JP5482093B2 - 人体通信用の通信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、人体を信号の伝送路として利用して通信を行う人体通信用の通信装置に関する。
従来、人体通信用の通信装置としては、下記特許文献1,2に記載のものが知られている。これら特許文献1,2に記載の通信装置は、一対の基準電極及び信号電極を有し、特許文献1に記載の通信装置の場合は、各電極が人体に接触するように配置されている。また、特許文献2に記載の通信装置の場合、信号電極は、基準電極よりも人体に対して静電結合が強くなるように配置される。
このような構造の通信装置を利用すれば、基準電極と信号電極に電位差を発生させることで、他の通信装置へ信号を送信したり、基準電極と信号電極に生じた電位差を検出して、他の通信装置から信号を受信したりすることができた。
特開2002−9710号公報 特開2006−324775号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の通信装置は、腕時計型や指環型といった形態になっていたため、通信装置を何度も身に着けたり取り外したりすることがある場合には、指や腕に取り付けたり指や腕から取り外したりする作業が煩わしいものであった。
また、特許文献2に記載の通信装置は、単にポケットに入れておくだけでもよいので、腕時計型や指環型の通信装置に比べれば、簡単に身に着けることができるが、利用者が通信装置を自分の衣服のポケットに無造作に入れると、通信装置がどのような向きになるのかは不定となる。そのため、そのような状況下では、基準電極よりも人体に対して静電結合が強くなるような位置に信号電極が配置されないことがあり、その場合、通信性能が標準的なレベルよりも低下してしまうことがあった。また、通信装置の向きが変わると通信性能が変化するため、通信装置の通信性能が良いときもあれば悪いときもあるなど、通信性能が不安定になってしまう、という問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、利用者が手に持つことができ、手に持ったときには電極を確実に人体に接触又は近接させて配置可能な人体通信用の通信装置を提供することにある。
以下、本発明において採用した構成について説明する。
本発明の人体通信用の通信装置は、信号電極の電位を基準電極の電位に対して相対的に変動させることで、基準電極と信号電極との電位差に応じた信号を他の機器に対して送信すること、及び他の機器から信号が送信された際に基準電極と信号電極との間に生じる電位差を検出することで、検出した電位差に応じた信号を他の機器から受信すること、これらのうち、少なくとも一方を実行することができる。
また、この通信装置の装置本体を利用者が手に持って筆記具として使用する際、一対の基準電極及び信号電極は、人体に接触する状態又は人体との間に所定寸法の介在物を挟んで所定寸法分だけ人体から離間した位置に保持された状態になる。
そのため、通信装置を手に持つことも手放すことも片手で簡単に実施でき、一方の手で他方の手に装着しなければならない形態のもの(例えば、腕時計型の通信装置や指環型の通信装置)などに比べ、簡単に通信装置を利用することができる。
また、筆記具を使用するときの持ち方は、通常、誰でも同じような持ち方になるので、特に持ち方に留意しなくても、基準電極及び信号電極を利用者の手に対して適正な位置に配置することができ、これにより、良好な通信性能を確保することができ、また、通信性能のばらつきを抑制することができる。
なお、本発明の通信装置においては、あらかじめ定められた電源オン条件が成立した場合に、電源オン制御手段が、通信制御部の状態を待機状態から稼働状態へ切り替える仕組みになっていてもよい。
このように構成すれば、通信装置を稼働状態に切り替える際、電源オン操作をするためのスイッチを利用者が操作しなくても済むので、利便性が高くなる。
電源オン条件としては、例えば、利用者が通信装置を手に持ったことが検出された場合、といった条件を挙げることができ、このような条件で通信制御部の状態を待機状態から稼働状態へ切り替えれば、利用者が通信装置を手に持つだけで、通信制御部が稼働状態となる。
また、本発明の通信装置においては、あらかじめ定められた電源オフ条件が成立した場合に、電源オフ制御手段が、通信制御部の状態を稼働状態から待機状態へ切り替える仕組みになっていてもよい。
このように構成すれば、通信装置を待機状態に切り替える際、電源オフ操作をするためのスイッチを利用者が操作しなくても済むので、待機状態への切り替えを忘れて無駄に電力を消費させてしまうことがなく、利便性が高くなる。
