JP5487391B2 - 高周波発振型近接センサ - Google Patents

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Description

本発明は高周波発振型近接センサに係り、詳しくは、誘導形近接センサ若しくは渦電流形変位センサの検出距離および検出感度の向上に関するものである。
高周波発振型近接センサは、工作機械、搬送機械、食品機械などのあらゆる産業分野で利用されている。近接センサ実装時にはターゲット(検出体、検出対象、検出物)との距離、平行度などが検出感度および精度に大きく影響すること、自動車、搬送業界などで、ターゲットが近接センサの検出面に接触すると、破損や故障の原因となりやすいことから、検出距離の長距離化が要求されてきている。また、ガス溶接、アーク溶接時に飛散する微粒子から近接センサを保護するために、ステンレス鋼製のハウジングをもつ近接センサが開発されている。しかし、検出面がステンレス鋼である近接センサは、検出距離が短いために検出距離の長距離化が強く要求されている。
さらに、ステンレス鋼製のハウジングをもつ渦電流形変位センサも工作機械などに多用されており、上述と同様の理由によって測定範囲の拡大が強く望まれている。
高周波発振型近接センサの一例を挙げると、筒状の非磁性の金属ハウジング内に円環状の溝が形成されたコアを収納し、コアの溝内には被検出体の検出面にむけてコイルが巻き付けられている。金属ケースの検出面は、合成樹脂性の保護キャップで覆われている。
発振回路から励振電流がコイルに流れると磁束F が発生する。この磁束F が金属製のターゲットに作用すると電磁誘導の法則によりターゲットに渦電流Ieが流れる。ターゲットと検出面との間の変位xに応じて磁束量が変化するために、ターゲットに流れる渦電流Ieが変わり、その結果としてコイルのインピーダンス(コイルの抵抗RとインダクタンスLおよびQ値)が変化して、発振回路の出力電圧が変化する。
誘導形近接センサの場合、発振回路の出力電圧を比較回路において基準電圧と比較することにより、コイルのインピーダンスの変化に基づいて二値のONまたはOFF信号を発生させて、出力回路を通じて、その信号に対応した出力電圧Vs として出力させる。この出力電圧VsのレベルがONまたはOFFに切り替わる変位が検出距離Sとなる。
渦電流形変位センサの場合、発振回路からの出力信号はリニアライザによって変位xに比例するように変換され、出力回路を通じて出力電圧Vs として出力させる。この出力電圧Vsが変位xに比例する範囲が測定範囲Xとなる。
特開2007−74519号公報 特開2004−119370号公報
しかしながら、上述した高周波発振型近接センサにおいては、金属ハウジングの検出面を樹脂製の保護カバーにより覆われていたため、例えばセンサの使用環境によっては使い難い場合がある。
例えば、溶接等を伴う製造現場のラインに設ける場合には火花が飛んで保護カバーが破損するおそれがある。また、食品加工現場においては、異なる部材間の隙間に水や果汁等が浸入し易く、センサ検出面のシール性や細菌の繁殖などの衛生面の管理に不安を伴う。
また、金属ハウジングにも渦電流が流れるために、コイルのインピーダンスが変化して検出距離Sや測定範囲Xが短くなる。そのために、検出距離Sや測定範囲Xを長くするためには大きなコア外径、すなわち大型の近接センサが必要になる。
また、近接センサは、金属ハウジングの外周面に螺旋状のねじ部が形成されており、金属板よりなる取付面に設けられたねじ孔にねじ嵌合させて組み付けられる。この金属板にもセンサの磁束Fが作用して渦電流が発生するために、金属板の材料特性(透磁率や抵抗率)や厚さによって検出距離Sや測定範囲Xが変化する。このため、検出距離Sや測定範囲Xが取付面の特性に依存しないことも望まれていた。
本発明の目的は、上記課題を解決し、シール性が高く、検出距離や測定範囲が長く、しかも取付面により検出性能が影響を受け難い高周波発振型近接センサを提供することにある。
上記課題を解決するため、本願発明は以下の手段を有する。
有底筒状の金属製ハウジングに収納されたコイルを発振回路により高周波発振駆動し、コイルの中心線と交差するハウジング検出面を介して被検出物に交番磁界を作用させ、当該被検出物に発生する渦電流により前記コイルに鎖交する磁束変化を通じて被検出物の存在を非接触で検出する高周波発振型近接センサであって、前記ハウジングは、少なくも前記有底筒状の金属製ハウジングの底部に相当するハウジング検出面に磁性体領域と非磁性体領域が連続するように一体に形成されていることを特徴とする。
