JP5486920B2 - 有機el装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)装置に関する。
近年、表示素子として有機エレクトロルミネセンス(EL)素子を用いた表示装置が注目されている。この有機EL素子は、自発光性素子であるため、バックライトを必要とせず薄型軽量化が可能である。さらに、有機EL素子は、高速応答、広視野角、低消費電力の特徴を有している。この有機EL素子は、水分や酸素の影響により劣化しやすい薄膜を含んでいる。このため、有機EL素子が大気に曝されないように気密に封止する必要がある。
例えば、特許文献1によれば、狭額縁パネルでも長期にわたり劣化しない有機ELパネル及びその製造方法として、複数のボックス状隔壁のうち少なくとも最外周部に位置するボックス状隔壁には有機EL素子が形成されず、それら有機EL素子が形成されない最外周部に位置するボックス状隔壁により最外周ボックス状隔壁群が構成されている技術が開示されている。このボックス状隔壁は、例えば、格子状に配列されている。
このような構成の有機EL装置において、特に水分が隔壁に到達すると、水分が隔壁内を拡散して複数の有機EL素子に伝わり、各有機EL素子に含まれる発光層を失活させ、表示に寄与しないダークスポットの形成を招いてしまうことがある。これにより、表示品位の劣化を招いてしまうことがある。
特開2007−242419号公報
本発明の目的は、水分による劣化を抑制することが可能な有機EL装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第2の態様によれば、絶縁基板と、前記絶縁基板の上方に配置されるとともに有機材料によって形成された絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上に配置されるとともに無機材料によって形成された第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜の上に配置された第1画素電極と、前記第2絶縁膜の上に配置されるとともに前記第1画素電極から離間した第2画素電極と、前記第1画素電極の第1周縁部及び前記第2絶縁膜の上に配置された第1隔壁と、前記第1隔壁と離間しているとともに前記第2画素電極の第2周辺部及び前記第2絶縁膜の上に配置された第2隔壁と、前記第1画素電極の上に配置され、前記第1隔壁の一部と重なり、端部が前記第1隔壁の天面に位置するとともに、前記第1画素電極の周縁部よりも内側に位置するように形成された第1有機層と、前記第2画素電極の上に配置され、前記第2隔壁の一部と重なり、端部が前記第2隔壁の天面に位置するとともに、前記第2画素電極の周縁部よりも内側に位置するように形成された第2有機層と、前記第1有機層及び前記第2有機層の上に配置された対向電極と、備えたことを特徴とする有機EL装置が提供される。
本発明の第3の態様によれば、絶縁基板の上方に有機材料によって第1絶縁膜を形成する工程と、前記第1絶縁膜の上に無機材料によって第2絶縁膜を形成する工程と、前記第2絶縁膜の上に第1画素電極及び前記第1画素電極から離間して第2画素電極を形成する工程と、前記第1画素電極の周縁に沿って第1隔壁及び前記第1隔壁から離間しているとともに前記第2画素電極の周縁に沿って第2隔壁を形成する工程と、前記第1画素電極の上に、前記第1隔壁の一部と重なり、端部が前記第1隔壁の天面に位置するとともに、前記第1画素電極の周縁部よりも内側に位置するように第1有機層を形成し、前記第2画素電極の上に、前記第2隔壁の一部と重なり、端部が前記第2隔壁の天面に位置するとともに、前記第2画素電極の周縁部よりも内側に位置するように第2有機層を形成する工程と、前記第1有機層及び前記第2有機層の上に対向電極を形成する工程と、を備えたことを特徴とする有機EL装置の製造方法が提供される。
