JP5477965B2 - 充電制御ユニット - Google Patents
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Description
いずれのタイプの電気自動車においても、走行用モーターに供給するための電力を蓄えるバッテリーが備えられ、バッテリーの残存容量(SOC)が低下した場合には、車両外部から供給される電力や、走行用モーターを回生制御することにより得た電力等を用いてバッテリーを充電する必要がある。
このうち前者の手法においては、車載充電器と家庭用コンセントを接続し、車載充電器により、例えばAC100VをDC200Vに変換し、DC200Vの電力で比較的ゆっくりとバッテリーを充電する。
一方、後者の手法においては、設置型充電器により、例えばAC200VをDC400Vに変換し、DC400Vの電力でバッテリーを急速充電する。
すなわち、従来の充電システム100は、走行用モーター5を駆動するインバーター4に電源ライン12、13を介して直流電力を供給するバッテリー3と、バッテリー3を制御するとともに、バッテリー3の充電状態(残存容量)を示すSOC値からなるSOCデータを送信するバッテリー制御ユニット7と、受信したSOCデータに基づいて生成した充電指令データを送信する充電制御ユニット8と、バッテリー制御ユニット7、充電制御ユニット8、設置型充電器2、インバーター4および車両制御ユニット6等をノードとするCAN(Controller Area Network)通信ライン10とを備えている。
設置型充電器2は、充電制御ユニット8が送信した充電指令データを受信し、受信した充電指令データにしたがってバッテリー3を充電するほか、自己診断機能により取得した自己の故障情報や、設置型充電器2からバッテリー3に向けて出力されている充電電流の実際の電流値等を含む充電状況データを送信する。
充電制御ユニット8は、CAN通信ライン10を介して受信したSOCデータや充電状況データに基づいて、充電を停止させたり、充電指令データを変化させたりする。
しかしながら、設置型充電器2を高出力化すると、バッテリー3の状態(SOC、電圧、温度等)や設置型充電器2の状態(故障の有無等)が急激に変化し、充電制御ユニット8がこの変化に追従できないためにバッテリー3の劣化(場合によっては破損)、コネクタ部9の溶断、火災等が発生するおそれがあるという別の問題が発生してしまう。
そこで、近年では、バッテリー3や設置型充電器2の状態を検知する頻度、すなわちバッテリー状態データや充電状況データの送受信周期を短くすることにより充電制御ユニット8の追従性を高め、より早期に充電を停止させたり、充電指令データを変化させたりすることが検討されている。
この充電システム1によれば、設置型充電器2から短い周期で送信される充電状況データに基づいて充電制御ユニット8がいち早くバッテリー3の異常の兆候をつかみ、充電指令データを変化させたり充電を停止させたりすることができるので、バッテリー3の劣化を防止しながら安全にバッテリー3の充電を行うことができる。
したがって、この構成によれば、SOCデータに含まれる実際のSOC値とこれを補完する推定値を用いて適切な充電指令データを生成することができるので、バッテリーの劣化を防止しながら安全にバッテリーの充電を行うことができる。
この構成によれば、CAN通信ラインが混雑していたとしても、最新の充電指令データを遅滞なく設置型充電器に送信することができる。
この構成によれば、充電電流指令値のずれ量が所定ずれ量を超えると充電電流指令値が補正され、補正された後の適切な充電電流指令値にしたがって充電が行われるので、より確実にバッテリーの劣化を防止しながら安全にバッテリーの充電を行うことができる。
まず始めに、本発明に係る充電制御ユニットを備えた充電システムの全体構成について説明する。
図1に示すように、充電システム1は、走行用モーター5を駆動するインバーター4に電源ライン12、13を介して直流電力を供給するバッテリー3と、バッテリー3の近傍に配置されたバッテリー制御ユニット7と、充電制御ユニット8と、バッテリー制御ユニット7、充電制御ユニット8、インバーター4および車両制御ユニット6等をノードとするCAN通信ライン10と、充電制御ユニット8および設置型充電器2を接続する高速通信ライン11とを備える。
高速通信ライン11および電源ライン12、13は、車両外部に現れたコネクタ部9を介して車両内部から引き出され、設置型充電器2に接続されている。
車両制御ユニット6には、バッテリー3の容量値、メーカー名等を含むバッテリー3の種別に関する情報が記憶されている。車両制御ユニット6は、かかる情報を含むバッテリー種別データを所定フォーマットのデータフレームとしてCAN通信ライン10に送信する。
例えば、充電制御ユニット8は、充電状況データに含まれる実際の充電電流値が高すぎる場合に、充電電流指令値を下げたり、0(充電停止)にしたりすることができる。
また、高速通信ライン11は、充電制御ユニット8および設置型充電器2の間のデータの送受信を可能にする。
高速通信ライン11の通信方式は、データ転送レートをCAN通信ライン10のデータ転送レート以上とすることができる種々の通信方式から適宜選択することができる。選択可能な通信方式としては、例えば、CAN、FlexRayがある。
