JP5481624B2 - 1本糸錠縫化ハンドステッチミシン - Google Patents

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Description

本発明は、1本糸錠縫化ハンドステッチミシンに係り、特にピンポイント/サドルステッチと呼ばれる擬似ハンドステッチに適する1本糸錠縫化ハンドステッチミシンに関する。
本出願人は、既に、ピンポイント/サドルステッチと呼ばれる擬似ハンドステッチに適する1本糸錠縫化ハンドステッチミシンを提案している(例えば、特許文献1参照)。
特許第3963939号公報
特許文献1開示の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおいては、1本糸で鉤針と回転釜を使用し、回転釜の回転に対して鉤針の第1、第2のストローク運針により錠縫化ハンドステッチを形成するものである。ここで、錠縫化とは所謂ロックステッチを意味する。
このような1本糸錠縫化ハンドステッチミシンによれば、鉤針の第2ストロークにおいて鉤針が上死点から下降する際に糸捕捉鉤で捕捉された糸を鉤針の針先と被縫製体の間で糸寄せする糸寄せ機構では、多様な糸に対応できず糸寄せが足りなくなったり、また、針のエグリの上下に糸溝を形成することができないため、糸寄せするときに鉤針と被縫製体の間で糸が挟持されて糸の引上げが十分できない可能性がある。また、この糸寄せ機構では、糸寄せした糸の解放が適切にできない可能性がある。
また、被縫製体としては、キルト・パッチワーク縫い等において布厚の複数枚の生地が縫われることが多い。その場合の送り方向は直線縫いばかりでなく曲線縫い、模様縫いが多用される。縫製者は被縫製体の縫い方向を細かく変更しながら曲線模様縫いを行なう。そのために被縫製体を移動して鉤針を縫糸で引き曲げたり、針先が布に入った時点でも針曲がりを生じ、針折れが発生することがあり得る。
また、被縫製体に縫目が形成されるとき、針板下方で糸が釜にくぐり入れくぐり出て糸が交錯して被縫製体の裏面で糸締めされる。この場合、針板上面の被縫製体は押え金によって押圧されており被縫製体の表裏に亘って糸締めされる縫糸が裏面で交錯された糸が締りにくいところがあり得る。さらに、糸が釜にくぐり入れくぐり出るとき糸が交錯した糸の縫落部が針板の下方より針板上面に抜け出るのが困難になる可能性がある。
また、鉤針の糸捕捉鉤の開口方向には、蓋針が摺動自在に嵌合して針板上方では閉じ、針板下方では開口するように構成されている。そのため、針や蓋針の交換時に、針や蓋針の交換作業は簡単にできない可能性がある。
本発明は、このような従来の難点を解消するためになされたもので、鉤針に掛け止められ引上げられる2本の糸の鉤針エグリの反対方向、即ち縫目を形成しつつある側の糸1本を引上げることにより針板下方にある糸の引上げを確実にして綺麗な縫目を形成できる1本糸錠縫化ハンドステッチミシンを提供することを目的とする。
また、本発明は、針支えによって鉤針が曲げられにくくなる1本糸錠縫化ハンドステッチミシンを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、縫糸の糸締めが適切にされ、さらに、糸が釜にくぐり入れくぐり出るとき糸が交錯した糸の縫落部が針板の下方より針板上面に抜け出るのを容易になる1本糸錠縫化ハンドステッチミシンを提供することを目的とする。
また、本発明は、蓋針についての回転退避機構により鉤針、蓋針の交換が容易になる1本糸錠縫化ハンドステッチミシンを提供することを目的とする。
このような目的を達成するために本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンは、上死点から下降し針板に載置され押え金で押圧保持される被縫製体に貫通し、下死点から被縫製体から抜け出して上昇し、垂直方向に直線往復運動する鉤針が針上死点→針下死点→針上死点に至るまでの1針目である第1ストロークにおいて上死点から下降し被縫製体に貫通し、下死点から上昇する際に糸を捕捉し鉤針が針上死点→針下死点→針上死点に至るまでの2針目である第2ストロークにおいて上死点から下降し被縫製体に貫通し、下死点から上昇する際に捕捉されていた糸を解放する糸捕捉鉤を側設した鉤針と、針板の下方にあって糸が巻装され糸が糸出口から引き出される釜であって、第1ストロークにおいて上死点から下降し被縫製体に貫通し、下死点から上昇する際に、糸捕捉鉤で糸を捕捉した鉤針の上昇に伴って糸を糸締めすると共に、鉤針が第2ストロークにおいて上死点から下降し被縫製体に貫通し、下死点から上昇する際に糸捕捉鉤で捕捉されていた糸を釜が回転して掬う剣先を有し、捕捉されていた糸を釜の回転によって釜の剣先で掬って糸捕捉鉤から解放し、解放された糸を釜が更に回転することにより釜にくぐり入れて釜に巻装されている糸に交錯させる釜と、糸が剣先で掬われた後に釜が回転することにより釜からくぐり出た糸を糸締めする糸引出作動子と、鉤針が第1ストロークにおいて被縫製体から抜け出て上昇し上死点を通過する間に被縫製体を1縫目ピッチ送りするとともに、鉤針が第2ストロークにおいて被縫製体から抜け出て上昇し上死点を通過する間に被縫製体を1縫目間ピッチ送りする送り歯とを備えることにより被縫製体の表面にハンドステッチ縫目、裏面に錠縫縫目をそれぞれ形成する1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおいて、第2ストロークにおいて鉤針が下死点から上昇し、被縫製体から抜け出す前に糸引出作動子から釈放された余剰な糸を糸締めするにあたり、第2ストロークにおいて鉤針が上死点から下降する際に糸捕捉鉤で捕捉されて懸架されている2本の糸のうち縫目を形成しつつある側の糸を引上げるとともに糸捕捉鉤で捕捉されていた糸を釜が回転して掬うとき引上げられた糸を解放する糸制御作動子を有する糸制御機構を備え、
糸制御機構は、糸制御作動子に糸制御運動を与えるために、2本の糸のうち縫目を形成しつつある側の糸を引上げる上下運動系と、糸捕捉鉤で捕捉されていた糸を釜が回転して掬うとき引上げられた糸を解放する前後揺動運動系とを有する
また、この1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおいて、針板は、剣先で掬われた糸を釜にくぐり入れ、くぐり出た糸を糸引出作動子で糸締めするにあたり、針板に鉤針が上昇、下降するための針穴を形成し、針穴の周囲に形成され被縫製体を載置する針落部と、針板と被縫製体を介して押え金とで押圧挟持されることなく釜からくぐり出て交差した糸を引出すため針落部の周囲に形成された糸引出空間部とを備えている。
この1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおいて、被縫製体の送り方向から所定角度オフセットした部位と糸引出作動子の糸引部から形成されつつある縫目に向かう部位との間で延在して開口する糸引出穴を備えている。
この1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおいて、鉤針の縫方向面及び左右面に摺動自在に当接して鉤針が上死点から被縫製体直上において鉤針とともに上下動し、被縫製体の過度の手動操作等の事由により鉤針が屈曲して被縫製体に貫通した後、鉤針が針板の針落部に衝突し、折損するのを防止する鉤針支持機構を備えている。