本発明によれば、水分による劣化を抑制することが可能な有機EL装置及びその製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施態様における有機EL表示装置の構成を概略的に示す平面図である。 図2は、図1に示した有機EL表示装置の表示パネルのアクティブエリアの構造を概略的に示す断面図である。 図3は、図1に示した有機EL表示装置の表示パネルのアクティブエリアの構造を概略的に示す平面図である。 図4は、他の実施の形態における有機EL表示装置の表示パネルのアクティブエリアの構造を概略的に示す断面図である。 図5は、この発明の一実施の形態に係る有機EL表示装置の製造方法を概略的に説明した図である。 図6は、有機EL表示装置の製造方法を説明するための図であり、第1隔壁及び第2隔壁を形成する工程を示す図である。 図7は、有機EL表示装置の製造方法を説明するための図であり、第1隔壁及び第2隔壁を形成する他の工程を示す図である。
以下、本発明の一態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、有機EL装置の一例として、アクティブマトリクス駆動方式を採用した有機EL表示装置の構成を概略的に示す平面図である。
有機EL表示装置は、表示パネル1を備えている。この表示パネル1は、アレイ基板100及び封止基板200を備えている。
アレイ基板100は、画像を表示する略矩形状のアクティブエリア102と、このアクティブエリア102の周辺に枠状に形成された周辺エリア104と、を有している。アレイ基板100のアクティブエリア102には、複数の有機EL素子OLEDがマトリクス状に配置されている。複数の有機EL素子OLEDには、第1有機EL素子OLED1と、第1有機EL素子OLED1から離間した第2有機EL素子OLED2と、が含まれている。
封止基板200は、アレイ基板100のアクティブエリア102において有機EL素子OLEDと向かい合っている。封止基板200は、ガラスなどの光透過性を有する絶縁基板である。
これらのアレイ基板100と封止基板200とは、シール部材300によって貼り合わされている。このシール部材300は、途切れることなく配置され、アレイ基板100のアクティブエリア102を囲む枠状に形成されている。このようなシール部材300は、例えば、樹脂材料によって形成されている。
図2は、図1に示した有機EL表示装置の第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2を含むアレイ基板100の断面図である。なお、ここに示した第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は、封止基板200の側から光を放射するトップエミッションタイプである。
アレイ基板100は、ガラスなどの光透過性を有する絶縁基板101、絶縁基板101の上方に形成された第1スイッチングトランジスタSW1、第2スイッチングトランジスタSW2、第1有機EL素子OLED1、第2有機EL素子OLED2などを有している。絶縁基板101の上には、第1絶縁膜111が配置されている。このような第1絶縁膜111は、アクティブエリア102の概ね全体に亘って延在している。この第1絶縁膜111は、例えば、シリコン酸化物やシリコン窒化物などの無機材料によって形成されている。
第1絶縁膜111の上には、第1スイッチングトランジスタSW1の第1半導体層SC1と、第2スイッチングトランジスタSW2の第2半導体層SC2が配置されている。この第1半導体層SC1及び第2半導体層SC2は、例えばポリシリコンによって形成されている。第1半導体層SC1には、第1チャネル領域SCC1を挟んで第1ソース領域SCS1及び第1ドレイン領域SCD1が形成されている。第2半導体層SC2には、第2チャネル領域SCC2を挟んで第2ソース領域SCS2及び第2ドレイン領域SCD2が形成されている。
第1半導体層SC1及び第2半導体層SC2は、第2絶縁膜112によって被覆されている。また、第2絶縁膜112は、第1絶縁膜111の上にも配置されている。このような第2絶縁膜112は、アクティブエリア102の概ね全体に亘って延在している。この第2絶縁膜112は、例えば、シリコン酸化物やシリコン窒化物などの無機材料によって形成されている。
