JP5490915B2 - ペダリング矯正補助装置、ペダリング矯正補助方法、ペダリングの矯正を補助するプログラム、ペダリングの矯正を補助するプログラムを記録した媒体 - Google Patents

ペダリング矯正補助装置、ペダリング矯正補助方法、ペダリングの矯正を補助するプログラム、ペダリングの矯正を補助するプログラムを記録した媒体 Download PDF

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Description

本発明は、自転車等のペダルを漕ぐ乗り物のペダルの漕ぎ方であるペダリング状態を検出するペダリング矯正補助装置、ペダリング矯正補助方法、コンピュータにペダリングの矯正を補助させるプログラム、及び、そのプログラムが記録された媒体に関する。
従来、自転車に装着され、自転車の走行に関する情報や運転者の運動に関する情報等を算出し、報知する装置がある。この装置は、自転車に設けられた各センサからデータを受信することによって、所定の情報を算出する。具体例として、例えば、ペダルに設けられた圧力センサが検出する圧力値に基づいて、運転者によるペダル踏力等のペダルに作用する力(以下、「ペダル作用力」という)を担う圧力値の経時変化や運転者の運動量等を算出して報知(表示)する走行状態検出装置がある(例えば、特許文献1参照)。また、仕事率に基づいて最適ペダリング頻度を演算して、表示する自転車用メータがある(例えば、特許文献2参照)。
特開平7−96877号公報 特開平10−35567号公報
ところで、自転車を効率的に走行させるために、運転者自身のペダリング(特に、クランクを回転させる際のペダルへの荷重のかけ方)を矯正したいという要望がある。特許文献1に記載の走行状態検出装置は、ペダル作用力に基づく圧力値の変化が時系列で表示するため、これを用いて自身のペダリングを知るための一つの指標を提示することができる。しかしながら、例えばペダルを踏み込む際に発生するペダル作用力とこのペダル作用力がかかる方向やタイミングとの関係等のペダル作用力に関するペダリングを矯正するための指標を提示することができない。また、特許文献2に記載の自転車用メータは、最適なクランク軸回転数等からなる最適ペダリング頻度を演算して表示するが、ペダル作用力に関するペダリングを矯正するための指標を提示することができない。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題を解決することを課題の一例とするものであり、これらの課題を解決することができるペダリング矯正補助装置、ペダリング矯正補助方法、ペダリングの矯正を補助させるプログラム、及び、ペダリングの矯正を補助させるプログラムを記録した媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るペダリング矯正補助装置は、車体に回転自在に連結されたクランクと、当該クランクに連結されたペダルとを具備し、前記ペダルに荷重がかかることによって前記クランクが回転する乗り物のペダリングの際に、前記クランクの回転角度を検出するクランク回転角度検出手段と、前記ペダルに作用する力であるペダル作用力を表すベクトルを前記クランクの回転角度に対応付けて実測値として取得する実測値取得手段と、予め設定されたペダル作用力を表すベクトルを前記クランクの回転角度に対応付けて参考データとして記憶する参考データ記憶手段と、前記クランクの回転角度に対応付けて、前記実測値に係るベクトルと、前記参考データに係るベクトルとの差分である差分ベクトルを算出する差分ベクトル算出手段と、前記クランクの回転角度の所定の範囲における前記差分ベクトルを合成する差分ベクトル合成手段と、報知実行手段に、前記差分ベクトル合成手段により合成された前記差分ベクトルと、その差分ベクトルに係る前記クランクの回転角度の所定の範囲とを対応付けて報知させる報知制御手段と、を有することを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明に係るペダリング矯正補助方法は、車体に回転自在に連結されたクランクと、当該クランクに連結されたペダルとを具備し、前記ペダルに荷重がかかることによって前記クランクが回転する乗り物のペダリングの際に、前記クランクの回転角度を検出し、前記ペダルに作用する力であるペダル作用力を表すベクトルを前記クランクの回転角度に対応付けて実測値として取得し、前記クランクの回転角度に対応付けて予め設定されているペダル作用力を表す参考データとしてのベクトルと、前記実測値に係るベクトルとの差分である差分ベクトルを算出し、前記クランクの回転角度の所定の範囲における前記差分ベクトルを合成し、前記合成された前記差分ベクトルと、その差分ベクトルに係る前記クランクの回転角度の所定の範囲とを対応付けて報知実行手段において報知ることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明に係るプログラム及びプログラムを記録した媒体は、コンピュータに、車体に回転自在に連結されたクランクと、当該クランクに連結されたペダルとを具備し、前記ペダルに荷重がかかることによって前記クランクが回転する乗り物のペダリングの際に、前記クランクの回転角度を検出するクランク回転角度検出手段に前記クランクの回転角度を検出させるクランク回転角度取得機能と、前記ペダルに作用する力であるペダル作用力を表すベクトルを前記クランクの回転角度に対応付けて実測値として取得する実測値取得機能と、前記クランクの回転角度に対応付けて予め設定されたペダル作用力を表す参考データとしてのベクトルと前記実測値に係るベクトルとの差分である差分ベクトルを算出する差分ベクトル算出機能と、前記クランクの回転角度の所定の範囲における前記差分ベクトルを合成する差分ベクトル合成機能と、報知実行手段に、前記差分ベクトル合成機能により合成された前記差分ベクトルと、その差分ベクトルに係る前記クランクの回転角度の所定の範囲とを対応付けて報知させる報知制御機能と、を実現させることを特徴とする。
(a)は、ペダリング矯正補助装置が取り付けられた自転車の側面図、(b)はペダリング矯正補助装置が取り付けられた自転車の正面図である。 図1のペダル作用力回転方向成分検出センサ及び放射方向成分検出センサの取り付け状況を表す図である。 (a)は回転方向歪みセンサユニットがクランクシャフトに貼り付けられている様子を表す図、(b)は放射方向歪みセンサユニットがクランクシャフトに貼り付けられている様子を表す図である。 ペダリング矯正補助装置のサイクルコンピュータの斜視図である。 ペダリング矯正補助装置の電気的なブロック図である。 ペダリング矯正補助装置の制御的なブロック図である。 ペダリング矯正補助処理を示すフローチャートである。 計測ペダル作用力と参考ペダル作用力との比較及び改善案内の表示態様の一例である。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。図1(a)は、本発明のペダリング状態検出装置100が自転車Bに取り付けられている様子を表す側面図、図1(b)はペダリング状態検出装置100が自転車Bに取り付けられている様子を表す正面図である。自転車Bは、車体のフレームB1と、当該自転車Bの前後においてフレームB1で回転自在に軸支されることにより、フレームB1を移動自在に支持する二つの車輪B2(前輪B21及び後輪B22)と、自転車Bを推進させる運転者の踏力等の運転者による荷重を推進力として後輪B22に伝える駆動機構B3と、運転者が操縦するためのハンドルB4と、運転者が着座するためのサドルB5とを有する。
