを前進させ、次に、溶湯の凝固に遅れずに溶湯を充填するため等の観点から比較的高速でプランジャを前進させる。その後、射出装置1は、成形品のヒケをなくすために、プランジャの前進する方向の力によりキャビティ内の溶湯を増圧する。具体的には、以下のとおりである。
(低速射出)
低速射出の開始直前において、射出ピストン17は、図1に示すように、後退限等の初期位置に位置している。アキュムレータ21は蓄圧が完了している。サーボバルブ23は閉じられている。電動機31は停止している。噛合シリンダ装置49に作動液は供給されておらず、ピニオン27は弾性部材47の付勢力によりラック25との噛み合いが解除されている。
固定金型101及び移動金型103の型締が終了し、溶湯が射出スリーブ3に供給されるなど、所定の低速射出開始条件が満たされると、制御装置13は、サーボバルブ23を適宜な開口度で開く。
これにより、アキュムレータ21から射出ヘッド側室15hに作動液が供給され、射出ピストン17は前進する。その結果、プランジャ5により射出スリーブ3内の溶湯がキャビティ105に射出される。
プランジャ5の速度は、サーボバルブ23の開口度の調整により制御され、図4に示すように、比較的低速の低速射出速度VLとされる。また、このときの射出圧力は、比較的低圧のPLである。制御装置13は、位置センサ71の検出値に基づくフィードバック制御により、プランジャ5の速度を制御する。
(高速射出)
制御装置13は、位置センサ71の検出値に基づくプランジャ5の位置が所定の高速切換位置に到達すると、サーボバルブ23の開口度を低速射出時の開口度よりも大きい適宜な開口度とする。
これにより、アキュムレータ21から射出ヘッド側室15hに供給される作動液が増加し、プランジャ5の速度は、図4に示すように、低速射出速度VLよりも高速の高速射出速度VHとされる。また、このときの射出圧力は、低速射出時の射出圧力PLより高い圧力PHである。制御装置13は、低速射出時と同様に、プランジャ5の速度をフィードバック制御する。
(減速射出)
減速射出は、適宜な事象の発生により開始される。例えば、減速射出は、溶湯がキャビティ105にある程度充填され、その充填された溶湯からプランジャ5が反力を受けて減速されることにより開始される。若しくは、減速射出は、プランジャ5が所定の減速位置に到達するなど所定の減速開始条件が満たされたときに、サーボバルブ23における開口度が小さくされることにより開始される。又は、上記に例示した事象が同時に発生することにより開始される。
減速射出動作では、射出速度は、高速射出速度VHから減速されて速度Vdとなる。ただし、キャビティ105には、ある程度溶湯が充填されていることから、射出圧力は、高速射出における高速射出圧力PHから上昇して圧力Pdとなる。
(増圧・保圧)
所定の増圧開始条件が満たされると、制御装置13は、位置センサ71に基づく速度制御を終了する。サーボバルブ23の開口度は予め定められた適宜な開口度とされる。増圧開始条件は、例えば、第1圧力センサ73により検出される射出圧力の検出値が所定の値に到達したこと、又は、プランジャ5の検出位置が所定の位置に到達したことである。
そして、射出圧力は、圧力Ptを経て終圧Pmaxに到達する。また、射出速度は、キャビティ105に溶湯が完全に充填されることにより、速度Vtを経て0となる。制御装置13は、上記の射出圧力が終圧Pmaxとなっている状態を維持する。この間に、溶湯は冷却されて凝固する。
(ラック・ピニオンの噛み合い)
増圧・保圧が行われている間において、制御装置13は、噛合シリンダ装置49に作動液を供給し、ラック25とピニオン27とを噛み合わせる。
このとき、制御装置13は、ラック25とピニオン27とをこれらの駆動方向(複数の歯の配列方向)において極めて低い速度で相対移動させつつ、ピニオン27を回転軸RA方向において移動させる。これにより、ラック25とピニオン27との、複数の歯の1ピッチ以下の位置ずれが解消されて、ラック25とピニオン27とは噛み合わされる。
具体的には、例えば、増圧工程においてラック25が前進しているときに、ピニオン27を停止させた状態で、若しくは、電動機31によりピニオン27をラック25を前進させる方向にラック25の速度よりも若干速い若しくは若干遅い速度で回転させた状態で、ピニオン27を回転軸RA方向に移動させる。又は、保圧工程においてラック25が停止しているときに、電動機31によりピニオン27を極めて低い速度で任意の方向(前進方向が好ましい)へ回転させた状態で、ピニオン27を回転軸RA方向に移動させる。
