JP5475216B2 - プラズマ発生装置 - Google Patents

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この発明は、プラズマ発生装置およびプラズマ発生装置の冷却方法に関し、特にチャンバ内部においてプラズマを発生させるプラズマ発生装置およびプラズマ発生装置の冷却方法に関する。
誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma、以下、ICPと表記する。)発生装置においては大きい電力が使用され、この電力が大量の熱を発生させる。大量の熱によってプラズマ発生用のチャンバが高温になり過ぎるという問題が生じていた。例えば、チャンバの素材として用いられる石英に対するナトリウムの拡散速度の上昇は高温下において顕著となるため、ナトリウムがチャンバを貫通して内部のワークを汚染するという問題が生じていた。
これに対して、ブロワを使用してドーム状のチャンバの上面に向けて空気を送風する冷却システムが提案されている(例えば、特許文献1、参照。)。かかる構成によれば、チャンバを空冷することができる。
米国特許第6,367,410B1
しかしながら、上述した文献の冷却システムでは、冷却風が直接吹き付けられるチャンバの上面の冷却ができても、チャンバの側面には冷却風が行き届かないという問題があった。例えば、円筒チャンバを備えたICP発生装置においては、プラズマがチャンバの側面の内側に沿って円環状に発生するため、プラズマによってチャンバの側面が最も加熱されることとなる。
従って、上述した文献に開示された冷却システムでは、ICP発生用のチャンバの最加熱部を効率よく冷却することができないという問題があった。側面にブロワを取り付けて冷却風を直接吹き付けることも考えられるが、側面に送風用の穴を設ける必要があり安全面に問題があるとともに、エアフローが軸対称とならず冷却性能の均一性が損なわれるという問題があった。
本発明は、このような課題にかんがみてなされたもので、簡素な構成で効果的にチャンバを冷却することができるプラズマ発生装置およびプラズマ発生装置の冷却方法の提供を目的とする。
こうした目的を達成するため、本発明では、内部にてプラズマが発生させられるチャンバが備えられる。密閉型のシールドは所定の隙間を隔てて上記チャンバを外側から囲む。上記シールドの内側と外側とを連通させる開口部が当該シールドに形成される。さらに、ファンが備えられ、当該ファンが上記シールドの内側から吸気し、同シールドの外側に排気する。
なお、本発明の一つの態様として、上記ファンとしてシロッコファンを適用してもよい。
さらに、本発明の別の態様では、上記開口部が上記チャンバの最高温部の近傍に形成される。
また、本発明の一つの態様として、上記チャンバの最高温部が上記ファンと上記開口部との間に配置されるようにしてもよい。それによって、上記シロッコファンによって上記開口部から上記シールドの内側に吸い込まれた空気が上記チャンバの最高温部を通過させることができる。
本発明の一つの態様として、上記チャンバと上記シールドは同軸の略円筒形とし、当該シールドの上面の中央に上記シロッコファンが配置してもよい。
さらに、本発明の別の態様では、上記シールドの円筒側面における一定の高さで上記開口部が周方向に均等に分布するように複数配置される。
また、本発明特有の冷却方法を採用したプラズマ発生装置のみならず、当該冷却方法そのものとして特定することができる。すなわち、ファンにより、所定の隙間を隔てて上記チャンバの外側から上記チャンバを囲む密閉型のシールドに形成された、上記シールドの内側と外側とを連通させる開口部を介して、上記シールドの内側から吸気し、上記シールドの外側に排気する冷却方法としても同様の技術的思想が具体的に実現されることはいうまでもない。
以上説明したように、本発明によれば、ファンによる吸気流によって、効果的にチャンバを冷却することができる。また、ファンとしてシロッコファンを適用することによって、さらに冷却性能を向上させることができる。ファンと開口部との間に最高温部を配置することにより、確実に最高温部にファンによる吸気流を通過させることができ、最高温部の温度上昇を効果的に防止することができる。さらに、各部材の構造や配置をファンに関して対称とすることにより、ファンによる吸気流を均一化することができ、冷却性能を均一化することができる。
以下の順序にしたがって本発明の一実施形態を説明する。
(1)第1の実施形態:
(2)第2の実施形態:
(1)第1の実施形態
図1は本発明の一実施形態にかかるプラズマ発生装置を側方(水平方向)から見て示し、図2はプラズマ発生装置の水平断面を上方から見て示している。両図において、プラズマ発生装置10はチャンバ20とコイル30とシールド40とシロッコファン50とから構成されている。チャンバ20はほぼ密閉された石英製の略円筒とされており、図示しないガス供給系によって内部にガスが供給されている。このガスをチャンバ20の内部にてプラズマ化させることにより、プラズマを発生させる。そして、チャンバ20の内部にて発生したプラズマを作業媒体として使用することにより、例えばアッシング(半導体のパターン形成等に用いられるレジスト材の除去)やエッチングやスパッタリング等の各種プラズマプロセスを行うことができる。