駆動機構B3は、一端に回動軸(クランク軸)を有し、斯かる回動軸がフレームB1に対して回転自在に軸支されるクランクB31、クランクB31の他端において回転自在に軸支されると共に、運転者による荷重を受けるペダルB32、及び、クランクB31の上記一端にあるクランク軸を共通の回動軸としてクランクB31と一体的に回動するように配されたスプロケット(図示せず)と後輪B22の回動軸を共通の回動軸として後輪B22と一体的に回転するように配されたリアスプロケット(図示せず)とに連結されることで、ペダルB32に作用する運転者による荷重をクランクB31を介して後輪B22に伝達するチェーンB33を具備する。
クランクB31は、自転車Bの正面視左側に(右足側に)配置される左クランクシャフトB311と、正面視右側に(左足側に)配置される右クランクシャフトB312とを有し、これら左右クランクシャフトB311、B312は、上記クランク軸を対称点とする点対称となる位置で固着されている。また、ペダルB32も、自転車Bの正面視左側に配置される左ペダルB321と、自転車Bの正面視右側に配置される右ペダルB322からなり、左ペダルB321は左クランクシャフトB311の先端部に取り付けられた左ペダル軸(図示せず)に回転自在に支持され、右ペダルB322は右クランクシャフトB312の先端部に取り付けられた右ペダル軸(図示せず)に回転自在に支持されている。
なお、左クランクシャフトB311と右クランクシャフトB312とは同一形状であり、左ペダルB321と右ペダルB322も同一形状であり、対応するクランクシャフトとペダルとの相関的な構造も同一である。
ペダリング矯正補助装置100は、クランクB31の回転角度を検出するクランク回転角度検出センサ2、ペダルB32に作用する力(以下、「ペダル作用力」という)のクランクB31の回転方向成分(以下、「ペダル作用力回転方向成分」という)の大きさを検出する回転方向成分検出センサ3、ペダル作用力のクランク軸を中心とする放射方向(又は、クランク長の長さ方向)成分(以下、「ペダル作用力放射方向成分」という)の大きさを検出する放射方向成分検出センサ4、及び、クランク回転角度センサ2、回転方向成分検出センサ3、並びに、放射方向成分検出センサ4から送信される信号に基づいて、ペダリングの改善に対する指針を報知するサイクルコンピュータ1を備える。
なお、クランク回転角度検出センサ2、回転方向成分検出センサ3、及び、放射方向成分検出センサ4は図示しない発信機を備えており、各センサ2〜4からサイクルコンピュータ1へ検出信号を送信することが可能となっている。つまり、サイクルコンピュータ1と各センサ2〜4とは無線で接続されている。
クランク回転角度検出センサ2は、例えばクランクギアの外周部近傍に狭装された、発光部と受光部とを有する光学式の回転検出センサからなり、発光部と受光部との間を通過するギアの歯の数をカウントし、このカウント値とギアの歯数との比を求めることで、回転角度を検出することができる。なお、回転角度検出センサ2としてはこれに限定されるものではなく、ポテンションメータ等の既存のセンサが利用可能である。このセンサ2からは、クランク回転角度に応じたクランク回転角度検出信号がサイクルコンピュータ1に送信される。
なお、本実施の形態においては、クランク回転角度は、左クランクシャフトB311を基準に表されるものとする。つまり、左クランクシャフトB311が12時の方向に位置する(先端が上方を向く)ときに、クランク回転角度は「0°」である。また、クランク回転角度検出センサ2は、左クランクシャフトB311が3時の方向を指す(先端が前方を向く)とき、クランク回転角度「90°」を示し、左クランクシャフトB311が9時の方向を指す(先端が後方を向く)とき、クランク回転角度「270°」を示す。そして、クランク回転角度検出センサ2が検出するクランク回転角度θの範囲は0°以上360°未満(0≦θ<360°)となっており、左クランクシャフトB311が12時の方向から時計回りで回転する向きを「+」方向とする。
回転方向成分検出センサ3は、2つの歪みセンサからなるセンサのユニット3a(以下、「回転方向歪みセンサユニット3」という)、回転方向歪みセンサユニット3aを構成する歪みセンサの各端子に接続された回転方向歪み検出回路3b、及び、センサ3を包括的に制御する回転方向成分制御部3cを具備し(図5(b)参照)、図1(a)及び図1(b)に示すように、クランクシャフトB311、B312の正面(各クランクシャフトB311、B312が6時の方向を指すとき、進行方向を向く面)に回転方向成分検出センサ3が取り付けられている(左クランクシャフトB311に取り付けられている左回転方向成分検出センサ31、右クランクシャフトB312に取り付けられている右回転方向成分検出センサ32)。
図3(a)に示すように、各回転方向歪みセンサユニット3aを構成する歪みセンサは、各クランクシャフトB311、B312の正面において互いに直交した状態で接着されている。回転方向歪み検出回路3bは、各歪みセンサの出力の増幅及び調整を行い、当該センサユニット3aが検出した統一的な歪み量を表す情報(以下、「回転方向歪み情報」という)を制御部3cに送信する。各センサ31、32の回転方向成分制御部3cは、回転方向歪み検出回路3bが送信した回転方向歪み量情報に基づいて、次の式(1)より、クランク踏力回転方向成分の大きさFxを算出し、各ペダル作用力回転方向成分の大きさFxに応じた回転方向成分検出信号をサイクルコンピュータ1に送信する。
〔式(1)〕
Fx=mg(X−Xz)/(Xc−Xz)
ここで、「m」は質量を表し、「g」は重力加速度を表し、「X」は回転方向歪み検出回路3bによって検出された歪み量、「Xc」はクランクシャフトB31が水平状態に保持されているときにペダルB32に垂直な力(mg(N))が作用した場合のクランクシャフトB31の正面の歪み量、「Xz」はクランクシャフトB31が無負荷状態である場合におけるクランクシャフトB31の正面の歪み量を表す。なお、Xc、Xzは、例えば、当該センサ3を使用する前にセンサユニット3aをクランクシャフトB31の正面に貼り付けて校正することによって取得される。