(プランジャ後退・アキュムレータ充填)
制御装置13は、溶湯が凝固すると(所定の保圧終了条件が満たされると)、電動機31によりピニオン27をラック25を後退させる方向に駆動する。これにより、プランジャ5及び射出ピストン17が後退する。射出ピストン17の移動に伴って射出ヘッド側室15hから排出された作動液は、アキュムレータ21に供給され、アキュムレータ21の蓄圧がなされる。
なお、サーボバルブ23は適宜な開口度とされる。また、保圧終了条件は、例えば、終圧Pmaxが得られてから所定時間が経過したことなどである。
(次サイクル準備)
プランジャ5の後退及びアキュムレータ21の充填が完了すると、制御装置13は、各部を上述した低速射出開始前の状態とする。具体的には、制御装置13は、サーボバルブ23を閉じ、電動機31を停止し、噛合シリンダ装置49への作動液の供給を停止してラック25及びピニオン27の噛み合いを解除する。
以上の実施形態によれば、ダイカストマシンDC1の射出装置1は、プランジャ5と、射出シリンダ装置7と、アキュムレータ21と、アキュムレータ21と射出ヘッド側室15hとの間の作動液の流れを制御するサーボバルブ23と、射出ピストンロッド19に対して固定的に設けられ、プランジャ5の進退方向に延びるラック25と、ラック25と噛み合い可能なピニオン27と、ピニオン27を回転させる駆動力を生じる電動機31と、ピニオン27を、ラック25と噛み合う位置とラック25との噛み合いが解除される位置との間で移動させることが可能な噛合制御装置35とを有する。
従って、クラッチを設けることなく、プランジャ5と電動機31の駆動系との接続及び切断を行うことができる。すなわち、構成が簡素化される。また、特許文献1では、クラッチからピニオンまでの駆動系は、常にプランジャに慣性力を及ぼしているが、本実施形態では、ラック25とピニオン27との間で駆動系の切断が行われることから、プランジャ5に電動機31からピニオン27までの全ての駆動系の慣性力を及ぼすことなく、アキュムレータ21によりプランジャ5を駆動することができる。
噛合制御装置35は、軸部材43及び駆動装置45を有する。軸部材43は、キー溝機構によりピニオン27に対して軸方向に移動可能且つ軸回りに移動不可能に挿通され、電動機31の駆動力が伝達されて回転し、ピニオン27を回転させる。駆動装置45は、ピニオン27を軸部材43に対して軸方向に駆動して、ラック25と噛み合う位置と噛み合いが解除される位置との間で移動させる。
従って、ピニオン27を回転可能に支持する軸部材43は、ピニオン27をラック25との噛み合い位置とその噛み合いが解除される位置との間で移動可能に支持する部材に兼用される。また、ピニオン27のみが噛み合い位置とその噛み合いが解除される位置との間で移動されることになり、軸部材43等は移動されない。このように、構成の簡素化が一層図られる。
駆動装置45は、ピニオン27を噛み合う位置から噛み合いが解除される位置へ付勢する弾性部材47と、ピニオン27を噛み合いが解除される位置から噛み合う位置へ弾性部材47の付勢力に抗して駆動可能な噛合シリンダ装置49とを有する。
従って、ピニオン27は、弾性部材47によりラック25との噛み合いが解除された状態が基本の状態となる。その結果、意図しない電動機31の回転によりプランジャ5が駆動されることが抑制され、安全性などが向上する。
射出シリンダ装置7は、射出ピストン17に固定され、射出シリンダチューブ15から射出ピストンロッド19とは反対側に延び出るラック用ロッド29を更に有する。ラック25は、ラック用ロッド29のうち、プランジャ5が成形材料の充填を完了する位置まで前進したときにおいても射出シリンダチューブ15の外部に位置する部分に形成されている。従って、ラック25の射出ヘッド側室15hへの入出を許容しつつ射出ヘッド側室15hを密閉する構成を設ける必要性がなく、構成が簡素化される。
射出装置1の制御装置13は、ラック25とピニオン27との噛み合いが解除された状態でアキュムレータ21から射出ヘッド側室15hへ作動液を供給することによりプランジャ5を前進させて高速射出を行う。また、制御装置13は、高速射出後、電動機31が停止している状態、又は、電動機31がプランジャ5を前進させる方向へ回転されている状態において、ピニオン27とラック25とを噛み合わせる。そして、制御装置13は、キャビティ105内の成形材料の凝固後、ピニオン27とラック25とが噛み合っている状態で電動機31を駆動することによりプランジャ5を後退させる。
