本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1におけるファクシミリ装置と回線網の接続を示す概略図である。
ファクシミリ装置10は、電話機能とファクシミリ機能の自動切替モードを有する通信端末であり、例えばファクシミリや、ファクシミリ機能とコピー機能とを有しているMFP(Multi Function Printer)等である。ファクシミリ装置10は、外付電話機200に接続されると共に、電話回線(以下、「回線」という。)100を介して回線網101に接続されている。外付電話機200は、図示しない相手側の通信端末と音声の送受信を行う音声通話部である。
ファクシミリ装置10は、回線網101及び外付電話機200を制御する回線制御部11と、原稿の画像を読み取るスキャナ部12と、画像を記録媒体に印刷する印刷部13とを有している。
回線制御部11は、回線100を介して回線網101と接続されると共に、外付電話機200と、スキャナ部12と、印刷部13とが接続されている。スキャナ部12には、印刷部13が接続されている。
ファクシミリ装置10のファクシミリ動作モードにおいて、スキャナ部12で読み取った原稿は、ファクシミリ・データに変換されたのちに回線制御部11と回線網101を介して図示しない相手側の通信端末に送信される。図示しない相手側の通信端末から回線網101を介してファクシミリ・データが送られてきたならば、回線制御部11を介して印刷部13で印刷される。ファクシミリ装置10のコピー動作モードにおいて、原稿はスキャナ部12で読み取られたのちに印刷部13で印刷される。
図示しない相手側の電話機から回線網101を介して音声通話のリング信号が発信されたならば、回線制御部11は、外付電話機200のフックアップを待ち、外付電話機200がフックアップされたならば、外付電話機200と図示しない相手側の電話機との間で音声通話が開始する。
図3は、本発明の実施例1におけるファクシミリ装置の回線制御部を示す概略の構成図である。
回線制御部11は、通信制御部20と、モデム30と、半導体データアクセス装置(以下、「シリコンDAA(Data Access Arrangement)」という。)50と、モデム30とシリコンDAA50との間で信号を送受信する絶縁受渡部40と、シリコンDAA50と回線100との間で信号を送受信する絶縁受渡部61と、回線100の信号を直流信号に変換するダイオードブリッジ60と、この直流信号を保持する直流保持部62と、外付電話機200と回線100との間の接続と非接続を切替えるリレー64と、外付電話機200がフックアップされたか否かを検知する外付電話フックアップ検出部63と、外付電話フックアップ検出部63が検出した信号を通信制御部20に通知するフォトカプラ65とを備えている。
通信制御部20は、回線直流抵抗値保持部21と、回線直流抵抗値決定部22と、リング検出判断部23と、タイマ27と、外付電話フックアップ判断部24とを有しており、この回線制御部11全体を制御する機能を有している。
回線直流抵抗値保持部21の出力側は、回線直流抵抗値決定部22の入力側に接続されている。回線直流抵抗値保持部21は、直流保持部62における抵抗値を保持する機能を有している。
リング検出判断部23はモデム30と接続されており、リング検出判断部23の出力側はタイマ27と接続されている。リング検出判断部23は、回線100上のリング信号110をシリコンDAA50及びモデム30を介して受信し、このリング信号110のオン/オフの時間の判定によって、リング信号110として正しいか否かを判断する。
タイマ27の入力側は、リング検出判断部23の出力側と接続されている。タイマ27の出力側は、回線直流抵抗値決定部22の入力側に接続されている。タイマ27は、リング検出判断部23がリング信号110を検出したときにスタートし、タイマ27がタイムアウトしたときに、回線直流抵抗値決定部22にタイムアウト情報を通知する。
回線直流抵抗値決定部22の入力側は、回線直流抵抗値保持部21の出力側とタイマ27の出力側に接続されている。回線直流抵抗値決定部22の出力側は、モデム30と接続されている。回線直流抵抗値決定部22は、タイマ27からタイムアウトが通知されたとき、回線直流抵抗値保持部21が保持していた抵抗値をシリコンDAA50に通知する機能を有している。
外付電話フックアップ判断部24の入力側は、フォトカプラ65の出力側に接続されており、外付電話フックアップ判断部24の出力側は、モデム30と接続されている。外付電話フックアップ判断部24は、フォトカプラ65を介して外付電話フックアップ検出部63の情報を得て、直流保持部62に流れる電流を切断する機能を有している。