放射方向成分検出センサ4は、2つの歪みセンサからなるセンサのユニット4a(以下、「放射方向歪みセンサユニット4」という)、放射方向歪みセンサユニット4aを構成する歪みセンサの各端子に接続された放射方向歪み検出回路4b、及び、センサ4を包括的に制御する放射方向成分制御部4cを具備し(図5(b)参照)、図1(a)及び図1(b)に示すように、クランクシャフトB31の外側面に放射方向成分検出センサ4が取り付けられている(左クランクシャフトB311に取り付けられている左放射方向成分検出センサ41、右クランクシャフトB312に取り付けられている右放射方向成分検出センサ42)。
図3(b)に示すように、各放射方向歪みセンサユニット4aを構成する歪みセンサは、各クランクシャフトB311、B312の外側面において互いに直交した状態で接着されている。放射方向歪み検出回路3bは、各歪みセンサの出力の増幅及び調整を行い、当該センサユニット4aが検出した統一的な歪み量を表す情報(以下、「放射方向歪み情報」という)を制御部4cに送信する。各センサ41、42の放射方向成分制御部4cは、放射方向歪み検出回路4bが送信した放射方向歪み量情報に基づいて、次の式(2)より、クランク作用力放射方向成分の大きさFyを算出し、各ペダル作用力放射方向成分の大きさFyに応じた放射方向成分検出信号をサイクルコンピュータ1に送信する。
〔式(2)〕
Fy=mg(Y−Yz)/(Yu−Yz)
ここで、「m」は質量を表し、「g」は重力加速度を表し、「Y」は放射方向歪み検出回路4bによって検出された歪み量、「Yu」はペダルB32が下死点に位置するときにペダルB32に垂直な力(mg(N))が作用した場合のクランクシャフトB31の外側面の歪み量、「Yz」はクランクシャフトB31が無負荷状態である場合におけるクランクシャフトB31の外側面の歪み量を表す。なお、Yu、Yzは、例えば、当該センサ4を使用する前にセンサユニット4aをクランクシャフトB31の外側面に貼り付けて校正することによって取得される。
次に、図4及び図5(a)を用いて、サイクルコンピュータ1の構成について説明する。図4はサイクルコンピュータ1の外観図であり、図5(a)はペダリング矯正補助装置100の電気的なブロック構成図である。図4に示すように、サイクルコンピュータ1は、自転車BのハンドルB4に着脱可能である取付部材6を介して自転車Bに装着されている。サイクルコンピュータ1は、所定の情報を入力するための入力部11、所定の情報を表示するための表示部12、後述するペダリングに関わる所定の処理を実行する演算回路を具備する制御部13(図5(a)参照)、及び、これら入力部11、表示部12並びに制御部13を収容する筐体14を有する。
入力部11は、筐体14の上面から突出した状態で並設された押圧操作可能な3つのボタン11a、11b、11c、及び、スライド式のスイッチからなり、電力供給のON/OFF切り換え操作を行うための電源スイッチ11dを備えている。
また、図5(a)に示すように、入力部11は、ボタン11a〜11c及び電源スイッチ11dの操作に伴う入力信号を制御部13への制御情報として中継する入力制御回路11eを備える。各ボタン11a〜11cが押圧操作されると、入力制御回路11eは押圧操作に対応する制御情報に変換して制御部13に送信する。これによって、運転者は、ボタン11a〜11cの限られた数のボタンであっても、これらのボタン操作の組み合わせによって、運転者や自転車に関する固有情報の入力や計測の開始/終了等、ボタンの数以上の複数の種類の入力操作が可能となる。
なお、本実施の形態では、所定の情報を入力するための構造として、押圧操作可能なボタン11a〜11cを採用しているが、これに限られず、十字キー、トラックボール及びジョイスティック等のポインティングデバイスを採用することも可能である。
表示部12は、後述するペダル作用力の理想と現実との比較情報やペダリングの改善情報等を含む所定の情報を表示するための液晶パネル12aと、表示すべき情報に応じて当該液晶パネル12aの表示制御を行う表示制御回路12eとを具備する。なお、液晶パネル12aをタッチパネルにして、入力部11と表示部12とを一体化することも可能である。
サイクルコンピュータ1の制御部13は、CPU13a、ROM13b、RAM13c、記録媒体用I/F13d、センサ用I/F13e、通信用I/F13f、及び、発振回路13gからなり、これら各構成部はバス13hによって接続されている。
CPU13aは、ROM13bに予め記憶されているプログラムに基づいて、目標となるペダル作用力(以下、「参考ペダル作用力」という)と実際に計測されたペダル作用力(以下、「計測ペダル作用力」という)との比較、及び、参考ペダル作用力と計測ペダル作用力から導出されるペダリングの改善案内の表示等を含むサイクルコンピュータとしての基本動作を制御する。ROM13bには、CPU13aが実行するサイクルコンピュータとしての基本処理を実行するためのプログラムコードが予め記憶されている。RAM13cは、CPU13aがサイクルコンピュータとしての基本処理を実行する際に行う演算処理において、データ等のワーキングエリアとして機能する。
記録媒体用I/F13dは、参考ペダル作用力と計測ペダル作用力との比較結果等をメモリカード等の記録媒体に記録する際のインターフェースである。センサ用I/F13eは、上述したクランク回転角度検出センサ2、回転方向成分検出センサ3、及び、放射方向成分検出センサ4から送信される各種検出信号を取り込んで、CPU13aからの指示に基づいて出力する。通信用I/F13fは、携帯電話等の移動端末や自宅等に設置されるPCといった外部装置(図示せず)との間で各種データを送受信する外部の処理機器との間でデータの送受信を行うためのインターフェースである。発振回路13gは、クロック発振子としての水晶振動子を具備しており、発生するクロックを計数することにより所定周期でCPU13aにパルス信号を出力する。なお、上述した入力部11、表示部12、及び、制御部13は、バス13gを介して必要な情報データの送受信がされる構成である。
図6は、本発明の実施の形態に係るペダリング矯正補助装置100の制御的な(又は、機能的な)構成を示すブロック図である。ペダリング矯正補助装置100は、固有情報取得部S1、参考情報取得部S2、走行状況情報取得部S3、差分算出部S4、表示判定部S5、差分ベクトル算出部S6、差分ベクトル合成部S7、図面作成部S8及び情報表示部S9を有する。なお、走行状況情報取得部S3は、クランク回転角度情報取得部S31、及び、ペダル作用力回転方向成分情報取得部S32及びペダル作用力放射方向成分情報取得部S33からなる。
固有情報取得部S1は、自転車Bの種類(型番)・所定部品の寸法や運転者の体型・年齢、ユーザID等の自転車B及び運転者に固有な情報(以下、「固有情報」という)を取得する機能を有する。固有情報取得部S1は、例えば、入力部11、及び、入力部11のボタン11a〜11cの操作に応じて入力項目を表示部12に表示させると共に、ボタン11a〜11cの操作に応じて入力制御回路11eから出力された制御情報に基づくデータを保存する制御部13によって構成される。