第2絶縁膜112の上には、第1チャネル領域SCC1の直上に第1スイッチングトランジスタSW1の第1ゲート電極G1が配置されており、第2チャネル領域SCC2の直上に第2スイッチングトランジスタSW2の第2ゲート電極G2が配置されている。この例では、第1スイッチングトランジスタSW1及び第2スイッチングトランジスタSW2は、トップゲート型のpチャネル薄膜トランジスタである。第1ゲート電極G1及び第2ゲート電極G2は、第3絶縁膜113によって被覆されている。また、第3絶縁膜113は、第2絶縁膜112の上にも配置されている。このような第3絶縁膜113は、アクティブエリア102の概ね全体に亘って延在している。この第3絶縁膜113は、例えば、シリコン酸化物やシリコン窒化物などの無機材料によって形成されている。
第3絶縁膜113の上には、第1スイッチングトランジスタSW1の第1ソース電極S1及び第1ドレイン電極D1、第2スイッチングトランジスタSW2の第2ソース電極S2及び第2ドレイン電極D2が配置されている。第1ソース電極S1は、第1半導体層SC1の第1ソース領域SCS1にコンタクトしている。第1ドレイン電極D1は、第1半導体層SC1の第1ドレイン領域SCD1にコンタクトしている。第2ソース電極S2は、第2半導体層SC2の第2ソース領域SCS2にコンタクトしている。第2ドレイン電極D2は、第2半導体層SC2の第2ドレイン領域SCD2にコンタクトしている。
第1スイッチングトランジスタSW1の第1ゲート電極G1、第1ソース電極S1、第1ドレイン電極D1、及び、第2スイッチングトランジスタSW2の第2ゲート電極G2、第2ソース電極S2、第2ドレイン電極D2は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)などの導電材料を用いて形成されている。
これらの第1ソース電極S1、第1ドレイン電極D1、第2ソース電極S2及び第2ドレイン電極D2は、第4絶縁膜114によって被覆されている。また、第4絶縁膜114は、第3絶縁膜113の上にも配置されている。このような第4絶縁膜114は、アクティブエリア102の全体に亘って延在している。この第4絶縁膜114は、例えば、紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などの有機化合物によって形成されている。
第1有機EL素子OLED1を構成する第1画素電極PE1は、第4絶縁膜114の上に配置されている。第1画素電極PE1は、第1スイッチングトランジスタSW1の第1ドレイン電極D1に接続されている。第1画素電極PE1は、第1周縁部EP1を有している。ここで、第1周縁部EP1とは、第1画素電極PE1の周縁に沿った所定の幅を有する枠状の領域である。
第2有機EL素子OLED2を構成する第2画素電極PE2は、第4絶縁膜114の上に配置されている。第2画素電極PE2は、第2スイッチングトランジスタSW2の第2ドレイン電極D2に接続されている。第2画素電極PE2は、その周縁に沿った所定の幅を有する枠状の領域である第2周縁部EP2を有している。第2画素電極PE2は、第1画素電極PE1から離間している。この第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2は、この例では陽極に相当する。
この第1画素電極PE1は、第1反射電極PER1及び第1透過電極PET1が積層された2層構造である。第2画素電極PE2は、第2反射電極PER2及び第2透過電極PET2が積層された2層構造である。第1反射電極PER1及び第2反射電極PER2は、第4絶縁膜114の上に配置されている。また、第1透過電極PET1は、第1反射電極PER1の上に積層される。第2透過電極PET2は、第2反射電極PER2の上に積層されている。
第1反射電極PER1及び第2反射電極PER2は、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)などの光反射性を有する導電材料によって形成されている。第1透過電極PET1及び第2透過電極PET2は、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)、インジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの光透過性を有する導電材料によって形成されている。
