JP5472822B2 - 耐摩耗性複合材 - Google Patents

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Description

この発明は、破砕機のライナーや、その他各種の産業機械や装置の各部部材における摩耗しやすい面の耐摩耗性能の強化を目的に、セラミック等の耐摩耗材を埋め込んだ耐摩耗性複合材、及びその製造方法に関するものである。
破砕機や粉砕機、混練機等の各種産業機械や装置の各部部材において、摩耗しやすい面の耐摩耗性能の強化を図るために、その部材の素材として高マンガン鋳鋼や高クロム鋳鉄等を採用し、摩耗する面の母材全体の硬さを上げる手段がある。
しかし、高マンガン鋳鋼や高クロム鋳鉄では、発揮できる耐摩耗性能に限界があり、その用途によっては、所望の耐摩耗性能を確保できない場合もある。
そこで、例えば、特許文献1〜3に示すように、セラミックや超硬合金(超硬金属)等の耐摩耗材を母材の表面付近に鋳ぐるみで結合し、摩耗作用を受ける部分の素材を複合化することにより、耐摩耗性能を強化した耐摩耗性複合材がある。
この耐摩耗性複合材を製造する際には、例えば、図3(a)に示すように、砂型などで構成される鋳型1の内面に、耐摩耗材2を突出させて埋め込んでおく。耐摩耗材2は、鋳型1に埋め込んで支持される鋳型埋込部2bと、その鋳型1の内面から突出する母材埋込部2aとからなる。
その鋳型1に溶湯を供給して母材3を凝固させることにより、図3(b)に示すように、母材埋込部2aが母材3に鋳込まれた状態となり、その耐摩耗材2と母材3とを結合させている。
このとき、鋳型1から取り出された後の耐摩耗性複合材5は、図3(c)に示すように、耐摩耗材2の鋳型埋込部2bが母材3の表面から突出した状態となり、この状態で所定の用途に使用される。その使用中に母材3の表面から突出した鋳型埋込部2bは、被処理物(被破砕物等)に打撃されて徐々に消耗し、その突出量が減少する。そして、耐摩耗材2の表面が母材3の表面と面一となった後も、母材埋込部2aが、耐摩耗性複合材5の耐摩耗性能を向上させる機能を継続して発揮する。
特開昭63−168268号公報 特開平6−79434号公報 特開平9−308957号公報
上記の耐摩耗性複合材5は、その使用によって、突出した鋳型埋込部2bが消耗していく際に、例えば、図4(a)に示す状態から図4(b)に示すように、亀裂4が生じることがある。この亀裂4は、本来、摩耗等によって消耗する鋳型埋込部2bのみならず、母材3に埋め込まれた部分である母材埋込部2aにも進展する。
亀裂4が母材埋込部2aにまで進展すると、図4(c)に示すように、その母材埋込部2aの一部が割れて脱落し、母材3に穴を作ってしまうこととなる。このような状態になると、被処理物は耐摩耗材2に触れないので、もはや、耐摩耗材2は耐摩耗性能を向上させるという所期の機能を発揮することができない。
そこで、この発明は、セラミックや超硬合金等の耐摩耗材が母材に鋳ぐるみで結合された耐摩耗性複合材において、その耐摩耗材の母材に埋め込まれた部分に亀裂が生じにくいようにすることを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、母材に対して、その母材の金属よりも耐摩耗性能が高い耐摩耗材を結合させた耐摩耗性複合材の製造方法において、前記耐摩耗材は、相対的に靱性が高い母材埋込部と相対的に靱性が低い鋳型埋込部とを有し、前記鋳型埋込部を前記鋳型に埋め込み前記母材埋込部を前記鋳型の内面から突出させ、その鋳型内に母材の溶湯を供給してその母材を凝固させ、前記鋳型から離脱させることにより、前記母材埋込部が前記母材に埋め込まれ前記鋳型埋込部が前記母材の表面から突出した状態に前記耐摩耗材と前記母材とを鋳ぐるみで結合させることを特徴とする耐摩耗性複合材の製造方法を採用した。
