JP5478209B2 - 研磨用具及び研磨用具の製造方法 - Google Patents

研磨用具及び研磨用具の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属、ガラス、セラミックス、単結晶等の素材研磨、研削、又は磁気ヘッド、磁気ディスク基板、光ファイバー端面、半導体基板等の鏡面仕上げ、又は自動車部品、機械装置部品の表面研磨等、粗研磨から精密研磨にわたる研削、研磨に使用するための、板状、ディスク状、シート状、ロール巻きシート等の形状を有する研磨用具及びその製造方法に関するものである。
一般に、研磨用具は、プラスチック、織布、不織布、紙等の可撓性の基材の表面に、研磨材粒子を含むバインダー樹脂を塗布して研磨層を形成したものであり、研磨の目的や形態に応じて、テープ状、ディスク状、ベルト状、その他の形状に適宜切断されて使用される。
この研磨層は、研磨粒子と樹脂バインダーとの混合物であるスラリーを基材表面に塗布し、乾燥させ、さらに硬化させることで形成され、あるいは基材にバインダー樹脂を塗布し、このバインダー樹脂の塗布面に、帯電させた研磨粒子を電界散布し、乾燥させることで形成される。
このような研磨シートの研磨性能は、研磨粒子の材質、粒度、形状等が重要な因子となるが、研磨粒子そのものを最適化しても、研磨性能を十分に発揮できない場合がある。研磨シートに固着された研磨粒子が、効率よく作用するためには、研磨粒子の配列及び固着強度もまた重要な要因の一つとなっている。
特に、個々の研磨粒子が均一に配列されず、凝集した状態で基材シートに固着されたときは、被研磨物を精密に効率よく研磨することができない。また、研磨粒子を分散配置したときでも、微視的に見ると個々の研磨粒子が一様に配列していない場合が多く、不揃いの凝集による固まりが点在する配列となる場合がある。このような研磨粒子の凝集した配列をもつ研磨シートでは、その面粗さが不揃いになり、研磨後に被研磨物の表面に傷が発生してしまう。
そこで、被研磨物への研磨傷の発生を抑えるために、研磨粒子の粒径を極力均一なものとし、かつ研磨粒子が単一層で固着された研磨シートが考案されている(特許文献1、2)。特許文献1の第2図には、研磨粒子が単一層に配列された研磨シートが開示されており、特許文献2の第1図には、ダイヤモンド粒子が単一層に配列された研磨テープが開示されている。
しかしながら、特許文献1では、バインダーと研磨粒子を混合して、基材シートに塗布するだけで容易に研磨粒子を単一層に形成できると記載されているにすぎず、格別の工夫については言及されていない。また、特許文献1の記載に基づいて、研磨粒子を単一層に配列すると、個々の研磨粒子が単にバインダー樹脂で保持されていることから、研磨粒子の保持強度が弱く、研磨シートからの脱落を招き、被研磨物にスクラッチを発生させてしまう。
一方、特許文献2においては、研磨粒子を単一層に配列するために、研磨粒子を分散した電解液中で、電着(めっき)法により研磨粒子を固定する方法と、有機バインダーと研磨粒子を混合したものを塗布するロールコーティング方法とが開示されている。
しかしながら、特許文献2では、図中の研磨粒子はバインダー樹脂に覆われていないようであるが、詳細に検討したところ、単にバインダー樹脂と研磨粒子の混合物を塗布しただけでは、研磨粒子の表面にバインダー樹脂が残存する。そのため、研磨中のバインダー樹脂が剥離し、研磨シートに目詰まりを生じさせ、研磨効率の低下を招いてしまう。
また、基材に金属を使用し、研磨粒子を金属めっきにより単一層状態に固着した後に、研磨粒子の先端の一部を加工して、先端を平坦に揃えた電着研磨シートや電着工具が提案されている(例えば、特許文献3、4)。
しかし、硬度の高い研磨粒子を金属めっき層で固定しているものの、研磨粒子の先端を平坦に揃えるために、電着後の研磨粒子の表面を砥石で加工又は成形(ツルーイング)すると、研磨粒子に強力な力がかかり、多数の研磨粒子の脱落を招いてしまう。また、粒径が30μm〜10μm(#800〜2000)の10〜30%を高精度に破砕して平坦化することは手間がかかり、製造コストの高いものとなる。
特開平1−234169号公報 特開平4−129660号公報 特開平3−98769号公報 特開2002−292570号公報
本発明の目的は、均一に配列させた研磨粒子の先端を切り刃として同一平面上に揃え、かつ研磨粒子の脱落を抑えた固着強度の極めて強い研磨用具とその製造方法を提供することにある。
さらに本発明の目的は、研磨粒子が多層に配列された場合でも、研磨層表面の一層目の研磨粒子の先端を同一平面上に揃え、かつ研磨粒子の脱落を抑えた固着強度の極めて強い研磨用具とその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明が提供するのは、基材の少なくとも一方の表面に形成される研磨層が、単一粒子として分散された研磨粒子と、該研磨粒子を固定する金属層とから成る研磨用具の製造方法であって、仮基材上に離型層を形成する第1の工程と、前記離型層の表面に、研磨粒子と金属とを複合めっき処理により前記研磨層として形成する第2の工程と、前記研磨層の表面に金属補強層をめっき処理により形成する第3の工程と、前記金属補強層の表面に接着剤を間に介して基材を重ね合わせて圧接し、前記接着剤を硬化させて基材を固着させる第4の工程と、前記仮基材と、前記離型層とを剥離する第5の工程と、前記離型層が剥離された前記研磨層の表面部分の金属層を除去し、先端を同一平面上に揃えた研磨粒子の前記先端を含む一部を露出させる第6の工程とを有して成ることを特徴とする研磨用具の製造方法である。
このように、研磨粒子を金属と共に析出させる複合めっき処理により研磨層の形成を行うことで、研磨粒子の凝集を抑えた単一粒子としての分散配置が可能となり、研磨層に対して金属補強層をめっき処理でさらに積層して形成するので、研磨粒子の脱落を抑えた固着強度の極めて強い研磨用具とその製造方法を提供できる。
本発明の研磨粒子の製造方法では、仮基材上の離型層の表面に研磨層を形成するので、離型層と研磨層との境界付近に研磨粒子の先端が位置し、この研磨層の上に順に金属補強層、接着剤及び基材と形成された後に、仮基材及び離型層を除去するので、離型層に接していた研磨層の表面部分の金属層を除去すると、研磨粒子の先端を切り刃として同一平面上に揃えた研磨用具を提供できる。研磨粒子の先端を切り刃として同一平面上に揃えることで、研磨効率が高く、研磨面の微細な研磨傷及び凹凸の発生を抑えた研削、研磨が可能となる。
前記第2の工程において、前記研磨層の厚さを、前記研磨粒子の平均粒径以下で、該平均粒径の1/5以上の範囲内で形成することによって、前記研磨粒子を単一層に配置した研磨層にすることができる。研磨層の厚さを平均粒径以下とすると、研磨粒子が2層以上に形成された場合でも、2層目以上の研磨粒子は金属層による保持力が弱く、めっき処理後に行われる研磨層の洗浄によって除去される。また、前記研磨層の厚さを平均粒径の1/5以上とするのは、1/5未満とすると、めっき処理後の洗浄で研磨粒子は殆どが脱落してしまうからである。