なお、第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2は、上述した2層構造に限らず、3層以上の積層構造であっても良いし、第1反射電極PER1単層、第2反射電極PER2単層であっても良いし、第1透過電極PET1単層、第2透過電極PET2単層であっても良い。トップエミッションタイプの有機EL素子OLEDの場合には、第1画素電極PE1は少なくとも第1反射電極PER1を有しており、第2画素電極PE2は少なくとも第2反射電極PER2を有している。
第4絶縁膜114の上には、第1隔壁PI1及び第2隔壁PI2が配置されている。この第1隔壁PI1は、第1画素電極PE1の周縁に沿って配置されている。すなわち、この第1隔壁PI1は、第1画素電極PEの第1周縁部EP1に重なっており、また、第1画素電極PEよりも外側で第4絶縁膜114に接している。
第2隔壁PI2は、第2画素電極PE2の周縁に沿って配置されている。第2隔壁PI2は、第1隔壁PI1から離間している。すなわち、この第2隔壁PI2は、第2画素電極PE2の第2周縁部EP2に重なっており、また、第2画素電極PE2よりも外側で第4絶縁膜114に接している。このような第1隔壁PI1及び第2隔壁PI2は、例えば、紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などの有機化合物や、シリコン窒化物などの各種無機化合物などの絶縁材料によって形成されている。
第1有機EL素子OLED1を構成する第1有機層ORG1は、第1画素電極PE1の上に配置されている。第1有機層ORG1は、第1画素電極PE1のみならず第1隔壁PI1の一部に重なっている。第1有機層ORG1は、第1画素電極PE1の第1周縁部EP1よりも内側に配置されている。
第2有機EL素子OLED2を構成する第2有機層ORG2は、第2画素電極PE2の上に配置されている。第2有機層ORG2は、第2画素電極PE2のみならず第2隔壁PI2の一部に重なっている。第2有機層ORG2は、第2画素電極PE2の周縁部EP2よりも内側に配置されている。
これらの第1有機層ORG1及び第2有機層ORG2は、少なくとも発光層を含み、さらに、ホール注入層、ホール輸送層、電子注入層、電子輸送層などを含んでも良い。なお、第1有機層ORG1及び第2有機層ORG2の材料については、蛍光材料を含んでいても良いし、燐光材料を含んでいても良い。
第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2を構成する対向電極CEは、第1有機層ORG1及び第2有機層ORG2の上に配置されている。この対向電極CEは、第1有機層ORG1及び第2有機層ORG2のみならず第1隔壁PI1、第2隔壁PI2を覆うとともに、第1隔壁PI1と第2隔壁PI2との間に位置する第4絶縁膜114も覆っている。この例では、対向電極CEは、陰極に相当する。このような対向電極CEは、アクティブエリア102の全体に亘って延在している。この対向電極CEは、例えば、マグネシウム(Mg)・銀(Ag)などによって形成された半透過層によって構成されている。なお、対向電極CEは、ITOやIZOなどの光透過性を有する導電材料によって形成された透過層を含んでいても良い。
なお、この例では、第1有機層ORG1及び第2有機層ORG2がそれぞれ第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2の上に配置されているが、第1有機層ORG1及び第2有機層ORG2は、第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2の上に配置された共通層であってもよい。このとき、第1有機層ORG1及び第2有機層ORG2の共通層である有機層ORGは第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2のみならず、第1隔壁PI1、第2隔壁PI2及び第1隔壁PI1と第2隔壁PI2との間に位置する第4絶縁膜114も被覆している。対向電極CEは、有機層ORG1の上に配置されている。
なお、有機EL素子OLEDには、低分子材料を用いた素子構成と、高分子材料を用いた素子構成とがある。有機EL素子OLEDを低分子材料によって形成する場合には、有機分子蒸着法や真空蒸着法などのドライプロセスによって形成されることが多い。この場合には、有機EL素子OLEDの積層構造を容易に形成することができる。一方、有機EL素子OLEDを高分子材料によって形成する場合において、スピンコート法と呼ばれるウェットプロセスで形成されることが多い。この場合には、溶媒を工夫し、ドライプロセスと組み合わせるなどの方法により有機EL素子OLEDの積層構造を形成することができる。
