一般に、静電容量型センサにおける静電容量は、次式(I)により求めることができる。
C=ε0εrS/d ・・・(I)
[C:静電容量、ε0:真空中の誘電率、εr:誘電層の比誘電率、S:電極面積、d:電極間距離]
特許文献1に開示された静電容量型センサによると、柔軟で比誘電率の大きいゴムフィルムを誘電層として使用する。ゴムフィルムは、比較的高価である。また、上記式(I)から明らかなように、静電容量は、電極間距離、すなわちゴムフィルムの厚さに反比例する。したがって、静電容量を大きくして検出感度の向上を図ると共に、センサの小型化を図るという観点では、ゴムフィルムを薄膜化することが望ましい。しかし、ゴムフィルムを薄膜化すると、引き裂き強度が小さくなる。このため、例えば、ゴムフィルムに小さな傷ができると、その傷が起点となって破断してしまうおそれがある。したがって、静電容量型センサの耐久性が問題となる。また、ゴムフィルムを薄膜化すると、荷重に対する厚さの変化が小さくなる。つまり、荷重が小さい場合には、充分な静電容量の変化が得られない。このため、小さな荷重の変化を、検出できないおそれがある。
また、誘電層として、ウレタンフォーム等の発泡体やゲル材料を使用した静電容量型センサも知られている。当該静電容量型センサは、誘電層の表裏両面にゴムフィルムを積層し、各々のゴムフィルムの表面に電極を配置して構成されている。ここで、誘電層とゴムフィルムとは、接着されていない。つまり、誘電層とゴムフィルムとの間には、隙間が生じやすい。このため、静電容量が安定しにくく、正確な検出が難しい。また、測定ごとに静電容量がばらつくおそれがあり、再現性に問題がある。
一方、特許文献2に開示された静電容量型センサによると、布を誘電層として使用する。しかし、布を介して配置されている一対の電極は、各々、基板に固定されている。したがって、当該静電容量型センサは、柔軟性に乏しい。また、一対の電極は、直接、布の表面に接触している。布の表面には、凹凸がある。このため、各々の電極と布(誘電層)との接触状態は、一様ではない。よって、測定部位により、静電容量にばらつきが生じるおそれがある。また、布の表面粗さは大きい。このため、例えば印刷法等により、布の表面に、直接、電極や配線を形成することは難しい。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、薄くて伸縮柔軟性を有し、応答性、再現性、および耐久性に優れる静電容量型センサを提供することを課題とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の静電容量型センサは、伸縮性を有する布からなる誘電層と、エラストマーまたは樹脂からなり該誘電層の表側に積層され該誘電層と一体的に伸縮可能な表側被覆層と、エラストマーまたは樹脂からなり該誘電層の裏側に積層され該誘電層と一体的に伸縮可能な裏側被覆層と、を有する誘電部材と、該誘電部材の該表側被覆層の表面に形成され該誘電部材と一体的に伸縮可能な表側電極と、該誘電部材の該裏側被覆層の裏面に形成され該誘電部材と一体的に伸縮可能な裏側電極と、表裏方向に対向する該表側電極と該裏側電極との間に形成されている検出部と、を備え、該検出部の静電容量変化に基づいて、加えられた荷重を検出することを特徴とする。
本発明の静電容量型センサにおいて、誘電部材は、布からなる誘電層を有する。誘電部材に荷重が加わると、布を構成する繊維間の隙間が潰されて、布の厚さは小さくなる。つまり、誘電部材の厚さが小さくなる。これにより、誘電部材の表裏両面に形成されている表側電極と裏側電極との間の距離は小さくなる。その結果、表側電極と裏側電極との間の静電容量(検出部の静電容量)が大きくなり、荷重が検出される。
布は、伸縮性を有するものであれば、織布、編み布、不織布のいずれであってもよい。布を使用することにより、伸縮柔軟性に優れた薄膜状の静電容量型センサを、比較的低コストに実現することができる。また、布を構成する繊維間には隙間がある。このため、小さな荷重で押圧された場合でも、隙間が潰れることにより、布の厚さは変化しやすい。したがって、本発明の静電容量型センサは、高い検出感度を有し、応答性に優れる。
布(誘電層)の表裏両側には、各々、表側被覆層と裏側被覆層とが積層されている。これにより、誘電部材の表裏両面には、凹凸を有する布の表面が表出しない。したがって、誘電部材の表裏両面に、例えば印刷法等により、直接、電極や配線を形成することができる。また、表側被覆層および裏側被覆層(以下適宜、まとめて「被覆層」と称す)は、誘電層と一体的に伸縮可能である。つまり、被覆層は、直接あるいは間接的に、誘電層に固定されている。このため、被覆層と誘電層との間に、隙間は生じない。また、表側電極は、表側被覆層の表面に直接形成されている。同様に、裏側電極は、裏側被覆層の裏面に直接形成されている。つまり、表側電極と表側被覆層との間、および裏側電極と裏側被覆層との間にも隙間がない。このため、本発明の静電容量型センサによると、安定した静電容量が得られ、荷重を正確に検出することができる。また、測定ごとに静電容量がばらつくおそれもなく、検出の再現性が高い。
被覆層は、エラストマーまたは樹脂からなる。エラストマーまたは樹脂製の被覆層と布とを積層させて、誘電部材を構成することにより、誘電部材の引き裂き強度を大きくすることができる。すなわち、誘電部材の表裏両面をなす被覆層に、仮に小さな傷が生じた場合でも、布による補強作用により、誘電部材は破断しにくい。このように、本発明の静電容量型センサは、耐久性に優れる。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記誘電層は、一枚の前記布からなる構成とする方がよい。
本構成では、伸縮性を有する一枚の布の表側に表側被覆層が積層されており、裏側に裏側被覆層が積層されている。誘電層を一枚の布で構成することにより、誘電部材、ひいては静電容量型センサを、より薄くすることが可能となる。また、伸縮性を有する布を複数枚積層させる態様と比較して、誘電部材の製造が容易である。