前記第2の工程において、前記研磨層の厚さを、前記研磨粒子の平均粒径を超えた範囲として、前記研磨粒子を多層に配置した研磨層に形成する。先端を切り刃として同一平面上に揃えた1層目の研磨粒子による研磨中に、順次2層目以降の研磨粒子が露出するようになるので、特に耐久性の必要な研磨に適した研磨用具とその製造方法を提供できる。
前記研磨粒子として、平均粒径が3μm以上の、ダイヤモンド(単結晶又は多結晶)、立方晶窒化ホウ素(cBN)、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、炭化ホウ素(BC)、ジルコニヤ(ZiO)又はこれらの組合せからなる群から選択されるものを使用することができる。
研磨粒子の材質は、被研磨体の材質、研磨目的等に応じて選択することができるが、研磨粒子の平均粒径が3μm未満では、金属めっき層から研磨粒子の先端を切り刃として出すことが困難となるので、研磨粒子の平均粒径は3μm以上とする。
前記研磨粒子は、平均粒径3μm以下の微細研磨粒子の複数個を、金属、金属酸化物又は樹脂から成る結合材で結合し、平均粒径3μm以上に造粒した造粒研磨粒子とすることができる。
このように平均粒径が3μm以下の微細研磨粒子であっても、平均粒径3μm以上に造粒した造粒研磨粒子とすれば、金属層及び金属補強層で十分固定でき、造粒研磨粒子の表面に現れる前記微細研磨粒子によって、精密な研磨が可能となる。
また、前記第2の工程において、前記研磨層を、平均粒径3μm以上の研磨粒子と、平均粒径が該研磨粒子の平均粒径の1/2以下の補助粒子と、金属とを複合めっきにより形成し、前記補助粒子が、フッ化黒鉛、フッ素樹脂、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、炭化タングステン及び爆発生成の球状ダイヤモンドから選択される1種又は2種以上から成るものとすることができる。
このような補助粒子を混合させることで、補助粒子が直接研磨屑に作用することで、研磨屑の付着を防止して目詰まりを抑え、研磨用具の耐久性の向上とスクラッチ傷の低減とを図ることができる。
前記基材として金属製又はプラスチック製のものが使用できる。金属としては、例えば、スチール、SUS、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金が挙げられる。プラスチックとしては、機械的強度、耐熱性等に優れた性質を有するプラスチックシートが使用され、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、塩化ビニール、ポリビニールアルコール又はメタアクリルアルコールを主成分とするアクリル樹脂、ポリカーボネートが挙げられる。
前記基材を金属製とすれば、素材の粗研磨や耐久性が必要な場合に適する。例えば、研磨定盤の面修正や研磨パッドのドレッサー及び部品材料の研削又は粗研磨に有効である。前記基材をプラスチック製とすれば、曲面や微細部の研磨に対して柔軟に接触する場合に適する。例えば、自動車部品のシャフトのような円筒部材、フラットパネルの端面研磨又は磁気ディスク基板や半導体のウェーハ等の円板のエッジ部研磨に有効である。これらの基材の厚さは、特に限定しないが、10μm以上、500μm以下の範囲にあることが望ましい。
また前記仮基材は、金属製又は表面に金属膜を有するプラスチック製のものが使用される。プラスチック製のものの場合は金属膜を有することが求められるが、これは金属めっきを行う場合、金属膜を電極として使用するためである。
さらに本発明の前記研磨用具の製造方法により製造される研磨用具を提供することができる。
本発明によれば、凝集を抑え、均一に配列させた研磨粒子の先端を切り刃として同一平面上に揃え、かつ研磨粒子の脱落を抑えた固着強度の極めて強い研磨用具とその製造方法を提供することができる。
上記研磨用具によれば、研磨効率が高く、研磨面における微細な研磨傷及び凹凸の発生を抑えた研磨が可能となる。
図1は本発明に係る研磨用具の第1実施形態の断面模式図である。 図2は本発明に係る研磨用具の第2実施形態の断面模式図である。 図3(a)は本発明に係る研磨用具の第3実施形態の断面模式図であり、図3(b)は図3(a)に示す造粒研磨粒子の拡大断面模式図である。 図4は本発明に係る研磨用具の第4実施形態の断面模式図である。 図5(a)〜(d)は図1に示す本発明に係る第1実施形態の研磨用具の一連の製造工程の一部を示す断面模式図である。 図6(e)〜(g)は図5に連続する、本発明に係る第1実施形態の研磨用具の製造工程の一部を示す断面模式図である。 図7(h)は図6に連続する、本発明に係る第1実施形態の研磨用具の製造工程の一部を示す断面模式図である。 図8(a)及び図8(b)は図2に示す本発明に係る第2実施形態の研磨用具の製造工程の一部を示す断面模式図である。 図9(a)は図3に示す本発明に係る第3実施形態の研磨用具の製造工程の一部を示す断面模式図であり、図9(b)は図9(a)に示す造粒研磨粒子の拡大断面模式図である。 図10は図4に示す本発明に係る第4実施形態の研磨用具の製造工程の一部を示す断面模式図である。 図11は本発明に係る研磨用具の製造方法に使用するめっき装置の断面模式図である。 図12(a)〜図12(c)は、比較例となる研磨用具の製造方法の一連の製造工程を示す断面模式図である。 図13は研磨用具を使用する試験片加工装置の概略斜視図である。 図14は研磨用具の実施例及び比較例の構成を表示した図である。
以下添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
<研磨用具>
<第1実施形態>
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の研磨用具10Aは、基材14の少なくとも一方の表面上に、単一粒子として分散される複数の研磨粒子1(1a、1b)と、研磨粒子1(1a、1b)を固定する金属層6とで研磨層13が形成される。
研磨層13に含まれる研磨粒子1は、金属層6からその一部を切り刃として突き出し、この突き出した先端を同一平面上(図1の仮想線Pを含む平面)に揃えた研磨粒子1aと、先端が研磨粒子1aの先端位置に達しない研磨粒子1bとで構成される。研磨粒子1bは、金属層6からその一部を露出するものの研磨粒子1aよりも金属層6からの突き出す長さが短い研磨粒子、あるいは金属層6に全体が埋もれている研磨粒子が該当する。
研磨粒子1aの金属層6から突き出す長さは、切り刃としての機能を発揮させかつ金属層6からの脱落を防止するために、研磨粒子1の平均粒径の20%以上、50%以下の長さの範囲とする。
第1形態の研磨用具10Aは、仮想線Pよりも突出した研磨粒子がないため、研磨面でのスクラッチの発生を抑え、研磨粒子の粒径のバラツキの影響を受けないという特徴がある。また、必要最小限の研磨粒子で効率の良い研磨ができるので、経済的効果を伴うとする特徴も有する。
図1に示す研磨用具10Aの基材14は、スチール、SUS鋼、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金等の金属、又は機械的強度、耐熱性等に優れた性質を有するプラスチックが使用される。基材14として使用されるプラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、塩化ビニール、ポリビニールアルコール又はメタアクリルアルコールを主成分とするアクリル樹脂、ポリカーボネート等が該当する。
