JP5491116B2 - 半導体素子用エピタキシャル基板、半導体素子、および半導体素子用エピタキシャル基板の製造方法 - Google Patents

半導体素子用エピタキシャル基板、半導体素子、および半導体素子用エピタキシャル基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、III族窒化物半導体により構成される、多層構造を有するエピタキシャル基板、特に、電子デバイス用の多層構造エピタキシャル基板、およびその作製方法に関する。
窒化物半導体は、高い絶縁破壊電界、高い飽和電子速度を有することから次世代の高周波/ハイパワーデバイス用半導体材料として注目されている。例えば、AlGaNからなる障壁層とGaNからなるチャネル層とを積層してなるHEMT(高電子移動度トランジスタ)素子は、窒化物材料特有の大きな分極効果(自発分極効果とピエゾ分極効果)により積層界面(ヘテロ界面)に高濃度の二次元電子ガス(2DEG)が生成するという特徴を活かしたものである(例えば、非特許文献1参照)。
HEMT素子用基板の下地基板として、その用途や要求価格に応じ、例えばシリコンやSiCのような、III族窒化物とは異なる組成の単結晶(異種単結晶)を用いることがある。この場合、歪み超格子層や低温成長緩衝層などの緩衝層が、初期成長層として下地基板の上に形成されるのが一般的である(例えば、特許文献1、特許文献2、および非特許文献2参照)。よって、下地基板の上に障壁層、チャネル層、および緩衝層をエピタキシャル形成してなるのが、異種単結晶からなる下地基板を用いたHEMT素子用基板の最も基本的な構成態様となる。これに加えて、障壁層とチャネル層の間に、2次元電子ガスの空間的な閉じ込めを促進する目的として、厚さ1nm前後のスペーサ層が設けられることもある。スペーサ層は、例えばAlNなどで構成される。さらには、HEMT素子用基板の最表面におけるエネルギー準位の制御や、電極とのコンタクト特性の改善を目的として、例えばn型GaN層や超格子層からなるキャップ層が、障壁層の上に形成される場合もある。
上述のようなHEMT素子あるいはその作製に用いる多層構造体であるHEMT素子用基板を実用化するには、電力密度の増大、高効率化などといった性能向上に関連する課題、ノーマリオフ動作化など機能性向上に関連する課題、高信頼性や低価格化といった基本的な課題、など様々な課題を解決する必要がある。
例えば、HEMTデバイスの高耐電圧化のために、窒化物膜の総膜厚を増やすなどの試みがなされている(例えば非特許文献3参照)。
特開2003−59948号公報 特開2005−158889号公報
非特許文献3においては、III族窒化物の総膜厚を増やすことでHEMTデバイスの高耐電圧化を実現する技術が開示されている。特に、非特許文献3に開示されているような、シリコン基板を下地基板とするエピタキシャル基板を用いたデバイスの作製は、エピタキシャル基板の低コスト化やシリコン系回路デバイスとの集積化などの点で利点がある。
しかしながら、シリコンと窒化物材料とでは、格子定数の値に大きな差異がある。このことは、シリコン基板と成長膜の界面にてミスフィット転位を発生させたり、核形成から成長に至るタイミングで3次元的な成長モードを促進させる要因となる。換言すれば、転位密度が少なく表面が平坦である良好な窒化物エピタキシャル膜の形成を阻害する要因となっている。
また、シリコンに比べると窒化物材料の熱膨張係数の値は大きいため、シリコン基板上に高温で窒化物膜をエピタキシャル成長させた後、室温付近に降温させる過程において、窒化物膜内には引張応力が働く。その結果として、膜表面においてクラックが発生しやすくなるとともに、基板に大きな反りが発生しやすくなるという問題がある。
すなわち、サファイア基板やSiC基板を用いる場合に比較して、シリコン基板上に良質な窒化物膜を歩留まりよく形成することは、非常に困難であることが知られている。それゆえ、非特許文献3に開示されているように、III族窒化物の総膜厚を厚くすることによって高耐圧化されたデバイスを、再現性よく安定的に得ることは、容易ではない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、反りが抑制された、半導体素子用のエピタキシャル基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、シリコン基板の上にIII族窒化物層群を(0001)結晶面が前記シリコン基板の基板面に対し略平行となるよう積層形成した半導体素子用のエピタキシャル基板であって、前記III族窒化物層群が、少なくとも2層以上のIII族窒化物層が積層された緩衝層と、Inx1Aly1Gaz1N(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0<z1≦1、x1+y1+z1=1)なる組成のIII族窒化物からなるチャネル層と、Inx2Aly2Gaz2N(0≦x2≦1、0<y2≦1、0≦z2≦1、x2+y2+z2=1)なる組成のIII族窒化物からなる障壁層と、を備え、前記緩衝層の少なくとも1つが、格子空孔を有する格子空孔内在層であり、前記チャネル層が、少なくとも前記緩衝層と接する部位において、面内方向に圧縮歪みを内在している、ことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のエピタキシャル基板であって、前記格子空孔内在層は、VIIIがIII族原子欠陥を表し、VNがN原子欠陥を表すとする場合に、InxAlyGazIII