(3)好ましくは、上記(1)の構成において、前記誘電層は、二枚の前記布が積層されてなり、前記表側被覆層は、一方の該布の表側に積層されており、前記裏側被覆層は、他方の該布の裏側に積層されている構成とする方がよい。
本構成によると、例えば、片面にしか被覆処理を施すことができない布であっても、誘電層として使用することができる。また、弾性率が異なる二枚の布を積層することにより、検出可能な荷重範囲を大きくすることができる。すなわち、加えられた荷重が小さい場合には、弾性率が小さい布のみが圧縮される。この場合、当該一方の布の厚さの変化により、荷重が検出される。また、加えられた荷重が大きい場合には、二枚の布が圧縮される。この場合、両方の布の厚さの変化により、荷重が検出される。このように、荷重に応じて、二段階の検出レンジを設定することができる。
本構成の誘電部材は、例えば、次のようにして製造することができる。第一の方法としては、伸縮性を有する二枚の布を積層し、積層された布の表側に表側被覆層を形成し、裏側に裏側被覆層を形成する。第二の方法としては、まず、伸縮性を有し、片面に表側被覆層が形成されている表側被覆布と、伸縮性を有し、片面に裏側被覆層が形成されている裏側被覆布と、を準備する。次に、これら二枚の布を、表側被覆層、裏側被覆層が形成されていない面同士が接触するように積層する。
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記表側被覆層と前記誘電層との間には、該表側被覆層と該誘電層とを接着し両層と一体的に伸縮可能な表側接着層が介装されており、前記裏側被覆層と前記誘電層との間には、該裏側被覆層と該誘電層とを接着し両層と一体的に伸縮可能な裏側接着層が介装されている構成とする方がよい。
表側被覆層と誘電層との間に、表側接着層を介在させることにより、表側被覆層と誘電層とを密着させることができる。これにより、誘電部材の耐久性が、より向上する。同様に、裏側被覆層と誘電層との間に、裏側接着層を介在させることにより、裏側被覆層と誘電層とを密着させることができる。これにより、誘電部材の耐久性が、より向上する。
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記表側被覆層および前記裏側被覆層は、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、ブチルゴムから選ばれる一種以上から形成されているフィルム、または、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、アクリルウレタンから選ばれる一種以上の塗料から形成されている塗膜である構成とする方がよい。
表側被覆層および裏側被覆層は、いずれもエラストマーまたは樹脂からなる。被覆層の材質は、伸縮性や、表側電極、裏側電極を形成可能か否かを考慮して、決定することが望ましい。この点、本構成の被覆層は、伸縮性に優れる。また、本構成によると、表側被覆層、裏側被覆層の各々の表面に、表側電極、裏側電極を、印刷法により容易に形成することができる。
(6)好ましくは、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記布は、天然繊維、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、セルロース系繊維、ポリウレタンから選ばれる一種以上を含む繊維から形成されている構成とするとよい。
本構成によると、誘電層の伸縮性、耐久性を向上させることができる。
(7)好ましくは、上記(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記表側電極および前記裏側電極は、各々、エラストマーと、該エラストマーに充填されている導電性フィラーと、を有する構成とするとよい。
本構成の表側電極および裏側電極(以下適宜、まとめて「電極」と称す)は、エラストマーを母材とする。エラストマー中には、導電性フィラーによる導電パスが形成されている。よって、電極の導電性は良好で、かつ伸縮しても導電性の変化は小さい。したがって、伸縮による変形量が大きい場合でも、電極としての機能が低下しにくい。
(7−1)好ましくは、上記(7)の構成において、前記表側電極および前記裏側電極を構成する前記エラストマーは、シリコーンゴム、エチレン−プロピレンゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴムから選ばれる一種以上を含む構成とするとよい。本構成によると、電極の伸縮性が高くなる。このため、電極と誘電部材とが一体的に伸縮しやすい。
(7−2)好ましくは、上記(7)の構成において、前記表側電極および前記裏側電極を構成する前記導電性フィラーは、炭素材料および金属から選ばれる一種以上からなる構成とするとよい。金属としては、導電性の高い銀、銅等が好適である。よって、導電性フィラーとして、銀、銅等の微粒子、あるいは表面に銀等のめっきを施した微粒子を使用することができる。また、炭素材料は、導電性が良好で、比較的安価である。このため、炭素材料からなる導電性フィラーを用いると、静電容量型センサの製造コストを低減することができる。
(8)好ましくは、上記(1)ないし(7)のいずれかの構成において、前記表側電極は、前記表側被覆層の表面に印刷されており、前記裏側電極は、前記裏側被覆層の裏面に印刷されている構成とするとよい。
本構成によると、電極の形成成分を含む塗料を印刷するだけで、電極を容易に形成することができる。また、印刷法を採用すると、電極の形状の自由度が向上する。また、電極の薄膜化が容易になるため、より薄い静電容量型センサを構成することができる。