基材14の形状は、目的に応じて、厚板、シート、ロール巻きシートが使用される。製品としては、角形の板、円板、ベルト、ロール巻きシートとして使用される。
基材14を金属製とすれば、素材の粗研磨や耐久性の必要な場合、研磨時の耐熱性が必要な場合に適する。また、基材14をプラスチック製とすると、曲面や微細部の研磨に対して柔軟に接触する目的の場合に適する。
基材14の厚さは、特に限定しないが、使用の用途に応じて決められる。基材14が板状で使用される場合は、0.5mm〜10mmの範囲が好ましく、シート状で使用される場合は、10μm〜500μmの範囲にあることが望ましい。
また、研磨粒子の材質は、被研磨体の材質、研磨目的等との関係で選択すれば良く、特に限定されるものではない。例えば、ダイヤモンド(単結晶又は多結晶)、立方晶窒化ホウ素(cBN)、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、炭化ホウ素(BC)、ジルコニヤ(ZiO)及びこれらの組合せからなる群より選択されるものを研磨粒子の材質として使用できる。
研磨粒子1を固定する金属層6の材質は、研磨粒子1との密着性に優れたものが選択される。例えば、ニッケル、クロム、鉄、又は銅の何れか1種類のもの、又はこれらを1種類以上含む合金とすることができる。これらの材質による金属層6は、研磨粒子1を含む複合めっきにより形成される。この複合めっきは、電解めっき又は無電解めっきの何れかにより行うことができる。
さらに、この複合めっきの後に、研磨粒子を含まない金属めっきを施し、金属補強層7を形成することによって、研磨粒子1の固定をより強固にする。複合めっきに使用する金属と金属補強層7の金属とは、同種の金属を用いても良く、別の金属又は合金金属をもちいても良い。また、金属補強層7は、多層構造とすることができる。
なお、研磨粒子1は、精密な分級をせずに、その切り刃を揃えることが本発明の研磨用具の製造方法により可能であるが、ある程度の分級を行った研磨粒子を使用する方が、研磨精度の向上を図る観点から好ましい。
<第2実施形態>
図2に示すように、本発明の研磨用具の第2実施形態を示す研磨用具10Bは、基材14の少なくとも一方の面上に多層構造の研磨粒子1(1a、1b)が金属層6及び金属補強層7によって固着されて成る。研磨粒子1は、金属層6からその一部を切り刃として突き出し、この突き出した先端を同一平面上(図2の仮想線Pを含む平面)に揃えた研磨粒子1aと、先端が研磨粒子1aの先端位置に達しない研磨粒子1bとで構成される。研磨粒子1bは、金属層6からその一部を露出するものの研磨粒子1aよりも金属層6からの突き出す長さが短い研磨粒子、あるいは金属層6に全体が埋もれている研磨粒子が該当する。この第2実施形態では、研磨粒子1は多層に形成されるので、金属層6に埋もれている研磨粒子が第1実施形態と比較して多数存在する。研磨層13の構成材料は、第1形態と同じものが使用できる。
この構造によれば、研磨粒子1aの磨耗にともなって、研磨粒子1bが順次表面に現れて研磨に寄与するため、研磨寿命が長く、耐久性の優れた研磨用具が得られる。
<第3実施形態>
図3(a)に示すように、本発明の研磨用具の第3実施形態を示す研磨用具10Cには、図3(b)に示す複数個の微細粒子3を結合材4によって固められて、造粒された造粒研磨粒子2(2a、2b)が研磨粒子として金属層6によって固定され、研磨層13が形成されている。
研磨粒子2は、金属層6からその一部を切り刃として突き出し、この突き出した先端を同一平面上(図3の仮想線Pを含む平面)に揃えた研磨粒子2aと、先端が研磨粒子2aの先端位置に達しない研磨粒子2bとで構成される。研磨粒子2bは、金属層6からその一部を露出するものの研磨粒子1aよりも金属層6からの突き出す長さが短い研磨粒子、あるいは金属層6に全体が埋もれている研磨粒子が該当する。研磨粒子として造粒研磨粒子2を使用する点を除き、その他の構成は第1実施形態と同様である。
ここで使用される微細粒子3の平均粒径は、3μm以下、好ましくは1μm以下の場合に有効となる。3μm以下の微細粒子3をそのまま研磨粒子として使用し、これを金属めっき層6で固定すると、微細粒子3が金属層に埋没してしまうため、研磨作用が著しく低減し有効な研磨力が得られない。また、研磨中に短時間で目詰まりを起こして研磨ができなくなる。これを解決する方法として、3μm以下の複数個の微細粒子3を結合剤4と混合し、3μm以上の研磨粒子2のように造粒し、これを粉砕、分級したものを使用する。微細粒子3は、少なくとも5重量%以上含むことが好ましい。また、3μm以上の造粒研磨粒子2ならば、金属めっき層で十分固定できる。
研磨層13は、造粒研磨粒子2を使用して、第1実施形態と同様の複合めっき処理によって形成される。
このようにして得られた、研磨用具10Cは、図3(b)に示すように、造粒研磨粒子2を形成する結合材4中に混合された微細粒子3の一部が、微細な切り刃として造粒研磨粒子2の表面に現れ、これが被研磨物の表面に微細ピッチで作用することによって、精密研磨を可能にできる。また、先端が突き出した、隣接する研磨粒子2aの相互間の窪みがチップポケットの役目をするため、目詰まりの問題が回避される。この造粒研磨粒子2を使用することによって、3μm以下の微細粒子を使用する精密研磨が可能と成る。微細粒子が3μm以上のときは、第1実施形態の研磨粒子1としてそのまま使用できる。
造粒研磨粒子2の形成に用いる結合材4には、金属、セラミックス、樹脂もしくはその混合物が使用できる。結合材4には、金属層6に使用される金属材料よりも硬い材料が好ましい。
<第4実施形態>
図4に示すように、本発明の研磨用具の第4実施形態を示す研磨用具10Dは、研磨粒子1(1a、1b)が分散して、単一粒子として配置され、その間に補助粒子5がさらに分散して含まれ、これらを金属層6が固定する構造となっている。研磨粒子1は、金属層6からその一部を切り刃として突き出し、この突き出した先端を同一平面上(図4の仮想線Pを含む平面)に揃えた研磨粒子1aと、先端が研磨粒子1aの先端位置に達しない研磨粒子1bとで構成される。
補助粒子5として、1)非粘着作用のある粒子を配合すると、研磨粒子1によって加工された研磨屑を表面に固着することなく、補助粒子と共に排出し、研磨層の目詰まりを低減でき、2)摩擦係数が小さい、自己潤滑作用のある粒子を配合すると、加工抵抗を低減し、スクラッチの少ない平坦且つ、平滑な研磨面を得るのに有効となる。
補助粒子5となる非粘着性粒子としては、フッ化黒鉛、フッ素樹脂などが挙げられ、補助粒子5となる自己潤滑粒子としては、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、炭化タングステン、爆発生成の球状ダイヤモンド、などが挙げられる。
また、硬度が低く、粒子が崩れ易い炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等を使用することによって、スクラッチ傷を低減することができる。粒子が崩れて研磨面を覆うので、スクラッチ傷の低減を図ることができる。