さらに、有機EL素子OLEDを用いてカラーディスプレイを実現する方法として、赤色、青色、緑色の3色の発光素子をパターニングによってそれぞれ異なる素子を発光させる方法、青色を蛍光材料によって色変換する方法、白色発光とカラーフィルタとを組み合わせる方法などがある。
有機EL素子OLEDを構成する対向電極CEの上には、封止膜116が配置されている。封止膜116は、アクティブエリア102の全体に亘って延在している。この封止膜116は、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化シリコン(SiOX)及び窒化シリコン(SiNX)などの無機材料によって形成され、単層構造であっても良いし、薄膜層が複数積層された積層構造であってもよい。
なお、上述した第1絶縁膜111、第2絶縁膜112、第3絶縁膜113、第4絶縁膜114、封止膜116などは、アクティブエリア102のみならず、周辺エリア104に延在していても良い。
図2では、図示を省略したが、封止基板200は、アレイ基板100のアクティブエリア102に配置された封止膜116の上方に配置されている。封止膜116と封止基板200との間には隙間が形成されている場合もあるが、封止膜116と封止基板200との間に形成された隙間に樹脂材料などの光透過性を有する材料が充填されていてもよい。
図3は、図1に示した有機EL表示装置の隔壁PIを含むアレイ基板100のアクティブエリア102の概略平面図である。なお、この図3では、説明に必要な画素電極PE及び隔壁PIのみを図示している。
アレイ基板100のアクティブエリア102には、有機EL素子OLEDを構成する画素電極PEが第1方向X及び第2方向Yにおいてマトリクス状に配置されている。各画素電極PEは、例えば第2方向Yに延びた略長方形状に形成されている。図示した画素電極PEには、上述した第1画素電極PE1と、第1画素電極PE1から離間した第2画素電極PE2とが含まれている。
隔壁PIは、画素電極PEごとに第1方向X及び第2方向Yにおいて分断された構造であり、各々の隔壁PIは、有機EL素子OLEDを構成する画素電極PEの周縁に沿って配置されている。各々の隔壁PIは、枠状に形成されている。図示した隔壁PIには、上述した第1隔壁PI1と、第1隔壁PI1から離間した第2隔壁PI2とが含まれている。第1隔壁PI1は、第1画素電極PE1の第1周縁部EP1及び第4絶縁膜114(図示しない)の一部の上に配置されている。第2隔壁PI2は、第2画素電PE2の周縁部EP2及び第4絶縁膜114(図示しない)の一部の上に配置されている。
ところで、封止膜116を形成する前に付着した異物等に起因して、封止膜116が破損することがある。このような封止膜116の破損箇所から水などが浸入し、有機EL素子OLEDを構成する有機層、特に発光層の失活を招くことがある。
アクティブエリア102において、隔壁PIが複数の有機EL素子OLEDを囲むように格子状に形成されている場合、封止膜116の破損箇所から隔壁PIに到達した水分が隔壁PI内を拡散し、複数の有機EL素子OLEDに到達して、複数の有機EL素子OLEDの劣化に発展するおそれがある。
これに対し、本実施の形態において、隔壁は個別に分離され、各々有機EL素子OLEDの画素電極PEを囲むように配置されている。具体的には、第1画素電極PE1を囲む第1隔壁PI1及び第2画素電極PE2を囲む第2隔壁PI2は互いに離間しているため、たとえ第1隔壁PIに水分が到達した場合であっても、第1隔壁PI1に到達した水分は、第1隔壁PI内を拡散して第2隔壁PI2などの他の隔壁PI内に拡散されることはない。したがって、第1隔壁PI1に浸入した水分による第1有機EL素子OLED1の周辺の第2有機EL素子OLED2などの他の有機EL素子OLEDの劣化を抑制することができる。
以上、本実施の形態によれば、水分による劣化を抑制することが可能な有機EL装置を提供することができる。