参考情報取得部S2は、制御部13で構成され、参考情報を取得する機能を有し、参考情報を示す参考データをROM13b等の予め参考データを記憶している参考情報記憶部からRAM13cの参考データ記憶領域にロードする。参考情報とは、参考ペダル作用力のことであり、例えばプロアスリート等の上級者の自転車走行によって採取される。すなわち、参考ペダル作用力は、ベクトルで構成され、ペダル作用力の大きさFsとその方向βで表される。なお、参考データは、クランク回転角度θに対応付けられて格納されている。
走行状況情報取得部S3は、自転車Bのクランク回転角度等の走行中に変化し得る情報を取得する機能を有する。走行状況情報取得部S3は、クランク回転角度検出センサ2、回転方向成分出センサ3、放射方向成分検出センサ4、及び、これら各センサ2〜4から送信された信号に基づくデータを保存する制御部13によって構成される。
また、走行状況情報取得部S3は、クランク回転角度取得部S31、ペダル作用力回転方向成分情報取得部S32、及び、ペダル作用力放射方向成分情報取得部S33からなる。クランク回転角度取得部S31は、クランク回転角度検出センサ2及び制御部13で構成され、クランク回転角度検出センサ2から出力された信号に基づいて、クランク回転角度に関する情報を取得する機能を有し、クランク回転角度を表すデータ(以下、「クランク回転角度データ」という)をRAM13cの所定領域に記憶する。ペダル作用力回転方向成分情報取得部S32は、回転方向成分検出センサ3及び制御部13で構成され、回転方向成分検出センサ3から出力された信号に基づきペダル作用力回転方向成分データをRAM13cの所定領域に記憶(取得)する機能を有する。ペダル作用力放射方向成分情報取得部S33は、放射方向成分検出センサ4及び制御部13で構成され、放射方向成分検出センサ4から出力された信号に基づきペダル作用力放射方向成分データをRAM13cの所定領域に記憶(取得)する機能を有する。
差分算出部S4は、制御部13で構成され、ペダル作用力回転方向成分情報取得部S32によって取得されたペダル作用力回転方向成分データが示すペダル作用力回転方向成分の大きさと、ペダル作用力放射方向成分情報取得部S33によって取得されたペダル作用力放射方向成分データが示すペダル作用力放射方向成分の大きさとから算出される計測ペダル作用力の大きさを算出すると共に、この算出された計測ペダル作用力の大きさと参考情報取得部S2によって取得された参考情報が示す参考ペダル作用力の大きさとの差分の絶対値(以下、「ペダル作用力差分」という)を算出する機能を有し、算出値であるペダル作用力差分を示すペダル作用力データをRAM13cのペダル作用力値差分記憶領域に記憶する。
表示判定部S5は、制御部13で構成され、参考ペダル作用力及び計測ペダル作用力を表示するが否か、具体的には、差分算出部S4が算出したペダル作用力差分が予め設定された基準値以上であるか否かを判定する機能を有し、その判定結果を示す表示判定結果データをRAM13cの表示判定結果データ記憶領域に記憶する。
差分ベクトル算出部S6は、制御部13で構成され、参考情報取得部S2が取得した参考情報と、ペダル作用力回転方向成分情報取得部S32が取得したペダル作用力回転方向成分に関する情報及びペダル作用力放射方向成分情報取得部S33が取得したペダル作用力放射方向成分に関する情報に基づいて、計測ペダル作用力から参考ペダル踏力を引いた差分ベクトルを算出する機能を有しており、その算出結果を示す差分ベクトルデータをRAM13cの差分ベクトル記憶領域に記憶する。なお、差分ベクトルデータは、差分ベクトルの大きさFcと、その方向γとで構成される。
差分ベクトル合成部S7は、制御部13で構成され、差分ベクトル算出部S6が算出した差分ベクトルを合成する機能を有し、差分ベクトルが合成された合成差分ベクトルを示す合成差分ベクトルデータをRAM13cの合成差分ベクトルデータ記憶領域に記憶する。なお、本実施の形態においては、クランクB31の1回転は、3分割されて、パワーゾーン(30°≦θ<180°)と引き足ゾーン(180°≦θ<330°)と蹴り出しゾーン(330°≦θ<30°)とに分けられており、それに伴って合成差分ベクトルデータ記憶領域も3分割されてパワーゾーン部と引き足ゾーン部と蹴り出しゾーン部とで構成されている。差分ベクトル合成部S7は、ゾーン毎に合成差分ベクトルを算出し、対応するゾーン部に記憶する。
図面作成部S8は、制御部13で構成され、表示判定部S5によって表示すると判定された算出された両ペダル作用力、及び、差分ベクトル合成部S7によって算出されたゾーン毎の合成差分ベクトルを可視化により報知するために、これらを表す図面の元となる図面データを作成する機能を有する。具体的には、図面作成部S8は、図面データとして、クランクB31の回転(ペダリング)を表す基準円のオブジェクト(以下、「基準円グラフオブジェクト」という)の元となる基準円オブジェクトデータ、各ゾーンの境界を表す仕切り線のオブジェクト(以下、「仕切り線オブジェクト」という)の元となる仕切り線オブジェクトデータ、参考ペダル作用力のオブジェクト(以下、「参考ペダル作用力オブジェクト」という)の元となる参考ペダル作用力オブジェクトデータ、計測ペダル作用力のオブジェクト(以下、「計測ペダル作用力オブジェクト」という)の元となる計測ペダル作用力オブジェクトデータ、及び、合成差分ベクトルのオブジェクト(以下、「合成差分ベクトルオブジェクト」という)の元となる合成差分ベクトルオブジェクトデータを作成し、RAM13cの所定領域に記憶する。さらに、図面作成部S8は、これらのオブジェクトをオーバーレイした比較・改善案内オブジェクトの元となる比較・改善案内オブジェクトデータを作成し、RAM13cからなる送信バッファにセットする。
情報表示部S9は、制御部13及び表示部12で構成され、図面作成部S8が作成した図面データに基づいて、表示部2に図面を表示させる機能を有する。
次に、図7を用いて、ペダリング矯正補助装置100がペダル作用力の理想と現実の比較及びペダリングの改善案内を表示(報知)する処理・方法について説明する。なお、左クランクシャフトB311のペダル作用力の理想と現実の比較及びペダリングの改善案内を表示(報知)する処理・方法を表示する処理・方法と右クランクシャフトB312のペダル踏力の理想と現実の比較及びペダリングの改善案内を表示(報知)する処理・方法を表示する処理・方法とは、同様であるので、本実施の形態におけるペダリング矯正補助装置100では、左クランクシャフトB311(右足)のペダル作用力の理想と現実の比較及びペダリングの改善案内を表示(報知)する処理・方法を代表として説明する。
