JP5471364B2 - 半導体パッケージ - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置を収容する半導体パッケージ、特に、半導体装置に記憶された情報を不正に獲得することを困難にする耐タンパー技術を用いた半導体パッケージに関する。
磁気抵抗効果を使用した磁気メモリ素子は、書き込み回数に制限が無いと考えられること、メモリ素子の構造が比較的単純で集積化に適していることなどの理由により、現在使用されているメモリ素子を代替可能な素子として注目されている。
磁気メモリ素子の例としては、例えば外部から印加される磁界によって相対的に磁化されやすい自由層と、外部から印加される磁界によっては自由層に対して相対的に磁化されにくい固定層とを有するものが知られている。このような磁気メモリ素子は、自由層が磁化される方向により磁気抵抗が異なる2値の状態を作り出して情報を記憶することができる。
ところで、磁気メモリ素子を記憶素子として備える記憶装置は、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)と呼ばれ、SRAM(Static Random Access Memory)に代表される揮発性メモリとFlashメモリに代表される不揮発性メモリとを統合したり、CMOSプロセスを使うメモリ以外の回路と磁気メモリ素子とを混載することが可能である。
このような記憶装置には、個人情報やパスワードなどの秘密情報が記憶されることがあり、磁気メモリ素子上に記憶された情報が不正に獲得されることを防止する手段が求められている。
磁気メモリ素子に記憶された情報が不正に獲得されるのを困難にする技術として、例えば特許文献1には、外部磁界から磁気メモリ素子を保護する磁性層が破壊された場合に、磁気メモリ素子に外部から磁界を与え、磁気メモリ素子に記憶されている情報を消去することができる不法行為抵抗性パッケージングが記載されている。特許文献1に記載の不法行為抵抗性パッケージングによれば、磁気メモリ素子を保護しているパッケージが不正に破壊された場合に磁気メモリ素子に記憶された情報を消去して、情報が不正に獲得されることを困難にすることができる。
また特許文献2には、磁界源の磁力線を偏向する磁束クローズ層を磁界源の近傍に備え、通常時は磁界源の磁束が磁束クローズ層によって封じ込められており、磁束クローズ層が除去されたときに、磁気メモリ素子に磁界源の磁界が作用することで磁気メモリ素子に記憶された情報を破壊するMRAMセルのアレイ及びデータの破壊方法が記載されている。
特開2006−511936号公報 特開2006−511892号公報
しかしながら、磁気メモリ素子が形成されたダイを記憶装置から取り出して解析しなくとも、磁気メモリ素子や、ダイに接続されたリードフレームなどに電磁界センサを近接させて磁気メモリ素子に記憶された情報を取得することができる。この場合、半導体パッケージを破壊することなく磁気メモリ素子に記憶された情報を不正に解析することができ、特許文献1に記載のパッケージングでは、磁気メモリ素子を保護する半導体パッケージを透過する電磁界に基づいて磁気メモリ素子に記憶された情報を不正に獲得できてしまうという問題があった。
また、特許文献2に記載の方法及び装置では、磁界源と磁束クローズ層とを同時に除去することが可能であり、この場合に磁気メモリ素子に記憶された情報が破壊されずに不正に獲得されてしまうという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、磁気メモリ素子に記憶された情報を読み出すことをより困難にして、磁気メモリ素子に記憶された情報が漏洩することを防止できる半導体パッケージを提供することである。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の半導体パッケージは、磁気を加えることにより情報を記憶する磁気メモリ素子を有する半導体回路基板を内部に備える半導体パッケージであって、前記半導体パッケージの内部に配置され、前記磁気メモリ素子を磁化可能な磁界を少なくとも前記磁気メモリ素子が位置する空間に発生させる磁界源と、前記半導体回路基板を覆って配置され、前記磁界源を溶解可能な溶媒に対する耐性が前記磁界源よりも低い材料で構成され、前記磁気メモリ素子に加わる前記磁界を減衰させる磁気シールド材と、を備えることを特徴とする。
本発明の半導体パッケージによれば、半導体パッケージの内部に磁界源と磁気シールド材とを配置し、磁気シールド材によって磁気メモリ素子を有する基板の基板面を被覆し、磁気シールド材が除去されたときには、磁気メモリ素子に記憶された情報が磁界源の磁気によって破壊されるので、磁気メモリ素子に記憶された情報を読み出すことをより困難にして、磁気メモリ素子に記憶された情報が漏洩することを防止できる。
