以下、本発明に係る遊技機の一実施の形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、パチンコ機1の機械的構成について、図1および図2を参照して説明する。
図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持したガラス枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける上皿5が設けられている。上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。ガラス枠13の上方の左右の角にはスピーカ48がそれぞれ設けられている。また、上皿5の上部の正面視略中央部には、トラックボール装置8が配設されている。パチンコ機1は、トラックボール装置8のトラックボールの回転量を検出し、検出した回転量に応じて演出を制御することができる。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4には、表示装置28および役物装置30が設けられている。表示装置28は、各種図柄をドットによって表示するドット表示装置であり、遊技領域4の中心よりもやや上方に配設されている。役物装置30は、遊技領域4の上部から右側に亘って配設されており、表示装置28の表示と同期して各種演出を行う。
表示装置28の下方には、普通図柄始動ゲート12が設けられている。普通図柄始動ゲート12の下方には、特別図柄始動電動役物15が配設されている。さらに、特別図柄始動電動役物15の下方には、大入賞口16が設けられている。特別図柄始動電動役物15の外形は、光を透過する合成樹脂によって形成されており、その内部には電動役物LED71(図3参照)が配設されている。また、特別図柄始動電動役物15の左右には、遊技球を特別図柄始動電動役物15へ向けて誘導する遊技球誘導部材21,22が設けられている。遊技球誘導部材21,22は、誘導部材LED72,73(図3参照)を備える。遊技盤2には、上記以外に種々の電飾ランプ、入賞口、風車、および遊技釘が設けられている。
なお、特別図柄始動電動役物15および大入賞口16には、開閉部材が設けられている。遊技球は、開閉部材が開放された場合のみ、特別図柄始動電動役物15または大入賞口16に入賞できる。各開閉部材は、ソレノイドによって電気的に開放される。特別図柄始動電動役物15および大入賞口16に遊技球が入賞すると、所定数の遊技球が払い出される。
特別図柄始動電動役物15の左方には、図柄表示部23が設けられている。図柄表示部23は、普通図柄表示部24および特別図柄表示部25を備える。普通図柄表示部24は、7セグメントLEDからなり、普通当たり判定の結果を示す普通図柄を表示する。特別図柄表示部25も同様に7セグメントLEDからなり、大当たり判定の結果を示す特別図柄を表示する。なお、普通当たり判定の結果、および大当たり判定の結果は、表示装置28にも表示される場合がある。つまり、1つの表示装置28が、普通当たり判定の結果を示す演出、および大当たり判定の結果を示す演出の両方を実行できる。
次に、本実施の形態のパチンコ機1における遊技および演出について説明する。パチンコ機1では、遊技球が普通図柄始動ゲート12を通過すると、普通当たり判定が行われる。本実施の形態のパチンコ機1は、普通当たり判定において「当たり」と判定される確率が約1/24である普通当たり低確率状態(非時短状態)、および1/1である普通当たり高確率状態(時短状態)を生起させることができる。普通当たり判定の判定結果が「当たり」であれば、パチンコ機1は普通当たり状態となり、特別図柄始動電動役物15が開放されて、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞が可能な状態となる。なお、パチンコ機1は、普通図柄始動ゲート12を通過し、且つ普通図柄表示部24に普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球についての乱数を、普通図柄作動保留球として最大で4球分記憶することができる。
普通当たりには、2つの種類が設けられている。非時短状態中に普通当たり図柄A(60/100)で普通当たりとなると、特別図柄始動電動役物15の最大開放時間は0.3秒となる。非時短状態中に普通当たり図柄B(40/100)で普通当たりとなると、特別図柄始動電動役物15の最大開放時間は5.7秒となる。また、時短状態中には、開放時間延長機能が作動する。その結果、普通当たり図柄の種類に関わらず、特別図柄始動電動役物15の最大開放時間は5.8秒となる。開放した特別図柄始動電動役物15は、最大開放時間の経過、または9個の遊技球の入賞のいずれかの条件が満たされると閉鎖する。
開放した特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞すると、大当たり判定が行われる。パチンコ機1は、大当たり判定において「大当たり」と判定される確率が約1/4である非確率変動状態、および1/1である確率変動状態を生起させることができる。大当たりと判定されると、大当たり遊技が実行される。大当たり遊技中には、大入賞口16が2回開放される。開放された大入賞口16は、最大開放時間(4秒)の経過、または1個の遊技球の入賞のいずれかの条件が満たされると閉鎖する。大当たり遊技の終了を契機として、確率変動状態および前述した時短状態が作動する。
なお、パチンコ機1は、特別図柄始動電動役物15に入賞し、且つ大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球についての乱数は記憶しない。つまり、特別図柄の作動保留球の記憶はない。特別図柄の変動時間は、特別図柄始動電動役物15の閉鎖後まで変動が継続するように設定されている。図柄の変動が終了することで、大当たり判定の結果を示す特別図柄が確定表示され、次の乱数の取得が可能となる。従って、特別図柄始動電動役物15が1回開放される毎に、大当たり判定が最大で1回行われることとなる。
以上のように、パチンコ機1では、1回大当たりと判定されると確率変動状態および時短状態が生起される。確率変動状態および時短状態が生起されていれば、普通当たりと判定される確率、および大当たりと判定される確率は共に1/1である。従って、普通当たり、特別図柄始動電動役物15の開放、大当たり、および大当たり遊技(以下、「一連の当たり動作」という。)が、繰り返し実行される。また、パチンコ機1は、確率変動状態の連続生起を制限する機能(所謂「リミッタ」)を有する。具体的には、確率変動状態を連続して54回生起させた場合には、次の大当たり遊技終了後には、強制的に非確率変動状態を生起させる。また、パチンコ機1は、強制的に非確率変動状態を生起させると同時に、普通当たり判定が1回行われるまで継続する時短状態を生起させる。
1回大当たりと判定されると、一連の当たり動作が必ず連続して55回行われ、多数の遊技球が払い出される。一連の当たり動作の連続は、55回未満で終了することはない(所謂「パンク」が生じない)ため、安定した数の遊技球が払い出される。また、多数の遊技球を払い出すための一連の動作がスムーズに連続する。従って、遊技者は、一連の当たり動作が連続する状態となることを強く期待しながら遊技を楽しむことができる。55回の連続を1セットとする、一連の当たり動作が連続する期間を、以下では「大当たり連続期間」とする。
さらに、パチンコ機1では、1回の大当たり連続期間が終了した場合に、大当たり判定が1回行われるまで継続する時短状態を生起させる。従って、大当たり連続期間の終了後の最初の普通当たり判定では必ず「当たり」と判定され、特別図柄始動電動役物15が長時間(5.8秒間)開放される。開放された特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞すると、約1/4の確率で大当たりと判定され、大当たり連続期間が再び実行される。従って、遊技者は、大当たり連続期間が連続(所謂「連荘」)することを強く期待しながら遊技を楽しむことができる。
次に、図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。図3に示すように、制御部40は、主基板41、サブ統合基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、および中継基板47から構成されている。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、割込信号発生回路57が接続されている。CPU51は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。この主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ統合基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、および始動口スイッチ68に接続されている。出力ポート55は、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。始動口スイッチ68は、特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球を検出する。
サブ統合基板58は、CPU581、RAM582、およびROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、スピーカ48、およびトラックボール装置8に接続している。サブ統合基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46は、CPU46a等を備え、役物装置30、電動役物LED71、誘導部材LED72,73、各種電飾ランプ等の制御を行う。詳細には、ランプドライバ基板46は、役物装置30を駆動するモータおよびソレノイド(ともに図示せず)の動作を制御する。さらに、電動役物LED71および誘導部材LED72,73は、特別図柄始動電動役物15が開放される際に、開放によって遊技者に一定の利益が与えられることを条件に発光するよう制御される。詳細には、特別図柄の変動中でない場合、つまり、開放した特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞することで大当たり判定が行われる場合に、電動役物LED71および誘導部材LED72,73が発光する。演出制御基板43は、CPU43a等を備え、サブ統合基板58から受信するコマンドに従って表示装置28の表示を制御する。払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞品球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を払い出させる。
中継基板47には、電動役物開放ソレノイド69、大入賞口開放ソレノイド70、普通図柄作動スイッチ74、大入賞口スイッチ75、普通図柄表示部24、特別図柄表示部25、および普通図柄記憶数表示LED59が接続されており、主基板41との間の中継を行う。電動役物開放ソレノイド69は、普通当たり遊技中に特別図柄始動電動役物15の開閉部材を開閉する。大入賞口開放ソレノイド70は、大当たり遊技中に大入賞口16の開閉部材を開閉する。普通図柄作動スイッチ74は、普通図柄始動ゲート12を通過した遊技球を検出する。大入賞口スイッチ75は、大入賞口16に入賞した遊技球を検出する。普通図柄記憶数表示LED59は、遊技盤2に設けられており、普通図柄作動保留球数をLEDの数によって表示する。
電源基板42は、主基板41および遊技球発射装置37に接続されており、各基板および遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施の形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
次に、図4を参照して、主基板41のRAM52の記憶エリアについて説明する。RAM52には、カウンタ記憶エリア5201、入賞球フラグ記憶エリア5202、普通当たり関係情報記憶エリア5203、普通図柄作動保留球数記憶エリア5204、大当たり関係情報記憶エリア5205、コマンド関係記憶エリア5206、およびフラグ関係記憶エリア5207が設けられている。カウンタ記憶エリア5201は、各種のカウンタを記憶する。入賞球フラグ記憶エリア5202は、普通図柄始動ゲート12および各入賞口に遊技球が入賞したか否かを示すフラグを記憶する。普通当たり関係情報記憶エリア5203は、普通図柄始動ゲート12への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する。普通図柄作動保留球数記憶エリア5204は、普通図柄作動保留球数を記憶する。大当たり関係情報記憶エリア5205は、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する。コマンド関係記憶エリア5206は、主基板41から他の基板等へ出力される制御コマンドを記憶する。フラグ関係記憶エリア5207は、入賞球フラグ記憶エリア5202に記憶されるフラグ以外の各種フラグを記憶する。
カウンタ記憶エリア5201には、乱数取得カウンタ、タイマカウンタ、リミッタ計数カウンタ、および入賞球数カウンタ等が記憶される。以下の説明で用いる乱数取得カウンタとしては、普通当たり判定カウンタ、普通図柄変動パターン決定カウンタ、図柄決定カウンタ、大当たり判定カウンタ、および特別図柄変動パターン決定カウンタ等がある。乱数取得カウンタの値は、後述するメイン処理において、一定間隔の時間(4ms)毎に所定量ずつ加算される。タイマカウンタは、時間を計測するために使用されるカウンタであり、時間の計測開始時に所定の値が記憶される。後述するメイン処理では、4ms毎にタイマカウンタの値が減算され、値が「0」となることで所定時間が経過したと判断される。リミッタ計数カウンタは、確率変動状態の連続生起の終了タイミングを計数するカウンタであるが、詳細は後述する。入賞球数カウンタは、特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球の個数を計数するカウンタである。
