JP5481612B2 - 自動変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、潤滑量を可変とする自動変速機に関する。
従来、特許文献1には、潤滑量を切り換えるにあたり、コントロールバルブユニット内に切換弁を備え、この切換弁を走行状態に応じて切り換えることで潤滑量を制御している。
特開2004−324819号公報
しかし、特許文献1に記載の装置にあっては、コントロールバルブユニット内に新たな切換弁や切換弁を制御するためのソレノイド等を搭載しなければならず、設計変更箇所が多くなり、採用が困難であった。
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、容易に潤滑量を変更可能な自動変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、同一回転軸内に、摩擦締結要素に対し締結圧を供給する締結圧供給用油路と、被潤滑要素に対し潤滑油を供給する潤滑油供給用油路とが形成されているときに、締結圧供給用油路内の締結圧に応じて作動し、潤滑油供給用油路の流路抵抗を変更する潤滑油量変更手段を回転軸に形成した。この潤滑油量変更手段は、締結圧供給用油路の一端を閉塞すると共に、軸方向に移動することで潤滑油が通流するオリフィス又はポートを開閉するスプールバルブを有する。
よって、締結圧を利用して潤滑油量を変更することが可能となり、油圧コントロールバルブユニット等を設計変更することなく、簡易な構成で潤滑流量を制御することができる。
実施例1のパワートレーンを表す概略図である。 実施例1の自動変速機の油圧回路図である。 実施例1のパワートレーンの断面図である。 実施例1のパワートレーンにおける出力軸支持部近傍の拡大断面図である。 実施例1のパワートレーンにおける出力軸支持部近傍の拡大断面図である。 他の実施例のパワートレーンにおける出力軸支持部近傍の拡大断面図である。
図1は本発明の自動変速機の制御装置を搭載した実施例1のパワートレーンを表す概略図、図3は実施例1のパワートレーンの断面図である。実施例1のパワートレーンは、駆動源であるエンジン1と、このエンジン1に駆動結合されるトルクコンバータ2と、このトルクコンバータ2に減速機構3を介して駆動結合される自動変速機4と、この自動変速機4の変速機出力軸(プロペラシャフト)5を介して駆動結合されるファイナルドライブギア機構6と、このファイナルドライブギア機構6を経て自動変速機4からの動力が出力される車輪7とを有する。自動変速機4は、無段変速機構8と副変速機構9とで構成されている。
無段変速機構8は、減速機構3の出力軸に連結される駆動プーリ8aと、副変速機構9の入力軸9aに連結されるセカンダリプーリ8bとを有し、これらの間にベルト8cを掛け渡した既存のベルト式無段変速機構である。駆動プーリ8a及びセカンダリプーリ8bにはそれぞれ、オイルが供給されており、その油圧に応じてプーリ幅を自由に変更することができる。これにより、無段変速機構8は、駆動プーリ8aへの供給圧とセカンダリプーリ8bへの供給圧とを制御することで、変速比を無段階に変更させることができる。
副変速機構9は、ラビニヨ遊星歯車機構の第1サンギア9bにセカンダリプーリ8bを駆動結合することで当該サンギア9bを入力とする一方、リングギア9dを変速機出力軸5に駆動結合することで当該リングギア9dを出力としている有段変速機構である。第2サンギア9は、ローブレーキL/Bを介してケースCに固定され、キャリア9cはハイクラッチH/Cを介してリングギア9dに結合可能である。更に、ピニオンキャリア9cは、リバースブレーキR/Bを介してケースCに固定可能である。
