JP5476988B2 - 電気装置及びそれに用いるエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

電気装置及びそれに用いるエポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、基板の電極に電気素子が接合され、電極の周囲がレジスト材料で覆われている電気装置であって、電気素子がエポキシ樹脂組成物の硬化物で電極に接合されているか、又は電気素子がエポキシ樹脂組成物の硬化物で封止されている電気装置に関する。また、その電気素子に使用するエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ化合物に、酸無水物系硬化剤等を配合したエポキシ樹脂組成物が、比較的高い接着強度を示すことから、半導体素子、抵抗素子、半導体モジュールなどの電気素子を基板に接合する際に使用する接合材料として、或いは基板に電気素子を封止する際に使用する封止材料として広く使用されている。
しかし、硬化剤として酸無水物を使用したエポキシ樹脂組成物の場合、その硬化反応の際にアウトガスが発生するという問題がある。このようなアウトガスは、エポキシ化合物と酸無水物との反応が緩慢であるため、硬化反応を完了させるまでに十分な加熱を行うことが必要となり、そのためエポキシ樹脂組成物自体に含有されている気泡が膨張するために、また低分子量化合物が揮発するために発生と考えられる。このようなアウトガスの発生は、エポキシ樹脂組成物の硬化物に視認できるようなサイズのボイドを生じせしめ、接着強度、耐水性、光透過性等の低下を招く。
そこで、エポキシ樹脂組成物の硬化反応時にアウトガスの発生を抑制するために、硬化剤として、酸無水物に代えて低温速硬化性を示すスルホニウムカチオンを使用することが提案されている(特許文献1)。
特開2008−308596号公報
しかしながら、硬化剤としてスルホニウムカチオンを使用したエポキシ樹脂組成物の場合、低温で速硬化反応が行われるため、確かに硬化反応時のアウトガスの発生を抑制することができるが、このようなエポキシ樹脂組成物を接合材料又は封止材料として使用して得た電気装置を、半田リフロー炉に投入した場合にアウトガスに基づくボイドが発生するという問題が新たに生じる。このようなアウトガスは、リフロー炉等で高温に再度加熱処理されると、暴走反応(例えば、残存するスルホニウムカチオンが、既に硬化した樹脂組成物の結合鎖の弱い部分を切断する反応する反応)が生じ、その結果、エポキシ化合物の分子鎖が切断して低分子成分が発生し、その成分がアウトガスとなるものと考えられる。
また、硬化剤としてスルホニウムカチオンを用いたエポキシ樹脂組成物で、表面がレジスト材料で被覆されている基板に電気装置を接合又は封止した場合、エポキシ樹脂組成物の硬化が不十分となり、あるいは硬化が進行しないという場合があった。この硬化阻害現象は、レジスト材料自体やそれを処理する際に使用する処理液に含まれている各種イオンの一部、特にスルホニウムカチオンの活性を阻害するようなイオン種が、基板の表面から除去されずに残存するために生ずると考えられる。
また、表面がレジスト材料で被覆されていないガラスエポキシ基板に、硬化剤としてスルホニウムカチオンを用いたエポキシ樹脂組成物で電気装置を接合又は封止した場合にも、硬化阻害現象が発生する場合あった。この硬化阻害現象は、エポキシ樹脂の製造時に含まれるイオン種の存在によるものと考えられる。
本発明は、以上の従来の問題点を解決しようとするものであり、表面がレジスト材料で被覆されている基板に電気素子をエポキシ樹脂組成物で接合又は封止する場合に、あるいはガラスエポキシ基板に電気素子をエポキシ樹脂組成物で接合する場合に、硬化反応時だけでなく半田リフロー処理時にもアウトガスの発生を抑制し、しかも、エポキシ樹脂組成物を十分に硬化できるようにすることを目的とする。
本発明者らは、表面がレジスト材料で被覆されている基板に電気素子をエポキシ樹脂組成物で接合又は封止する場合、あるいはガラスエポキシ基板に電気素子をエポキシ樹脂組成物で接合する場合に、硬化剤として、アルミニウムキレート系硬化剤が多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得られた多孔性樹脂に保持されてなるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を使用することにより、本発明の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、基板の電極に電気素子が接合され、該電極の周囲にレジスト材料が配され、該電気素子が該電極にエポキシ樹脂組成物の硬化物で接合されている電気装置において、
該エポキシ樹脂組成物が、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)と硬化触媒(C)とを含有し、該硬化剤(B)が、アルミニウムキレート系硬化剤が多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得られた多孔性樹脂に保持されてなるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤であることを特徴とする電気装置を提供する。
また、本発明は、基板の電極に電気素子が接合され、該電極の周囲にレジスト材料が配され、該電気素子がエポキシ樹脂組成物の硬化物で樹脂封止されている電気装置において、
該エポキシ樹脂組成物が、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)と硬化触媒(C)とを含有し、該硬化剤(B)が、アルミニウムキレート系硬化剤が多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得られた多孔性樹脂に保持されてなるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤であることを特徴とする電気装置を提供する。