図5を参照して、RAM52の普通当たり関係情報記憶エリア5203について説明する。普通当たり関係情報記憶エリア5203は、後述するメイン処理の普通図柄処理(図11および図12参照)において使用される。普通当たり関係情報記憶エリア5203には、判定エリア、および第一〜第四記憶エリアが設けられている。そして、普通図柄作動保留球の取得した乱数が、第一〜第四記憶エリアに記憶される。判定エリアには、現在行われている普通当たり判定の結果報知および普通当たり遊技の基になった乱数が記憶される。
判定エリアおよび第一〜第四記憶エリアのそれぞれには、普通当たり乱数欄、変動パターン決定乱数欄、および当たり普通図柄決定乱数欄が設けられている。普通当たり乱数欄には、普通当たり判定カウンタの値が記憶される。変動パターン決定乱数欄には、普通図柄変動パターン決定カウンタの値が記憶される。当たり普通図柄決定乱数欄には、図柄決定カウンタの値が記憶される。普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過すると、普通図柄作動保留球数の値に対応する記憶エリアに各値が記憶される。そして、この値に基づいて、普通当たり判定、普通図柄変動パターンの決定、および普通当たりと判定された場合の普通図柄の決定が行われる。判定エリアに記憶されている値に対する処理が終了したら、第一記憶エリアに記憶されている値が判定エリアにシフトされ、この値に基づいて次の当たり判定等の処理が行われる。これに伴い、第二〜第四記憶エリアの各値が1つ番号の若い記憶エリアにシフトされる。
図6を参照して、RAM52の大当たり関係情報記憶エリア5205について説明する。大当たり関係情報記憶エリア5205には、普通当たり関係情報記憶エリア5203とは異なり、判定エリアのみが設けられている。従って、所謂特別図柄作動保留球を記憶することはできない。判定エリアには、大当たり乱数欄および変動パターン決定乱数欄が設けられている。大当たり乱数欄には、大当たり判定カウンタの値が記憶される。変動パターン決定乱数欄には、特別図柄変動パターン決定カウンタの値が記憶される。特別図柄の変動および大当たり遊技が終了すると、判定エリアに記憶された値は消去される。なお、本発明における「乱数の取得」とは、取得した乱数によって、乱数の取得時点またはその後に当たり判定が行われるような態様で乱数を取得することを示す。従って、単に乱数を抽出したのみで、普通当たり関係情報記憶エリア5203または大当たり関係情報記憶エリア5205に乱数を記憶しないような態様は、「乱数の取得」には含まない。
次に、主基板41のROM53の記憶エリアについて説明する。ROM53には、各種初期値、プログラム等が記憶されている。さらに、ROM53には、普通当たり判定を行うための普通当たり判定テーブル、普通当たりと判定された場合に当たり普通図柄を決定するための当たり普通図柄決定テーブル、大当たり判定を行うための大当たり判定テーブル、普通図柄変動パターンを決定するための普通図柄変動パターン決定テーブル、特別図柄変動パターンを決定するための特別図柄変動パターン決定テーブル等の各種テーブルが記憶されている。以下、普通図柄変動パターン決定テーブルおよび特別図柄変動パターン決定テーブルについて詳述する。
図7を参照して、普通図柄変動パターン決定テーブルについて説明する。普通図柄変動パターンとは、普通図柄表示部24に表示される普通図柄、および表示装置28に表示されるデモ図柄の変動のパターンであり、普通当たり判定の結果を示す際に用いられる。この変動パターンによって、普通図柄およびデモ図柄の変動時間と、表示装置28、スピーカ48、電飾ランプ等によって行われる演出のパターンとが決定される。サブ統合基板58は、主基板41で決定された変動パターンに基づいて演出制御基板43、ランプドライバ基板46、およびスピーカ48を制御し、普通当たり判定の結果を遊技者に報知する。
普通図柄変動パターン決定テーブルには、普通当たり判定時の遊技状態(非時短状態中または時短状態中)および普通当たり判定の結果に応じて、複数のテーブルが設けられている。それぞれのテーブルには複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンと普通図柄変動パターン決定乱数の値(0〜127)とが対応付けられている。普通当たり判定が行われると、遊技状態および判定結果に応じたテーブルが参照され、普通図柄始動ゲート12への遊技球の通過時に取得される普通図柄変動パターン決定乱数の値によって変動パターンが1つ決定される。主基板41は、決定した変動パターンを指定するコマンドをサブ統合基板58へ送信する。サブ統合基板58は、指定された変動パターンに応じて表示装置28等を制御する。
具体的に、非時短状態中(普通当たり低確率状態中)に普通当たり判定によって「はずれ」と判定され、且つ、取得された普通図柄変動パターン決定乱数の値が「0」である場合を例に挙げる。この場合、遊技状態が「非時短状態」、判定結果が「はずれ」であるテーブルが参照される。普通図柄変動パターン決定乱数の値が「0」であるため、「非リーチ」の変動パターンが決定されることとなる。「非リーチ」の変動パターンが決定された場合の変動時間、つまり演出時間は、普通図柄作動保留球数が0個であれば9秒、1個または2個であれば6秒、3個または4個であれば4秒となる。なお、パチンコ機1では、時短状態中に普通当たりと判定される確率は1/1であるため、時短状態中に参照されるテーブルには「はずれ」のテーブルはない。また、時短状態中の普通図柄の変動時間を非時短状態中に比べて短くすることで、大当たり連続期間中にスムーズに遊技球を払い出すことを可能にしている。
ここで、図7および図8を参照して、非時短状態中に普通当たり図柄Aで当たりとなった場合に決定され得る変動パターンについて、詳細に説明する。前述したように、普通当たり図柄Aで当たりとなった場合には、特別図柄始動電動役物15の最大開放時間は0.3秒(ショート開放)となっている。この最大開放時間は遊技球の発射間隔(0.6秒)よりも短いため、遊技球が入賞する確率は低く、その確率は約1/3となっている。従って、遊技者は、特別図柄始動電動役物15がショート開放する場合、0.3秒間の間に遊技球が入賞することを強く期待しながら遊技を楽しむことができる。しかしながら、特別図柄始動電動役物15が開放するタイミングが容易に分かると、開放するタイミングに合わせて遊技球が発射されるおそれがある。このような狙い撃ちが可能な構成とすると、狙い撃ちを行う遊技者と行わない遊技者との間で遊技内容に差が生じる。
パチンコ機1の普通図柄変動パターン決定テーブルによると、非時短状態中に普通当たり図柄Aで当たりとなった場合、演出内容は同一で変動時間のみが僅かに異なる10個の変動パターンから1つが決定される。図8は、10.0秒、10.3秒、および10.6秒のそれぞれの変動パターンが決定された場合の、普通図柄表示部24の動作、特別図柄始動電動役物15の動作、および演出の流れを示す。図8に示すように、非時短状態中に普通当たり図柄Aで当たりとなると、いずれの変動パターンが決定された場合でも、実行される演出(一撃チャンス演出)は途中までは全く同じである。一撃チャンス終了後に表示される「電チューを狙え」のメッセージの最大表示時間の長さのみが異なる。特別図柄始動電動役物15は、普通図柄の変動時間が経過し、さらに0.6秒の確定表示時間が経過し、普通当たり状態となってから開放される。特別図柄始動電動役物15は、「電チューを狙え」のメッセージの表示中のいずれかのタイミングで開放されることとなる。
従って、遊技者は、演出の内容から特別図柄始動電動役物15の開放タイミングを把握することができない。よって、パチンコ機1によると、特別図柄始動電動役物15が開放するタイミングに合わせて遊技球が発射されるおそれを防止することができる。なお、この場合、実行可能な同一演出の変動パターンの数は10個に限られないことは言うまでもない。
図9を参照して、特別図柄変動パターン決定テーブルについて説明する。特別図柄変動パターンは、特別図柄およびデモ図柄の変動時間と、表示装置28、スピーカ48、役物装置30等によって行われる演出のパターンとを決定するものである。非確率変動状態中には、いずれの変動パターンが決定された場合でも、約50秒の時間を用いて、「マグロバトル」という演出が表示装置28等によって実行される。従って、パチンコ機1は、非確率変動状態中であれば、大当たりと判定されて大当たり連続期間に移行することを、「マグロバトル」の演出によって強く遊技者に期待させることができる。一方、確率変動状態中には、大当たりと判定される確率は1/1であり、遊技者は大当たりの判定結果に興味を示さない。従って、パチンコ機1は、確率変動状態中の特別図柄の変動時間を0.4秒とし、すぐに大入賞口16を開放する。その結果、大当たり連続期間中の遊技球の払い出しをスムーズに行うことができる。なお、パチンコ機1は、その間、大当たり連続期間中の演出である「連続期間中演出」を継続して実行する。連続期間中演出は、普通当たり遊技および大当たり遊技が連続して実行されていることを示す演出である。
次に、図10から図17を参照して、パチンコ機1の主基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。制御プログラムのメイン処理は、割込信号発生回路57(図3参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。コマンド出力処理では、制御コマンドが、サブ統合基板58、払出制御基板45、中継基板47等に出力される。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。スイッチ読込処理では、普通図柄始動ゲート12、特別図柄始動電動役物15、および大入賞口16に設けられた各スイッチ(図3参照)の検出結果から、各入賞口への遊技球の入賞を検知するための処理が行われる。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタの値が加算され、且つ、タイマカウンタの値が減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。特別電動役物処理では、主に、大当たり遊技の動作を制御するための処理と、大当たり遊技終了後に生起される遊技状態に関する処理とが行われる。
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。特別図柄処理では、大当たり判定、特別図柄変動パターンの決定、特別図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。普通電動役物処理では、普通当たりとなった場合に普通当たり遊技の動作を制御するための処理が行われる。
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、普通当たり判定、普通図柄変動パターンの決定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。
次いで、払出処理(S17)、エラーチェック(S18)、および情報出力処理(S19)が行われる。払出処理では、賞品球の払い出しが制御される。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示装置28およびスピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、図示外の遊技場管理用コンピュータに各種の情報が出力される。
次に、図11および図12を参照して、普通図柄処理(S16)の詳細について説明する。まず、普通図柄処理で使用されるフラグについて説明する。RAM52のフラグ関係記憶エリア5207(図4参照)には、普通図柄表示状態フラグ、普通当たり遊技状態フラグ、時短中フラグ等が記憶されている。普通図柄表示状態フラグは、普通図柄表示部24が変動している場合(変動中)には「1」、停止表示されている場合(停止表示中)には「2」、変動中でも停止表示中でもない場合には「0」が記憶されている。普通当たり遊技状態フラグは、普通当たり遊技状態中に「1」が記憶されて「ON」となり、そうでない場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。時短中フラグは、時短状態中に「1」が記憶されて「ON」となり、非時短状態中に「0」が記憶されて「OFF」となる。なお、時短状態中には、非時短状態中に比べて普通図柄の変動時間が短くなり、且つ普通当たりと判定される確率が1/1となる。各フラグの初期値はいずれも「0」である。
図11に示すように、普通図柄処理が開始されると、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過したか否かが判断される(S21)。普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図10参照)において、普通図柄作動スイッチ74が遊技球の通過を検出し、対応する入賞球フラグが「ON」とされる。「ON」とされていなければ(S21:NO)、処理はそのままS25の判断へ移行する。
普通図柄作動スイッチ74に対応するフラグが「ON」となっていれば(S21:YES)、普通図柄作動保留球数記憶エリア5204の値が「4」であるか否かが判断される(S22)。「4」である場合には(S22:YES)、これ以上乱数を記憶できないので、処理はそのままS25の判断へ移行する。普通図柄作動保留球数が「0」〜「3」のいずれかであれば(S22:NO)、普通図柄作動保留球数記憶エリア5204の値に「1」が加算される(S23)。そして、普通当たり関係情報記憶エリア5203(図5参照)のうち、普通図柄作動保留球数に対応する番号の記憶エリアに乱数が記憶される(S24)。具体的には、普通当たり乱数欄には、普通当たり判定カウンタの値が記憶される。変動パターン決定乱数欄には、普通図柄変動パターン決定カウンタの値が記憶される。当たり普通図柄決定乱数欄には、図柄決定カウンタの値が記憶される。
