JP5482895B2 - 電解液供給装置 - Google Patents
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Description
本発明は電解液供給装置に関する。
JPH8−236144Aには、従来の電解液供給装置として、メインタンクに貯蔵した電解液を、サブタンクを経由させて鉛蓄電池の電槽に供給するものが記載されている。この従来の電解液供給装置では、サブタンクの内部に液面センサを設け、サブタンク内の電解液の残量を液面センサによって検出していた。
電解液を貯蔵するタンク内の底には、電解液中の固体不純物が沈殿している可能性がある。そのため、不純物を含んだ電解液を供給しないように、タンク内の電解液の残量が所定量より少なくなったら古いタンクを新しいタンクに交換して電解液の補充を行うことが好ましく、それにはタンク内の電解液の残量を検出する必要がある。
しかしながら、従来のように液面センサによってタンク内の電解液の残量を検出しようとすると、タンク交換時に古いタンクに取り付けられていた液面センサを新しいタンクに取り付ける作業が必要になる。そうすると、この交換作業時にタンク内の電解液が空気と接してしまい、空気中の水分やゴミなどの不純物が電解液に混入し、電池の性能を悪化させるという問題点がある。
本発明はこのような問題点に着目してなされたものであり、タンク交換時に空気中の水分やゴミなどの不純物が電解液に混入するのを抑制することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、電解液供給装置が、電解液を貯蔵するタンクと、タンクの電解液が供給される被供給部と、タンクと被供給部とを接続する配管と、タンクの内部圧力を高めることでタンクの電解液が配管を介して被供給部に供給されるように、タンクの内部に不活性ガスを圧送するガス圧送部と、配管に設けられ、その配管を流れる流体の質量流量を検出する質量流量計と、を備えることを特徴とする。
本発明の実施形態、本発明の利点については、添付された図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
以下、図面等を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1は、リチウムイオン二次電池の電槽に電解液を供給する本発明の一実施形態による電解液供給装置1の概略構成図である。リチウムイオン二次電池の電槽としては、例えばラミネートフィルムパッケージなどが挙げられる。
電解液供給装置1は、メインタンク2と、高圧ガスタンク3と、サブタンク4と、電解液注入器5と、メインタンク2と高圧ガスタンク3とを接続するガス供給配管6と、メインタンク2とサブタンク4とを接続する電解液圧送配管7と、質量流量計8と、真空チャンバ9と、コントローラ10と、を備える。
メインタンク2は取り外し可能な上蓋21を備え、リチウムイオン二次電池の電槽に供給する電解液を貯蔵する。メインタンク2の底壁22は、電解液に混入したゴミやチリ、埃などのコンタミが底壁22の中央にまとまって沈殿するように、円錐状となっている。
電解液は、水分を含まない揮発性がある可燃性の有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものである。電解液に不純物としての水分が混入すると、その水分がリチウムイオン二次電池の集電体金属と反応を起こすなどしてリチウムイオン二次電池の劣化を早めるおそれがある。そのため、メインタンク2には、メインタンク2に水分を含む空気(酸素)が混入しないように、水分を含みにくい不活性ガスが予め充填されている。本実施形態では不活性ガスとして窒素を使用している。
高圧ガスタンク3は、ガス供給配管6を介してメインタンク2の内部に供給するための高圧の窒素ガスを貯蔵する。メインタンク2との差圧を利用してメインタンク2の内部に窒素ガスが供給されることでメインタンク2の内部圧力が高まり、メインタンク2に貯蔵された電解液が電解液圧送配管7を介してサブタンク4に圧送される。
サブタンク4及び電解液注入器5は、内部が真空に保たれたチャンバ9の内部に設置される。チャンバ9には、チャンバ9内を減圧して内部を真空に保つための真空ポンプ91が接続される。
サブタンク4は、電解液圧送配管7を介して圧送されてきた電解液を、電解液注入器5に供給するために一時的に貯蔵する。サブタンク4によって一時的に電解液を貯蔵することで、窒素等の気体が圧送されてきた場合であっても、気体はサブタンク4の上方へ、電解液はサブタンク4の下方に向かうので、気体と電解液とを分離することができる。