また、本発明は、ガラスエポキシ基板の電極に電気素子が接続され、該電気素子が該電極にエポキシ樹脂組成物の硬化物で接合されている電気装置において、
該エポキシ樹脂組成物が、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)と硬化触媒(C)とを含有し、該硬化剤(B)が、アルミニウムキレート系硬化剤が多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得られた多孔性樹脂に保持されてなるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤であることを特徴とする電気装置を提供する。
更に、本発明は、上述の電気装置に使用するためのエポキシ樹脂組成物であって、
該エポキシ樹脂組成物が、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)と硬化触媒(C)とを含有し、
エポキシ化合物(A)は、グリシジル型エポキシ化合物(a1)30〜55質量%と脂環式エポキシ化合物(a2)35〜60質量%とウレタン変性エポキシ化合物(a3)5〜30質量%とを含有し、
硬化剤(B)は、アルミニウムキレート系硬化剤が多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得られた多孔性樹脂に保持されてなるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤であり、
硬化触媒(C)は、以下の式(c)で表されるシラノール化合物であり、そして
エポキシ化合物(A)100質量部に対するアルミニウムキレート系潜在性硬化剤(B)の配合量が0.5〜5質量部であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物を提供する。
Figure 0005476988
式中、mは2又は3である。但し、mとnとの和は4である。Arは、置換されてもよいアリール基である。
本発明の電気装置においては、アルミニウムキレート系硬化剤が多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得られた多孔性樹脂に保持されてなるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を硬化剤として配合したエポキシ樹脂組成物を電気素子の接合又は封止に使用する。このため、表面がレジスト材料で被覆されている基板に電気素子をエポキシ樹脂組成物で接合又は封止する場合、あるいはガラスエポキシ基板に電気素子をエポキシ樹脂組成物で接合する場合、硬化反応時だけでなく半田リフロー処理時にもアウトガスの発生が抑制され、しかも、エポキシ樹脂組成物を十分に硬化させることができる。また、エポキシ樹脂組成物を、汎用のグリシジル型エポキシ化合物(a1)と、硬化速度の速い脂環式エポキシ化合物(a2)と、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤のウレタンシェルとウレタン構造が共通するためにそのシェルに対して馴染みが良好なウレタン変性エポキシ化合物(a3)とを特定の割合で含有する混合物から構成しているので、上述の効果に加え、更に接着強度を向上させることができる。
本発明の電気装置の概略断面図である。 本発明の電気装置の概略断面図である。 本発明の電気装置の概略断面図である。
以下、本発明を図面を参照しながら、電気装置の構造について説明し、次に本発明を特徴づけるエポキシ樹脂組成物について説明する。
図1の電気装置100は、基板11の電極12に電気素子13がエポキシ樹脂組成物の硬化物14で接合されており、電極12の周囲にレジスト材料15が配されている構造を有する。また、図2の電気装置200は、基板21の電極22に電気素子23が接合され、電極22の周囲にレジスト材料25が配され、電気素子23がエポキシ樹脂組成物の硬化物24で樹脂封止されている構造を有する。この場合、電極22と電気素子23とは、公知の絶縁性接着剤26や異方性導電接着剤で接合することができる。なお、図3は、図1の電気装置100において、レジスト材料15が使用されておらず、且つ基板11が、ガラスエポキシ基板である態様を示している。
本発明の電気装置100、200を構成する基板11,21としては、従来の電気装置に使用されている基板を適用することができ、例えば、ガラス基板、リジッド基板、フレキシブル基板、ガラスエポキシ基板などを挙げることができる。これらは配線基板であってもよい。
また、電極12も、従来の電気装置に適用されている電極を使用することができ、金属箔をエッチングにより加工したもの、無電解メッキや電解メッキを利用して形成したもの、スパッタや蒸着などにより形成したもの、これらを組み合わせて形成したもの等を使用することができる。
電気素子13,23としては、ICチップ、抵抗素子、LED、受光素子等、種々の電気素子を適用することができる。
レジスト材料としては、従来から使用されているソルダーレジスト、レジストフィルム等を適用することができ、これらは、熱可塑性、熱硬化性、光硬化性であるかは特に制限はない。また、半導体分野で使用されているようなポジ型レジスト、ネガ型レジストであってもよい。
図1及び図3の電気装置100においては、電気素子13を基板11の電極12に接合するために、また、図2の電気装置200においては、基板21の電極22に接合された電気装置23を樹脂封止するために、それぞれエポキシ樹脂組成物を硬化させたものを使用する。