ローブレーキL/B、ハイクラッチH/C及びリバースブレーキR/Bにもそれぞれ、オイルを供給することができ、その油圧に応じて締結及び解放を自由に行うことができる。これにより、副変速機構9は、ローブレーキL/B、ハイクラッチH/C及びリバースブレーキR/Bへの供給圧を制御することで、前進1速、前進2速及び後進を選択することができる。
前進1速の選択の場合は、ローブレーキL/Bを締結すると共にハイクラッチH/Cを解放する。また、前進2速の選択の場合は、ローブレーキL/Bを解放すると共にハイクラッチH/Cを締結する。なお、副変速機構9の制御にあたっての締結及び解放の関係についての詳細は、下記に示すとおりである。
前進第1速:ローブレーキL/Bのみ締結し、それ以外は解放
前進第2速:ハイクラッチH/Cのみ締結し、それ以外は解放
後進:リバースブレーキR/Bのみ締結し、それ以外は解放
これら、解放されたブレーキやクラッチもしくはラビニヨ遊星歯車機構に潤滑油を供給する。
実施例1の車両は、自動変速機4を変速制御するための変速機コントローラ100を有する。変速機コントローラ100は、自動変速機4の目標入力回転数を算出し、この目標入力回転数に基づき、無段変速機構8の変速比を無段階に制御する無段変速制御部101と、副変速機構9の目標変速段を算出し、この目標変速段に制御する有段変速制御部102とを有する。即ち、自動変速機4全体としては、無段変速機構8の変速制御と副変速機構9の変速制御を協調させることで、目標とする変速比が実現される。
無段変速機構8は、油圧コントロールバルブユニット10に内蔵された複数のソレノイドバルブをON,OFF制御することで、駆動プーリ8a及びセカンダリプーリ8bへの供給圧(通常は、駆動プーリ8aへの供給圧のみ)が制御される。これにより、変速比を無段階に変更することができる。副変速機構9も、同様に、油圧コントロールバルブユニット10に内蔵された複数のソレノイドバルブをON,OFF制御することで、ローブレーキL/B、ハイクラッチH/C及びリバースブレーキR/Bへの供給圧が制御され、前進1速又は前進2速が選択される。
図2は実施例1の自動変速機の油圧回路図である。オイルポンプO/Pにより汲み上げられた油は、油圧コントロールバルブユニット10内に導入される。油圧コントロールバルブユニット10内には、複数のバルブと電磁弁等が組み込まれている。また、各バルブからドレンされた油は、油圧コントロールバルブユニット10の外側に設置されたオイルクーラー57に供給される。オイルクーラー57に供給された油は冷却された後、再度、油圧コントロールバルブユニット10に還流され、これらが潤滑油として供給される。
油圧コントロールバルブユニット10には、油路70が開口する開口部と変速機ハウジングに形成されたケース側潤滑油供給用油路71とが接続されている。ケース側潤滑油供給用油路71には流路抵抗を変更する潤滑油量変更手段80を介して副変速機構9や各摺動部を潤滑すると共に(パワートレーン潤滑)、ベルト8cと各プーリ8a,8bとの摩擦面を潤滑する(ベルト潤滑)。ここで、潤滑が必要な被潤滑要素とは、副変速機構9を構成する各要素であり、解放されているクラッチやブレーキを含め、締結しているクラッチやブレーキ及びラビニヨ遊星歯車等も含まれる。これら被潤滑要素への潤滑油量を変更する理由の詳細については後述する。
図3は実施例1の自動変速機の断面図である。尚、この断面図は、各回転軸の中心を通る展開断面図であり、各回転軸の位置関係等は実際と異なる。入力軸9aの軸内にはベルト8c及び副変速機構9に潤滑油を供給する潤滑用軸心油路9a1が貫通形成されている。この潤滑用軸心油路9a1には、複数の径方向油路9a2が形成され、入力軸9aの外周に配置された副変速機構9の回転要素や摩擦要素に潤滑油を供給する。入力軸9aに嵌合された変速機出力軸5の軸内には、ハイクラッチH/Cに締結圧を供給する締結圧供給用油路5aと、潤滑用軸心油路9a1に潤滑油を供給する潤滑油供給用油路5bとが形成されている。変速機出力軸5は、ケースCに形成され軸方向に膨出形成された出力軸支持部C1内にベアリングを介して回転可能に支持されている。