補助粒子5の平均粒径は、研磨粒子1の平均粒径の1/2以下とし、その混合割合を研磨粒子1の10〜50重量%の範囲とすることが好ましい。補助粒子5の平均粒径が、研磨粒子の平均粒径の1/2を越えると補助粒子5による作用効果が得られなくなる。また、混合割合が10重量%未満では、効果が少なく、50重量%を超えると、研磨粒子の研磨力を低減させてしまう。
<研磨用具の製造方法>
<第1実施形態>
図5(a)〜(d)、図6(e)〜(g)、図7(h)を参照して、本発明の研磨用具の製造方法の第1実施形態である、研磨用具10A(研磨用具の第1実施形態)の製造方法を説明する。
図7(h)に示すように、本実施形態の製造方法により得られる研磨用具10Aは、基材14と、ほぼ単一層に分散、配置されてなる複数個の研磨粒子1(1a、1b)と、研磨粒子1を固定する金属層と、研磨粒子1(1a、1b)と金属層とで形成される研磨層13と、金属層を補強する金属補強層と、金属補強層と基材14とを接合する接着剤15とで構成されて成り、図5(a)〜図5(d)、図6(e)〜図6(g)に示す工程を経て製造される。
図5(a)に示す仮基材11は、その材質として、金属、プラスチック等様々なものを用いることができる。仮基材11は、最終的に剥離するものであるから、安価であり、かつ再利用可能なものが適している。
研磨粒子と金属との複合めっき処理により研磨層13(図5(c))を形成することから、仮基材11には導電性の金属が使用される。仮基材11をプラスチック製とする場合は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックの表面に電極材としてアルミニウム、クロム、ニッケル又は銅の薄膜を形成した仮基材11が使用される。図5(a)では、仮基材11として、金属(例えば、SUS材)を使用した例を示す。
(第1の工程:仮基材の上に離型層を形成)
図5(b)に示すように、第1の工程では、仮基材11の上に離型層12を形成する。この離型層12は、図6(f)に示す工程の後に、図6(g)に示す工程で、仮基材11に形成された研磨層13を基材14側に転写し、最終的に仮基板シート11を剥離するために形成される離型層である。
離型層12を形成するための離型剤としては、金属めっき膜と強い結合を持たない高分子膜が使用される。例えば、S(イオウ)、N(窒素)を含む吸着基による金属への吸着層を形成するようなチアゾール系化合物を含有する、無色透明な苛性アルカリ液からなる。このような離型剤としては、有機系の離型被膜を生成する日本化学産業株式会社製、ニッカノンタックを挙げることができる。この離型剤は、A液、B液の2タイプがあり、その工程は、仮基板の表面を予め、前処理として陰極電解脱脂又は浸漬脱脂、水洗、酸活性化処理、水洗を行った後、離型処理(離型層形成)が行える。酸活性処理は、仮基材の材質によって、塩酸10%又は硫酸10%が使用される。
離型層12の形成は、浸漬又はスプレー法によって形成できる。離型層の厚さは、特に限定するものではないが、0.5μm〜2μmの範囲が好ましい。離型層形成後、水洗浄した後、めっき工程に進む。この離型層は、めっき工程において、離型層を通した電子の授受によってめっきが進行し、めっき層が形成できる。
(第2の工程:複合めっき処理)
図5(c)に示すように、第2の工程では離型層12の表面に、研磨粒子と金属との複合めっき処理を行う。仮基材11には、前処理として、脱脂、水洗浄を十分に行う。
本発明は、前記仮基材11上に形成された離型層12の表面に、金属と研磨粒子(例えば、ダイヤモンド粒子)とを複合めっきすることにより、研磨層13を得るものである。研磨粒子を金属と共に析出させる複合めっき処理により研磨層の形成を行うことで、研磨粒子の凝集を抑えた単一粒子としての分散配置が可能となる。
めっきにより析出させる金属を顆粒状にしたものを陽極に設け、金属イオン又は金属ラジカルを含む溶解した塩または酸と、分散した研磨粒子とから主として成るめっき液中で、金属の電気めっきと研磨粒子1の電気泳動的付着とを同時に行わせることにより、仮基材11の離型層12の上に主として金属6と研磨粒子1とからなる研磨層13を形成することができる。また、研磨粒子1を被めっき体(仮基材11の離型層12)の表面に絶えず供給するために、めっき液の供給をポンプ及び攪拌によって行う。
図11に示すように、本発明の研磨用具の製造方法において使用する複合めっき装置20のめっき槽21には、研磨粒子(例えば、ダイヤモンド)を含有するめっき液22が満たされている。このめっき液22は循環ポンプ30により循環パイプ31内を循環する。
めっき槽21には、陽極としてめっきしようとする金属と同種の顆粒状金属28を充填した陽極ケース27と、被めっき体(基材11の離型層12)26を陰極25に設置して、それぞれ陽極端子23と陰極端子24とがめっき電源(図示せず)に接続されている。
電極の構成は、陽極を上側に、陰極を下側に対向した配置にする。このようにすれば、研磨粒子が被めっき体26の表面に沈降し易くなり、側面対向電極よりも均一な複合めっきが可能となる。なお、顆粒状金属28は、陽極ケース27の底部の穴29を通して溶出し、金属イオン(陽イオン)として補給されるようにしてある。
めっき槽21外に配置されたヒータ電源34と接続したヒータ32が、めっき槽21底部に配置され、めっき槽21の上方から温度調節装置35に接続された熱電対33が、めっき槽21内に配置され、さらに温度調節装置35とヒータ電源34とを接続して液温を調節する。
めっき液22中の金属としては、ニッケル、クロム、ニッケル合金、コバルト、ニッケルコバルト合金、コバルト合金、ニッケル−タングステン合金、銅等、めっき可能な金属が用いられ、水溶性の塩又は酸の形で存在する。めっき層の応力緩和剤、ピット防止剤および光沢剤のような種類の添加物を液中に添加することができる。ピット防止剤は、めっき中に形成される凹(穴)であるピットと、被めっき表面との間に生じる濡れ性の悪さを解消させるもので、表面張力を低下させるために、一般に界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)が使用される。また研磨粒子の分散を良くするために、必要に応じてさらに界面活性剤を添加することができる。
電解めっき液としては、一般的なワット(watts)液(浴)、スルファミン酸液(浴)などのニッケルめっき液、硫酸銅浴、シアン化銅液などの銅めっき液が利用できる。
例えば、ワット液(浴)では、硫酸ニッケル300〜450g/L、塩化ニッケル10〜50g/L、ホウ酸20〜40g/L、で調整した液を使用し、液温40〜60℃、陰極電流密度1〜10A/dmの条件でめっきをすることができる。また、スルファミン酸浴では、スルファミン酸ニッケル350〜450g/L、塩化ニッケル3〜6g/L、ホウ酸1〜30g/Lで調整した液を使用し、液温40〜60℃、陰極電流密度1〜10A/dmの条件でめっきをすることができる。