このエポキシ樹脂組成物は、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)と硬化触媒(C)とを含有し、特に、硬化剤(B)として、アルミニウムキレート系硬化剤が多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得られた多孔性樹脂に保持されてなるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を使用する。以下、硬化剤(B)、硬化触媒(C)、エポキシ化合物(A)の順で説明する。
硬化剤(B)、即ちアルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、アルミニウムキレート系硬化剤からなるコアの周囲を多孔性樹脂のシェルで被覆した単純な構造のマイクロカプセルではなく、多孔性樹脂マトリックス中に存在する微細な多数の孔にアルミニウムキレート系硬化剤が保持された構造を有する。
このようなアルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、界面重合法を利用して製造されるため、その形状は球状であり、その粒子径は硬化性及び分散性の点から、好ましくは0.5〜100μmであり、また、孔の大きさは硬化性及び潜在性の点から、好ましくは5〜150nmである。
また、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、使用する多孔性樹脂の架橋度が小さすぎるとその潜在性が低下し、大きすぎるとその熱応答性が低下する傾向があるので、使用目的に応じて、架橋度が調整された多孔性樹脂を使用することが好ましい。ここで、多孔性樹脂の架橋度は、微少圧縮試験により計測することができる。
アルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、その界面重合時に使用する有機溶剤を実質的に含有していないこと、具体的には、1ppm以下であることが、硬化安定性の点で好ましい。
また、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤における多孔性樹脂とアルミニウムキレート系硬化剤との含有量は、アルミニウムキレート系硬化剤含量が少なすぎると熱応答性が低下し、多すぎると潜在性が低下するので、多孔性樹脂100質量部に対しアルミニウムキレート系硬化剤を、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは10〜150質量部である。
アルミニウムキレート系潜在性硬化剤において、アルミニウムキレート系硬化剤としては、式(1)に表される、3つのβ−ケトエノラート陰イオンがアルミニウムに配位した錯体化合物が挙げられる。
Figure 0005476988
式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立的にアルキル基又はアルコキシル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、オレイルオキシ基等が挙げられる。
式(1)で表されるアルミニウムキレート系硬化剤の具体例としては、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスオレイルアセトアセテート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート系潜在性硬化剤における多孔性樹脂を構成する多官能イソシアネート化合物は、好ましくは一分子中に2個以上のイソシアネート基、好ましくは3個のイソシアネート基を有する化合物である。このような3官能イソシアネート化合物の更に好ましい例としては、トリメチロールプロパン1モルにジイソシアネート化合物3モルを反応させた式(2)のTMPアダクト体、ジイソシアネート化合物3モルを自己縮合させた式(3)のイソシアヌレート体、ジイソシアネート化合物3モルのうちの2モルから得られるジイソシアネートウレアに残りの1モルのジイソシアネートが縮合した式(4)のビュウレット体が挙げられる。
Figure 0005476988
上記式(2)〜(4)において、置換基Rは、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた部分である。このようなジイソシアネート化合物の具体例としては、トルエン2,4−ジイソシアネート、トルエン2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ−m−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンジフェニル−4,4'−ジイソシアネート等が挙げられる。
このような多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得られる多孔性樹脂は、界面重合の間にイソシアネート基の一部が加水分解を受けてアミノ基となり、そのアミノ基とイソシアネート基とが反応して尿素結合を生成してポリマー化するものであり、多孔性ポリウレアである。このような多孔性樹脂とその孔に保持されたアルミニウムキレート系硬化剤とからなるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、硬化のために加熱されると、明確な理由は不明であるが、保持されているアルミニウムキレート系硬化剤が、潜在性硬化剤と併存している式(c)のシラノール化合物や熱硬化型樹脂と接触できるようになり、硬化反応を進行させることができる。
なお、多官能イソシアネート化合物を界面重合させる際に、ジビニルベンゼン等のラジカル重合性モノマーとラジカル重合開始剤とを共存させて共重合させ、マイクロカプセル壁の機械的性質を改善してもよい。これにより、エポキシ樹脂組成物の硬化時の熱応答速度を増大させることができる。