p(1-q)N q(0≦x≦1、0<y≦1、0≦z≦1、0<p<1、x+y+z+p=1、0≦q<1)なる組成式にて表されるIII族窒化物からなる、ことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のエピタキシャル基板であって、0.01≦p≦0.20である、ことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のエピタキシャル基板であって、前記格子空孔内在層の厚さが、2nm以上30nm以下である、ことを特徴とする。
請求項の発明は、半導体素子を、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の半導体素子用エピタキシャル基板を用いて形成する。
請求項の発明は、シリコン基板の上にIII族窒化物層群を(0001)結晶面が基板面に対し略平行となるよう積層形成することによる半導体素子用のエピタキシャル基板の製造方法であって、前記シリコン基板の上に少なくとも2つ以上のIII族窒化物層を積層することにより緩衝層を形成する緩衝層形成工程と、前記緩衝層の上にInx1Aly1Gaz1N(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0<z1≦1、x1+y1+z1=1)なる組成のIII族窒化物からなるチャネル層を形成するチャネル層形成工程と、Inx2Aly2Gaz2N(0≦x2≦1、0<y2≦1、0≦z2≦1、x2+y2+z2=1)なる組成のIII族窒化物からなる障壁層を形成する障壁層形成工程と、を備え、前記緩衝層形成工程において、前記緩衝層の少なくとも1つを、格子空孔を有する格子空孔内在層として形成することにより、前記チャネル層の少なくとも前記緩衝層と接する部位において、面内方向に圧縮歪みを内在させる、ことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項に記載の半導体素子用エピタキシャル基板の製造方法であって、前記緩衝層形成工程においては、Inx’Aly’Gaz’N(0≦x’≦1、0<y’≦1、0≦z’≦1、x’+y’+z’=1)なる組成式で表されるIII族窒化物からなる層を形成しこれをアニールすることにより、VIIIがIII族原子欠陥を表し、VがN原子欠陥を表すとする場合に、InAlGaIII (1−q) (0≦x<x’、0<y≦1、0≦z≦1、0<p<1、x+y+z+p=1、0≦q<1)なる組成式にて表される前記格子空孔内在層を形成する、ことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項または請求項に記載の半導体素子用エピタキシャル基板の製造方法であって、前記格子空孔内在層を形成するためのアニールを、水素分圧が5kPa以上100kPa以下でかつ温度が900℃以上1250℃以下の雰囲気下で、3分以上10分以下の保持時間で行う、ことを特徴とする。
請求項の発明は、半導体素子用エピタキシャル基板を、請求項ないし請求項のいずれかに記載の製造方法を用いて作製する。
請求項1ないし請求項の発明によれば、反りが抑制されたエピタキシャル基板が実現される。特に、シリコンウェハーを下地基板に用いる場合には、反りが抑制されるとともに、サファイア基板やSiC基板などを用いた場合と同程度の特性を有するエピタキシャル基板が実現される。
本発明の第1の実施の形態に係るエピタキシャル基板10の構成を概略的に示す断面模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係るエピタキシャル基板20の構成を概略的に示す断面模式図である。 実施例1に係るエピタキシャル基板10について、当初形成層の組成、加熱放置後に得られる第3緩衝層23の組成、および種々の評価結果を示す図である。 実施例3に係るエピタキシャル基板10についての第3緩衝層23の厚さと種々の評価結果とを示す図である。 実施例4に係るエピタキシャル基板10についての、第3緩衝層23を形成する際の加熱放置の条件と種々の評価結果とを示す図である。
<第1の実施の形態>
<エピタキシャル基板の構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るエピタキシャル基板10の構成を概略的に示す断面模式図である。エピタキシャル基板10は、下地基板1と、緩衝層2と、チャネル層3と、障壁層4とが積層形成された構成を有する。なお、図1における各層の厚みの比率は、実際のものを反映したものではない。
下地基板1は、(111)面の単結晶シリコンウェハーであるのが好適な一例である。その他、SiC、サファイア、GaAs、スピネル、MgO、ZnO、フェライトなどからなる基板を用いる態様であってもよい。