電源スイッチ11dの操作を介してサイクルコンピュータ1に電力が供給されると、CPU13aにシステムリセットが発生し、CPU13はROM13bに記憶されているペダル踏力の理想と現実の比較及びペダリングの改善案内を表示(報知)するプログラムに基づいて、図7に示すペダル作用力の理想と現実の比較及びペダリングの改善案内の表示(報知)処理を開始する。
まず、ステップS1において、情報入力処理を行う。ここでは、運転者のボタン11a〜11cによって運転者及び自転車の固有情報の入力を促すためにコーションを表示すると共に、所望の固有情報が入力されるまで待機する。そして、入力部11からの情報(ボタン11aの被操作を示す第1ボタン操作検出信号、ボタン11bの被操作を示す第2ボタン操作検出信号、及び、ボタン11cの被操作を示す第3ボタン操作検出信号)が入力されると、斯かる入力された情報に基づいて、各種固有情報を表す固有情報データをRAM13bの固有情報データ記憶領域に記憶する。固有情報は、運転者の最大パワー、性別、身長・体重、自転車の種類、タイヤの大きさ・種類、クランク長等で構成されるものである。
ステップS2において、クランク回転角度θ、ペダル作用力回転方向成分の大きさFx、及び、ペダル作用力放射方向成分の大きさFyの計測を開始するための条件(以下、「計測開始条件」という)が成立し、これらの計測を開始することができるか否かを判定する。例えば、入力制御回路11eから計測開始を示す制御情報が送信されてくることが計測開始条件の成立となるようにしてもよい。ステップS2において、計測開始条件が成立していないと判定すると当ステップS1に処理を移し、計測開始条件が成立したと判定するとステップS3に処理を移す。
ステップS3において、ROM13bに格納されている参考データをRAM13cの参考データ記憶領域に記憶する。本実施の形態では、参考データはテーブル(以下、「参考データテーブル」という)で構成されており、クランク回転角度と参考ペダル踏力(大きさ・方向)とが対応している。なお、参考データテーブルのクランク回転角度は0°から359°まで1°間隔で設定されている。
ステップS4において、各種検出センサ2〜4から送信される検出信号に基づいて、走行状況情報を表す走行状況データをRAM13cの走行状況データ記憶領域に記憶する。本実施の形態において、走行状況情報は、クランク回転角度θ、ペダル作用力回転方向成分の大きさFx、及び、ペダル作用力放射方向成分の大きさFyで構成される。なお、走行状況データ記憶領域は、クランク回転角度データを記憶するクランク回転角度部、ペダル作用力回転方向成分データを記憶するペダル作用力回転方向成分部、及び、ペダル作用力放射方向成分データを記憶するペダル作用力放射方向成分部で構成される。
なお、左クランクシャフトB311と右クランクシャフトB312の位相差が180°であるため、右クランクシャフトB312の回転角度は、クランク回転角度データが示すクランク回転角度データに180°を加算した値となる。また、ペダル作用力回転方向成分データ及びペダル作用力放射方向成分データはクランク回転角度データに対応付けて記憶する。
また、ステップS4の処理は、発振回路13gから出力されるパルス信号に基づいて例えば10ms毎に行われ、クランク回転角度データ、ペダル作用力回転方向成分データ及びペダル作用力放射方向成分データは逐次記憶される。
ステップS5において、ステップS4で検出されたペダル作用力回転方向成分及びペダル作用力放射方向成分に基づき計測ペダル作用力の大きさFa(以下、「計測ペダル作用力値」という)を算出し、RAM13cの所定領域に記憶すると共に、当該計測ペダル作用力値とステップS4で検出されたクランク回転角度θaに最も近い参考データテーブルのクランク回転角度θbに対応する参考ペダル作用力の大きさFb(以下、「参考ペダル作用力値」という)との差分を算出し、RAM13cの所定領域に記憶する。
ステップS6において、ステップS5で算出された差分に係る計測ペダル作用力及び参考ペダル作用力の表示を行うか否かを判定する。具体的には、ステップS5で算出されたペダル作用力値の差分が所定の基準値K以上であるか否かを判定する。基準値Kは、特に限定されないが、本実施の形態では30(N)に設定されている。ステップS7において、ステップS6で表示する、すなわち、ペダル作用力値の差分が基準値K以上であると判定されると、ステップS8に処理を移し、ステップS6で表示しない、すなわち、ペダル作用力値の差分が基準値K未満であると判定されると、ステップS9に処理を移す。
ステップS8において、ベクトルである計測ペダル作用力から参考ペダル作用力を引いた差分ベクトルを算出し、差分ベクトルを示す差分ベクトルデータをRAM13cの差分ベクトルデータ記憶領域に記憶する。なお、ステップS4で取得されたクランク回転角度データが表すクランク回転角度θa、ペダル作用力回転方向成分データが表すペダル作用力回転方向成分の大きさFx及びペダル作用力回転方向成分データが表すペダル作用力回転方向成分の大きさFyに基づいて、当該クランク回転角度θaにおける計測ペダル作用力の方向を算出することが可能である。また、ステップS3で取得された参考データテーブルのクランク回転角度の中で、クランク回転角度θaに最も近いクランク回転角度θbに対応するペダル作用力値データが参考ペダル作用力の大きさとなり、そのクランク回転角度θbに対応するペダル作用力方向データが参考ペダル作用力の方向となる。これらの各ペダル作用力の大きさ及び方向に基づいて差分ベクトルを算出する。
なお、当該差分ベクトルを記憶する際には、当該クランク回転角度θaに最も近いクランク回転角度θbに対する差分ベクトルとして記憶する。差分ベクトル記憶領域はクランク回転角度θbに対応付けられて360分割されており、上記のゾーンが関連付けられている。
ステップS9において、クランクB31が1回転したか否かを判定する。ステップS3で取得したクランク回転角度データが示すクランク回転角度が新たに360°を超えたか否かを判定する。本ステップでクランク回転角度が所定値以上ではないと判定すると、ステップS4に処理を移し、クランク回転角度が所定値以上であると判定すると、ステップS10に処理を移す。
ステップS10において、ゾーン毎の差分ベクトルを合成し、差分ベクトルの大きさ及びその方向をRAM13cの差分ベクトルデータ記憶領域に記憶する。差分ベクトルデータ記憶領域は、ゾーンの種類及び差分ベクトルの構成要素(大きさ・方向)に対応付けられて6分割されている。すなわち、差分ベクトルデータ記憶領域は、パワーゾーン用のパワーゾーン部、引き足ゾーン用の引き足ゾーン部及び蹴り出しゾーン用の蹴り出しゾーン部で構成され、各部は差分ベクトルの大きさを表す差分ベクトル大きさデータを記憶する差分大きさ部と差分ベクトルの方向を表す差分ベクトル方向データを記憶する差分方向部とで構成される。