本発明の第1実施形態の半導体パッケージを示す図で、(A)は斜視図、(B)は平面図である。 同半導体パッケージの一部の構成を示す平面図である。 図1(B)のA−A線における断面図である。 (A)及び(B)は、同半導体パッケージの作用を説明するための模式図である。 (A)及び(B)は、同半導体パッケージに対して不正な攻撃が行われたときの作用を説明するための説明図である。 (A)は同実施形態の変形例1の半導体パッケージの構成を示す断面図である。また、(B)は、変形例1の半導体パッケージに対して不正な攻撃が行われたときの作用を説明するための説明図である。 同実施形態の変形例2の半導体パッケージの構成を示す断面図である。 (A)は、本発明の第2実施形態の半導体パッケージを示す断面図である。(B)は、同半導体パッケージの一部の構成を示す斜視図である。 同実施形態の変形例3の半導体パッケージの構成を示す断面図である。 本発明の半導体パッケージにおける磁界源の他の構成を示す平面図である。 本発明の半導体パッケージにおける磁界源のさらに他の構成を示す平面図である。 本発明の半導体パッケージにおける磁界源のさらに他の構成を示す平面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態の半導体パッケージ1について図1ないし図5を参照して説明する。図1は、半導体パッケージ1を示す図で、(A)は斜視図、(B)は平面図である。また、図2は、半導体パッケージ1の一部の構成を示す平面図である。また、図3は、図1(B)のA−A線における断面図である。また、図4(A)及び図4(B)は、半導体パッケージ1の作用を説明するための模式図である。また、図5(A)及び図5(B)は、半導体パッケージ1に対して不正な攻撃が行われたときの作用を説明するための説明図である。
図1(A)及び図1(B)に示すように、半導体パッケージ1は、QFP(Quad Flat Package)と呼ばれるタイプの半導体パッケージであり、ダイ10と、パッケージ本体20と、リードフレーム30と、耐タンパー装置40とを備えている。なお、図1(B)では、リードフレーム30の一部の図示を省略している。
ダイ10は、図2及び図3に示すように、板状に形成された半導体回路基板であり、このダイ10の基板面10Aには磁気メモリ素子が形成されたメモリセル11が設けられている。本実施形態では、メモリセル11は、磁気メモリ素子の自由層が磁化される向きが1方向(例えば図2に示すY方向)に向くように磁気メモリ素子が整列して配置されている。
パッケージ本体20は、樹脂材料により成型したモールドを採用することができ、直方体形状に形成されている。このような樹脂材料としては、具体的には熱硬化性エポキシ樹脂を採用することができ、また熱硬化性エポキシ樹脂にオルソクレゾールノボラック樹脂などが含有されていてもよい。
なお、パッケージ本体20にこのようなモールドを採用する場合には、発煙硝酸などの溶液をパッケージ本体20に塗布すると、ダイ10を破壊されることなくパッケージ本体20が溶解する。
また、パッケージ本体20は、ダイ10やリードフレーム30を支持し、パッケージ本体20に内蔵されたこれらの部品を機械的な力から保護する機能を有する。なお、パッケージ本体20の材料としては、セラミックス材料を採用してもよい。
図2及び図3に示すように、リードフレーム30は、半導体パッケージ1の外部の接点電極に接続するための端子部31と、端子部31をダイ10に電気的に接続するためのボンディングワイヤWが接続されるパッド部32と、ダイ10を配置するためにパッケージ本体20の中央に設けられたダイパッド33とを有している。リードフレーム30は金属によって形成されている。リードフレーム30の端子部31は、ダイパッド33から放射状に延びて形成され、パッケージ本体20の4辺のそれぞれから外側へ突出して形成されている。また、ダイパッド33とダイ10とは、例えば半田やダイボンディング用樹脂ペーストなどによって固定されている。リードフレーム30の材質としては、例えばニッケル・フェライト系の合金材料や銅などを用いることができる。
耐タンパー装置40は、リードフレーム30上に配置された磁界源41と、ダイ10の基板面10Aを覆って配置された磁気シールド材42と、を有している。
磁界源41は、磁界源41の周囲に磁界MF1を発生させるもので略直方体形状に形成されている。磁界源41の磁界MF1は磁界源41の長手方向の一端41Aから出てダイ10の内部に侵入し、図2に示すY方向に沿ってダイ10を通過して磁界源41の長手方向の他端41Bに戻るようになっている。磁界MF1は、ダイ10の内部では少なくともメモリセル11の一部を通過するようになっている。なお、磁界MF1は、メモリセル11が位置する空間のすべてを通過するようになっていることが好ましい。