図4は実施例1のパワートレーンにおける出力軸支持部C1近傍の拡大断面図である。出力軸支持部C1には、油圧コントロールバルブユニット10内のハイクラッチ油路63からケースCに形成されたケース側ハイクラッチ圧油路63aを通り締結圧供給用油路5aへ径方向からハイクラッチ圧を供給するための締結圧供給部C10が形成されている。この締結圧供給部C10の内周にはブッシュC11が支持されている。ブッシュC11は耐摩耗性に優れた円筒状部材であり、ケース側ハイクラッチ圧油路63aと連通する位置に径方向油路C11aが形成されている。
変速機出力軸5の端部であって径方向油路C11aと径方向から見て重なる位置の外周には円環状の溝5dが形成され、この溝5dには、締結圧供給用油路5aに向けて開口する径方向油路5eが穿設されている。また、溝5dの軸方向両側にはシール部材5cが取り付けられ、ブッシュC11内周との間で摺動接触し液密性を確保している。
出力軸支持部C1には、締結圧供給部C10よりも軸方向外側において、油圧コントロールバルブユニット10内の油路70からケースCに形成されたケース側潤滑油供給用油路71を通り、潤滑油供給用油路5bに潤滑油を供給する潤滑油供給部C12が形成されている。潤滑油供給部C12には、ケース側潤滑油供給用油路71が接続され、この内部には中空の供給ポートC12aが形成されている。
変速機出力軸5の締結圧供給用油路5aの最端部には、締結圧供給用油路5aよりも拡径され、内部にスプールバルブ81を収装するスプールバルブ収装孔5fを有する。このスプールバルブ81は、締結圧供給用油路5aの一端を閉塞すると共に、スプールバルブ収装孔5f内においてスプールバルブ81が軸方向に移動可能に収装されている。また、変速機出力軸5の最端部には、スプールバルブ81と潤滑油供給用油路5bとを包含する軸方向凹部5gを有する。この軸方向凹部5gの端部側開口付近には軸方向凹部5gよりも拡径するように形成され、蓋部材83を収装する蓋部材収装部5hが形成され、軸方向凹部5gを閉塞する蓋部材83がスナップリング84により固定されている。
蓋部材83には、スプールバルブ81と軸方向から見て重なる位置に形成された大オリフィス83aと、潤滑油供給用油路5bと軸方向から見て重なる位置に形成された小オリフィス83bとが形成されている。また、スプールバルブ81と蓋部材83との間には、スプールバルブ81と蓋部材83とを離間する方向に付勢するリターンスプリング82が設けられている。このスプールバルブ81と、リターンスプリング82と、蓋部材83とにより潤滑油量変更手段を構成する。
次に、上記構成に基づく潤滑油量変更に係る作用について説明する。実施例1のパワートレーンでは、前進走行時において、ローブレーキL/BもしくはハイクラッチH/Cのどちらかを締結して走行する。前進第1速が選択されているときは、ローブレーキL/Bのみ締結し、それ以外は解放するため、副変速機構9内のラビニヨ遊星歯車機構は、各回転要素が相対回転し、入力軸9aの回転よりも変速機出力軸5の回転のほうが遅くなる。このように、相対回転が生じている場合には、各回転要素に対する潤滑油量は多く必要となる。一方、前進第2速が選択されているときは、ハイクラッチH/Cのみ締結し、それ以外は解放するため、副変速機構9内のラビニヨ遊星歯車機構は、各回転要素が一体回転し、入力軸9aと変速機出力軸5とは一体に回転する。このように、相対回転が生じていない場合には、各回転要素に対する潤滑油量は多く必要とせず、潤滑油量が多すぎると、却ってローブレーキL/BやリバースブレーキR/Bにおけるドラグトルクが大きくなるため、好ましくない。また、前進第2速が選択されているときは、無段変速機構8によってセカンダリプーリ側が増速されており、セカンダリプーリ側に設置されている副変速機構9は、特に高回転となることから、不要な潤滑油によるドラグトルクは燃費の悪化を招きやすいという問題もある。