研磨粒子1は、ダイヤモンド(単結晶、多結晶)、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、炭化ケイ素(SiC)、立方晶窒化ホウ素(cBN)、炭化ホウ素(B4C)などの硬い粒子が好ましい。研磨粒子の平均粒径は、3μm〜50μmの範囲が好ましい。研磨粒子の濃度は、分散しているめっき液の種類によって定まる。例えば、ダイヤモンド粒子の場合、ワット(watts)型ニッケル液(浴)ではダイヤモンド粒子10〜50%を含むニッケル層を作るには2〜10g/L程度の濃度が適当である。
図5(c)では、研磨粒子1(1a、1b、1c)と金属を複合めっきした状態を示す。めっき初期の研磨粒子1aは、金属イオンと共に離型層12の上に着地して金属層6によって固定される。時間の経過と共に金属層6が堆積されると研磨粒子1b、1cのように離型層12から順に離れた位置に着地するようになる。研磨粒子1bは、離型層12から離れているが金属層6に十分固定されているもので、研磨粒子1cは金属層にその一部分が固定されているものの、複合めっき処理後の洗浄において容易に除去されるものである。
したがって、第1実施形態のように単一層の配列の研磨粒子を形成するためには、金属層の厚さを研磨粒子の平均粒径以下でめっきを終了することが好ましい。このようにすれば、平均粒径以上の厚さで着地した2層目の研磨粒子1cは、金属層6の表面に付着しているため付着力が弱く比較的簡単に除去でき、研磨粒子1a、1bの単層配置された研磨層13が形成される。
研磨粒子1が単一層に配置される研磨層を形成するためには、金属めっき層の厚さを研磨粒子の平均粒径以下、平均粒径の1/5以上の範囲で止めることが好ましい。1/5以下にすると金属層との付着力が弱く、洗浄工程において研磨粒子の殆どが脱落してしまう。
一方、研磨シート状の研磨粒子の面密度の調整は、主に、1)めっき液中の研磨粒子の配合量、2)電流密度、3)めっき液の循環速度(又は攪拌速度)によって行われる。
上記1)は、研磨粒子1の量が多いほど研磨粒子の面密度が高くなるが、研磨粒子1の凝集が起こり、単一粒子層の研磨層が形成できない場合がある。また、沈降粒子の量が多くなり、金属めっき層で固定される量が少なくなるため、研磨粒子の保持強度が弱くなり、脱粒の頻度が高くなる。
上記2)の電流密度を高くすると、金属めっき層6の析出速度が高くなるため、研磨粒子1の面密度が低くなる。さらに、一層目の研磨粒子1aが疎になり、研磨粒子1b及び1cに配置される量が増加してしまう。
上記3)のめっき液の循環は、速いほど研磨粒子の供給が速くなるため面密度が高くなる傾向にあるが、あまり速くすると研磨粒子が基材表面に固定し難くなり、面密度が低下する傾向にある。
したがって、金属イオンの到達速度、と研磨粒子の到達速度は、上記1)〜3)をバランスよく調整して行う必要がある。
所要の研磨層13を形成した後、純水を吹き付けて水洗浄を行うと共に、金属層6で十分固定されていない研磨粒子1cを除去する。さらに、水中で機械的、電気的もしくは電磁的振動を付加することにより、さらに除去効果が向上する。
図5(d)に示すように、固定力が弱い研磨粒子1cを予め除去して、単一粒子(1a、1b)からなる研磨層13を形成する。なお、本発明に係るめっき方式は、バッチ式でも、連続式でも製造可能である。
この工程の複合めっき層は、研磨粒子を仮固定する方法であり、無電解の複合めっきでも製造可能である。
(第3の工程:金属補強層(研磨粒子なし)の形成)
図6(e)に示すように、第3の工程では、研磨粒子を含まない金属めっきにより、研磨粒子1を完全に覆うように金属補強層を形成する。めっき液は、研磨粒子1を含まない金属めっき液を使用し、図11のめっき装置20で行うことができる。使用する金属は、第2の工程で使用した金属と同一の金属でもよく、別の金属を使用することもできる。金属補強層の厚さは特に限定しないが、研磨粒子1を十分補強するために、研磨粒子の平均粒径の2倍以上あれば十分である。金属補強層の厚さを大きくしすぎると(50μm以上)、ひび割れが発生する恐れがある。また、基材14がプラスチック製の場合、研磨用途によっては基材14の柔軟性を損ねることがあるので、金属補強層の厚さは10μm以下が好ましい。上記、一連のめっき処理を行った後、十分な洗浄と、乾燥処理を行う。
(第4の工程:基材の接着)
図6(f)に示すように、第4の工程では、表面に接着剤15が塗布された基材14を用意し、これを金属補強層の表面に重ね合わせて接着する。最終製品としての基材14を含むものであり、このような基材14として、スチール、SUS鋼、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金等の金属を使用することができる。
また、基材14としては、機械的強度、耐熱性等に優れた性質を有する合成紙やプラスチックシートが使用でき、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系の樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、塩化ビニール、ポリビニールアルコール又はメタアクリルアルコールを主成分とするアクリル樹脂、ポリカーボネート等を使用することができる。
接着剤15としては、一般に使用されている熱硬化型の樹脂(例えば、アクリル系、フェノール系、エポキシ系樹脂)を使用することができる。特に、基材14および金属補強層に対して密着強度の高い樹脂が好ましい。例えば、アクリル系樹脂(ニッセツPE121/硬化剤コロネートL55=100/1.5)が使用できる。
(第5の工程:仮基材と離型層の剥離)
第5の工程は、仮基材11及び離型層12を剥離する工程であり、離型層12との境界部分に先端が達する研磨粒子1aは、同一面上に揃う切り刃を有する。
仮基材11及び離型層12の剥離後の状態を図6(g)に示す。仮基材11の剥離は、物理的に容易に剥離できる。また、アルカリ電解脱脂よりNa塩(例えば、Na−S−R)を形成し境界部を可溶化して剥離することができる。離型層12は、水洗、酸活性処理を行うことで離型処理できる。
(第6の工程:切り刃露出)
図7(h)に示すように、第6の工程は図6(g)に示す金属層6の表面部分を除去し、研磨粒子1の先端を含む一部を露出したものである。本工程は、金属層6によって埋没している研磨粒子1の先端部の切り刃を露出する工程である。金属層6の表面部分の除去は、研磨粒子1の脱落を抑えるために、レーザー照射のような物理的、又は化学的エッチング方法によって行う。
好適な金属層6の表面部分の除去方法としては、例えば、金属層がニッケルの場合、日本化学産業株式会社製、ニッケル選択エッチング液―NC(商品名)が使用できる。エッチング液は、ベース薬品であるNC−A(商品名)と添加剤のNC−B(商品名)の2液からなり、適量の調整により45℃、1分の浸漬搖動にて、ニッケル層を150〜200nmのエッチングが可能である。
なお、研磨粒子の切り刃の露出には、研磨粒子1の粒径の20〜50%の範囲の長さが金属層6から突き出すことが好ましい。20%未満であると研磨力が低減し、目詰まりが発生し研磨効率が低下してしまう。また、50%を越えると研磨作業中に研磨粒子1の脱落が起り、スクラッチ発生の原因となる。また、研磨粒子1の切り刃の露出には、露出部の研磨粒子に被る金属層6を全て除去する必要はなく、研磨粒子の表面に薄い金属層が残っていてもよい。このようにすれば研磨粒子の固着力も増して、研磨粒子の脱落を防止することができる。
