JP2006104540A

JP2006104540A - 超硬合金

Info

Publication number: JP2006104540A
Application number: JP2004294454A
Authority: JP
Inventors: Fumiyuki Ohara; 史之大原; Kozo Kitamura; 幸三北村
Original assignee: Tungaloy Corp
Current assignee: Tungaloy Corp
Priority date: 2004-10-07
Filing date: 2004-10-07
Publication date: 2006-04-20

Abstract

【課題】鉱山土木工具、油田開発用掘削工具、冷間または温間鍛造工具、圧延ロールなどの耐衝撃工具として用いた場合に優れた性能を発揮する超硬合金を提供する。
【解決手段】ＷＣを主成分とする硬質相：７０〜９７重量％と、Ｃｏおよび／またはＮｉを主成分とする結合相：３〜３０重量％とからなる超硬合金において、該超硬合金は、ＷＣを主成分とする第１硬質相：８８〜９７重量％と、Ｃｏおよび／またはＮｉを主成分とする第１結合相：３〜１２重量％とからなる第１領域と、ＷＣを主成分とする第２硬質相：２０〜３０重量％と、Ｃｏおよび／またはＮｉを主成分とする第２結合相：７０〜８０重量％とからなる第２領域とで構成され、該第１領域を該第２領域が包囲することを特徴とする超硬合金は耐摩耗性および耐衝撃性に優れ、耐衝撃工具として優れた性能を発揮する。

Description

本発明は、超硬合金に関するものであり、特に鉱山土木工具、油田開発用掘削工具、冷間または温間鍛造工具、圧延ロールなどの耐衝撃工具用超硬合金に関する。

鉱山土木工具等に使用する超硬合金工具の長寿命化を図るためには、超硬合金の靭性と硬さをともに向上させ耐衝撃性（耐クラック性）、耐摩耗性等を強化する必要がある。ＷＣ−Ｃｏ超硬合金において、一般的にはＷＣ粒径を小さくするかＣｏ量を少なくすると超硬合金のＣｏ相の厚みが薄くなり硬さは高くなり靭性が低下する。逆にＷＣ粒径を大きくするかＣｏ量を多くすると靭性は向上し硬さが低下する。

このように靭性と硬さを同時に向上させることは非常に困難である。両方の特性を同時に向上させる試みとして球状の超硬合金からなる第１相をＣｏからなる第２相で結合した超硬合金が提案されている（例えば、特許文献１参照。）。しかしながらこの超硬合金は工具として使用中に第２相が選択的に摩耗するため耐摩耗性の高い第１相が脱落し合金全体の耐摩耗性が低下するという問題がある。

米国特許第５８８０３８２号明細書

本発明はこうした従来の超硬合金の問題点を解決し、過酷な環境化おける耐摩耗性、耐衝撃性と耐食性に優れた超硬合金の提供を目的とする。

本発明者は耐摩耗性、耐衝撃性と耐食性に優れた超硬合金について開発を行ってきたところ、第１領域を結合させる結合相に硬質相を分散させることで硬さを上昇させることに成功した。この組織を有する超硬合金は極めて優れた性能を示す。

すなわち、本発明の超硬合金は、ＷＣを主成分とする硬質相：７０〜９７重量％と、Ｃｏおよび／またはＮｉを主成分とする結合相：３〜３０重量％とからなる超硬合金において、該超硬合金は、ＷＣを主成分とする第１硬質相：８８〜９７重量％と、Ｃｏおよび／またはＮｉを主成分とする第１結合相：３〜１２重量％とからなる第１領域と、ＷＣを主成分とする第２硬質相：２０〜３０重量％と、Ｃｏおよび／またはＮｉを主成分とする第２結合相：７０〜８０重量％とからなる第２領域とで構成され、該第１領域を該第２領域が包囲することを特徴とする。

本発明において、ＷＣを主成分とする硬質相とは、周期律表４ａ，５ａ，６ａ元素の炭化物、窒化物およびこれらの相互固溶体の中から選ばれた少なくとも１種からなる硬質相であってＷＣを硬質相全体に対して５０重量％以上含むものをいう。周期律表４ａ，５ａ，６ａ元素の炭化物、窒化物およびこれらの相互固溶体の中から選ばれた少なくとも１種として、例えば、ＷＣ、（Ｔｉ，Ｗ）Ｃ、（Ｔｉ，Ｔａ，Ｗ）Ｃなどを挙げることができる。

本発明において、Ｃｏおよび／またはＮｉを主成分とする硬質相とは、Ｃｏ，Ｎｉ，Ｃｏ−Ｎｉ合金およびこれらに硬質相成分が２０重量％以下固溶した合金をいう。

第１領域は、ＷＣを主成分とする第１硬質相：８８〜９７重量％と、Ｃｏおよび／またはＮｉを主分とする第１結合相：３〜１２重量％とからなる。第１硬質相が８８重量％未満であると耐摩耗性が減少し、９７重量％を超えると耐衝撃性が低下する。

第１領域を包囲し第１領域同士を結合させる働きをする第２領域は、ＷＣを主成分とする第２硬質相：２０〜３０重量％と、Ｃｏおよび／またはＮｉを主分とする第２結合相：７０〜８０重量％とからなる。このとき第２領域に含まれる第２硬質相が２０重量％未満では十分な靭性を付与できず３０体積％を超えると十分な耐摩耗性が得られない。第２硬質相を２０〜３０重量％とすることでクラックが進展する場合にも迂回効果が発生し工具として使用したとき熱的衝撃および／または機械的衝撃に対しても十分な抵抗力を維持することができる。第２領域の硬質相としては平均粒径０．５〜５μmのＷＣが好ましい。