また、サブタンク4を内部が真空に保たれたチャンバ9の内部に設置することで、サブタンク4に一時的に貯蔵された電解液中の窒素等の気体を、気圧の低いチャンバ9内に積極的に排出させることができる。そのため、サブタンク4に一時的に貯蔵された電解液中の窒素等の気体を、より効果的に電解液から分離することができる。
電解液注入器5は、サブタンク4から供給された電解液を、治具に固定されたリチウムイオン二次電池の電槽に注入する。
ところで、メインタンク2に貯蔵された電解液の量が少なくなったら、そのメインタンク2に電解液を補充するか、又は、そのメインタンク2を電解液が満タンにされた別のメインタンク2に交換する必要がある。
しかしながら、メインタンク2の上蓋21を取り外してメインタンク2に電解液を補充する方法では、補充中に電解液が空気と接してしまい、空気中の水分やコンタミが不純物として混入するおそれがある。電解液に水分が混入すると、前述したようにリチウムイオン二次電池の劣化を早めるおそれがあり、コンタミが混入すると、コンタミが混入した部分が膨れて見えるなどして外観不良となるおそれがある。そのため、残量が少なくなったらメインタンク2を予め電解液を満タンにした別のメインタンク2に交換する方法のほうが望ましい。
メインタンク2を交換するときは、メインタンク2の電解液をできるだけ使い切った後に交換したい。しかしながら、メインタンク2の底壁22の近傍には、電解液に混入したコンタミが沈殿しているおそれがある。そのため、コンタミが混入した電解液を圧送しないように、残量が所定量を切ったら交換するのが望ましく、それにはメインタンク2の電解液の残量を検出する必要がある。
ここで、例えばメインタンク2の内部に液面センサを設けて電解液の残量を検出しようとすると、メインタンク2を交換するときに、古いメインタンク2から液面センサを取り外し、取り外した液面センサを新しいメインタンク2に取り付ける必要がある。そうすると、結局液面センサの取り付け時に電解液が空気と接してしまい、空気中の水分やコンタミが不純物として混入するおそれがある。
そこで本実施形態では、電解液圧送配管7に質量流量計8を設けることで、メインタンク2の電解液の残量を検出することにしたのである。
電解液圧送配管7の一端に形成される電解液吸込部71は、メインタンク2の内部に配置されるとともに、メインタンク2の底壁22に沈殿したコンタミごと電解液を圧送しないように、底壁22よりもやや上方に配置される。
質量流量計8は、電解液圧送配管7に設けられ、電解液圧送配管7を流れる単位時間あたりの流体の質量(以下「質量流量」という。)[kg/s]を検出する。メインタンク2の電解液の残量が減って液面が電解液圧送配管7の電解液吸込部71よりも低くなると、電解液圧送配管7に窒素が圧送されることになるので、質量流量計8の検出値が小さくなる。したがって、質量流量計8の検出値に基づいて、電解液の残量が所定量より少なくなったか否かを判断することができる。なお、本実施形態では質量流量計8としてコリオリ式の質量流量計8を使用している。
質量流量計8の前後の電解液圧送配管7には制御弁72が設けられる。制御弁72は、質量流量計8の検出値に基づいて開閉される。具体的には、質量流量計8の検出値に基づいて電解液圧送配管7に窒素が流れていると判断されたとき、すなわち、質量流量計8の検出値が所定値よりも小さくなったときに、両制御弁72が閉じられる。これにより、サブタンク4に窒素等の気体が圧送されるのを抑制することができる。
コントローラ10は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ10には、質量流量計8で検出した質量流量が入力される。コントローラ10は、入力された質量流量に基づいて制御弁72を開閉する。具体的には、前述したように、質量流量計8の検出値が所定値よりも小さくなったときに制御弁72を閉じる。
以上説明した本実施形態によれば、メインタンク2に窒素などの不活性ガスを供給することによって、メインタンク2の電解液をサブタンク4などの被供給部に圧送するとともに、メインタンク2の電解液の残量を電解液圧送配管7に設けた質量流量計8によって検出することにした。
これにより、電解液圧送配管7を流れる流体が電解液から窒素ガスに変わったことを質量流量計8によって検出することができる。メインタンク内の電解液の液面が電解液吸込部71よりも低くなると、電解液圧送配管7には窒素ガスが流れる。そのため、電解液圧送配管7に窒素ガスが流れればタンク内の電解液の液面が電解液吸込部71の位置よりも低くなったと判断でき、タンク内の電解液の残量が所定量以下になったと判断できる。
そのため、メインタンク2を交換するときに、単純に古いメインタンク2を新しいメインタンク2に交換するだけで、メインタンク2内の電解液の残量を検出することができる。したがって、液面センサによってメインタンク2内の電解液の残量を検出するものと異なり、液面センサの取り付け作業が不要になるので、電解液が空気と接することもない。よって、メインタンク2内の電解液に空気中の水分やコンタミが混入するのを抑制できるので、リチウムイオン電池の劣化(出力低下や容量低下)や外観不良を抑制することができる。