(9)好ましくは、上記(1)ないし(8)のいずれかの構成において、前記表側電極は、帯状を呈し前記表側被覆層の表面に複数形成されており、前記裏側電極は、帯状を呈し前記裏側被覆層の裏面に複数形成されており、前記検出部は、該表側電極と該裏側電極とが、表裏方向から見て交差することにより形成されている構成とするとよい。
本構成において、表側電極、裏側電極は、共に帯状である。また、検出部は、表側電極と裏側電極との交差部分を利用して配置されている。このため、例えば、広い領域における面圧分布を測定する場合でも、荷重を検出したい部位ごとに、電極を配置する必要はない。
(9−1)好ましくは、上記(9)の構成において、前記表側電極は、複数列並んで配列されており、前記裏側電極は、複数列並んで配列されており、複数の該表側電極と複数の該裏側電極とは、表裏方向から見て、略直交して配置されている構成とする方がよい。
本構成によると、複数の検出部を、静電容量型センサの全面に分散させやすい。このため、静電容量型センサの全面に占める、荷重検出可能な部分の面積を、大きくすることができる。また、静電容量型センサの全面において、検出部の配置がばらつくのを抑制することができる。
本発明によると、薄くて伸縮柔軟性を有し、応答性、再現性、および耐久性に優れる静電容量型センサを提供することができる。
次に、本発明の静電容量型センサの実施の形態について説明する。
<第一実施形態>
[静電容量型センサの構成]
まず、本実施形態の静電容量型センサの構成について説明する。図1に、本実施形態の静電容量型センサの上面透過図を示す。なお、図1において、裏側電極および裏側配線を細線で示す。また、検出部にハッチングを施して示す。図2に、図1のII−II方向断面図を示す。図1、図2に示すように、本実施形態の静電容量型センサ1は、誘電部材2と、表側電極01X〜16Xと、裏側電極01Y〜16Yと、検出部A0101〜A1616と、表側配線01x〜16xと、裏側配線01y〜16yと、表側配線用コネクタ30と、裏側配線用コネクタ31と、演算部4と、を備えている。なお、検出部の符合「A○○△△」中、上二桁の「○○」は、表側電極01X〜16Xに対応している。下二桁の「△△」は、裏側電極01Y〜16Yに対応している。
誘電部材2は、誘電層20と、表側被覆層21と、裏側被覆層22と、表側接着層23と、裏側接着層24と、を備えている。
誘電層20は、ナイロンおよびポリウレタンから形成されている一枚の伸縮布(東レ(株)製「プログレスキン(登録商標)」)からなる。誘電層20は、XY方向(前後左右方向)に延在している。誘電層20の厚さは、約400μmである。
表側接着層23は、誘電層20の上面に配置されている。表側接着層23は、接着剤用ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)「ニッポラン(登録商標)5120」)から形成されており、薄膜状を呈している。表側接着層23の厚さは、約50μmである。
表側被覆層21は、表側接着層23の上面に配置されている。表側被覆層21は、ポリウレタン塗料(ミクニペイント(株)製「ULエナメル」)から形成されている塗膜である。表側被覆層21の厚さは、約50μmである。誘電層20と表側被覆層21とは、表側接着層23により接着されている。
裏側接着層24は、誘電層20の下面に配置されている。裏側接着層24は、表側接着層23と同じ接着剤用ポリウレタン樹脂から形成されており、薄膜状を呈している。裏側接着層24の厚さは、約50μmである。
裏側被覆層22は、裏側接着層24の下面に配置されている。裏側被覆層22は、表側被覆層21と同様に、ポリウレタン塗料(同上)から形成されている塗膜である。裏側被覆層22の厚さは、約50μmである。誘電層20と裏側被覆層22とは、裏側接着層24により接着されている。
表側電極01X〜16Xは、表側被覆層21の上面(誘電部材2の上面)に、合計16本配置されている。表側電極01X〜16Xは、各々、アクリルゴムと、ケッチェンブラックと、を含んで形成されている。表側電極01X〜16Xは、各々、帯状を呈している。表側電極01X〜16Xは、各々、X方向(左右方向)に延在している。表側電極01X〜16Xは、Y方向(前後方向)に、所定間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。表側電極01X〜16Xの左端には、各々、表側接続部01X1〜16X1が配置されている。
表側配線01x〜16xは、表側被覆層21の上面に、合計16本配置されている。表側配線01x〜16xは、各々、ウレタンゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。表側配線01x〜16xは、各々、線状を呈している。表側配線用コネクタ30は、誘電部材2の左後隅に配置されている。表側配線01x〜16xは、各々、表側接続部01X1〜16X1と、表側配線用コネクタ30と、を接続している。
裏側電極01Y〜16Yは、裏側被覆層22の下面(誘電部材2の下面)に、合計16本配置されている。裏側電極01Y〜16Yは、各々、アクリルゴムと、ケッチェンブラックと、を含んで形成されている。裏側電極01Y〜16Yは、各々、帯状を呈している。裏側電極01Y〜16Yは、各々、Y方向に延在している。裏側電極01Y〜16Yは、X方向に、所定間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。裏側電極01Y〜16Yの前端には、各々、裏側接続部01Y1〜16Y1が配置されている。
裏側配線01y〜16yは、裏側被覆層22の下面に、合計16本配置されている。裏側配線01y〜16yは、各々、各々、ウレタンゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。裏側配線01y〜16yは、各々、線状を呈している。裏側配線用コネクタ31は、誘電部材2の左前隅に配置されている。裏側配線01y〜16yは、各々、裏側接続部01Y1〜16Y1と、裏側配線用コネクタ31と、を接続している。