また、前記ハウジング検出面のうち少なくともコイルの内径領域に対向する領域内に磁性体領域が形成されていることを特徴とする。
また、取付面にねじ嵌合するねじ部が外周面に形成されたハウジング側面が、磁性体領域に形成されていることを特徴とする。
また、前記金属製ハウジングは、熱処理によって非磁性化されたオーステナイト系のステンレス鋼板の所定部位を有底筒状に塑性変形させて加工誘起変態によって強磁性のマルテンサイト相を発現させてハウジング検出面に磁性体領域が形成されていることを特徴とする。
また、前記金属製ハウジングは、強磁性のマルテンサイト系のステンレス鋼板を有底筒状に塑性変形させ、所定部位を加熱して加熱変態を生じさせて非磁性のオーステナイト相を発現させて、非磁性体領域が形成されていることを特徴とする。
また、前記金属製ハウジングは、磁性体領域を形成する強磁性のステンレス鋼と非磁性体領域を形成する非磁性のステンレス鋼が有底筒状に接合されてなることを特徴とする。
また、前記コイルに通電することによりハウジング検出面を通じて交番磁界を発生させる発振回路と、該発振回路の出力電圧に基づいてONまたはOFF信号を発生させる比較回路と、該比較回路の出力を増幅する出力回路と、を備えた誘導形近接センサとして用いられることを特徴とする。
また、前記コイルに通電することによりハウジング検出面を通じて交番磁界を発生させる発振回路と、該発振回路の出力をリニアに補正するリニアライザと、該リニアライザのリニア出力を増幅する出力回路と、を備えた渦電流形変位センサとして用いられることを特徴とする。
上述した高周波発振型近接センサを用いれば、少なくもハウジング検出面に磁性体領域と非磁性体領域が各々形成されているので、コイルへ通電することで発生するより多くの磁束が、磁性体領域を通じてより遠くまでターゲットに作用させることができるようになる。よって、近接センサを大型化することなく、小型でも感度を高めて検出距離や測定範囲を拡大することができる。
また、有底筒状の金属製ハウジングに収納されたコイルを発振回路により高周波発振駆動し、コイルの中心線と交差するハウジング検出面を介して被検出物に交番磁界を作用させるので、シール性が高く、センサ使用環境の影響を受けにくく、汎用性を向上させることもできる。
また、取付面にねじ嵌合するねじ部が外周面に形成されたハウジング側面が磁性体領域に形成されていると、コイルが作る磁束を磁性体領域であるハウジング側面が磁気シールドするために、ねじ部が取り付けられる金属板の材料特性(透磁率や抵抗率)や厚さに依存せずに、安定した検出距離や測定範囲が得られる。
また、ハウジングは非磁性若しくは強磁性のいずれのステンレス鋼を用いてもハウジング検出面に磁性体領域と非磁性体領域を安価に一体に形成することが可能であり、シール性を損なうことなくハウジングを製造することができるうえに、ハウジング検出面の所定部位に磁性体領域を形成して該磁性体領域に磁束が誘導されるために、ハウジングの厚さを厚くすることができるので、高信頼性を有する誘導型近接センサや渦電流形変位センサを提供することができる。
本発明における誘導形近接センサの構造図である。 有限要素法を適用した本発明に係る誘導形近接センサヘッドと比較例に係る誘導形近接センサヘッドの構造図である。 本発明に係る近接センサと比較例に係る近接センサのコイル6の抵抗R−変位x特性、インダクタンスL−変位x特性およびQ値−変位x特性を示した図である。 本発明に係る近接センサと比較例に係る近接センサのターゲットに生ずる渦電流損に起因する抵抗Rt(x)−変位特性を示した図である。 本発明に係る近接センサと比較例に係る近接センサの、電子回路シミュレータに設定したコルピッツ発振回路を示した図である。 本発明と比較例に係る近接センサの出力電圧V−変位x特性を示したグラフ図である。 本発明と比較例に係る近接センサの検出感度dV/dx―変位x特性を示したグラフ図である。 本発明の実施形態にかかる誘導形近接センサの他の実施例を示した図である。 本発明の実施形態にかかる誘導形近接センサの他の実施例を示した図である。 本発明の実施形態にかかる渦電流形変位センサの構造を示した図である。 本発明の実施形態にかかる渦電流形変位センサの他の実施例を示した図である。 本発明の実施形態にかかる渦電流形変位センサの他の実施例を示した図である。 ハウジングの製造方法の一例を示す概略図である。 ハウジングの製造方法の他例を示す概略図である。