電源オフ条件としては、例えば、利用者が通信装置を手放したことが検出された場合、といった条件を挙げることができ、このような条件で通信制御部の状態を稼働状態から待機状態へ切り替えれば、利用者が通信装置を手放すだけで、通信制御部が待機状態となる。
また、本発明の通信装置において、基準電極は、装置本体を利用者が手に持って筆記具として使用する際に、指先でつままれる位置に配置されていると好ましい。ただし、このような位置において、基準電極が人体に接触する状態となっているか、人体との間に所定寸法の介在物を挟んで所定寸法分だけ人体から離間した位置に保持された状態となっているかは任意である。
また、信号電極は、装置本体を利用者が手に持って筆記具として使用する際に、指の付け根付近に接する位置に配設されていると好ましい。ただし、信号電極についても、このような位置において、信号電極が人体に接触する状態となっているか、人体との間に所定寸法の介在物を挟んで所定寸法分だけ人体から離間した位置に保持された状態となっているかは任意である。
このような位置関係で基準電極及び信号電極が配置されていれば、装置本体を利用者が手に持って筆記具として使用する際に、各電極を指先及び指の付け根付近に接触又は近接させることができる。
さらに、この場合、基準電極及び信号電極は、装置本体の長手方向を軸方向として、軸方向寸法が異なる長さになっていると、各電極と指先及び指の付け根付近との位置関係を容易に最適化できるので好ましい。
特に、信号電極の軸方向寸法が、基準電極の軸方向寸法よりも長くなっている場合は、筆記具のペン先側と指先との位置関係を最適化した際に、手の大きさの違いに起因して、信号電極と指の付け根付近と相対的な位置関係に差異が生じても、信号電極の軸方向寸法が長くされていることで、指の付け根付近に対し適切に接触又は近接配置することができる。
本発明の実施形態として説明した人体通信用の通信装置を示す図であり、(a)はその側面図、(b)は使用状態を示す斜視図、(c)は内部構成を示すブロック図。 人体通信システムを示す図であり、(a)はシステム全体の概略を示す説明図、(b)は椅子に内蔵された通信装置の内部構成を示すブロック図。 ペン型通信装置における通信制御のフローチャート。 椅子に内蔵された通信装置における通信制御のフローチャート。 パソコンにおいて実行されるデータ処理のフローチャート。 別の実施形態として説明した人体通信システム全体の概略を示す説明図。
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
[ペン型の通信装置の構成]
図1(a)及び同図(b)に示すように、本発明の一実施形態として例示する人体通信用の通信装置1は、筆記具として使用可能な形態とされた装置本体3を備え、その装置本体3の外周に、一対の基準電極5A及び信号電極5Bが設けられている。
基準電極5A及び信号電極5Bは、いずれも金属製のもので、基準電極5Aは、装置本体3を利用者が手に持って筆記具として使用する際に、指先でつままれる位置に配置されている。また、信号電極5Bは、装置本体3を利用者が手に持って筆記具として使用する際に、指の付け根付近に接する位置に配設されている。
また、図1(a)に表れるように、基準電極5A及び信号電極5Bは、装置本体3の長手方向を軸方向として、軸方向寸法が異なる長さになっている。具体的には、信号電極5Bの軸方向寸法は、基準電極5Aの軸方向寸法よりも長くなっている。このように信号電極5Bの軸方向寸法を長くしておくと、筆記具のペン先側と指先との位置関係を最適化した際に、手の大きさの違いに起因して、信号電極5Bと指の付け根付近と相対的な位置関係に差異が生じても、信号電極5Bを指の付け根付近に対し適切に接触させることができる。
さらに、この通信装置1には、図1(c)に示すような通信制御部7が内蔵されている。この通信制御部7は、基準電極5A及び信号電極5Bに接続された通信回路11と、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータ13(以下、マイコン13と略称する。)を備えている。通信回路11は、送信回路、受信回路、及びこれらの回路を切り替えるスイッチなどを備え、この通信回路11によるデータの送受信がマイコン13によって制御される。
このように構成された通信装置1は、利用者が装着した際に利用者の身体を介して他の機器と通信可能となる。具体的には、通信制御部7によるデータの送受信制御を実行可能で、データ送信を実行する際には、通信制御部7が、信号電極5Bの電位を基準電極5Aの電位に対して相対的に変動させることで、基準電極5Aと信号電極5Bとの電位差に応じた信号を他の機器に対して送信する制御を行う。このような制御によって送信される信号は、利用者の身体を介して他の機器へと伝送されることになる。
また、この通信装置1においてデータ受信を行う際には、通信制御部7が、他の機器から信号が送信された際に基準電極5Aと信号電極5Bとの間に生じる電位差を検出することで、検出した電位差に応じた信号を他の機器から受信する制御を行う。