検出部A0101〜A1616は、図1にハッチングで示すように、表側電極01X〜16Xと、裏側電極01Y〜16Yと、が上下方向に交差する部分(重複する部分)に配置されている。検出部A0101〜A1616は、合計256個(=16個×16個)配置されている。検出部A0101〜A1616は、誘電部材2の略全面に亘って、略等間隔に配置されている。検出部A0101〜A1616は、各々、表側電極01X〜16Xの一部と、裏側電極01Y〜16Yの一部と、誘電部材2の一部と、を備えている。
演算部4は、電源回路40と、CPU(Central Processing Unit)41と、RAM(Random Access Memory)42と、ROM(Read Only Memory)43と、ディスプレイ44と、を備えている。演算部4は、表側配線用コネクタ30、裏側配線用コネクタ31に、電気的に接続されている。
電源回路40は、検出部A0101〜A1616に、正弦波状の交流電圧を印加する。ROM43には、予め、検出部A0101〜A1616における静電容量と面圧との対応を示すマップが、格納されている。RAM42には、表側配線用コネクタ30、裏側配線用コネクタ31から入力されるインピーダンス、位相が、一時的に格納される。CPU41は、RAM42に格納されたインピーダンス、位相を基に、検出部A0101〜A1616の静電容量を抽出する。そして、静電容量から、誘電部材2における面圧分布を算出する。ディスプレイ44は、CPU41が算出した面圧分布を、画面(図略)に、例えば三次元グラフとして表示する。
[静電容量型センサの製造方法]
次に、本実施形態の静電容量型センサ1の製造方法について説明する。本実施形態の静電容量型センサ1の製造方法は、誘電部材準備工程と、表側配線形成工程と、表側電極形成工程と、裏側配線形成工程と、裏側電極形成工程と、を有している。
誘電部材準備工程においては、誘電層20の上面に表側接着層23および表側被覆層21を形成し、下面に裏側接着層24および裏側被覆層22を形成する。図3に、誘電部材準備工程の前半の模式図を示す。図4に、同工程の後半の模式図を示す。
まず、図3(a)に示すように、平板状の基材90の上面に、表側被覆層21形成用のポリウレタン塗料(ミクニペイント(株)製「ULエナメル」)を、スプレー噴射して塗布する。塗布した塗料を乾燥させて、表側被覆層21を形成する。次に、図3(b)に示すように、形成した表側被覆層21の上面に、表側接着層23形成用の接着剤用ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)「ニッポラン5120」)を、スプレー噴射して塗布する。続いて、図3(c)に示すように、表側接着層23の上面に、誘電層20の伸縮布(東レ(株)製「プログレスキン」)を、積層する。そして、表側被覆層21と誘電層20とを接着させる。その後、図3(d)に示すように、基材90を取り外し、誘電層20の片面に、表側接着層23および表側被覆層21が積層された片面被覆布25を得る。
次に、図4(a)に示すように、平板状の基材90の上面に、裏側被覆層22形成用のポリウレタン塗料(同上)を、スプレー噴射して塗布する。塗布した塗料を乾燥させて、裏側被覆層22を形成する。続いて、図4(b)に示すように、形成した裏側被覆層22の上面に、裏側接着層24形成用の接着剤用ポリウレタン樹脂(同上)を、スプレー噴射して塗布する。それから、図4(c)に示すように、裏側接着層24の上面に、先に作製した片面被覆布25を、誘電層20を下側にして積層する。そして、裏側接着層24と、片面被覆布25の誘電層20と、を接着させる。最後に、図4(d)に示すように、基材90を取り外し、誘電層20の上面に、表側接着層23および表側被覆層21が積層され、下面に裏側接着層24および裏側被覆層22が積層された誘電部材2を得る。
表側配線形成工程においては、誘電部材2の表側被覆層21の上面に、配線塗料を印刷する。まず、配線塗料を、以下の手順で調製する。ウレタンポリマーを低沸点溶剤に溶解させた溶液(日本ポリウレタン工業(株)製「ニッポラン(登録商標)5230」、固形分濃度30質量%)333質量部に、二種類の銀粉末(DOWAエレクトロニクス(株)製「FA−D−4」、「AG2−1C」)各400質量部、および印刷用溶剤のブチルカルビトール150質量部を添加して、攪拌する。この溶液を、大気と接しやすい広口容器に入れ、時々攪拌しながら室温にて一日静置する。こうすることで、低沸点溶剤を蒸発させる。このようにして、配線塗料を得る。
次に、表側被覆層21の上面に、スクリーン印刷機を用いて、調製した配線塗料を印刷する。そして、表側被覆層21の上面に、表側配線01x〜16x(図1参照)を配置する。その後、加熱により表側配線01x〜16xを乾燥させると共に、含有ポリマーを架橋させる。
表側電極形成工程においては、表側配線形成工程と同様に、誘電部材2の表側被覆層21の上面に、電極塗料を印刷する。まず、電極塗料を、以下の手順で調製する。アクリルゴムポリマー(日本ゼオン(株)製「ニポール(登録商標)AR51」)100質量部、加硫助剤のステアリン酸(花王(株)製「ルナック(登録商標)S30」)1質量部、加硫促進剤のジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学(株)製「ノクセラー(登録商標)PZ」)2.5質量部、およびジメチルジチオカルバミン酸第二鉄(大内新興化学(株)製「ノクセラーTTFE」)0.5質量部を、ロール練り機にて混合し、エラストマー組成物を調製する。調製したエラストマー組成物を、メチルエチルケトン(MEK)1500質量部に溶解させる。この溶液に、導電性フィラーとしてケッチェンブラック(ライオン(株)製「EC600JD」、平均粒子径約40nm)22.86質量部を添加して、固形分濃度約7.8質量%のMEK溶液を得る。得られたMEK溶液にミル処理を施し、ケッチェンブラックの分散性を向上させる。ミル処理後のMEK溶液に、印刷用溶剤のジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート686.7質量部を添加する。その後、印刷用溶剤を添加したMEK溶液を、大気と接しやすい広口容器に入れ、時々攪拌しながら室温にて一日静置する。こうすることで、低沸点のMEKを蒸発させる。このようにして、電極塗料を得る。なお、印刷用溶剤の沸点は200℃以上である。このため、印刷用溶剤の揮発は無視できる。