[実施例1]
以下、添付した図面を参照して本発明に係る高周波発振型近接センサの一例として誘導形近接センサについて詳細に説明する。図1は誘導形近接センサ1の構造を示す模式図である。
誘導形近接センサ1は、有底筒状の金属製ハウジング3に収納されたコイル6を発振回路8により高周波発振駆動し、コイル6の中心線Mと交差するハウジング検出面7を介して被検出物(ターゲット)2に交番磁界を作用させ、当該被検出物(ターゲット)2に発生する渦電流によりコイル6に鎖交する磁束変化を通じて被検出物(ターゲット)2の存在を非接触で検出する高周波発振型近接センサである。
ハウジング3は、少なくもハウジング検出面7に磁性体領域13と非磁性体領域14が各々形成されている。具体的には、ハウジング検出面7のうち少なくともコイル3の内径領域に対向する領域内に磁性体領域13が形成されている。また、取付面にねじ嵌合するねじ部4が外周面に形成されたハウジング3の側面が、磁性体領域13に形成されている。コイル6は、ハウジング検出面7に溝部5aを向けて設けられたコア5の溝部5aに巻き付けられている。
発振回路8から励振電流Iがコイル6に流れると磁束F が発生する。この磁束F が金属製のターゲット2に作用すると電磁誘導の法則によりターゲット2に渦電流Ieが流れる。ターゲット2とハウジング検出面7との間の変位xに応じて磁束量が変化するために、ターゲット2に流れる渦電流Ieが変わり、その結果としてコイル6のインピーダンス(コイル6の抵抗RとインダクタンスLおよびQ値)が変化して、発振回路8の出力電圧が変化する。この変化を比較回路9において基準電圧と比較することにより、二値のONまたはOFF信号を発生させて、出力回路10を通じて出力電圧Vs として出力させる。この出力電圧VsのレベルがONまたはOFFに切り替わる変位xが検出距離Sである。ハウジング検出面7の一部に設けた磁性体領域13の存在によって、ターゲット2により多くの磁束F が、より遠くまで作用するために検出距離Sが向上する。
さらに、ハウジング3の側面であるねじ部4が磁性体領域13で構成されており、コイル6が作る磁束Fを磁性体領域13が磁気シールドするために、ねじ部4が取り付けられる金属板(図示せず)の材料特性(透磁率や抵抗率)や厚さに依存せずに、安定した検出距離Sが得られる。
ここで、ハウジング3の構造の一例についてその製法とともに説明する。図13において、ハウジング3は、熱処理によって非磁性化されたオーステナイト系のステンレス鋼板(例えばSUS303,SUS304等)が用いられる。このハウジング3の所定部位を塑性変形させて加工誘起変態によって強磁性のマルテンサイト相を発現させて磁性体領域13が形成されている。
具体的には、図13に示すように、熱処理によって非磁性化されたオーステナイト系のステンレス鋼板を絞り加工して有底筒状に成形し、ハウジング側部にねじ加工を行なってねじ部4を形成する。その後、ハウジング3を保持冶具15に保持させたままハウジング検出面7の所定部位(コイル3の内径領域に対向する領域内)に押圧具16を回転させながら押圧加工して、加工誘起変態によって強磁性のマルテンサイト相を発現させてハウジング検出面7の一部に磁性体領域13が形成される。
尚、ねじ部4は、磁性体領域13が形成された後にねじ加工を行なって形成しても良い。
次に、図14はハウジング3の他例に係る構造をその製法とともに説明する。本実施例のハウジング3は、強磁性のマルテンサイト系のステンレス鋼板(例えばSUS403,SUS410等)が用いられ、所定部位を加熱して加熱変態を生じさせて非磁性のオーステナイト相を発現させて、非磁性体領域13が形成されている。
具体的には、図14に示すように、強磁性のマルテンサイト系のステンレス鋼板をプレス加工によって絞り加工を行なって有底筒状に成形した後に、ねじ部4のねじ加工が施される。