次いで、普通当たり遊技状態であるか否かが判断される(S25)。普通当たり遊技状態フラグが「ON」であり、普通当たり遊技状態であれば(S25:YES)、処理はそのままメイン処理へ戻る。普通当たり遊技状態でなければ(S25:NO)、普通図柄表示部24の制御に関する処理が行われる。まず、普通図柄表示部24が変動中であるか否かが判断される(S26)。普通図柄表示状態フラグが「1」でなく、変動中でない場合には(S26:NO)、普通図柄表示部24が停止表示中であるか否かが判断される(S27)。普通図柄表示状態フラグが「2」でなく、停止表示中でない場合には(S27:NO)、普通当たり判定が行われる。
図12に示すように、普通当たり判定では、まず、普通当たり判定を行うべき遊技球が存在するか否かが判断される(S28)。普通図柄作動保留球数記憶エリア5204の値が「1」以上でなければ(S28:NO)、普通当たり判定を行うべき遊技球は存在しないので、処理はそのままメイン処理へ戻る。「1」以上であれば(S28:YES)、普通図柄作動保留球数記憶エリア5204の値が「1」減算され(S29)、普通当たり関係情報記憶エリア5203に記憶されている値がシフトされる。すなわち、第一記憶エリアに記憶されている乱数が判定エリアへシフトされ、第二〜第四記憶エリアに記憶されている乱数が番号の1つ若い記憶エリアへシフトされる(S30)。
次いで、普通当たり判定が行われる(S31)。普通当たり判定では、時短状態中であるか否かに応じた普通当たり判定テーブルが参照され、判定エリアの普通当たり乱数欄に記憶されている値によって普通当たりか否かが判定される。前述したように、普通当たりと判定される確率は、非時短状態中には約1/24、時短状態中には1/1である。なお、時短状態中であるか否かを示す時短中フラグは、後述する特別図柄処理および特別電動役物処理において「ON」・「OFF」の切り替えが行われる。次いで、普通図柄変動パターン決定テーブル(図7参照)のうち、遊技状態および判定結果に応じたテーブルが参照されて、変動パターン決定乱数欄の値によって普通図柄変動パターンが決定される(S32)。決定された変動パターンによって決められている普通図柄の変動時間が、普通図柄変動時間カウンタに記憶される(S33)。普通図柄表示部24が変動中であることを示す「1」が、普通図柄表示状態フラグに記憶される(S34)。決定された普通図柄変動パターンを指定する普通図柄変動パターン指定コマンドが、RAM52に記憶される(S35)。普通図柄変動パターン指定コマンドは、次のメイン処理においてサブ統合基板58に送信される。次いで、普通図柄表示部24の変動開始を指示する普通図柄変動開始コマンドがRAM52に記憶されて(S36)、処理はメイン処理へ戻る。
また、図11に示すS26の判断において、普通図柄表示部24が変動中であると判断された場合には(S26:YES)、変動時間が経過したか否かが判断される(S41)。S33(図12参照)でセットされたタイマカウンタの値が「0」となり、普通図柄の変動時間が経過した場合には(S41:YES)、RAM52に普通図柄停止コマンドが記憶される(S42)。このコマンドは、次のメイン処理においてサブ統合基板58および中継基板47に送信され、表示装置28のデモ図柄、および普通図柄表示部24の普通図柄の変動停止を指示する。次いで、0.6秒の停止表示時間が普通図柄停止時間カウンタに記憶される(S43)。普通図柄表示部24が停止表示中であることを示す「2」が普通図柄表示状態フラグに記憶されて(S44)、処理はメイン処理へ戻る。一方、S41の判断において、変動時間がまだ経過していないと判断された場合には(S41:NO)、普通図柄表示部24の変動を継続したまま、処理はメイン処理へ戻る。
また、S27の判断において、普通図柄表示部24が停止表示中であると判断された場合には(S27:YES)、停止表示時間が経過したか否かが判断される(S45)。S43でセットされたタイマカウンタの値が「0」となり、停止表示時間が経過したと判断されると(S45:YES)、普通図柄表示部24が停止表示中でも変動中でもないことを示す「0」が普通図柄表示状態フラグに記憶される(S46)。次いで、普通当たり乱数があらかじめ「普通当たり」と決められた乱数である場合には(S47:YES)、普通当たり遊技状態であることを示す「1」が普通当たり遊技状態フラグに記憶されて「ON」とされ(S48)、処理はメイン処理へ戻る。普通当たりでない場合には(S47:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。また、S45の判断において、停止表示時間がまだ経過していないと判断された場合には(S45:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。
次に、図13および図14を参照して、普通電動役物処理(S15)の詳細について説明する。普通電動役物処理で使用される主なフラグには、電動役物開放中フラグおよび普通図柄変動待機中フラグがある。電動役物開放中フラグは、特別図柄始動電動役物15の開放中に「1」が記憶されて「ON」となり、閉鎖中に「0」が記憶されて「OFF」となる。普通図柄変動待機中フラグは、特別図柄始動電動役物15が閉鎖されてから次の普通図柄の変動を可能とするまでの変動待機中であるかを示すフラグである。普通図柄変動待機中フラグは、変動待機中に「1」が記憶されて「ON」となり、変動待機中でなければ「0」が記憶されて「OFF」となる。なお、初期値は共に「0」である。
図13に示すように、普通電動役物処理が開始されると、普通当たり遊技状態であるか否かが判断される(S51)。普通当たり遊技状態フラグが「OFF」となっており、普通当たり遊技状態でないと判断された場合には(S51:NO)、特別図柄始動電動役物15の開放・閉鎖は行われず、処理はそのままメイン処理へ戻る。
普通当たり遊技状態であれば(S51:YES)、普通図柄の変動待機中であるか否かが判断される(S52)。普通図柄変動待機中フラグが「OFF」であり、変動待機中でない場合には(S52:NO)、特別図柄始動電動役物15が開放中であるか否かが判断される(S53)。電動役物開放中フラグが「OFF」であり、未だ開放中でない場合には(S53:NO)、特別図柄始動電動役物15を開放させるための電動役物開放コマンドがRAM52に記憶される(S54)。次いで、特別図柄始動電動役物15の最大開放時間を決定してセットするための開放時間決定処理が行われる(S55)。
図14に示すように、開放時間決定処理が開始されると、時短状態中であるか否かが判断される(S71)。時短中フラグが「OFF」であり、非時短状態中であると判断された場合には(S71:NO)、普通当たりの種類が普通当たりA(普通当たり図柄Aによる普通あたり)であるか否かが判断される(S72)。普通当たりAであれば(S72:YES)、特別図柄始動電動役物15をショート開放させるために、電動役物開放時間カウンタに0.3秒が記憶されて(S73)、処理は普通電動役物処理へ戻る。普通当たりBであれば(S72:NO)、特別図柄始動電動役物15をロング開放させるために、電動役物開放時間カウンタに5.7秒が記憶されて(S74)、処理は普通電動役物処理へ戻る。また、時短状態が生起されている場合には(S71:YES)、開放時間延長機能が作動し、電動役物開放時間カウンタに5.8秒が記憶されて(S75)、処理は普通電動役物処理へ戻る。
図13の説明に戻る。開放時間決定処理(S55)が終了すると、特別図柄始動電動役物15が開放中であることを示す「1」が電動役物開放中フラグに記憶されて「ON」とされる(S56)。次いで、特別図柄始動電動役物15への入賞球数が「9」であるか否かが判断される(S57)。先述したスイッチ読込処理(S11、図10参照)では、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞する毎に、入賞球数カウンタの値に「1」が加算される。この入賞球数カウンタの値が「0」〜「8」であれば(S57:NO)、S55でセットされた最大開放時間が経過したか否かが判断される(S58)。最大開放時間が経過していなければ(S58:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。
その後に行われる普通電動役物処理で、普通当たり遊技状態であり(S51:YES)、普通図柄の変動待機中でなく(S52:NO)、特別図柄始動電動役物15が開放中であれば(S53:YES)、入賞球数が「9」となるか、若しくは最大開放時間が経過するまで、繰り返しこれらの判断が行われる(S57:NO、S58:NO)。入賞球数が「9」となった場合(S57:YES)、若しくは最大開放時間が経過した場合には(S58:YES)、特別図柄始動電動役物15を閉鎖させるための電動役物閉鎖コマンドがRAM52に記憶される(S59)。次いで、次の普通図柄の変動を可能とするまでの待機時間(5.6秒)が普通図柄変動待機時間カウンタに記憶される(S60)。入賞球数カウンタの値が初期化される(S61)。電動役物開放中フラグが、開放中でないことを示す「OFF」とされる(S62)。普通図柄の変動待機中であることを示す「1」が普通図柄変動待機中フラグに記憶されて「ON」とされる(S63)。そして、処理はメイン処理へ戻る。
また、普通当たり遊技状態であり(S51:YES)、且つ普通図柄の変動待機中であれば(S52:YES)、待機時間が経過したか否かが判断される(S64)。普通図柄変動待機時間カウンタの値が「0」でなく、待機時間が経過していなければ(S64:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。待機時間が経過した場合には(S64:YES)、普通当たり遊技状態でないことを示す「0」が普通当たり遊技状態フラグに記憶されて「OFF」とされる(S65)。さらに、普通図柄変動待機中フラグが「OFF」とされて(S66)、処理はメイン処理へ戻る。
なお、普通図柄の変動の待機時間の長さは、遊技球が特別図柄始動電動役物15にスムーズに入賞することで円滑に大当たり連続期間が進行するように設定されている。つまり、開放した特別図柄始動電動役物15にスムーズに遊技球が入賞すれば、その後に行われる大当たり遊技が終了するまで普通図柄の変動が待機される。大当たり遊技終了後には時短状態が生起されているため、大当たり遊技終了後にすぐに次に普通当たり遊技が実行され、遊技球が円滑に払い出されることとなる。しかし、開放した特別図柄始動電動役物15に長時間遊技球が入賞しない場合も稀にある。その場合に、パチンコ機1は遊技の状況を遊技者に報知することができるが、この詳細は後述する。
次に、図15および図16を参照して、特別図柄処理(S14)の詳細について説明する。特別図柄処理で使用される主なフラグとして、大当たり遊技状態フラグ、特別図柄表示状態フラグ、確率変動フラグ、および時短中フラグがある。大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技中に「1」が記憶されて「ON」となり、そうでない場合に「0」が記憶されて「OFF」とされる。特別図柄表示状態フラグは、特別図柄表示部25の変動中に「1」、停止表示中に「2」、変動中でも停止表示中でもない場合に「0」が記憶される。確率変動フラグは、確率変動状態中に「1」が記憶されて「ON」とされ、非確率変動状態中に「OFF」とされる。時短中フラグは、先述したように、時短状態中に「ON」とされる。各フラグの初期値はいずれも「0」である。
図15に示すように、特別図柄処理が開始されると、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞したか否かが判断される(S81)。始動口スイッチ68(図3参照)が遊技球を検出しておらず、特別図柄始動電動役物15に対応する入賞球フラグが「ON」となっていなければ、遊技球は入賞していないため(S81:NO)、処理はそのままS85の判断へ移行する。
特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞していれば(S81:YES)、大当たり関係情報記憶エリア5205(図6参照)の判定エリアに乱数が記憶されているか否かが判断される(S82)。既に乱数が記憶されていれば(S82:YES)、これ以上乱数を記憶できないので、処理はそのままS85の判断へ移行する。未だ乱数が記憶されていなければ(S82:NO)、判定エリアの大当たり乱数欄に大当たり判定カウンタの値が記憶され、且つ、変動パターン決定乱数欄に特別図柄変動パターン決定カウンタの値が記憶される(S83)。
次いで、大当たり遊技状態であるか否かが判断される(S85)。大当たり遊技状態フラグが「ON」であり、大当たり遊技状態であると判断された場合には(S85:YES)、処理はそのままメイン処理へ戻る。大当たり遊技状態でなければ(S85:NO)、特別図柄表示部25の制御に関する処理が行われる。まず、特別図柄表示部25が変動中であるか否かが判断される(S86)。特別図柄表示状態フラグが「1」でなく、変動中でない場合には(S86:NO)、特別図柄表示部25が停止表示中であるか否かが判断される(S87)。特別図柄表示状態フラグが「2」でなく、停止表示中でない場合には(S87:NO)、大当たり判定が行われる。
図16に示すように、大当たり判定では、まず、判定エリアに乱数が記憶されているか否かが判断される(S88)。記憶されていなければ(S88:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。判定エリアに乱数が記憶されていれば(S88:YES)、確率変動状態中であるか否かに応じた大当たり判定テーブルが参照され、大当たり乱数欄に記憶されている値によって大当たりか否かが判定される(S89)。前述したように、大当たりと判定される確率は、非確率変動状態中には約1/4、確率変動状態中には1/1である。
次いで、特別図柄変動パターン決定テーブル(図9参照)のうち、遊技状態および判定結果に応じたテーブルが参照されて、変動パターン決定乱数欄の値によって特別図柄変動パターンが決定される(S90)。決定された変動パターンによって決められている特別図柄の変動時間が、特別図柄変動時間カウンタに記憶される(S91)。特別図柄表示部25が変動中であることを示す「1」が、特別図柄表示状態フラグに記憶される(S92)。決定された特別図柄変動パターンを指定する特別図柄変動パターン指定コマンドが、RAM52に記憶される(S93)。特別図柄変動パターン指定コマンドは、次のメイン処理においてサブ統合基板58に送信される。次いで、特別図柄表示部25の変動開始を指示する特別図柄変動開始コマンドが、RAM52に記憶される(S94)。