次に、表側被覆層21の上面に、スクリーン印刷機を用いて、調製した電極塗料を印刷する。そして、表側被覆層21の上面に、表側電極01X〜16X(図1参照)を配置する。その後、加熱により表側電極01X〜16Xを乾燥させると共に、含有ポリマーを架橋させる。
裏側配線形成工程においては、表側配線形成工程と同様に、スクリーン印刷機を用いて、誘電部材2の裏側被覆層22の下面(図2における下面。印刷時には上向きに配置する。)に、上記配線塗料を印刷する。そして、裏側被覆層22の下面に、裏側配線01y〜16y(図1参照)を配置する。その後、加熱により裏側配線01y〜19yを乾燥させると共に、含有ポリマーを架橋させる。
裏側電極形成工程においては、表側電極形成工程と同様に、スクリーン印刷機を用いて、誘電部材2の裏側被覆層22の下面に、上記電極塗料を印刷する。そして、裏側被覆層22の下面に、裏側電極01Y〜16Y(図1参照)を配置する。その後、加熱により裏側電極01Y〜16Yを乾燥させると共に、含有ポリマーを架橋させる。このようにして、本実施形態の静電容量型センサ1は、製造される。
[静電容量型センサの動き]
次に、測定対象物から加えられる荷重を面圧分布として検出する場合の、本実施形態の静電容量型センサ1の動きについて説明する。まず、測定対象物を静電容量型センサ1に載置する前に、検出部A0101〜A1616ごとに、静電容量Cを算出する。すなわち、検出部A0101から検出部A1616までを、あたかも走査するように、静電容量Cを算出する。算出された静電容量Cは、検出部A0101〜A1616ごとに、RAM42に格納される。
続いて、測定対象物を静電容量型センサ1に載置し、載置前と同様に、検出部A0101〜A1616ごとに、静電容量Cを算出する。算出された静電容量Cは、検出部A0101〜A1616ごとに、RAM42に格納される。
それから、CPU41が、測定対象物載置前後の静電容量Cの変化量ΔCから、静電容量型センサ1に加わる面圧を算出する。具体的には、ROM43には、予め静電容量Cと面圧との対応を示すマップが、格納されている。静電容量Cをマップに代入して、任意の検出部A0101〜A1616の面圧を算出する。そして、当該面圧を、ディスプレイ44の画面に、各検出部A0101〜A1616ごとに表示する。また、CPU41が、各検出部A0101〜A1616の静電容量Cの変化量ΔCを積分することにより、全検出部A0101〜A1616、つまり静電容量型センサ1に加わる総荷重を、ディスプレイ44の画面に表示することもできる。
[作用効果]
次に、本実施形態の静電容量型センサ1の作用効果について説明する。本実施形態の静電容量型センサ1によると、誘電層20に伸縮布を使用している。伸縮布を構成する繊維間には隙間がある。このため、小さな荷重で押圧された場合でも、隙間が潰れて、伸縮布の厚さが変化しやすい。したがって、静電容量型センサ1は、小さな荷重でも検出することができる。つまり、静電容量型センサ1は、高い検出精度を有し、応答性に優れる。また、誘電層20は、一枚の伸縮布で構成されている。よって、誘電部材2、ひいては静電容量型センサ1の厚さを、薄くしやすい。また、伸縮布を複数枚積層させる態様と比較して、誘電部材2の製造が容易である。
また、誘電層20の上下(表裏)両側には、各々、表側被覆層21と裏側被覆層22とが積層されている。表側被覆層21および裏側被覆層22は、いずれもポリウレタン塗料から形成されている塗膜である。これにより、誘電部材2の上下両面には、凹凸を有する伸縮布の表面が表出しない。したがって、誘電部材2の上下両面に、直接、表側電極01X〜16X、表側配線01x〜16x、裏側電極01Y〜16Y、裏側配線01y〜16yを形成することができる。
また、表側被覆層21は、表側接着層23を介して、間接的に、誘電層20に固定されている。同様に、裏側被覆層22は、裏側接着層24を介して、間接的に、誘電層20に固定されている。よって、各々の被覆層21、22と誘電層20との間に、隙間は生じない。また、表側電極01X〜16Xは、表側被覆層21の表面に直接形成されている。同様に、裏側電極01Y〜16Yは、裏側被覆層22の裏面に直接形成されている。つまり、表側電極01X〜16Xと表側被覆層21との間、および裏側電極01Y〜16Yと裏側被覆層22との間にも隙間がない。このため、静電容量型センサ1によると、安定した静電容量が得られ、荷重を正確に検出することができる。また、測定ごとに静電容量がばらつくおそれもなく、検出の再現性が高い。
また、表側被覆層21と誘電層20との間には表側接着層23が、裏側被覆層22と誘電層20との間には裏側接着層24が、各々介在されている。これにより、表側被覆層21と誘電層20、裏側被覆層22と誘電層20、の密着性が向上し、誘電部材2の耐久性が向上する。ここで、表側接着層23および裏側接着層24は、ポリウレタン樹脂から形成されている。表側接着層23および裏側接着層24は、伸縮性に優れる。よって、表側接着層23および裏側接着層24は、誘電層20、表側被覆層21、および裏側被覆層22の伸縮を規制せずに、一体的に伸縮可能である。