その後、ハウジング3を保持冶具15に保持させたまま回転させて、ハウジング検出面7の所定部位(磁性体領域外)にレーザ発生装置17からレーザ光18を径方向に走査しながら照射することにより、強磁性であるマルテンサイト系のステンレス鋼を熱改質によって非磁性のオーステナイト相を発現させてハウジング検出面7に非磁性体領域14が形成される。尚、ねじ部4は、非磁性体領域14が形成された後にねじ加工を行なって形成しても良い。
更には、ハウジング3の他例として、磁性体領域13を形成する強磁性のステンレス鋼と非磁性体領域14を形成する非磁性のステンレス鋼が接合されて形成されるようにすることも可能である。
次に数値電磁界解析ソフトウェア(有限要素法)適用して本発明に係るセンサヘッド部と、比較例に係るセンサヘッド部について検出距離の解析結果について対比して説明する。
図2(a)は比較例に係るハウジング3であり、ハウジング検出面7が非磁性材よりなる。図2(b)は本発明に係るハウジング3であり、ハウジング検出面7に磁性体領域13を非磁性体領域14が形成されている。金属製ハウジング3の寸法は、M12サイズ(19×10)、ハウジング3の厚さは1mm、ターゲット2は冷間圧延鋼板SPCCでφ25mm、厚さ1mmである。コイル6の銅線は導体径0.08mm、コイル巻数は100回であり、銅線1本毎にその構造を入力した。
表1は、有限要素法の解析条件である。ハウジング3の磁性体領域の比透磁率mr =100、抵抗率r = 0.72mWm、非磁性体領域では比透磁率mr = 1、抵抗率r = 0.72mWmとした。また、ターゲット2は冷間圧延鋼板SPCCを想定して比透磁率mr =289、抵抗率r = 0.14mWmとした。さらに、コアの複素透磁率m'とm”を入力した。励振電流の周波数10kHz〜100kHz範囲におけるコイル6のインピーダンスを求めた。
Figure 0005487391
図3は有限要素法によって得られた比較例と本発明に係る近接センサの特性であり、図3(a)はコイル6の抵抗R−変位x特性、図3(b)はインダクタンスL−変位x特性、図3(c)はQ値−変位x特性である。有限要素法の解析結果では、比較例と本発明ともに、コイル6のQ値が最も大きくなる励振電流の周波数は40kHzであり、図3は周波数40kHzにおける特性である。図3(a)に示したように、コイル6の抵抗Rは変位xに対して単調減少した。また、図3(b)に示したように、インダクタンスLは変位xに対して一定であった。したがって、図3(c)に示したように、コイル6のQ値は変位xに対して単調増加した。なお、コイルのQ値は数1で、変位xに依存するコイルの抵抗R(x)は数2で表される。
Figure 0005487391
Figure 0005487391
ここに、f:励振電流の周波数(Hz)、L:コイル6のインダクタンス(H)、Rdc:コイル6の直流抵抗(Ω)、R:コイル6の導線の表皮効果に起因する抵抗(Ω)、R:コイル6の近接効果に起因する抵抗(Ω)、R:コア5の鉄損に起因する抵抗(Ω)、R:ハウジング3に生ずる渦電流損に起因する抵抗(Ω)、R(x):変位xに依存するターゲット2に生ずる渦電流損に起因する抵抗(Ω)である。
図3(b)に示したように、コイル6のインダクタンスLは変位xによらず一定である。また、コイル6の直流抵抗Rdc、コイル6の表皮効果に起因する抵抗Rs、コイル6の近接効果に起因する抵抗Rp、コア5の鉄損に起因する抵抗Rc、ハウジング3に生ずる渦電流損に起因する抵抗Rh も変位xによらず一定であり、ターゲット2の渦電流損に起因する抵抗Rt(x)だけが変位xに依存している。よって、変位xに対して、ターゲット2に生ずる渦電流損に起因する抵抗Rt(x)を増加させることが検出距離Sの長距離化につながる。
ターゲット2に生ずる渦電流損に起因する抵抗Rt(x)は数3で与えられる。ターゲット2に生ずる渦電流損に起因する抵抗Rt(x)は、変位xが任意の位置にあるときのコイル6の交流抵抗R(x)から、変位xが無限大におけるコイル6の交流抵抗R(∞)を減じた値となる。
Figure 0005487391
図4に、本発明と比較例に係る近接センサ1のターゲット2の渦電流損に起因する抵抗Rt(x)−変位x特性を示した。ターゲット2の渦電流損に起因する抵抗Rt(x)は変位xに対して単調減少した。この単調減少は、変位xが増加するとターゲット2に作用する磁束F が減少することに起因している。本発明と比較例のターゲット2の渦電流損に起因する抵抗Rt(x)を比較すると、本発明のターゲット2の渦電流損に起因する抵抗Rt(x)の方が比較例より大きい。これは、ハウジング検出面7の一部に設けた磁性体領域13(磁束通路)の存在によって、ターゲット2により多くの磁束F が、より遠くまで作用するためである。