また、この1本糸錠縫化ハンドステッチミシンは、鉤針の糸捕捉鉤が鉤針の上死点から下降して被縫製体に貫通し、針板を越えるまでの期間及び下死点から上昇して針板を越え、被縫製体を抜け出して上死点に達するまでの期間に糸捕捉鉤を閉塞する蓋針棒に固着された蓋針を上下動駆動する蓋針駆動機構を備え、鉤針及び/又は蓋針の交換時に、蓋針棒を回動軸として蓋針を鉤針から交換作業に適する空間だけ離間するように回動させた位置で退避状態を保持する蓋針退避機構を備えている。
この1本糸錠縫化ハンドステッチミシンは、蓋針が蓋針棒を回動軸として回動したことに応じてスイッチオフされてミシンを駆動する電動モータへの給電を遮断するためのリミットスイッチを備えている。
この1本糸錠縫化ハンドステッチミシンは、蓋針を蓋針棒を回動軸として回動している際に、手動で手動プーリを回動しようとしたとき蓋針棒の上下動駆動を阻止するストッパーを備えている。
また、この1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおいて、釜には、糸出口から引き出されて糸引出作動子によって引き出され、かつ形成しつつある縫目に接続されている糸を糸出口の回転に伴って鉤針の前記糸捕捉鉤に確実に捕捉させる制糸板を備えている。
本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンによれば、鉤針に掛け止められ引上げられる2本の糸の鉤針エグリの反対方向、即ち縫目を形成しつつある側の糸1本を引上げることにより針板下方にある糸の引上げを確実にして綺麗な縫目を形成できる。
更に、本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンによれば、被縫製体を移動して鉤針を縫糸で引き曲げられたり、針先が布に入った時点で針曲がりや針折れを防止できる。
また、本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンによれば、縫糸の糸締めが適切にされ、さらに、糸が釜にくぐり入れくぐり出るとき糸が交錯した糸の縫落部が針板の下方より針板上面に抜け出るのを容易になる。
また、本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンによれば、回転退避機構により鉤針、蓋針の交換が容易になる。
本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンを示す全体斜視図である。 本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンの駆動系統を示すブロック図である。 本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける鉤針・蓋針駆動機構、蓋針退避機構及び糸制御機構を示す斜視図である。 本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける鉤針・蓋針駆動機構を示す斜視図で、鉤針が上死点の図である。 本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける鉤針・蓋針駆動機構を示す斜視図で、鉤針が下死点の図である。 本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける鉤針・蓋針駆動機構及び蓋針退避機構を示す分解斜視図である。 本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける鉤針・蓋針駆動機構及び蓋針退避機構を示す斜視図で、(a)は鉤針に蓋針が係合状態になった図、(b)は鉤針から蓋針が退避状態になった図である。 鉤針と蓋針との関係を示す部分斜視図で、(A)は鉤針の糸捕捉鉤が蓋針で閉状態になった図、(B)は鉤針の糸捕捉鉤が開状態になった図である。 (A)、(B)、(C)は本発明による1本糸錠縫化ハンドステッチ形成方法及びミシンで得られる擬似ハンドステッチ縫目構造を示す説明図である。 本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける送り量設定機構、布送り機構及び布送り駆動機構を示す斜視図である。 本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける半回転釜を示す斜視図である。 本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける半回転釜を示す分解斜視図である。 本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける釜駆動機構を示す斜視図である。 本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける釜駆動機構を示す分解斜視図である。 本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける糸引出機構を示す斜視図である。 本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける鉤針・蓋針駆動機構及び糸制御機構を示す斜視図である。 本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける糸制御機構を示す分解斜視図である。 (a)、(b)、(c)は本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける糸制御機構の動作を示す斜視図である。 本発明による1本糸錠縫化ハンドステッチミシンのモーションダイヤグラムである。 (a)は本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける針板の斜視図で、(b)は針板の動作説明図である。 (a)は本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける釜に備えられる制糸板の上面図で、(b)は制糸板の動作説明図であり、糸を釜の糸出口の回転に伴って鉤針の糸捕捉鉤に確実に捕捉させる前の状態を示す。 (a)は本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおける釜に備えられる制糸板の上面図で、(b)は制糸板の動作説明図であり、糸を釜の糸出口の回転に伴って鉤針の糸捕捉鉤に確実に捕捉させた状態を示す。
以下、本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンをその好ましい実施の形態例について図面に基づき説明する。
本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンは図1、図2に示すように、アーム2及びベッド3からなるフレーム1に、糸捕捉鉤13a(図6−図7)を側設し垂直方向に直線往復運動して被縫製体21に縫糸20を刺し通す鉤針13、半回転正転と半回転逆転して縫糸20を交差させ縫目を作る半回転釜200、往復運動して縫糸20に弛みを与えたり縫目を糸締めたりする糸引出作動子401及び楕円運動して被縫製体21を送り出す送り歯601等が装着され、半回転釜200に巻装された1本の縫糸20で被縫製体21の表面にハンドステッチ縫目、裏面に錠縫縫目をそれぞれ形成させるミシンである。