なお、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤の構造上、その表面にもアルミニウムキレート系硬化剤が存在することになると思われるが、界面重合の際に系内に存在する水により不活性化し、アルミニウムキレート系硬化剤は多孔性樹脂の内部で保持されたものだけが活性を保持していることになり、結果的に得られる硬化剤は潜在性を獲得できたものと考えられる。
アルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、アルミニウムキレート系硬化剤と多官能イソシアネート化合物とを揮発性有機溶剤に溶解させ、得られた溶液を、分散剤を含有する水相に投入し、加熱撹拌することにより界面重合させることを特徴とする製造方法により製造することができる。
この製造方法においては、まず、アルミニウムキレート系硬化剤と多官能イソシアネート化合物とを揮発性有機溶剤に溶解させ、界面重合における油相となる溶液を調製する。ここで、揮発性有機溶剤を使用する理由は以下の通りである。即ち、通常の界面重合法で使用するような沸点が300℃を超える高沸点溶剤を用いた場合、界面重合の間に有機溶剤が揮発しないために、イソシアネート−水との接触確率が増大せず、それらの間での界面重合の進行度合いが不十分となるからである。そのため、界面重合させても良好な保形性の重合物が得られ難く、また、得られた場合でも重合物に高沸点溶剤が取り込まれたままとなり、熱硬化型樹脂組成物に配合した場合に、高沸点溶剤が熱硬化型樹脂組成物の硬化物の物性に悪影響を与えるからである。このため、この製造方法においては、油相を調製する際に使用する有機溶剤として、揮発性のものを使用する。
このような揮発性有機溶剤としては、アルミニウムキレート系硬化剤と多官能イソシアネート化合物との良溶媒(それぞれの溶解度が好ましくは0.1g/ml(有機溶剤)以上)であって、水に対しては実質的に溶解せず(水の溶解度が0.5g/ml(有機溶剤)以下)、大気圧下での沸点が100℃以下のものが好ましい。このような揮発性有機溶剤の具体例としては、アルコール類、酢酸エステル類、ケトン類等が挙げられる。中でも、高極性、低沸点、貧水溶性の点で酢酸エチルが好ましい。
揮発性有機溶剤の使用量は、アルミニウムキレート系硬化剤と多官能イソシアネート化合物の合計量100質量部に対し、少なすぎると潜在性が低下し、多すぎると熱応答性が低下するので、好ましくは100〜500質量部である。
なお、揮発性有機溶剤の使用量範囲内において、揮発性有機溶剤の使用量を比較的多く使用すること等により、油相となる溶液の粘度を下げることができるが、粘度を下げると撹拌効率が向上するため、反応系における油相滴をより微細化かつ均一化することが可能になり、結果的に得られる潜在性硬化剤粒子径をサブミクロン〜数ミクロン程度の大きさに制御しつつ、粒度分布を単分散とすることが可能となる。油相となる溶液の粘度は1〜2.5mPa・sに設定することが好ましい。
また、多官能イソシアネート化合物を乳化分散する際にPVAを用いた場合、PVAの水酸基と多官能イソシアネート化合物が反応してしまうため、副生成物が異物として潜在性硬化剤粒子の周囲を付着してしまったり、および粒子形状そのものが異形化してしまったりする。この現象を防ぐためには、多官能イソシアネート化合物と水との反応性を促進すること、あるいは多官能イソシアネート化合物とPVAとの反応性を抑制することが挙げられる。
多官能イソシアネート化合物と水との反応性を促進するためには、アルミニウムキレート系硬化剤の配合量を多官能イソシアネート化合物の重量で好ましくは1/2以下、より好ましくは1/3以下とする。これにより、多官能イソシアネート化合物と水とが接触する確率が高くなり、PVAが油相滴表面に接触する前に多官能イソシアネート化合物と水とが反応し易くなる。
また、多官能イソシアネート化合物とPVAとの反応性を抑制するためには、油相中のアルミニウムキレート系硬化剤の配合量を増大させることが挙げられる。具体的には、アルミニウムキレート系硬化剤の配合量を多官能イソシアネート化合物の重量で好ましくは等倍以上、より好ましくは1.0〜2.0倍とする。これにより、油相滴表面におけるイソシアネート濃度が低下する。さらに多官能イソシアネート化合物は水酸基よりも加水分解により形成されるアミンとの反応(界面重合)速度が大きいため、多官能イソシアネート化合物とPVAとの反応確率を低下させることができる。
アルミニウムキレート系硬化剤と多官能イソシアネート化合物とを揮発性有機溶剤に溶解させる際には、大気圧下、室温で混合撹拌するだけでもよいが、必要に応じ、加熱してもよい。
次に、この製造方法においては、アルミニウムキレート系硬化剤と多官能イソシアネート化合物が揮発性有機溶剤に溶解した油相溶液を、分散剤を含有する水相に投入し、加熱撹拌することにより界面重合させる。ここで、分散剤としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン等の通常の界面重合法において使用されるものを使用することができる。分散剤の使用量は、通常、水相の0.1〜10.0質量%である。
油相溶液の水相に対する配合量は、油相溶液が少なすぎると多分散化し、多すぎると微細化により凝集が生ずるので、水相100質量部に対し、好ましくは5〜50質量部である。
界面重合における乳化条件としては、油相の大きさが好ましくは0.5〜100μmとなるような撹拌条件(撹拌装置ホモジナイザー;撹拌速度8000rpm以上)で、通常、大気圧下、温度30〜80℃、撹拌時間2〜12時間、加熱撹拌する条件を挙げることができる。