図5は、発振回路8に用いるコルピッツ発振回路19である。有限要素法によって得られた比較例の構造および本発明のコイル6の抵抗RとインダクタンスLの値を回路シミュレータに入力して、ターゲット2の変位xに対応した出力電圧Vを求めた。
表2は図5に示したコルピッツ発振回路19の回路パラメータである。コルピッツ発振回路19の発振周波数が40kHz、変位x→∞のときに出力電圧V= 500mV一定となるように比較例の構造と本発明の近接センサの各回路パラメータを設定した。
Figure 0005487391
図6は比較例と本発明の近接センサにおける出力電圧V−変位x特性である。出力電圧Vは変位xに対して単調増加した。
図7に比較例と本発明に係る近接センサの検出感度dV/dx―変位x特性を示した。同図は、図6に示した比較例と本発明に係る近接センサの出力電圧V−変位x特性のデータを6次の多項式で近似して、変位xで微分することで求めた。検出距離Sを向上させるためには、比較回路9において安定したONとOFF信号を発生させる必要がある。つまり、検出感度dV/dxを向上させることが必須である。比較例の検出距離S =2.0 mmにおける感度dV/dx= 28V/mmを基準とすると、本発明における検出距離はS = 2.5 mmとなった。すなわち、本発明の近接センサは、検出距離Sが比較例に比べて1.25倍に拡大した。この原因は、ハウジング検出面7の一部に設けた磁性体領域13(磁束通路)の存在によって、ターゲット2により多くの磁束F が、より遠くまで作用するためである。
さらに、ねじ部4が磁性体領域13で構成されており、コイル6が作る磁束Fを磁性体領域13が磁気シールドするために、ねじ部4が取り付けられる金属板(図示していない)の材料特性(透磁率や抵抗率)や厚さに依存せずに、安定した検出距離Sが得られる。
[実施例2]
図8は、本発明の実施の形態にかかる誘導形近接センサ1の他の実施例である。ハウジング検出面7の外周縁部であるねじ部4だけを磁性体領域13としてある。コイル6が作る磁束Fを磁性体領域13が磁気シールドするために、ねじ部4が取り付けられる金属板(図示せず)の材料特性(透磁率や抵抗率)や厚さに依存せずに、安定した検出距離Sが得られる。
[実施例3]
図9は、誘導形近接センサ1の他の実施例である。本実施例では、ハウジング検出面7の一部分(コア5と対向する領域)だけを磁性体領域13としてあり、他の部分は非磁性体領域14となっている。実施例1と同様にハウジング検出面7の一部に設けた磁性体領域13の存在によって、ターゲット2により多くの磁束F が、より遠くまで作用するようになり、検出距離Sが向上する。
[実施例4]
図10は、高周波発振型近接センサの一例である渦電流形変位センサ11の実施例である。
ステンレス鋼製のハウジング3内にコイル6が内蔵されている。発振回路8から励振電流Iがコイル6に流れると磁束F が発生する。この磁束F が金属製のターゲット2に作用すると電磁誘導の法則によりターゲット2に渦電流Ieが流れる。ターゲット2とハウジング検出面7との間の変位xに応じて磁束量が変化するために、ターゲット2に流れる渦電流Ieが変わり、その結果としてコイル6の抵抗RとインダクタンスLおよびQ値が変化する。発振回路8からの出力信号はリニアライザ12によって変位xに比例するように変換され、出力回路10を通じて出力電圧Vs として出力させる。この出力電圧Vsが変位xに比例する範囲が測定範囲Xである。
上記のコイル6が発振要素の場合もターゲット2に流れる渦電流Ieが変わり、その結果としてコイル6の抵抗RとインダクタンスLおよびQ値が変化し、この出力電圧Vsが変位xに比例する範囲が測定範囲Xとなる。
実施例1に示した誘導形近接センサ1と同様に、ハウジング検出面7の一部に設けた磁性体領域13の存在によって、ターゲット2により多くの磁束F が、より遠くまで作用するようになり、測定範囲Xが向上する。さらに、ねじ部4が磁性体領域13で構成されており、コイル6が作る磁束Fを磁性体領域13が磁気シールドするために、ねじ部4が取り付けられる金属板(図示していない)の材料特性(透磁率や抵抗率)や厚さに依存せずに、安定した測定範囲Xが得られる。