アーム2には上軸5及び中間軸8、ベッド3には水平送り軸605、上下送り軸613及び釜軸201が、それぞれ軸方向が水平方向に設置されている(図9)。
上軸5は上軸前メタル7(図4A)及び上軸後メタル6(図9)で、中間軸8は中間軸前メタル9及び中間軸後メタル10(図9、図12)でそれぞれアーム2に回動自在に設置されている。
水平送り軸605は水平送り軸前メタル606及び水平送り軸後メタル607で、上下送り軸613は上下送り軸前メタル614及び上下送り軸後メタル611でそれぞれアーム2に回動自在に設置されている。
釜軸201は釜軸後メタル225および外釜取付部202cとでベッド3に回動自在に設置されると共に、後述する半回転釜200の内釜ドライバー203に固定されている(図10−図12)。
上軸5の一端には手動プーリ4が設けられモータMにより無端ベルトである駆動ベルトMBを介して駆動される。モータMは電源部900に接続されている。
また、上軸5の他端には鉤針13を駆動する鉤針・蓋針駆動機構100の釣合錘101(図3−図5)が設けられている。
上軸5の中間には送り歯601を楕円運動させる布送り機構600を駆動する布送り駆動機構700(図9)が連結されている。
上軸5の手動プーリ4に近傍する部位には縫目ピッチ・縫目間ピッチの送り量設定機構300を駆動する上軸駆動プーリ25が設けられている(図9)。
中間軸8には半回転釜200を駆動する釜駆動機構220(図12)及び糸引出作動子401を駆動する糸引出駆動機構400(図14)が連結されている。
鉤針・蓋針駆動機構100は、鉤針13を、上死点から下降し針板12に載置された被縫製体21に貫通し、下死点から被縫製体21から抜け出して上昇し、垂直方向に直線往復運動する第1ストロークにおいて上死点から下降し被縫製体21に貫通し、下死点から上昇する際に、縫糸20を糸捕捉鉤13aで捕捉し、第2ストロークにおいて上死点から下降し被縫製体21に貫通し、下死点から上昇する際に、糸捕捉鉤13aで捕捉されていた縫糸20を解放することができる機構構成である(図18、図20A、図20B)。なお、本明細書において、「鉤針13の第1ストローク」とは鉤針13が針上死点→針下死点→針上死点に至るまでの1針目、「鉤針13の第2ストローク」とは鉤針13が針上死点→針下死点→針上死点に至るまでの2針目のことを意味する。
鉤針13は、図3、図4(A)、(B)、図5、図6(a)、(b)に示すように、針留107に固定され、針留107は垂直方向に直線往復運動可能な状態でアーム2aに設置された針棒11の下端部に、針止めネジ108で固定されている。また、針棒上メタル部及び針棒下メタル部間の針棒11には針棒抱104が固定され、この針棒抱104に形成されたクランクロッドピン104aは針棒クランクロッド103の一端が回動自在に連結され、針棒クランクロッド103の他端は上軸5の他端に固着された釣合錘101にクランクロッドピン102によって回動自在に連結されている。したがって、針棒クランクロッド103が上軸5の回転により釣合錘101を介してクランク運動するので、鉤針13が針留107で固定された針棒11が針棒抱104によって垂直方向に直線往復運動する。
また、鉤針13の糸捕捉鉤13aは、蓋針14によって開閉される。蓋針14は蓋針留111に蓋針止めネジ112で固定され、蓋針留111は蓋針棒上軸受部及び蓋針棒下軸受部によって垂直方向に直線往復運動可能な状態でアーム2aに設置された蓋針棒15の下端部に固定されている。
また、蓋針棒15には蓋針棒退避ピン116が固定されている。蓋針棒退避ピン116の下方において、蓋針棒15は、蓋針棒駆動腕118が上下に移動可能に針棒11に沿って蓋針棒駆動腕118の蓋針嵌合穴118cに嵌められている。蓋針棒15には蓋針嵌合穴118cと蓋針棒退避ピン116下方のEリング間にバネ128が挿入され、蓋針棒15を上方に弾撥している。
また、蓋針棒駆動腕118はアーム118bに水平長溝118dを有し、端部には案内板127に嵌合する垂直溝を有する。垂直溝は蓋針棒駆動腕118が針棒11を枢軸として上下摺動する時、水平方向位置決めされて案内板127に沿って上下案内される。
蓋針棒駆動腕118には蓋針棒回転制御カム120が固定され、この蓋針棒回転制御カム120に形成されたカム溝120aは、蓋針棒退避ピン116が摺動可能に嵌め込まれている。カム溝120aは、垂直溝部120bとこれに連続して直角方向に延び、かつ上方に延在する退避溝部120cを有する形状をしている。したがって、蓋針棒退避ピン116が蓋針棒回転制御カム120におけるカム溝120aの退避溝部120cに位置されたときはバネ115で蓋針棒退避ピン116が退避溝部120cに嵌入されるので蓋針棒15は回転しないようになる。
鉤針・蓋針駆動機構100の針棒抱104の先端には蓋針駆動リンク113の一端が枢着され、蓋針駆動リンク113の他端にはカムフォロワ114が回転可能に固定されている。このカムフォロワ114は蓋針棒駆動腕118におけるアーム118bの水平長溝118d及び蓋針駆動カム板119のカム溝119a、119bに嵌められている。蓋針駆動カム板119のカム溝は、垂直カム溝119a、水平カム溝119bが曲線溝で繋げられてL字状に形成されている。
このように鉤針・蓋針駆動機構100により、鉤針13の糸捕捉鉤13aが鉤針13の上死点から下降して被縫製体21に貫通し、針板12を越えるまでの期間及び下死点から上昇して針板12を越え、被縫製体21を抜け出して上死点に達するまでの期間に糸捕捉鉤13aを閉塞する蓋針棒15に固着された蓋針14は上下動駆動される。
具体的には、上軸5の回転により針棒11が上昇した場合には図4(A)に示すように、蓋針駆動リンク113の一端に枢着されるカムフォロワ114が蓋針駆動カム板119の垂直カム溝119aに沿って上昇すると共に蓋針棒駆動腕118を上昇させる。この際、鉤針13の上昇と共に蓋針棒駆動腕118が固定された蓋針棒15を介して蓋針14も上昇するので、図4(A)、図7(A)に示すように、鉤針13の糸捕捉鉤13aは蓋針14によって閉状態になる。また、上軸5の回転により針棒11が下降した場合には図4(B)に示すように、蓋針駆動リンク113のローラフォロア114が蓋針駆動カム板119の垂直カム溝119aに沿って下降後、水平カム溝119bに沿って水平移動する。この際、鉤針13は降下するが蓋針棒駆動腕118は停止するので、図4(B)、図7(B)に示すように、鉤針13の糸捕捉鉤13aは開状態になる。
本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンは、一部上記したように、蓋針棒退避ピン116、蓋針棒駆動腕118、蓋針棒回転制御カム120で形成された蓋針退避機構130を備えている。この蓋針退避機構130は、鉤針13及び/又は蓋針14の交換時に、蓋針棒15を回動軸として蓋針14を鉤針13から交換作業に適する空間だけ離間するように回動させた位置で退避状態を保持するものである(図6(b))。
本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおいて、蓋針棒15には蓋針棒15に固定された蓋針制止ピン117を有している。この蓋針制止ピン117は、その回動に応じて、アーム2aに固定された蓋針制止板122の制止穴壁122aに係止自在となっている(図5、図6)。