従って、電動機31からピニオン27までの駆動系の慣性力をプランジャ5から切り離した状態でアキュムレータ21によりプランジャ5の前進を行い、電動機31によりプランジャ5の後退を行うことができる。そして、高速射出後、電動機31が停止している状態、又は、電動機31がプランジャ5を前進させる方向へ回転されている状態において、ピニオン27とラック25とを噛み合わせることから、プランジャ5(ラック25)が前進し、ピニオン27がラック25を後退させる方向へ回転している状態において、ラック25とピニオン27とが噛み合わされるような場合に比較して、ラック25とピニオン27との相対速度が大きい状態での噛み合わせが抑制されやすい。
なお、以上の実施形態において、ダイカストマシンDC1は本発明の成形機の一例であり、固定金型101及び移動金型103は本発明の金型の一例であり、溶湯は本発明の成形材料の一例であり、サーボバルブ23は本発明のバルブの一例であり、噛合シリンダ装置49は本発明のアクチュエータの一例である。
<第2の実施形態>
図5は、第2の実施形態の射出装置201の要部を示す図である。
射出装置201の構成は、射出シリンダ装置207が増圧機能を有している点、及び、その増圧機能の追加に対応して、アキュムレータ21と射出シリンダ装置207との間の液圧回路が変更されている点が第1の実施形態の射出装置1の構成と相違する。具体的には、以下のとおりである。
射出シリンダ装置207は、第1の実施形態の射出シリンダ装置7の構成に加えて、増圧シリンダチューブ216と、増圧シリンダチューブ216内に摺動可能に収容される増圧ピストン218とを有している。
増圧シリンダチューブ216は、射出ヘッド側室15hに連通された小径シリンダ部216aと、小径シリンダ部216aに接続され、小径シリンダ部216aよりも大径の大径シリンダ部216bとを有している。
増圧ピストン218は、小径シリンダ部216aを摺動可能な小径ピストン部218aと、小径ピストン部218aに固定されており、大径シリンダ部216bを摺動可能な大径ピストン部218bとを有している。
大径シリンダ部216bの内部は、大径シリンダ部216bにより、小径ピストン部218aが突出する側の前側室216rと、その反対側の後側室216hとに区画されている。
前側室216rの圧抜きを行うと、小径ピストン部218aの小径シリンダ部216aにおける作用面積と、大径ピストン部218bの後側室216hにおける作用面積との差に起因して、増圧ピストン218は、後側室216hの作動液から受ける圧力よりも高い圧力を小径シリンダ部216a(射出ヘッド側室15h)の作動液に加えることが可能である。すなわち、射出シリンダ装置207は、増圧機能を有している。
なお、前側室216rは、射出ロッド側室15rと同様に、増圧ピストン218の移動に伴う容量の変化に応じて適宜に作動液が供給又は排出されるようになっている。
液圧部209において、アキュムレータ21と射出シリンダ装置207とを接続する流路は、サーボバルブ23よりも射出シリンダ装置207側において分岐し、小径シリンダ部216a(射出ヘッド側室15h)及び後側室216hに接続されている。分岐した各流路には、第1逆止弁VLA及び第2逆止弁VLB(以下、単に「逆止弁VL」といいこれらを区別しないことがある。)が設けられている。
逆止弁VLは、パイロット式の逆止弁(パイロットチェックバルブ)により構成されている。逆止弁VLは、パイロット圧力が導入されていないときは、アキュムレータ21から射出シリンダ装置7への作動液の流れを許容し、その反対側の流れを禁止する。また、逆止弁VLは、閉じるパイロット圧力の導入により双方向の流れを禁止し、開くパイロット圧力の導入により双方向の流れを許容する。
なお、逆止弁VLへのパイロット圧力の導入は、不図示の液圧回路が制御装置13(図1参照)により制御されることにより行われる。また、パイロット圧力としては、例えば、アキュムレータ21の圧力が利用される。
射出装置201の動作は、以下のとおりである。
(低速射出)