磁界源41の材料としては、永久磁石や電磁石を適宜選択して採用することができる。磁界源41の材料として永久磁石を採用すると、磁界MF1を発生させるための電力などのエネルギーを必要としない。
なお、磁界源41の材料として採用できる永久磁石の種類としては、ダイ10に形成された磁気メモリ素子11を磁化できるだけの強度の磁界の発生させる材料であれば、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石などを適宜選択して採用することができる。
また、磁気メモリ素子に記憶された情報を破壊する観点から、磁界源41による磁界MF1の方向は、メモリセル11に形成された磁気メモリ素子の特性に応じて適宜定めることが好ましい。これは、磁気メモリ素子の自由層の磁化方向と磁界MF1とのなす角に、磁界MF1によって自由層が磁化されやすい最適角度が存在する場合があるからである。
磁気シールド材42は、板状の磁性体によって形成されていることが好ましい。磁気シールド材42の厚さは、100マイクロメートル以上、1ミリメートル以下であることが好ましい。
磁気シールド材42の配置位置は、ダイ10の少なくともメモリセル11が位置する基板面を覆う位置であることが好ましく、磁気シールド材42がダイ10の基板面のすべてを覆って配置されることがより好ましい。
ここで、耐タンパー装置40の作用について図4を参照して説明する。
図4(A)に模式的に示すように、磁気シールド材42は、磁界源41の磁界MF1が入射することで、磁気シールド材42の内部に誘導磁化を生じ、磁極を形成する。この磁極により、磁気シールド材42には磁界源41の磁界MF1と逆向きの磁界MF2が生じる。従って、ダイ10の内部において、磁界MF1と磁界MF2との合成磁界MF3の強度は、磁界MF1の強度よりも弱くなっている。合成磁界MF3の強度は、メモリセル11の磁気メモリ素子の自由層を磁化できる強度よりも弱くなるように設定されている。本実施形態では、ダイ10に形成されたメモリセル11は、磁気シールド材41によって合成磁界MF3が磁界MF1よりも弱められているので、磁気シールド材42の存在下では情報を保持できるようになっている。
一方、図4(B)に示すように、磁気シールド材42がダイ10から除去された状態では、メモリセル11の位置に磁界MF1が生じている。磁界MF1はメモリセル11の磁気メモリ素子の自由層を磁化できる強度に設定されているので、このとき、磁気メモリ素子の自由層は、磁界MF1が生じる前の磁化の方向によらずすべて磁界MF1が向く方向(図4(B)に示すY方向)に磁化される。
以上に説明した構成の、本実施形態の半導体パッケージ1の使用時の動作について、メモリセル11に記憶された情報を不正に読み出す攻撃が半導体パッケージ1に対して行われた場合を中心に説明する。なお、本明細書において、「不正に読み出す攻撃」とは、半導体パッケージ1に設計された回路によってリードフレーム30の端子部31を通じて読み書きされる動作以外の手順でメモリセル11に記憶された情報を獲得する作業のことを指すものである。
磁気メモリ素子に限らず、メモリ素子に記憶された情報を不正な手段で獲得するための手法として、半導体パッケージの近傍で測定した電磁界からメモリ素子が記憶しているデータを解析する手法がある。これは電磁波セキュリティの分野ではサイドチャネルアタックと呼ばれる。このようなサイドチャネルアタックにより、例えば公開鍵暗号で使用する秘密鍵を、メモリ素子から不正に獲得した情報を用いて推定できることが報告されている。
このようなサイドチャネルアタックの例として、メモリセル11の内部の磁気メモリ素子による読み出しや書き込みの動作に応じて変動する電磁界を測定する手法が知られている。この手法では、例えば図5(A)及び図5(B)に示すように、パッケージ本体20を除去し、ダイ10のメモリセル11に電磁界センサ100を近づける。パッケージ本体20を構成する樹脂材料は、硝酸塩などの酸性の溶媒を使用して溶かすことができ、図5(B)に示すように、パッケージ本体20は例えばダイ10が位置する中央部が溶解される。ダイ10上に形成されている配線の幅は0.1マイクロメートルから100マイクロメートル程度であり、一般的に、メモリセル11から漏洩する電磁界を読み取るためには、ダイ10の基板面10Aと電磁界センサ100のセンサヘッド101とは、1マイクロメートルから数十マイクロメートル程度に近接させる必要がある。