本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおいて、蓋針14が蓋針棒15を回動軸として回動したことに応じてスイッチオフされてミシンを駆動する電動モータMへの給電を遮断するためのリミットスイッチ121を備えている。リミットスイッチ121は電源部900に接続されている。蓋針制止板122には給電遮断穴123aを有し、バネ124で一方向に弾発された給電遮断板123がアーム2aと並行に摺動自在に設けられている。蓋針制止ピン117が制止穴122aに係止される直前に、同じく蓋針制止ピン117によって給電遮断板123の給電遮断穴123aの壁を他方向に押圧する。給電遮断板123が押圧されることによってリミットスイッチ121が作動し、ミシンを駆動する電動モータMへの給電を遮断する。
本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおいて、蓋針14を蓋針棒15を回動軸として回動している際に、手動で手動プーリ4を回動しようとしたとき蓋針棒15の上下動駆動を阻止するストッパー122b、122bを備えている。蓋針制止ピン117がストッパー122b、122bの上下壁にそれぞれ当接することにより蓋針14を蓋針棒15を回動軸として回動している際に、手動で手動プーリ4を回動しようとしたとき蓋針棒15の上下動駆動を阻止するストッパーとして機能する(図6(b))。
このように構成された本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンによれば、鉤針・蓋針駆動機構100は、針棒クランクロッド103が上軸5の回転により釣合錘101を介してクランク運動するので、鉤針13が針留107で固定された針棒11が針棒抱104によって垂直方向に直線往復運動する。同時に、カムフォロワ114によって蓋針棒駆動腕118が垂直方向に直線往復運動するので、蓋針棒15が上下動駆動される。蓋針棒15が上昇すると、図7(A)に示すように、鉤針13の糸捕捉鉤13aは蓋針14によって閉状態になる。即ち、鉤針13が下死点から上死点に向かっていくときに糸捕捉鉤13aは蓋針14によって閉塞されることになる。一方、蓋針棒15が下降すると、図7(B)に示すように、鉤針13の糸捕捉鉤13aは蓋針14によって開状態になる。即ち、鉤針13が被縫製体21を貫通した後、糸捕捉鉤13aは、針板12の下方において蓋針14から開放されることになる(図4−図7)。
また、本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンによれば、蓋針退避機構130により、図6(a)、(b)に示すように、鉤針13及び/又は蓋針14の交換時に、蓋針棒15を回動軸として蓋針14を鉤針13から交換作業に適する空間だけ離間するように回動させた位置で退避状態を保持する。
また、本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンによれば、リミットスイッチ121により、蓋針14が蓋針棒15を回動軸として回動したことに応じてスイッチオフされてミシンを駆動する電動モータMへの給電を遮断する。
また、本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンによれば、ストッパー122b、122bにより、蓋針14を蓋針棒15を回動軸として回動している際に、手動で手動プーリ4を回動しようとしたとき蓋針棒15の上下動駆動を阻止する。
この鉤針・蓋針駆動機構100の近傍には図1、図2に示すように、被縫製体21を針板12に押え付けるための押え金501を動作させる押え機構500が設けられている。押え機構500は、押え棒503が垂直方向に直線往復運動可能にアーム2に設置され、押え棒503の下端部に、押え金501が揺動自在に取り付けられた押え足502が押え止ネジ509で固定されている。
また、押え棒503の上部には押え圧力調節バネ受け508が嵌合され、押え圧力調節バネ受け508はアーム2aの上部に設置されるダイヤル510のカムリフトにしたがって上下する連結子によって押え圧力調節バネ受け508の上下位置が位置決めされている。押え棒503には押え棒抱き505が固定され、押え棒抱き505と押え圧力調節バネ受け508との間には押え圧力調節バネ504が押え棒503に嵌めこまれている。また、この押え圧力調節バネ504による押え金501の被縫製体21に対する押圧力は、押え圧力調節バネ受け508の垂直位置をダイヤル510を回すことによって調節できる。
さらに、押え金501を上下させるために、押え棒抱き505に係合する押え上げレバー506がアーム2aに固定された押え上げレバー軸に回動自在に設けられている。押え上げレバー506を上昇させると押え棒抱き505が上昇し、下降させると押え棒抱き505が下降する。したがって、押え上げレバー506を上昇させて押え金501及び針板12間に空間を作り、被縫製体21を針板12上に載せたら押え上げレバー506を下降させて当該被縫製体21を押え金501で針板12に押し付けることで、被縫製体21を針板12上にセットすることができる。
布送り機構600は図1、図2、図9に示すように、鉤針13を第1ストロークにおいて被縫製体21から抜け出して上昇させ上死点を通過する間に、被縫製体21を1縫目ピッチ送りするとともに、鉤針13を第2ストロークにおいて被縫製体21から抜け出して上昇させ上死点を通過する間に、被縫製体21を1縫目間ピッチ送りする送り歯601を備えている。
この布送り機構600は図1、図9に示すように、針板12の下方に設けられ、送り歯601が送り土台602に固定されている。送り土台602の一端は、水平送り軸605の一方に固定された水平送り腕604に水平送り腕軸603によって回動自在に連結されている。したがって、水平送り軸605を往復回転させることで水平送り腕604が往復揺動するので、送り歯601を水平方向で往復運動させることができる。また、送り土台602の他端には下方より上下送りカム616により摺動可能に支えられている。この上下送りカム616は、上下送り軸613の一端に固定された変形外周カムである。したがって、上下送り軸613を往復回転することで上下送りカム616が送り土台602の他端を上下方向に往復運動させることができる。ここで、図8(A)、(B)、(C)に示すように、縫目送りの1縫目ピッチP1とは被縫製体21の表面に形成されるハンドステッチ縫目の縫長さで、縫目間送りの1縫目間ピッチP2とは連続する2つのハンドステッチ縫目間の跳び長さである。なお、図8(A)は1縫目ピッチP1、縫目間送りの1縫目ピッチP2を標準送りにした場合、図8(B)は1縫目ピッチP1を最小送りにして、縫目間送りの1縫目ピッチP2を最大送りにした場合、図8(C)は1縫目ピッチP1を最大送りにして、縫目間送りの1縫目ピッチP2を最小送りにした場合を示す。
布送り駆動機構700は、図9に示すように、送り量設定機構300(図1)で設定された縫目ピッチ送り量、縫目間ピッチ送り量をそれぞれ送りモード切換機構350で切換られる各被縫製体送りモードにおいて伝達して送り歯601により被縫製体21を送るもので、上軸5に、水平送り軸605を往復回転させる水平送りカム701と、上軸5に固定され上下送り軸613を往復回転させる上下送りカム717とが固定されている。なお、本明細書において、「各被縫製体送りモード」とは縫目ピッチ送りと縫目間ピッチ送りのことを意味する。
送り量設定機構300は、縫目送りピッチ調節レバー301、縫目間送りピッチ調節レバー302によって設定され、送りモード切換機構350で切換られる各被縫製体送りモードにおいて、糸締調節機構420(図1)と布送り駆動機構700を駆動する。
