この発明の目的は、上記問題を解決し、他の機器を近傍に配置した場合にも、特許文献1記載のコンデンサに比較して他の機器の邪魔になりにくいコンデンサを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)上下方向に間隔をおいて並列状に配置された左右方向にのびる複数の熱交換管と、熱交換管の左右両端部が接続された上下方向にのびるヘッダタンクと、上下方向に隣り合う熱交換管どうしの間に配置されて熱交換管にろう付されたフィンとを備え、上下に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換パスが上下に並んで3以上設けられ、各熱交換パスを構成する全ての熱交換管の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管の冷媒流れ方向が異なっているコンデンサであって、
左右いずれか一端部側に、下端の熱交換パスを含みかつ連続して並んだ少なくとも2つの熱交換パスを構成する第1の熱交換管が接続される第1ヘッダタンクと、第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管からなる熱交換パスよりも上方に設けられた熱交換パスを構成する第2の熱交換管が接続される第2ヘッダタンクとが設けられ、第1ヘッダタンクが、第2ヘッダタンクよりも左右方向外側に配置されるとともに、第1ヘッダタンクの上端が第2ヘッダタンクの下端よりも上方に位置しており、第1ヘッダタンクが重力を利用して気液を分離しかつ液を溜める機能を有し、第1ヘッダタンクに接続された全第1熱交換管のうちの上端に位置する第1熱交換管と、第2ヘッダタンクに接続された全第2熱交換管のうちの下端に位置する第2熱交換管との間に、これらの熱交換管と離隔するように左右方向にのびる中間部材が配置され、上端に位置する第1熱交換管および下端に位置する第2熱交換管と、中間部材との間にフィンが配置され、当該フィンが第1および第2熱交換管と中間部材とにろう付されているコンデンサ。
2)第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管からなる熱交換パスのうちの上端の熱交換パスと、第2ヘッダタンクに接続された第2熱交換管からなる熱交換パスとが、冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスであり、第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管からなる熱交換パスのうち上端の熱交換パスを除いた熱交換パスが、冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスである上記1)記載のコンデンサ。
3)第1ヘッダタンクに少なくとも2つの熱交換パスを構成する第1熱交換管が接続され、第2ヘッダタンクに少なくとも1つの熱交換パスを構成する第2熱交換管が接続されている上記1)または2)記載のコンデンサ。
4)中間部材の第1ヘッダタンク側の端部が、第2ヘッダタンクの下方に間隔をおいて位置している上記1)〜3)のうちいずれかに記載のコンデンサ。
5)上下方向に間隔をおいて並列状に配置された左右方向にのびる複数の熱交換管と、熱交換管の左右両端部が接続された上下方向にのびるヘッダタンクと、上下方向に隣り合う熱交換管どうしの間に配置されて熱交換管にろう付されたフィンとを備え、上下に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換パスが上下に並んで2以上設けられ、各熱交換パスを構成する全ての熱交換管の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管の冷媒流れ方向が異なっているコンデンサであって、
左右いずれか一端部側に、下端の熱交換パスを構成する第1の熱交換管が接続される第1ヘッダタンクと、下端の熱交換パスを除いた熱交換パスを構成する第2の熱交換管が接続される第2ヘッダタンクとが設けられ、第1ヘッダタンクが、第2ヘッダタンクよりも左右方向外側に配置されるとともに、第1ヘッダタンクの上端が第2ヘッダタンクの下端よりも上方に位置しており、第1ヘッダタンクが重力を利用して気液を分離しかつ液を溜める機能を有し、第1ヘッダタンクに接続された全第1熱交換管のうちの上端に位置する第1熱交換管と、第2ヘッダタンクに接続された全第2熱交換管のうちの下端に位置する第2熱交換管との間に、これらの熱交換管と離隔するように左右方向にのびる中間部材が配置され、上端に位置する第1熱交換管および下端に位置する第2熱交換管と、中間部材との間にフィンが配置され、当該フィンが第1および第2熱交換管と中間部材とにろう付されているコンデンサ。