次に、他の実施形態について説明する。この図4に示した例のアレイ基板100は、さらに第4絶縁膜114と画素電極PEとの間に第5絶縁膜115を有している点で図2に示したアレイ基板100と異なる。なお、他の構成については、図2に示した例と同一であるため、同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。
すなわち、アレイ基板100は、アクティブエリア102において、絶縁基板101の上に順に積層された第1絶縁膜111、第2絶縁膜112、第3絶縁膜113、第4絶縁膜114に加え、第1スイッチングトランジスタSW、第2スイッチングトランジスタSW2、トップエミッションタイプの第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2、第1画素電極PE1の周縁部EP1に配置された第1隔壁PI1、第2画素電極PE2の周縁部EP2に配置された第2隔壁PI2などを備えている。
図4に示すように、アレイ基板100は、さらに、第5絶縁膜115を有する。第5絶縁膜115は、絶縁基板101の上方に配置された絶縁膜に相当し、第4絶縁膜114の上に配置されている。第5絶縁膜115の上には、第1画素電極PE1、第2画素電極PE2、第1隔壁PI1及び第2隔壁PI2が配置されている。第5絶縁膜115は、アクティブエリア102の全体に亘って延在している。この第5絶縁膜115は、窒化シリコン(SiN)などの無機材料によって形成されている。第5絶縁膜115は、無機材料によって形成された単層構造に限らず、無機材料によって形成された2層以上の積層構造であってもよい。
この実施の形態においても、図2に示した例と同様の効果が得られる。
さらに、この実施の形態において、水分が隔壁PIに浸入した場合であっても、無機材料によって形成された第5絶縁膜115が隔壁PIの下に配置されているため、隔壁PIから第5絶縁膜115を介して周辺の有機EL素子OLEDに水分が伝わらないため、周辺の有機EL素子OLEDの劣化を抑制することができる。したがって、本実施の形態によれば、さらに水分による劣化を抑制することが可能な有機EL装置を提供することができる。
次に、図2に示した有機EL表示装置の製造方法の一例について、主要な製造工程を説明する。図5は、有機EL表示装置の製造方法を概略的に示したフローチャートである。図6及び図7は、第1隔壁及び第2隔壁を形成する工程を説明するための概略平面図である。
まず、第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2の下地となる絶縁膜を形成する(ST1)。すなわち、絶縁基板101の上に、第1絶縁膜111、第2絶縁膜112、第3絶縁膜113及び第4絶縁膜114、第1スイッチングトランジスタSW1、第2スイッチングトランジスタSW2などを形成した。
図2に示した有機EL表示装置の製造方法においては、第4絶縁膜114が第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2の下地の絶縁膜に相当する。なお、図4に示した有機EL表示装置の製造方法においては、第4絶縁膜114の上に形成した第5絶縁膜115が第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2の下地の絶縁膜に相当する。
第4絶縁膜114は、例えば、紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などの有機材料を塗布し、第1スイッチングトランジスタSW1と導通をとるコンタクトホール及び第2スイッチングトランジスタSW2と導通をとるコンタクトホールが形成されるようにパターニングし、焼成処理を行うことによって形成される。
第5絶縁膜115は、例えば、低温でCVD法により第4絶縁膜114の上に窒化シリコン(SiN)を形成し、第1スイッチングトランジスタSW1と導通をとるコンタクトホール及び第2スイッチングトランジスタSW2と導通をとるコンタクトホールをパターニングすることにより形成される。
続いて、絶縁膜の上に第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2を形成した(ST2)。この第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2については、一般的なフォトリソグラフィ法で形成しても良いし、マスクスパッタ法で形成しても良い。
