JP5478943B2 - 被加工物保持材 - Google Patents

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本発明は、研磨加工などの加工が施される被加工物を保持する被加工物保持材に関する。
半導体ウェハやLCD用ガラス等の被加工物の研磨加工は、例えば、次のようにして行なわれる。すなわち、図3に示すように、研磨装置の上下に対向する定盤の上側定盤9に、研磨加工が施される被加工物10を保持し、下側定盤11に、研磨パッド12を貼り付け、被加工物10の表面を研磨パッド12に圧接させつつ両定盤間に砥粒を含む研磨液を供給しながら両定盤9,11を矢符で示すように相対回転させることにより行なわれる。
従来、被加工物10は、上側定盤9に固定されて被加工物10の裏面を吸着保持する被加工物保持材としてのバッキング材13と、被加工物10の外周を取り囲んで被加工物10がバッキング材表面で位置ずれするのを防止する枠状のテンプレート14とを用いて上側定盤9に保持される(例えば、特許文献1参照)。
上記バッキング材13としては、例えば、基材に塗工したウレタン樹脂のDMF(ジメチルホルムアミド)溶液層を水中にて湿式凝固させ、温水中で洗浄、熱風で乾燥を行って発泡層を形成し、所要の厚みに揃えるなどの目的で、前記発泡層の表面をバフ加工したものが用いられる。前記発泡層の表面は、被加工物を吸着保持する保持面となるのであるが、バフ加工では、十分な平滑面が得られず、このため、被加工物の吸着保持力が不十分となっていた。
特開平09−321001号公報
このため、基材上に形成された発泡層の表面をバフ加工するのではなく、基材から発泡層を剥離し、発泡層の裏面側をバフ加工した後、両面テープ等に再び接着したバッキング材がある。
かかるバッキング材では、バフ加工を施していない発泡層の表面を、被加工物を吸着保持する保持面とするので、発泡層の表面を、バフ加工するバッキング材に比べて吸着保持力が向上する。
しかしながら、従来例の被加工物保持材では、被加工物のそりやうねり等を吸収するための圧縮率の調整が容易でなく、被加工物の平坦性が十分得られず、また、湿式の発泡層の単層構造であるために、被加工物保持材に研磨液が浸透しやすく、著しく寿命を縮めるという難点がある。
本発明は、上述のような課題に鑑みて為されたものであって、圧縮率の調整を容易とし、研磨液の浸透を抑制した被加工物保持材を提供することを目的とする。
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
本発明の被加工物保持材は、球状の気泡を有する独立発泡の第1発泡層と涙滴状の気泡を有する第2発泡層とが、接着層を介して積層され、前記第2発泡層は、前記涙滴状の気泡が多く存在する表面側が前記接着層に接着され、裏面側が被加工物を保持する保持面とされるものである。
前記第2発泡層は、基材上に樹脂溶液を塗工して湿式発泡させ、裏面側の前記基材を剥離して製作するのが好ましい。
本発明によると、涙滴状の気泡を有する第2発泡層は、基材上に樹脂溶液を塗工して湿式発泡させ、裏面側の前記基材を剥離することによって製作するとができ、基材と同様な平滑面である第2発泡層の裏面を、被加工物を保持する保持面としているので、被加工物を保持する吸着力が向上し、被加工物の加工精度を高めることができる。
しかも、第1発泡層と第2発泡層との2層構造としているので、被加工物のそりやうねり等を吸収するのに必要な圧縮率の設定が、単層構造に比べて容易となる。また、独立発泡の第1発泡層によって、研磨液の浸透を抑制することができる。
本発明の被加工物保持材は、乾式発泡させた乾式発泡層と湿式発泡させた湿式発泡層とが、接着層を介して積層され、前記湿式発泡層は、基材上に樹脂溶液を塗工して湿式発泡させたものであって、その表面側が前記接着層に接着され、裏面側の前記基材が剥離されて被加工物を保持する保持面とされるものである。
接着層には、粘着層も含むものである。
本発明によると、湿式発泡層の裏面から基材を剥離して、基材と同様な平滑面である湿式発泡層の裏面を、被加工物を保持する保持面としているので、被加工物を保持する吸着力が向上し、被加工物の加工精度を高めることができる。