このような金属層の表面部分の除去により、最終的に図(h)に示すような切り刃が被研磨体表面と当接する仮想線Pに揃い、且つ研磨粒子1aが平面方向に離間した単一粒子層の研磨用具10Aを得ることができる。
<第2実施形態:多層研磨粒子>
図8(a)、図8(b)を参照して、本発明の研磨用具の製造方法の第2実施形態である、研磨用具10B(図2、研磨用具の第2実施形態)の製造方法について説明する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。また、第1実施形態の構成部分と共通するものは、同一符号を付して説明する。
図8(a)及び図8(b)に示す工程の模式図は、図5の(c)及び図5(d)の工程の模式図に相当する。本実施形態の研磨用具は、研磨粒子1が多層に配置され、金属層13によって固定されている点が、第1実施例と異なる点である。
本実施形態では、約2層の研磨粒子1(1a、1b)からなるように、めっき条件を調整したものを示す。この場合、めっき時間の経過とともに、研磨粒子1は、研磨粒子1a、1b、1cの順に積層して形成される。そして、第一層目の研磨粒子1aは、仮基材11に形成された離型層12との境界の表面に揃って配置される。時間の経過と共に金属層6が堆積されると研磨粒子1b、1cは、離型層12から順に離れた位置に着地するようになる。
研磨粒子1bは、離型層12から離れているが金属層6に十分固定されているもので、研磨粒子1cは金属層12にその一部分が固定されているものの、複合めっき処理後の洗浄において容易に除去されるものである。研磨粒子1を2層とする場合のめっき層の厚さの目安としては、研磨粒子の平均粒径の1.5倍〜2倍の範囲で形成する。
また、1層目の研磨粒子1aを多くするための一つの方法として、めっき電流を流す前に研磨粒子を一定時間仮基材の表面に沈降させた後、通電すれば1層目の研磨粒子1aの数を増加させることができる。
<第3実施形態:造粒複合粒子>
図9(a)、図9(b)を参照して、本発明の研磨用具の製造方法の第3実施形態である、研磨用具10C(図3、研磨用具の第3実施形態)の製造方法について説明する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。また、第1実施形態の構成部分と共通するものは、同一符号を付して説明する。
本実施形態の研磨粒子は、図9(b)に示すように、複数の微細粒子3(平均粒径が3μm以下)が、結合材4によって固められた、造粒研磨粒子2から成る。微細粒子3は、ダイヤモンド、cBN、B4C、Al2O3、SiO2及びSiC等の硬度の高い材料が好ましい。この微細粒子3を結合する結合材4は、金属(例えば、ニッケル、銅、アルミニウム等)、無機材料(例えば、シリカ)又は有機材料(例えば、エポキシ樹脂)が挙げられる。
造粒研磨粒子2には、通常、2〜25重量%の範囲の微細粒子3が含まれる。本実施形態の製造工程の一部の模式図である図9(a)に示すように、本実施形態では、複数個の微細粒子3を含んで成る造粒研磨粒子2を単一粒子として分散、配置した研磨層13となる。図9(a)に示す工程の模式図は、第1実施形態の図5(d)に示す工程の模式図に相当する。
図3に示すように、研磨用具10Cは、造粒研磨粒子2を3μm〜50μmの範囲とすることによって、隣接する造粒研磨粒子2間にポケットができるため目詰まりの問題も回避でき、精密な仕上げ研磨に使用することができる。なお、微細粒子3として、2種以上の粒子を混合したものを用いることができる。
<第4実施形態:研磨粒子+補助粒子>
図10を参照して、本発明の研磨用具の製造方法の第4実施形態である、研磨用具10D(図4、研磨用具の第4実施形態)の製造方法について説明する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。また、第1実施形態の構成部分と共通するものは、同一符号を付して説明する。図10に示す工程の模式図は、第1実施形態の図5(d)に示す工程の模式図に相当するもので、本発明に係る研磨用具の第4実施形態は、図4に研磨用具10Dで示す。
本実施形態では、図10に示すように、研磨粒子1と補助粒子5とから構成される研磨粒子と金属層6とから研磨層13が構成される。研磨粒子1は、第1実施形態と同様に単一粒子層として形成され、これに補助粒子5を含んでいる点が第1実施形態と異なる。めっき液は、研磨粒子1の他に補助粒子5を加え分散させたもので、めっき条件は第1実施形態と同様の方法で行うことができる。
補助粒子5による作用は、1)非粘着作用のある粒子を配合すると、研磨粒子1によって加工された研磨屑を表面に固着することなく、補助粒子と共に排出し、研磨層の目詰まりを低減させ、2)摩擦係数の小さい、自己潤滑作用ある粒子を配合すると、加工抵抗を低減し、スクラッチの少ない平坦且つ、平滑な研磨面にすることができる。
補助粒子5に配合される粒子として、非粘着性粒子では、フッ化黒鉛、フッ素樹脂などが挙げられる。自己潤滑粒子では、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、炭化タングステン、爆発生成の球状ダイヤモンド、などが挙げられる。
補助粒子5の平均粒径は、研磨粒子1の1/2以下とし、混合割合を研磨粒子1の10〜50重量%の範囲とすることが好ましい。
第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態は、研磨粒子が単一粒子について説明したが、研磨粒子を多層にすることも可能である。また、第1実施形態〜第4実施形態における研磨用具の構成の一部を互いに組合せたものとすることもできる。
以下、本発明に係る研磨用具の製造方法及びこれによって得られた研磨用具についての実施例を説明し、さらに比較例との比較試験の結果を示す。
(実施例1)
実施例1の製造工程は、図5、図6、図7に示す第1実施形態の製造工程に基ずくものである。
(1)仮基材上に離型層を形成(図5(a)及び(b))
仮基材11には、厚さ50μmのステンレス(SUS301)シートを使用した。仮基材11の表面には、後工程で仮基材11を剥離可能とするために離型層12を形成した。この離型層12の形成は、日本化学産業株式会社製、商品名:ニッカノンタック(A液、補助剤B液)を使用した。A液は、チアゾール系化合物を含有し、苛性アルカリ液で、pH12からなる。B液は、カチオン系界面活性剤を含有する硫酸酸性溶液、pH1.5から成る。
離型層形成処理前に、基材を脱脂、水洗、酸活性(塩酸、10%液処理)、水洗の順に表面処理を行った。
離型処理液は、前記ニッカノンタックのA液100mlとB液100mlとを、純水に加えて1000mlとした。
処理条件: pH 3
温度 25℃
時間 2分浸漬
水洗後、乾燥した。
(2)複合めっき(図5(c)、(d)及び図11)
複合めっきは、平均粒径9μm(#2000)の多結晶ダイヤモンドとニッケルとを用い、図11に示すめっき装置20で行った。めっき液組成を以下に示す。
<めっき液組成>
硫酸ニッケル: 240g/L
塩化ニッケル: 45g/L
添加剤1(2−ブチン−1,4−ジオール): 0.2g/L