次いで、その時点の遊技状態が、時短状態、且つ非確率変動状態(以下、「非確率変動時短状態」という。)であるか否かが判断される(S95)。パチンコ機1では、1回の大当たり連続期間が終了した場合に、大当たり判定が1回行われるまで継続する非確率変動時短状態を生起させることができる。この非確率変動時短状態が生起されている場合には(S95:YES)、大当たり判定を行ったことを契機に時短中フラグが「OFF」とされて(S96)、処理はメイン処理へ戻る。一方、非確率変動時短状態が生起されていなければ(S95:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。
また、図15に示すS86の判断において、特別図柄表示部25が変動中であると判断された場合には(S86:YES)、変動時間が経過したか否かが判断される(S101)。S91(図16参照)でセットされたタイマカウンタの値が「0」となり、特別図柄の変動時間が経過した場合には(S101:YES)、特別図柄の変動停止を指示する特別図柄停止コマンドが、RAM52に記憶される(S102)。このコマンドは、次のメイン処理においてサブ統合基板58および中継基板47に送信される。次いで、0.5秒の停止表示時間が特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S103)。特別図柄表示部25が停止表示中であることを示す「2」が、特別図柄表示状態フラグに記憶される(S104)。処理はメイン処理へ戻る。一方、S101の判断において、変動時間がまだ経過していないと判断された場合には(S101:NO)、特別図柄表示部25の変動を継続したまま、処理はメイン処理へ戻る。
また、S87の判断において、特別図柄表示部25が停止表示中であると判断された場合には(S87:YES)、停止表示時間が経過したか否かが判断される(S105)。S103でセットされた停止表示時間が経過すると(S105:YES)、特別図柄表示部25が停止表示中でも変動中でもないことを示す「0」が特別図柄表示状態フラグに記憶される(S106)。次いで、判定結果が大当たりである場合には(S107:YES)、確率変動フラグおよび時短中フラグが「ON」であれば「OFF」とされ(S108)、大当たり遊技状態フラグが「OFF」とされて(S109)、処理はメイン処理へ戻る。大当たりでない場合には(S105:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。また、S105の判断において、停止表示時間がまだ経過していないと判断された場合には(S107:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。
次に、図17を参照して、特別電動役物処理(S13)の詳細について説明する。特別電動役物処理で使用される主なフラグには、大入賞口開放中フラグ、大入賞口処理待機中フラグ、および1回目開閉終了フラグがある。大入賞口開放中フラグは、大入賞口16の開放中に「1」が記憶されて「ON」となる。大入賞口処理待機中フラグは、大入賞口16が閉鎖されてから次の大入賞口16に関する処理を可能とするまでの待機時間中であることを示すフラグである。大入賞口処理待機中フラグは、待機時間中に「1」が記憶されて「ON」となる。1回目開閉終了フラグは、1回の大当たり遊技中に2回行われる大入賞口16の開閉動作のうちの1回目が終了している場合に「1」が記憶されて「ON」となる。初期値はいずれも「0」である。
図17に示すように、特別電動役物処理が開始されると、大当たり遊技状態であるか否かが判断される(S111)。大当たり遊技状態フラグが「OFF」となっており、大当たり遊技状態でないと判断された場合には(S111:NO)、大入賞口16の開閉は行われず、処理はそのままメイン処理へ戻る。
大当たり遊技状態であれば(S111:YES)、大入賞口16の処理の待機時間中であるか否かが判断される(S112)。大入賞口処理待機中フラグが「OFF」であれば(S112:NO)、大入賞口16が開放中であるか否かが判断される(S113)。大入賞口開放中フラグが「OFF」であり、未だ開放中でない場合には(S113:NO)、大入賞口16の開放を指示する大入賞口開放コマンドがRAM52に記憶される(S114)。大入賞口開放コマンドは、次のメイン処理で、中継基板47およびサブ統合基板58に送信される。大入賞口16の最大開放時間である4秒が、大入賞口開放時間カウンタに記憶される(S115)。大入賞口16が開放中であることを示す「1」が大入賞口開放中フラグに記憶されて「ON」とされる(S116)。
次いで、開放された大入賞口16に遊技球が入賞したか否かが判断される(S117)。入賞していなければ(S117:NO)、S115でセットされた大入賞口16の最大開放時間が経過したか否かが判断される(S118)。最大開放時間が経過していなければ(S118:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。
その後に行われる特別電動役物処理で、大当たり遊技状態であり(S111:YES)、大入賞口16の処理の待機時間中でなく(S112:NO)、大入賞口16が開放中であれば(S113:YES)、大入賞口16に遊技球が入賞したか、若しくは最大開放時間が経過するまで、繰り返しこれらの判断が行われる(S117:NO、S118:NO)。遊技球が入賞した場合(S117:YES)、若しくは最大開放時間が経過した場合には(S118:YES)、大入賞口16の閉鎖を指示する大入賞口閉鎖コマンドがRAM52に記憶される(S119)。次の大入賞口16に関する処理を可能とするまでの待機時間が、大入賞口処理待機時間カウンタに記憶される(S120)。待機時間の長さは、大入賞口16の1回目の開閉後は1.0秒、2回目の開閉後は0.9秒である。次いで、大入賞口開放中フラグが「OFF」とされる(S121)。待機時間中であることを示す「1」が大入賞口処理待機中フラグに記憶されて「ON」とされる(S122)。そして、処理はメイン処理へ戻る。
大当たり遊技状態であり(S111:YES)、且つ大入賞口16の処理の待機時間中であれば(S112:YES)、待機時間が経過したか否かが判断される(S124)。大入賞口処理待機時間カウンタの値が「0」でなく、待機時間が経過していなければ(S124:NO)、処理はそのままメイン処理へ戻る。待機時間が経過した場合には(S124:YES)、大入賞口処理待機中フラグが「OFF」とされ(S125)、1回目開閉終了フラグが「ON」となっているか否かが判断される(S126)。「ON」となっていなければ(S126:NO)、1回目開閉終了フラグが「ON」とされ(S127)、処理はメイン処理へ戻る。そして、次回以降のメイン処理において、大入賞口16の2回目の開閉処理が行われる(S113〜S122等)。
1回目開閉終了フラグが「ON」となっていれば(S126:YES)、1回目開閉終了フラグが「OFF」とされる(S129)。大当たり遊技状態フラグが「OFF」とされる(S130)。次いで、リミッタ計数カウンタにより、確率変動状態の連続生起回数が54回に達しているか否かが判断される(S131)。達していなければ(S131:NO)、確率変動フラグが「ON」とされ(S132)、時短中フラグが「ON」とされる(S133)。そして、確率変動状態の連続生起の回数を計数するリミッタ計数カウンタに「1」が加算されて(S134)、処理はメイン処理へ戻る。
また、リミッタ計数カウンタの値が「54」となっていれば(S131:YES)、時短中フラグのみが「ON」とされて、非確率変動時短状態が生起される(S135)。リミッタ計数カウンタの値が初期値である「0」に初期化されて(S136)、処理はメイン処理へ戻る。
次に、図18から図23を参照して、サブ統合基板58での処理について説明する。以下説明するサブ統合基板処理は、ROM583に記憶されているプログラムに従って、サブ統合基板58のCPU581が実行する。サブ統合基板処理は、サブ統合基板58に電源が投入されることで開始される。
前述したように、サブ統合基板58は、主基板41から受信するコマンドに応じて、表示装置28、スピーカ48、電動役物LED71、誘導部材LED72,73、役物装置30等による演出を制御する。特に、表示装置28は、大当たり連続期間中であれば、大当たり連続期間を通して複数の当たり動作中に一貫して行われる演出である連続期間中演出を実行することができる。また、大当たり連続期間中に、円滑な大当たり連続期間の進行が一時的に停止(中断)した場合には、連続期間中演出を中断し、遊技球の発射停止、および発射再開のタイミングを遊技者に報知することができる。よって、遊技者は、無駄に遊技球を発射させることなく遊技を進行させることができる。大当たり連続期間の停止に併せて連続期間中演出が中断されるため、遊技者が違和感を抱くこともない。
さらに、パチンコ機1は、大当たり連続期間でない場合、普通当たり判定の結果を示す演出と、大当たり判定の結果を示す演出とを、共に同一の表示装置28によって実行することができる。詳細には、遊技者が強い興味を抱く判定の結果が、2つの当たり判定の結果のいずれであるかに応じて、表示装置28等によって実行する演出の種類を変更することができる。その結果、パチンコ機1のコストを低下させることができる。さらに、遊技者は、表示装置28のみに注目すれば遊技の状況を的確に把握することができるため、遊技内容を単純化することができ、且つ遊技者の興趣を強く惹き付けることができる。以下、これらの演出を制御する処理について詳細に説明する。
サブ統合基板58のRAM582には、主基板41のRAM52と同様に、カウンタの値、各種フラグ、制御コマンド等が一時的に記憶される。サブ統合基板58のROM583には、各種プログラム、初期値等が記憶されている。RAM582に記憶される主なフラグとして、大当たり連続期間フラグがある。大当たり連続期間フラグは、大当たり連続期間中に「1」が記憶されて「ON」となる。また、サブ統合基板58においても、主基板41と同様に、確率変動状態の連続生起回数がリミッタ計数カウンタによって計数されている。
図18に示すように、サブ統合基板処理では、大当たり連続期間中であるか否かが判断される(S141)。大当たり連続期間中であれば(S141:YES)、連続期間中演出の実行を制御するための処理である連続期間中演出処理が行われて(S145)、処理はS141の判断へ戻る。大当たり連続期間フラグが「OFF」となっており、大当たり連続期間中でないと判断された場合には(S141:NO)、特別図柄が変動中であるか否かが判断される(S142)。特別図柄が変動中であれば(S142:YES)、普通図柄が変動しているか否かに関わらず、大当たり判定の結果を示す演出を制御するための大当たり演出処理が行われて(S144)、処理はS141の判断へ戻る。大当たり連続期間中でなく、(S141:NO)、且つ特別図柄の変動中でなければ(S142:NO)、普通当たり判定の結果を示す演出を制御する普通当たり演出処理が行われて(S143)、処理はS141の判断へ戻る。以下、これらの処理の詳細について説明する。
普通当たり演出処理について説明する。図19に示すように、普通当たり演出処理が開始されると、普通図柄の変動パターンが指定されたか否かが判断される(S146)。普通図柄変動パターン指定コマンドが主基板41から送信され、変動パターンが指定された場合には(S146:YES)、あらかじめ用意された複数のデモ図柄変動演出のうち、指定された変動パターンに応じたデモ図柄変動演出が開始される(S147)。デモ図柄変動演出とは、表示装置28に表示させたデモ図柄を変動・確定表示させることで普通当たり判定の結果を遊技者に報知する演出である。普通図柄変動パターン指定コマンドを受信していなければ(S146:NO)、処理はそのままS148の判断へ移行する。
次いで、普通当たりであることを示す演出の実行中、換言すると、普通図柄の状態が普通当たりの変動中であるか否かが判断される(S148)。普通当たりの変動中でない場合、つまり、普通図柄がはずれ変動中である場合、および変動中でない場合には(S148:NO)、普通図柄停止コマンドを受信したか否かが判断される(S149)。受信していなければ(S149:NO)、サブ統合基板処理へ戻る。普通図柄がはずれ変動中であれば、普通当たり演出処理が繰り返し実行される中で、主基板41から普通図柄停止コマンドが受信される。普通図柄停止コマンドを受信した場合には(S149:YES)、主基板41から通知された普通当たり判定の結果(はずれ)を示すデモ図柄が確定表示されて(S150)、処理はサブ統合基板処理へ戻る。
また、普通図柄の状態が普通当たりの変動中であれば(S148:YES)、特別図柄始動電動役物15の開放を遊技者に報知するタイミングが到来したか否かが判断される(S151)。このタイミングは、普通図柄の変動が停止する前に到来するように、普通図柄変動パターン毎にあらかじめ決められている。タイミングが到来するまでこの判断が繰り返し行われる(S151:NO)。開放の報知タイミングが到来すると(S151:YES)、表示装置28に「電チュー狙え」のメッセージを表示させるためのコマンドが演出制御基板43に送信される(S152)。さらに、電動役物LED71および誘導部材LED72,73を発光させるためのコマンドが、ランプドライバ基板46に送信される(S153)。なお、電動役物LED71および誘導部材LED72,73は、特別図柄始動電動役物15の閉鎖を契機に消灯するよう制御される。以下でも同様である。
次いで、特別図柄変動パターン指定コマンドを受信したか否かが判断される(S154)。受信していなければ(S154:NO)、特別図柄始動電動役物15が閉鎖してから所定時間が経過したか否かが判断される(S155)。経過していなければ(S155:NO)、処理はS154の判断へ戻る。