チャンバ20はシールド40によって外側から囲まれている。このシールド40は、略密閉型の円筒形状の形状を有しており、例えばアルミニウム系合金によって形成されている。チャンバ20とシールド40は、上方視において同心状に配置されている。チャンバ20とシールド40の上面同士および側面同士の間には所定距離の隙間が確保されており、当該隙間にて冷却気流を流動させることができる。また、チャンバ20の外側面とシールド40の内側面との間の略円筒状の隙間には円筒螺旋状のコイル30がホルダ42によって保持されている。このコイル30に対して図示しない高周波を供給することにより、チャンバ20の側面の内側にプラズマ密度が最も高い部分が略円環状のプラズマ(図1,3において模式的に分布を破線で図示)が生成される。本実施形態ではコイル30のほぼ中間の高さにプラズマの高密度部が分布する。
このプラズマの高密度部に対応する高さのチャンバ20の部分が最も高温となる。チャンバ20の最高温部の高さをTmaxで示す。その温度はチャンバ20の周方向に関して均一となる。チャンバ20の高さTmaxの位置の温度はプラズマの用途によって異なるが、大きいアッシングレートが要求されるアッシングにおいては極めて高温となる。なお、高さTmaxの位置は、コイル30とグランドとの接続位置や、コイル30に与える高周波の波長によって変化される。
シロッコファン50はシールド40の円形の上面の中央に配置され、シロッコファン50もチャンバ20及びシールド40と同心状の配置となっている。シロッコファン50は周方向に均等に配置された多数の小型の羽を有しており、中央の鉛直軸を中心として回転することにより内側の空気を遠心力によって外側に吸気する。シロッコファン50の内側の空間はシールド40の内側に連通しており、チャンバ20とシールド40との間の空気を吸気することができる。このように、シロッコファン50は、シールド40の円形の上面の中央に配置され、周方向に均等に配置された多数の小型の羽によって吸気を行うため、チャンバ20とシールド40との間の空気を周方向に均一に吸気することができる。シロッコファン50はケーシング51によって外側から覆われており、ケーシング51の一部に図示しないダクトを接続するための排気口52が設けられている。シロッコファン50は排気口52を介して気体を排出する。
さらに、側面における高さTmaxの位置の近傍であって、高さTmaxよりもわずかに下の位置に複数の開口部41,41,41・・・が形成されている。開口部41,41,41・・・は、シールド40の内部と外部とを連通する矩形状の穴であり、シールド40の周方向に均一に配置されている。シロッコファン50の駆動によって、開口部41,41,41・・・からシールド40の内側に外部の空気が誘導され、排気口52からダクトへ排気される。
図3は、チャンバ20とシールド40との間の気流(以下、冷却気流CAと表記する。)の様子を模式的に示している。同図において、開口部41,41,41・・・から内側に吸い込まれた空気がシロッコファン50によって吸気されることにより、冷却気流CAが生じている。冷却気流CAは、初期において開口部41,41,41・・・の開口面に略直交する方向、すなわちチャンバ20の中心に向かう方向に進行する。その後、冷却気流CAは、チャンバ20の外側面に沿って上方に進行し、チャンバ20の上面にて中央に誘導される。
上述したとおりシロッコファン50はチャンバ20の周方向に均一に吸気することができ、開口部41,41,41・・・の配置も周方向に均一であるため、上方に向かう冷却気流CAの流量は周方向について均一となる。このような吸気による方式によれば、風量の不均一性を抑えることができる。また、シロッコファン50によれば小型のものでも高い吸引能力を発揮することができる。なお、本発明において使用可能なファンは吸引可能なファンであればよく、他の方式の吸引ファンを使用することができる。
シールド40の開口部41,41,41・・・の位置は、チャンバ20の最高温部の高さTmaxよりもわずかに下の位置に形成されており、シロッコファン50と開口部41,41,41・・・との間にチャンバ20の最高温部が位置するため、開口部41,41,41・・・を始点とした冷却気流CAがチャンバ20の最高温部の外側を通過するようにすることができる。従って、確実に冷却気流CAがチャンバ20の最高温部を通過して、チャンバ20の最高温部を効率よく冷却することができる。冷却気流CAの流量は周方向について均一であるため、高さTmaxの位置において周方向に均一に分布するチャンバ20の最高温部を均一に冷却することができる。
また、シールド40の内側に吸気した外部の室温の空気を、吸気した直後にチャンバ20の最高温部を通過させることができるため、高い冷却効率を得ることができる。さらに、シロッコファン50によれば、チャンバ20とシールド40との間の空気を効率良く集めてダクトによって外部に排気することができる。例えば、ダクトの出口を室外に設けることにより室内にチャンバ20を冷却した後の気体が外部に流出しないようにすることができる。これにより、高温となるチャンバ20とシールド40との間に発生するオゾン等の有害ガスから室内の作業者を守ることができる。