すなわち、前進走行時において、前進第1速と前進第2速とで潤滑油量を変更することが望ましいことが分かる。よって、選択された変速段に応じて潤滑油量を変更すべく、油圧コントロールバルブユニット10内において、異なるオリフィス径を有する切り換えバルブ等を備え、ハイクラッチ圧等に応じて切り換えることが考えられる。
ここで、油圧コントロールバルブユニット10は、箱状のアルミ部材に複雑な溝を形成し、これらアルミ部材を組み合わせて油路を形成する。このような設計手順を踏んで設計される油圧コントロールバルブユニット10は、油路抵抗や、隣の油路との間に必要な厚み等を十分に考慮して設計される要素であることから、簡単に油路構成を変更することは非常に困難である。また、バルブを追加するとなると、ハイクラッチ圧を潤滑用の油路近傍に取り回してこなければならず、油路の取り回しが更に複雑化し、単に切り換えバルブを追加するだけとはいえ、油圧コントロールバルブユニット10全体に影響を及ぼし、容易ではない。
そこで、実施例1では、締結圧供給用油路5aと、潤滑油供給用油路5bとが、変速機出力軸5の軸心内で隣接している点に着目し、油圧コントロールバルブユニット10内では特に設計変更することなく、潤滑油量を変更する構成とした。
図4は実施例1のパワートレーンにおいて前進第1速が選択されている場合の作動を表す断面図、図5は実施例1のパワートレーンにおいて前進第2速が選択されている場合の作動を表す断面図である。図4,5中、太い矢印で示すのが油の流れである。
前進第1速が選択されている場合、ローブレーキL/Bに締結圧が供給されており、ハイクラッチH/Cには何ら締結圧は供給されていないため、ケース側ハイクラッチ圧油路63aには何ら圧力が生じず、油の流れも発生していない。この場合、スプールバルブ81にはリターンスプリング82による付勢力のみが作用しているため、蓋部材83の大オリフィス83aは開通した状態である。このとき、ケース側潤滑油供給用油路71から供給された油は、供給ポートC12aから大オリフィス83a及び小オリフィス83bを通って潤滑油供給用油路5bに流れ込むため、潤滑流量として大流量が供給される。
前進第2速が選択されている場合、ハイクラッチH/Cに締結圧が供給されているため、ケース側ハイクラッチ圧油路63aには締結圧が作用し、径方向油路C11aから溝5dを通って径方向油路5eに供給され、締結圧供給用油路5aにハイクラッチ圧が供給される。このとき、スプールバルブ81にはハイクラッチ圧が作用し、リターンスプリング82の付勢力に抗してスプールバルブ81が図5中右方に押されて軸方向に移動するため、スプールバルブ81の先端が大オリフィス83aを封止する。すると、ケース側潤滑油供給用油路71から供給された油は、供給ポートC12aから小オリフィス83bのみを通って潤滑油供給用油路5bに流れ込むため、潤滑油供給用油路5bの流路抵抗が大きくなり、潤滑流量として小流量が供給される。
このように、ハイクラッチH/Cに締結圧を供給すると、その油圧に応じて開口するオリフィスの数が変更されるため、潤滑油供給用油路5bの流路抵抗も変更され、潤滑油量が変更される。そして、この潤滑油量の変更は、変速機出力軸5の軸内に設けられたスプールバルブ81とリターンスプリング82と蓋部材83とによって構成された潤滑油量変更手段で達成されるため、油圧コントロールバルブユニット10内の構成を一切変更する必要が無く、また、ケースC側においても特に設計変更する必要は無い。