モデム30は、制御インタフェース(以下、「I/F」という)31と、I/F32とを有している。制御I/F31は、通信制御部20とI/F32とに接続されている。I/F32は、更に絶縁受渡部40を介してシリコンDAA50に接続されている。モデム30は、シリコンDAA50を介して回線100からの信号を通信制御部20に送信する機能と、通信制御部20からの信号を絶縁受渡部40及びシリコンDAA50を介して回線100に送信する機能とを有している。
絶縁受渡部40は、通信制御部20とモデム30とを回線100及びシリコンDAA50から直流的に分離すると共に、モデム30とシリコンDAA50との間で信号を送受信する機能を有している。絶縁受渡部40は、モデム30のI/F32及びシリコンDAA50のI/F51と接続されている。
シリコンDAA50は、I/F51と、リング検出部52と、直流ループ切替部53と、回線電流制御部54と、インピーダンス切替部55とを有しており、回線100とモデム30との間で信号を送受信する機能を有している。
I/F51は、一方が絶縁受渡部40に接続され、他方がリング検出部52の出力側と、直流ループ切替部53と回線電流制御部54の入力側に接続されている。I/F51は、回線100からの信号を、絶縁受渡部40を介してモデム30へ送信し、絶縁受渡部40を介して受信したモデム30からの信号を、回線100へ送信するインタフェースである。
リング検出部52の入力側は、絶縁受渡部61を介して回線100に接続されている。リング検出部52の出力側は、I/F51に接続されている。リング検出部52は、回線100からのリング信号110を検出し、検出結果をI/F51と絶縁受渡部40とモデム30を介してリング検出判断部23に送信する機能を有している。
直流ループ切替部53の入力側は、I/F51に接続されている。直流ループ切替部53の出力側は、直流保持部62と接続されている。直流ループ切替部53は、リング検出判断部23から指示を受けて、直流保持部62に電流を流すか否かを切替えることにより、第1の直流ループ81を形成するか否かを切替える機能を有している。
回線電流制御部54の入力側はI/F51に接続され、出力側はインピーダンス切替部55に接続されている。回線電流制御部54は、回線直流抵抗値決定部22から指示を受けて、インピーダンス切替部55に対してインピーダンスの切替を指示する機能を有している。
インピーダンス切替部55の出力側は直流保持部62に接続されている。インピーダンス切替部55は、回線電流制御部54の制御信号により選択抵抗71−1〜72−4のいずれか1つをグランドに接続する機能を有している。
直流保持部62は、回線100の電流を保持するために、ダイオードブリッジ60のプラス端子からインピーダンス切替部55を介してグランドに接続されている。直流保持部62の入力側は、直流ループ切替部53の出力側に接続されている。直流保持部62は、直流ループ切替部53から電流を流すか否かをの指示を受けることにより、第1の直流ループ81を形成するか否かを切替える機能を有している。
絶縁受渡部61は、一方が回線100に接続されており、他方がシリコンDAA50のリング検出部52に接続されている。絶縁受渡部61は、回線100の直流成分をカットしてリング検出部52に回線100の交流成分のみを供給する機能を有している。
ダイオードブリッジ60は、A端子とB端子とが回線100に、プラス端子が直流保持部62に、マイナス端子がグランドに接続されている。ダイオードブリッジ60は、A端子及びB端子からプラス端子の方向にダイオードが接続されていると共に、マイナス端子からA端子及びB端子の方向にダイオードが接続されている。ダイオードブリッジ60は、回線100の極性を直流保持部62に合わせるもので、回線100の極性反転に関わらず、直流保持部62には常に直流が供給される機能を有している。ダイオードブリッジ60は、回線100を整流する整流ブリッジ部である。
リレー64は、2端子からなる信号線を接続するか否かを切替える機能を有している。リレー64の一方の2端子は、それぞれ回線100に接続されており、他方の2端子は外付電話フックアップ検出部63を介して外付電話機200に接続されている。
リレー64は、ファクシミリ装置10が待機状態の場合には、外付電話機200と回線100とを接続状態とし、ファクシミリ通信の場合には、外付電話機200と回線100とを非接続状態として、外付電話機200のノイズがシリコンDAA50を介してモデム30に入らないようにする機能を有している。