界面重合終了後に、重合体微粒子を濾別し、自然乾燥することにより本発明で使用できるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を得ることができる。ここで、多官能イソシアネート化合物の種類や使用量、アルミニウムキレート系硬化剤の種類や使用量、界面重合条件を変化させることにより、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤の硬化特性をコントロールすることができる。例えば、重合温度を低くすると硬化温度を低下させることができ、反対に、重合温度を高くすると硬化温度を上昇させることができる。
エポキシ樹脂組成物におけるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の含有量は、少なすぎると十分に硬化せず、多すぎるとその組成物の硬化物の樹脂特性(例えば、可撓性)が低下するので、エポキシ化合物(A)100質量部に対し好ましくは0.5〜5質量部である。
なお、アルミニウムキレート系硬化剤が、多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得た多孔性樹脂に、又は多官能イソシアネート化合物を界面重合させると同時にジビニルベンゼンをラジカル重合させて得た多孔性樹脂にアルミニウムキレート系硬化剤を保持してなるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤である場合、低温速硬化性の向上のために、式(A)のシラノール化合物を含浸させてもよい。含浸の方法としては、そのような多孔性樹脂に保持されたアルミニウムキレート系硬化剤からなるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を、有機溶媒(例えば、エタノール)中に分散させ、その分散液に式(A)のシラノール化合物(例えば、トリフェニルシラノール)及び必要に応じてアルミニウムキレート系硬化剤(例えば、モノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)のイソプロパノール溶液)を投入し、室温〜50℃程度の温度で数時間〜一晩撹拌を続ける方法を挙げることができる。
エポキシ樹脂組成物を構成する硬化触媒(C)は、以下の式(c)で表されるシラノール化合物である。
Figure 0005476988
式中、mは2又は3であり、但しmとnとの和は4である。従って、式(c)のシラノール化合物は、モノまたはジオール体となる。“Ar”は、置換されてもよいアリール基であるが、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、フロオレニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基等を挙げることができる。中でも、入手容易性、入手コストの観点からフェニル基が好ましい。m個のArは、いずれも同一でもよく異なっていてもよいが、入手容易性の点から同一であることが好ましい。
これらのアリール基は、1〜3個の置換基を有することができ、例えば、クロロ、ブロモ等のハロゲン;トリフルオロメチル;ニトロ;スルホ;カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル;ホルミル等の電子吸引基、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ;ヒドロキシ;アミノ;モノメチルアミノ等のモノアルキルアミノ;ジメチルアミノ等のジアルキルアミノ等の電子供与基などが挙げられる。なお、置換基として電子吸引基を使用することによりシラノールの水酸基の酸度を上げることができ、逆に、電子供与基を使用することにより酸度を下げることができるので、硬化活性のコントロールが可能となる。ここで、m個のAr毎に、置換基が異なっていてもよいが、m個のArについて入手容易性の点から置換基は同一であることが好ましい。また、一部のArだけに置換基があり、他のArに置換基が無くてもよい。
式(c)のシラノール化合物の中でも、好ましいものとして、トリフェニルシラノール又はジフェニルシラノールが挙げられる。特に好ましいものは、トリフェニルシラノールである。
式(c)のシラノール化合物の含有量に関し、シラノール化合物とエポキシ化合物(A)との合計に対する当該シラノール化合物の含有割合は、少なすぎると硬化不足となり、多すぎると樹脂特性(可撓性等)が低下するので、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜6質量%である。
本発明で使用するエポキシ樹脂組成物を構成するエポキシ化合物(A)は、グリシジル型エポキシ化合物(a1)と脂環式エポキシ化合物(a2)とウレタン変性エポキシ化合物(a3)とを含有する。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物(a1)は、成膜成分として使用されているものである。このようなグリシジルエーテル型エポキシ化合物(a1)としては、液状でも固体状でもよい。このようなグリシジルエーテル型エポキシ化合物(a1)のエポキシ当量(g/eq)は、エポキシ当量が小さすぎると分子量が小さくなるため、アウトガス成分が多くなることになり、大きすぎると相対的にエポキシ基の数が少なくなるため、反応が遅くなく傾向があるので、好ましくは100〜4000、より好ましくは100〜500である。特に、分子中に2以上のエポキシ基を有するものが好ましい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、エステル型エポキシ化合物等を挙げることができる。中でも、樹脂特性の点からビスフェノールA型エポキシ化合物を好ましく使用できる。また、これらのエポキシ化合物にはオリゴマーやポリマーも含まれる。
エポキシ化合物(A)におけるグリシジルエーテル型エポキシ化合物(a1)の含有量は、少なすぎると接着力が低下し、多すぎると相対的に脂環式エポキシ化合物(a2)の量が低下することになり、反応が遅くなる傾向があるので、好ましくは33〜55質量%である。