上軸5が回転すると、水平送りカム701が水平送り駆動ロッド702を偏心運動させるので、水平送り縦ロッド704が上下運動して水平送り軸駆動腕705が水平送り軸605を往復回転させることができる。
上下送りカム717は偏心カムで、カム部には上下送り縦ロッド714の一端が回動自在に嵌合され、上下送り縦ロッド714の他端は、上下送り軸613の他方に固定された上下送り軸駆動腕715に連結ピン716で回動自在に連結されている。したがって、上軸5が回転すると上下送りカム717が上下送り縦ロッド714の一端を偏心運動させるので、上下送り縦ロッド714自体が上下運動して上下送り軸駆動腕715が上下送り軸613を往復回転させることができる。
このように水平送り軸605を往復回転させることで、水平送り腕604が往復揺動して送り土台602を水平方向で往復運動させ、上下送り軸613を往復回転させることで、送り土台602の他端を上下方向に往復運動させる。したがって、送り土台602に固定された送り歯601は、上昇→前進→下降→後退という所謂送りの四工程運動をすることができる。
なお、送り量設定機構300及びその送りモード切換機構350、糸締調節機構420は、特許文献1に詳細に記載されており、また本発明の特徴でもないので、本発明において、その詳細な説明は省略する。
このように構成された1本糸錠縫化ハンドステッチミシンは、鉤針13、半回転釜200、糸引出作動子401の協働によって被縫製体21の表面にハンドステッチ縫目、裏面に錠縫縫目を跳び縫いセットとして形成し、鉤針13の第1ストロークにおいて送り歯601により被縫製体21をハンドステッチ縫目のための縫目ピッチ送りし、鉤針13の第2ストロークにおいて送り歯601により被縫製体21をハンドステッチ縫目間のための縫目間ピッチ送りするものである。また、1本糸錠縫化ハンドステッチミシンは、縫目ピッチ送りの縫目ピッチ送り量及び縫目間ピッチ送りの縫目間ピッチ送り量をそれぞれ設定し、1つの跳び縫いセットごとに縫目ピッチ送り、縫目間ピッチ送りにそれぞれ対応する各被縫製体送りモードに順次切換え、設定された縫目ピッチ送り量、縫目間ピッチ送り量をそれぞれ各被縫製体送りモードにおいて送り駆動機構700に伝達して送り歯601により被縫製体21を送るものである。
次に、半回転釜200及び釜駆動機構220は、図1、図2、図10−図13、図20(A)、図20(B)に示すように、針板12の下方にあって縫糸20が巻装され縫糸20が糸出口212aから引き出される釜であって、第1ストロークにおいて上死点から下降し被縫製体21に貫通し、下死点から上昇する際に、半回転逆転し、糸捕捉鉤13aで縫糸20を捕捉した鉤針13の上昇に伴ってさらに逆転することにより縫糸20を糸締めすると共に、鉤針13が第2ストロークにおいて上死点から下降し被縫製体21に貫通し、下死点から上昇する際に、糸捕捉鉤13aで捕捉されていた縫糸20を釜が半回転正転して掬う剣先205aを有し、捕捉されていた縫糸20を釜の回転によって釜の剣先205aで掬って糸捕捉鉤13aから解放し、解放された縫糸20を釜が更に回転することにより釜にくぐり入れて釜に巻装されている縫糸20に交錯させることができる機構構成である。
このような半回転釜200は図10−図13に示すように、縫糸20が巻装されるボビン211を収納するボビンケース212を内釜205に内蔵し、ボビンケース212は内釜205と一緒に回転自在に外釜202に装架されている。具体的には、縫糸20を巻装したボビン211を収容したボビンケース212と、ボビンケース212を取り外し自在に収容すると共に剣先205aを有する内釜205と、内釜を回転自在に内装しベッド3に対して固着される外釜202とを備えている。内釜205はボビンケース212を収容するボビンケース収容部205bを有し、このボビンケース収容部205bにボビンケース212を取り外し自在に収容する。外釜202は、内釜ドライバーバネ204が固定された内釜ドライバー203及び内釜205を収容する内釜収容部202aを有している。また、外釜202には、釜軸201の一端を回動可能に挿入するための釜軸穴202bが設けられた取付ボス部202cを有し、この釜軸穴202b及び内釜収容部202aの回転中心は、釜軸201の回転中心と同心である。
この外釜202の内釜収容部202aに、内釜ドライバー203を収容して釜軸穴202bに挿入された釜軸201に固定する。さらに、内釜収容部202aに内釜205及び内釜押え206を収容し、右内釜押え爪208、左内釜押え爪209で内釜押え206を、内釜押え爪バネ210でバネ力を付与した状態で固定する。なお、内釜205と内釜ドライバーバネ204が固定された内釜ドライバー203との間には所定の隙間ができるようになっている。また、内釜ドライバー203の内釜ドライバーバネ204と内釜205との関係は、内釜ドライバーバネ204の両端で内釜205の自由回動を規制することができるもので、内釜ドライバー203が釜軸201で半回転正転すると、内釜ドライバーバネ204の一端204bが内釜205に当接し、内釜ドライバーバネ204の他端204aが内釜205と隙間O2(図20(A)、図20(B))を有するようになっている。また、内釜ドライバー203が釜軸201で半回転逆転すると、内釜ドライバーバネ204の他端204aが内釜205に当接し、内釜ドライバーバネ204の一端204bが内釜205と隙間O1(図20(A)、図20(B))を有することになる。
また、ボビンケース212には、上記したように、鉤針13が針板12から上昇するとき半回転釜200が逆転して針板から離間する方向及び位置において、糸出口212aを設けている。
また、図10、図11、図20(A)、図20(B)に示すように、外釜202の針落ち方向の取付面202dには、糸出口212aから引き出されて糸引出作動子401によって引き出され、かつ形成しつつある縫目に接続されている糸20を糸出口212aの回転に伴って鉤針13の糸捕捉鉤13aに確実に捕捉させる制糸板207がネジによって固定されている。
制糸板207は、鉤針13が針落ちし、釜200から引き出された糸20を鉤針13の糸捕捉鉤13aに引掛けるための制糸穴207aを有する。制糸穴207aは、緩い傾斜端縁207b、急傾斜端縁207c、凹状端縁207dで形成される。
このように構成された半回転釜200の制糸板207の動作について縫糸20、ボビンケース212の糸出口212a、糸引出作動子401、鉤針13の糸捕捉鉤13aと関連して説明する。
上記したように糸引出作動子401が、鉤針13の糸捕捉鉤13aが縫糸20を捕捉する際に半回転釜200が回転することにより糸出口212aから引き出されている縫糸20を鉤針13に周接して緊張する。この状態で、ボビンケース212の糸出口212aから引き出されている縫糸20は制糸穴207aの細長いスリット207eを通って糸引出作動子401で緊張されている(図20(A)(a)、(b))。
半回転釜200の逆回転によって糸出口212aからの縫糸20が緩い傾斜端縁207bに沿って移動され、次いで急傾斜端縁207cに達すると、凹状端縁207dに急落することにより縫糸20は鉤針13の糸捕捉鉤13aに対して略水平状態に遷移し、このため糸出口212aから引き出されて糸引出作動子401によって引き出され、かつ形成しつつある縫目に接続されている糸20を糸出口212aの回転に伴って鉤針13に周接させて糸捕捉鉤13aに確実に捕捉させることができる(図20(B)(a)、(b))。