また、設置型充電器2は、自己の特性(例えば、出力可能な最大電力量、最大充電電流、最大充電電圧等)に関する充電器データと、バッテリー3に向けて出力している充電電流や充電電圧の値を含む充電状況データとを所定フォーマットのデータフレームとして高速通信ライン11に送信する。充電状況データには、自己診断機能により取得した設置型充電器2の故障情報が含まれていてもよい。
続いて、主に図2および図3を参照しつつ、本発明の第1実施例に係る充電制御ユニット8Aの構成と制御フローについて説明する。
図2に示すように、充電制御ユニット8A(図1中の充電制御ユニット8に相当する)は、CAN通信ライン10から所定周期(例えば、100ms毎)で各種データを受信する受信部20と、高速通信ライン11に上記所定周期よりも短い周期(例えば、1ms毎)で充電指令データを送信する送信部21と、制御部22の制御下で動作するSOC算出部23および指令値算出部25を備える。
SOC算出部23および指令値算出部25には、それぞれ第1記憶部24および第2記憶部26が設けられている。
図3から明らかなように、準備ステップは充電開始時に一度だけ実行され、以後、充電が完了するまでの間は充電ステップ(ステップS3〜S10)が繰り返し実行される。
充電が平穏無事に終了したか、または充電中に大きな問題が発生したために充電を停止する場合は、車両制御ユニット6から充電停止データが送信される。
制御部22は、CAN通信ライン10および受信部20を介して充電停止データの送信を検知すると、各部(23、25)の動作を停止させ、充電を終了させる。
前記の通り、受信部20がSOCデータを受信する周期は100msであるのに対して、送信部21が充電指令データを送信する周期、すなわち充電ステップ(ステップS3〜S10)の実行周期はこれよりも短い1msである。
したがって、ステップS4の判定が100回行われると、そのうちの1回は判定結果が“Yes”となりステップS5に進むが、残りの99回は判定結果が“No”となりステップS6に進むこととなる。
なお、充電開始直後のステップS4の判定は、ステップS2においてSOCデータを受信しているので、判定結果が必ず“Yes”となる。
例えば、図6(A)(B)に示す手法では、バッテリー3の容量値とSOC変化係数Aの関係を示すグラフまたはテーブルが予め第1記憶部24に格納されており、これらを参照することで、バッテリー3の容量値(X1、X2・・・)に対応したSOC変化係数A(A1、A2・・・)を求めることができるようになっている。
また、図6(C)に示す手法では、SOCnow値、バッテリー状態データに含まれるバッテリー3の温度値およびSOC変化係数Aを軸とした3軸のマップがバッテリー3の容量値(X1、X2・・・)毎に予め用意されており、いずれかのマップを参照することで現在の状況に応じたSOC変化係数Aを求めることができるようになっている。
この他、SOC変化係数Aを求めるための手法としては、既知の種々の手法をとることができる。
・SOCnow値(今回算出するSOCnow値)=前回算出されたSOCnow値+前回算出された充電電流指令値×SOC変化係数A
ここで、上式は単なる一例であり、本発明では、前回算出されたSOCnow値を用いた種々の計算式でSOCnow値を推定することができる。このような計算式としては、例えば次式が考えられる。
・SOCnow値(今回算出するSOCnow値)=前回算出されたSOCnow値+前回算出された充電電流指令値×SOC変化係数A+係数B(係数Bは、バッテリー3の個体差による推定ずれを補正するためのオフセット値)
なお、上2式では、前回算出された充電電流指令値を使用してSOCnow値を算出したが、充電電流指令値の代わりに、設置型充電器2からの充電状況データに含まれる実際の充電電流値を使用してもよい。
このマップによれば、SOCnow値と、バッテリー種別データに含まれるバッテリー3の容量値に基づいて、充電電流指令値を一義的に求めることができる。
第2記憶部26に格納されているマップは複数であってもよく、例えば、SOCデータとともにバッテリー3の温度値を含むバッテリー状態データを受信し、バッテリー3の温度に応じて複数のマップを使い分けてもよい。
そして、充電指令データを受信した設置型充電器2は、受信したデータにしたがってバッテリー3を充電する。
前記の通り、SOCデータの受信周期は100msであるのに対して、充電ステップ(ステップS3〜S10)の実行周期はこれよりも短い1msである。したがって、ステップS10は毎回実行されるわけではなく、充電ステップが100回実行されると、そのうちの1回はステップS10が実行されるが、残りの99回はステップS10をスキップしてステップS3に戻り、充電ステップが初めから実行される。
したがって、本実施例に係る充電制御ユニット8Aによれば、SOCデータに含まれる実際のSOC値とこれを補完する推定値を用いて適切な充電指令データを生成することができるので、バッテリー3の劣化を防止しながら安全にバッテリー3の充電を行うことができる。
続いて、主に図4および図5を参照しつつ、本発明の第2実施例に係る充電制御ユニット8Bの構成と制御フローについて説明する。なお、本実施例に係る充電制御ユニット8Bは、第1実施例に係る充電制御ユニット8Aと多くの点において共通しているので、以下では、充電制御ユニット8Aとは異なる点について詳細に説明する。