脂環式エポキシ化合物(a2)は、エポキシ樹脂組成物に低温速硬化性を付与するための成膜成分として使用されているものであり、液状でも固体状でもよい。このような脂環式エポキシ化合物(a2)のエポキシ当量(g/eq)は、エポキシ当量が小さすぎると分子量が小さくなるため、アウトガス成分が多くなることになり、大きすぎると相対的にエポキシ基の数が少なくなるため、反応が遅くなく傾向があるので、好ましくは100〜1000、より好ましくは100〜500である。好ましい脂環式エポキシ化合物(a2)としては、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、1,2:8,9−ジエポキシリモネン等を挙げることができる。中でも、樹脂特性の点から3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(セロキサイド2021P、ダイセル化学工業(株))を使用することができる。
エポキシ化合物(A)における脂環式エポキシ化合物(a2)の含有量は、少なすぎると反応が遅くなり、多すぎるとグリシジルエーテル型エポキシ化合物(a1)の量が相対的に低下するため、接着力が低下する傾向にあるので、好ましくは35〜60質量%である。
ウレタン変性エポキシ化合物(a3)は、分子鎖のなかで最長の分子鎖を有する主鎖に、ウレタン基を有する化合物である。このようなウレタン変性エポキシ化合物(a3)のエポキシ当量(g/eq)は、エポキシ当量が小さすぎるとアウトガス成分が多くなることがあり、また吸水率の増加等により耐湿性が低下し、大きすぎると反応が遅くなり、また、硬化性等のハンドリング性が低下する傾向にあるので、好ましくは100〜400、より好ましくは150〜300である。
このようなウレタン変性エポキシ化合物(a3)は、例えば、(イ)エポキシ基と水酸基とを有する化合物と、末端にイソシアネート基を有する化合物とを反応させる方法、(ロ)ジオール化合物にジイソシアネート化合物を反応させて末端に未反応のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得、次いで、このウレタンプレポリマーと分子中に水酸基を有するエポキシ樹脂とを反応させる方法等により製造することができる。なお、分子中に水酸基を有するエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA等のジオール化合物とエピクロロヒドリンとを反応させて得られる。
このような方法により得られるウレタン変性エポキシ化合物(a3)としては、下記式(5)で表されるものが好ましい。
Figure 0005476988
式(5)中、Rは2価の有機基を示す。Rとしては、5員環骨格、6員環骨格、ナフタレン骨格又はアントラセン骨格を有する2価の有機基が好適である。Rの好適な具体例としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールADから水素原子を除いた残基が挙げられる。
式(5)中、Rは2価の有機基を示す。Rとしては、上記(ロ)の方法で使用するジイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基、上述したウレタンプレポリマーからイソシアネート基を除いた残基が挙げられる。なお、ジイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基としては、例えば、トリレン基、キシリレン基、ビフェニレン基が挙げられる。
また、式(5)中、mは正の数を示す。mは好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.5である。
なお、式(5)で表されるウレタン変性エポキシ化合物は商業的に入手することも可能であり、例えば、EPU−78−13S、その他EPUシリーズ(以上商品名、旭電化製)が挙げられる。
エポキシ化合物(A)におけるウレタン変性エポキシ化合物(a3)の含有量は、少なすぎると接着力が低下する傾向があり、多すぎるとグリシジルエーテル型エポキシ化合物(a1)及び脂環式エポキシ化合物(a2)の量が相対的に低下し、反応が遅くなり、成膜に影響がでる傾向があるので、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜20質量%である。
本発明で使用するエポキシ樹脂組成物には、発明の効果を損しない範囲で他の成分を添加することができる。例えば、シランカップリング剤、シリカ、マイカなどの充填剤、顔料、帯電防止剤などを含有させることができる。
エポキシ樹脂組成物は、エポキシ化合物(A)、硬化剤(B)、硬化触媒(C)及び必要により配合される他の添加剤を、常法により混合し、製造することができる。このエポキシ樹脂組成物は、接着ペーストとしてあるいは成膜して接着フィルムとして使用することができる。対向する被着体に挟持されたこのエポキシ樹脂組成物は、通常100〜150℃で15分間加熱することにより硬化させることができ、対向する被着体を強固に接合することができる。
また、このエポキシ樹脂組成物を使用して図1、図2及び図3の電気装置は公知の手法を参照して製造することができる。
例えば、図1の電気装置は、電極の周囲にレジスト材料が配されている基板の上又はその近傍に、エポキシ樹脂組成物のフィルムを配置する。次に、電気素子を電極に位置合わせしながら配置するとともに、加圧ヘッドにより押圧する。これにより図1の電気装置が得られる。また、図2の電気装置は、電極の周囲にレジスト材料が配されている基板の上又はその近傍に、接着剤を配置する。次に、電気素子を電極に位置合わせしながら配置するとともに、加圧ヘッドにより押圧し、仮接着する。次に、電気素子を覆うように、エポキシ樹脂組成物のペーストを塗布し、加熱炉中で加熱することにより図2の電気装置が得られる。図3の電気装置は、電極の周囲にレジスト材料が配されていない基板の上又はその近傍に、エポキシ樹脂組成物のフィルムを配置する。次に、電気素子を電極に位置合わせしながら配置するとともに、加圧ヘッドにより押圧する。これにより図3の電気装置が得られる。