この構成によれば、耐摩耗材は、母材の表面から突出した部分(鋳型埋込部)が、母材に埋め込まれた部分(母材埋込部)よりも相対的に靱性が低い(すなわち、脆性が大きい)ので、使用時には、まず、その耐摩耗材のうち母材から突出した部分、すなわち、より靱性が低い鋳型埋込部のみが摩耗等で消耗する。そして、鋳型埋込部が消耗した後は、母材に埋め込まれた部分、すなわち、より靱性が高い母材埋込部が所期の耐摩耗性能を発揮し得る。
この間、仮に、耐摩耗材に亀裂が発生しても、その亀裂は、相対的に靱性が低い鋳型埋込部に留まり、相対的に靱性が高い母材埋込部には進展しない。このため、従来のように、母材埋込部の一部が割れて脱落する事態を防止し得る。
なお、耐摩耗材の母材埋込部と鋳型埋込部との境界は、その使用前の状態において、母材の表面に一致していることが望ましいが、母材埋込部と鋳型埋込部との境界が、多少、母材の表面の位置とずれていても、亀裂が母材埋込部に進展しない限りにおいて差し支えない。例えば、使用前の状態において、母材埋込部と鋳型埋込部との境界が、母材の表面(母材の表面の延長線上)からやや内側へ入り込んだ状態にあってもよい。
この構成において、前記耐摩耗材として、超高合金やセラミックス部材等を採用することができる。なお、母材としては、例えば、高マンガン鋳鋼や高クロム鋳鉄等を採用することができる。
前記耐摩耗材としてセラミックス部材を採用した場合、靱性が異なる部位が混在する耐摩耗材を製造する方法として、例えば、互いにその成分が異なる前記母材埋込部に用いられる焼結材料と前記鋳型埋込部に用いられる焼結材料とを一体に焼結して形成し、その両焼結材料の成分の差異により、焼結後の前記鋳型埋込部の靱性を前記母材埋込部よりも相対的に低くする構成を採用することができる。
このとき、前記母材埋込部に用いられる焼結材料と前記鋳型埋込部に用いられる焼結材料とを、例えば、互いに別の成分からなる焼結材料とすることができる。焼結材料が異なれば、焼結後の靱性にも差異が生じる。
例えば、前記母材埋込部に用いられる焼結材料をアルミナ(Al)の粉末とし、前記鋳型埋込部に用いられる焼結材料を窒化珪素(Si)の粉末とし、これらを一体に成型して、アルミナが焼結する温度1600℃(又は、その温度以上で鋳型埋込部の焼結材料である窒化珪素の焼結温度に至らない温度)で焼結させる。これにより、窒化珪素は、その窒化珪素の焼結温度である1950℃よりも低い温度での焼結となり、アルミナが焼結した部分よりも相対的に靱性が低く(脆く)なる。その他、炭化珪素(SiC)の焼結温度が2200℃、ほう化物系の焼結温度が1200℃であるので、これらのアルミナ、窒化珪素、炭化珪素、ほう化物系、その他焼結材料の各粉末を用い、母材埋込部側に焼結温度が低い焼結材料を、鋳型埋込部側に焼結温度が高い焼結材料を採用すればよい。
また、添加剤を用いることによる焼結材料の成分の差異によりその焼結温度を異ならせ、その焼結温度の差異により、焼結後の靱性に差異を生じさせることもできる。
添加剤を採用する場合の構成は、前記鋳型埋込部に用いられる焼結材料は、前記母材埋込部に用いられる焼結材料に添加剤が加えられて構成され、その添加剤を加えることにより、焼結後の前記鋳型埋込部の靱性が前記母材埋込部よりも相対的に低くなっている構成である。添加剤としては、例えば、長石を採用することができる。母材埋込部の焼結材料の粉末に長石を少量加えると、長石は融点が低いため、その焼結材料よりも長石が先に溶融する。これがセラミックスの粒子間に入り込み、焼結温度を下げる働きをする。
この鋳型埋込部の焼結材料と母材埋込部の焼結材料とを一体に成形し、母材埋込部の焼結材料の焼結温度(又は、その温度以上で鋳型埋込部の焼結材料の焼結温度に至らない温度)で焼結させることにより、鋳型埋込部は、その焼結材料の焼結温度よりも低い温度での焼結となり、母材埋込部よりも相対的に靱性が低く(脆く)なる。ただし、長石を加えると、ガラス質の物質が粒界に介在することとなるため、焼結後の引張強さなどが低下する。このため多量には添加しないことが望ましい。