以上説明したように、実施例1にあっては、下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)変速機出力軸5(回転軸)内に形成され、ハイクラッチH/C(摩擦締結要素)に対し締結圧を供給する締結圧供給用油路5aと、変速機出力軸5内に形成され、被潤滑要素であるクラッチ,ブレーキ,ベルト8cもしくは遊星歯車等に対し潤滑油を供給する潤滑油供給用油路5bと、変速機出力軸5に設けられ、締結圧供給用油路5a内の締結圧に応じて作動し、潤滑油供給用油路5bの流路抵抗を変更する潤滑油量変更手段と、を備え、潤滑油量変更手段は、締結圧供給用油路5aの一端を閉塞すると共に、軸方向に移動することで潤滑油が通流する大オリフィス83a(オリフィス)を開閉するスプールバルブ81を有する。
よって、ハイクラッチH/Cの締結時のように相対回転が少なく、潤滑油量が少なくてよい場合には、ハイクラッチ圧を利用して潤滑流量が少なくなり、それ以外のときは潤滑流量が多くなるため、油圧コントロールバルブユニット等を設計変更することなく、簡易な構成で潤滑流量を制御することができる。
(2)変速機出力軸5を軸支するケースCに形成され、潤滑油供給用油路5bが開口する変速機出力軸5の端部に潤滑油を供給するケース側潤滑油供給用油路71を有し、潤滑油量変更手段は、締結圧供給用油路5aの変速機出力軸5の端部側に配置されたスプールバルブ81と、変速機出力軸5の端部に形成され、スプールバルブ81と潤滑油供給用油路5bとを包含する軸方向凹部5gと、軸方向凹部5gを閉塞し、スプールバルブ81と軸方向から見て重なる位置に大オリフィス83aを有する蓋部材83と、スプールバルブ81と蓋部材83との間に設けられ、スプールバルブ81と蓋部材83とが離間する方向に付勢するリターンスプリング82と、を備えた。
このように、スプールバルブ81とリターンスプリング82と大オリフィス83aを有する蓋部材83によって潤滑流量を制御することで、変速機出力軸5の端部のみ設計変更すれば足り、低コストで潤滑油量を制御することができる。
(3)自動変速機は、動力源からの駆動力が入力されるプライマリプーリ8aと、該プライマリプーリ8aの駆動力を伝達するベルト8cと、該ベルト8cを介して変速された駆動力を駆動輪に伝達するセカンダリプーリ8bと、を有するベルト式無段変速機8であり、被潤滑要素は、セカンダリプーリ8bと同軸に配置された副変速機構9のクラッチ,ブレーキもしくは遊星歯車であり、潤滑油供給用油路5bは、副変速機構9とベルト8cに潤滑油を供給する。すなわち、被潤滑要素である潤滑対象が、無段変速機8の出力側に配置された副変速機構9の各構成要素であることから、特に、ハイクラッチH/Cのように、プライマリプーリ8a側の回転数が高回転となりやすい締結要素を締結するものの場合、高回転時におけるドラグトルクは燃費に大きく影響する。このとき、潤滑油量が小さくなるように制御することで、燃費の向上を図ることができる。
以上、実施例1について説明したが、本願発明は上記構成に限られず、他の構成であっても構わない。実施例1ではベルト式無段変速機8と副変速機構9とを備えた構成を示したが、有段式の自動変速機において潤滑油量を変更したい場合においても適用可能である。また、副変速機構9を備えた構成でなくても、単に前後進切換機構を備えた構成に適用しても有効である。すなわち、前進時等に締結要素の締結によって一体回転するような前後進切換機構の場合には、前進時における潤滑油量は少なくてよく、一方、後退時には、相対回転が生じることで潤滑油量は多くする必要があるからである。
また、実施例1では、スプールバルブ81の移動によって大オリフィス83aを塞ぐ構成としたが、オリフィスを開閉する場合に限らず、スプールバルブに潤滑油路が接続されたポートを有し、スプールバルブの移動に応じて開度が設定されることで、流路抵抗が変化する構成としてもよい。すなわち、潤滑油量変更手段は、締結圧供給用油路5aの一端を閉塞すると共に、軸方向に移動することで潤滑油が通流するポートを開閉するスプールバルブ81を有する構成としてもよい。