以下、本発明について、実施例を用いて具体的に説明する。
実施例1、比較例1〜4
表1の配合の成分を均一に混合することによりエポキシ樹脂組成物を製造した。なお、シリカフィラー(YXK35R、(株)龍森)の配合量は、混合後に72.50質量%となる量とした。
(硬化阻害の評価(ICチップに対する接着強度))
硬化阻害に関し、基板及び基板上のレジスト材料の影響を調べるため、以下の基板X、Y及びZを用意した。そして、これらの基板に、実施例1、比較例1、3及び4のエポキシ樹脂組成物を一般的なディスペンス装置を用いて、2mg/5mmφの量で供給した。さらに、ICチップ(6mm角)の電極と配線基板の電極とを位置合わせし、一般的なボンディング装置で仮圧着して、その後150℃で15分加熱して目的のサンプルを得た。
基板X
絶縁層がポリイミド樹脂であるフレキシブル配線板に、ソルダーレジスト層(SN−9000、日立化成工業(株)製)を形成したもの。なお、レジスト材料の影響を調べるために、電極のパッドの周囲だけでなく、電極上にもソルダーレジスト層を形成した(従って、電極同士は接続されていない)。
基板Y
絶縁層がポリイミド樹脂であるフレキシブル配線板に、ソルダーレジスト層(NPR3300、日本ポリテック(株)製)を形成したもの。なお、レジスト材料の影響を調べるるために、電極のパッドの周囲だけでなく、電極上にもソルダーレジスト層を形成した(従って、電極自体は接続されていない)。
基板Z
絶縁層がガラスエポキシ材であり、いわゆるFR4と呼ばれる基板。
得られた基板について、一般の強度測定器(ダイシェア、シェア速度200μm/sec)の条件で測定した結果を表1に示す。ここで、高い接着強度を示した場合を「○」として評価し、硬化そのものに問題があった場合を「×」として評価した。
実施例1のサンプルは、基板Xについては25.5N、基板Yについては22.5N、基板Zについては26.2Nと高い値を示したため、「○」と評価した。一方、比較例1、3及び4のサンプルは、基板Yについては硬化したものの、基板X及びZについては、硬化阻害のより未硬化のままであるため測定することができなかった。硬化率は約60%であった。従って、それらの場合を「×」と評価した。
(アウトガスの評価)
基板X及び基板Yについては、電極の周囲にのみソルダーレジスト層を形成して電極同士を接合した以外は、硬化阻害評価サンプルの作成の場合と同様の方法で、目的のサンプルを得た。そして、実施例及び比較例の電気装置について、(1)サンプル作成直後のエポキシ樹脂組成物の硬化物の状態、並びに(2)電気装置を半田リフロー炉(260℃)を通過させた場合のエポキシ樹脂組成物の硬化物の状態を目視により観察した。目視によりアウトガスが確認できない場合を「○」、確認できる場合を「△」とした。得られた結果を表1に示す。
表1から分かるように、実施例1のサンプルは、上記(1)(2)のいずれの条件においてもアウトガスを確認できなかった。その一方、比較例1〜4については、(1)についてはアウトガスが確認できないものの、(2)の場合にはアウトガスが確認された。
(イオン濃度及び有機酸の評価)
アウトガスを評価した際と同様のサンプル(電気装置)を用意するとともに(1)100℃に10時間放置した後、又は(2)121℃、押力2Nを与えて10時間放置した後、エポキシ樹脂組成物の硬化物中の「イオン濃度」及び「有機酸」を、JIS K0127に従って定量した。得られた結果を表1に示す。
表1から分かるように、実施例1のエポキシ樹脂組成物を使ったサンプルは、いずれの条件においても50ppm以下であり、イオン及び有機酸の発生が少なく、アウトガスの原因物質も少なかった。一方、各比較例においては、有機酸の発生が多く、アウトガスの原因物質が多いことが確認できた。
(接着強度(割裂試験の観点))
硬化阻害を評価した際の基板Yを用意し、その中央部に、上記実施例1及び比較例1,3及び4のエポキシ樹脂組成物を、6mg/5mmφの量で滴下するとともに、基板と同形状のエポキシ樹脂基板を交差(十文字状に)配置し、150℃で15分間加熱することにより貼り合わせてサンプルとした。得られた直後(初期)のサンプルに対し、Push−Pull Gage(AIKOH ENGINEERING社)にて、割裂試験を行った。また、得られたサンプルを、121℃、2気圧、飽和水蒸気中に4時間放置した後(PCT試験)、あるいは−45℃と125℃との間、100サイクルのヒートショックを与えた後(ヒートショック試験)、当該サンプルに対し同様に割裂試験を行った。いずれの場合にも、18N以上の割裂強度を示し且つソルダーレジスト層が破壊(レジスト破壊)されたものを接着強度が高いと判定し、「○」として評価し、他方、18N未満の割裂強度又は接続材料が界面破壊(AD破壊)したものを接着強度が低いと判定し「×」として評価した。得られた結果を表1に示す。
表1からもわかるように、実施例1及び比較例1、3、及び4のエポキシ樹脂組成物を使ったサンプルは、剥離の際にソルダーレジスト層が破壊され、高い接着強度を示すことがわかる。一方、比較例2は、ウレタン変性エポキシ樹脂の量が他の比較例に比べて相対的に少なく、またアルミキレート系潜在性硬化剤も含有されていないため、ソルダーレジスト界面から破壊されるという接着強度が低いものであった。
Figure 0005476988
表1において、使用した成分を以下に示す。
*1:エポキシ当量=180g/eq
*2:エポキシ当量=110g/eq
*3:エポキシ当量=120g/eq