6)中間部材の第1ヘッダタンク側の端部が、第2ヘッダタンクの下方に間隔をおいて位置している上記5)記載のコンデンサ。
7)上下方向に間隔をおいて並列状に配置された左右方向にのびる複数の熱交換管と、熱交換管の左右両端部が接続された上下方向にのびるヘッダタンクと、上下方向に隣り合う熱交換管どうしの間に配置されて熱交換管にろう付されたフィンとを備え、上下に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換パスが上下に並んで2以上設けられ、各熱交換パスを構成する全ての熱交換管の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管の冷媒流れ方向が異なっているコンデンサであって、
左右いずれか一端部側に、上端の熱交換パスを構成する第1の熱交換管が接続される第1ヘッダタンクと、上端の熱交換パスを除いた熱交換パスを構成する第2の熱交換管が接続される第2ヘッダタンクとが設けられ、第1ヘッダタンクが、第2ヘッダタンクよりも左右方向外側に配置されるとともに、第1ヘッダタンクの下端が第2ヘッダタンクの上端よりも下方に位置しており、第1ヘッダタンクが重力を利用して気液を分離しかつ液を溜める機能を有し、第1ヘッダタンクに接続された全第1熱交換管のうちの下端に位置する第1熱交換管と、第2ヘッダタンクに接続された全第2熱交換管のうちの上端に位置する第2熱交換管との間に、これらの熱交換管と離隔するように左右方向にのびる中間部材が配置され、下端に位置する第1熱交換管および上端に位置する第2熱交換管と、中間部材との間にフィンが配置され、当該フィンが第1および第2熱交換管と中間部材とにろう付されているコンデンサ。
8)中間部材の第1ヘッダタンク側の端部が、第2ヘッダタンクの上方に間隔をおいて位置している上記7)記載のコンデンサ。
9)すべての熱交換パスが、冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスである上記5)〜8)のうちのいずれかに記載のコンデンサ。
10)第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管、第2ヘッダタンクに接続された第2熱交換管および中間部材が真っ直ぐである上記1)〜8)のうちのいずれかに記載のコンデンサ。
11)第1ヘッダタンクが、第2ヘッダタンクの左右方向外側でかつ通風方向にずれた位置に配置され、第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管および第2ヘッダタンクに接続された第2熱交換管、ならびに中間部材の第1および第2ヘッダタンク側端部が、同一垂直線を曲げ中心として同方向に曲げられており、曲げられた第1熱交換管、第2熱交換管および中間部材の曲げ部が、曲げられていない部分と同一平面内に位置している上記1)〜8)のうちのいずれかに記載のコンデンサ。
12)中間部材が、第2ヘッダタンクに接続された第2熱交換管と同一構成の管からなり、中間部材の端部がヘッダタンクに近接した位置にあってヘッダタンク内に挿入されていない上記1)〜11)のうちのいずれかに記載のコンデンサ。
上記1)〜4)のコンデンサによれば、左右いずれか一端部側に、下端の熱交換パスを含みかつ連続して並んだ少なくとも2つの熱交換パスを構成する第1の熱交換管が接続される第1ヘッダタンクと、第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管からなる熱交換パスよりも上方に設けられた熱交換パスを構成する第2の熱交換管が接続される第2ヘッダタンクとが設けられ、第1ヘッダタンクが、第2ヘッダタンクよりも左右方向外側に配置されるとともに、第1ヘッダタンクの上端が第2ヘッダタンクの下端よりも上方に位置しており、第1ヘッダタンクが重力を利用して気液を分離しかつ液を溜める機能を有しているので、第1ヘッダタンクの上端を、たとえば第2ヘッダタンクの上端近傍まで上方に延ばすことによって、特許文献1記載のコンデンサに比べて、第1ヘッダタンクの太さを第2ヘッダタンクの太さよりも大きくすることなく、第1ヘッダタンクの内容積を、気液分離を効果的に行いうる大きさにすることができる。したがって、コンデンサを配置するためのスペースを、特許文献1記載のコンデンサに比べて小さくすることができる。特に、カーエアコン用のコンデンサの通風方向下流側にラジエータが配置される場合であっても、第1ヘッダタンクが第2ヘッダタンクの左右方向外側に配置されているので、第1ヘッダタンクがラジエータ設置の邪魔になることはなく、エンジンルーム内での無駄なスペースが生じることはない。その結果、省スペース化を図ることが可能になる。また、第1ヘッダタンクにおける熱交換管が接続された部分よりも上方に比較的大きな空間が存在するので、重力による気液分離効果が優れたものになる。