前述したように、普通当たりと判定されると、特別図柄始動電動役物15が開放される。開放された特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞すると、大当たり判定が行われ、特別図柄変動パターン指定コマンドがサブ統合基板58に送信される。一方、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞しなければ、大当たり判定は行われない。従って、特別図柄変動パターン指定コマンドを受信することなく所定時間が経過した場合には(S155:YES)、「電チュー狙え」の表示が消去されてデモ図柄が表示され(S156)、サブ統合基板処理へ戻る。所定時間内に特別図柄変動パターン指定コマンドを受信した場合には(S154:YES)、大当たり判定の結果を報知するための演出(本実施の形態では「マグロバトル」という。)を表示装置28で実行するための処理が行われる(S157)。詳細には、表示装置28では、普通当たり判定の結果を示すためのデモ図柄が消去され、マグロバトルが開始される。処理は、サブ統合基板処理へ戻る。なお、特別図柄変動パターン指定コマンドを受信した時点で、特別図柄表示部25(図2参照)は変動を開始している。
図18の説明に戻る。大当たり連続期間中でなく(S141:NO)、且つ特別図柄表示部25が変動していれば(S142:YES)、大当たり演出処理が行われる(S144)。図20に示すように、大当たり演出処理では、主基板41から指定された特別図柄の変動パターンに従って、表示装置28等によるマグロバトルの演出が制御される(S160)。特別図柄停止コマンドが送信され、特別図柄が確定表示されるまで(S161:NO)、マグロバトルが実行される。
なお、マグロバトルの実行中には、表示装置28の左上の隅の一部に、普通補助デモ図柄および特別補助デモ図柄が表示される。普通補助デモ図柄は、普通図柄表示部24に表示される普通図柄に対応する図柄である。普通補助デモ図柄は、大当たり判定に関する演出が行われている間に、普通当たり判定の結果を表示装置28で補助的に表示するためにのみ用いられる。つまり、普通補助デモ図柄は、普通図柄表示部24の普通図柄の変動開始(普通図柄変動パターン指定コマンドの受信)と同時に変動し、変動終了(普通図柄停止コマンドの受信)と同時に停止して、普通当たり判定の結果を示すのみである。従って、遊技者は、普通補助デモ図柄の表示態様を把握すれば、特別図柄の変動中に示された普通当たり判定の結果を、普通図柄表示部24に加えて普通補助デモ図柄によって認識することも可能である。しかし、普通補助デモ図柄は、マグロバトルの表示領域に比べて極めて小さい領域に表示され、且つ、変動と停止とを交互に繰り返すのみである。よって、パチンコ機1は、遊技者の興趣をマグロバトルに惹き付けることができる。CPU581は、普通当たり演出処理(図19参照)と同時に、普通補助デモ図柄を制御する処理を実行するが、この説明は省略する。また、特別補助デモ図柄は、特別図柄表示部25に表示される特別図柄に対応する図柄であり、マグロバトルの開始と同時に変動し、マグロバトルの終了(特別図柄の変動終了)と同時に停止する。
特別図柄が確定表示されると(S161:YES)、判定結果が大当たりであるか否かを再度判定する(S162)。大当たりでない場合には(S162:NO)、その時点で普通図柄が変動しているか否かが判断される(S163)。変動していれば(S163:YES)、表示装置28で表示されていたマグロバトルの画面を消去し、デモ図柄の変動を高速変動で再開するよう、演出制御基板43に対する処理が行われる(S164)。このように、パチンコ機1は、大当たり判定の結果(はずれ)を示す演出が終了し、普通当たり判定の結果を示す演出を途中から表示させる場合に、デモ図柄を高速変動状態とすることができる。その結果、パチンコ機1は、2種類の当たり判定の結果を1つの表示装置28で示すことを可能にしつつ、表示装置28による演出が普通当たり判定に係る演出に移行したことを容易に遊技者に把握させることができる。
一方、はずれを示す特別図柄が確定表示された際に(S162:NO)、普通図柄が変動中でなければ(S163:NO)、判定結果を示すデモ図柄が表示されることはなく、特殊デモ画面が表示装置28に表示される(S165)。本実施の形態における特殊デモ画面とは、キャラクタが画面の左右に横たわっている画面である(図33参照)。つまり、特殊デモ画面は、数字からなるデモ図柄とは異なり、いずれの判定の結果を表示するものでもない。大当たり判定の結果がはずれであることがマグロバトルによって示された後、マグロバトル中またはマグロバトル実行前に行われた普通当たり判定の結果がデモ図柄によって表示されると、遊技者は遊技内容を誤認するおそれがある。例えば、マグロバトルの実行直前に普通当たりであることが表示され、その後普通図柄が1度も変動しない場合、表示装置28に再びデモ図柄を表示させると、遊技者は、大当たり判定または普通当たり判定によって当たりと判定されたように誤認するおそれがある。パチンコ機1は、大当たり判定の結果(はずれ)を示す演出が終了した場合、既に終了した普通図柄の変動の結果をデモ図柄では表示しないように制御することで、遊技内容が誤認されるおそれを防止することができる。大当たり判定の結果がはずれであれば、処理はサブ統合基板処理(図18参照)へ戻り、普通当たり演出処理(S143)が行われることとなる。
また、大当たりを示す特別図柄が確定表示された場合には(S162:YES)、連続期間中演出が開始される(S167)。大当たり連続期間中であることを示す「1」が大当たり連続期間フラグに記憶されて「ON」とされ(S168)、サブ統合基板処理へ戻る。図18に示すように、大当たり連続期間中であれば(S141:YES)、連続期間中演出処理が行われる(S145)。
図21に示すように、連続期間中演出処理では、大当たり遊技が終了したか否かが判断される(S171)。CPU51は、2回の大入賞口16の開放後の処理待機時間が経過したか否かに基づいて、大当たり連続期間中に55回行われる大当たり遊技のそれぞれが終了したか否かを判断する。終了していなければ(S171:NO)、処理はS173の判断へ移行する。それぞれの大当たり遊技が終了した場合(S171:YES)、大当たり終了時処理が行われる(S172)。
図22に示すように、大当たり終了時処理が開始されると、リミッタ計数カウンタに「1」が加算される(S181)。次いで、普通図柄が変動中であるか否かが判断される(S182)。CPU581は、普通図柄変動パターン指定コマンドを受信してから普通図柄停止コマンドを受信するまでの間であるか否かによって、普通図柄が変動中であるか否かを判断する。変動中でなければ(S182:NO)、普通図柄作動保留球数が「1」以上であるか否かが判断される(S183)。普通図柄作動保留球が存在すれば(S183:YES)、連続期間中演出がそのまま継続され、処理は連続期間中演出処理へ戻る。
普通図柄が変動中でなく、且つ、普通図柄作動保留球が存在しない場合には(S183:NO)、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過したか否かが判断される(S184)。通過していなければ(S184:NO)、大当たり遊技終了から10秒が経過したか否かが判断される(S185)。10秒経過していなければ(S185:NO)、処理はS184の判断へ戻る。10秒経過する前に普通図柄変動パターン指定コマンドを受信し、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過したと判断された場合には(S184:YES)、連続期間中演出がそのまま継続され、処理は連続期間中演出処理へ戻る。
普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過しないまま、大当たり遊技終了から10秒が経過した場合には(S185:YES)、連続期間中演出が中断され、「ゲートに球を通してね」のメッセージが表示装置28に表示される(S186)。次いで、普通図柄が変動を開始したか否かが判断され(S187)、変動を開始するまで(S187:NO)、メッセージが表示され続ける(S186)。普通図柄変動パターン指定コマンドを受信し、普通図柄が変動を開始したと判断された場合には(S187:YES)、電動役物LED71および誘導部材LED72,73が点灯される(S188)。特別図柄始動電動役物15が開放したか否かが判断され(S189)、開放していなければ(S189:NO)、処理はS188へ戻る。特別図柄始動電動役物15が開放した場合には(S189:YES)、表示装置28では、メッセージが消去され、中断されていた連続期間中演出が再開されて(S190)、処理は連続期間中演出処理へ戻る。
また、大当たり遊技終了時に普通図柄が変動中であれば(S182:YES)、変動している普通図柄が確定表示されるまでの時間が9秒以上であるか否かが、変動時間の残り時間が算出されることによって判断される(S192)。9秒未満であれば(S192:NO)、早い段階で特別図柄始動電動役物15が開放されるため、連続期間中演出がそのまま継続されて、処理はS183へ移行する。
次の普通図柄の確定表示までの時間が9秒以上であれば(S192:YES)、大当たり連続期間の進行が一時的に9秒以上停止することになる。よって、連続期間中演出が中断され、「大当たり休憩中」のメッセージが表示装置28に表示される(S193)。次いで、次の普通図柄の確定表示までの時間が5秒となったか否かが判断される(S194)。5秒となるまで(S194:NO)、メッセージが表示され続ける。確定表示までの時間が5秒となると(S194:YES)、普通図柄作動保留球が存在するか否かが判断される(S195)。普通図柄作動保留球が存在しなければ(S195:NO)、処理はS186へ移行し、「ゲートに球を通してね」のメッセージが表示される。普通図柄作動保留球が存在すれば(S195:YES)、遊技球の発射再開を遊技者に促すために、「電チュー狙え」のメッセージが表示装置28に表示される(S196)。処理はS188へ移行し、電動役物の開放を契機として連続期間中演出が再開される(S189、S190)。
図21の説明に戻る。大当たり遊技終了時に関する処理が終了すると(S171、S172)、普通図柄が変動を開始したか否かが判断される(S173)。普通図柄変動パターン指定コマンドを受信しておらず、普通図柄が変動を開始していないと判断された場合には(S173:NO)、処理はそのままS175の判断へ移行する。普通図柄が変動を開始した場合には(S173:YES)、電動役物LED71および誘導部材LED72,73が点灯される(S174)。
次いで、大当たり遊技が開始したか否かが判断される(S175)。CPU581は、大当たり連続期間中に複数回実行されるそれぞれの大当たり遊技の開始を、大入賞口開放コマンド等を用いて判断する。大当たり遊技が開始していなければ(S175:NO)、処理はS171の判断へ戻る。大当たり遊技が開始した場合には(S175:YES)、リミッタ計数カウンタにより、確率変動状態の連続生起回数が54回に達しているか否かが判断される(S176)。達していなければ(S176:NO)、連続期間中演出がそのまま継続されて、処理はS171の判断へ戻る。54回に達している場合には(S176:YES)、連続期間終了処理によって連続期間中演出は終了し(S177)、処理はサブ統合基板処理へ戻る。
図23に示すように、連続期間終了処理が開始されると、大当たり連続期間中に55回行われるうちの最後の大当たり遊技が開始されたことを示す「ラスト!」のメッセージが、表示装置28に表示される(S201)。次いで、大当たり遊技が終了したか否かが判断され(S202)、終了していなければ(S202:NO)、メッセージの表示が継続される。大当たり遊技が終了すると(S202:YES)、連続期間中演出を終了し、大当たり連続期間がもう一度実行されるチャンスが到来することを示す画面がカットイン表示される(S203)。普通図柄の変動が開始したか否かが判断され(S204)、変動が開始していなければ(S204:NO)、カットイン表示が継続される。
普通図柄が変動を開始すると(S204:YES)、電動役物LED71および誘導部材LED72,73が点灯される(S205)。カットイン表示が消去されて、「1G連チャンス」のメッセージが表示装置28に表示される(S206)。1G連チャンスとは、大当たり連続期間終了後の最初(1ゲーム目)の普通当たり判定を契機として再び大当たり連続期間が実行されるチャンスであることを示す。
次いで、特別図柄変動パターン指定コマンドを受信したか否かが判断される(S207)。受信していなければ(S207:NO)、特別図柄始動電動役物15が閉鎖してから所定時間が経過したか否かが判断される(S208)。経過していなければ(S208:NO)、処理はS205へ戻る。特別図柄変動パターン指定コマンドを受信することなく所定時間が経過した場合には(S208:YES)、処理はS203へ戻り、カットイン表示が再び行われる。
所定時間が経過する前に、特別図柄変動パターン指定コマンドを受信した場合には(S207:YES)、「1G連チャンス」の表示が消去されてマグロバトルが開始される(S210)。大当たり連続期間フラグが「OFF」とされて(S211)、処理はサブ統合基板処理へ戻る。サブ統合基板処理では、大当たり演出処理(S144)が実行されることとなる。
次に、パチンコ機1における遊技の流れおよび効果について、図24から図33のタイミングチャートおよび画像図を参照して説明する。以下のタイミングチャートでは、パチンコ機1の各制御として、確率変動(確率変動フラグの「ON」・「OFF」)、時短(時短中フラグの「ON」・「OFF」)、普通図柄作動SW(普通図柄作動スイッチ74)、普通図柄(普通図柄表示部24)、特別図柄始動電動役物15、始動口SW(始動口スイッチ68)、特別図柄(特別図柄表示部25)、大入賞口16、および表示装置28を表している。
まず、図24から図28を参照して、大当たり連続期間が開始して終了するまでの遊技の流れについて説明する。図24は、普通当たりと判定されて特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞した際のタイミングチャートである。図27は、その後に大当たりと判定されて大当たり連続期間が開始し、一連の当たり動作が3回行われるまでのタイミングチャートである。図28は、一連の当たり動作が55回行われて、1G連チャンスが実行される際のタイミングチャートである。