充電プロファイルは、充電開始から充電終了までの充電電流の時間変化を予測したもので、バッテリー種別データに含まれるバッテリー3の容量値と、SOCデータに含まれるバッテリー3の実際のSOC値と、充電器データに含まれる設置型充電器2の特性とに基づいて決定される。
同図に示すように、充電プロファイルは、充電電流の時間変化の予測値を結んだ曲線PCからなる。異常判定部27の第3記憶部28には、複数の候補プロファイルが予め格納されており、バッテリー3の容量値およびSOC値と、設置型充電器2の特性とに対応した候補プロファイルが充電プロファイルとして選ばれる。
なお、図8に示す充電プロファイルは、一例として、定電流制御→定電力制御→定電圧制御の順に制御状態が切り替えられる充電の定電力制御部分を一部抜き出したものである。
具体的には、図8に示す曲線PH(予測値の曲線PCを1割増したもの)と曲線PL(予測値の曲線PCを3割減したもの)を予め設定しておき、ステップS8で求めた充電電流指令値が、曲線PHと曲線PLの間の領域内にあるか否かを判定する。充電電流指令値が上記領域内にない場合、すなわち、充電電流指令値が充電開始時に予測した値から大きくずれている場合は、異常が発生しているとの判定をして、ステップS8−3に進む。
一方、充電電流指令値が上記領域内にある場合、すなわち、充電電流指令値がおおむね予測した通りの値であれば、ステップS9に進む。
例えば、充電電流指令値が曲線PHを上回っている場合(図8の時間t1参照)は、過電流によりバッテリー3を劣化または破損させるおそれがあるため、直ちに充電電流指令値を2割程度低下させる補正を行う。
一方、充電電流指令値が曲線PLを下回っている場合(図8の時間t2参照)は、何らかの異常が発生していたとしても、バッテリー3を劣化等させるおそれはあまりないので、補正は行わない。もちろん、充電電流指令値を増加させる補正を行ってもよい。
そして、充電指令データを受信した設置型充電器2は、受信したデータにしたがってバッテリー3を充電する。
したがって、本実施例に係る充電制御ユニット8Bによれば、SOCデータに含まれる実際のSOC値とこれを補完する推定値を用いて常に適切な充電指令データを生成することができるので、より確実にバッテリー3の劣化を防止しながら安全にバッテリー3の充電を行うことができる。
例えば、SOCデータの受信周期(100ms毎)、充電ステップの実行周期(1ms毎)等の具体的な数値は単なる一例であって、適宜変更することができる。
また、図3および図5に示す制御フローは適宜変更することができ、例えば、ステップS6は準備ステップに含めてもよい。
2 設置型充電器
3 バッテリー
4 インバーター
5 モーター
6 車両制御ユニット
7 バッテリー制御ユニット
8、8A、8B 充電制御ユニット
9 コネクタ部
10 CAN通信ライン
11 高速通信ライン
12、13 電源ライン
20 受信部
21 送信部
22 制御部
23 SOC算出部
24 第1記憶部
25 指令値算出部
26 第2記憶部
27 異常判定部
28 第3記憶部
Claims (3)
- 車両外部に設置された設置型充電器から出力される充電電流を制御して、前記設置型充電器により当該車両に搭載されたバッテリーの充電を実行させる車載型の充電制御ユニットであって、
前記バッテリーのSOC値を含むSOCデータを所定周期で繰り返し受信する受信部と、
前記受信部が前記SOCデータを受信した場合は、当該SOCデータのSOC値を現SOC値とし、前記受信部が前記SOCデータを受信していない場合は、前回算出した現SOC値を用いて予め設定した算出式により推定したSOC値を現SOC値とするSOC算出部と、
前記SOC算出部で求められた前記現SOC値に基づいて、充電電流指令値を算出する指令値算出部と、
前記指令値算出部で算出された前記充電電流指令値を含む充電指令データを前記所定周期よりも短い周期で前記設置型充電器に繰り返し送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする充電制御ユニット。 - 前記受信部は、CAN通信ラインを介して前記SOCデータを受信し、
前記送信部は、データ転送レートが前記CAN通信ライン以上の高速通信ラインを介して前記充電指令データを前記設置型充電器に送信することを特徴とする請求項1に記載の充電制御ユニット。 - 異常判定部をさらに備え、
前記受信部は、前記設置型充電器の特性に関する充電器データと、少なくとも前記バッテリーの容量値を含むバッテリー種別データと、前記SOCデータとを充電時に受信し、
前記異常判定部は、前記受信部が充電時に受信した前記充電器データ、前記バッテリー種別データおよび前記SOCデータに基づいて決定された充電電流の経時変化を予測した充電プロファイルに対し、前記充電電流指令値が所定ずれ量を超えてずれた場合には、当該ずれ量が少なくなるように前記充電電流指令値を補正し、
前記送信部は、前記充電電流指令値が補正されている場合は、前記補正後の充電電流指令値を含む前記充電指令データを送信することを特徴とする請求項1または2に記載の充電制御ユニット。
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