ステップS11において、ステップS7で表示すると判定された計測ペダル作用力並びに参考ペダル作用力、及び、各ゾーンの合成差分ベクトルを表示部12に表示するために、表示部12に表示する図面の元となるデータを作成する図面作成処理を行う。
具体的には、まず、左クランクシャフトB311に係る基準円オブジェクトデータを作成し、RAM13cの基準円オブジェクト領域に記憶し、パワーゾーン、引き足ゾーン及び蹴り出しゾーンを表現するための仕切り線オブジェクトデータを作成し、RAM13cの仕切り線オブジェクト領域に記憶する。図9に示すように、この仕切り線オブジェクトによって、基準円オブジェクトが周方向に3分割され、パワーゾーン、引き足ゾーン及び蹴り出しゾーンが表現される。これは、上述した様に、基準円オブジェクトには参考データのクランク回転角度θbが対応付けられており、各ゾーンが設定されるクランク回転角度の範囲、すなわち、仕切り線オブジェクトが示すクランク回転角度は、例えば予めROM13bにテーブルとして記憶されている。
次に、ステップS7で表示すると判定された、計測ペダル作用力に係る計測ペダル作用力オブジェクトデータ及び参考ペダル作用力を表現する参考ペダル作用力オブジェクトデータを作成し、RAM13cの所定領域に記憶する。図9に示すように、両ペダル作用力オブジェクトは始点を共有し、始点は、基準円オブジェクトの円周上の参考ペダル作用力に対応付けられているクランク回転角度θbの位置に配される。また、参考ペダル作用力オブジェクトと計測ペダル作用力オブジェクトとを区別できるように、参考ペダル作用力を表すベクトルの態様と計測ペダル作用力を表すベクトルの態様とは異なっている。具体的には、両ベクトルの間で、線幅及び矢印の形状が異なっている。本実施の形態では、参考ペダル作用力ベクトルの方が太い。
最後に、ゾーン毎に合成差分ベクトルオブジェクトデータを作成し、RAM13cの合成差分ベクトルオブジェクト記憶領域に記憶する。合成差分ベクトルオブジェクト記憶領域は、パワーゾーン用の合成差分ベクトルオブジェクトデータを記憶するパワーゾーン部、引き足ゾーン用の合成差分ベクトルオブジェクトデータを記憶する引き足ゾーン部及び蹴り出しゾーン用の合成差分ベクトルオブジェクトデータを記憶する蹴り出しゾーン部で構成されている。各ゾーン用の合成差分ベクトルオブジェクトは、対応するゾーンが表現される部分の中心辺りに配される。図9に示すように、合成差分ベクトルオブジェクトは、白抜きの矢印で構成されており、矢印の向きが合成差分ベクトルの方向を表し、矢印の大きさが合成差分ベクトルの大きさを表している。本実施の形態においては、合成差分ベクトルの大きさは5つ設定されており、各合成差分ベクトルオブジェクトの大きさについて合成差分ベクトルの大きさの範囲が設定されている。
ステップS12において、ステップS8で作成した図面の元となるデータを表示部12に送信し、参考ペダル作用力と計測ペダル作用力との比較やペダリング改善案内等の情報を表示(報知)する情報表示処理を行う。
ステップS13において、計測終了条件が成立し、計測を終了することができることか否かを判定する。本実施の形態においては、計測終了のためのボタン操作を示す信号が送信されてくることが計測終了条件の成立となる。本ステップにおいて、計測終了条件が成立していないと判定すると、ステップS4に処理を移し、計測終了条件が成立したと判定すると当該メイン処理を終了する。
以上のように、ペダリング矯正補助装置によって、参考ペダル作用力及び計測ペダル作用力が表示され、参考ペダル作用力と計測ペダル作用力との関係が示されることで、運転者は参考ペダル作用力と計測ペダル作用力との相違点を理解し、ペダルへの荷重のかけ方、すなわち、ペダル作用力に関するペダリングを矯正することができる。また、クランク回転角度を算出し、クランク回転角度に対応付けて参考ペダル作用力と計測ペダル作用力との関係を表示することで、自分のペダル作用力に関するペダリングを一層正確に把握することができる。これは、クランクの回転とペダル作用力を発生させる足の運動とが連動・同期しているからである。さらに、参考ペダル作用力の大きさと計測ペダル作用力の大きさとの差の絶対値が所定の基準値以上の場合に参考ペダル作用力と計測ペダル作用力との関係が報知される。すなわち、ペダル作用力に関するペダリングが良くない場合に、その関係が報知される。このように、報知内容を必要最低限に抑えることで、情報を整理する手間が省け、ペダリングの矯正が容易になる。
また、ベクトルである参考ペダル作用力と計測ペダル作用力との差分の合成からなる合成差分ベクトルを報知することによって、ペダリングの矯正が案内されるので、容易に且つ正確にペダリングを矯正することができる。さらに、クランクの1回転をペダリングの構成要素(パワーゾーン、引き足、蹴り出し)に関連付けて複数の分割し、分割された所定の範囲毎に合成差分ベクトルを報知することで、さらに正確にペダリングを構成することができる。また、参考ペダル作用力と計測ペダル作用力との関係を、表示装置を用いて図形で表現することにより、ペダリング状態の把握が容易となる。
なお、サイクルコンピュータ1、クランク回転角度検出センサ2、回転方向成分検出センサ3及び放射方向成分検出センサ4が本発明のペダリング矯正補助装置を構成する。また、回転方向成分検出センサ3及び放射方向成分検出センサ4とペダル作用力回転方向成分情報取得部S32及びペダル作用力放射方向成分情報取得部S33とが本発明の実測値取得手段を構成し、差分算出部S4及び表示判定部S5が本発明の比較手段を構成する。また、図面作成部S8及び情報表示部S9が本発明の報知制御手段を構成し、表示部2が本発明の報知実行手段を構成する。さらに、クランク回転角度情報取得部S31が本発明のクランク回転角度情報取得手段を構成する。また、差分ベクトル算出部S6が本発明の差分ベクトル算出手段を構成し、差分ベクトル合成部S7が本発明の差分ベクトル合成手段を構成する。
(その他の実施の形態)
実施の形態1においては、参考データは参考データテーブルで構成されているが、クランク回転角度とペダル作用力の大きさとの関係を表す所定の計算式で構成されるようにしてもよい。これにより、参考データの精度が高くなるので、ペダリングの矯正を正確に行うことができる。また、ROM13b等の参考情報記憶部が予め記憶するデータ量の増大を抑えることができる。
また、実施の形態1では、参考データテーブルのクランク回転角度は1°間隔で設定されているが、この間隔の幅は限定されず、適宜に設定される。
また、実施の形態1においては、参考データとしての参考データテーブルは1種類であるが、複数種類の参考データテーブルが設定されていてもよい。この場合、例えば、参考データテーブルを自転車Bのタイヤのサイズや運転者の体型・性別・年齢・運転技術等のペダル作用力に関わる固有情報に関連付けて、これらの具体的態様の組み合わせに応じて参考データが異なるようにすることもできる。自転車や運転者に固有な性質によって、参考ペダル作用力が異なるので、参考データが正確になることで、ペダリングの矯正を正確に行うことができる。なお、この場合における固有情報は、例えば、ステップS1の固有情報処理において入力する。