緩衝層2と、チャネル層3と、障壁層4とは、それぞれ、ウルツ鉱型のIII族窒化物を(0001)結晶面が下地基板1の基板面に対し略平行となるように、エピタキシャル成長手法によって形成した層である。これらの層の形成は、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)により行うのが好適な一例である。
また、緩衝層2は、III族元素としてIn、Al、Gaの少なくとも1つを含むIII族窒化物にて、数十nm〜数百nm程度の厚みに形成される層である。緩衝層2は、単一のIII族窒化物層であってもよいし、複数のIII族窒化物層が積層された構成を有していてもよい。図1においては、緩衝層2が第1緩衝層21と、第2緩衝層22と、第3緩衝層23との3層からなる場合を例示している。
ただし、緩衝層2は、これを構成する少なくとも1つの層が(単一の層からなる場合は当該層自体が)、格子空孔を有する格子空孔内在層として形成されてなる。緩衝層2の詳細については後述する。
チャネル層3は、Inx1Aly1Gaz1N(x1+y1+z1=1)なる組成のIII族窒化物にて、数μm程度の厚みに形成される層である。本実施の形態においては、チャネル層3は、x1=0、0≦y1≦0.3なる組成範囲をみたすように形成される。0.3<y1≦1とした場合には、チャネル層3自身の結晶性の劣化が顕著となり、電気特性が良好なエピタキシャル基板10を得ることが困難となる。
一方、障壁層4は、Inx2Aly2Gaz2N(ただし、x2+y2+z2=1)なる組成のIII族窒化物にて、数nm〜数十nm程度の厚みに形成される層である。
このような層構成を有するエピタキシャル基板10においては、チャネル層3と障壁層4の界面がヘテロ接合界面となるので、自発分極効果とピエゾ分極効果により、当該界面に(より詳細には、チャネル層3の当該界面近傍に)二次元電子ガスが高濃度に存在する二次元電子ガス領域が形成される。
なお、係る二次元電子ガスを生成させるために、当該界面は、平均粗さが0.1nm〜3nmの範囲にあり、これを形成するための障壁層4の表面の二乗平均粗さが0.1nm〜3nmの範囲にあるように形成される。なお、係る範囲を超えて平坦な界面が形成される態様であってもよいが、コスト面や製造歩留まりなどを考えると現実的ではない。
また、好ましくは、平均粗さが0.1nm〜1nmの範囲にあり、障壁層4の表面の5μm×5μm視野における二乗平均粗さが0.1nm〜1nmの範囲にあるように形成される。係る範囲をみたすエピタキシャル基板10の上にソース電極、ドレイン電極、およびゲート電極を形成してHEMT素子を構成した場合には、ソース電極およびドレイン電極と障壁層4との間において、より良好なオーミック特性が得られるとともに、ゲート電極と障壁層4との間において、より良好なショットキー特性が得られる。加えて、二次元電子ガスの閉じこめ効果がさらに高められ、より高濃度の二次元電子ガスが生成する。
以上のような構成を有するエピタキシャル基板10に対し、電極パターンその他の構成要素を適宜に設けることによって、HEMT素子やダイオード素子などの種々の半導体素子を得ることができる。
<緩衝層>
次に、緩衝層2についてより詳細に説明する。緩衝層2は、下地基板1と、上部に形成されるチャネル層3や障壁層4などの機能層との間の、格子定数差や熱膨張係数差に由来する結晶品質の劣化やエピタキシャル基板10の反りやクラックの発生などを抑制させる目的で、設けられる層である。本実施の形態では、緩衝層2を、それぞれの組成が異なる第1緩衝層21と、第2緩衝層22と、第3緩衝層23の3層にて構成するものとする。そして、以下においては、第3緩衝層23が格子空孔内在層である場合について説明する。
第1緩衝層21は、AlNからなる層である。第1緩衝層21は、40nmから200nm程度の厚みを有するように形成される。
第2緩衝層22は、チャネル層3の上に形成された、InxxAlyyGazzN(xx+yy+zz=1、0≦xx<1、0≦yy<1、0<zz≦1)なる組成のIII族窒化物からなる層である。好ましくは、第2緩衝層22は、AlyyGazzN(yy+zz=1、0≦yy<1、0<zz≦1)なる組成のIII族窒化物からなる。第2緩衝層22は、数十nm程度の厚みを有するように形成される。
第3緩衝層23は、少なくともIII族原子の存在比が化学量論比(III族原子:窒素原子=1:1)よりも少なく、結晶格子におけるIII族原子の配置位置に格子空孔が存在してなる格子欠陥内在層である。あるいはさらに、窒素原子の配置位置についても格子空孔となっていてもよい。すなわち、第3緩衝層23は、III族窒化物VIIIがIII族原子欠陥を表し、VNがN原子欠陥を表すとする場合に、InxAlyGazIII p(1-q)N q(0≦x≦1、0<y≦1、0≦z≦1、0<p<1、x+y+z+p=1、0≦q<1)なる組成式にて形式的に表すことのできるIII族窒化物からなる。ここで、III族原子欠陥の比率を表すpの値は、0.01≦p≦0.20をみたすのが好適である。また、どのIII族原子の配置位置が格子空孔となっていてもよいが、後述する態様にてエピタキシャル基板10を作製する場合であれば、Inの蒸気圧がGa、Alの蒸気圧に比べて大きいために、In原子の配置位置が優先的に格子空孔となりやすい。また、第3緩衝層23の厚みは、30nm以下とするのが好ましい。30nmを超える厚みを有する場合、エピタキシャル基板10の表面に白濁が生じる。このような白濁の発生は、二次元電子ガス密度および電子移動度の極端な減少が生じるので好ましくない。なお、係る白濁は、第3緩衝層23の形成条件が適切でない場合にも発生しうる。