上述したように、表側被覆層21および裏側被覆層22は、ポリウレタン塗料から形成されている塗膜である。表側被覆層21および裏側被覆層22は、伸縮性に優れる。よって、表側被覆層21および裏側被覆層22は、誘電層20と一体的に伸縮可能である。つまり、誘電層20の伸縮を規制しにくい。また、伸縮布からなる誘電層20と、ポリウレタン製の表側被覆層21、裏側被覆層22と、を積層させた誘電部材2は、ゴムフィルム単体と比較して、引き裂き強度が大きい。よって、誘電部材2の上下両面に、仮に小さな傷が生じた場合でも、誘電層20の伸縮布による補強作用により、誘電部材2は破断しにくい。このように、静電容量型センサ1は、耐久性に優れる。
また、本実施形態の静電容量型センサ1によると、表側電極01X〜16X、裏側電極01Y〜16Yは、アクリルゴムと、ケッチェンブラックと、を含んで形成されている。このため、測定対象物から荷重が加わる場合、当該荷重に応じて、表側電極01X〜16X、裏側電極01Y〜16Yは、誘電部材2と共に、伸縮することができる。したがって、表側電極01X〜16Xあるいは裏側電極01Y〜16Yは、誘電部材2の伸縮を規制しにくい。また、ケッチェンブラックによる導電パスが形成されているため、表側電極01X〜16X、裏側電極01Y〜16Yの導電性は良好で、伸縮しても導電性の変化は小さい。したがって、伸縮量が大きい場合でも、電極としての機能が低下しにくい。
また、表側配線01x〜16x、裏側配線01y〜16yは、ウレタンゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。このため、誘電部材2や、表側電極01X〜16X、裏側電極01Y〜16Yの伸縮に伴い、表側配線01x〜16x、裏側配線01y〜16yも、伸縮することができる。つまり、表側配線01x〜16xあるいは裏側配線01y〜16yは、誘電部材2の伸縮を規制しにくい。
また、表側電極01X〜16X、表側配線01x〜16x、裏側電極01Y〜16Y、裏側配線01y〜16yは、スクリーン印刷法により形成されている。このため、静電容量型センサ1として必要な構成要素を、比較的簡単に集積化することができる。したがって、静電容量型センサ1の生産性が高い。また、電極の形状の自由度が向上すると共に、電極の薄膜化も容易になる。このため、静電容量型センサ1をより小型化することができる。
また、表側電極01X〜16X、裏側電極01Y〜16Yは、共に帯状である。並びに、検出部A0101〜A1616は、表側電極01X〜16Xと裏側電極01Y〜16Yとの交差部分を利用して配置されている。このため、電極の配置数が少なくなる。また、配線数が少なくなる。すなわち、検出部A0101〜A1616は、静電容量型センサ1に、合計256個配置されている。ここで、検出部A0101〜A1616ごとに電極を配置すると、表側電極が256個、裏側電極が256個、それぞれ必要になる。これに対して、本実施形態の静電容量型センサ1によると、256個の検出部A0101〜A1616を確保するのに、表側電極01X〜16X、裏側電極01Y〜16Yを合計32本(=16本+16本)配置するだけで済む。このため、電極の配置数が少なくなる。
また、表側電極01X〜16Xが、誘電部材2の全面に亘って、X方向およびY方向に、略等間隔に配置されている。同様に、裏側電極01Y〜16Yが、誘電部材2の全面に亘って、X方向およびY方向に、略等間隔に配置されている。また、表側電極01X〜16Xと、裏側電極01Y〜16Yと、が上下方向から見て、略直交して配置されている。このため、検出部A0101〜A1616を、誘電部材2の全面に分散させることができる。したがって、誘電部材2全面に占める、面圧検出可能な部分の面積を、大きくすることができる。
本実施形態の静電容量型センサ1は、エラストマーを含んで形成されており、特に柔軟である。このため、静電容量型センサ1は、使用者の体に比較的近接して配置しても、使用者が被る違和感が少ない。したがって、人間からの荷重(例えば体重等)を検出するのに、特に好適である。
<第二実施形態>
本実施形態の静電容量型センサと、第一実施形態の静電容量型センサと、の相違点は、誘電部材において、表側接着層と裏側接着層とが配置されていない点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図5に、本実施形態の静電容量型センサのY方向断面図を示す(方位は前出図1参照)。なお、図2と対応する部位については、同じ符合で示す。また、説明の便宜上、表側電極01X〜16X、裏側電極16Y、検出部A0116〜A1616を省略して示す(つまり、誘電部材2のみを示す)。図5に示すように、誘電部材2は、誘電層20と、表側被覆層21と、裏側被覆層22と、を備えている。誘電部材2の厚さは、約40μmである。
誘電層20は、ポリエステルを含む繊維から形成されている一枚の不織布からなる。当該不織布は、伸縮性を有する。誘電層20は、XY方向(前後左右方向)に延在している。表側被覆層21は、誘電層20の上面に配置されている。表側被覆層21は、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーから形成されているフィルムである。誘電層20と表側被覆層21とは、圧着されている。裏側被覆層22は、誘電層20の下面に配置されている。裏側被覆層22は、表側被覆層21と同様に、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーから形成されているフィルムである。誘電層20と裏側被覆層22とは、圧着されている。
誘電部材2は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、ポリエステルを含む繊維から形成されている不織布を一枚準備する。次に、当該不織布の上面および下面に、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーを押出しラミネート法により積層させる。その後、不織布と積層されたフィルムとを、ロールにて圧着する。