外付電話フックアップ検出部63は、外付電話機200のフックアップを検知するため、リレー64と外付電話機200との間に接続され、外付電話機200のフックアップを検知したか否かの出力信号を送信するため、フォトカプラ65を介して、通信制御部20の外付電話フックアップ判断部24に接続されている。外付電話フックアップ検出部63は、回線100に流れる電流によって動作する。外付電話機200がフックアップされた場合、第2の直流ループ82が形成される。
図1は、本発明の実施例1におけるファクシミリ装置のインピーダンス切替部及び直流保持部を示す概略の構成図である。
インピーダンス切替部55は、スイッチSW0と、スイッチSW1と、スイッチSW2と、スイッチSW3と、スイッチSW4とを有しており、回線電流制御部54からの指示によって直流保持部62のインピーダンスを切替える機能を有している。
スイッチSW0は、回線電流制御部54の出力側に接続されている。スイッチSW0は、回線電流制御部54からの切替信号によって、一方の1端子と他方の4端子との接続を切替える機能を有している。一方の1端子はグランドに接続されており、他方の4端子はそれぞれスイッチSW1〜SW4と接続されている。
スイッチSW1は、回線電流制御部54の出力側に接続されている。スイッチSW1は、回線電流制御部54からの切替信号によって、一方の1端子と他方の2端子との接続を切替える機能を有している。一方の1端子は、スイッチSW0の4端子のいずれかに接続されており、他方の2端子はそれぞれ選択抵抗71−1と、選択抵抗72−1とに接続されている。
スイッチSW2は、回線電流制御部54の出力側に接続されている。スイッチSW2は、回線電流制御部54からの切替信号によって、一方の1端子と他方の2端子との接続を切替える機能を有している。一方の1端子は、スイッチSW0の4端子のいずれかに接続されており、他方の2端子はそれぞれ選択抵抗71−2と、選択抵抗72−2とに接続されている。
スイッチSW3は、回線電流制御部54の出力側に接続されている。スイッチSW3は、回線電流制御部54からの切替信号によって、一方の1端子と他方の2端子との接続を切替える機能を有している。一方の1端子は、スイッチSW0の4端子のいずれかに接続されており、他方の2端子はそれぞれ選択抵抗71−3と、選択抵抗72−3とに接続されている。
スイッチSW4は、回線電流制御部54の出力側に接続されている。スイッチSW4は、回線電流制御部54からの切替信号によって、一方の1端子と他方の2端子との接続を切替える機能を有している。一方の1端子は、スイッチSW0の4端子のいずれかに接続されており、他方の2端子はそれぞれ選択抵抗71−4と、選択抵抗72−4とに接続されている。
直流保持部62は、選択抵抗71−1〜71−4,72−1〜72−4と、半導体部74と、スイッチSW5とを有している。選択抵抗72−1は、選択抵抗71−1よりも大きなインピーダンスを有している。同様に、選択抵抗72−2〜72−4は、それぞれ選択抵抗71−2〜71−4よりも大きなインピーダンスを有している。
スイッチSW5は、直流ループ切替部53の出力側に接続されている。スイッチSW5は、直流ループ切替部53からの切替信号によって、一方の1端子と他方の1端子との接続/非接続を切替える機能を有している。一方の1端子は半導体部74を介して、選択抵抗71−1〜4,72−1〜4と並列に接続されており、他方の1端子はダイオードブリッジ60のプラス端子に接続されている。
これらのスイッチSW0〜スイッチSW5の接続状態に応じて、直流保持部62の特性は以下のようになる。
スイッチSW5が接続状態で、スイッチSW0がスイッチSW1と接続され、且つ、スイッチSW1が選択抵抗71−1と接続されているとき、直流保持部62のインピーダンスは、選択抵抗71−1と半導体部74との和となる。スイッチSW5が接続状態で、スイッチSW0がスイッチSW1と接続され、且つ、スイッチSW1が選択抵抗72−1と接続されているとき、直流保持部62のインピーダンスは、選択抵抗72−1と半導体部74との和となり、選択抵抗71−1が選択されているときよりもインピーダンスは大きくなる。
スイッチSW5が接続状態で、スイッチSW0がスイッチSW2と接続され、且つ、スイッチSW2が選択抵抗71−2と接続されているとき、直流保持部62のインピーダンスは、選択抵抗71−2と半導体部74との和となる。スイッチSW5が接続状態で、スイッチSW0がスイッチSW2と接続され、且つ、スイッチSW2が選択抵抗72−2と接続されているとき、直流保持部62のインピーダンスは、選択抵抗72−2と半導体部74との和となり、選択抵抗71−2が選択されているときよりもインピーダンスは大きくなる。