低速射出の開始直前において、増圧ピストン218は後退限等の初期位置に位置している。また、逆止弁VLはパイロット圧力が導入されて閉じられている。それ以外の構成の状態については、第1の実施形態と同様である。
所定の低速射出開始条件が満たされると、制御装置13は、第1の実施形態と同様にサーボバルブ23を適宜な開口度で開く。また、第1逆止弁VLAへの閉じるパイロット圧力の導入を停止する。これにより、第1の実施形態と同様に、アキュムレータ21から射出ヘッド側室15hに作動液が供給されることによる低速射出が行われる。
(高速射出及び減速射出)
第1の実施形態と同様であり、説明は省略する。なお、逆止弁VLは、低速射出における状態を維持している。
(増圧・保圧)
所定の増圧開始条件が満たされると、制御装置13は、第2逆止弁VLBへの閉じるパイロット圧力の導入を停止する。これにより、アキュムレータ21から後側室216hへ作動液が供給され、上述した増圧ピストン218による増圧機能が発揮される。
なお、第1逆止弁VLAは、増圧機能により小径シリンダ部216aの圧力がアキュムレータ21の圧力よりも高くなることにより自閉する。ただし、第1逆止弁VLAは、閉じるパイロット圧力が導入されてもよい。また、位置センサ71に基づく速度制御は終了されること、サーボバルブ23の開口度は予め定められた適宜な開口度とされること等は第1の実施形態と同様である。
(ラック・ピニオンの噛み合い)
第1の実施形態と同様であり、説明は省略する。
(プランジャ後退・アキュムレータ充填)
保圧終了後、制御装置13は、第2逆止弁VLBに開くパイロット圧力を導入する。サーボバルブ23は適宜な開口度とされる。そして、電動機31によりピニオン27を回転させ、プランジャ5及び射出ピストン17を後退させる。
これにより、小径シリンダ部216aの圧力が高くなり、増圧ピストン218は後退する。また、増圧ピストン218の移動に伴って後側室216hから排出された作動液は、アキュムレータ21に供給され、アキュムレータ21の蓄圧がなされる。
増圧ピストン218が後退限に到達すると、制御装置13は、第2逆止弁VLBに閉じるパイロット圧力を導入するとともに、第1逆止弁VLAに開くパイロット圧力を導入する。また、制御装置13は、引き続き、電動機31によりピニオン27を回転させ、プランジャ5及び射出ピストン17を後退させる。
これにより、第1の実施形態と同様に、射出ピストン17が後退限まで移動するとともに、射出ピストン17の移動に伴って射出ヘッド側室15h(小径シリンダ部216a)から排出された作動液がアキュムレータ21に供給され、アキュムレータ21の蓄圧がなされる。
なお、増圧ピストン218が後退限に到達したことは、適宜に検出されてよい。例えば、第1圧力センサ73の検出圧力が所定の圧力に到達したことや位置センサ71により検出される速度が所定の速度まで減速されたことに基づいて検出することが可能である。
また、先に、第1逆止弁VLAを開き、射出ピストン17の後退によるアキュムレータ21の蓄圧を行い、その後、第1逆止弁VLAを閉じるとともに第2逆止弁VLBを開き、増圧ピストン218の後退によるアキュムレータ21の蓄圧を行うことも可能である。
(次サイクル準備)
プランジャ5の後退及びアキュムレータ21の充填が完了すると、制御装置13は、各部を上述した低速射出開始前の状態とする。
以上の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
<第3の実施形態>
図6は、第3の実施形態の射出装置301の要部を示す図である。
射出装置301の構成は、ラック25及びピニオン27の配置位置、及び、液圧部309の射出ロッド側室15rに係る部分が第1の実施形態の射出装置1の構成と相違する。具体的には、以下のとおりである。
射出装置301においては、ラック用ロッド29は設けられておらず、射出ピストンロッド319にラック25が設けられている。また、ラック25の配置に対応して、ピニオン27は射出シリンダチューブ15の前方側に配置されている。
ラック25の長さは、例えば、第1の実施形態と同様に、射出ピストン17の射出シリンダチューブ15に対する可動距離と同等である。ラック25は、射出ピストン17が後退限に位置しているときにおいて、プランジャ5側の一部が射出シリンダチューブ15の外部に位置し、ピニオン27と噛み合い、残りの部分(射出ピストン側の一部)は、射出シリンダチューブ15に収容されている。なお、ラック25は、射出ピストンロッド319の上面、側面、下面のいずれに設けられてもよいが、図6ではラック25が下面に設けられている場合を例示している。