このため、半導体パッケージ1に対してサイドチャネルアタックを成功させるためには、ダイ10の基板面10Aを覆って配置された磁気シールド材42を除去することが必須になる。半導体パッケージ1において、ダイ10から磁気シールド材42を除去することは容易である。しかしながら、磁気シールド材42をダイ10から除去すると、図4(A)及び図4(B)を参照して説明したように、磁界源41と磁気シールド材42との合成磁界MF3ではなく磁界源41の磁界MF1がメモリセル11の位置に生じる。このため、メモリセル11の磁気メモリ素子の自由層は磁界MF1により磁界MF1の向き(図4(B)に示すY方向)に磁化される。
このとき、メモリセル11の磁気メモリ素子に記憶されていた情報は、磁界MF1によってすべて0またはすべて1に書き換えられており、メモリセル11に記憶されていた情報は破壊される。この状態で電磁界センサ100によってメモリセル11から漏洩する電磁界を検出しても、磁気シールド材42を除去する前にメモリセル11に記憶されていた情報を読み出すことはできない。
サイドチャネルアタックの別の形態として、ダイ10の共通回路となる電源回路で電圧あるいは電流を測定する差分電力攻撃という手法が知られている。また、ダイ10に対して駆動電力を供給する電源回路の近傍の電磁界、あるいは電源回路から発生する電磁波を測定する差分電磁波攻撃という手法が知られている。
このような攻撃においても、ダイ10上の電源回路を露出させて上述の電磁界センサ100をダイ10の電源回路に対して1マイクロメートルから数十マイクロメートル程度の距離に近接させる必要があるため、上述のように磁気シールド材42をダイ10から除去する必要がある。このため、上述したのと同様に、メモリセル11の磁気メモリ素子に記憶された情報は破壊され、メモリセル11に対する読み書きの動作に連動する電圧、電流、電磁界、及び電磁波が上述の電磁界センサ100によって測定されても、その測定結果からメモリセル11に記憶された情報を再構築することが不可能になる。
なお、ダイパッド33側からダイ10に対してサイドチャネルアタックを試みても、ダイ10を透過する電磁界や電磁波は上述の電磁界センサ100の測定限界以下となるため有効な情報を獲得することはできない。
なお、メモリセル11に記憶された情報は、ダイ10上の回路を駆動させるためのプログラムであってもよい。上述の様な不正な操作によって磁気メモリ素子に記憶された上記プログラムが破壊されるようにした場合には、プログラムが破壊されることでダイ10上の回路は正常に動作しなくなり、不正に情報を獲得することを困難にしたり、ダイ10の再使用を困難にしたりできる。
以上説明したように、本実施形態の半導体パッケージ1によれば、ダイ10に形成されたメモリセル11に記憶された情報を読み出すためには、磁気シールド材42を除去することを要し、磁気シールド材42が除去されるとメモリセル11の磁気メモリ素子が磁界源41の磁界MF1によって磁化されて情報が破壊される。このため、ダイ10から漏洩する電磁波を使って不正な情報の獲得を行うためにダイ近傍で電磁界を測定をしても、メモリセル11に記憶された情報がすでに破壊されており有効な情報を得ることができない。その結果、磁気メモリ素子に記憶された情報を不正な手段で読み出すことをより困難にして、磁気メモリ素子に記憶された情報が漏洩することを防止できる。
また、磁界源41が静磁界を発生させる永久磁石で構成されているので、発振器などを備えずに磁界を発生させることができ、半導体パッケージ1を駆動させるためのエネルギーを削減することができるとともに、電力などの駆動力の供給の一部が途絶えた状態でもメモリセルに記憶された情報が不正に獲得されることをより困難にすることができる。
(変形例1)
以下では、本実施形態の変形例1の半導体パッケージについて図6を参照して説明する。図6(A)は本変形例の半導体パッケージの構成を示す断面図である。また、図6(B)は、本変形例の半導体パッケージに対して不正な攻撃が行われたときの作用を説明するための説明図である。
図6(A)及び図6(B)に示すように、本変形例では、磁界源41に代えて磁界源141を有し、磁気シールド材42に代えて磁気シールド材142を有する点で上述の半導体パッケージ1と構成が異なっている。
磁界源141は、磁気シールド材142よりも相対的に酸に対する溶解性が低い材料で構成され、磁気シールド材142は、磁界源141よりも相対的に酸に対する溶解性が高い材料で構成されている。
磁界源141における酸に対する溶解性は、パッケージ本体20における酸に対する溶解性よりも低いことが好ましい。また、磁気シールド材142における酸に対する溶解性は、パッケージ本体20における酸に対する溶解性と同程度か、それより高いことが好ましい。