スイッチSW5が接続状態で、スイッチSW0がスイッチSW3と接続され、且つ、スイッチSW3が選択抵抗71−3と接続されているとき、直流保持部62のインピーダンスは、選択抵抗71−3と半導体部74との和となる。スイッチSW5が接続状態で、スイッチSW0がスイッチSW3と接続され、且つ、スイッチSW3が選択抵抗72−3と接続されているとき、直流保持部62のインピーダンスは、選択抵抗72−3と半導体部74との和となり、選択抵抗71−3が選択されているときよりもインピーダンスは大きくなる。
スイッチSW5が接続状態で、スイッチSW0がスイッチSW4と接続され、且つ、スイッチSW4が選択抵抗71−4と接続されているとき、直流保持部62のインピーダンスは、選択抵抗71−4と半導体部74との和となる。スイッチSW5が接続状態で、スイッチSW0がスイッチSW4と接続され、且つ、スイッチSW4が選択抵抗72−4と接続されているとき、直流保持部62のインピーダンスは、選択抵抗72−4と半導体部74との和となり、選択抵抗71−4が選択されているときよりもインピーダンスは大きくなる。
スイッチSW5が非接続状態のとき、直流保持部62のインピーダンスは無限大となり、直流は流れなくなる。
直流保持部62のインピーダンスは、インピーダンス切替部55の接続状態に応じて決定される。直流保持部62のインピーダンスは、直流保持部62の半導体部74によって非線形の特性となる。
図4は、選択抵抗71−1,72−1の場合の直流保持部の特性を示す図である。
図4の横軸は直流保持部62に流れる電流を示し、縦軸は直流保持部62に発生する電圧を示す。プロットは、それぞれ選択抵抗71−1に切替えた場合と、選択抵抗72−1に切替えた場合における直流保持部62の特性を示している。選択抵抗72−1の方が選択抵抗71−1よりもインピーダンスが大きく、よって同一電流値における電圧値が高いことを示している。
図5は、選択抵抗71−2,72−2の場合の直流保持部の特性を示す図である。
図5の横軸は直流保持部62に流れる電流を示し、縦軸は直流保持部62に発生する電圧を示す。プロットは、それぞれ選択抵抗71−2に切替えた場合と、選択抵抗72−2に切替えた場合における直流保持部62の特性を示しており、選択抵抗72−2の方が選択抵抗71−2よりもインピーダンスが大きく、よって同一電流値における電圧値が高いことを示している。
図6は、選択抵抗71−3,72−3の場合の直流保持部の特性を示す図である。
図6の横軸は直流保持部62に流れる電流を示し、縦軸は直流保持部62に発生する電圧を示す。プロットは、それぞれ選択抵抗71−3に切替えた場合と、選択抵抗72−3に切替えた場合における直流保持部62の特性を示しており、選択抵抗72−3の方が選択抵抗71−3よりもインピーダンスが大きく、よって同一電流値における電圧値が高いことを示している。
図7は、選択抵抗71−4,72−4の場合の直流保持部の特性を示す図である。
図7の横軸は直流保持部62に流れる電流を示し、縦軸は直流保持部62に発生する電圧を示す。プロットは、それぞれ選択抵抗71−4に切替えた場合と、選択抵抗72−4に切替えた場合における直流保持部62の特性を示しており、選択抵抗72−4の方が選択抵抗71−4よりもインピーダンスが大きく、よって同一電流値における電圧値が高いことを示している。
図8は、図3の回線制御部における第1の直流ループを示す図である。
直流ループ切替部53の指示によって直流保持部62のスイッチSW5が閉じられると、回線100は、ダイオードブリッジ60を介して直流保持部62に流れ、第1の直流ループ81を形成する。この第1の直流ループ81によって、回線100に電流を保持することができる。
図9は、図3の回線制御部における第1の直流ループと第2の直流ループを示す図である。
外付電話機200がフックアップされることにより、外付電話機200と回線100とが接続され、リレー64と外付電話フックアップ検出部63を介して回線100が第2の直流ループ82を形成する。外付電話フックアップ検出部63は、この第2の直流ループ82を流れる電流を検知することによって、外付電話機200がフックアップされたか否かを検出する。
(実施例1の動作)
図10は、本発明の実施例1におけるタイムチャートを示す図である。
図10の横方向はタイミングを時系列で示し、縦方向はタイミングの主体を列挙して示している。なお、タイミングの幅は時系列の順番のみを示しており、タイミングの幅は時間の長さと対応していない。