また、前記耐摩耗材としてセラミックス部材を採用した場合、靱性が異なる部位が混在する耐摩耗材を製造する他の方法として、鋳型埋込部の焼結材料と母材埋込部の焼結材料とを同一の成分として、その粉末の粒径を互いに異ならせる構成を採用することができる。粒径が異なれば、粒子同士の接触面積も異なるので、焼結温度も変化する。具体的には、同一の成分の粉末を用いる場合、粒径が小さければ接触面積が増加して焼結温度が下がり、この焼結温度の差異により、焼結後の靱性に差異を設定することができる。つまり、前記母材埋込部に用いられる焼結材料の粉末の粒径を、前記鋳型埋込部に用いられる焼結材料の粉末の粒径よりも小さくすれば、母材埋込部の焼結材料の焼結温度が鋳型埋込部よりも相対的に低くなる。
この鋳型埋込部の焼結材料と母材埋込部の焼結材料とを一体に成形し、母材埋込部の焼結材料の焼結温度(又は、その温度以上で鋳型埋込部の焼結材料の焼結温度に至らない温度)で焼結させることにより、鋳型埋込部は、その焼結材料の焼結温度よりも低い温度での焼結となり、母材埋込部よりも相対的に靱性が低く(脆く)なる。
ここで、粒径とは、焼結温度を左右する要因となる最大粒径、最小粒径、平均粒径、その他粒径に関する指標のいずれかを採用することができる。特に、粒径の指標として平均粒径を採用すると、粒径の差異と焼結温度の差異の管理が容易である。
これらの各構成からなる耐摩耗性複合材の製造方法によって製造される耐摩耗性複合材を、破砕機や粉砕機のライナーやハンマー等や、混練機等の羽根等、あるいは、その他各種産業機械や装置の各部部材に採用すれば、その耐摩耗性能が高いことから、部品の交換頻度を減らし、部品やその交換作業に要するコストを低減することができる。
その耐摩耗性複合材の構成は、上記の各方法によって製造されるものであって、前記耐摩耗材は、相対的に靱性が高い母材埋込部と相対的に靱性が低い鋳型埋込部とを有し、前記母材埋込部が前記母材に埋め込まれ前記鋳型埋込部が前記母材の表面から突出した状態に前記耐摩耗材と前記母材とを鋳ぐるみで結合した構成である。
この発明は、母材に鋳ぐるみで結合された耐摩耗材のうち、母材の表面から突出した部分(鋳型埋込部)を、母材に埋め込まれた部分(母材埋込部)よりも相対的に靱性を低くしたので、使用時には、まず、その耐摩耗材のうち母材から突出した部分、すなわち、より靱性が低い鋳型埋込部のみが摩耗等で消耗する。そして、鋳型埋込部が無くなった後は、母材に埋め込まれた部分、すなわち、より靱性が高い母材埋込部が所期の耐摩耗性能を発揮し得る。この間、仮に、耐摩耗材に亀裂が発生しても、その亀裂は、相対的に靱性が低い鋳型埋込部に留まり、相対的に靱性が高い母材埋込部には進展しない。このため、従来のように、母材埋込部の一部が割れて脱落する事態を防止し得る。
この発明の一実施形態を示し、(a)は使用前の状態、(b)は使用中に鋳型埋込部が消耗しつつある状態、(c)は鋳型埋込部が消耗して母材と面一になった状態を示す各要部拡大断面図 (a)〜(c)は、同実施形態の耐摩耗性複合材の製造方法を示す模式図 (a)〜(c)は、従来例の耐摩耗性複合材の製造方法を示す模式図 (a)〜(c)は、従来例の耐摩耗材の変化を示す要部拡大断面図
この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態は、破砕機のライナーとして用いられる耐摩耗性複合材5の製造方法、及び耐摩耗性複合材5である。