添加剤2(サッカリンナトリウム): 2g/L
pH: 4〜5
の割合を純水で調整し、このめっき液に、前記多結晶ダイヤモンド粒子を20g/Lを加えて攪拌し、分散した。
<めっき条件>
陰極: SUS301板(外径:304mm、内径:248mm、厚さ:0.05mm)
陽極: 顆粒状ニッケル
めっき液温度: 50℃
循環ポンプ周波数: 50Hz
電流密度: 5A/dm
処理時間: 5分
なお、研磨粒子を単一層に形成するために、ニッケルめっき厚さは、研磨粒子の平均粒径(9μm)の1/2(4.5μm)とした。このような条件とすることによって、2層以上の研磨粒子は、ニッケル層との結合力が弱く、めっき後の洗浄工程でほとんど除去され(図5(d)に示すように単一層に研磨粒子1が配置された研磨層13を得ることができる。
(3)補強めっき(金属補強層)(図6(e))
複合めっき工程で形成された単一層の研磨粒子1を補強するために、研磨粒子を含まない金属補強層7を形成する。めっき液は前工程の研磨粒子を除いた同一のめっき液組成を使用した。また、めっき条件も同一条件で行った。膜厚は、研磨粒子が覆われればよく、研磨粒子1の平均粒径の2倍以上あればよい。
(4)基材の接着(図6(f))
この工程は、前記(3)において、補強めっきした金属補強層7の表面と、基材14とを接着剤15を介して接着した後、仮基材シート11及び離型層12を剥離し、研磨層13を基材シート14側に転写する工程である。基材14として、厚さ0.1mmのステンレス(SUS301)シートを使用した。形状は、仮基材11と同じ寸法とした。
接着剤15として、アクリル系樹脂を使用した。アクリル樹脂の接着剤として、日本カーバイト工業株式会社製、ニッセイPE121と硬化剤コロネートL55(2液性接着剤)とを、100対1.5の重量部の割合で混ぜ合わせたものを、膜厚5μmになるように塗布した。塗布後、仮基材11と貼り合せて、80℃で1時間乾燥した。その後、恒温槽で40℃、72時間以上キュアーを行った。
(5)仮基材の剥離 (図6(g))
離型層12から、仮基材11を剥離した。剥離法は、特別な方法を使用しなくとも容易に剥離できる。さらに、離型層12を剥離する。場合によっては、水酸化ナトリウム液を用いて、電解脱脂を行うことによって容易に離型層を溶解することができる。
(6)切り刃の露出(図7(h))
離型層12を剥離した後に、金属層6の表面部分を化学エッチング法によって除去し、研磨粒子1aの先端部分である切り刃を露出した。エッチングは、日本化学産業株式会社製、ニッケル選択エッチング液・NC(商品名)を使用した。
エッチング方法は、ニッケル選択エッチング液・ベース薬品のNC−A(商品名)に、添加剤のNC−B液(商品名)を5mL/Lの割合で添加した液に、45℃、15分間、浸漬揺動した。ニッケル層のエッチングは、研磨粒子9μmに対して3μmであった。この結果、研磨粒子の切り刃の突出量は、約3μmであった。
(実施例2)
実施例2は、第2実施形態の研磨用具10B(図2)に示すように、研磨粒子1を多層構造に製造した。製造方法は、実施例1と同じ工程を用い、複合めっき工程(図5(c))のめっき時間を20分とし、研磨粒子が3層構造に成るようにした。
(実施例3)
実施例3は、第3実施形態の研磨用具10C(図3(a))を製造した。研磨粒子として、造粒研磨粒子2を用いた以外は、実施例1と同じ工程に従って製造した。
造粒研磨粒子2は、微細研磨粒子3として、平均粒径0.5μmの多結晶ダイヤモンド粒子複数個を結合材4のエポキシ樹脂で固着し、造粒した粒子をボールミルで粉砕し、分級して平均粒径9μmの造粒研磨粒子としたものである。
(実施例4)
実施例4は、第4実施形態の研磨用具10D(図4)を製造した。実施例1と同じ研磨粒子に補助粒子を下記のように配合した。
研磨粒子:平均粒径9μmの多結晶ダイヤモンド粒子:20重量%
補助粒子:平均粒径0.2μmのフッ素系樹脂(PTFE)、5重量%
(比較例1)
比較例1の研磨用具は、基材14上に直接複合めっきを行い、研磨粒子1の切り刃を露出させる、図1(a)〜(c)の工程で製造したものである。基材として、脱脂、洗浄したSUS301基材の上に厚さ2μmのストライクニッケルめっきを施した基材を使用した。ストライクめっきは、基材14と複合めっき層との密着力を得るために形成した。ストライクニッケルめっき液として
塩化ニッケル 220g/L
塩酸 100g/L
を用い、電流密度:5A/dm2、浴温:室温、めっき時間:2分、の条件で行った。膜厚は、約1μmであった。
本発明が仮基材に複合めっき研磨層を形成した後、基材側に研磨層を転写する方法を行うのに対し、この比較例では基材に直接複合めっきを行ったものである。研磨層の構造は、実施例1で使用したものと同一仕様の研磨粒子を単一層になるようにした。
図1(a)は、研磨粒子1を単一層に形成するためのニッケルとの複合めっき工程で、図1(b)は、洗浄工程において固着力の弱い研磨粒子1cを除去した後の研磨粒子1(1a、1b)の単一層の研磨層13を示す。図1(c)は、エッチング工程によりニッケル層表面を除去し、研磨粒子1(1a、1b)の切り刃を露出した構造を示す。
図1(c)に示すように、比較例1の研磨用具10Eでは、一部の研磨粒子1bが、平均研磨粒子の頂部の仮想線Pから突出していた。
(比較例2)
比較例2の研磨用具の製造では、実施例3と同じ造粒研磨粒子2及び研磨層形成材料を使用した。そして、製造方法は比較例1の図1(a)〜(c)の工程で製造したものである。
(比較例3)
比較例3の研磨用具の製造では、実施例4と同じ研磨粒子1、補助粒子5及び研磨層形成材料を使用した。そして、製造方法は比較例1の図1(a)〜(c)の工程で製造したものである。
上記実施例1〜4及び比較例1〜3の研磨用具の構成を、一覧の表にして図14に示す。図14に示すように、実施例3と比較例2とが、造粒研磨粒子を使用したもので、実施例3と比較例2とが対比される。実施例1は平均粒径9μmの研磨粒子が単一層、実施例2は同様の研磨粒子が多層に配置されたもので、これらと対比される比較例1は同様の研磨粒子が単一層に配列されたものである。実施例4と比較例3とが、研磨粒子と補助粒子とを混合したもので、実施例4と比較例3とが対比される。
<試験1>切り刃先端の平坦性評価
上記実施例1〜4及び比較例1〜3で製造した研磨シートを用いて、研磨層表面に現れた研磨粒子の切り刃高さを評価した。
切り刃高さの評価は、レーザー顕微鏡:キーエンス(KEYENCE)社製、VK−9710を用いた。評価結果を表1に示す。
Figure 0005478209
<比較結果1>
表1に示すように、本発明による実施例1〜4は、切り刃高さのばらつきが小さく、研磨粒子の配列が揃っていることが分かる。これに対して、比較例1〜3は、切り刃高さの最大値と最小値の差が大きく、研磨層の中で研磨粒子の整列が悪いことを表し、研磨層表面の凹凸が大きいことを示している。
<試験2>研磨試験
上記実施例1〜4及び比較例1〜3で製造した研磨用具を用いて、研磨試験を行った。研磨試験は、ベアリングボール加工試験によるものであり、一定時間の研磨後の研磨量、中心線平均粗さ(Ra)、最大表面粗さ(Rmax)及びスクラッチ傷について比較した。