また、この通信装置1は、利用者が筆記具として使用するものであるが、より詳しくは、利用者の筆跡を検出する際に必要となるデータを、通信装置1とは別の装置へと転送する装置となっている。具体的には、通信装置1の3軸方向の加速度を検出する加速度センサ15、通信装置1の3軸方向の角速度を検出するジャイロセンサ17、ペン先が筆記対象面に当接したか筆記対象面から離間したかを検出するペン先センサ19などを備え、これらのセンサでの検出値がマイコン13へ入力されるようになっている。
[人体通信システムの構成]
上述の通信装置1は、図2(a)に示すような人体通信システムにおいて利用される。このシステムは、椅子21に組み込まれた椅子側通信装置23と、椅子側通信装置23とはケーブル25を介して有線接続されたパソコン27とを備えている。
利用者が通信装置1を筆記具として使用して筆記を行うと、そのデータは人体経由で椅子側通信装置23へと伝送され、さらに、そのデータが椅子側通信装置23からパソコン27へと転送される。パソコン27は、通信装置1から取得したデータに基づいて、通信装置1の動きを演算によって求めることで利用者の筆跡を推定し、推定した筆跡相当の軌跡を表示装置29に表示する。これにより、表示装置29には、利用者が通信装置1を筆記具として使用することによって描かれた描画物が表示されることになる。
また、パソコン27は、複数の通信装置1から並列にデータを受け取ることができ、それら複数組のデータに基づく複数の描画物を、表示装置29に合成して表示する。したがって、このシステムを利用すれば、複数の利用者が互いの描画物に対して追記を行うことができ、例えば、テレビ会議システムなどにおいて本システムを利用すれば、会議の参加者全員が、共通の画面に対して描画を行うことができる。
なお、椅子側通信装置23は、図2(b)に示すように、通信装置1と同等な構成として、基準電極31A、信号電極31B、通信制御部33などを備え、通信制御部33は、通信回路35、マイクロコンピュータ36(以下、マイコン36と略称する。)を備えている。また、椅子側通信装置23は、通信装置1とは異なる構成として、利用者が椅子21に座ったこと検出するための圧力センサ38、パソコン27との間で通信を行うためのパソコン用通信インターフェース39を備えている。
[ペン型の通信装置において実行される制御]
次に、通信装置1において実行される制御について、図3のフローチャートに基づいて説明する。
この通信装置1において、通信制御部7の状態は、利用者がペン(=通信装置1)を手に持つまでは待機状態になっていて(S101)、利用者がペンを手に持ったことを検出した場合に、通信制御部7の状態を待機状態から稼働状態に切り替える(S103)。
利用者がペンを手に持ったことは、基準電極5A及び信号電極5Bが人体に接触した際に、静電容量が変化することをもって判定することができる。また、この他、加速度センサ15やジャイロセンサ17によってペンが動いたことを検出した際に、それをもって利用者がペンを手に持ったと判定してもよい。
続いて、通信装置1は、利用者がペンを手放したか否かを判断する(S105)。ここで、ペンを手放したことは、ペンを持った場合と同様に、基準電極5A及び信号電極5Bの静電容量で判断してもよいし、加速度センサ15やジャイロセンサ17によってペンが動かなくなったことを検出して判断してもよい。
S105において、利用者がペンを手放したと判断された場合(S105:YES)、通信装置1は、通信制御部7の状態を稼働状態から待機状態に切り替えて(S107)、S101へと戻る。一方、S105において、利用者がペンを手放していないと判断された場合(S105:NO)、通信装置1は、筆記を開始したか否かを判断する(S109)。
筆記を開始したか否かは、ペン先が筆記対象面に当接したか否かをペン先センサ19で検出することによって判断する。S109において、筆記を開始していないと判断された場合は(S109:NO)、S105へと戻る。したがって、利用者がペンを手に持ち、且つ、筆記を開始していない場合は、S105及びS109が交互に実行される状態で待機することになる。そして、この待機状態において筆記を開始すれば(S109:YES)、S111へと進む一方、この待機状態において利用者がペンを手放せば(S105:YES)、S107へと進むことになる。
S109において、利用者が筆記を開始した場合(S109:YES)、通信装置1は、加速度センサ15及びジャイロセンサ17により、加速度データ及び角速度データを検出し(S111)、検出した加速度データ及び角速度データを、人体を介して椅子側通信装置23へと送信する(S113)。