なお、第3の実施形態の電動部311の構成は、図2及び図3に示した構成と同様である。ただし、図2及び図3において、ラック用ロッド29は、射出ピストンロッド319に置き換えられる。
液圧部309は、タンク22を有していない。また、射出ロッド側室15rは、作動液が満たされておらず、射出ピストン17の移動に伴う容量の変化に応じて、気体(例えば空気)が導入又は排出されるようになっている。なお、射出ピストン17と射出シリンダチューブ15との潤滑などを目的として、比較的少量の作動液が射出ロッド側室15rに存在してもよい。
射出装置301の動作は、第1の実施形態と概ね同様である。ただし、上述のように、射出ロッド側室15rにおいては、射出ピストン17の移動に伴い、気体が導入又は排出される。
以上の第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、第3の実施形態では、ラック25は、射出ピストンロッド319に設けられており、ラック25の射出ピストン17側の一部は、射出ピストン17の進退に伴って射出シリンダチューブ15に対して出し入れされる位置に設けられ、射出ロッド側室15rには気体が満たされている。
従って、ラック用ロッド29を設ける必要がない。また、射出ピストンロッド319は第1の実施形態の射出ピストンロッド19と概ね同等の長さとすることができる。このように、構成が小型化される。また、ラック25の射出ロッド側室15rへの入出を許容しつつ射出ロッド側室15rを密閉する構成を設ける必要性がなく、構成が簡素化される。
<第4の実施形態>
図7は、第4の実施形態の射出装置401の要部を示す図である。
射出装置401の構成は、第3の実施形態の射出装置301の構成に、第2の実施形態の増圧機能に係る構成を組み合わせたものとなっている。
ただし、第4の実施形態の射出シリンダ装置407の増圧シリンダチューブ416は、射出シリンダチューブ15の真後ろに直結されており、第2の実施形態における小径シリンダ部216aは省略されている。そして、小径ピストン部218aは、射出ヘッド側室15hに摺動可能に挿入されている。なお、増圧シリンダチューブ416の内部は、第2の実施形態と同様に、大径ピストン部218bにより、前側室416rと後側室416hとに区画されている。
前側室416rは、第3及び第4の実施形態の射出ロッド側室15rと同様に、増圧ピストン218の移動に伴う容量の変化に応じて適宜に気体(例えば空気)が供給又は排出されるようになっている。ただし、第2の実施形態の前側室216rと同様に、前側室416rは、作動液が適宜に供給又は排出されるようになっていてもよい。
射出装置401の動作は、第2の実施形態の射出装置201の動作と概ね同様である。ただし、上述のように、射出ロッド側室15r及び前側室416rにおいては、射出ピストン17及び増圧ピストン218の移動に伴い、気体が導入又は排出される。
以上の第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、成形機は、他の金属成形機であってもよいし、プラスチック射出成形機であってもよいし、木粉に熱可塑性樹脂等を混合させた材料を成形する成形機であってもよい。また、射出装置は、横型締横射出に限定されず、例えば、縦型締縦射出、横型締縦射出であってもよい。作動液は、油に限定されず、例えば水でもよい。
液圧部は、実施形態のものに限定されず、適宜に流路及び弁が設けられてもよい。
例えば、図8(a)に示すように、第1の実施形態において、射出ロッド側室15rから排出される作動液の流量を制御可能なサーボバルブ23を設け、メータアウト回路を構成してもよい。なお、メータアウト回路は、メータイン回路に代えて設けられてもよいし、メータイン回路と併用されてもよい。
また、例えば、図8(b)に示すように、第1の実施形態において、射出ロッド側室15rと射出ヘッド側室15hとを接続する連通流路514を設け、射出ピストン17の移動に伴って一方のシリンダ室から排出される作動液を他方のシリンダ室に還流可能なランアラウンド回路を構成してもよい。