タイミングT1において、回線網101に接続されている図示しない相手側の通信端末から、回線100を介してリング信号110が送信される。タイミングT2において、シリコンDAA50内のリング検出部52にリング信号110が入力される。タイミングT3において、通信制御部20のリング検出判断部23に、リング検出部52の出力信号が入力され、リング信号110として正常であるか否かを判断する。
タイミングT4において、リング検出判断部23がリング信号110として正常であると判断したら、タイミングT5において、直流ループ切替部53は、スイッチSW5を閉じるように直流保持部62を制御する。タイミングT6において、外線電話機200のフックアッップを検出するため、図8に示す第1の直流ループ81が形成されると共に、タイマ27がスタートする。
タイミングT7において、通信制御部20の図示しない疑似リングバックトーン送出部は、モデム30とシリコンDAA50を介して疑似リングバックトーン111を回線100に送信する。この疑似リングバックトーン111は、相手側の通信端末に送出されて無音をなくし、あたかも呼び出し中であるかのようにする。
タイミングT8において、タイマ27がタイムアウトすると、タイミングT9において、回線直流抵抗値保持部21は、インピーダンス切替部55が選択抵抗71−1〜71−4のいずれを用いているかを回線直流抵抗値決定部22に通知する。
タイミングT10において、回線直流抵抗値決定部22は、回線直流抵抗値保持部21から通知された情報に基づき、更に高いインピーダンスに切替えるために選択抵抗72−1〜72−4のいずれかを選択するように回線電流制御部54に通知する。
タイミングT11において、回線電流制御部54は、インピーダンス切替部55に、選択抵抗72−1〜72−4のいずれかへの切替えを指示する。
タイミングT12において、インピーダンス切替部55は、スイッチSW1〜SW4を切替えることにより、選択抵抗71−1〜71−4から選択抵抗72−1〜72−4への切替えを行う。直流保持部62は、インピーダンス特性が大きいものに切替わる。
タイミングT13において、通信制御部20は、ソフトリンガ112の鳴動を開始する。ソフトリンガ112は、装置本体が持つスピーカやブザー等を鳴動させることをいう。ソフトリンガ112は、ユーザに外付電話機200のフックアップを促すものである。
タイミングT14において、外付電話機200がフックアップされると、タイミングT15において、図9に示す第2の直流ループ82が形成され、タイミングT16において、外付電話フックアップ検出部63は、外付電話機200のフックアップを検出する。
タイミングT17において、外付電話フックアップ判断部24は、外付電話機200がフックアップされたか否かを判断する。外付電話機200がフックアップされたと判断したら、タイミングT18において、外付電話フックアップ判断部24は、直流ループ切替部53にスイッチSW5を開くよう指示する。タイミングT19において、直流ループ切替部53は、直流保持部62の直流を切断する。タイミングT20において、第1の直流ループ81は切断される。
図11は、本発明の実施例1におけるファクシミリ装置の通信制御部の動作を示すフローチャートである。
処理が開始すると、通信制御部20は、ステップS1において、リング信号110を検出するまで待つ。ステップS2において、リング信号110が正常であるか否かを判断する。正常でないならばエラーとして図11の処理を終了する。
通信制御部20は、ステップS3において直流保持部62を接続し、ステップS4においてタイマ27のカウントを開始し、ステップS5において一定周期で疑似リングバックトーン111を送信するよう制御する。
通信制御部20は、ステップS6において、フックアップされたか否かを判断し、フックアップされたならばステップS12の処理を行う。ステップS7においてタイマ27がタイムアウトしたか否かを判断し、タイムアウトしていなかったならばステップS6の処理に戻る。
通信制御部20は、ステップS8において、回線100の直流特性に対応した値を設定値として、ステップS9において、この値をインピーダンス切替部55に指示し、ステップS10において、一定周期のソフトリンガ112の鳴動を開始する。
ステップS11において、通信制御部20は、外付電話機200がフックアップされるまで待つ。外付電話機200がフックアップされたならば、ステップS12において、直流保持部62の直流を切断し、図11の処理を終了する。
(実施例1の効果)