しかも、乾式発泡層と湿式発泡層との2層構造としているので、被加工物のそりやうねり等を吸収するのに必要な圧縮率の設定が、単層構造に比べて容易となる。また、独立発泡の乾式発泡層によって、研磨液の浸透を抑制することができる。
本発明の一つの実施形態では、圧縮率が、20%以上50%以下である。
この実施形態によると、圧縮率が、20%以上50%以下であるので、被加工物のそりやうねり等を吸収することができ、被加工物の平坦性を向上させることができる。
本発明の他の実施形態では、前記第1発泡層または前記乾式発泡層の圧縮率を、前記第2発泡層または前記湿式発泡層の圧縮率に比べて高くしている。
この実施形態によると、第2発泡層または湿式発泡層よりも圧縮率が高い第1発泡層または乾式発泡層でクッション性を確保しながら、第2発泡層または湿式発泡層で被加工物を吸着保持することができる。
本発明の更に他の実施形態では、前記第1発泡層または前記乾式発泡層の厚みを、前記第2発泡層または前記湿式発泡層の厚みに比べて厚くしている。
この実施形態によると、第2発泡層または湿式発泡層よりも圧縮率が高い第1発泡層または乾式発泡層を、第2発泡層または湿式発泡層以上の厚さにして十分なクッション性を確保することができる。
本発明の一つの実施形態では、前記第2発泡層または前記湿式発泡層が、撥水性を有している。
この実施形態によると、第2発泡層または湿式発泡層が撥水性を有しているので、研磨液の浸透を抑制することができる。
本発明によれば、基材から剥離した第2発泡層または湿式発泡層の平滑な裏面を、被加工物を保持する保持面としているので、吸着力が向上し、被加工物の加工精度を高めることができる。
しかも、第1発泡層または乾式発泡層と、第2発泡層または湿式発泡層との二層構造としているので、単層構造の従来例に比べて、圧縮率の選択が容易となり、被加工物のそりやうねり等を吸収して被加工物の平坦性を高めることができる。また、独立発泡の第1発泡層または乾式発泡層によって、研磨液の浸透を抑制して寿命を延ばすことができる。
本発明の一つの実施の形態に係る被加工物保持材の断面図である。 図1の被加工物保持材の製造工程を示す図である。 研磨装置の概略構成図である。
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る被加工物保持材1の概略断面図である。
この実施形態の被加工物保持材1は、乾式発泡によって形成された第1発泡層としての乾式発泡層2と、この乾式発泡層2上に、接着層3を介して積層された第2発泡層としての湿式発泡層4とを備えており、湿式凝固法によって形成された湿式発泡層4は、その表面4a側が接着層3に接着されている。
乾式発泡層2は、独立発泡の球状の気泡(ポア)を多数有しており、湿式発泡層4は、表面4a側に多数の涙滴状の気泡を有している。
乾式発泡層2の裏面には、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂フィルムの両面に粘着層を設けた両面テープ5が貼着され、更に、離型シート6が貼着されている。
湿式発泡層4は、乾式発泡層2に比べて、厚みが薄く、または、圧縮率が低く形成されている。
湿式発泡層4は、乾式発泡層2に比べて厚みが薄ければよく、その厚みの比率に特に限定はないが、例えば、1:3〜1:10程度であり、この実施形態では、1:5としている。全体の厚みは、例えば、0.8から1.5 mm 程度が好ましい。
また、湿式発泡層4および乾式発泡層2を併せた全体の圧縮率は、被加工物のそりやうねりを吸収するために、20%以上50%以下であるのが好ましい。
この実施形態では、全体の圧縮率は、40%であり、乾式発泡層2の圧縮率は、50%以上である。
このように乾式発泡層2は、圧縮率が高く、湿式発泡層4に比べて、厚みが厚いので、十分なクッション性を有する。また、乾式発泡層2は、殆ど独立発泡であるので、研磨液の浸透を効果的に抑制することができる。
後述のように被加工物を保持する保持面側となる湿式発泡層4は、撥水性を有しており、研磨液の浸透を一層抑制することができる。
図2は、この実施形態の被加工物保持材1の製造工程の一例を示す図である。