続いて、第1隔壁PI1及び第2隔壁PI2を形成した(ST3)。この工程について、より具体的に説明する。
すなわち、有機材料の感光樹脂である紫外線硬化型樹脂のポジ型レジストを塗布した。そして、図6に示すように、第1画素電極PE1の第1周縁部EP1及び第2画素電極PE2の第2周縁部EP2を含む各画素電極PEの周縁部EP、及び、第1周縁部EP1と第2周縁部EP2との間の絶縁膜を含む各画素電極PEの間の領域(斜線部分)を遮光し、第1画素電極PE1の第1周縁部EP1よりも内側及び第2画素電極PE2の第2周縁部EP2よりも内側を含む各画素電極PEの周縁部EPよりも内側の領域を露光した。
その後、図7に示すように、画素電極PE及び絶縁膜(斜線部分)を遮光し、隣接する画素電極PE間、例えば、第1画素電極PE1と第2画素電極PE2との間の中線Mに沿った幅3μmの領域をステッパーにて露光を行う。そして、露光後のポジ型レジストを現像することによって露光された領域が除去される一方で、周縁部EP及びその周辺の未露光領域が残留し、焼成処理を経て第1隔壁PI1及び第2隔壁PI2を含む隔壁PIが形成される。なお、第1隔壁PI1及び第2隔壁PI2を含む隔壁PIの形成には、非感光性の材料を用いてドライエッチングによる加工を適用しても良い。さらに、第1隔壁PI1及び第2隔壁PI2は、窒化シリコン(SiN)などの無機材料を低温にてCVD法により成膜しても良い。第1隔壁PI1及び第2隔壁PI2の膜厚は、例えば4500オングストローム以上であり、画素電極PE間を絶縁でき生産性に影響を与えない膜厚であれば良い。
次に、第1有機層ORG1及び第2有機層ORG2を形成した(ST4)。さらに、対向電極CEを形成した(ST5)した。
その後、封止膜116を形成した。この封止膜116は、CVD法により酸化シリコン(SiO)の薄膜層を成膜し、その上に窒化シリコン(SiN)の薄膜層を成膜し、この工程を複数回繰り返し、薄膜層を複数積層させることによって形成される。
このようにして、縦480ピクセル、横640×3(R、G、B)ピクセル、合計92万ピクセルを有する有機EL装置を形成した。
このようにして形成した有機EL装置によれば、未発光画素の無い良好な表示が得られる。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
本実施形態は、有機EL装置として、有機EL表示装置について説明したが、有機EL照明や有機ELプリンターヘッドなどにも利用可能である。
本実施形態では、有機EL素子OLEDがトップエミッションタイプである場合について説明したが、有機EL素子OLEDがアレイ基板100の絶縁基板101を介して光を放射するボトムエミッションタイプであっても良い
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]絶縁基板と、
前記絶縁基板の上方に配置された絶縁膜と、
前記絶縁膜の上に配置された第1画素電極と、
前記絶縁膜の上に配置されるとともに前記第1画素電極から離間した第2画素電極と、
前記第1画素電極の周縁に沿って配置された第1隔壁と、
前記第1隔壁と離間しているとともに前記第2画素電極の周縁に沿って配置された第2隔壁と、
前記第1画素電極の上に配置された第1有機層と、
前記第2画素電極の上に配置された第2有機層と、
前記第1有機層及び前記第2有機層の上に配置された対向電極と、
を備えたことを特徴とする有機EL装置。
[2]絶縁基板と、
前記絶縁基板の上方に配置されるとともに無機材料によって形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜の上に配置された第1画素電極と、
前記絶縁膜の上に配置されるとともに前記第1画素電極から離間した第2画素電極と、
前記第1画素電極の第1周縁部及び前記絶縁膜の上に配置された第1隔壁と、
前記第1隔壁と離間しているとともに前記第2画素電極の第2周辺部及び前記絶縁膜の上に配置された第2隔壁と、
前記第1画素電極の上に配置された第1有機層と、
前記第2画素電極の上に配置された第2有機層と、
前記第1有機層及び前記第2有機層の上に配置された対向電極と、
を備えたことを特徴とする有機EL装置。