本実施例1のファクシミリ装置10によれば、次の(A)のような効果がある。
(A) リング信号110の検出後、一定時間が経過しても外付電話機200のフックアップが検出されなかったならば、直流保持部62のインピーダンスを上げる。これにより、回線100の電流が少ない場合においても、外付電話機200のフックアップを確実に検出できる。
(実施例2の構成)
図12は、本発明の実施例2におけるファクシミリ装置の回線制御部を示す概略の構成図であり、実施例1を示す図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例2のファクシミリ装置10Aの回線制御部11Aは、図3中の実施例1の回線制御部11と異なる通信制御部20AとシリコンDAA50Aと直流保持部62Aとを有している他は、実施例1の回線制御部11と同様である。
本実施例2のシリコンDAA50Aは、図3中の実施例1のシリコンDAA50とは異なるインピーダンス切替部55Aを有しているほか、更に、直流保持部62Aに発生する直流電圧を監視する回線電圧監視部56を有している。
回線電圧監視部56は、直流保持部62Aの出力側とI/F51に接続されている。回線電圧監視部56は、直流保持部62Aの直流電圧を監視し、絶縁受渡部40とモデム30を介して、回線電圧取得部25に送信する。
本実施例2の通信制御部20Aは、図3中の実施例1の通信制御部20に加えて、直流保持部62Aに発生する直流電圧を取得する回線電圧取得部25と、直流保持部62Aのインピーダンス特性と直流電圧から電流を算出し、この電流が規格に適合しているか否かを判断する回線規格判断部26を有している。
回線電圧取得部25は、リング検出判断部23の出力側とモデム30の制御I/F31に接続されている。回線電圧取得部25の出力側は、回線規格判断部26に接続されている。回線電圧取得部25は、モデム30を介して回線電圧監視部56が監視した直流保持部62Aの直流電圧を受信する。
回線規格判断部26は、回線直流抵抗値保持部21と回線電圧取得部25の出力側に接続されており、回線規格判断部26の出力側は、回線直流抵抗値決定部22に接続されている。回線規格判断部26は、回線直流抵抗値保持部21から選択抵抗71−1、選択抵抗71−2、選択抵抗71−3、又は選択抵抗71−4のいずれが使用されているかを取得して直流保持部62Aのインピーダンス特性を判断すると共に、回線電圧取得部25から直流保持部62Aの直流電圧を取得する。この直流保持部62Aのインピーダンス特性と直流電圧に基づいて、回線100に流れる電流を算出し、回線電流の規格値下限と比較する。
図13は、図12のインピーダンス切替部と直流保持部を示す概略の構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例2のインピーダンス切替部55Aは、図1中の実施例1のインピーダンス切替部55のスイッチSW1〜SW4とは異なるスイッチSW1A〜SW4Aを備えているほかは、実施例1のインピーダンス切替部55と同様である。
スイッチSW1Aは、回線電流制御部54からの切替信号によって、一方の1端子と他方の3端子との接続を切替える機能を有している。一方の1端子は、スイッチSW0の4端子のいずれかに接続されており、他方の3端子はそれぞれ選択抵抗71−1と、選択抵抗72−1と、選択抵抗73−1に接続されている。
スイッチSW2Aは、回線電流制御部54からの切替信号によって、一方の1端子と他方の3端子との接続を切替える機能を有している。一方の1端子は、スイッチSW0の4端子のいずれかに接続されており、他方の3端子はそれぞれ選択抵抗71−2と、選択抵抗72−2と、選択抵抗73−2に接続されている。
スイッチSW3Aは、回線電流制御部54からの切替信号によって、一方の1端子と他方の3端子との接続を切替える機能を有している。一方の1端子は、スイッチSW0の4端子のいずれかに接続されており、他方の3端子はそれぞれ選択抵抗71−3と、選択抵抗72−3と、選択抵抗73−3に接続されている。
スイッチSW4Aは、回線電流制御部54からの切替信号によって、一方の1端子と他方の3端子との接続を切替える機能を有している。一方の1端子は、スイッチSW0の4端子のいずれかに接続されており、他方の3端子はそれぞれ選択抵抗71−4と、選択抵抗72−4と、選択抵抗73−4に接続されている。
本実施例2の直流保持部62Aは、実施例1の直流保持部62と同様に、選択抵抗71−1〜71−4,72−1〜72−4と、半導体部74と、スイッチSW5とを有し、更に、選択抵抗73−1〜73−4を有している。選択抵抗73−1〜73−4は、それぞれ選択抵抗72−1〜72−4よりも大きなインピーダンスを有しており、インピーダンス切替部55AのスイッチSW1A〜SW4Aの3端子のいずれかと、半導体部74との間に接続されている。