湿式発泡層4を、例えば、ウレタン樹脂のDMF(ジメチルホルムアミド)溶液をPETフィルム等の基材7上に塗工し、湿式凝固法により、図2(a)に示すように、基材7上に発泡成形する。この湿式発泡層4は、涙滴状の気泡などの多数の気泡を有する。
なお、湿式発泡層4に、撥水性を持たせるために、ウレタン樹脂には、例えば、フッ素シラン、有機フッ素化合物などのフッ素系撥水材料をブレンドしている。
次に、図2(b)に示すように、ウレタン樹脂に公知の発泡剤を添加して乾式発泡させた後スライスした乾式発泡層2上に、接着層3を介して、上記の湿式発泡層4を、その発泡層4の表面4aを下にして積層する。
次に、湿式発泡層4の裏面側4bの基材7を剥離して被加工物を保持する保持面とする一方、乾式発泡層2の裏面に、両面テープ5等を貼着することにより、図1の被加工物保持材1が得られることになる。
なお、積層する前に、湿式発泡層4の表面4aを、バフ加工して涙滴状の気泡を開口させてもよい。
基材7は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂フィルムであるのが好ましいが、不織布にウレタン樹脂溶液などの樹脂溶液を含浸させて湿式凝固したものであってもよい。
発泡層2,4を形成するためのウレタン樹脂としては、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系などのウレタン樹脂を用いることができ、異なる種類のウレタン樹脂をブレンドしてもよい。
ウレタン樹脂を溶解させる水溶性有機溶媒としては、上述のジメチルホルムアミドの他、例えば、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド等の溶媒を用いることができる。
この被加工物保持材では、図2(c)に示すようにPETフィルム等の基材7を剥離した湿式発泡層4の裏面4b、すなわち、PETフィルム等の基材7と同様な平滑な裏面を、被加工物を保持する保持面としている。
この平滑な裏面4bは、Wcmax(うねり曲線要素の高さの最大値)で10μm以内としている。
このようにPETフィルムの表面のような平滑面を、被加工物の保持面としているので、被加工物を吸着する吸着力が向上することになる。
また、乾式発泡層と湿式発泡層との2層構造としているので、被加工物のそりやうねりを吸収できる圧縮率に調整するのが容易となり、被加工物の平坦性を向上させることができる。
更に、乾式発泡層は、独立発泡であるので、湿式発泡層に比べて、研磨液の浸透を効果的に抑制することができ、被加工物保持材の寿命を延ばすことが可能となる。
本発明は、半導体ウェハや精密ガラス基板などの研磨に有用である。
1 被加工物保持材 2 乾式発泡層
3 接着層 4 湿式発泡層
7 基材

Claims (6)

  1. 球状の気泡を有する独立発泡の第1発泡層と涙滴状の気泡を有する第2発泡層とが、接着層を介して積層され、前記第2発泡層は、前記涙滴状の気泡が多く存在する表面側が前記接着層に接着され、裏面側が被加工物を保持する保持面とされることを特徴とする被加工物保持材。
  2. 乾式発泡させた乾式発泡層と湿式発泡させた湿式発泡層とが、接着層を介して積層され、前記湿式発泡層は、基材上に樹脂溶液を塗工して湿式発泡させたものであって、その表面側が前記接着層に接着され、裏面側の前記基材が剥離されて被加工物を保持する保持面とされることを特徴とする被加工物保持材。
  3. 圧縮率が、20%以上50%以下である請求項1または2に記載の被加工物保持材。
  4. 前記第1発泡層または前記乾式発泡層の圧縮率が、前記第2発泡層または前記湿式発泡層の圧縮率に比べて高い請求項1ないし3のいずれか一項に記載の被加工物保持材。
  5. 前記第1発泡層または前記乾式発泡層の厚みが、前記第2発泡層または前記湿式発泡層の厚みに比べて厚い請求項1ないし4のいずれか一項に記載の被加工物保持材。
  6. 前記第2発泡層または前記湿式発泡層が、撥水性を有する請求項1ないし5のいずれか一項に記載の被加工物保持材。
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