そして、筆記を終了したか否かを判断する(S115)。筆記を終了したか否かは、ペン先が筆記対象面から離間したか否かをペン先センサ19で検出することによって判断する。S115において、筆記を終了していないと判断された場合は(S115:NO)、S111へと戻る。これにより、S111〜S115が繰り返し実行されることになり、加速度センサ15及びジャイロセンサ17によって検出された加速度データ及び角速度データは、順次人体を介して椅子側通信装置23へと送信されることになる。
一方、S115において、筆記を終了したと判断された場合は(S115:YES)、S109へと戻る。したがって、ここで筆記が再開されれば、再びS111へと進む一方、筆記が再開されていなければ、S105へと戻り、S105及びS109が交互に実行される状態で待機することになる。
なお、以上のような処理は、通信装置1が送信機能を備えていれば実現できるが、さらに、通信装置1が受信機能をも備えていれば、椅子側通信装置23から送信されるデータを受信することもできる。したがって、この場合は、通信装置1と椅子側通信装置23が互いに認証データのやり取りを行い、相互認証が成立したことをもってデータの送受信を開始するといったことも可能となる。
[椅子側通信装置において実行される制御]
次に、椅子側通信装置23において実行される制御について、図4のフローチャートに基づいて説明する。
椅子側通信装置23において、通信制御部33の状態は、利用者が椅子21に着座するまでは待機状態になっていて(S201)、利用者が椅子21に着座したことを検出した場合に、通信制御部33の状態を待機状態から稼働状態に切り替える(S203)。
利用者が椅子21に着座したことは、圧力センサ38によって検出することができる。あるいは、圧力センサ38に代えて、基準電極31A及び信号電極31Bの静電容量変化を検出してもよい。
続いて、椅子側通信装置23は、利用者が椅子21から離れたか否かを判断する(S205)。ここで、利用者が椅子21から離れたことは、利用者が椅子21に着座した場合と同様に、圧力センサ38によって検出することができる。
S205において、利用者が椅子21から離れたと判断された場合(S205:YES)、椅子側通信装置23は、通信制御部33の状態を稼働状態から待機状態に切り替えて(S207)、S201へと戻る。一方、S205において、利用者が椅子21から離れていないと判断された場合(S205:NO)、椅子側通信装置23は、データの受信を開始したか否かを判断する(S209)。
データの受信を開始したか否かは、通信装置1から送信開始を示すデータ列が伝送されてきた場合に、そのデータ列を受信したことをもってデータの受信を開始したと判断する。また、すでに説明したとおり、通信装置1と椅子側通信装置23が互いに認証データのやり取りを行ってもよいので、このような構成を採用するのであれば、S209の判断の後、互いに認証データのやり取りを行い、相互認証が成立したことをもってデータの受信を開始したと判断してもよい。
S209において、データの受信を開始していないと判断された場合は(S209:NO)、S205へと戻る。したがって、利用者が椅子21に座り、且つ、データの受信を開始していない場合(=例えば、利用者が椅子21に座ったものの、通信装置1を手に持っていない場合など)は、S205及びS209が交互に実行される状態で待機することになる。そして、この待機状態においてデータの受信を開始すれば(S209:YES)、S211へと進む一方、この待機状態において利用者が椅子21から離れれば(S205:YES)、S207へと進むことになる。
S209において、利用者がデータの受信を開始した場合(S209:YES)、椅子側通信装置23は、引き続き伝送されてくるデータを受信し(S211)、受信したデータを、ケーブル25を介してパソコン27へと転送する(S213)。
そして、データの受信を終了したか否かを判断する(S215)。データの受信を終了したか否かは、通信装置1からデータの終了を示すデータを受信したことをもって判断する。S215において、データの受信を終了していないと判断された場合は(S215:NO)、S211へと戻る。これにより、S211〜S215が繰り返し実行されることになり、受信されたデータは、順次ケーブル25を介してパソコン27へと送信されることになる。
一方、S215において、データの受信を終了したと判断された場合は(S215:YES)、S209へと戻る。したがって、ここでデータの受信が再開されれば、再びS211へと進む一方、データの受信が再開されていなければ、S205へと戻り、S205及びS209が交互に実行される状態で待機することになる。
[パソコンにおいて実行される処理]
次に、パソコン27において実行される処理について、図5のフローチャートに基づいて説明する。