エピタキシャル基板10においては、このような構成を有する緩衝層2の上にチャネル層3および障壁層4が形成されてなることで、チャネル層3が、少なくとも緩衝層2と接する部位(換言すれば、緩衝層2との界面近傍)において、面内方向の圧縮歪みを内在した状態となっている。係る態様にて内部に圧縮歪みが作用することによって、エピタキシャル基板10におけるクラックの発生および反りが抑制されてなる。具体的には、曲率半径を測定した場合に、100m以上という値が得られる。
また、チャネル層3と障壁層4とから構成される機能層についての転位密度は6×109/cm2以下である。MOCVD法によりサファイア基板またはSiC基板上に低温GaNバッファ層などを介して同じ総膜厚のIII族窒化物層群を形成した場合の転位密度の値は、おおよそ5×108〜1×1010/cm2の範囲であるので、上述の結果は、サファイア基板あるいはSiC基板を用いた場合と転位密度が同程度であるエピタキシャル基板が、サファイア基板よりも安価な単結晶シリコンウェハーを下地基板1として用いて実現されたことを意味している。
また、エピタキシャル基板10の電子移動度、二次元電子ガス密度は、障壁層組成や障壁層厚さに対する依存性があるので一律に示すことが出来ないが、それぞれ、1000〜1500cm2/Vs、1.0×1013〜2.0×1013/cm2程度であり、チャネル層の比抵抗は1×105〜1×108Ωcm程度である。これらについても、転位密度と同様、サファイア基板やSiC基板を用いた総膜厚が同じエピタキシャル基板(以下、従来基板)と同程度の値である。
よって、このような特性を有するエピタキシャル基板を用いて半導体素子を形成すれば、総膜厚が同程度の従来基板を用いた場合と同等の耐電圧を有する半導体素子を安定的に得ることが可能となる。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、下地基板としてシリコン基板を用い、かつ、下地基板とチャネル層との間に緩衝層を形成し、その少なくとも一部を格子空孔内在層として設けることで、反りが抑制されてなるとともに、サファイア基板やSiC基板などを用いた場合と同程度の特性を有するエピタキシャル基板が実現される。
なお、以上の説明においては、シリコン基板を下地基板とする場合を対象に説明しているが、緩衝層の少なくとも一部を格子空孔内在層とすることによる反り抑制の効果は、他の種類の下地基板を用いた場合であっても、同様に得ることができる。
<エピタキシャル基板の製造方法>
次に、MOCVD法を用いる場合を例として、エピタキシャル基板10を製造する方法について概説する。
まず、下地基板1として(111)面の単結晶シリコンウェハーを用意し、希フッ酸洗浄により自然酸化膜を除去し、さらにその後、SPM洗浄を施してウェハー表面に厚さ数Å程度の酸化膜が形成された状態とする。これをMOCVD装置のリアクタ内にセットする。
そして所定の加熱条件とガス雰囲気のもとで各層を形成する。まず、AlNからなる第1緩衝層21は、基板温度を800℃以上、1200℃以下の所定の形成温度に保ち、リアクタ内圧力を0.1kPa〜30kPa程度とした状態で、アルミニウム原料であるTMA(トリメチルアルミニウム)バブリングガスとNH3ガスとを適宜のモル流量比にてリアクタ内に導入し、成膜速度を20nm/min以上、目標膜厚を200nm以下、とすることによって、形成させることができる。
第2緩衝層22の形成は、第1緩衝層21の形成後、基板温度を800℃以上1200℃以下の所定の形成温度に保ち、リアクタ内圧力を0.1kPa〜100kPaとした状態で、ガリウム原料であるTMG(トリメチルガリウム)バブリングガスとNH3ガスとを、あるいはさらに、インジウム原料であるTMI(トリメチルインジウム)バブリングガスあるいはTMAバブリングガスを、作製しようとする第2緩衝層22の組成に応じた所定の流量比にてリアクタ内に導入し、NH3とTMI、TMA、およびTMGの少なくとも1つを反応させることにより実現される。
第3緩衝層23の形成にあたっては、第2緩衝層23の形成後、まず、Inx'Aly'Gaz'N(0≦x’≦1、0<y’≦1、0≦z’≦1、x’+y’+z’=1)なる組成式で表されるIII族窒化物からなる層(これを当初形成層と称する)を形成する。係る当初形成層は、III族原子と窒素原子とを化学量論比にて含む層である。これは、基板温度を650℃以上900℃以下の所定の形成温度に保ち、リアクタ内圧力を1kPa〜30kPaとした状態で、TMGバブリングガス、TMIバブリングガス、およびTMAバブリングガスとNH3ガスを上記組成に応じた所定の流量比にてリアクタ内に導入することにより実現される。