なお、この耐摩耗性複合材5の製造方法、及びその製造方法によって製造された耐摩耗性複合材5は、粉砕機のライナーやハンマー等のほか、混練機等の羽根等、あるいは、その他各種産業機械や装置の各部部材に採用することができる。この耐摩耗性複合材5を採用することにより、被破砕物等の各種被処理物に触れる各部部材の摩耗しやすい面の耐摩耗性能の強化を図ることができる。
耐摩耗性複合材5の構成は、図1(a)に示すように、母材3の金属に対し、その母材3よりも耐摩耗性能が高い耐摩耗材2を鋳ぐるみで結合したものである。この実施形態では、耐摩耗材2としてセラミックス部材を採用し、母材3には、高マンガン鋳鋼や高クロム鋳鉄を採用している。なお、母材には他の金属を用いてもよい。
耐摩耗材2は、相対的に靱性が高い母材埋込部2aと相対的に靱性が低い鋳型埋込部2bとを有する。この実施形態では、耐摩耗材2は断面円形を成すピンであり、そのピンの軸方向一方の端部が鋳型埋込部2b、他方の端部が母材埋込部2aとなっている。例えば、この実施形態のように、鋳型埋込部2bの軸方向長さを2mmとし、母材埋込部2aの軸方向長さを11mmとできる。
図1(a)に示すように、母材埋込部2aが母材3に埋め込まれ、鋳型埋込部2bが母材3の表面から突出した状態に、多数の耐摩耗材2と母材3とが結合されている。
なお、耐摩耗材2は断面円形を成すピンに限定されず、断面矩形、断面多角形のピンや、その他、立方体、球体、不規則な形状からなる塊状のもの等を採用してもよい。ただし、その部材を貫通する一定の方向に沿って、一方の端部に鋳型埋込部2bが、他方の端部に母材埋込部2aが設けられている必要がある。
この耐摩耗性複合材5を使用すると、その使用中に母材3の表面から突出した鋳型埋込部2bは、図1(b)に示すように、被破砕物等の作用物に打撃されて徐々に消耗し、その突出量が減少する。このとき、鋳型埋込部2bの靱性は母材埋込部2aよりも相対的に低く、すなわち、鋳型埋込部2bは柔らかいので、その耐摩耗材2には亀裂が生じにくいといえる。
また、仮に、鋳型埋込部2bに亀裂が発生しても、その亀裂は、相対的に靱性が低い鋳型埋込部2bに留まり、相対的に靱性が高い母材埋込部2aには進展しない。このため、従来のように、母材埋込部2aの一部が割れて脱落する事態を防止し、被処理物が耐摩耗材2に当たらなくなる事態を回避できる。
したがって、耐摩耗材2は、図1(c)に示すように、その表面が母材3の表面と面一と成った後も、耐摩耗性複合材5の耐摩耗性能を向上させる機能を継続して発揮することができる。
なお、耐摩耗材2の母材埋込部2aと鋳型埋込部2bとの境界は、図1(a)に示すようにフラット面であり、その境界が、母材3の表面の延長線上に一致している。亀裂が母材3の表面から内側に入り込まないようにするため、この形態が望ましい。
ただし、母材埋込部2aと鋳型埋込部2bとの境界が、多少、母材3の表面の位置とずれていても、亀裂が母材埋込部2aに進展しない限りにおいて差し支えない。例えば、耐摩耗性複合材5の使用前の状態において、母材埋込部2aと鋳型埋込部2bとの境界が、母材3の表面の延長線上からやや内側(母材3内)へ入り込んだ状態、あるいは外側(母材3外)へ出た状態にあってもよい。
この耐摩耗性複合材5の製造方法について、以下説明する。この耐摩耗性複合材5を製造する際は、図2(a)に示すように、砂型などで構成される鋳型1の内面に、耐摩耗材2を突出させて埋め込んでおく。耐摩耗材2は、鋳型埋込部2b側の端部を鋳型1に埋め込み、母材埋込部2a側の端部を鋳型1の内面から突出させておく。鋳型埋込部2bと母材埋込部2aとの境界面は、鋳型1の内面の延長線上に一致させている。
その鋳型1に溶湯を供給して母材3を凝固させることにより、図2(b)に示すように、母材埋込部2aが母材3に鋳込まれた状態となり、その耐摩耗材2と母材3とを鋳ぐるみで結合させる。
このとき、鋳型1から取り出された後の耐摩耗性複合材5は、図2(c)に示すように、耐摩耗材2の鋳型埋込部2bが母材3の表面から突出した状態となり、この状態で所定の用途に使用される。