さらに、第1ヘッダタンクに接続された全第1熱交換管のうちの上端に位置する第1熱交換管と、第2ヘッダタンクに接続された全第2熱交換管のうちの下端に位置する第2熱交換管との間に、これらの熱交換管と離隔するように左右方向にのびる中間部材が配置され、上端に位置する第1熱交換管および下端に位置する第2熱交換管と、中間部材との間にフィンが配置され、当該フィンが第1および第2熱交換管と中間部材とにろう付されているので、第1ヘッダタンクに接続された全第1熱交換管のうちの上端に位置する第1熱交換管への孔食の発生、および当該孔食に起因する冷媒の洩れが防止される。
すなわち、通常、コンデンサの熱交換管への孔食の発生、および当該孔食に起因する冷媒の洩れは、熱交換管の外周面に亜鉛などからなる犠牲腐食層を形成することや、フィンを熱交換管における犠牲腐食層を除いた芯部に対して犠牲的に腐食される材料で形成することによって防止されている。しかしながら、左右いずれか一端部側に、下端の熱交換パスを含みかつ連続して並んだ少なくとも2つの熱交換パスを構成する第1の熱交換管が接続される第1ヘッダタンクと、第1ヘッダタンクに接続された第1熱交換管からなる熱交換パスよりも上方に設けられた熱交換パスを構成する第2の熱交換管が接続される第2ヘッダタンクとが設けられ、第1ヘッダタンクが、第2ヘッダタンクよりも左右方向外側に配置されるとともに、第1ヘッダタンクの上端が第2ヘッダタンクの下端よりも上方に位置していると、第1ヘッダタンクに接続された全第1熱交換管のうちの上端に位置する第1熱交換管における第1ヘッダタンク側の端部は、第2ヘッダタンクの下方に間隔をおいて位置することになる。この場合、全第1熱交換管のうちの上端に位置する第1熱交換管における第1ヘッダタンク側の端部と、第2ヘッダタンクとの間の隙間は比較的大きくなるとともに、当該隙間にはフィンは存在しないので、当該隙間に熱交換管の腐食を促進させる物質が比較的多く溜まり、この腐食促進物質によって全第1熱交換管のうちの上端に位置する第1熱交換管に孔食が発生するとともに当該孔食に起因する冷媒の洩れが発生するおそれがある。
これに対し、第1ヘッダタンクに接続された全第1熱交換管のうちの上端に位置する第1熱交換管と、第2ヘッダタンクに接続された全第2熱交換管のうちの下端に位置する第2熱交換管との間に、これらの熱交換管と離隔するように左右方向にのびる中間部材が配置され、上端に位置する第1熱交換管および下端に位置する第2熱交換管と、中間部材との間にフィンが配置され、当該フィンが第1および第2熱交換管と中間部材とにろう付されていると、全第1熱交換管のうちの上端に位置する第1熱交換管における第1ヘッダタンク側の端部と、第2ヘッダタンクとの間の隙間が比較的大きくなるとともに、当該隙間にフィンが存在せず、当該隙間に熱交換管の腐食を促進させる物質が比較的多く溜まったとしても、腐食促進物質によっては中間部材が腐食させられるだけであるから、熱交換管からの冷媒の洩れが防止される。
上記2)のコンデンサによれば、下端に位置する冷媒凝縮パスを構成する複数の熱交換管から第1ヘッダタンク内に冷媒が流入し、第1ヘッダタンク内で気液を分離するので、圧力降下の発生を抑制して液相冷媒の再気化を防止することができる。
また、上記2)のコンデンサによれば、下端に位置する冷媒凝縮パスを構成する複数の熱交換管から第1ヘッダタンク内に冷媒が流入し、第1ヘッダタンク内で気液を分離するので、第1ヘッダタンク内で気液分離を効率良く行うことができる。すなわち、冷媒凝縮パスを構成する複数の熱交換管のうちの上側の熱交換管内には気相成分の多い気液混相冷媒が流れ、同じく下側の熱交換管内には液相成分の多い気液混相冷媒が流れるが、これらの気液混相冷媒が混じり合うことなく第1ヘッダタンク内に流入するので、気液分離を効率良く行うことができる。