図14は、選択抵抗71−1〜73−1の場合の直流保持部の特性を示す図である。
図14の横軸は直流保持部62Aに流される電流を示し、縦軸は直流保持部62Aに発生する電圧を示す。プロットは、上から順に選択抵抗73−1、回線規格の上限の直流抵抗、選択抵抗72−1,71−1に切替えた場合における直流保持部62Aの特性を示している。縦の破線は、回線電流の規格値下限を示している。選択抵抗71−1が選択され、直流保持部62Aに電圧V1が発生している場合において、直流保持部62Aには電流I1が流れていることと、電流I1は回線電流の規格値下限よりも少ないことを示している。
選択抵抗72−1に切替えた方が選択抵抗71−1よりもインピーダンスが大きく、回線規格の上限の方が選択抵抗72−1よりもインピーダンスが大きく、且つ選択抵抗73−1に切替えた方が回線規格の上限よりもインピーダンスが大きい。よって、直流保持部62Aに発生する電圧値は、選択抵抗72−1に切替えた方が選択抵抗71−1に切替えたよりも高く、選択抵抗73−1に切替えた方が更に高いことを示している。
図15は、選択抵抗71−2〜73−2の場合の直流保持部の特性を示す図である。
図15の横軸は直流保持部62Aに流される電流を示し、縦軸は直流保持部62Aに発生する電圧を示す。プロットは、上から順に選択抵抗73−2、回線規格の上限の直流抵抗、選択抵抗72−2,71−2に切替えた場合における直流保持部62Aの特性を示している。縦の破線は、回線電流の規格値下限を示している。選択抵抗71−2が選択され、直流保持部62Aに電圧V2が発生している場合において、直流保持部62Aには電流I2が流れていることと、電流I2は回線電流の規格値下限よりも少ないことを示している。
選択抵抗72−2に切替えた方が選択抵抗71−2よりもインピーダンスが大きく、回線規格の上限の方が選択抵抗72−2よりもインピーダンスが大きく、且つ選択抵抗73−2に切替えた方が回線規格の上限よりもインピーダンスが大きい。よって、直流保持部62Aに発生する電圧値は、選択抵抗72−2に切替えた方が選択抵抗71−2に切替えたよりも高く、選択抵抗73−2に切替えた方が更に高いことを示している。
図16は、選択抵抗71−3〜73−3の場合の直流保持部の特性を示す図である。
図16の横軸は直流保持部62Aに流される電流を示し、縦軸は直流保持部62Aに発生する電圧を示す。プロットは、上から順に選択抵抗73−3、回線規格の上限の直流抵抗、選択抵抗72−3,71−3に切替えた場合における直流保持部62Aの特性を示している。
縦の破線は、回線電流の規格値下限を示している。選択抵抗71−3が選択され、直流保持部62Aに電圧V3が発生している場合において、直流保持部62Aには電流I3が流れていることと、電流I3は回線電流の規格値下限よりも少ないことを示している。
選択抵抗72−3に切替えた方が選択抵抗71−3よりもインピーダンスが大きく、回線規格の上限の方が選択抵抗72−3よりもインピーダンスが大きく、且つ選択抵抗73−3に切替えた方が回線規格の上限よりもインピーダンスが大きい。よって、直流保持部62Aに発生する電圧値は、選択抵抗72−3に切替えた方が選択抵抗71−3に切替えたよりも高く、選択抵抗73−3に切替えた方が更に高いことを示している。
図17は、選択抵抗71−4〜73−4の場合の直流保持部の特性を示す図である。
図17の横軸は直流保持部62Aに流される電流を示し、縦軸は直流保持部62Aに発生する電圧を示す。プロットは、上から順に選択抵抗73−4、回線規格の上限の直流抵抗、選択抵抗72−4,71−4に切替えた場合における直流保持部62Aの特性を示している。
縦の破線は、回線電流の規格値下限を示している。選択抵抗71−4が選択され、直流保持部62Aに電圧V4が発生している場合において、直流保持部62Aには電流I4が流れていることと、電流I4は回線電流の規格値下限よりも少ないことを示している。
選択抵抗72−4に切替えた方が選択抵抗71−4よりもインピーダンスが大きく、回線規格の上限の方が選択抵抗72−4よりもインピーダンスが大きく、且つ選択抵抗73−4に切替えた方が回線規格の上限よりもインピーダンスが大きい。よって、直流保持部62Aに発生する電圧値は、選択抵抗72−4に切替えた方が選択抵抗71−4に切替えたよりも高く、選択抵抗73−4に切替えた方が更に高いことを示している。