当初形成層が形成されると、リアクタへのTMGバブリングガス、TMIバブリングガス、およびTMAバブリングガスの導入を停止し、リアクタ内の水素分圧が5kPa〜100kPaの範囲内の値となるようにリアクタ内の全圧およびNH3ガス、N2ガス、H2ガスの供給流量を調整する。そして、基板温度を900℃〜1300℃の範囲内に保ち、3分間〜10分の間放置する。すると、係る加熱放置の過程で、III族原子の当初形成層からの脱離が生じる。当初形成層中にIn原子が存在する場合には、蒸気圧の高いIn原子がAl原子、Ga原子よりも優先的に脱離する。これにより、格子空孔を内在する第3緩衝層23が形成される。
なお、係る手法にて第3緩衝層23を形成する場合、加熱放置前の当初形成層と加熱放置後の第3緩衝層23の平均膜厚に明確な変化が生じないことが、あらかじめ確認されている。従って、第3緩衝層23の形成にあたっては、その目標膜厚に相当する厚みの当初形成層を形成しておくことで、所望の厚みの第3緩衝層23を形成することができる。
チャネル層3と障壁層4の形成は、第3緩衝層23の形成後、基板温度を800℃以上1200℃以下の所定の形成温度に保ち、リアクタ内圧力を0.1kPa〜100kPaとした状態で、TMIバブリングガス、TMAバブリングガス、あるいはTMGバブリングガスの少なくとも1つとNH3ガスとを、作製しようとするチャネル層3および障壁層4の組成に応じた流量比にてリアクタ内に導入し、NH3とTMI、TMA、およびTMGの少なくとも1つとを反応させることにより実現される。
以上の方法によれば、緩衝層を形成するプロセスにおいて、当初形成層を設けた後、所定のガス雰囲気のもとで加熱放置するという、極めて実現容易な方法によって、格子空孔内在層を形成することができることから、結果として、反りの抑制されたエピタキシャル基板を高い歩留まりで安定的に作製することができる。
<第2の実施の形態>
上述したように、緩衝層2の少なくとも一部に格子空孔内在層を設けることによりエピタキシャル基板の反りを抑制することが可能である。本実施の形態においては、第1の実施の形態に係るエピタキシャル基板10とは異なる構成の緩衝層2を有するエピタキシャル基板について説明する。なお、以降においては、第1の実施の形態に係るエピタキシャル基板10の構成要素と同一の作用効果を奏する構成要素については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図2は、本発明の第2の実施の形態に係るエピタキシャル基板20の構成を概略的に示す断面模式図である。エピタキシャル基板20は、緩衝層2が第3緩衝層23の上に超格子構造を有する第4緩衝層24を備える点で第1の実施の形態に係るエピタキシャル基板10と相違する。
第4緩衝層24は、第3緩衝層23の上に、相異なる組成の2種類のIII族窒化物層である第1単位層24aと第2単位層24bとを繰り返し交互に積層することにより形成されてなる。ここで、1つの第1単位層24aと1つの第2単位層24bとの組をペア層とも称する。第1単位層24aをAlwGa1-wN(0≦w≦1)にて数十nm程度の厚みに形成し、第2単位層24bをAlNにて数nm程度の厚みに形成するのが好適な一例である。
係る第4緩衝層24を備えることで、エピタキシャル基板10におけるIII族窒化物層群の総膜厚が増加し、結果として、半導体素子における耐電圧が向上するという効果が得られる。なお、第4緩衝層24を設けたとしても、形成条件が好適に設定されていれば、チャネル層3および障壁層4の結晶品質は十分良好な程度に(第4緩衝層24を有さない場合と同程度に)確保される。
このような第4緩衝層24を備えることで、エピタキシャル基板20においては、第1の実施の形態に係るエピタキシャル基板10よりも、下地基板1上に形成したIII族窒化物層群(緩衝層2、チャネル層3、障壁層4の全体)が厚膜化されてなる。よって、エピタキシャル基板20を用いることで、エピタキシャル基板10を用いた場合に比して、より高い耐圧性を有する半導体素子を形成することができる。係る半導体素子の耐電圧は、第1の実施の形態と同様に、総膜厚の同じ従来基板を用いた場合と同程度である。
(実施例1)
本実施例では、第1の実施の形態に係るエピタキシャル基板10を作製した。具体的には、第3緩衝層23の組成が異なる7種のエピタキシャル基板10(試料a−1〜a−7)を作製した。図3に、実施例1に係るエピタキシャル基板10について、当初形成層の組成、加熱放置後に得られる第3緩衝層23の組成、および種々の評価結果を示している。
まず、それぞれの試料について、下地基板1として(111)面の単結晶シリコンウェハー(以下、シリコンウェハー)を用意した。用意したシリコンウェハーに、フッ化水素酸/純水=1/10(体積比)なる組成の希フッ酸による希フッ酸洗浄と硫酸/過酸化水素水=1/1(体積比)なる組成の洗浄液によるSPM洗浄とを施して、ウェハー表面に厚さ数Åの酸化膜が形成された状態とし、これをMOCVD装置のリアクタ内にセットした。次いで、リアクタ内を水素・窒素混合雰囲気とし、基板温度がチャネル層形成温度である1050℃となるまで加熱した。
基板温度が1050℃に達すると、リアクタ内にNH3ガスを導入し、5分間、基板表面をNH3ガス雰囲気に晒した。
その後、TMAバブリングガスをリアクタ内に導入し、NH3とTMAを反応させることによって第1緩衝層21としてのAlN層を平均膜厚が100nm程度となるように形成した。その際、リアクタ内圧力は10kPaとした。
