JP5477798B2 - 清涼化剤を含有するコンタクトレンズ用点眼剤 - Google Patents
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Description
コンタクトレンズは、薬物特に有機化合物を非常に吸着しやすく、レンズに蓄積しやすい性質をもち、また、コンタクトレンズに適用される用剤のpHや浸透圧により、レンズの物理的パラメーターが著しく影響を受けることが知られている。このような特殊性から、コンタクトレンズ装用時に適用しうる点眼剤には、通常、無機塩類のみが配合されている。しかし、そのような点眼剤では、既述のごとく、涙液補充による目の乾燥感は解消又は緩和されても装用時の異物感や痒みなどの不快感はなんら解消されない。従って、コンタクトレンズ装用者がよく訴える装用時の異物感や痒みなどの不快感を解消し、コンタクトレンズの快適な装用に有用なコンタクトレンズ用点眼剤が必要とされていた。
本発明は、メントール等の清涼化剤を含有する点眼剤に、特定の界面活性剤を配合すると、該点眼剤を用いたときコンタクトレンズの物理化学的パラメーターが変化せず、レンズの濡れ性の低下を防ぎ、むしろ向上させることができるという知見に基づいている。本発明の点眼剤に含有される清涼化剤として、l−メントール、d−メントール、dl−メントール、d−カンフル、dl−カンフル、d−ボルネオール、dl−ボルネオール、ゲラニオール、ユーカリ油、ベルガモット油、ウィキョウ油、ハッカ油、ローズ油、クールミントが例示され、本発明の点眼剤は、これらを1又はそれ以上含有していてよい。これらの化合物は、レンズの物理化学的パラメーターを変化させず、点眼時に眼刺激を生じることのない濃度で配合されることが好ましく、そのような濃度は、コンタクトレンズの材質等により変動するが、通常、0.0001〜0.05%の範囲で使用され、0.001〜0.01%の範囲であることが好ましい。0.0001%未満の低濃度では、清涼化効果を期待できず、コンタクトレンズ装用時の不快感を解消することができない。
また陰イオン界面活性剤としては、POE(10)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等のPOEアルキルエーテルリン酸及びその塩、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のN-アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N-ココイルメチルタウリンナトリウム等のN-アシルタウリン塩、テトラデセンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等が挙げられる。
実施例1〜6
以下の表1に記載の処方に従って、本発明のコンタクトレンズ用点眼剤を調製する。
100ml中
塩化ナトリウム 0.44g
塩化カリウム 0.08g
ホウ酸 0.30g
ホウ砂 0.035g
滅菌精製水 適量
全量 100ml
以上を無菌的に調合充填し、人工涙液型点眼剤とする。
(接触角の測定方法)
本発明の点眼剤のコンタクトレンズ表面の水濡れ効果を下記の実験系を用いて評価した。即ち、固体平面に液滴を一滴のせたときに、その固体材質と液滴及び空気層の組み合わせによって、液滴が固体平面上半球状になる。そのとき液滴の表面が固体面と交差する点で、水面に引いた切線と平面のなす角度(液滴を含む角)を測定する。その角度をシータ(θと略称する)で表すと、θが小さいほど、液滴の固体表面への親和性が大きく、液滴を構成する液体(例、点眼薬)が固体に対して、いわゆる濡れやすい溶液であること、または、コンタクトレンズ表面が濡れやすい状態であることを意味する。以下の実験例では、本発明の目的に沿ってこの評価法をさらに発展させた実験系を用いる。具体的には、コンタクトレンズを水平に静置させてそのフロントカーブ(角膜と接触しない側)上に点眼薬の液滴を一滴のせ、そのθを測定することにより水濡れ効果を評価する。なお、コンタクトレンズ自体が一定の曲率を有する球の一部であるので、コンタクトレンズに由来する角度を予め測定しておき(θaとする)、後にコンタクトレンズ上で測定した液滴の角度(θbとする)から差し引いて補正する必要がある。 (θ=θb−θa)
θの測定は、コンタクトレンズ上にのせた液滴を側面から写真撮影する方法やビデオカメラを用いる画像処理装置を用いる方法で、容易に行うことができる。
表2に記載の処方で実施例7〜9と、比較例2の点眼剤を調製し、試験液とした。また、試験にはシードA−1(シード社製、酸素透過性ハードコンタクトレンズ)を用いた。
試験開始前に、蒸留水を1滴レンズ上にのせ、上記の評価法に従いθを測定した。その後、試験液5mlを15ml共栓付きガラス瓶に入れ、レンズを浸漬させ、34℃の水槽中で70回/分、24時間浸とうした。浸とう後レンズを取り出し、蒸留水を1滴レンズ上にのせ、再び上記の評価法に従いθを測定した。θの測定は画像処理装置を用いて行い、試験開始前(浸漬前)及び浸漬後のθを比較して、水濡れ効果の評価を行った。
結果を表2に示す。実施例7の点眼剤では、浸漬前に比べて浸漬後のθが低下しており、濡れ性がかなり向上していることがわかる。また、実施例8、9の点眼剤ではほとんど変化はなかった。それに対して比較例2の点眼剤では、θがかなり上昇しており、濡れ性が悪くなっている。
(試験方法)
実施例1のコンタクトレンズ用点眼剤及び比較例1の人工涙液型点眼剤を調製し、酸素透過性ハードコンタクトレンズ装用者21名に対して、コンタクトレンズ装用時の乾燥感、痒み、異物感、疲れ目改善効果に関する官能試験を実施した。試験期間中に症状が現れた回答者数に対し、何らかの改善効果があったと評価した回答者数の割合で評価した。
結果を表3に示す。その結果、実施例1の点眼剤が眼乾燥感以外の全ての項目において比較例1の点眼剤よりも高い改善率を示し、本発明の点眼剤はコンタクトレンズ装用中の痒み、異物感、疲れ目などに対して優れた改善効果を有することが明らかとなった。
コンタクトレンズのサイズに及ぼす影響
(試験方法)
表4に記載の処方で、実施例10、11及び比較例3の1-メントールと界面活性剤とを含有する点眼剤を調製して試験液とした。
試験には、メニコンEX(メニコン社製)、オーツーフレッシュ(ニチコン社製)、ボシュロムEX−02(ボシュロム社製)、ホヤハード/58(HOYA社製)、シードA1(シード社製)を用いた。
各点眼剤にレンズ1枚を浸漬し、34℃で1ケ月振とうした。なお試験液は、1週間毎に交換した。浸漬後、レンズを取り出してレンズサイズを万能投影機(V−12A(NIKON社製))で測定し、試験開始時のサイズと比較することにより、変化の有無を観察した。視力補正用コンタクトレンズ基準に準じ、試験開始時と終了時のレンズサイズの変化が±0.05mm以上の場合に変化有りと判定した。
結果を表4に示す。比較例3の点眼剤ではサイズ変化が認められたが、実施例10及び11の点眼剤では認められなかった。
Claims (4)
- 0.001〜0.05%のl−メントールと、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びアルキルポリアミノエチルグリシンからなる群より選択される1種以上の界面活性剤とを含有することを特徴とするソフトコンタクトレンズ用点眼剤。
- ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びアルキルポリアミノエチルグリシンからなる群より選択される界面活性剤の配合量がl−メントールに対して、10〜100倍(重量)であることを特徴とする請求項1記載のソフトコンタクトレンズ用点眼剤。
- さらに増粘剤を含有する、請求項1又は2に記載のソフトコンタクトレンズ用点眼剤。
- pHを5.5〜8.0に調整してなる、請求項1から3のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用点眼剤。
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