JP5473847B2 - パンタグラフ用舟体及びそれを有するパンタグラフ - Google Patents
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Description
まず、図5を参照してパンタグラフの全体の構造の一例を説明する。
図5に示すように、パンタグラフ1は、電気鉄道の車両に電力供給する架線(トロリ線)に押し当てられるすり板体10が固定された舟体20と、車両の屋根上に舟体20を昇降可能に支持する枠組み30と、枠組み30に、舟体20を略一定の力で押し上げる押上力を与えるバネ40と、を備える。以降の説明において、車両の幅方向(レール方向と直交する方向)を左右方向という。
また、枠組み30の下端は、主軸に回動可能に取り付けられているとともに、主バネ40に連結されている。この主バネ40により、枠組み30に上昇力が与えられる。
舟体20は、図6(B)、(C)に示すように、左右方向に長い、中空部を有する箱状体であり、底板21、前後の長側板22、及び、左右の短側板23を有する。さらに、上面の両端には、左右の補助すり板24が中空部に被さるように取り付けられている。各板はある程度の厚さを有するので、舟体20の上面には、図6(C)に示すように、左右方向において、左右補助すり板24の内端面24aと、前後長側板22の上端面とで囲まれる凹部S(はめ込み部)が形成される。後述するように、すり板体10はこの凹部Sに保持される。
舟体20は、一例でアルミニウム合金(ジュラルミン)等で作製される。一例で、舟体20の長さ(左右方向長さ)は1m、幅(レール方向長さ)は70mmである。
各すり板片16、17は、一例で鉄系や銅系の焼結合金製、あるいは、カーボン系材料等で作製される。すり板体10の長さは、舟体20の左右方向長さよりも短く、前述の舟体20の上面の凹部Sの左右方向長さに等しい。また、主すり板片16の全体の左右方向長さは一例で55cmである。
なお、図6(A)に示すように、補助すり板24とすり板体10との継ぎ目、及び各すり板片16、17の継ぎ目はレール方向において斜めになっており、レール方向に概ね平行なトロリ線が各継ぎ目に引っ掛かったり嵌り込んだりすることを防止している。
本発明の舟体20の構造は、図5で示した従来の舟体の構造とほぼ同じである。図5で示した部材・部位と同じ作用・構成を有する部材・部位は図5と同じ符号を付し説明を省略する。
この例の舟体20も、左右方向に長い、中空部を有する箱状体であるが、底板21、前後の長側板22、及び、左右の短側板23からなり、左右の補助すり板のない構造である。舟体20の左右端には、外方向かつ斜め下方向に突き出すホーン27が取り付けられている。一方、すり板体10の左右方向長さは、舟体20の左右方向長さと等しくなっている。この例のすり板体10も、図7(B)、(C)に示すように、左右方向に長い基材11と、同基材上に固定されるすり板15とを有する。
本発明の舟体の構造は、図7で示した舟体の構造とほぼ同じである。図7で示した部材・部位と同じ作用・構成を有する部材・部位は図7と同じ符号を付し説明を省略する。
この例では、舟体20の前後長側板22の上端面に、トロリ線との摺動性を有する材料からなる耐摺動性層50を取り付ける。トロリ線との摺動性とは、トロリ線との摺動に対する耐久性、導電性及び潤滑性を含む。このような材料として、例えば、鉄系焼結合金やC/Cコンポジット(炭素繊維強化炭素複合材)を使用できる。この場合、すり板体が外れた際に、トロリ線は舟体10の凹部の耐摺動性層50上を摺動するので、トロリ線に及ぼすダメージを低減でき、走行可能な時間を長くすることができる。
この例は、すり板体が多分割すり板体の例を示す。舟体20は、図1の舟体と同様に、左右方向に長い、中空部を有する箱状体であり、底板21、前後の長側板22、及び、左右の短側板23を有する。さらに、両端には、左右の補助すり板24が中空部に被さるように取り付けられている。多分割すり板体60は、前述の例と同様に、舟体20の上面の凹部S(はめ込み部)に支持されている。
銅板61の下面には、すり板13の各々に対して1個のガイド65が固定されている。ガイド65は、側面形状が上に開口したコの字型であり、底板と前後の側板を有する。
舟体20の内部のほぼ中央高さ位置には、左右方向に延びるストッパ68が架け渡されている。このストッパ68はすり板体60の上方向の移動を規制するものである。ストッパ68には、微動バネ67が通される孔が開けられている。
11 基材 12 取付金具
15 すり板 16 主すり板片
17 補助すり板片 19 センサ
20 舟体 21 底板
22 長側板 23 短側板
24 補助すり板 24a 内端面
27 ホーン 27a 内端面
28 取付台 29 バネ
30 枠組み 31 舟支え
40 主バネ
50 耐摺動性層
60 多分割すり板体 61 銅板
62 ゴム板 63 すり板
65 ガイド 67 微動バネ
68 ストッパ
Claims (6)
- 電気鉄道車両のパンタグラフの枠組上に昇降可能に支持され、トロリ線と摺動するすり板体を保持するパンタグラフ用舟体であって、
前記すり板体は、バネによって前記舟体に対して上方に付勢されており、
該舟体の上面には、前記すり板体がはめ込まれるはめ込み部が、前記車両の左右方向に延びるように形成されており、
該はめ込み部の左右端部が、外側上向きのテーパ状となっており、
万一前記すり板体が前記舟体から外れて、前記トロリ線が前記舟体の前記はめ込み部内を摺動せざるを得なくなった場合に、前記トロリ線を前記はめ込み部のテーパ状の前記左右端部に沿って前記はめ込み部の外方向へ案内できることを特徴とするパンタグラフ用舟体。 - 前記舟体の左右端部に、外側に弧状下向きに張り出すホーンが取り付けられており、
該ホーンの内側端部の上面が、内側下向きのテーパ状となっていて、前記はめ込み部の左右端部を構成していることを特徴とする請求項1に記載のパンタグラフ用舟体。 - 前記舟体はめ込み部の上面に、低摩擦係数の耐摺動性層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のパンタグラフ用舟体。
- 前記はめ込み部の上面又はその直下に、前記トロリ線の接触を検知するセンサが設けられており、
該センサが、前記すり板の摩耗及び/又は損傷を検知する際に使用されているものであることを特徴とする請求項1〜3記載のパンタグラフ用舟体。 - 電気鉄道車両のパンタグラフの枠組上に昇降可能に支持され、トロリ線と摺動するすり板体を保持するパンタグラフ用舟体であって、
前記すり板体が、弾性を有する基材と、該基材上に鍵盤状に配置された複数の短尺のすり板と、該すり板体の各々を上方に付勢するバネと、
有する多分割すり板であり、
該舟体の上面には、前記すり板体の基材がはめ込まれるはめ込み部が、前記車両の左右方向に延びるように形成されており、
該はめ込み部の左右端部が、外側上向きのテーパ状となっており、
万一前記すり板体が前記舟体から外れて、前記トロリ線が前記舟体の前記はめ込み部内を摺動せざるを得なくなった場合に、前記トロリ線を前記はめ込み部のテーパ状の前記左右端部に沿って前記はめ込み部の外方向へ案内できることを特徴とするパンタグラフ用舟体。 - 電気鉄道の車両上に搭載され、前記車両に電力供給するトロリ線に押し当てられるすり板を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の舟体と、
前記車両の屋根上に前記舟体を昇降可能に支持する枠組みと、
該枠組みに、前記舟体を略一定の力で押し上げる押上力を与える手段と、
を備えることを特徴とするパンタグラフ。
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