図24に示すように、遊技開始時の遊技状態は非確率変動状態、且つ非時短状態である。非時短状態中に普通当たりと判定される確率は、約1/24である。図24に示す例では、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過し、普通当たり判定が行われて、普通図柄が変動する。判定結果が普通当たりであるため、表示装置28等ではリーチ演出が実行され、普通当たりであることを示すデモ図柄の組み合わせが確定表示される。図25に、普通当たりであることを示すデモ図柄の組み合わせの一例を示す。次いで、普通図柄の停止表示時間の経過後に普通当たり遊技状態となる。普通当たり図柄Bで当たりとなっているため、特別図柄始動電動役物15は最大で5.7秒開放される。この例では、5.7秒が経過する前に9個の遊技球が入賞し、特別図柄始動電動役物15が閉鎖している。なお、特別図柄始動電動役物15が開放される前に、「電チュー狙え」のメッセージが表示装置28に表示され、且つ、LED71〜73が点灯する。
特別図柄始動電動役物15に1つでも遊技球が入賞すると、大当たり判定が行われて、特別図柄が変動する。非確率変動状態中に大当たりと判定される確率は約1/4である。特別図柄の変動中には、表示装置28等では、大当たり判定の結果を示す演出である「マグロバトル」が行われる。図26に、マグロバトル中の画像の一例を示す。特別図柄始動電動役物15が閉鎖して普通図柄変動待機時間が経過すると、普通図柄は再び変動可能な状態となるが、特別図柄の変動中には、表示装置28ではマグロバトルが継続される。また、パチンコ機1は、特別図柄の変動中であれば、普通当たりと判定されて特別図柄始動電動役物15を開放する場合でも、LED71〜73を点灯させない。
次いで、図27のタイミングチャートへ移行する。図27に示す例では、大当たり判定の結果が「大当たり」であるため、特別図柄の停止表示時間が経過すると大当たり連続期間に移行する。表示装置28は、大当たり連続期間中には、後述するイレギュラーが無い限り連続期間中演出を継続して実行する。遊技者は、繰り返し実行される複数回の大当たり遊技および普通当たり遊技に跨る一連の演出を、継続して楽しむことができる。
大当たり連続期間中は、各大当たり遊技の終了後に確率変動状態および時短状態(以下、「確率変動時短状態」という)が生起される。確率変動時短状態中は、非確率変動非時短状態中に比べ、普通図柄の変動時間および特別図柄の変動時間が短い。また、確率変動時短状態中は、普通当たりと判定される確率、および大当たりと判定される確率は、共に1/1である。よって、大当たり連続期間中は、短時間の間に特別図柄始動電動役物15および大入賞口16が繰り返し開放され、多数の遊技球が払い出される。各大当たり遊技が終了して確率変動時短状態が生起される毎に、リミッタ計数カウンタの値が「1」加算されていく。
次いで、図28のタイミングチャートへ移行する。大当たり連続期間内に、確率変動時短状態が54回生起された状態で大当たり遊技が開始されると、1回の大当たり連続期間中の最後の大当たり遊技であることを示す「ラスト!!」のメッセージが表示装置28に表示される。最後の大当たり遊技(55回目の大当たり遊技)が終了すると、遊技状態は、非確率変動状態、且つ時短状態となる。この遊技状態は、次に大当たり判定が行われるまで継続される。非確率変動時短状態中であれば、大当たりとなる確率は約1/4であるものの、1/1で普通当たりと判定され、且つ特別図柄始動電動役物15の開放時間延長機能が作動する。つまり、遊技者は、大当たり連続期間終了後に、大当たり判定の移行契機を1回に限りすぐに得ることができる。そして、1/4の確率で、大当たり連続期間が再度行われることになる。非確率変動時短状態中は、「1G連チャンス」等の画面を表示装置28に表示し、遊技者に遊技内容を報知する。
次に、上記の一連の遊技を構成する各制御の詳細について説明する。まず、図24に示すように、開放された特別図柄始動電動役物15には、複数の遊技球が入賞し得る。ここで、パチンコ機1には、特別図柄の作動保留はない。さらに、非確率変動状態中の特別図柄の変動時間は、特別図柄始動電動役物15の最大開放時間の最大値(本実施の形態では、開放時間延長機能が作動している場合の5.8秒)と、特別図柄始動電動役物15の閉鎖後の入賞有効時間(本実施の形態では、図示しないが、1.5秒)との和よりも長く設定されている。入賞有効時間とは、始動口スイッチ68による遊技球の検知を有効とする時間である。従って、特別図柄始動電動役物15が1回開放される毎に、大当たり判定は最大で1回行われる。よって、遊技者は、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞した時点で、それ以上遊技球が入賞するか否かに注目することなく、大当たり判定の結果にのみ注目することができる。
図24に示すように、パチンコ機1は、大当たり連続期間中でなければ、大当たり判定の結果を示す演出と、普通当たり判定の結果を示す演出とを、1つの表示装置28で選択的に実行する。その結果、パチンコ機1のコストを低下させることができる。遊技者の注目を表示装置28にのみ集中させることもできる。ここで、特別図柄の変動中であっても、特別図柄始動電動役物15が閉鎖して普通図柄変動待機時間が経過すると、普通図柄は再び変動可能な状態となる。しかしながら、特別図柄の変動中には、表示装置28ではマグロバトル(図26参照)が継続される。つまり、特別図柄が変動している間、普通図柄表示部24の普通図柄、および表示装置28の隅の普通補助デモ図柄が変動するのみで、表示装置28ではデモ図柄による演出は行われない。パチンコ機1では、大当たりと判定されると遊技者に有利な状態(大当たり連続期間)となるため、大当たり判定の結果は普通当たり判定の結果よりも重要である。さらに、パチンコ機1では、特別図柄の変動中に特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞しても、大当たり判定は行われない。よって、既に特別図柄が変動していれば、大当たり連続期間への移行契機を獲得する利益は生じない。パチンコ機1は、特別図柄および普通図柄が共に変動している場合、普通図柄に対応する演出に用いられるデモ図柄を消去し、特別図柄に対応する演出であるマグロバトルを表示装置28で実行する。一方、パチンコ機1は、特別図柄が変動していなければ、表示装置28では特別図柄に対応する演出を行わず、デモ図柄による演出のみを行う。その結果、遊技者は、表示装置28のみに注目すれば、遊技内容を容易且つ的確に把握することができる。遊技者は、特別図柄の変動中は、普通当たり判定の結果を気にすることなく、マグロバトルのみに注目して演出を楽しむことができる。特別図柄が変動していなければ、普通当たり判定の結果のみに注目することができる。
図24に示すように、パチンコ機1は、特別図柄始動電動役物15が開放する前に「電チュー狙え」のメッセージを表示装置28に表示し、且つ、LED71〜73を点灯させることができる。従って、遊技者は、特別図柄始動電動役物15に遊技球を入賞させるべきことを、表示装置28およびLED71〜73によって容易に把握することができる。一方で、パチンコ機1は、特別図柄の変動中であれば、普通当たりと判定されて特別図柄始動電動役物15を開放する場合でも、LED71〜73を点灯させない。前述したように、特別図柄の変動中であれば、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞しても大当たり判定は行われない。従って、遊技者は、大当たり連続期間への移行契機を獲得し得ない場合には、LED71〜73に気をとられることなく、マグロバトルに注目することができる。マグロバトル中に新たに大当たり連続期間への移行契機を獲得し得るように遊技者が誤解してしまうおそれもない。
図27に示すように、普通図柄は、特別図柄始動電動役物15の閉鎖後、普通図柄変動待機時間が経過してから変動可能となる。普通図柄の変動の待機時間の長さは、遊技球が特別図柄始動電動役物15にスムーズに入賞することで円滑に大当たり連続期間が進行するように設定されている。つまり、開放した特別図柄始動電動役物15にスムーズに遊技球が入賞すれば、その後に行われる大当たり遊技が終了するまで普通図柄の変動が待機される。大当たり遊技終了後には時短状態が生起されているため、大当たり遊技終了後にすぐに次に普通当たり遊技が実行される。従って、パチンコ機1は、遊技球を円滑に払い出すことができる。本実施の形態では、特別図柄始動電動役物15の最大開放時間(5.8秒)と普通図柄変動待機時間(5.6秒)との和が、大当たり遊技状態に要する最大の時間(4秒+1秒+4秒+0.9秒)よりも長くなるように待機時間を設定してある。その結果、開放した特別図柄始動電動役物15にすぐに遊技球が入賞すれば、大当たり遊技終了後の時短状態中に次の普通当たり判定が行われる。なお、本実施の形態では、特別図柄の作動保留がないため、1回普通当たりと判定される毎に何度も大当たり判定および大当たり遊技が実行されることはない。従って、大当たり遊技が終了して確率変動時短状態が生起されるタイミングは、1回の普通当たり遊技に対して複数回の大当たり遊技が行われる場合に比べて一定になりやすい。よって、普通図柄変動待機時間を適切な長さに設定することが容易であり、大当たり連続期間を円滑に進行させることが可能となる。なお、大当たり遊技中に次の普通当たり判定が行われた場合の処理については、後述する。
大当たり連続期間中は、大当たりと判定される確率は1/1である。さらに、図27に示すように、大当たり遊技終了後には必ず確率変動時短状態が生起される。つまり、所定回数はずれと判定されると確率変動状態が終了する構成(所謂「回数切り確変」)ではない。また、大当たり遊技が55回行われるまでは、非確率変動大当たりと判定されて大当たり連続期間が終了することもない。従って、パチンコ機1では、一旦大当たり連続期間に移行すれば、所謂パンクが生じることはなく、安定した数の遊技球を払い出すことができる。よって、遊技者は、大当たり連続期間に移行することを強く期待しながら遊技を楽しむことができる。
大当たり連続期間中は、大当たりと判定される確率、および普通当たりと判定される確率は共に1/1である。よって、パチンコ機1は、特別図柄始動電動役物15と大入賞口16とを交互に開放し、遊技球を払い出すことができる。また、確率変動時短状態中は、当たりとなる確率が1/1であることに加え、非確率変動非時短状態中に比べて普通図柄の変動時間および特別図柄の変動時間が短い。より詳細には、確率変動時短状態中は、普通図柄の変動時間は特別図柄始動電動役物15の最大開放時間よりも短く、特別図柄の変動時間は大入賞口16の最大開放時間よりも短い。従って、パチンコ機1は、特別図柄始動電動役物15および大入賞口16を短時間の間に連続して交互に開放し、円滑に遊技球を払い出すことができる。
パチンコ機1では、大当たりと判定されなければ大当たり連続期間へは移行しない。この構成は、従来の遊技機と同様である。しかしながら、パチンコ機1では、普通当たりと判定されなければ特別図柄始動電動役物15に遊技球は入賞せず、大当たり判定は行われない。そして、普通当たりと判定される毎に、特別図柄始動電動役物15が開放する。従って、遊技者は、普通当たりと判定される毎に、大当たり連続期間へ移行することを強く期待することができる。さらに、一旦大当たりと判定されると、大当たり遊技が1回行われるのではなく、55回の大当たり遊技および普通当たり遊技がセットで実行され、多数の遊技球が払い出される。よって、従来の遊技機に比べて強く遊技者の興趣を惹き付けることができる。また、詳細は後述するが、特別図柄始動電動役物15の開放時間を複数種類設けることで、特別図柄始動電動役物15への入賞率を変化させて、遊技者の興趣をさらに惹き付けることができる。
図28に示すように、大当たり連続期間が終了すると、次に大当たり判定が行われるまでの間(次の特別図柄の変動が開始されるまでの間)、非確率変動時短状態が生起される。遊技者は、非確率変動時短状態中には、大当たり連続期間に再度移行する契機を1回に限り容易に得ることができる。このように、普通当たりとなり、且つ大当たりとなることを大当たり連続期間への移行条件とした(所謂「2段階抽選」を採用した)ことで、複数回の大当たり遊技および普通当たり遊技が連続する大当たり連続期間自体が連荘することを可能にしている。つまり、大当たり遊技と普通当たり遊技とが交互に連続して安定した数の遊技球が払い出される大当たり連続期間の連荘機会を、2段階抽選を用いることで、1回に限り遊技者に与えることができる。よって、従来の遊技機にはない効果を奏することができる。さらに、通常の大当たりと判定される確率(約1/4)よりも、普通当たりと判定される確率(約1/24)を低くすることで、時短状態が生起されることの利益を増大させている。これにより、大当たり連続期間終了後の非確率変動時短状態の価値を増大させて、大当たり連続期間終了時の遊技者の興趣を強く惹き付けることができる。また、パチンコ機1では、特別図柄の作動を保留しない。従来でも、大当たり遊技終了後の特別図柄作動保留球で大当たりとなった場合には大当たりが連続するような遊技機は存在した。しかし、パチンコ機1では、従来の所謂「保留連荘」という遊技とは全く異なる遊技を遊技者に提供することができ、遊技者の興趣を惹き付けることができる。
次に、図29および図30を参照して、大当たり連続期間中に表示装置28によって行われる演出の詳細について説明する。
図29は、大当たり遊技状態中に次の普通図柄の変動が開始された場合のパチンコ機1の動作の一例を示す。前述したように、大当たり連続期間中には、開放された特別図柄始動電動役物15および大入賞口16にスムーズに遊技球が入賞すれば、大当たり遊技の終了後の時短状態中に次の普通当たり判定が行われる。スムーズに遊技球が入賞すれば、特別図柄始動電動役物15が閉鎖して普通図柄変動待機時間が経過する前に、大当たり遊技が終了するためである。しかし、開放された特別図柄始動電動役物15への最初の遊技球の入賞が遅れると、その分、大当たり遊技が開始されるタイミングが遅れる。また、大入賞口16への遊技球の入賞が遅れた場合、または入賞しなかった場合には、大当たり遊技の時間が長くなる。その結果、図29に示すように、大当たり遊技状態中に次の普通図柄の変動が開始する場合がある。
大当たり遊技状態中は非時短状態である。非時短状態中に変動を開始した普通図柄の変動時間は、時短状態中の変動時間よりも長い。また、非時短状態中は、普通当たりと判定される確率も1/1ではない。従って、その分、次に特別図柄始動電動役物15が開放されるタイミングが遅れ、大当たり連続期間の進行が一時的に停止(イレギュラーが発生)することになる。大当たり連続期間の進行が停止している間に遊技球を発射すると、遊技者は不利益を被る。