研磨用具の性能試験は、試験片として直径4mmのボールベアリング(玉軸受)の鋼球(SUJ−2)を用いて、図13に示す加工試験装置(ベアリングボール加工試験機)で研磨した。
図13に示すように、加工試験用研磨装置40は、回転可能な定盤42の上に、上記実施例1〜4及び比較例1〜3の研磨用具をディスク状に加工した研磨用具43を貼り、加工試験片として鋼球44を治具45に固定し、主軸46に設置した研磨ヘッド41の上部より規定の荷重47を加えるようにしたものである。
加工試験は、研磨用具43を貼り付けた定盤42を回転し、鋼球44を固定した研磨ヘッド41を定盤42上に貼り付けた研磨用具43の表面に一定荷重で接触させ、定盤42の中央部から外周へ一定速度、一定距離移動させて行った。なお、試験片の加工開始、終了は、支点49で支えたアーム48の上下によって自動的に行われる。
加工終了後、鋼球44を治具45から外し、重量を量り鋼球44の重量の減量を研磨量とした。研磨試験は、鋼球5個による平均値で評価した。
研磨条件を下記に示す。
1) 荷重; 1000g
2) 定盤の直径: 8インチ
3) 定盤の回転数: 300rpm
4) 中心から外周への移動距離: 100mm
5) 研磨時間: 12秒
なお、研磨粒子が大きい実施例1、2、4及び比較例1、3の研磨用具の研磨試験は、上記研磨条件で、荷重については1000gで行った。実施例3と比較例2は、荷重を500gとし、その他の研磨条件は前記と同じ条件とした。
研磨後の評価は、鋼球の中心線表面粗さ(Ra)、及び最大表面粗さ(Rmax)は、表面粗さ計(東京精密株式会社製、SURFCON 480A)で測定した。スクラッチの観察は、光学顕微鏡で観察した。
評価結果の比較は、研磨層の構成材料が同じ実施例と比較例とで行った。すなわち、(1) 実施例1及び2と比較例1、(2) 実施例3と比較例2、(3) 実施例4と比較例3で行った。
<比較結果2>
実施例1及び2と比較例1の評価結果を表2に示す。
Figure 0005478209
上記表2に示すように、本発明に係る実施例1及び2の研磨用具による研磨結果は、比較例1と比較すると、一定時間の研磨後、平均表面粗さ(Ra)及び最大表面粗さ(Rmax)で顕著な効果を有している。また、表面粗さが低く仕上がる上に、研磨量はほぼ同等であった。なお、比較例1では、光学顕微鏡で観察したスクラッチ傷の深さ及び数が非常に多く観察された。
実施例3と比較例2の評価結果を表3に示す。
Figure 0005478209
上記表3に示すように、微細研磨粒子(1μm)を造粒(9μm)にした造粒研磨粒子を使用すると、前記実施例1、2よりも研磨量は、減少するがRa及びRmaxが顕著に改善されている。また、微細粒子の作用効果により、スクラッチは非常に少なくなっていることが確認された。
しかし、同一材料構成からなる、本発明に係る実施例3の研磨用具による研磨効果は、比較例2と比較すると、Ra及びRmaxが顕著に改善され、スクラッチも非常に低減している。この研磨用具は、精密研磨に適するものである。
実施例4と比較例3の評価結果を表4に示す。
Figure 0005478209
上記表4に示すように、研磨粒子(9μm)に、潤滑性のあるフッ素粒子(0.2μm)を混合すると、実施例1、2と比較して、研磨量の低下が少なく、Ra、Rmaxの値が比較的小さくなっている。また、研磨後の研磨用具の表面に付着した研磨屑が少ないことが確認された。
また、本発明に係る実施例4の研磨用具による研磨効果は、比較例3と比較すると、Ra及びRmaxが顕著に改善されている。
1(1a、1b、1c) 研磨粒子
2(2a、2b) 造粒研磨粒子
3 微細粒子
4 結合材
5 補助粒子
6 金属層
7 金属補強層
10(10A、10B、10C、10D) 研磨用具
11 仮基材
12 離型層
13 研磨層
14 基材
15 接着剤

Claims (9)

  1. 基材の少なくとも一方の表面に形成される研磨層が、単一粒子として分散された研磨粒子と、該研磨粒子を固定する金属層とを含んで成る研磨用具の製造方法であって、
    仮基材上に離型層を形成する第1の工程であって、前記離型層が、金属めっき膜と強い結合を持たない高分子膜を使用して形成される、第1の工程と、
    前記離型層の表面に、複合めっき処理により前記研磨層形成する第2の工程であって、前記複合めっき処理が、研磨粒子を分散しているめっき液を用いて研磨粒子を金属とともに共析させる処理である、第2の工程と、
    前記研磨層の表面に金属補強層をめっき処理により形成する第3の工程と、
    前記金属補強層の表面に接着剤を間に介して基材を重ね合わせて圧接し、前記接着剤を硬化させて基材を固着させる第4の工程と、
    前記仮基材と、前記離型層とを剥離する第5の工程と、
    前記離型層が剥離された前記研磨層の表面部分の金属層を除去し、先端を同一平面上に揃えた研磨粒子の前記先端を含む一部を露出させる第6の工程とを有して成ることを特徴とする研磨用具の製造方法。
  2. 前記第2の工程において、前記研磨層の厚さを、前記研磨粒子の平均粒径以下で、該平均粒径の1/5以上の範囲内で形成することを特徴とする請求項1に記載の研磨用具の製造方法。
  3. 前記第2の工程において、前記研磨層の厚さを、前記研磨粒子の平均粒径を超えた範囲として形成することを特徴とする請求項1に記載の研磨用具の製造方法。
  4. 前記研磨粒子は、平均粒径が3μm以上の、ダイヤモンド(単結晶又は多結晶)、立方晶窒化ホウ素(cBN)、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、炭化ホウ素(BC)、ジルコニヤ(ZiO)又はこれらの組合せからなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の研磨用具の製造方法。
  5. 前記研磨粒子は、平均粒径3μm以下の微細研磨粒子の複数個を、金属、金属酸化物又は樹脂から成る結合材で結合し、平均粒径3μm以上に造粒した造粒研磨粒子であることを特徴とする請求項1に記載の研磨用具の製造方法。
  6. 前記第2の工程において、前記研磨層を、平均粒径3μm以上の研磨粒子と、平均粒径が該研磨粒子の平均粒径の1/2以下の補助粒子と、金属とを複合めっきにより形成し、前記補助粒子が、フッ化黒鉛、フッ素樹脂、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、炭化タングステン及び爆発生成の球状ダイヤモンドから選択される1種又は2種以上のものから成ることを特徴とする請求項1に記載の研磨用具の製造方法。
  7. 前記基材が、金属製又はプラスチック製のものであることを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の研磨用具の製造方法。
  8. 前記仮基材が、金属製又は表面に金属膜を有するプラスチック製のものであることを特徴とする請求項1ないし7の何れか一項に記載の研磨用具の製造方法。
  9. 請求項1乃至8の何れか一項に記載の研磨用具の製造方法により製造された研磨用具。




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