(実施例2の動作)
図18は、本発明の実施例2におけるタイムチャートを示す図であり、実施例1を示す図10中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例2の図18では、実施例1を示す図10と同様に、横方向はタイミングを時系列で示し、縦方向はタイミングの主体を列挙して示している。なお、タイミングの幅は時系列の順番のみを示しており、タイミングの幅は時間の長さと対応していない。
本実施例2におけるタイミングT1〜T6の処理は、実施例1を示す図10の処理と同一である。
タイミングt7において、通信制御部20Aの図示しない疑似リングバックトーン送出部は、モデム30とシリコンDAA50Aを介して疑似リングバックトーン111を回線100に送信する。この疑似リングバックトーン111は、相手側の通信端末に送出されて無音をなくし、あたかも呼び出し中であるかのようにするものである。更に、回線電圧取得部25は、モデム30とシリコンDAA50Aとを介して、回線電圧監視部56に対し、直流保持部62Aの直流電圧を取得するように指示する。
タイミングt8において、回線電圧監視部56は、直流保持部62Aに発生している直流電圧を取得し、タイミングt9において、直流保持部62Aに発生している直流電圧を回線電圧取得部25に通知し、タイミングt10において、回線電圧取得部25は、直流保持部62Aの直流電圧を回線規格判断部26に通知する。
タイミングt11において、回線規格判断部26は、回線直流抵抗値保持部21に、直流保持部62Aが使用している抵抗を問い合わせ、タイミングt12において、回線直流抵抗値保持部21は、直流保持部62Aが使用している抵抗を回線規格判断部26に通知する。
タイミングT8において、タイマ27がタイムアウトすると、タイミングt13において、回線規格判断部26は、直流保持部62Aの直流電圧とインピーダンス特性から回線100に流れる電流値を算出し、回線規格の下限の電流値と比較する。回線規格の下限の電流値よりも低い場合には、選択抵抗73−1〜73−4のいずれか1つを使用して、直流保持部62Aのインピーダンスを回線規格の上限以上とするように指示する。
以降、タイミングT9〜T20の処理は、実施例1の処理と同様である。
図19は、本発明の実施例2におけるファクシミリ装置の通信制御部の動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図11中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
処理が開始したのち、ステップS1〜S5の処理は実施例1と同様の処理を行う。ステップS5の処理が完了すると、ステップS20において、通信制御部20Aは、直流保持部62Aの直流電圧を取得する。その後、ステップS6,S7の処理は実施例1と同様である。
ステップS21において、通信制御部20Aは、直流保持部62Aの直流電圧とインピーダンス特性から回線100に流れる電流値を算出し、回線規格の下限の電流値と比較する。回線規格の下限の電流値よりも低いと判断したならば、ステップS22において、選択抵抗73−1〜73−4のいずれか1つを使用し、直流保持部62Aのインピーダンスを回線規格の上限以上とするように指示する。以降、実施例1と同様にステップS8〜S12の処理をおこない、図19の処理を終了する。
(実施例2の効果)
本実施例2のファクシミリ装置10Aによれば、実施例1の効果に加えて、更に次の(B)のような効果がある。
(B) リング信号110の検出後、一定時間が経過しても外付電話機200のフックアップが検出されず、且つ回線100の電流値が規格よりも少なかったならば、直流保持部62Aのインピーダンスを回線規格の上限以上とする。これにより、回線100の電流が少ない場合においても、外付電話機200のフックアップを確実に検出できる。
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a),(b)のようなものがある。
(a) 実施例1、実施例2のファクシミリ装置10,10Aは、単機能ファクシミリやMFP等に限定されず、ネットワークを介してスキャナとプリンタとが接続されている複合システムにも適用可能である。
(b) 実施例2のファクシミリ装置10Aでは、直流保持部62Aの直流電圧とインピーダンス特性から電流値を求めて回線規格の下限の電流値と比較したが、インピーダンス特性と回線規格の下限の電流値から、回線規格の下限の電流値に対応する電圧値を予め算出し、直流保持部62Aの直流電圧と比較してもよい。