第1緩衝層21が形成されると、続いて、基板温度を1050℃とし、リアクタ内圧力を10kPaとして、TMGバブリングガスをリアクタ内にさらに導入し、NH3とTMAならびにTMGとの反応により、第2緩衝層22としてのAl0.3Ga0.7N層を平均膜厚が50nm程度となるように形成した。
第2緩衝層22が形成されると、続いて、基板温度を800℃とし、リアクタ内圧力を10kPaとして、TMIバブリングガスをリアクタ内にさらに導入し、NH3とTMAとTMGならびにTMIとの反応により、当初形成層としてのInx'Aly'Gaz'N層を図3に示す組成比をみたすように形成した。その際、当初形成層の平均膜厚が20nm程度となるようにした。
当初形成層が形成されると、続いて、リアクタ内へのTMAとTMGならびにTMIの導入を止め、リアクタ内の水素分圧が50kPaとなるように、全圧とNH3ガス、N2ガス、およびH2ガスの供給流量を調整したうえで、基板温度を1050℃とし、III族原子を脱離させるべく、5分間加熱放置した。ただし、試料a−6についてのみ、水素分圧を5kPaとした。なお、加熱放置前の当初形成層と加熱放置後の第3緩衝層23の平均膜厚に明確な変化はなかった。
試料a−1〜a−7について、XPS(X線光電子分光)により第3緩衝層23の組成を調べたところ、図3に示すように、得られた試料a−1〜a−7のうち、当初形成層にInを含んでいなかった試料a−1を除いて、Inが脱離していることが確認された。特に、試料a−6を除いては、第3緩衝層23から完全にInが脱離していた。試料a−1においては、他のIII族原子の脱離も認められなかった。すなわち、試料a−1は、加熱放置後も第3緩衝層23が化学量論比を有するものとなっていた。
また、当初形成層と第3緩衝層23のそれぞれについてXRD(X線回折)測定を行ったところ、両者の間で回折ピークの位置にほとんど差異が見られなかった。これは、第3緩衝層23が、当初形成層の結晶格子を保ちつつ格子空孔を有していることを意味している。
第3緩衝層23の形成後、基板温度を1050℃とし、リアクタ内圧力を30kPaとして、TMGとNH3を反応させて、チャネル層3としてのGaN層を約1μmの厚さで形成した。
次いで、基板温度を1050℃とし、リアクタ内圧力を10kPaとして、TMAとTMGとNH3を反応させて、障壁層4としてのAl0.2Ga0.8N層を20nmの厚さで形成した。
以上により、エピタキシャル基板10が得られた。なお、得られたエピタキシャル基板10において、シリコンウェハー上に形成されたIII族窒化物層群の総膜厚は約1.2μmであった。
さらに、得られたエピタキシャル基板について、曲率半径の測定、クラック密度の測定、および白濁発生の有無の評価を行った。
曲率半径の測定は、レーザー射入射干渉計による干渉縞を位相シフト法により画像解析することにより行った。その結果、図3に示すように、試料a−1を除いて100m以上という値が得られた。係る結果は、第3緩衝層23を格子空孔内在層として設けることで、反りが抑制されたエピタキシャル基板が得られることを示している。
クラック密度の測定は、微分干渉顕微鏡画像に引いた単位長の直線を横切るクラック数をカウントすることにより行った。その結果、図3に示すように、試料a−5を除いてはクラックが確認されなかった。係る結果は、格子空孔の存在比pを0.2以下とすることで、クラックの発生が抑制されたエピタキシャル基板が得られることを示している。
白濁発生の有無は、目視により評価した。本実施例においては、試料a−1〜a−7のいずれにおいても、白濁は確認されなかった。
(実施例2)
実施例1で得られた試料a−3のエピタキシャル基板を対象に、さらに種々の評価を行った。
まず、そのチャネル層3と障壁層4とのAlGaN/GaN積層構造について、電子移動度、2次元電子密度、比抵抗、および転位密度を測定した。
その結果、電子移動度は約1300cm2/Vsであり、2次元電子密度は約1×1013/cm2であり、チャネル層の比抵抗は1×108Ωcmであった。また、転位密度は4×109/cm2であった。これらは、従来基板のGaN層と同程度の値である。
また、チャネル層3を構成するGaNの格子長(c軸長)を、NDB法(nano-beam diffraction method)を用いて測定した。その結果、緩衝層2と接する部位のc軸長が、0.5190nmとなっていた。これは、バルクGaNのc軸長の値0.5185nmよりも大きな値である。係る結果は、チャネル層3が、少なくとも緩衝層2と接する部位において面内方向に圧縮歪みを内在していることを、指し示している。
さらに、ショットキー特性を調べるべく、試料a−3を用いてショットキーダイオードを作製した。具体的には、フォトリソグラフィープロセスにより、障壁層4の上に、アノード電極としてPt電極を形成するとともにカソード電極としてTi/Alオーミック電極を形成し、電極間隔10μmの同心円型ショットキーダイオードを作製した。
得られたショットキーダイオードについて、シリコンウェハーとカソード電極とをともに接地した状態で、逆方向電流−電圧特性を評価した。その結果、印加電圧100V時のリーク電流が1×10-5A/cm2であり、耐電圧が180Vであった。これらは、従来基板を用いて同様に作製したショットキーダイオードについてのリーク電流および耐電圧と同程度の値である。