磁気シールド材142は、磁性粉末を高分子系の樹脂と混合した板状の材料を採用することができる。この場合、磁気シールド材142においては樹脂が先に溶解するが、磁性粉末のみでは磁気シールド材142の形状を保つことができずにダイ10の基板面10Aが露出して磁気シールド効果が消失する。
また、本変形例では、磁気シールド材142の厚さは100マイクロメートル前後から1ミリメートル程度とすることができるが、酸に対して溶解されやすくするために、磁気シールド材142の厚さを、100マイクロメートル以下とすることもできる。この場合には、パッケージ本体20を溶解する過程で磁気シールド材142も溶けてしまい、磁気シールド材142を残してパッケージ本体20を除去するように制御することは困難である。
本変形例では、図6(A)及び図6(B)に示すように、メモリセル11に記憶された情報を不正に獲得するためにパッケージ本体20を例えば硝酸塩溶液や発煙硝酸によって溶解すると、磁気シールド材142も溶解されてダイ10の基板面10Aが露出する。このとき、磁気シールド材142は硝酸塩や発煙硝酸によって溶解するが、磁界源141が硝酸塩や発煙硝酸によって溶解される速度が磁気シールド材142よりも遅く、磁気シールド材142が溶解されてダイ10の基板面10Aが露出した時点では磁界源141の磁界はダイ10の位置に生じている。
すると、磁界源141による磁界によってメモリセル11の磁気メモリ素子は磁化され、メモリセル11に記憶されていた情報は破壊される。
従来は、硝酸塩などを使って磁界源を磁気シールド材よりも先に溶解させて不正な攻撃をすることができる可能性があったが、本変形例の半導体パッケージでは、硝酸塩などによってパッケージ本体20を溶解すると磁界源141よりも先に磁気シールド材142が溶解され、サイドチャネルアタックなどの攻撃が行われてもメモリセル11に記憶された情報を不正に獲得することをより困難にすることができる。
(変形例2)
以下では、本実施形態の半導体パッケージ1の変形例2について図7を参照して説明する。図7は、変形例2の半導体パッケージの構成を示す断面図である。
図7に示すように、本変形例では、磁界源41を被覆する被覆部材43を有している点で上述の実施形態及び変形例1と構成が異なっている。
磁界源41に設けられた被覆部材43は、硝酸塩溶液などに対する溶解性が低い材料で形成されている。具体的には、一般的に半導体回路基板の基板面を保護するために使用されるポリイミド系の材料を被覆部材43の材料として採用することができる。
被覆部材43は、ダイ10における酸に対する溶解性と同程度か、それより低いことが好ましい。これにより、パッケージ本体20が硝酸塩や発煙硝酸によって溶解されたときに、ダイ10が溶解されるまで磁界源41の磁界をダイ10の位置に生じさせ続けることができ、ダイ10のメモリセル11に記憶された情報を破壊することができる。
なお、磁界源41を鉄やニッケルなどの合金で構成したときに磁界源41の外面に生じる酸化皮膜を、磁界源41を被覆する被覆部材として用いることもできる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の半導体パッケージ2について図8を参照して説明する。なお、本実施形態において、上述した第1実施形態の半導体パッケージ1と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。図8(A)は、半導体パッケージ2を示す断面図である。また、図8(B)は、半導体パッケージ2の一部の構成を示す斜視図である。
半導体パッケージ2は、耐タンパー装置40に代えて耐タンパー装置240を備えている点で上述の第1実施形態の半導体パッケージ1と構成が異なっている。
図8(A)に示すように、耐タンパー装置240は、磁界源41に代えて設けられた磁界源241を有している。磁界源241は、磁界源41と異なり、リードフレーム30に組みつけられて構成されている。
図8(B)に示すように、磁界源241にはリードフレーム30の接点部31が挿通されており、接点部31は磁界源241によって支持されることで適切な間隔に配列されている。
本実施形態では、図8(A)及び図8(B)に示すように、磁界源241は半導体パッケージ2の強度を保つための補強部材として使用されており、半導体パッケージ2のパッケージ本体20から磁界源241を機械的に取り外そうとするとリードフレーム30の接点部31が変形したりボンディングワイヤWが断線したりすることによりダイ10を適切に動作させることができなくなる。また、磁界源241を上述の硝酸塩や発煙硝酸によって化学的に溶解しようとすると、磁界源241を溶解したあとに残った接点部31は磁界源241に支持されなくなるので、リードフレーム30周辺の強度が著しく低下して接点部31同士が接触したりボンディングワイヤWが断線したりしてダイ10を適切に動作させることができなくなる。