図29に示すように、大当たり遊技状態が終了した時点で、既に普通図柄が変動しており、且つ変動中の普通図柄が確定表示されるまで9秒以上あれば、パチンコ機1は、表示装置28に「大当たり休憩中」のメッセージを表示させることができる。従って、遊技者は、大当たり連続期間の進行が停止したことを容易に把握し、遊技球が無駄に発射されることを防止することができる。なお、本実施の形態では、大当たり遊技状態時と次の普通図柄の確定表示との間が9秒未満であれば、大当たり連続期間の進行が停止する時間が短いため、連続期間中演出がそのまま継続される。
そして、パチンコ機1は、「大当たり休憩中」のメッセージを表示した場合、次の普通図柄の確定表示まで5秒となった時点で普通図柄作動保留球が存在すれば、「電チューを狙え!!」のメッセージを表示装置28に表示することができる。普通図柄作動保留球が存在すれば、その時点で変動している普通図柄が確定表示されると、その後すぐに次の普通図柄の変動が開始される。次の普通図柄の変動開始時の遊技状態は時短状態であり、時短状態中に普通当たりと判定される確率は1/1である。従って、ある程度時間が経過したら特別図柄始動電動役物15が必ず開放されることが、その時点で決まっている。よって、「電チューを狙え!!」のメッセージを適切なタイミングであらかじめ表示させることで、遊技者は、その後に開放される特別図柄始動電動役物15にスムーズに遊技球を入賞させることができる。
また、パチンコ機1は、「大当たり休憩中」のメッセージを表示した場合、次の普通図柄の確定表示まで5秒となった時点で普通図柄作動保留球が存在しなければ、「ゲートに球を通してね」のメッセージを表示装置28に表示することができる。普通図柄作動保留球が存在しなければ、その時点で変動している普通図柄が確定表示された後は、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過するまで大当たり連続期間の進行が停止する。よって、普通図柄始動ゲート12に遊技球を通過させるように遊技者に促す必要がある。パチンコ機1は、そのままでは大当たり連続期間の進行が停止し続けることを的確に認識し、普通図柄始動ゲート12に遊技球を通過させるべきことを遊技者に報知することで、遊技者に遊技内容を把握させて遊技の進行を促すことができる。
図30は、大当たり連続期間中に普通図柄作動保留球が存在しない状態が続いた場合のパチンコ機1の動作の一例を示す。パチンコ機1は、大当たり遊技状態が終了した時点で普通図柄作動保留球が存在しなければ、10秒の時間の計測を開始する。大当たり遊技状態終了時から10秒間、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過しなければ、それまで継続して実行していた連続期間中演出を中断し、「ゲートに球を通してね」のメッセージを表示装置28に表示させる。従って、パチンコ機1は、そのままでは大当たり連続期間の進行が停止し続けることを的確に認識し、普通図柄始動ゲート12に遊技球を通過させるべきことを遊技者に報知することで、遊技者に遊技内容を把握させて遊技の進行を促すことができる。なお、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過して特別図柄始動電動役物15が開放すると、パチンコ機1は連続期間中演出を再開する。
次に、図31を参照して、特別図柄始動電動役物15の開閉の態様について説明する。図31は、特別図柄始動電動役物15の開閉時における3つの動作A〜Cの流れを比較したタイミングチャートである。
動作Aでは、特別図柄始動電動役物15をショート開放させる普通当たり図柄Aで普通当たりと判定される。この場合、変動時間のみが僅かに異なる10個の変動パターンから1つが決定され(図7参照)、表示装置28では、一撃チャンス演出、および「電チューを狙え!!」のメッセージ表示が行われる。その後、特別図柄始動電動役物15が最大で0.3秒間開放される。動作Aでは、開放された特別図柄始動電動役物15には遊技球は入賞しない。表示装置28の表示は、普通当たり判定の結果を示すデモ図柄の停止表示画面に戻る。
動作Bでは、動作Aと同様に、普通当たり図柄Aで普通当たりと判定される。普通図柄の変動後、普通当たり遊技状態となり、特別図柄始動電動役物15がショート開放される。動作Bでは、開放された特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞する。この場合、表示装置28では、大当たり判定の結果を示す演出であるマグロバトルが行われ、同時に特別図柄が変動する。動作Bでは、判定結果がはずれであるため大当たり連続期間へは移行していないが、判定結果が大当たりであれば、多数の遊技球が払い出される。つまり、特別図柄始動電動役物15がショート開放される場合でも、遊技者は、大当たり連続期間への移行契機を得ることができる。なお、ショート開放の場合に遊技球が特別図柄始動電動役物15に入賞する割合は、約1/3である。
動作Cでは、特別図柄始動電動役物15をロング開放させる普通当たり図柄Bで普通当たりと判定される。この場合、表示装置28では、デモ図柄の変動後にリーチ演出が行われて、普通当たりであることを示すデモ図柄の組み合わせが確定表示される。さらに、その後に「電チューを狙え!!」のメッセージが表示されて、特別図柄始動電動役物15が開放される。普通当たり図柄Bで普通当たりと判定された場合の特別図柄始動電動役物15の最大開放時間は5.7秒であるため、通常通り遊技球が発射されていれば、遊技球はほぼ100%の確率で入賞する。最初の遊技球の入賞を契機として、マグロバトルが行われる。
以上のように、パチンコ機1は、普通当たり判定および大当たり判定の2段階抽選を行うと共に、特別図柄始動電動役物15を、遊技球の発射間隔(0.6秒)よりも短い時間でショート開放させることができる。従って、遊技者は、ショート開放が行われる毎に、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞することを期待して遊技を楽しむことができる。また、パチンコ機1では、普通当たりと判定される確率(約1/24)に比べて、大当たりと判定される確率(約1/4)の方が高い。これにより、遊技者は、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞した時点で高い期待を持つことができるため、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞するか否かに強く注目する。よって、普通当たりと判定される確率の方を低くすることで、ショート開放時の遊技者の注目をさらに強く惹き付けることができる。そして、特別図柄始動電動役物15がショート開放された場合には遊技球の入賞率は低いが、入賞した場合には大当たり連続期間へ移行する期待が持てるため、ショート開放の際に遊技球が入賞することで遊技者を喜ばせることができる。
また、パチンコ機1は、特別図柄始動電動役物15をロング開放させることもでき、ロング開放時の特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞率は、ショート開放時に比べて高い。パチンコ機1では、特別図柄始動電動役物15がロング開放された場合の入賞率は、通常通りに遊技球を発射させていれば、ほぼ100%となる。従って、遊技者は、まず普通当たりと判定されることに期待する。そして、遊技者は、2種類存在する普通当たりのうち、普通当たり図柄Bによる普通当たりとなることを期待して遊技を行う。普通当たりとなった場合には、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞することを期待する。さらに、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞すると、大当たり連続期間へ移行することを強く期待する。このように、パチンコ機1は、多段階で遊技者を期待させて興趣を惹き付けることができるという、従来にはない効果を奏する。また、特別図柄始動電動役物15の開放時間を複数種類設けることで、ロング開放のみを実行する場合に比べて普通当たりとなる確率を高く設定することができる。つまり、特別図柄始動電動役物15が開閉される頻度を上げることができる。よって、遊技者は、大当たり連続期間へ移行する契機を頻繁に得ることができるため、遊技者の興趣を強く惹き付けることができる。
次に、図32および図33を参照して、大当たり判定の結果を示す演出を終了する場合のパチンコ機1の2つの動作D・Eの流れを説明する。
動作Dでは、普通当たりと判定され、開放された特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞する。特別図柄が変動すると共に、表示装置28等では、大当たり判定の結果を示す演出であるマグロバトル(図26参照)が行われる。大当たり判定の結果がはずれであるため、はずれであることがマグロバトルによって示される。ここで、特別図柄の変動終了時には、普通図柄は変動中である。この場合、パチンコ機1は、マグロバトルを終了し、普通当たり判定の結果を示すデモ図柄の表示を高速変動状態で再開する。パチンコ機1は、2種類の当たり判定の結果を1つの表示装置28で示すことを可能にしつつ、表示装置28による演出が普通当たり判定に係る演出に移行したことを、デモ図柄を高速変動させた状態にすることで遊技者に容易に把握させることができる。
動作Eでは、動作Dの場合と同様に特別図柄が変動し、大当たり判定の結果がはずれであることがマグロバトル(図26参照)によって示される。ここで、特別図柄の変動終了時には、普通図柄は変動していない。この場合、パチンコ機1は、マグロバトルを終了し、特殊デモ画面を表示装置28に表示させる。図33に、特殊デモ画面の一例を示す。特殊デモ画面とは、キャラクタが画面の左右に横たわっている画面であり、普通当たり判定の結果を示すデモ図柄(図25参照)とは異なる。大当たり判定の結果がはずれであることがマグロバトルによって示された後、マグロバトル中またはマグロバトル実行前に行われた普通当たり判定の結果がデモ図柄によって表示されると、遊技者は遊技内容を誤認するおそれがある。例えば、マグロバトルの実行直前に普通当たりであることが表示され、その後普通図柄が1度も変動しない場合、表示装置28に再びデモ図柄(図25参照)を表示させると、遊技者は、大当たり判定または普通当たり判定によって当たりと判定されたように誤認するおそれがある。パチンコ機1は、大当たり判定の結果(はずれ)を示す演出が終了した場合、既に終了した普通図柄の変動の結果をデモ図柄では表示しないように制御することで、遊技内容が誤認されるおそれを防止することができる。また、遊技者は、大当たり判定の結果の報知が終了し、且つ普通図柄が変動していないことを、特殊デモ画面が表示されることによって容易に把握することができる。
以上説明したように、本実施の形態のパチンコ機1では、大当たり遊技が終了する際に確率変動時短状態が生起されれば、普通当たり遊技と大当たり遊技とが短時間の間に連続して行われる。確率変動時短状態が生起されていない間に大当たりと判定されてから、大当たり遊技終了時に確率変動時短状態が生起されなかった時点(55回のリミッタに達して1G連チャンスに移行する時点)までは、普通当たり遊技および大当たり遊技が連続して実行されていることを示す連続期間中演出を実行することができる。従って、遊技者は、複数の当たり遊技を通して行われる連続期間中演出によって、大当たり連続期間中であることを容易に認識しつつ、大当たり連続期間中の遊技を楽しむことができる。さらに、パチンコ機1は、大当たり連続期間の進行が中断したか否かを判断し、中断した場合に連続期間中演出も中断することができる。つまり、大当たり連続期間の進行が中断して遊技球が払い出されない場合には、連続期間中演出は行われない。従って、連続期間中演出によって遊技者に違和感を抱かせることを防止することができる。
パチンコ機1では、大当たり連続期間中は、普通当たり遊技と大当たり遊技とが連続して交互に行われることになる。2種類の当たり遊技を連続して実行することで、遊技者の興趣を惹き付けることができる。そして、所謂特別図柄の作動保留がないため、大当たり遊技が終了した時点で普通図柄が変動しており、且つ変動時間の残りが9秒以上であれば、普通当たり遊技の実行およびその後の大当たり判定が9秒以上中断される。従って、大当たり連続期間の進行が中断することを、普通図柄の変動時間によって的確に判断し、連続期間中演出を中断することができる。
パチンコ機1は、大当たり遊技終了時に大当たり連続期間の進行が中断したと判断した場合、進行が中断していることを示す「大当たり休憩中」の画面を表示装置28で表示することができる。従って、遊技者は、演出に違和感を抱くことがないことに加え、遊技の進行状況を容易に把握して、遊技球の発射を停止させる等の適切な対応を行うことができる。
パチンコ機1では、大当たり連続期間中であれば、大当たり遊技終了時に確率変動時短状態が生起される。確率変動時短状態中に、所謂普通図柄の作動保留があれば、次に行われる普通当たり判定で必ず普通当たりと判定され、大当たり連続期間の進行が再開される。従って、変動時間の残りが5秒となった際に普通図柄の作動保留の有無を判断することで、当たり連続期間の進行がその後に再開するか否かを適切に判断することができる。そして、再開すると判断した場合には、大当たり連続期間の進行が再開されることを示す「電チューを狙え」の画面を表示装置28で表示することができる。その結果、遊技者は、遊技の進行状況を的確に把握して、遊技球の発射を再開させる等の適切な対応を行うことができる。一方、パチンコ機1は、大当たり連続期間の進行が再開しないと判断した場合には、普通図柄始動ゲート12に遊技球を通過させることを指示する「ゲートに球を通してね」の画面を表示することができる。その結果、遊技者は、普通図柄始動ゲート12に遊技球を通過させなければ大当たり連続期間の進行が再開されないことを容易に把握することができる。