(比較例1)
本比較例では、当初形成層の形成後、加熱放置を行わない他は、試料a−3と同条件でエピタキシャル基板を作製した。すなわち、格子空孔内在層を備えないエピタキシャル基板を作製した。
得られたエピタキシャル基板について、実施例1と同様に、曲率半径の測定、およびクラック密度の測定を行った。その結果、クラックは確認されなかったが、曲率半径の値は10mと、実施例1に比して非常に小さかった。すなわち、本比較例においては、半導体素子の形成には適さないほど反りが大きなエピタキシャル基板が得られるのみであった。
また、実施例1と同様に、チャネル層3を構成するGaNの格子長(c軸長)を、NDB法を用いて測定したところ、緩衝層2と接する部位のc軸長は、実施例1とは異なり、バルクGaNの値より小さい0.5175nmとなっていた。
以上の結果を上述の実施例1と対比すると、実施例1で行った加熱放置が、格子空孔内在層を設けるうえで有効であるといえる。
(実施例3)
本実施例では、試料a−3と同様の組成を有するものの、第3緩衝層23の厚さを種々に違えた複数のエピタキシャル基板10(試料b−1〜b−5)を作製した。第3緩衝層23の厚さは、当初形成層の形成時間を違えることで調整した。図4に、実施例3に係るエピタキシャル基板10についての第3緩衝層23の厚さと種々の評価結果とを示している。
図4に示す結果は、第3緩衝層23の厚みを30nm以下とすることで、反りが抑制され、クラックの発生がなく、白濁も生じないエピタキシャル基板10が形成されることを指し示している。
(実施例4)
本実施例では、試料a−3と同様の組成を有するものの、第3緩衝層23を形成するための加熱放置条件の異なる12種のエピタキシャル基板10(試料c−1〜c−12)を作製した。具体的には、第3緩衝層23の加熱放置時の水素分圧、温度、時間を違えた他は、実施例1と同一の条件でエピタキシャル基板10を作製した。図5に、実施例4に係るエピタキシャル基板10についての、第3緩衝層23を形成する際の加熱放置の条件と種々の評価結果とを示している。
図5に示す結果は、リアクタ内の水素分圧を5kPa〜100kPaの範囲内の値とし、基板温度を900℃〜1300℃の範囲内に保ち、放置時間を3分間〜10分の間とすることで、反りが抑制され、クラックの発生がなく、白濁も生じないエピタキシャル基板10が形成されることを指し示している。
(実施例5)
本実施例では、第2の実施の形態に係るエピタキシャル基板20を作製した。具体的には、第3緩衝層23までを実施例1の試料a−3と同様に行い、続いて、第4緩衝層24を形成した上で、チャネル層3および障壁層4を実施例1の試料a−3と同様に形成した。第4緩衝層24の形成にあたっては、第1単位層24aは20nm厚のAl0.1Ga0.9N層とし、第2単位層24bは5nm厚のAlN層とした。それぞれを80層ずつ繰り返し交互に形成した。
このようにして得られたエピタキシャル基板20において、シリコンウェハー上に形成されたIII族窒化物層群の総膜厚は約3.2μmであった。また、曲率半径を測定したところ、100mという値が得られた。
また、チャネル層3と障壁層4とのAlGaN/GaN積層構造について、電子移動度、2次元電子密度、比抵抗、および転位密度を測定した。
その結果、電子移動度は約1300cm2/Vsであり、2次元電子密度は約1×1013/cm2であり、チャネル層の比抵抗は1×108Ωcmであった。また、転位密度は4×109/cm2であった。これらは、試料a−3と同程度の値である。
また、チャネル層3を構成するGaNの格子長(c軸長)を、NDB法を用いて測定した。その結果、緩衝層2と接する部位のc軸長が、0.5195nmとなっていた。これは、バルクGaNのc軸長の値0.5185nmよりも大きな値である。係る結果は、第2の実施の形態に係るエピタキシャル基板20においても、チャネル層3が、少なくとも緩衝層2と接する部位において面内方向に圧縮歪みを内在していることを、指し示している。
さらに、ショットキー特性を調べるべく、ショットキーダイオードを作製した。具体的には、フォトリソグラフィープロセスにより、障壁層4の上に、アノード電極としてPt電極を形成するとともにカソード電極としてTi/Alオーミック電極を形成し、電極間隔10μmの同心円型ショットキーダイオードを作製した。
得られたショットキーダイオードについて、シリコンウェハーとカソード電極とをともに接地した状態で、逆方向電流−電圧特性を評価した。その結果、印加電圧100V時のリーク電流が1×10-5A/cm2であり、耐電圧が400Vであった。すなわち、第4緩衝層24を設け、III族窒化物層群の総膜厚を大きくすることによって、より高い耐電圧が得られることが確認された。
(比較例2)
本比較例では、第2の実施の形態に係るエピタキシャル基板20と同様の緩衝層構造を有するものの、格子空孔内在層を有さないエピタキシャル基板を作製した。具体的には、当初形成層に対し形成後の加熱放置を実施しなかったほかは、実施例5と同一の条件で作製を行った。
得られたエピタキシャル基板には、6/mmと多数のクラックが存在しており、該エピタキシャル基板は半導体素子プロセスに供するには不適であった。