一般的に、セキュリティが意識されて設計されたLSIは、情報の不正な獲得を防止する目的で、その仕様を十分に開示しないものである。このため、ボンディングワイヤWを断線させてリードフレーム30からダイ10を取り出してダイ10単体で動作させるためには、ダイ10を動作させるための仕様を解読する作業を要し、現実的ではない。また、磁気イメージングの手法を使って素子レベルでダイ10の構成を解析することは可能ではあるが、膨大な時間を要するため現実的ではない。
また、リードフレーム30が破壊された状態では、ダイ10に対して駆動電力を供給することも困難であるので、ダイ10のメモリセル11に記憶された情報を不正に獲得することが一層困難になる。
このように、本実施形態の半導体パッケージ2によれば、第1実施形態と同様にメモリセル11に記憶された情報を破壊できることに加えて、機械的方法及び化学的方法のいずれの方法で磁界源241を除去してもリードフレーム30が破壊される。このため、ダイ10のメモリセル11に対してサイドチャネルアタックを行うことを困難にすることができる。
(変形例3)
以下では、本実施形態の半導体パッケージ2の変形例について図9を参照して説明する。図9は、変形例3の半導体パッケージの構成を示す断面図である。
図9に示すように、本変形例では、ダイ10と磁気シールド材42との間に、交流の電磁界に対するシールド効果を有する電磁シールド材244を備えている点で上述の半導体パッケージ2と構成が異なっている。
上述の半導体パッケージ1では、サイドチャネルアタックを防ぐために、ダイ10の基板面10Aに電磁界センサ100のセンサヘッド101を近接させるためには磁気シールド材42を除去することを要するように、100マイクロメートルから1ミリメートル程度の厚さの磁気シールド材42を採用した。
これに対して、本実施形態では、磁気シールド材42の厚さは100マイクロメートル以下に形成されている。このため、メモリセル11などダイ10上の回路が発する電磁界を電磁シールド材244によって減衰させ、これらの電磁界が外部に漏洩することを抑制している。
電磁シールド材244の材料としては、スプレーフェライトめっき法によりダイ10の基板面10A上に成膜されたフェライト膜を採用することができる。また、アモルファス膜、グラニュラー膜などを電磁シールド材244の材料として採用することもできる。
また、電磁シールド材244の材料として、CoZrNb、CoZrOが挙げられ、スパッタ装置などを使用してこれらをダイ10上に直接成膜してもよい。CoZrNb膜やCoZrO膜は、1マイクロメートル以下の厚みで数十dBの電磁界の減衰が得られるので、CoZrNbやCoZrOで電磁シールド材244を形成する場合には電磁シールド材244の厚さは0.1マイクロメートルから10マイクロメートル程度でもよい。この場合、電磁シールド材244は半導体パッケージ2の厚さに対して無視できる程度の厚さでダイ10から発生する電磁界を10〜20dB程度減衰させることができる。
なお、CoZrNb、CoZrO膜を多層構造とし、各層を磁化する際の方向を直交化すれば、CoZrNb、CoZrO膜を単層で配置した場合に比べて大きな電磁シールド効果が得られる。
また、電磁シールド材244の材料として、銅(Cu)やアルミニウム(Al)などを採用することもできる。これらの材料は半導体のCMOSプロセスでも使われることがあるため、ダイ10を製造するプロセスの一工程としてダイ10の最上層にCu膜やAl膜を形成して電磁シールド材244としても良い。
電磁シールド材244は、ギガヘルツ帯以下の高周波帯では電磁界を遮蔽するシールド材として機能し、外部に漏洩する電磁界を減衰させる。また、電磁シールド材244は、静磁界に対するシールド性能はほとんどない。このため、磁界源41が形成する磁界MF1(図1参照)は電磁シールド材244によっては減衰されることはなく、メモリセル11の磁気メモリ素子は上述の実施形態及び変形例と同様に磁界源41によって磁化することができる。
電磁界センサ100をダイ10に接近させて不正なデータ獲得を行う際には、例えば上述の差分電力攻撃を行う場合には電磁界の高周波成分を含んだ時間波形を測定するのが一般的である。差分電力攻撃は、消費電流の瞬間的な変動を解析することにより、メモリから読み出したデータを推定する。電磁シールド材244を備えず、磁気シールド材42の厚さが小さい状態であると、ダイ10から漏洩する電磁界は磁気シールド材42を透過して外部に漏洩する。