上記5)、6)および9)のコンデンサによれば、左右いずれか一端部側に、下端の熱交換パスを構成する第1の熱交換管が接続される第1ヘッダタンクと、下端の熱交換パスを除いた熱交換パスを構成する第2の熱交換管が接続される第2ヘッダタンクとが設けられ、第1ヘッダタンクが、第2ヘッダタンクよりも左右方向外側に配置されるとともに、第1ヘッダタンクの上端が第2ヘッダタンクの下端よりも上方に位置しており、第1ヘッダタンクが重力を利用して気液を分離しかつ液を溜める機能を有しているので、第1ヘッダタンクの上端を、たとえば第2ヘッダタンクの上端近傍まで上方に延ばすことによって、特許文献1記載のコンデンサに比べて、第1ヘッダタンクの太さを第2ヘッダタンクの太さよりも大きくすることなく、第1ヘッダタンクの内容積を、気液分離を効果的に行いうる大きさにすることができる。したがって、コンデンサを配置するためのスペースを、特許文献1記載のコンデンサに比べて小さくすることができる。特に、カーエアコン用のコンデンサの通風方向下流側にラジエータが配置される場合であっても、第1ヘッダタンクが第2ヘッダタンクの左右方向外側に配置されているので、第1ヘッダタンクがラジエータ設置の邪魔になることはなく、エンジンルーム内での無駄なスペースが生じることはない。その結果、省スペース化を図ることが可能になる。さらに、第1ヘッダタンクにおける熱交換管が接続された部分よりも上方に空間が存在するので、重力による気液分離効果が優れたものになる。
また、下端に位置する熱交換パスを構成する複数の熱交換管から第1ヘッダタンク内に冷媒が流入し、第1ヘッダタンク内で気液を分離するので、第1ヘッダタンク内で気液分離を効率良く行うことができる。すなわち、下端の熱交換パスを構成する複数の熱交換管のうちの上側の熱交換管内には気相成分の多い気液混相冷媒が流れ、同じく下側の熱交換管内には液相成分の多い気液混相冷媒が流れるが、これらの気液混相冷媒が混じり合うことなく第1ヘッダタンク内に流入するので、気液分離を効率良く行うことができる。
さらに、第1ヘッダタンクに接続された全第1熱交換管のうちの上端に位置する第1熱交換管と、第2ヘッダタンクに接続された全第2熱交換管のうちの下端に位置する第2熱交換管との間に、これらの熱交換管と離隔するように左右方向にのびる中間部材が配置され、上端に位置する第1熱交換管および下端に位置する第2熱交換管と、中間部材との間にフィンが配置され、当該フィンが第1および第2熱交換管と中間部材とにろう付されているので、上記1)のコンデンサの場合と同様に、第1ヘッダタンクに接続された全第1熱交換管のうちの上端に位置する第1熱交換管への孔食の発生、および当該孔食に起因する冷媒の洩れが防止される。
上記7)〜9)のコンデンサによれば、左右いずれか一端部側に、上端の熱交換パスを構成する第1の熱交換管が接続される第1ヘッダタンクと、上端の熱交換パスを除いた熱交換パスを構成する第2の熱交換管が接続される第2ヘッダタンクとが設けられ、第1ヘッダタンクが、第2ヘッダタンクよりも左右方向外側に配置されるとともに、第1ヘッダタンクの下端が第2ヘッダタンクの上端よりも下方に位置しており、第1ヘッダタンクが重力を利用して気液を分離しかつ液を溜める機能を有しているので、上端に位置する熱交換パスを構成する複数の熱交換管から第1ヘッダタンク内に冷媒が流入し、第1ヘッダタンク内で気液を分離することになり、第1ヘッダタンク内で気液分離を効率良く行うことができる。すなわち、上端の熱交換パスを構成する複数の第1熱交換管のうちの上側の第1熱交換管内には気相成分の多い気液混相冷媒が流れ、同じく下側の第1熱交換管内には液相成分の多い気液混相冷媒が流れるが、これらの気液混相冷媒が混じり合うことなく第1ヘッダタンク内に流入するので、気液分離を効率良く行うことができる。また、第1ヘッダタンクの下端を、たとえば第2ヘッダタンクの下端近傍まで下方に延ばすことによって、特許文献1記載のコンデンサに比べて、第1ヘッダタンクの太さを第2ヘッダタンクの太さよりも大きくすることなく、第1ヘッダタンクの内容積を、気液分離を効果的に行いうる大きさにすることができる。したがって、コンデンサを配置するためのスペースを、特許文献1記載のコンデンサに比べて小さくすることができる。特に、カーエアコン用のコンデンサの通風方向下流側にラジエータが配置される場合であっても、第1ヘッダタンクが第2ヘッダタンクの左右方向外側に配置されているので、第1ヘッダタンクがラジエータ設置の邪魔になることはなく、エンジンルーム内での無駄なスペースが生じることはない。その結果、省スペース化を図ることが可能になる。さらに、第1ヘッダタンクにおける熱交換管が接続された部分よりも上方に空間が存在するので、重力による気液分離効果が優れたものになる。
さらに、第1ヘッダタンクに接続された全第1熱交換管のうちの下端に位置する第1熱交換管と、第2ヘッダタンクに接続された全第2熱交換管のうちの上端に位置する第2熱交換管との間に、これらの熱交換管と離隔するように左右方向にのびる中間部材が配置され、下端に位置する第1熱交換管および上端に位置する第2熱交換管と、中間部材との間にフィンが配置され、当該フィンが第1および第2熱交換管と中間部材とにろう付されているので、上記1)のコンデンサの場合と同様に、第1ヘッダタンクに接続された全第1熱交換管のうちの下端に位置する第1熱交換管への孔食の発生、および当該孔食に起因する冷媒の洩れが防止される。