以上の結果と実施例5とを対比すると、実施例1と比較例1とを対比した場合と同様、実施例5で行った加熱放置が、格子空孔内在層を設けるうえで有効であるといえる。
1 下地基板
2 緩衝層
3 チャネル層
4 障壁層
10、20 エピタキシャル基板
21 第1緩衝層
22 第2緩衝層
23 第3緩衝層
24 第4緩衝層

Claims (9)

  1. シリコン基板の上にIII族窒化物層群を(0001)結晶面が前記シリコン基板の基板面に対し略平行となるよう積層形成した半導体素子用のエピタキシャル基板であって、
    前記III族窒化物層群が、
    少なくとも2層以上のIII族窒化物層が積層された緩衝層と、
    Inx1Aly1Gaz1N(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0<z1≦1、x1+y1+z1=1)なる組成のIII族窒化物からなるチャネル層と、
    Inx2Aly2Gaz2N(0≦x2≦1、0<y2≦1、0≦z2≦1、x2+y2+z2=1)なる組成のIII族窒化物からなる障壁層と、
    を備え、
    前記緩衝層の少なくとも1つが、格子空孔を有する格子空孔内在層であり、
    前記チャネル層が、少なくとも前記緩衝層と接する部位において、面内方向に圧縮歪みを内在している、
    ことを特徴とする半導体素子用エピタキシャル基板。
  2. 請求項1に記載のエピタキシャル基板であって、
    前記格子空孔内在層は、VIIIがIII族原子欠陥を表し、VがN原子欠陥を表すとする場合に、InAlGaIII (1−q) (0≦x≦1、0<y≦1、0≦z≦1、0<p<1、x+y+z+p=1、0≦q<1)なる組成式にて表されるIII族窒化物からなる、
    ことを特徴とする半導体素子用エピタキシャル基板。
  3. 請求項1または請求項2に記載のエピタキシャル基板であって、
    0.01≦p≦0.20である、
    ことを特徴とする半導体素子用エピタキシャル基板。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のエピタキシャル基板であって、
    前記格子空孔内在層の厚さが、2nm以上30nm以下である、
    ことを特徴とする半導体素子用エピタキシャル基板。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の半導体素子用エピタキシャル基板を用いて形成した半導体素子
  6. シリコン基板の上にIII族窒化物層群を(0001)結晶面が基板面に対し略平行となるよう積層形成することによる半導体素子用のエピタキシャル基板の製造方法であって、
    前記シリコン基板の上に少なくとも2つ以上のIII族窒化物層を積層することにより緩衝層を形成する緩衝層形成工程と、
    前記緩衝層の上にIn x1 Al y1 Ga z1 N(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0<z1≦1、x1+y1+z1=1)なる組成のIII族窒化物からなるチャネル層を形成するチャネル層形成工程と、
    In x2 Al y2 Ga z2 N(0≦x2≦1、0<y2≦1、0≦z2≦1、x2+y2+z2=1)なる組成のIII族窒化物からなる障壁層を形成する障壁層形成工程と、
    を備え、
    前記緩衝層形成工程において、前記緩衝層の少なくとも1つを、格子空孔を有する格子空孔内在層として形成することにより、前記チャネル層の少なくとも前記緩衝層と接する部位において、面内方向に圧縮歪みを内在させる、
    ことを特徴とする半導体素子用エピタキシャル基板の製造方法。
  7. 請求項6に記載の半導体素子用エピタキシャル基板の製造方法であって、
    前記緩衝層形成工程においては、In x’ Al y’ Ga z’ N(0≦x’≦1、0<y’≦1、0≦z’≦1、x’+y’+z’=1)なる組成式で表されるIII族窒化物からなる層を形成しこれをアニールすることにより、V III がIII族原子欠陥を表し、V がN原子欠陥を表すとする場合に、In Al Ga III (1−q) (0≦x<x’、0<y≦1、0≦z≦1、0<p<1、x+y+z+p=1、0≦q<1)なる組成式にて表される前記格子空孔内在層を形成する、
    ことを特徴とする半導体素子用エピタキシャル基板の製造方法。
  8. 請求項6または請求項7に記載の半導体素子用エピタキシャル基板の製造方法であって、
    前記格子空孔内在層を形成するためのアニールを、
    水素分圧が5kPa以上100kPa以下でかつ温度が900℃以上1250℃以下の雰囲気下で、3分以上10分以下の保持時間で行う、
    ことを特徴とする半導体素子用エピタキシャル基板の製造方法。
  9. 請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の半導体素子用エピタキシャル基板の製造方法を用いて作製した半導体素子用エピタキシャル基板
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