この場合、タンク22は省略可能であり、また、作動液の必要量は少なくなる。なお、ランアラウンド回路が設けられる場合においては、射出ピストン17の射出ヘッド側室15hにおける受圧面積は、射出ピストン17の射出ロッド側室15rにおける受圧面積よりも大きく設定される。
図8(a)及び図8(b)に示したメータイン回路及びランアラウンド回路は、第1の実施形態だけでなく、他の実施形態に適用されてもよい。連通流路514にサーボバルブ23が設けられ、メータイン回路とランアラウンド回路とが組み合わされてもよい。
本発明は、液圧部からタンク及びポンプを省略することを可能とするが、タンク及びポンプが設けられてもよい。
ラック用ロッドに設けられたラックは、射出シリンダチューブに出し入れされてもよいし、射出ピストンロッドに設けられたラックは、射出シリンダチューブに収容されないものであってもよい。射出ピストンロッドに設けられたラックが射出ロッド側室に出し入れされる場合において、射出ロッド側室に作動液が満たされていてもよい。
プランジャは、成形材料のキャビティへの充填が完了すると停止するから、射出ピストンは、射出シリンダチューブに対して前進限まで移動するとは限らない。従って、ラック用ロッドに設けられたラックが射出シリンダチューブに入らないようにするためには、ラックは、必ずしも射出ピストンが前進限に位置したときに射出シリンダチューブの外部に位置する部分に設けられる必要はない。ラックは、プランジャが成形材料の充填を完了する位置まで前進したときにおいても射出シリンダチューブの外部に位置する部分に形成されていればよい。空打ちにおいてプランジャが停止したときに射出シリンダチューブの外部に位置する部分であってもよい。
ラック・ピニオンの数は適宜に設けられてよい。図1に2点鎖線で示すように、一のラック用ロッドに対して複数のラック及びピニオンが設けられてもよい。また、射出ピストンロッド及びラック用ロッドの双方にラック及びピニオンが設けられてもよい。
ピニオンのラックと噛み合うための移動方向は、回転軸の延びる方向に限定されない。例えば、当該移動方向は、ラックの対向方向(ピニオンの回転軸に直交する方向)であってもよい。
ピニオンをラックと噛み合わせる噛合制御装置は、キー溝機構によりピニオンを軸方向に移動可能に支持する軸部材と、ピニオンを駆動する駆動装置とを有するものに限定されない。例えば、噛合制御装置は、電動機、減速機、及び、減速機の出力軸に固定されたピニオンを含む駆動系全体を支持し、ラックに対して移動可能なテーブルと、当該テーブルを駆動する駆動装置とを有して構成されてもよい。
噛合制御装置がキー溝機構によりピニオンを移動可能に支持する軸部材を有する場合、キー溝機構は、軸部材に突条が、ピニオンに溝が形成されて構成されるものであってもよい。
ピニオンをラックと噛み合わせるために移動させる噛合制御装置の駆動装置は、弾性部材とアクチュエータとを有するものに限定されない。例えば、アクチュエータのみにより駆動装置が構成されてもよい。
噛合制御装置の駆動装置のアクチュエータは、液圧シリンダ装置に限定されない。例えば、リニアモータや電磁石であってもよい。また、アクチュエータが液圧シリンダ装置である場合において、ピストンがラックに対して固定され、シリンダチューブがピニオンとともに移動してもよい。駆動装置の弾性部材は、圧縮されたコイルばねに限定されない。例えば、弾性部材は、板バネであってもよいし、伸長されたコイルばねであってもよい。
電動機の回転をピニオンに伝達する伝達機構は、適宜に構成されてよい。例えば、減速機は省略されてもよいし、プーリ・ベルト機構や変速機などが適宜に設けられてもよい。
実施形態では、低速射出は、アキュムレータ21から射出ヘッド側室15hに作動液を供給して行われた。しかし、低速射出は、ラック・ピニオンにより行われてもよい。
例えば、制御装置13は、ピニオン27とラック25とが噛み合っている状態で電動機31を駆動することによりプランジャ5を前進させて低速射出を行い、低速射出後、ラック25とピニオン27との噛み合いが解除された状態でアキュムレータ21から射出ヘッド側室15hへ作動液を供給することによりプランジャ5を前進させて高速射出を行うように、噛合制御装置35、電動機31及びサーボバルブ23を制御してもよい。
この場合、低速射出の速度制御が容易であるとともに、アキュムレータ21を小型化することができる。なお、低速射出中において射出ヘッド側室15hにはタンク22等から適宜に作動液が補給されてよい。