*4:EPU−78−13S、ADEKA(株)
*5:特開2009−197206号の実施例1に記載のアルミキレート系硬化剤
*7:SCS−2、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス(株)
*8:SIS、三新化学(株)
*9:炭酸プロピレン、和光純薬(株)
本発明の電気装置は、表面がレジスト材料で被覆されている配線基板に電気素子をエポキシ樹脂組成物で接合又は封止する場合に、硬化反応時だけでなく半田リフロー処理時にもアウトガスの発生を抑制し、しかも、エポキシ樹脂組成物を十分に硬化させることができる。従って、ICデバイス、光デバイス等の構造に好ましく適用できる。
11、21 基板
12、22 電極
13、23 電気素子
14、24 エポキシ樹脂組成物の硬化物
15、25 レジスト材料
26 接着剤
100、200 電気装置

Claims (4)

  1. 基板の電極に電気素子が接合され、該電極の周囲にレジスト材料が配され、該電気素子が該電極にエポキシ樹脂組成物の硬化物で接合されている電気装置において、
    該エポキシ樹脂組成物が、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)と硬化触媒(C)とを含有し、
    該エポキシ化合物(A)が、下記式(5)
    Figure 0005476988
    で表されるウレタン変性エポキシ化合物を含有し、ここで、式(5)中、R 及びR は2価の有機基であり、mは正の数であり、
    該硬化剤(B)が、アルミニウムキレート系硬化剤が多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得られた多孔性樹脂に保持されてなるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤であることを特徴とする電気装置。
  2. 基板の電極に電気素子が接合され、該電極の周囲にレジスト材料が配され、該電気素子がエポキシ樹脂組成物の硬化物で樹脂封止されている電気装置において、
    該エポキシ樹脂組成物が、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)と硬化触媒(C)とを含有し、
    該エポキシ化合物(A)が、下記式(5)
    Figure 0005476988
    で表されるウレタン変性エポキシ化合物を含有し、ここで、式(5)中、R 及びR は2価の有機基であり、mは正の数であり、
    該硬化剤(B)が、アルミニウムキレート系硬化剤が多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得られた多孔性樹脂に保持されてなるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤であることを特徴とする電気装置。
  3. ガラスエポキシ基板の電極に電気素子が接続され、該電気素子が該電極にエポキシ樹脂組成物の硬化物で接合されている電気装置において、
    該エポキシ樹脂組成物が、エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)と硬化触媒(C)とを含有し、
    該エポキシ化合物(A)が、下記式(5)
    Figure 0005476988
    で表されるウレタン変性エポキシ化合物を含有し、ここで、式(5)中、R 及びR は2価の有機基であり、mは正の数であり、
    該硬化剤(B)が、アルミニウムキレート系硬化剤が多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得られた多孔性樹脂に保持されてなるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤であることを特徴とする電気装置。
  4. エポキシ化合物(A)と硬化剤(B)と硬化触媒(C)とを含有し、以下の電気装置(1)、(2)または(3):
    基板の電極に電気素子が接合され、該電極の周囲にレジスト材料が配され、該電気素子が該電極にエポキシ樹脂組成物の硬化物で接合されている電気装置(1);
    基板の電極に電気素子が接合され、該電極の周囲にレジスト材料が配され、該電気素子がエポキシ樹脂組成物の硬化物で樹脂封止されている電気装置(2);または
    ガラスエポキシ基板の電極に電気素子が接合され、該電気素子が該電極にエポキシ樹脂組成物の硬化物で接合されている電気装置(3)
    に使用するためのエポキシ樹脂組成物であって、
    エポキシ化合物(A)は、グリシジル型エポキシ化合物(a1)30〜55質量%と脂環式エポキシ化合物(a2)35〜60質量%とウレタン変性エポキシ化合物(a3)5〜30質量%とを含有し、
    硬化剤(B)は、アルミニウムキレート系硬化剤が多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得られた多孔性樹脂に保持されてなるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤であり、
    硬化触媒(C)は、以下の式(c)
    Figure 0005476988
    (式中、mは2又は3であり、但しmとnとの和は4である。Arは、置換されてもよいアリール基である。)
    で表されるシラノール化合物であり、そして
    エポキシ化合物(A)100質量部に対するアルミニウムキレート系潜在性硬化剤(B)の配合量が0.5〜5質量部であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
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