[実施例5]
図11は、渦電流形変位センサ11の他の実施例である。実施例2に示した誘導形近接センサ1と同様に、ねじ部4(ハウジング検出面7の外周縁部)だけが磁性体領域13で構成されており、コイル6が作る磁束Fを磁性体領域13が磁気シールドするために、ねじ部4が取り付けられる金属板(図示せず)の材料特性(透磁率や抵抗率)や厚さに依存せずに、安定した測定範囲Xが得られる。
[実施例6]
図12は、渦電流形変位センサ11の他の実施例である。実施例3に示した誘導形近接センサ1と同様に、ハウジング検出面7の一部に設けた磁性体領域13の存在によって、ターゲット2により多くの磁束F が、より遠くまで作用するようになり、測定範囲Xが向上する。
誘導形近接センサの実施例では、ハウジング3コイル6はコア5に内蔵されていた。しかし、これに限定されるものではなく、コア5を省略してコイル6だけでも良い。
また、渦電流形変位センサの実施例では、ハウジング3内にコイル6のみが設けられコイルコア5が省略されていたが、これに限定されるものではなく、コイル6はコア5に内蔵されていても良い。
1 近接センサ
2 ターゲット
3 ハウジング
4 ねじ部
5 コア
6 コイル
7 ハウジング検出面
8 発振回路
9 比較回路
10 出力回路
11 渦電流形変位センサ
12 リニアライザ
13 磁性体領域
14 非磁性体領域
15 保持冶具
16 押圧具
17 レーザ発生装置
18 レーザ光
19 コルピッツ発振回路

Claims (8)

  1. 有底筒状の金属製ハウジングに収納されたコイルを発振回路により高周波発振駆動し、コイルの中心線と交差するハウジング検出面を介して被検出物に交番磁界を作用させ、当該被検出物に発生する渦電流により前記コイルに鎖交する磁束変化を通じて被検出物の存在を非接触で検出する高周波発振型近接センサであって、
    前記ハウジングは、少なくも前記有底筒状の金属製ハウジングの底部に相当するハウジング検出面に磁性体領域と非磁性体領域が連続するように一体に形成されている高周波発振型近接センサ。
  2. 前記ハウジング検出面のうち少なくともコイルの内径領域に対向する領域内に磁性体領域が形成されている請求項1記載の高周波発振型近接センサ。
  3. 取付面にねじ嵌合するねじ部が外周面に形成されたハウジング側面が、磁性体領域に形成されている請求項1又は2記載の高周波発振型近接センサ。
  4. 前記金属製ハウジングは、熱処理によって非磁性化されたオーステナイト系のステンレス鋼板の所定部位を有底筒状に塑性変形させて加工誘起変態によって強磁性のマルテンサイト相を発現させて前記ハウジング検出面に磁性体領域が形成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の高周波発振型近接センサ。
  5. 前記金属製ハウジングは、強磁性のマルテンサイト系のステンレス鋼板を有底筒状に塑性変形させ、所定部位を加熱して加熱変態を生じさせて非磁性のオーステナイト相を発現させて、非磁性体領域が形成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の高周波発振型近接センサ。
  6. 前記金属製ハウジングは、磁性体領域を形成する強磁性のステンレス鋼と非磁性体領域を形成する非磁性のステンレス鋼が有底筒状に接合されてなる請求項1乃至3のいずれか1項記載の高周波発振型近接センサ。
  7. 前記コイルに通電することにより前記ハウジング検出面を通じて交番磁界を発生させる発振回路と、該発振回路の出力電圧に基づいてONまたはOFF信号を発生させる比較回路と、該比較回路の出力を増幅する出力回路と、を備えた誘導形近接センサとして用いられる請求項1乃至6のいずれか1項記載の高周波発振型近接センサ。
  8. 前記コイルに通電することにより前記ハウジング検出面を通じて交番磁界を発生させる発振回路と、該発振回路の出力をリニアに補正するリニアライザと、該リニアライザのリニア出力を増幅する出力回路と、を備えた渦電流形変位センサとして用いられる請求項1乃至6のいずれか1項記載の高周波発振型近接センサ。
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