本変形例では、電磁シールド材244が磁気シールド材42とダイ10との間に設けられているため、電磁シールド材244によって電磁界の大部分が遮蔽されて減衰する。そのため、磁気シールド材42を透過して外部に漏洩する電磁界の強度は上述の電磁界センサ100の検出限界以下となる。半導体パッケージ2のパッケージ本体20が溶解などによって除去されてサイドチャネルアタックが行われても、電磁シールド材244によって電磁界センサ100で電磁界を測定する際のS/N比が低下し、上述の電磁界センサ100で測定した値からメモリセル11に記憶された情報を推定することが困難になる。
電磁界を測定する際のS/N比を高めるために、電磁界センサ100のセンサヘッド101をダイ10の基板面10Aに近接させることも考えられるが、電磁界センサ100によって十分な分解能の測定を行うためには第1実施形態で説明したように数十マイクロメートル以下の距離まで電磁界センサ100のセンサヘッド101を近接させる必要がある。
本実施形態では電磁シールド材244はダイ10の基板面10A上に成膜された薄膜であるので、磁気シールド材42を一切除去せずに電磁シールド材244のみを除去することは非常に困難である。このため、S/N比を高めるために磁気シールド材42を除去する必要があり、磁気シールド材42が除去されると磁界源241によってメモリセル11内の情報は破壊される。
このように、本変形例では、第2実施形態で説明したのと同様に磁界源241を除去してメモリセル11に記憶された情報を獲得することを困難にできることに加えて、電磁シールド材244によって、メモリセル11などのダイ10上の回路から発生する電磁界を遮蔽することができる。その結果、磁気メモリ素子に記憶された情報を不正な手段で読み出すことを困難にして、磁気メモリ素子に記憶された情報が漏洩することを抑制できる。
また、ダイ10の基板面10A上に電磁シールド材244が配置され、さらにその上に磁気シールド材42が配置されているので、電磁シールド材244を除去するためには磁気シールド材42を先に除去することを要する。従って、電磁シールド材244を除去したときには磁気シールド材42によってシールドされていないメモリセル11は磁界源241によって磁化され、これによってメモリセルに記憶されていた情報を破壊することができる。
また、磁気シールド材42が厚いと半導体パッケージ2全体の厚みが大きくなり、パッケージ本体20からダイ10に加わる応力集中によってダイ10が破壊される可能性が考えられる。これに対して、本変形例の半導体パッケージによれば、電磁シールド材244が設けられていることで磁気シールド材42を薄くしても電磁界の漏洩を抑制することができる。このため、半導体パッケージ2を薄く構成できるとともにダイ10のメモリセル11に記憶された情報を不正に獲得することをより困難にすることができる。
また、電磁シールド材244によってダイ10から発生する電磁界を遮蔽するので、交流の電磁界、特に高周波の電磁界に対してシールド効果を奏することができ、不正な攻撃によって情報が獲得される可能性をさらに低減することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、図10ないし図12に示すように、磁界源の形状及び個数を変えて半導体パッケージを構成することができる。具体的には、図10に示すように、平面視で略C字状に形成された磁界源341を備え、磁界MF1を一端341Aから他端341Bへ向けて発生させる半導体パッケージ3を構成することもできる。この場合、磁界源341の一端341A及び他端341Bをダイ10近傍に位置させることができるので、ダイ10に対して効率的に強い磁界を外部から与えることができる。
また、図11に示すように、対向する二つの磁界源441A、441Bがダイ10を挟むように配置された半導体パッケージ4を構成することもできる。この場合、例えば磁界源441Aから磁界源441Bに磁界の方向が向くように、あるいは逆に磁界源441Bから磁界源441Aに磁界の方向が向くように構成することが好ましい。
また、図12に示すように、磁界源541A、544Bが、磁界の方向が交差するように互いに角度を有して配置された半導体パッケージ5を構成することもできる。この場合、ダイ10の一部の領域に磁界MF1が形成される。このような構成にすると、ダイ10上の回路のレイアウトに応じて磁界を印加したい範囲を設定してその範囲に対して特に耐タンパー性を高めることができる。
また、上述の実施形態及び実施例ではQFP型の半導体パッケージを例示したが、半導体パッケージの形態およびリードフレームの形状はQFPに限られるものではない。例えば、SOP(Small Outline Package)、PLCC(Plastic leaded chip carrier)などの半導体パッケージに対しても本発明を好適に適用することができる。