パソコン27は、椅子側通信装置23からデータが送信されてきたか否かを判断し(S301)、データが送信されていなければ(S301:NO)、S301を繰り返して待機する。そして、S301において、椅子側通信装置23からデータが送信されてきたと判断された場合は(S301:YES)、そのデータを受信する(S303)。
S303で受信されるデータは、通信装置1から椅子側通信装置23経由で送信された加速度データ及び角速度データであり、パソコン27は、これらの加速度データ及び角速度データに基づいて、通信装置1の動きを演算して利用者の筆跡を推定する(S305)。そして、利用者の筆跡相当の軌跡を描くように描画処理を行う(S307)。このS307により、表示装置29には、利用者が通信装置1をペンとして使用して描画した描画物が表示されることになる。
そして、パソコン27は、椅子側通信装置23からのデータ受信を終了したか否かを判断し(S309)、データ受信を終了していない場合は(S309:NO)、S303へと戻る。これにより、S303〜S309が繰り返し実行されることになり、椅子側通信装置23から送信されてくるデータが順次受信されるとともに、その受信データに対応する描画物が表示装置29に順次表示されてゆくことになる。
一方、S309において、データ受信を終了したと判断された場合は(S309:YES)、S301へと戻る。したがって、パソコン27は、次にデータが送信されてくるまでは、再びS301を繰り返して待機することになる。
[効果]
以上のように構成された通信装置1によれば、通信装置1を利用者が手に持って筆記具として使用すれば、基準電極5A及び信号電極5Bは、自ずと人体に接触する状態になる。したがって、特に持ち方に留意しなくても、基準電極5A及び信号電極5Bを利用者の手に対して適正な位置に配置することができ、これにより、良好な通信性能を確保することができ、また、通信性能のばらつきを抑制することができる。
また、このような筆記具型の通信装置1であれば、手に持つことも手放すことも片手で簡単に実施でき、一方の手で他方の手に装着しなければならない形態のもの(例えば、腕時計型の通信装置や指環型の通信装置)などに比べ、簡単に通信装置を利用することができる。
さらに、上記通信装置1においては、S101〜S103により、「利用者が通信装置1を手に持ったこと」を検出した場合(本発明でいうあらかじめ定められた電源オン条件が成立した場合の一例に相当。)に、通信制御部7の状態を待機状態から稼働状態へ切り替える仕組みになっている(すなわち、S101〜S103を実行するマイコン13が本発明でいう電源オン制御手段の一例に相当。)。したがって、通信装置1を稼働状態に切り替える際、電源オン操作をするためのスイッチを利用者が操作しなくても済むので、利便性が高くなる。
また、上記通信装置1においては、S105〜S107により、「利用者が通信装置1を手放したこと」を検出した場合(本発明でいうあらかじめ定められた電源オフ条件が成立した場合の一例に相当。)に、通信制御部7の状態を稼働状態から待機状態へ切り替える仕組みになっている(すなわち、S105〜S107を実行するマイコン13が本発明でいう電源オフ制御手段の一例に相当。)。したがって、通信装置1を待機状態に切り替える際、電源オフ操作をするためのスイッチを利用者が操作しなくても済むので、待機状態への切り替えを忘れて無駄に電力を消費させてしまうことがなく、この点でも利便性が高くなる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、椅子21に椅子側通信装置23を組み込んで、椅子側通信装置23からパソコン27へデータ転送を行う例を示したが、通信装置1からのデータを受信する装置の具体的構成は、上記のようなものに限らない。
例えば、図6に例示するように、利用者がウェアラブル機器41を所持している場合、このウェアラブル機器41が、椅子側通信装置23相当の送受信手段や、パソコン27相当のデータ処理手段を内蔵していてもよく、これにより、人体を介してウェアラブル機器41へデータを送り、ウェアラブル機器41において筆跡推定や描画などの処理を行うこともできる。
また、上記実施形態では、通信装置1において、加速度データや角速度データを検出して、それらのデータから筆跡推定を行う旨を説明したが、ペン型入力器具により筆跡推定の具体的方法は、すでに様々な方法が提案されているので、それら公知の筆跡推定方式を任意に採用することができる。具体的には、ペン型入力器具とタブレットを利用して座標を読み取る方式や、いわゆる電子黒板などで利用される技術などであってもよい。
また、上記実施形態では、特許文献1に記載の技術同様、基準電極及び信号電極が、それぞれ人体に直接接触する構造となっているものを例示したが、特許文献2に記載された技術のように、電極そのものが人体に直接接触しない構成を採用してもよい。