釜駆動機構220は図12、図13に示すように、中間軸8の他端側に固定され偏心カムである釜駆動三角カム230と、釜駆動三角カム230に外接する釜駆動二又231と、一端が釜駆動二又231の力点となる部位に連結される釜駆動縦ロッド228と、腕233aが釜駆動縦ロッド228の他端に連結され扇型歯車軸221に枢着される釜駆動扇型歯車233と、釜駆動扇型歯車233に噛み合わされ釜軸201に固定された釜軸歯車224とから成る。具体的には、釜駆動三角カム230は釜駆動二又231に形成された略升形のカム溝231aに外接し、釜駆動二又231の力点となる部位には連結ピン229で釜駆動縦ロッド228の一端が回動自在に連結され、釜駆動縦ロッド228の他端は連結ピン227で釜駆動扇型歯車233の腕233aに回動自在に連結されている。また、釜駆動二又231の支点となる部位が釜駆動二又軸232によって枢支され、この釜駆動二又軸232と扇型歯車軸221はそれぞれアーム2に固定されている。
このような構成の釜駆動機構220は中間軸8が回転すると、釜駆動三角カム230が偏心運動することで釜駆動二又231が釜駆動二又軸232を支点にして釜駆動縦ロッド228を上下運動させるので、釜駆動扇型歯車233を往復揺動させる。この釜駆動扇型歯車233の往復揺動に基づき釜軸歯車224が固定された釜軸201も一定の回転角で往復回転運動するので、半回転釜200の内釜206を半回転正転、半回転逆転させることができる。
次に、糸引出駆動機構400は図1、図2、図14に示すように、糸引出作動子401が、鉤針13の糸捕捉鉤13aが縫糸20を捕捉する際に半回転釜200が回転することにより糸出口212aから引き出されている縫糸20を鉤針13に周接して緊張するとともに半回転釜200からくぐり出た縫糸20を糸締めすることができる機構構成である。なお、本明細書において、「周接」とは鉤針のある部位の周りに接していることを意味する。この糸引出作動子401は、糸捕捉鉤13aで捕捉されていた縫糸20が半回転釜200の剣先205aで掬われた後、半回転釜200の糸出口212aから引き出されている縫糸20を引掛け、半回転釜200から引出して糸締めし、糸捕捉鉤13aで縫糸20を捕捉した後、引掛けている縫糸20を釈放する機能を有している。
この糸引出駆動機構400は図14に示すように、中間軸8の水平方向における回転運動を垂直方向における回転運動に変換するねじ歯車410と、ねじ歯車410で水平方向から垂直方向に変換された回転運動を伝達する糸引出作動子駆動カム軸408と、糸引出作動子駆動カム軸408の回転運動を糸引出作動子401に上述した機能をもたせる糸引出作動子駆動カム407とを備えている。
具体的には、ねじ歯車410の第1歯車410Aが中間軸8に固定され、第2歯車410Bが糸引出作動子駆動カム軸408の一端(上端)に固定されている。糸引出作動子駆動カム軸408の他端側(下端側)にはカム溝407aが形成された正面カムである糸引出作動子駆動カム407が固定されている。この糸引出作動子駆動カム軸408は、アーム2に固定されている糸引出作動子駆動カム軸上メタル411及び糸引出作動子駆動カム軸下メタル412で回動自在に設置されている。また、糸引出駆動機構400は、ベッド3内に糸引出作動子調節台板428が設けられ、糸引出作動子調節台板428の取付ボス428aに対して旋回自在に枢着されている。水平方向に配置され糸引出作動子駆動カム407のカム溝407aに係合するカムフォロア406は、回動自在に設けられた糸引出作動子駆動ロッド台405と、水平方向に配置され一端が糸引出作動子駆動ロッド台405に固定され他端が糸引出作動子駆動腕403の腕端403aに段ピン414で回動自在に固定された糸引出作動子駆動ロッド424と、垂直方向に配置され一端が糸引出作動子駆動腕403に固定され他端が糸引出作動子401に固定された糸引出作動子揺動軸402とを備えている。
ベッド3内に設けられている糸引出作動子調節台板428の取付ボス428aに対して調節枡旋回台426の旋回軸426aが旋回自在に枢着されている。調節枡旋回台426には案内溝を有する糸引出作動子調節枡425が組み合わされ、案内溝を摺動自在に角駒を嵌合して角駒を枢支する偏心調節腕423に固着される糸引出作動子偏心軸422が糸引出作動子調節ロッド424の中間部に設けた穴と糸引出作動子駆動ロッド台405の連結穴を通って旋回自在に固定されている。
なお、糸引出作動子駆動ロッド台405と糸引出作動子駆動ロッド424は、送り量設定機構300の縫目送り調節レバー301の設定にしたがって縫目送り調節レバー301に連結する縦レバー430、クランク432、スライドリンク433を介して調節枠425を傾斜位置決めし、糸引出作動子偏心軸422の偏心方向を制御することにより糸引出作動子駆動ロッド台405に連結されている糸引出作動子調節ロッド424との連結長さを変化させることにより、送り量設定機構300によって設定された送り量、即ち縫目ピッチに応じて糸引出作動子401の糸締量を調節する。
本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンは、図15、図16、図17(a)、(b)、(c)に示すように、第2ストロークにおいて鉤針13が下死点から上昇し、被縫製体21から抜け出す前に糸引出作動子401から釈放された余剰な糸を糸締めするにあたり、第2ストロークにおいて鉤針13が上死点から下降する際に糸捕捉鉤13aで捕捉されて懸架されている2本の糸のうち縫目を形成しつつある側の糸、即ち鉤針13に掛け止められ引上げられる2本の糸の鉤針エグリの反対方向、即ち縫目を形成しつつある側の糸1本を引上げるとともに糸捕捉鉤で捕捉されていた糸を釜200が回転して内釜の剣先205aが糸を掬うとき引上げられた糸を解放する糸制御機構800を備えている。
糸制御機構800は、糸の制御を行なうにあたり、糸捕捉鉤13aで捕捉されて懸架されている2本の糸のうち縫目を形成しつつある側の糸を引上げるとともに糸捕捉鉤で捕捉されていた糸を釜200が回転して掬うとき引上げられた糸を解放する糸制御作動子801を有する。
このような糸制御運動を糸制御作動子801に与えるために糸制御機構800は以下の2つの運動伝達系を有する。
1つは上下運動系であって、上軸5の先端に固定された釣合錘101に連結するクランクロッドピン102は糸制御駆動偏心軸102cを有する。糸制御駆動偏心軸102cは二又腕821を回動し、糸制御カム軸820を回転させる。糸制御カム軸820は糸制御カム819を回転させ、これに係合するにより、アーム2aに固定された蓋針駆動カム板119に一端が枢支され、カムフォロワ817が中間部に嵌合された糸制御上下腕815の先端から糸制御上下リンク814を介して糸制御台809上で摺動するスライダ808、813に接続されている。スライダ808、813はピボット駒804で案内された糸制御作動子軸803に連結され、糸制御作動子軸803は糸制御作動子801に連結されている。
他の1つは前後揺動運動系であって、糸制御カム819は偏心カム819bを有し、そのカムフォロワとして糸制御台809の上端部809aがバネ812で弾撥されて偏心カム819bに当接している。糸制御台809は下端部がアーム2aに枢支され、上軸5の回転により糸制御台809に取付られた糸制御作動子801を前後揺動させる。