また、インタポーザを使用する半導体パッケージに対しても本発明を好適に適用できる。
また、上述の実施形態及び変形例では、磁界源をパッケージ本体20に内蔵する例を示したが、パッケージ本体20の一部、或いは半導体パッケージそのものの一部を磁界源で構成してもよい。
また、粉末の磁性材料をパッケージ本体20に混ぜ、パッケージ本体20に混ぜられた磁性材料の一部を磁化して永久磁石とすることも可能である。また、この磁性材料を磁化する電磁石を半導体パッケージに備えてもよい。さらに、磁気シールド材はパッケージ本体20の内部に別部品を設ける構成に限られるものではなく、例えば、ダイ10の一部に磁性体の粉末を混入させれば、この磁性体の粉末によって磁気シールド効果を奏することができる。
また、磁気シールド材42に代えて、磁界源41の磁界MF1と反対方向に磁界を発生して磁界源41の磁界を相殺する第二磁界源をダイ10を被覆するように設けてもよい。この場合には、第二磁界源が除去されたときには磁界源41によってメモリセル11の磁気メモリ素子が磁化され、磁界源41が除去されたときには第二磁界源によってメモリセル11の磁気メモリ素子が磁化される。このような構成であると、磁界源41と第二磁界源とを同時に除去しない限りメモリセル11に記憶された情報を不正に獲得できないので、本発明と同様に磁気メモリ素子に記憶された情報を獲得するのを困難にすることができる。
また、上述の実施形態及び変形例において示した構成要素は単独で、もしくは適宜に組み合わせて構成することが可能である。
例えば、上述の第2実施形態で説明した電磁シールド材は第1実施形態の半導体パッケージにも好適に適用することができ、第2実施形態で説明したのと同様に、高周波の電磁波が不正に測定されて情報が漏洩することを抑制できる。
1、2、3、4、5 半導体パッケージ
10 ダイ(半導体回路基板)
11 メモリセル(磁気メモリ素子)
20 パッケージ本体
30 リードフレーム
40、240 耐タンパー装置
41、141、241、341、441A、441B、541A、541B 磁界源
42、142、242 磁気シールド材
43 被覆部材
244 電磁シールド材
MF1 磁界

Claims (8)

  1. 磁気を加えることにより情報を記憶する磁気メモリ素子を有する半導体回路基板を内部に備える半導体パッケージであって、
    前記半導体パッケージの内部に配置され、前記磁気メモリ素子を磁化可能な磁界を少なくとも前記磁気メモリ素子が位置する空間に発生させる磁界源と、
    前記半導体回路基板を覆って配置され、前記磁界源を溶解可能な溶媒に対する耐性が前記磁界源よりも低い材料で構成され、前記磁気メモリ素子に加わる前記磁界を減衰させる磁気シールド材と、
    を備えることを特徴とする半導体パッケージ。
  2. 前記磁界源は、前記半導体回路基板から前記磁気シールド材が除去されたときに前記磁気メモリ素子に記憶された情報を破壊可能な磁界を発生させるものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ。
  3. 前記磁気シールド材は、前記磁界源よりも酸に対する溶解性が高い材料で構成されている請求項に記載の半導体パッケージ。
  4. 前記磁界源は、前記磁界源を溶解可能な溶媒に対する耐性が前記磁界源よりも高い被覆部材によって被覆されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体パッケージ。
  5. 前記被覆部材は、前記磁気シールド材よりも酸に対する溶解性が低く、かつ前記磁界源よりも酸に対する溶解性が低い材料で構成されていることを特徴とする請求項に記載の半導体パッケージ。
  6. 前記半導体回路基板と前記磁気シールド材との間に、交流の電磁界に対して電磁シールド効果を有する電磁シールド材が設けられていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の半導体パッケージ。
  7. 前記半導体回路基板と外部の電極とを電気的に接続するためのリードフレームと、
    前記半導体回路基板を支持するパッケージ本体と、
    をさらに備え、
    前記リードフレームは、前記磁界源と一体に設けられていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の半導体パッケージ。
  8. 前記磁界源は静磁界を発生させ、
    前記磁気シールド材は前記静磁界を遮蔽する
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の半導体パッケージ。
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