[3]前記対向電極は、前記第1隔壁及び前記第2隔壁を覆うとともに、前記第1隔壁と前記第2隔壁との間に配置された前記絶縁膜の上に配置されたことを特徴とする[1]または[2]に記載の有機EL装置。
[4]絶縁基板の上方に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の上に第1画素電極及び前記第1画素電極から離間して第2画素電極を形成する工程と、
前記第1画素電極の周縁に沿って第1隔壁及び前記第1隔壁から離間しているとともに前記第2画素電極の周縁に沿って第2隔壁を形成する工程と、
前記第1画素電極の上に第1有機層及び前記第2画素電極の上に第2有機層を形成する工程と、
前記第1有機層及び前記第2有機層の上に対向電極を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
[5]前記第1隔壁及び前記第2隔壁は、有機材料によって形成されたことを特徴とする[4]に記載の有機EL装置の製造方法。
[6]前記第1隔壁及び前記第2隔壁は、無機材料によって形成されたことを特徴とする[4]に記載の有機EL装置の製造方法。
101…絶縁基板 PE1…第1画素電極 PE2…第2画素電極 PI1…第1隔壁
PI2…第2隔壁 ORG…有機層 CE…対向電極

Claims (5)

  1. 絶縁基板と、
    前記絶縁基板の上方に配置されるとともに有機材料によって形成された第1絶縁膜と、
    前記第1絶縁膜の上に配置されるとともに無機材料によって形成された第2絶縁膜と、
    前記第2絶縁膜の上に配置された第1画素電極と、
    前記第2絶縁膜の上に配置されるとともに前記第1画素電極から離間した第2画素電極と、
    前記第1画素電極の第1周縁部及び前記第2絶縁膜の上に配置された第1隔壁と、
    前記第1隔壁と離間しているとともに前記第2画素電極の第2周辺部及び前記第2絶縁膜の上に配置された第2隔壁と、
    前記第1画素電極の上に配置され、前記第1隔壁の一部と重なり、端部が前記第1隔壁の天面に位置するとともに、前記第1画素電極の周縁部よりも内側に位置するように形成された第1有機層と、
    前記第2画素電極の上に配置され、前記第2隔壁の一部と重なり、端部が前記第2隔壁の天面に位置するとともに、前記第2画素電極の周縁部よりも内側に位置するように形成された第2有機層と、
    前記第1有機層及び前記第2有機層の上に配置された対向電極と、
    を備えたことを特徴とする有機EL装置。
  2. 前記対向電極は、前記第1隔壁及び前記第2隔壁を覆うとともに、前記第1隔壁と前記第2隔壁との間に配置された前記第2絶縁膜の上に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
  3. 絶縁基板の上方に有機材料によって第1絶縁膜を形成する工程と、
    前記第1絶縁膜の上に無機材料によって第2絶縁膜を形成する工程と、
    前記第2絶縁膜の上に第1画素電極及び前記第1画素電極から離間して第2画素電極を形成する工程と、
    前記第1画素電極の周縁に沿って第1隔壁及び前記第1隔壁から離間しているとともに前記第2画素電極の周縁に沿って第2隔壁を形成する工程と、
    前記第1画素電極の上に、前記第1隔壁の一部と重なり、端部が前記第1隔壁の天面に位置するとともに、前記第1画素電極の周縁部よりも内側に位置するように第1有機層を形成し、前記第2画素電極の上に、前記第2隔壁の一部と重なり、端部が前記第2隔壁の天面に位置するとともに、前記第2画素電極の周縁部よりも内側に位置するように第2有機層を形成する工程と、
    前記第1有機層及び前記第2有機層の上に対向電極を形成する工程と、
    を備えたことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  4. 前記第1隔壁及び前記第2隔壁は、有機材料によって形成されたことを特徴とする請求項3に記載の有機EL装置の製造方法。
  5. 前記第1隔壁及び前記第2隔壁は、無機材料によって形成されたことを特徴とする請求項3に記載の有機EL装置の製造方法。
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