また、セラミックス部材で構成される耐摩耗材の製造方法としては、靱性が異なる部位を混在させる手法として、例えば、母材埋込部2aに用いられる焼結材料と鋳型埋込部2bに用いられる焼結材料とを異なる成分とする手法がある。焼結材料の成分が異なれば、焼結後の靱性に差異を生じさせることができる。
例えば、母材埋込部2aに用いられる焼結材料をアルミナ(Al)の粉末とし、鋳型埋込部2bに用いられる焼結材料を窒化珪素(Si)の粉末とし、これらを一体に成型して、アルミナが焼結する温度1600℃で焼結させる。焼結させる温度は、アルミナの焼結温度以上で窒化珪素の焼結温度に至らない温度でもよい。これにより、窒化珪素は、その窒化珪素の焼結温度である1950℃よりも低い温度での焼結となり、アルミナが焼結した部分よりも相対的に靱性が低く(脆く)なる。すなわち、この両焼結材料の成分の差異により、焼結後の鋳型埋込部2bの靱性を母材埋込部2aよりも相対的に低くすることができる。
また、他の手法として、添加剤を用いることにより焼結温度を異ならせ、その焼結温度の差異により、焼結後の靱性に差異を生じさせることもできる。
添加剤を採用する場合の構成は、鋳型埋込部2bに用いられる焼結材料が、母材埋込部2aに用いられる焼結材料に、特定の添加剤が加えられて構成されている構成である。添加剤としては、例えば、長石を採用することができる。母材埋込部2aの焼結材料の粉末に長石を少量加えると、長石は融点が低いため、その焼結材料よりも長石が先に溶融する。これがセラミックスの粒子間に入り込み、焼結温度を下げる働きをする。
この鋳型埋込部2bの焼結材料と母材埋込部2aの焼結材料とを一体に成形し、母材埋込部2aの焼結材料の焼結温度で焼結させることにより、鋳型埋込部2bは、その焼結材料の焼結温度よりも低い温度での焼結となり、母材埋込部2aよりも相対的に靱性が低く(脆く)なる。焼結させる温度は、母材埋込部2aの焼結材料の焼結温度以上で鋳型埋込部2bの焼結材料の焼結温度に至らない温度でもよい。ただし、長石を加えると、ガラス質の物質が粒界に介在することとなるため、焼結後の引張強さなどが低下する。このため多量には添加しないことが望ましい。
さらに、他の手法として、焼結材料を構成する粉末の粒径を異ならせる構成を採用することができる。粒径が異なれば、粒子同士の接触面積も異なるので、焼結温度も変化する。具体的には、同一の成分の粉末を用いる場合、粒径が小さければ接触面積が増加して焼結温度が下がる傾向がある。
したがって、同一の成分の粉末を用いる場合、粒径が小さければ接触面積が増加して焼結温度が下がり、この焼結温度の差異により、焼結後の靱性に差異を設定することができる。つまり、母材埋込部2aに用いられる焼結材料の粉末の粒径を、鋳型埋込部2bに用いられる焼結材料の粉末の粒径よりも小さくすれば、母材埋込部2aの焼結材料の焼結温度が鋳型埋込部2bよりも相対的に低くなる。
この鋳型埋込部2bの焼結材料と母材埋込部2aの焼結材料とを一体に成形し、母材埋込部2aの焼結材料の焼結温度で焼結させることにより、鋳型埋込部2bは、その焼結材料の焼結温度よりも低い温度での焼結となり、母材埋込部2aよりも相対的に柔らかく(脆く)なる。焼結させる温度は、母材埋込部2aの焼結材料の焼結温度以上で鋳型埋込部2bの焼結材料の焼結温度に至らない温度でもよい。ただし、粒径が小さすぎると成形性に劣り、引張強さなどが低下する場合もあるので、成形が適切に成される範囲に限られる。
なお、通常のセラミックスでは、焼結材料の粉末の粒径が0.1〜5μmであるので、鋳型埋込部2bに用いられる焼結材料の粉末の粒径を、例えば、10〜100μmとすることができる。
ここで、粒径とは、焼結温度を左右する要因となる最大粒径、最小粒径、平均粒径、その他粒径に関する指標のいずれかを採用することができるが、特に、粒径の指標として平均粒径を採用すると、粒径の差異と焼結温度の差異の管理が容易である。