図6は他の実施例のパワートレーンにおいて前進第1速が選択されている場合の作動を表す断面図である。基本的に実施例1と同じであるが、スプールバルブの形状等が異なる。スプールバルブ81は、締結圧供給用油路5aと略同径の受圧部81aと、受圧部81aよりも拡径してリターンスプリング82を保持する拡径部81bとを有する。実施例1よりもスプールバルブの受圧面積を小さくすることで、リターンスプリング82に必要な付勢力は小さくできる。すなわち、締結圧供給用油路5aに臨む受圧面積を小さくすることで、リターンスプリング82に必要な付勢力と、コイルばね径の大きさと、コイルばねの長さのそれぞれの設計要素を成立しやすく調整できる。よって、受圧部81aの径は締結圧供給用油路5aと同径に限らず、小さな径を有していてもよい。
1 エンジン
2 トルクコンバータ
4 自動変速機
5 変速機出力軸
5a 締結圧供給用油路
5b 潤滑油供給用油路
5f スプールバルブ収装孔
5g 軸方向凹部
5h 蓋部材収装部
8 無段変速機構
8b セカンダリプーリ
8c ベルト
9 副変速機構
9a 入力軸
9a1 潤滑用軸心油路
9a2 径方向油路
10 油圧コントロールバルブユニット
57 オイルクーラー
63 ハイクラッチ油路
63a ケース側ハイクラッチ圧油路
70 油路
71 ケース側潤滑油供給用油路
80 潤滑油量変更手段
81 スプールバルブ
82 リターンスプリング
83 蓋部材
83a 大オリフィス
83b 小オリフィス
C1 出力軸支持部
C10 締結圧供給部
C12 潤滑油供給部
C12a 供給ポート
H/C ハイクラッチ
L/B ローブレーキ

Claims (3)

  1. 回転軸内位置に形成され、摩擦締結要素に対し締結圧を供給する締結圧供給用油路と、
    前記回転軸内に形成され、被潤滑要素に対し潤滑油を供給する潤滑油供給用油路と、
    前記回転軸内でこの中心軸から半径方向にずれた位置に設けられ、前記締結圧供給用油路内の締結圧に応じて作動し、前記潤滑油供給用油路の流路抵抗を変更する潤滑油量変更手段と、
    を備え、
    前記潤滑油変更手段は、前記締結圧供給用油路の一端を常時閉塞して前記締結圧を受圧可能すると共に、前記締結圧に応じて軸方向に移動することで前記潤滑油が流通するオリフィス又はポートを開閉するスプールバルブを有することを特徴とする自動変速機。
  2. 請求項1に記載の自動変速機において、
    前記回転軸を軸支するケースに形成され、前記潤滑油供給用油路が開口する前記回転軸端部に潤滑油を供給するケース側潤滑油供給用油路を有し、
    前記潤滑油量変更手段は、
    前記締結圧供給用油路の前記回転軸端部側に配置された前記スプールバルブと、
    前記回転軸端部に形成され、前記スプールバルブと前記潤滑油供給用油路とを包含する軸方向凹部と、
    前記軸方向凹部を閉塞し、前記スプールバルブと軸方向から見て重なる位置に形成されたオリフィスを有する蓋部材と、
    前記スプールバルブと前記蓋部材との間に設けられ、前記スプールバルブと前記蓋部材とが離間する方向に付勢するリターンスプリングと、
    を備えたことを特徴とする自動変速機。
  3. 請求項1または2に記載の自動変速機において、
    自動変速機は、動力源からの駆動力が入力されるプライマリプーリと、該プライマリプーリの駆動力を伝達するベルトと、該ベルトを介して変速された駆動力を駆動輪に伝達するセカンダリプーリと、を有するベルト式無段変速機であり、
    前記被潤滑要素は、前記セカンダリプーリと同軸に配置された副変速機構であり、
    前記潤滑油供給油路は、前記副変速機構と前記ベルトに潤滑油を供給することを特徴とする自動変速機。
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