より具体的には、例えば、上記実施形態において、各電極が所定厚さの被膜(本発明でいう所定寸法の介在物に相当。)で覆われ、この被膜を挟んで前記所定厚さ分(所定寸法分)だけ人体から離間した位置に電極が保持された状態となっていてもよい。また、この場合、被膜を挟んで人体に近接する電極を信号電極とし、基準電極については、信号電極を挟んで人体とは反対側に配置してもよく、このような位置関係に配置することで、通信装置の性能を向上させることもできる。
さらに、上記実施形態では、通信装置1から椅子側通信装置23へデータを送信する一方向通信の例、及び通信装置1と椅子側通信装置23が相互にデータを送受信する双方向通信の例について言及したが、用途によっては、椅子側通信装置23から通信装置1へデータを送信する構成としても良い。
1・・・通信装置、3・・・装置本体、5A,31A・・・基準電極、5B,31B・・・信号電極、7,33・・・通信制御部、11,35・・・通信回路、13,36・・・マイクロコンピュータ(マイコン)、15・・・加速度センサ、17・・・ジャイロセンサ、19・・・ペン先センサ、21・・・椅子、23・・・椅子側通信装置、25・・・ケーブル、27・・・パソコン、29・・・表示装置、38・・・圧力センサ、39・・・パソコン用通信インターフェース、41・・・ウェアラブル機器。

Claims (7)

  1. 利用者が装着した際に前記利用者の身体を経由させて他の機器と通信可能となる人体通信用の通信装置であって、
    利用者が筆記具として使用可能な形態とされた装置本体と、
    前記装置本体を利用者が手に持って筆記具として使用する際に、人体に接触する状態又は人体との間に所定寸法の介在物を挟んで前記所定寸法分だけ人体から離間した位置に保持された状態となる一対の基準電極及び信号電極と、
    「前記信号電極の電位を前記基準電極の電位に対して相対的に変動させることで、前記基準電極と前記信号電極との電位差に応じた信号を前記他の機器に対して送信する制御」及び「前記他の機器から信号が送信された際に前記基準電極と前記信号電極との間に生じる電位差を検出することで、検出した電位差に応じた信号を前記他の機器から受信する制御」のうち、少なくとも一方の制御を実行可能な通信制御部とを備え、
    前記基準電極は、前記装置本体を利用者が手に持って筆記具として使用する際に、指先でつままれる位置に配置されて、その位置で人体に接触する状態又は人体との間に所定寸法の介在物を挟んで前記所定寸法分だけ人体から離間した位置に保持された状態となり、
    前記信号電極は、前記装置本体を利用者が手に持って筆記具として使用する際に、指の付け根付近に接する位置に配設されて、その位置で人体に接触する状態又は人体との間に所定寸法の介在物を挟んで前記所定寸法分だけ人体から離間した位置に保持された状態となる
    とを特徴とする人体通信用の通信装置。
  2. あらかじめ定められた電源オン条件が成立した場合に、前記通信制御部の状態を待機状態から稼働状態へ切り替える電源オン制御手段
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の人体通信用の通信装置。
  3. 前記電源オン制御手段は、利用者が前記通信装置を手に持ったことが検出された場合に、前記通信制御部の状態を待機状態から稼働状態へ切り替える
    ことを特徴とする請求項2に記載の人体通信用の通信装置。
  4. あらかじめ定められた電源オフ条件が成立した場合に、前記通信制御部の状態を稼働状態から待機状態へ切り替える電源オフ制御手段
    を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の人体通信用の通信装置。
  5. 前記電源オフ制御手段は、利用者が前記通信装置を手放したことが検出された場合に、前記通信制御部の状態を稼働状態から待機状態へ切り替える
    ことを特徴とする請求項4に記載の人体通信用の通信装置。
  6. 前記基準電極及び前記信号電極は、前記装置本体の長手方向を軸方向として、軸方向寸法が異なる長さになっている
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の人体通信用の通信装置。
  7. 前記信号電極の軸方向寸法が、前記基準電極の軸方向寸法よりも長くなっている
    ことを特徴とする請求項6に記載の人体通信用の通信装置。
JP2009244440A 2009-10-23 2009-10-23 人体通信用の通信装置 Expired - Fee Related JP5482093B2 (ja)

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