ここで、図示した開口部41,41,41・・・の開口面積や形成位置はあくまでも一例であり、これらはプラズマ発生装置10に応じて最適化するのが望ましい。例えば、開口部41,41,41・・・の開口面積を小さくして流量を絞ることによって流速を大きくすることができる。流速の増大に応じて冷却気流CAの流路も変わるため、それに応じて冷却気流CAが最高温部に当たるように開口部41,41,41・・・とチャンバ20の最高温部の高さTmaxとの位置関係も調整すべきである。また、冷却気流CAの流量を多くするために開口部41,41,41・・・の開口面積を大きくする場合も考えられる。
この場合も流量の増加にともなって流速や流路が変動するため、同様に開口部41,41,41・・・とチャンバ20の最高温部の位置関係も調整すべきである。シロッコファン50の吸引能力を変更した場合にも、当該吸引能力に応じた開口部41,41,41・・・の開口面積や形成位置を設定すべきである。冷却気流CAの流速や流量や流路は各プラズマ発生装置10の形状やチャンバ20の最高温部の温度や位置や広がりに応じて最適なものを設定すべきであり、それに応じて開口部41,41,41・・・の開口面積や形成位置も最適化する必要がある。なお、作業者がシールド40の内側に手を入れることができないように、開口部41,41,41・・・の開口面積を小さくすることが望ましい。
図4はチャンバ20の最高温部の温度変動を示している。同図における破線は従来の送風方式で冷却した場合の温度の推移を示しており、実線は本発明の方式で冷却した場合の温度の推移を示している。コイル30に対して4.5kWの電源を一定周期で間欠的に供給しており、双方の方式において温度が周期的に変動している。従来の方式では、プラズマ発生装置10の運転時間tが経過するにしたがって温度が順次上昇し、所定時間経過時には400°Cにも達している。
これに対して、本発明の方式では、運転初期においては温度が上昇するものの、しばらく時間が経過すると200°Cより低い温度で温度振幅の中心が一定化している。このことは、本発明の冷却方式が従来のものと比較して優れていることを示している。上述したとおり、本発明の冷却性能は周方向に均一であるため、チャンバ20の最高温部の高さTmaxの位置の周方向全体にわたって冷却効果が発揮されている。
図5は、石英(SiO2)中における各種元素の拡散係数を比較したアレニウスプロットである。同図において、温度の上昇とともに各元素とも拡散係数が上昇している。特にナトリウム(Na)については全体的に拡散係数が大きいとともに、温度による拡散係数の上昇度合いが顕著となっている。図4の例において、本発明の方式によれば、従来は400°C以上であったチャンバ20の最高温部の温度を200°C以下まで冷却することができる。200°C以下までチャンバ20の最高温部の温度を低下させることにより、ナトリウムの拡散係数を1桁から2桁近く抑えることができる。従って、プラズマ発生装置10の運転中に外部雰囲気中のナトリウムがチャンバ20の表面から内部に拡散し、内側の半導体ウェハ等のワークがナトリウムによって汚染されることが防止できる。周方向について均一に冷却性能を発揮するため、一部の方向からナトリウムが侵入してワークを汚染することもない。
(2)第2の実施形態:
図6は本発明の一実施形態にかかるプラズマ発生装置を側方から見て示している。両図において、プラズマ発生装置110は前実施形態と同様にチャンバ120とコイル130とシールド140とシロッコファン150とから構成されている。ただし、コイル130の巻数が前実施形態のコイル30よりも少なくなっている。このようなコイル130においても本発明の冷却方法を行うことができる。コイル130は高さ方向において局所的な磁場を生じさせ、チャンバ120の最高温部の高さTmaxはコイル130が備えられる高さとなる。従って、前実施形態と同様に高さTmaxよりもやや低い位置において開口部141,141,141・・・を形成することより、高い冷却効果を発揮することができる。
プラズマ発生装置の側面図である。 プラズマ発生装置の水平断面図である。 冷却気流を説明する模式図である。 冷却性能を示すグラフである。 アレニウスプロットである。 第2の実施形態にかかるプラズマ発生装置の側面図である。
符号の説明
10…プラズマ発生装置、20…チャンバ、30…コイル、40…シールド、41…開口部、42…ホルダ、50…シロッコファン、CA…冷却気流。

Claims (2)

  1. チャンバの内部にてプラズマを発生させるプラズマ発生装置であって、
    上面および側面を有し、上記チャンバの外側と所定の隙間を隔てて上記チャンバを囲むシールドであって、上記チャンバの最高温部の近傍に上記シールドの内側と外側とを連通させる開口部が形成されたシールドと、
    上記シールドの内側から吸気し、上記シールドの外側に排気するファンと
    を備え、
    上記開口部は上記チャンバの最高温部下部の近傍において上記シールドの側面に一定の高さで周方向に均等に複数配置され、上記ファンによる上記シールドの内側からの吸気に伴い、上記シールドの外側の空気を上記シールドの内側に導き、
    上記ファンは、上記開口部を介して上記シールドの内側に導かれた空気を上記シールドの外側に排気する、ことを特徴とするプラズマ発生装置。
  2. 上記チャンバと上記シールドは同軸の円筒形であり、
    上記ファンは当該シールドの上面の中央に配置されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生装置。
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