また、メインタンク2の電解液をサブタンク4などの被供給部に一時的に貯蔵することで、窒素等の気体が圧送されてきた場合であっても、気体はサブタンク4の上方へ、電解液はサブタンク4の下方に向かうので、気体と電解液とを分離することができる。
また、サブタンク4を内部が真空に保たれたチャンバ9の内部に設置することで、電解液中の気体を気圧の低いチャンバ9内へ積極的に排出することができるので、より効果的に電解液から気体を分離することができる。
また、質量流量計8の検出値が、電解液圧送配管7に窒素が流れていると判断できる所定値よりも小さくなったときは、質量流量計8の前後の電解液圧送配管7に設けられた制御弁72を閉じることとした。これにより、サブタンク4に窒素等の気体が圧送されるのを抑制することができる。
また、質量流量計8としてコリオリ式の質量流量計8を使用した。質量流量計8としては、熱線式の質量流量計8を使用することも可能であるが、以下の理由によりコリオリ式の質量両流計を使用したほうがより好ましい。
すなわち、熱線式の場合は、電解液圧送配管7の内部に金属製の熱電対を挿入することによって質量流量を検出するので、酸性の電解液によって熱電対が腐食し、質量流量の測定ができなくなる可能性があるからである。なお、体積流量計では、液体である電解液が通過しても、気体である窒素が通過しても体積流量に変化はないので、本実施形態の効果は得られない。
また、メインタンク2の底壁22を円錐状とした。これにより、電解液に混入したゴミやチリ、埃などのコンタミが底壁22の中央にまとまって沈殿させることができる。
また、電解液圧送配管7の電解液吸込部71を、メインタンク2の底壁22に沈殿したコンタミごと電解液を圧送しないように、メインタンク2の底壁22よりもやや上方に配置した。これにより、サブタンク4などの被供給部に圧送される電解液にコンタミが混入するのを抑制できるので、リチウムイオン電池の外観不良をより一層抑制することができる
以上、この発明を特定の実施形態を通じて説明してきたが、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。当業者にとっては、本発明の技術的範囲で上記実施形態にさまざまな修正あるいは変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では高圧ガスタンク3とメインタンク2との差圧を利用して高圧の窒素ガスをメインタンク2に圧送していたが、ポンプ等を用いて圧送しても良い。
また、上記実施形態では、メインタンク2の底壁22を円錐状としたが、メインタンク2の底壁22の形状はこれに限られるものではなく、電解液に混入したゴミやチリ、埃などのコンタミがメインタンク2の底にまとまって沈殿するように、所定の角度で傾斜していれば良い。
以上の説明に関して2010年6月2日を出願日とする日本国における特願2010−126783号の内容をここに引用により組み込む。
Claims (5)
- 電解液を貯蔵するタンク(2)と、
前記タンク(2)の電解液が供給される被供給部(4)と、
前記タンク(2)と前記被供給部(4)とを接続する配管(7)と、
前記タンク(2)の内部圧力を高めることで前記タンク(2)の電解液が前記配管(7)を介して前記被供給部(4)に供給されるように、前記タンク(2)の内部に不活性ガスを圧送するガス圧送部(3)と、
前記配管(7)に設けられ、その配管(7)を流れる流体の質量流量を検出する質量流量計(8)と、
前記質量流量計(8)の検出値が小さくなったことに基づいて、その配管(7)に不活性ガスが流れていることを判断する判断部(10)と、
を備える電解液供給装置。 - 前記被供給部(4)は、減圧された容器(9)の内部に設置される、請求項1に記載の電解液供給装置。
- 前記配管(7)に設けられる制御弁(72)を備え、
前記判断部(10)は、前記質量流量計(8)の検出値が、その配管(7)に不活性ガスが流れていると判断できる所定値よりも小さくなったときに前記制御弁(72)を閉じる、請求項1に記載の電解液供給装置。 - 前記質量流量計(8)は、コリオリ式の質量流量計である、請求項1に記載の電解液供給装置。
- 前記タンク(2)は、そのタンク(2)の底に電解液中の固体不純物がまとまって沈殿するように、所定の角度で傾斜する底壁(22)を備え、
前記配管(7)の一端(71)は、前記固体不純物を前記被供給部(4)に供給しないように、前記底壁(22)よりも上方の前記タンク(2)内に配置される、請求項1に記載の電解液供給装置。
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