さらに、参考ペダル作用力は、風向、運転者の姿勢、ギア比、地面の勾配等の走行中に変化し得る外部環境や運転者・自転車の走行状況に応じても異なる。よって、外部環境や運転者・自転車の走行状況を参考データに関連付けて設定し、走行状況を走行中に検出し、検出結果に基づいて参考データを選択することで、参考データが一層正確になり、ペダリングの矯正を一層正確に行うことができる。また、この場合、参考データをRAM13c等の記憶手段に記憶・蓄積させると共に、これらのデータに基づいて参考データを修正することも可能である。このように、運転者・自転車に固有の参考データを修正することで参考データの精度が向上し、一層正確にペダリングを矯正することができる。この場合において、運転者にとっても参考データの取得が自動化されるので、ペダリング矯正補助装置100の操作性の低下を防ぐことができる。
また、実施の形態1では、参考ペダル作用力及び計測ペダル作用力の表示の成否に対する判定の基準対象はペダル作用力の大きさであるペダル作用力値のみであるが、これに限られない。例えば、判定の基準対象は、両ペダル作用力の方向のみや、或いは、ベクトルであるペダル作用力の方向とペダル作用力値との双方と設定することもできる。さらに、参考ペダル作用力及び計測ペダル作用力の表示に係る判定は、クランクB31が1回転する度に行われているが、所定回数回転する毎に1回行う、すなわち、クランクB31が所定回数回転したら表示内容を更新するようにすることもできる。あるいは、この判定を所定時間に1回行うようにすることもできる。これにより、制御部13の負担が軽減される。
また、実施の形態1では、改善案内は、毎回算出されて表示されているが、参考ペダル作用力及び計測ペダル作用力の表示と同様に、所定条件が成立したときに表示するようにすることもできる。例えば、当該クランクの1回転において、上記の参考ペダル作用力及び計測ペダル作用力の表示に係る判定で表示をするという判定結果が所定回数以上の場合に全ゾーンについて表示するようにする。また、ゾーン毎に所定条件の成立判定を行うようにすることができる。さらに、参考ペダル作用力及び計測ペダル作用力の表示と同様に、ペダル作用力値の差分が基準値未満のときは表示しないようにすることもできる。
また、実施の形態1では、ゾーンは3種類設定されているが、ゾーンの種類は限定されず、適宜に設定される。さらに、例えば、ステップS1の情報入力処理においてゾーンを選択できるようにすることもできる。この場合、得意なゾーンと不得意なゾーンとが異なり、不得意なゾーンのみを表示したいと要望に対応することができる。また、実施の形態1では、ゾーンの範囲は固定されているが、変化するようにすることもできる。例えば、パワーゾーン、引き足ゾーン、蹴り出しゾーン等の範囲は地面の勾配により変化するので、ゾーンの範囲を地面の勾配に関連付け、地面の勾配を検出する。これにより、改善案内の精度が向上し、ペダリングの矯正を一層正確に行うことができる。
また、実施の形態1においては、目標データがROM13bに予め記憶されているが、目標データは、例えばSDカード等のペダリング矯正補助装置100に適応した記憶媒体に記憶され、記憶媒体用I/F13を介して取得されるようにしてもよい。また、ステップS1の情報入力処理において、ユーザIDを入力することにより、サーバ等で記憶されている目標データや運転者等の固有の情報が、通信用I/F13を介して取得されるようにしてもよい。
さらに、ペダル作用力の理想と現実の比較及びペダリングの改善案内の表示態様は実施の形態1に限られない。例えば、合成差分ベクトルの大きさを合成差分ベクトルオブジェクトの色や形状で分類することもできる。
また、実施の形態1では、両足に係るペダル作用力の理想と現実の比較及びペダリングの改善案内の表示を行っているが、いずれか一方の足についてのみを行うこともできる。さらには、例えばステップS1の情報入力処理において、どの足についてペダル踏力の理想と現実の比較及びペダリングの改善案内を表示するのかを選択するようにしてもよい。また、ステップS1の情報入力処理において表示内容も選択可能にすることもできる。
また、実施の形態1では、サイクルコンピュータ1によってペダル作用力の理想と現実及びペダリングの改善情報が表示されているが、携帯電話等の移動端末のアプリケーションソフトウェアによってペダル作用力の理想と現実及びペダリングの改善情報を判断して表示するようにすることもできる。この場合、移動端末は自転車Bに設置しても、運転者が携帯するようにしてもよい。また、ステップS5〜ステップS12は、自宅等に設置されたPC等の固定端末で実行されるようにしてもよい。この場合、クランク回転角度データ、ペダル作用力回転方向成分データ及びペダル作用力放射方向成分データ等の必要なデータは、例えば、サイクルコンピュータ1の記憶媒体用I/F13dを介してメモリカード等の記録媒体に保存して、記録媒体から固定端末に取り込む。また、サイクルコンピュータ1の通信用I/F13fを介して固定端末に送信して、固定端末に取り込む。
なお、固定端末で、ステップS5〜ステップS12を実行する場合、これらの処理を行うためのプログラムが記憶されたCD等の記憶媒体を固定端末に読み込んでも、これらの処理を行うためのプログラムが組み込まれたアプリケーションをサーバからダウンロードしてもよい。また、ステップS5〜ステップS12は移動端末や固定端末を介してサーバ上で実行されるようにしてもよい。
また、本発明のペダリング矯正補助装置手段は路上を走行する自転車以外に、スポーツジム等に設置されるトレーニング用の走行不能なエクササイズバイク、又は、人力でペダルを漕いで推進する船(例えば、スワンボート)等のペダルに連結されたクランクを回転させる乗り物に適用することができる。
また、実施の形態1においては、本発明の報知実行手段が液晶表示装置で構成されているが、報知実行手段はこれに限られない。例えば、CRT、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の他の表示装置でもよい。また、報知実行手段は、表示装置ではなく、スピーカー等の音響装置やライト等の照明装置でもよい。
また、実施の形態1においては、クランクB31の1回転が分割され、それぞれのゾーン毎に合成ベクトルが表示されるが、ゾーン毎に表示される情報は合成ベクトルに限られない。各ゾーン内で最大の大きさをもつ差分ベクトルを表示してもよい。
1 サイクルコンピュータ
2 クランク回転角度検出センサ
3 回転方向成分検出センサ
4 放射方向成分検出センサ
6 取付部材
11 入力部
11a ボタン
11b ボタン
11c ボタン
11d 電源スイッチ
11e 入力制御回路