このような糸制御機構800は図15、図16、図17(a)、(b)、(c)に示すように、上軸5の先端に固定された釣合錘101に連結するクランクロッドピン102は端部腕102bに糸制御駆動偏心軸102cを有し、上軸5の回転に伴って糸制御駆動偏心軸102cが回転する。糸制御駆動偏心軸102cは針棒11を後方に迂回してアーム2aに枢着された糸制御カム軸820の一端に固着された二又腕821を回動し、糸制御カム軸820の他端に固着された糸制御カム819を回転さる。アーム2aに固定された蓋針駆動カム板119の支持部119fに糸制御上下腕815の一端815aが段ピン816で枢支され、糸制御カム819のカム溝819aに嵌合するカムフォロワ817が中間部に植設された軸815bに嵌合されている。糸制御上下腕815の先端には連結軸815cが植設され糸制御上下リンク814の上端を嵌合してEリングで止められる。糸制御上下リンク814の下端はスライダ813の連結腕813bにカシメ段ピン822で嵌合して固定される。
糸制御台809はアーム2aに固定される糸制御台支軸810に糸制御台809の下端の穴809bが嵌合して前後揺動自在に枢着され、糸制御台809の案内溝809eが蓋針駆動カム板119の中間部119gに植設された案内軸811に嵌合して糸制御台809の左右方向のガタを規制している。さらに、蓋針駆動カム板119のバネ掛け119hと糸制御台のバネ掛け間にバネ812を懸架弾撥し糸制御台809の上端部809aが偏心カム819bに当接させている。
また、糸制御台809の長穴809cには前方よりスライダ808が摺動自在に嵌合して後方よりスライダ813の軸813aがスライダ808の中央穴を貫通してネジで固定されている。スライダ813の軸813aには糸制御作動子軸803の上端に固着された連結端子806を嵌合してEリングで止められている。糸制御作動子軸803は糸制御台809の下端809dにカシメ段ピン805で枢支されるピボット駒804を貫通して摺動自在に案内され、糸制御作動子軸803の下端に糸制御作動子留802を固着してそれにより糸制御作動子801を固着している。
ピボット駒804を枢支するカシメ段ピン805の固着位置は糸制御台809の長穴809cの縦中心より正面から見て下方右方向へ位置している。それにより糸制御カム819のカム溝819aによって上下摺動されるスライダ808、813が下方に摺動され鉤針に懸架されて引き上げられている2本の糸の間に糸制御作動子の先端801aが進入するように鉤針13の真下に変位して糸20を掛け止めた後、糸制御作動子の先端801aはスライダ808、813が上方に摺動されるにしたがって徐々に鉤針13の中心より左方向へ変位して鉤針13の左側方を上昇する。
図17(a)は、第1ストロークにおいて上死点から下降し被縫製体21に貫通し、下死点から上昇する際に、縫糸20を糸捕捉鉤13aで捕捉して引上げられる2本の糸の間に糸制御作動子801の先端801aが進入する時点を示す。また、図17(b)は801の先端801aが引上げられる2本の糸を掛け留めて鉤針エグリの反対方向、即ち縫目を形成しつつある側の糸1本を引上げる状態を示す。また、図17(c)は第2ストロークにおいて上死点から下降し被縫製体21に貫通する直前で、掛け留めていた縫糸20を解放した状態を示す。
このような糸制御機構800によれば、上軸5の回転により上下運動と前後揺動運動が合成されて糸制御作動子801は、図17(a)、(b)、(c)、図18に示すような運動を行なうので、糸の制御を行なうにあたり、糸捕捉鉤13aで捕捉されて懸架されている2本の糸のうち縫目を形成しつつある側の糸を引上げるとともに糸捕捉鉤で捕捉されていた糸を釜200が回転して掬うとき引上げられた糸を解放する。
このように端面溝カムを採用した糸制御カム819によって糸制御作動子801の糸制御運動を行うことができ、鉤針の糸捕捉鉤に捕捉され引上げられる2本の糸の間に糸制御作動子801の先端801aが分け入って、鉤針の左側を上昇して縫目を形成しつつある側の糸を引上げることができ、鉤針が下降して糸捕捉鉤に捕捉された糸を釜が掬う時点で解放することができる。
本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおいて、図19(a)、(b)に示すように、針板12(図1、図2)は、剣先205a(図2、図11)で掬われた糸20を釜200にくぐり入れ、くぐり出た糸20を糸引出作動子401(図2、図14)で糸締めするにあたり、針板12に鉤針13が上昇、下降するための針穴12aを形成し、針穴12aの周囲に形成され被縫製体21(図2)を載置する針落部12cと、針板12と被縫製体21を介して押え金501とで押圧挟持されることなく釜200からくぐり出て交差した糸20を引出すため針落部12cの周囲に形成された糸引出空間部12dとを備えている。
この1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおいて、被縫製体21の送り方向d1から所定角度αオフセットした部位d2と糸引出作動子401の糸引部から形成されつつある縫目に向かう部位d3との間で延在して開口する糸引出穴12eを備えている。この所定角度αは20°−40°好ましくは30°である。
このように構成された針板構造によれば、被縫製体を貫通した糸20aが針落部12cの周りに回り込んで交差した糸20と被縫製体を貫通した糸20aとが重畳しないようにして糸20針板12と被縫製体21を介して押え金501とで押圧挟持されることなく釜200からくぐり出て交差した糸を引出すことができ、また釜200からくぐり出て交差した糸20を糸引出作動子401で糸締めると、この交差した糸20は糸引出穴12eから糸引出空間部12dを経て容易に抜け出て被縫製体21に達するようになる(図19(b))。
この1本糸錠縫化ハンドステッチミシンは、図2から図6、図20(A)、図20(B)に示すように、鉤針13の縫方向面及び左右面に摺動自在に当接して鉤針13が上死点から被縫製体21直上において鉤針13とともに上下動し、被縫製体21の過度の手動操作等の事由により鉤針13が屈曲して被縫製体21に貫通した後、鉤針13が針板12の針落部12cに衝突し、折損するのを防止する鉤針支持機構150を備えている。
この鉤針支持機構150は、蓋針棒駆動腕118の結合溝118eに蓋針棒15で嵌合された結合腕152dを有する針支取付台152、針支取付台152の下端に取付けられた針支え151を備えている。なお、結合腕152cと結合腕152dはそれぞれ針棒11に摺動自在に嵌合されている。針支え151は鉤針13の縫方向面及び左右面に摺動自在に当接して鉤針13を針穴12aの中心に案内する。なお、針支取付台152は蓋針棒駆動腕118の摺動に同期して針棒11に摺動するように取付けられ、蓋針14の上下動駆動と一体的に鉤針13が被縫製体21に貫通する時点で停止する。
このように構成された鉤針支持機構によれば、被縫製体21の過度の手動操作等の事由により鉤針13が屈曲して被縫製体21に貫通した後、鉤針13が針板12の針落部12cに衝突し、折損するのを防止することができる。
このように構成された本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンによれば、1本糸で錠縫化して被縫製体の表面にハンドステッチ縫目、裏面に錠縫縫目(図8(A)、(B)、(C))をそれぞれ形成するにあたり、鉤針に掛け止められ引上げられる2本の糸の鉤針エグリの反対方向、即ち縫目を形成しつつある側の糸1本を引上げることにより針板下方にある糸の引上げを確実にして綺麗な縫目を形成できる。