本実施形態の静電容量型センサは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態の静電容量型センサと同様の作用効果を有する。また、本実施形態の静電容量型センサによると、誘電層20と表側被覆層21、裏側被覆層22との間に、接着層が介在していない。このため、誘電部材2を薄膜化しやすい。また、誘電層20の伸縮に対する表側被覆層21、裏側被覆層22の追従性が、より向上する。さらに、誘電部材2の製造において、接着層を形成する工程が不要となるため、工数を削減することができる。
<第三実施形態>
本実施形態の静電容量型センサと、第一実施形態の静電容量型センサと、の相違点は、誘電部材における誘電層が、二枚の伸縮布からなる点、および表側接着層と裏側接着層とが配置されていない点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図6に、本実施形態の静電容量型センサのY方向断面図を示す(方位は前出図1参照)。なお、図2と対応する部位については、同じ符合で示す。図6に示すように、誘電部材2は、表側被覆布26aと、裏側被覆布26bと、を備えている。
表側被覆布26aは、表側誘電層200と表側被覆層21とからなる。表側誘電層200は、ポリエステルを含む繊維から形成されている一枚の不織布からなる。当該不織布は、伸縮性を有する。表側誘電層200は、XY方向(前後左右方向)に延在している。表側被覆層21は、表側誘電層200の上面に配置されている。表側被覆層21は、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーから形成されているフィルムである。表側誘電層200と表側被覆層21とは、圧着されている。
裏側被覆布26bは、裏側誘電層201と裏側被覆層22とからなる。裏側誘電層201は、表側誘電層200と同様に、ポリエステルを含む繊維から形成されている一枚の不織布からなる。当該不織布は、伸縮性を有する。裏側誘電層201は、XY方向(前後左右方向)に延在している。裏側被覆層22は、裏側誘電層201の下面に配置されている。裏側被覆層22は、表側被覆層21と同様に、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーから形成されているフィルムである。裏側誘電層201と裏側被覆層22とは、圧着されている。
表側被覆布26aと裏側被覆布26bとは、表側誘電層200の下面と裏側誘電層201の上面とが接触するように積層されている。表側誘電層200と裏側誘電層201とは、表側電極01X〜16Xおよび裏側電極01Y〜16Yが配置されていない周縁部27において、接着されている。
誘電部材2は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、ポリエステルを含む繊維から形成されている不織布を二枚準備する。次に、各々の不織布の片面に、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーを押出しラミネート法により積層させる。続いて、不織布と積層されたフィルムとを、ロールにて圧着して、表側被覆布26a、裏側被覆布26bを得る。それから、表側被覆布26aと裏側被覆布26bとを積層し、周縁部27において、表側誘電層200の下面と裏側誘電層201の上面とを接着する。
本実施形態の静電容量型センサは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態あるいは第二実施形態の静電容量型センサと同様の作用効果を有する。また、本実施形態の静電容量型センサによると、片面に被覆処理が施された二枚の伸縮布(表側被覆布26a、裏側被覆布26b)を積層させて、誘電部材2を構成することができる。このように、本実施形態によると、例えば、片面にしか被覆処理を施すことができない布であっても、誘電層として使用することができる。
<第四実施形態>
本実施形態の静電容量型センサと、第三実施形態の静電容量型センサと、の相違点は、表側被覆布26aと裏側被覆布26bとの接着方法が異なる点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
図7に、本実施形態の静電容量型センサのY方向断面図を示す。なお、図6と対応する部位については、同じ符合で示す。また、説明の便宜上、表側電極01X〜16X、裏側電極16Y、検出部A0116〜A1616を省略して示す(つまり、誘電部材2のみを示す)。図7に示すように、誘電部材2は、表側被覆布26aと、裏側被覆布26bと、を備えている。表側被覆布26aおよび裏側被覆布26bの構成は、第三実施形態と同様である。
表側被覆布26aと裏側被覆布26bとの間には、接着用フィルム28が介装されている。接着用フィルム28は、ポリウレタン不織布(KBセーレン(株)製「エスパンシオーネ(登録商標)FF」)からなる。接着用フィルム28の厚さは、約25μmである。表側被覆布26aの表側誘電層200の下面と、裏側被覆布26bの裏側誘電層201の上面とは、接着用フィルム28により接着されている。
誘電部材2は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、上記第三実施形態と同様にして、表側被覆布26a、裏側被覆布26bを得る。次に、下から順に、裏側被覆布26b、接着用フィルム28、表側被覆布26aを積層し、表側被覆布26aと裏側被覆布26bとを接着する。
本実施形態の静電容量型センサは、構成が共通する部分に関しては、第三実施形態の静電容量型センサと同様の作用効果を有する。また、本実施形態の静電容量型センサによると、片面に被覆処理が施された二枚の伸縮布(表側被覆布26a、裏側被覆布26b)を、接着用フィルム28を介して積層するだけで、誘電部材2を容易に製造することができる。
<その他>
以上、本発明の静電容量型センサの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