12 表示部
12a 液晶パネル
12e 表示制御回路
13 制御部
13a CPU
13b ROM
13c RAM
13d 記録媒体用I/F
13e センサ用I/F
13f 通信用I/F
13g 発振回路
13h バス
14 筐体
100 ペダリング矯正補助装置
B 自転車
B1 フレーム
B2 車輪
B21 前輪
B22 後輪
B3 駆動機構
B31 クランク
B311 左クランクシャフト
B312 右クランクシャフト
B32 ペダル
B321 左ペダル
B322 右ペダル
B33 チェーン
S1 固有情報取得部
S2 参考情報取得部
S3 走行状況情報取得部
S31 クランク回転角度情報取得部
S32 ペダル作用力回転方向成分情報取得部
S33 ペダル作用力放射方向成分情報取得部
S4 差分算出部
S5 表示判定部
S6 差分ベクトル算出部
S7 差分ベクトル合成部
S8 図面作成部
S9 情報表示部

Claims (8)

  1. 車体に回転自在に連結されたクランクと、当該クランクに連結されたペダルとを具備し、前記ペダルに荷重がかかることによって前記クランクが回転する乗り物のペダリングの際に、前記クランクの回転角度を検出するクランク回転角度検出手段と、
    記ペダルに作用する力であるペダル作用力を表すベクトルを前記クランクの回転角度に対応付けて実測値として取得する実測値取得手段と、
    予め設定されたペダル作用力を表すベクトルを前記クランクの回転角度に対応付けて参考データとして記憶する参考データ記憶手段と、
    前記クランクの回転角度に対応付けて、前記実測値に係るベクトルと、前記参考データに係るベクトルとの差分である差分ベクトルを算出する差分ベクトル算出手段と、
    前記クランクの回転角度の所定の範囲における前記差分ベクトルを合成する差分ベクトル合成手段と、
    報知実行手段に、前記差分ベクトル合成手段により合成された前記差分ベクトルと、その差分ベクトルに係る前記クランクの回転角度の所定の範囲とを対応付けて報知させる報知制御手段と、を有することを特徴とするペダリング矯正補助装置。
  2. 前記クランクの回転角度に関連付けて前記参考データと前記実測値とを比較する比較手段を有し、
    前記報知制御手段は、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記クランクの回転角度に対応付けて前記参考データと前記実測値との関係を前記報知実行手段に報知させることを特徴とする請求項1に記載のペダリング矯正補助装置。
  3. 前記比較手段は、前記参考データと前記実測値との差分を算出し、
    前記報知制御手段は、前記差分が所定の基準値以上である場合に、前記参考データと前記実測値との関係を前記報知実行手段に報知させることを特徴とする請求項2に記載のペダリング矯正補助装置。
  4. 前記報知制御手段は、前記クランクの回転角度の所定の範囲における前記参考データと前記実測値との関係を前記報知実行手段に報知させることを特徴とする請求項3に記載のペダリング矯正補助装置。
  5. 前記報知実行手段は、表示装置を含み、
    前記報知制御手段は、前記表示装置に、
    前記ペダルの回転軌道を円周で表示させ、
    前記クランクの回転角度の所定の範囲を、前記円周と前記円周の中心から前記円周上の点を結ぶ2本の直線とで囲まれた部分で表示させ、
    前記囲まれた部分に、当該囲まれた部分に対応する前記クランクの回転角度の所定の範囲に係る前記合成差分ベクトルを表す画像を表示させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のペダリング矯正補助装置。
  6. 車体に回転自在に連結されたクランクと、当該クランクに連結されたペダルとを具備し、前記ペダルに荷重がかかることによって前記クランクが回転する乗り物のペダリングの際に、前記クランクの回転角度を検出し、
    前記ペダルに作用する力であるペダル作用力を表すベクトルを前記クランクの回転角度に対応付けて実測値として取得し、
    前記クランクの回転角度に対応付けて予め設定されているペダル作用力を表す参考データとしてのベクトルと、前記実測値に係るベクトルとの差分である差分ベクトルを算出し、
    前記クランクの回転角度の所定の範囲における前記差分ベクトルを合成し、
    前記合成された前記差分ベクトルと、その差分ベクトルに係る前記クランクの回転角度の所定の範囲とを対応付けて報知実行手段において報知することを特徴とするペダリング矯正補助方法。
  7. コンピュータに、
    車体に回転自在に連結されたクランクと、当該クランクに連結されたペダルとを具備し、前記ペダルに荷重がかかることによって前記クランクが回転する乗り物のペダリングの際に、前記クランクの回転角度を検出するクランク回転角度検出手段に前記クランクの回転角度を検出させるクランク回転角度取得機能と、
    前記ペダルに作用する力であるペダル作用力を表すベクトルを前記クランクの回転角度に対応付けて実測値として取得する実測値取得機能と、
    前記クランクの回転角度に対応付けて予め設定されたペダル作用力を表す参考データとしてのベクトルと前記実測値に係るベクトルとの差分である差分ベクトルを算出する差分ベクトル算出機能と、
    前記クランクの回転角度の所定の範囲における前記差分ベクトルを合成する差分ベクトル合成機能と、
    報知実行手段に、前記差分ベクトル合成機能により合成された前記差分ベクトルと、その差分ベクトルに係る前記クランクの回転角度の所定の範囲とを対応付けて報知させる報知制御機能と、を実現させるためのプログラム。
  8. コンピュータに、
    車体に回転自在に連結されたクランクと、当該クランクに連結されたペダルとを具備し、前記ペダルに荷重がかかることによって前記クランクが回転する乗り物のペダリングの際に、前記クランクの回転角度を検出するクランク回転角度検出手段に前記クランクの回転角度を検出させるクランク回転角度取得機能と、
    前記ペダルに作用する力であるペダル作用力を表すベクトルを前記クランクの回転角度に対応付けて実測値として取得する実測値取得機能と、
    前記クランクの回転角度に対応付けて予め設定されたペダル作用力を表す参考データとしてのベクトルと前記実測値に係るベクトルとの差分である差分ベクトルを算出する差分ベクトル算出機能と、
    前記クランクの回転角度の所定の範囲における前記差分ベクトルを合成する差分ベクトル合成機能と、
    報知実行手段に、前記差分ベクトル合成機能により合成された前記差分ベクトルと、その差分ベクトルに係る前記クランクの回転角度の所定の範囲とを対応付けて報知させる報知制御機能と、を実現させるためのプログラムを記録した媒体。
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