パチンコ機1では、大当たり遊技の終了時に普通図柄が変動しておらず、作動保留もなければ、大当たり連続期間の進行が中断される。パチンコ機1は、この状態が10秒間継続したか否かを判断することで、大当たり連続期間の進行が中断したか否かを的確に判断することができる。また、10秒間が経過するまでは連続期間中演出は中断されないため、遊技球を発射しているにも関わらず連続期間中演出が中断されるおそれを低下させることができる。さらに、パチンコ機1は、普通図柄が変動しておらず、且つ作動保留もない状態が10秒間継続すれば、「ゲートに球を通してね」の画面を表示することができる。よって、遊技者は、遊技球を発射すべきことを的確に把握することができる。また、パチンコ機1は、連続期間中演出を中断している間に普通当たり遊技を実行することを契機として、中断していた連続期間中演出をスムーズに再開することができる。
なお、本実施の形態における普通図柄始動ゲート12が、本発明の「通過口」に相当する。普通図柄作動スイッチ74が、本発明の「通過口検出手段」に相当する。図11のS24で普通当たり乱数を取得する主基板41のCPU51が「普通当たり乱数取得手段」として機能する。RAM52の普通当たり関係情報記憶エリア5203が「乱数記憶手段」に相当する。図12のS31で普通当たり判定を行うCPU51が「普通当たり判定手段」として機能する。普通図柄表示部24が「普通図柄表示手段」に相当する。図11および図12に示す普通図柄処理で普通図柄の変動および確定表示を制御するCPU51が「普通図柄表示制御手段」として機能する。特別図柄始動電動役物15が「可変始動口」に相当する。図13および図14に示す普通電動役物処理を行うCPU51が「始動口開閉手段」として機能する。図13のS57に示す9個の遊技球の入賞、およびS58に示す最大開放時間の経過が、「第一閉鎖条件」に相当する。
始動口スイッチ68が「始動口検出手段」に相当する。図15のS83で大当たり乱数を取得するCPU51が「大当たり乱数取得手段」として機能する。図16のS89で大当たり判定を行うCPU51が「大当たり判定手段」として機能する。特別図柄表示部25が「特別図柄表示手段」に相当する。図15および図16に示す特別図柄処理で特別図柄の変動および確定表示を制御するCPU51が「特別図柄表示制御手段」として機能する。大入賞口16が「可変入賞口」に相当する。図17に示す特別電動役物処理を行うCPU51が「入賞口開閉手段」として機能する。図17のS117に示す1個の遊技球の入賞、およびS118に示す最大開放時間の経過が、「第二閉鎖条件」に相当する。確率変動時短状態が「有利状態」に相当する。図17のS132,S133、および図15のS108で確率変動時短状態を制御するCPU51が「生起手段」として機能する。表示装置28およびスピーカ48が「演出実行手段」に相当する。図20のS167で連続期間中演出を開始させるサブ統合基板58のCPU581が「当たり演出開始手段」として機能する。図23のS203で連続期間中演出を終了させるCPU581が「当たり演出終了手段」として機能する。図22のS182〜S185,S192で大当たり連続期間の進行が中断したか否かを判断するCPU581が「中断判断手段」として機能する。図22のS186,S193で連続期間中演出を中断するCPU581が「当たり演出中断手段」として機能する。
図15のS82で特別図柄変動中および大当たり遊技中の大当たり乱数の取得を禁止するCPU51が「禁止手段」として機能する。図22のS182で普通図柄が変動中であるか否かを判断するCPU581が「変動判断手段」として機能する。図22のS192,S194で普通図柄の変動時間の残りを算出するCPU581が「残り時間算出手段」として機能する。図22のS192で大当たり連続期間の進行が中断したか否かを判断するCPU581が「第一中断判断手段」として機能する。図22のS193で、中断演出である「大当たり休憩中」の表示を表示装置28に指示するCPU581が「中断演出制御手段」として機能する。
図22のS194で変動時間の残りが5秒となったか否かを判断するCPU581が「残り時間判断手段」として機能する。図22のS195で普通図柄の作動保留があるか否かを判断するCPU581が「再開判断手段」として機能する。図22のS196で再開報知演出である「電チューを狙え」の表示を表示装置28に指示するCPU581が「再開演出制御手段」として機能する。図22のS186で指示演出である「ゲートに球を通してね」の表示を表示装置28に指示するCPU581が「第一指示演出制御手段」および「第二指示演出制御手段」に相当する。
図22のS183で普通図柄の作動保留があるか否かを判断するCPU581が「保留判断手段」として機能する。図22のS183〜S185で遊技球が継続して検出されない時間を計測するCPU581が「計測手段」として機能する。図22のS185で大当たり連続期間の進行が中断したか否かを判断するCPU581が「第二中断判断手段」として機能する。図22のS190で連続期間中演出を再開させるCPU581が「当たり演出再開手段」として機能する。
なお、本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。まず、本実施の形態では、特別図柄始動電動役物15がショート開放される場合、表示装置28等によって行われる演出は「一撃チャンス演出」の1種類のみである。そして、この1つの演出を行い、且つ変動時間のみが異なる変動パターンが複数設けられている。これにより、ショート開放のタイミングに合わせて遊技球が発射されることを防止することができる。しかし、ショート開放時に行われる演出の種類が複数設けられていてもよい。この場合でも、それぞれの演出に対して、変動時間が異なる複数の変動パターンを用意すれば、所謂狙い撃ちを防止することが可能である。また、特別図柄始動電動役物15がロング開放される場合にも、同一内容で変動時間のみが異なる複数の変動パターンから1つを決定して演出を実行してもよい。
特別図柄始動電動役物15をショート開放させる場合の最大開放時間は、0.3秒に限られない。しかし、ショート開放の際の最大開放時間は、遊技球の発射間隔よりも短い時間とすることが望ましい。最大開放時間が遊技球の発射間隔よりも短ければ、遊技球が入賞する割合は低くなる。よって、遊技者は、ショート開放された特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞することを強く期待しながら遊技を楽しむことができる。特別図柄始動電動役物15を開放させる頻度も上げることができるため、遊技者を常に期待させることができる。
特別図柄始動電動役物15の開閉のパターンは、ショート開放およびロング開放の2種類に限られない。3種類以上の開閉パターンを設けた場合でも、遊技者は、特別図柄始動電動役物15がより長い時間開放されることを期待して遊技を楽しむことができる。また、1回の普通当たり遊技中に特別図柄始動電動役物15を複数回開放させてもよい。例えば、1回の普通当たり遊技中の特別図柄始動電動役物15の開閉回数を変化させることで、1回の普通当たり遊技中の開放時間の合計を変化させても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
上記実施形態では、表示装置28によるマグロバトル(大当たり判定の結果を示す演出)の終了時に、特殊デモ画面およびデモ図柄の高速変動のいずれかを表示させる。しかし、これらの表示態様は適宜変更できる。例えば、特殊デモ画面を表示させずに、大当たり判定の結果がはずれであることを継続して表示してもよい。つまり、マグロバトルの終了時に、デモ図柄の確定表示画面以外の画面を表示装置28に表示させれば、遊技内容を遊技者が誤認するおそれを防止することができる。ただし、特殊デモ画面を表示させた場合には、大当たり判定の結果がはずれであること、および普通図柄が変動中でないことを遊技者は容易に把握できるため、特殊デモ画面を用いることがより望ましい。また、マグロバトル終了時に普通図柄が変動中である場合にも、高速変動状態による再開に限られず、通常のデモ図柄の変動とは異なる態様でデモ図柄の変動を再開すればよい。
各種確率、時間等は適宜変更できることは言うまでもない。例えば、非時短状態中に普通当たりと判定される確率、非確率変動状態中に大当たりと判定される確率等は変更できる。ただし、前述したように、大当たり連続期間終了後にさらに大当たり連続期間が連続する割合や、ショート開放を利用した遊技の特徴等を考慮すると、普通当たりと判定される確率よりも大当たりと判定される確率を高く設定することが望ましい。また、時短状態中に普通当たりと判定される確率、および確率変動状態中に大当たりと判定される確率も、変更することは可能である。しかし、上記実施の形態では、これらの確率を1/1とすることで、表示装置28等による演出を容易に制御することを可能にすると共に、大当たり連続期間をスムーズに進行させている。例えば、時短状態中には必ず普通当たりと判定されて特別図柄始動電動役物15が開放されるため、普通図柄作動保留球が存在する時点で、その後に特別図柄始動電動役物15が開放されることを遊技者に報知することができる。はずれと判定されて大当たり連続期間の進行が停止することもない。なお、時短状態中に普通当たりと判定される確率を1/1としない場合には、実際に普通当たり判定が行われた後に、判定結果に基づいて演出を制御すればよい。また、普通当たり判定の前に、乱数の値を用いて判定結果を先読みし、先読みの結果に基づいて演出を制御してもよい。
大当たり連続期間中の大当たり遊技の連続回数(55回)も変更できる。1回の大当たり遊技中に行われる特別図柄始動電動役物15の開閉回数も変更できる。また、「大当たり休憩中」、「電チューを狙え!!」等の報知の実行タイミングも適宜変更できる。例えば、「大当たり休憩中」の報知は、大当たり遊技の終了後に実行せずに、大当たり遊技終了後所定時間が経過してから実行することも可能である。
上記実施の形態では、特別図柄の作動保留がないため、特別図柄の変動中に特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞しても大当たり判定は行われない。従って、特別図柄の変動中には、電動役物LED71および誘導部材LED72,73の発光を禁止することで、遊技者をマグロバトルに集中させることができる。ここで、電動役物LED71および誘導部材LED72,73の発光を禁止する構成は、特別図柄の作動保留がある遊技機にも適用できる。例えば、最大で4つまで乱数を保留可能な遊技機である場合、既に4つの乱数が大当たり関係情報記憶エリア5205(図6参照)に記憶されていれば、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞しても、大当たり判定が実行される機会は付与されない。従って、この遊技機では、既に4つの乱数が記憶されている場合に電動役物LED71および誘導部材LED72,73の発光を禁止すればよい。また、上記実施の形態では、電動役物LED71および誘導部材LED72,73を点灯させて開放を報知しているが、点滅によって報知してもよいことは言うまでもない。
上記実施の形態では、大当たり判定の結果がはずれであることがマグロバトルによって示された際に、普通図柄が変動中であれば、普通当たり判定の結果を示すデモ図柄の表示が高速変動状態で再開される。その結果、遊技者は、演出が普通当たり判定に係る演出に移行したことを、高速変動しているデモ図柄を見ることで容易に把握することができる。しかし、普通当たり判定に係る演出を途中から実行する場合の変動態様は、デモ図柄の高速変動に限られず、通常の普通当たり判定に係る演出とは異なる特定の変動態様であればよい。例えば、通常よりも遅くデモ図柄を変動させる低速変動状態を用いてもよい。通常はデモ図柄をスクロールさせるのに対し、マグロバトル終了時にはコマ送りにしてもよい。スクロールまたはコマ送りの方向が異なる変動態様を特定の変動態様として用いてもよい。
上記実施の形態では、大当たり連続期間終了時に生起される非確率変動時短状態は、次に大当たり判定が行われることを条件に終了する。従って、大当たり連続期間が終了すると、すぐに1回だけ大当たり判定が行われる。しかし、非確率変動時短状態が終了する条件は変更できる。大当たり判定が2回以上の所定回数行われるまで、非確率変動時短状態が生起されるようにしてもよい。この場合でも、遊技者は、非確率変動時短状態が終了する前に再び大当たりと判定されることを期待して、大当たり連続期間終了後の遊技を楽しむことができる。また、本実施の形態では、1回の大当たり連続期間中には、普通当たり遊技および大当たり遊技が交互に55回行われる。しかし、大当たり連続期間の長さが抽選によって変動する場合(例えば、確率変動時短状態を生起する確率が1/1でない場合)でも、大当たり連続期間終了時に非確率変動時短状態を生起させてよい。この場合でも、非確率変動時短状態を生起させることで、すぐに再び大当たり連続期間へ移行する機会を遊技者に付与することができる。
上記実施の形態では、図22に示すように、大当たり遊技終了時に普通図柄が変動しておらず(S182:NO)、普通図柄作動保留球も存在しない場合(S183:NO)、普通図柄始動ゲート12を遊技球が10秒間通過しないことを条件に(S184:NO、S185:YES)、連続期間中演出が中断される(S186)。10秒間の猶予期間を設けることで、遊技球を通常通り発射しているにも関わらず普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過せず、すぐに連続期間中演出が終了することを防止している。しかしながら、S184およびS185の判断を行わず、すぐに連続期間中演出を中断することも可能である。この場合でも、遊技者は、大当たり連続期間が中断したことを容易に認識することができる。また、本実施の形態では、特別図柄始動電動役物15が開放された場合に(S189:YES)、連続期間中演出が再開される(S190)。しかし、連続期間中演出を再開するタイミングを変更することも可能である。パチンコ機1では、大当たり連続期間中であれば、普通図柄が変動すると必ず普通当たり遊技となる。従って、普通図柄の変動開始時に(S187:YES)、連続期間中演出を再開してもよい。特別図柄始動電動役物15の開放の所定時間前または所定時間後に再開してもよい。なお、S185における10秒の時間、およびS194に示す5秒の時間が適宜変更可能であることは言うまでもない。