例えば、誘電部材を構成する誘電層、表側被覆層、裏側被覆層等の材質は、上記実施形態に限定されない。誘電層に使用する布は、伸縮性を有すればよい。例えば、天然繊維、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、セルロース系繊維、ポリウレタンから選ばれる一種以上を含む繊維から形成されていることが望ましい。具体的には、上記第一実施形態の「プログレスキン」(東レ(株)製)の他、同社製の「トリンティ(登録商標)」、「C100」等を使用することができる。また、セーレン(株)製「FH13−50」等、予め表面に被覆処理が施された伸縮布を使用してもよい。
表側被覆層および裏側被覆層は、エラストマーまたは樹脂から形成すればよい。被覆層の材質は、伸縮性や、表側電極、裏側電極を形成可能か否かを考慮して、決定することが望ましい。被覆層としては、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、ブチルゴムから選ばれる一種以上から形成されているフィルム、または、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、アクリルウレタンから選ばれる一種以上の塗料から形成されている塗膜が好適である。
また、被覆層の形成方法は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、フィルムの場合には、押出しラミネート法の他、溶融押出法、カレンダー法、ヒートシール法等により形成すればよい。また、途膜の場合には、スプレー噴射の他、はけ塗り、ローラー塗り、ディッピング等により形成すればよい。
被覆層の表面状態は、形成された電極の電気抵抗値ができるだけ小さくなるように、滑らかであることが望ましい。例えば、体積抵抗率1.0Ω・cmの電極塗料を使用して、被覆層の表面に、幅10mm、長さ100mm、厚さ10μmの電極を、スクリーン印刷法により形成する。この場合、電極の長さ方向両端間の電気抵抗値が、20kΩ以下となることが望ましい。
また、表側接着層および裏側接着層は、被覆層と誘電層とを接着でき、両層と一体的に伸縮可能であればよい。例えば、ゴム系接着剤、ゴムラテックス系接着剤、樹脂系エマルジョン接着剤等から形成すればよい。なかでも、アクリルウレタン系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤が好適である。
表側電極および裏側電極は、誘電部材と一体的に伸縮可能であるという観点から、上記実施形態のように、エラストマーと、該エラストマー中に充填されている導電性フィラーと、を有するように構成することが望ましい。電極に好適なエラストマーとしては、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム等が挙げられる。
また、導電性フィラーは、導電性を有する粒子であればよく、炭素材料や金属等の微粒子を用いればよい。これらのうち、一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いればよい。例えば、比較的安価で、導電パスの形成が容易であるという理由から、炭素材料を用いることが望ましい。炭素材料としては、粒子径が小さく凝集しやすいという理由から、例えば、ケッチェンブラック等の導電性に優れるカーボンブラックが好適である。
なお、電極には、上記エラストマー、導電性フィラーに加え、各種添加剤が配合されていてもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、着色剤等が挙げられる。
表側配線および裏側配線(以下適宜、まとめて「配線」と称す)についても、電極や誘電部材と一体的に伸縮可能であることが望ましい。よって、配線を、上記実施形態のように、エラストマーと、該エラストマー中に充填されている導電性粒子と、を有するように構成することが望ましい。配線を構成するエラストマーは、電極に使用するエラストマーと同じでもよく、異なっていてもよい。例えば、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム等が好適である。また、導電性粒子の種類は、導電性が高いものであれば、特に限定されるものではない。例えば、銀、金、銅、ニッケル等の金属粉を採用すればよい。
上記実施形態では、電極および配線を、スクリーン印刷法により形成した。しかし、電極および配線の形成方法は、特に限定されない。スクリーン印刷の他、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、パッド印刷、リソグラフィー等を用いてもよい。
また、誘電部材の形状、大きさ、すなわち静電容量型センサの形状、大きさは、上記実施形態に限定されない。また、上記実施形態では、誘電部材の上面に、帯状の表側電極を16本配置した。同様に、誘電部材の下面に、帯状の裏側電極を16本配置した。しかしながら、表側電極、裏側電極の配置数、交差角度は、特に限定されない。また、隣り合う表側電極の間隔、裏側電極の間隔も特に限定されない。
さらに、表側電極および表側配線を上方から覆うように、表側絶縁層を配置してもよい。同様に、裏側電極および裏側配線を下方から覆うように、裏側絶縁層を配置してもよい。表側絶縁層を配置すると、表側電極および表側配線と、静電容量型センサの外部の部材と、が導通するのを抑制することができる。並びに、裏側絶縁層を配置すると、裏側電極および裏側配線と、静電容量型センサの外部の部材と、が導通するのを抑制することができる。表側絶縁層、裏側絶縁層としては、例えば、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレンーブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンゴム等のフィルムが好適である。