更に、本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンによれば、被縫製体を移動して鉤針を縫糸で引き曲げられたり、針先が布に入った時点で針曲がりや針折れを防止できる。
更に、鉤針13が上死点から被縫製体21を貫通して降下する場合の被縫製体21の過度の手動操作等による屈曲を内釜剣先205aに対する正常位置へ矯正する針受213を内釜押え206の上端部へ設けることで縫製時の針折れや目飛びを防止できる。
また、本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンによれば、縫糸の糸締めが適切にされ、さらに、糸が釜にくぐり入れくぐり出るとき糸が交錯した糸の縫落部が針板の下方より針板上面に抜け出るのを容易になる。
また、本発明の1本糸錠縫化ハンドステッチミシンによれば、回転退避機構により鉤針、蓋針の交換が容易になる。
4……手動プーリ
12……針板
13……鉤針
13a……糸捕捉鉤
14……蓋針
20……縫糸
21……被縫製体
100……鉤針・蓋針駆動機構
130……蓋針退避機構
200……半回転釜
205a……剣先
212a……糸出口
207……制糸板
401……糸引出作動子
501……押え金
601……送り歯
800……糸制御機構
801……糸制御作動子
12a……針穴
12c……針落部
12d……糸引出空間部
12e……糸引出穴
150……鉤針支持機構
121……リミットスイッチ
122b、122b……ストッパー
5、101、102、821、820、819a、815、814、813、809c、808、806、804……上下運動系
5、101、102、821、820、819b、809a、809……前後揺動運動系

Claims (8)

  1. 上死点から下降し針板に載置され押え金で押圧保持される被縫製体に貫通し、下死点から前記被縫製体から抜け出して上昇し、垂直方向に直線往復運動する鉤針が針上死点→針下死点→針上死点に至るまでの1針目である第1ストロークにおいて上死点から下降し前記被縫製体に貫通し、下死点から上昇する際に糸を捕捉し前記鉤針が針上死点→針下死点→針上死点に至るまでの2針目である第2ストロークにおいて上死点から下降し前記被縫製体に貫通し、下死点から上昇する際に捕捉されていた糸を解放する糸捕捉鉤を側設した鉤針と、前記針板の下方にあって糸が巻装され前記糸が糸出口から引き出される釜であって、前記第1ストロークにおいて前記上死点から下降し前記被縫製体に貫通し、前記下死点から上昇する際に、前記糸捕捉鉤で糸を捕捉した前記鉤針の上昇に伴って前記糸を糸締めすると共に、前記鉤針が前記第2ストロークにおいて上死点から下降し前記被縫製体に貫通し、下死点から上昇する際に前記糸捕捉鉤で捕捉されていた糸を前記釜が回転して掬う剣先を有し、捕捉されていた糸を前記釜の回転によって前記釜の剣先で掬って前記糸捕捉鉤から解放し、解放された糸を前記釜が更に回転することにより前記釜にくぐり入れて前記釜に巻装されている糸に交錯させる釜と、前記糸が前記剣先で掬われた後に前記釜が回転することにより前記釜からくぐり出た糸を糸締めする糸引出作動子と、前記鉤針が前記第1ストロークにおいて前記被縫製体から抜け出て上昇し上死点を通過する間に前記被縫製体を1縫目ピッチ送りするとともに、前記鉤針が前記第2ストロークにおいて前記被縫製体から抜け出て上昇し上死点を通過する間に前記被縫製体を1縫目間ピッチ送りする送り歯とを備えることにより前記被縫製体の表面にハンドステッチ縫目、裏面に錠縫縫目をそれぞれ形成する1本糸錠縫化ハンドステッチミシンにおいて、
    前記第2ストロークにおいて前記鉤針が下死点から上昇し、前記被縫製体から抜け出す前に前記糸引出作動子から釈放された余剰な糸を糸締めするにあたり、前記第2ストロークにおいて前記鉤針が前記上死点から下降する際に前記糸捕捉鉤で捕捉されて懸架されている2本の糸のうち縫目を形成しつつある側の糸を引上げるとともに前記糸捕捉鉤で捕捉されていた糸を前記釜が回転して掬うとき引上げられた糸を解放する糸制御作動子(801)を有する糸制御機構(800)を備え、
    前記糸制御機構は、前記糸制御作動子に糸制御運動を与えるために、前記2本の糸のうち縫目を形成しつつある側の糸を引上げる上下運動系(5、101、102、821、820、819a、815、814、813、809c、808、806、804)と、前記糸捕捉鉤で捕捉されていた糸を前記釜が回転して掬うとき引上げられた糸を解放する前後揺動運動系(5、101、102、821、820、819b、809a、809)とを有することを特徴とする1本糸錠縫化ハンドステッチミシン。
  2. 前記針板は、前記剣先で掬われた糸を前記釜にくぐり入れ、くぐり出た糸を前記糸引出作動子で糸締めするにあたり、前記針板に前記鉤針が上昇、下降するための針穴を形成し、前記針穴の周囲に形成され前記被縫製体を載置する針落部(12c)と、前記針板と前記被縫製体を介して前記押え金とで押圧挟持されることなく前記釜からくぐり出て交差した糸を引出すため前記針落部の周囲に形成された糸引出空間部(12d)とを備えることを特徴とする請求項1記載の1本糸錠縫化ハンドステッチミシン。
  3. 前記被縫製体の送り方向から所定角度オフセットした部位と前記糸引出作動子の糸引部から形成されつつある縫目に向かう部位との間で延在して開口する糸引出穴を備えていることを特徴とする請求項2記載の1本糸錠縫化ハンドステッチミシン。
  4. 前記鉤針の縫方向面及び左右面に摺動自在に当接して前記鉤針が前記上死点から前記被縫製体直上において前記鉤針とともに上下動し、前記被縫製体の過度の手動操作等の事由により前記鉤針が屈曲して前記被縫製体に貫通した後、前記鉤針が前記針板の前記針落部に衝突し、折損するのを防止する鉤針支持機構(150)を備えることを特徴とする請求項1記載の1本糸錠縫化ハンドステッチミシン。
  5. 前記鉤針の前記糸捕捉鉤が前記鉤針の上死点から下降して前記被縫製体に貫通し、前記針板を越えるまでの期間及び下死点から上昇して前記針板を越え、前記被縫製体を抜け出して上死点に達するまでの期間に前記糸捕捉鉤を閉塞する蓋針棒に固着された蓋針を上下動駆動する蓋針駆動機構(100)を備え、
    前記鉤針及び/又は蓋針の交換時に、前記蓋針棒を回動軸として前記蓋針を前記鉤針から交換作業に適する空間だけ離間するように回動させた位置で退避状態を保持する蓋針退避機構(130)を備えることを特徴とする請求項1記載の1本糸錠縫化ハンドステッチミシン。
  6. 前記蓋針が前記蓋針棒を回動軸として回動したことに応じてスイッチオフされて前記ミシンを駆動する電動モータへの給電を遮断するためのリミットスイッチ(121)を備えることを特徴とする請求項5記載の1本糸錠縫化ハンドステッチミシン。
  7. 前記蓋針を前記蓋針棒を回動軸として回動している際に、手動で手動プーリを回動しようとしたとき前記蓋針棒の前記上下動駆動を阻止するストッパー(122b)を備えることを特徴とする請求項5記載の1本糸錠縫化ハンドステッチミシン。
  8. 前記釜には、糸出口から引き出されて前記糸引出作動子によって引き出され、かつ形成しつつある縫目に接続されている糸を前記糸出口の回転に伴って前記鉤針の前記糸捕捉鉤に確実に捕捉させる制糸板(207)を備えることを特徴とする請求項1記載の1本糸錠縫化ハンドステッチミシン。
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