本発明の超硬合金を断面観察すると第１領域を第２領域が包囲する組織を有する。第１領域の直径は２０〜２００μmであると好ましい。これは第１領域の直径が２０μm未満であると靭性が十分ではなく２００μmを超えると耐摩耗性が十分でないためである。

本発明の超硬合金において、第１領域が６０〜９０体積％、第２領域が１０〜４０体積％であると好ましい。第１領域が６０体積％未満および第２領域が４０体積％を超えると硬さの低い結合相が割合が増加し耐摩耗性が低下する。逆に第１領域が９０体積％を超えるおよび第２領域が１０体積％未満では硬質相の割合が増加し耐衝撃性が低下するためである。

本発明の超硬合金は、超硬合金全体に対してＴｉ，Ｚｒ，Ｈｆ，Ｖ，Ｎｂ，Ｔａ，Ｃｒ，Ｍｏの中から選ばれた１種以上を０．２〜５重量％含有すると耐摩耗性を向上させるため好ましい。０．２％未満では十分な添加効果を発揮せず、５重量％を超えると靭性を低下させる傾向が見られる。

海外の油田開発等では高温、高圧に加えて合金の腐食による性能劣化が問題となる。特に第１領域に含有される結合相に含まれるＣｏ量に対するＮｉ量の割合をしめす重量比（Ｎｉ／Ｃｏ）：Ａ１と第２領域に含有される結合相に含まれるＣｏ量に対するＮｉ量の割合をしめす重量比（Ｎｉ／Ｃｏ）：Ａ２を求め、Ａ２に対するＡ１の割合を示す比（Ａ１／Ａ２）を１．１以上とすることにより、特に耐摩耗性を担う第１領域の耐摩耗性を維持することができ、耐食環境での耐摩耗性を向上させることができる。このとき超硬合金の結合相全体に占める割合でＮｉが７０重量％を超えると靭性が低下し、１０重量％以下では十分な耐食効果が低い。したがってＮｉが結合相全体に対して１０〜７０重量％であると好ましい。

本発明の超硬合金を製造する方法として以下の方法が挙げられる。第１領域となる直径２０〜２００μm超硬合金粒子を粉末冶金法によって作製する。ついで、第２領域となる組成の合金組成の原料粉末を超硬合金粒子と共に混合する。混合は湿式または乾式のいずれかでもよいが、超硬合金粒子が粉砕されないように注意しなければならない。混合した後プレス成形などにより成形する。成形体をホットプレス焼結または真空炉による短時間焼結を行って作製する。

本発明の超硬合金の用途としては、優れた耐摩耗性と耐衝撃性を生かし工具などが好ましく、特に鉱山土木工具、油田開発用掘削工具、冷間または温間鍛造工具、圧延ロールなどの耐衝撃工具に用いられることは好ましい

本発明の超硬合金は、従来の超硬合金に比較して耐摩耗性、耐衝撃性に優れる。

表１の第１領域に示した組成からなる直径５０μm、１００μm超硬合金粒子に表１の第２領域に示した組成の混合粉末を配合し乾式にて混合した。混合した混合体にパラフィンを加えたあとプレス成形しホットプレスにて焼結した。表１に試料の第１領域と第２領域の全体に占める割合と各領域の組成を示し、表２に試料全体の組成を示した。表３に試料の第１領域の直径、第１領域に含まれるＷＣの平均粒径、第２領域に含まれるＷＣの平均粒径、第１領域に含まれるＮｉ／Ｃｏ重量比（Ａ１）と第２領域に含まれるＮｉ／Ｃｏ重量比（Ａ２）とから求められるＡ１／Ａ２を示した。

作製した試料をローラーコーンビットとして花崗岩等の硬質岩の抗井掘削に用いて性能の評価をおこなった。表４には抗井掘削試験の結果を示す。

表３に示されるように従来品１〜４は欠損や摩耗により短寿命であるのに対し、発明品１〜３は優れた性能を発揮する。

Claims

ＷＣを主成分とする硬質相：７０〜９７重量％と、Ｃｏおよび／またはＮｉを主成分とする結合相：３〜３０重量％とからなる超硬合金において、該超硬合金は、ＷＣを主成分とする第１硬質相：８８〜９７重量％と、Ｃｏおよび／またはＮｉを主成分とする第１結合相：３〜１２重量％とからなる第１領域と、ＷＣを主成分とする第２硬質相：２０〜３０重量％と、Ｃｏおよび／またはＮｉを主成分とする第２結合相：７０〜８０重量％とからなる第２領域とで構成され、該第１領域を該第２領域が包囲することを特徴とする超硬合金。
前記超硬合金は、前記第１領域：６０〜９０体積％と、前記第２領域：１０〜４０体積％とからなることを特徴とする請求項１に記載の超硬合金。
前記超硬合金の断面組織において、前記第１領域は直径２０〜２００μmの略円形状であることを特徴とする請求項１または２に記載の超硬合金。
前記第１結合相と前記第２結合相はそれぞれＮｉとＣｏを含有するとともに、該第１結合相中のＣｏ量に対するＮｉ量の割合を示す重量比をＡ１と表し、該第２結合相中のＣｏ量に対するＮｉ量の割合を示す重量比をＡ２と表すと、Ａ２に対するＡ１の割合を示す比（Ａ１／Ａ２）が１．１以上であることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の超硬合金。
前記超硬合金は、Ｔｉ，Ｚｒ，Ｈｆ，Ｖ，Ｎｂ，Ｔａ，Ｃｒ，Ｍｏの中から選ばれた１種以上を０．２〜５重量％含有する請求項１〜４のいずれか１項に記載の超硬合金。