これらの実施形態では、耐摩耗材2としてセラミックス部材を採用したが、それに代えて超硬合金を採用することもできる。このとき、靱性の異なる鋳型埋込部2bと母材埋込部2aとを一体に形成するためには、その鋳型埋込部と母材埋込部とで合金の組成を違えて製造する手法を採用することができる。
例えば、タングステンカーバイト(WC)粉末と、結合剤(バインダ)であるコバルト(Co)粉末とを混合して焼結させ超硬合金とする場合において、コバルトの割合が多くなると靭性が向上する(脆性が小さくなる)。また、コバルトの割合が少なくなると、タングステンカーバイトの割合が多くなるので硬さは高くなるものの、逆に靭性は低下する(脆性が大きくなる)。
この性質を利用して、鋳型埋込部2bと母材埋込部2aとで、タングステンカーバイトとコバルトとの割合を異ならせることにより、靱性の異なる鋳型埋込部2bと母材埋込部2aとを一体に形成することができる。
1 鋳型(砂型)
2 耐摩耗材
2a 母材埋込部
2b 鋳型埋込部
3 母材
4 亀裂
5 耐摩耗性複合材

Claims (5)

  1. 母材(3)に対して、その母材(3)の金属よりも耐摩耗性能が高い耐摩耗材(2)を結合させた耐摩耗性複合材の製造方法において、
    前記耐摩耗材(2)は、相対的に靱性が高い母材埋込部(2a)と相対的に靱性が低い鋳型埋込部(2b)とを有し、前記鋳型埋込部(2b)を前記鋳型(1)に埋め込み前記母材埋込部(2a)を前記鋳型(1)の内面から突出させ、その鋳型(1)内に母材(3)の溶湯を供給してその母材(3)を凝固させ、前記鋳型(1)から離脱させることにより、前記母材埋込部(2a)が前記母材(3)に埋め込まれ前記鋳型埋込部(2b)が前記母材(3)の表面から突出した状態に前記耐摩耗材(2)と前記母材(3)とを鋳ぐるみで結合させることを特徴とする耐摩耗性複合材の製造方法。
  2. 前記耐摩耗材(2)はセラミックス部材であり、互いにその成分が異なる前記母材埋込部(2a)に用いられる焼結材料と前記鋳型埋込部(2b)に用いられる焼結材料とを一体に焼結して形成され、その両焼結材料の成分の差異により、焼結後の前記鋳型埋込部(2b)の靱性が前記母材埋込部(2a)よりも相対的に低くなっていることを特徴とする請求項1に記載の耐摩耗性複合材の製造方法。
  3. 前記鋳型埋込部(2b)に用いられる焼結材料は、前記母材埋込部(2a)に用いられる焼結材料に添加剤が加えられて構成され、その添加剤を加えることにより、焼結後の前記鋳型埋込部(2b)の靱性が前記母材埋込部(2a)よりも相対的に低くなっていることを特徴とする請求項2に記載の耐摩耗性複合材の製造方法。
  4. 前記耐摩耗材(2)はセラミックス部材であり、互いに同一の成分でその粒径が異なる前記母材埋込部(2a)に用いられる焼結材料と前記鋳型埋込部(2b)に用いられる焼結材料とを一体に焼結して形成され、その両焼結材料の粒径の差異により、焼結後の前記鋳型埋込部(2b)の靱性が前記母材埋込部(2a)よりも相対的に低くなっていることを特徴とする請求項1に記載の耐摩耗性複合材の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の耐摩耗性複合材の製造方法によって製造される耐摩耗性複合材において、
    前記耐摩耗材(2)は、相対的に靱性が高い母材埋込部(2a)と相対的に靱性が低い鋳型埋込部(2b)とを有し、前記母材埋込部(2a)が前記母材(3)に埋め込まれ前記鋳型埋込部(2b)が前記母材(3)の表面から突出した状態に前記耐摩耗材(2)と前記母材(3)とを鋳ぐるみで結合したことを特徴とする耐摩耗性複合材。
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