上記10)および11)のコンデンサによれば、第1ヘッダタンクと第2ヘッダタンクとを平面から見てずらすことを、比較的簡単に行うことができる。
上記11)のコンデンサによれば、コンデンサにおける第1ヘッダタンクが配置された側とは通風方向の反対側に他の機器を配置する必要がある場合にも、第1ヘッダタンクが邪魔になることが防止される。たとえば、カーエアコン用のコンデンサの通風方向下流側にはラジエータが配置されることが一般的であるが、第2ヘッダタンクを通風方向上流側にずれた位置に配置することによって、第2ヘッダタンクがラジエータ設置の邪魔になることが防止される。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
以下の説明において、図1の紙面裏側(図3の上側)を前、これと反対側を後というものとする。
また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
さらに、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図1はこの発明によるコンデンサの全体構成を具体的に示し、図2はこの発明によるコンデンサを模式的に示す。図2においては、個々の熱交換管の図示は省略されるとともに、コルゲートフィン、サイドプレート、冷媒入口部材および冷媒出口部材の図示も省略されている。また、図3および図4は図1のコンデンサの要部の構成を示す。
図1において、コンデンサ(1)は、幅方向を前後方向に向けるとともに長さ方向を左右方向に向けた状態で上下方向に間隔をおいて配置された複数のアルミニウム製扁平状熱交換管(2A)(2B)と、熱交換管(2A)(2B)の左右両端部がろう付により接続された上下方向にのびる3つのアルミニウム製ヘッダタンク(3)(4)(5)と、隣り合う熱交換管(2A)(2B)どうしの間および上下両端の熱交換管(2A)(2B)の外側に配置されて熱交換管(2A)(2B)にろう付されたアルミニウム製コルゲートフィン(6A)(6B)と、上下両端のコルゲートフィン(6A)(6B)の外側に配置されてコルゲートフィン(6A)(6B)にろう付されたアルミニウム製サイドプレート(7)とを備えており、上下に連続して並んだ複数の熱交換管(2A)(2B)からなる熱交換パス(P1)(P2)(P3)が上下に並んで3以上、ここでは3つ設けられている。3つの熱交換パスを、上から順に第1〜第3熱交換パス(P1)(P2)(P3)というものとする。各熱交換パス(P1)(P2)(P3)を構成する全ての熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が異なっている。
図1〜図3に示すように、コンデンサ(1)の左端側には、下端の熱交換パスを含みかつ連続して並んだ少なくとも2つの熱交換パス、ここでは第2および第3熱交換パス(P2)(P3)を構成する熱交換管(2A)がろう付により接続された第1ヘッダタンク(3)と、第1熱交換パス(P1)(第1ヘッダタンク(3)に接続された熱交換管(2A)からなる熱交換パス(P2)(P3)よりも上方に設けられた熱交換パス(P1))を構成する熱交換管(2B)がろう付により接続された第2ヘッダタンク(4)とが別個に設けられている。ここで、第1ヘッダタンク(3)に接続された熱交換管(2A)が第1熱交換管であり、第2ヘッダタンク(4)に接続された熱交換管(2B)が第2熱交換管である。なお、隣り合う第1熱交換管(2A)どうしの間および下端の第1熱交換管(2A)と下側サイドプレート(7)との間に配置されたコルゲートフィン(6A)を第1コルゲートフィンといい、隣り合う第2熱交換管(2B)どうしの間および上端の第2熱交換管(2B)と上側サイドプレート(7)との間に配置されたコルゲートフィン(6B)を第2コルゲートフィンというものとする。
第1ヘッダタンク(3)と第2ヘッダタンク(4)との前後方向の寸法はほぼ等しくなっているが、水平断面積は第1ヘッダタンク(3)の方が第2ヘッダタンク(4)よりも大きくなっている。第1ヘッダタンク(3)は第2ヘッダタンク(4)よりも左方(左右方向外側)に配置されており、第1ヘッダタンク(3)の左右方向の中心が第2ヘッダタンク(4)の左右方向の中心よりも左右方向外側に位置しているとともに、第1および第2ヘッダタンク(3)(4)の前後方向の中心は左右方向にのびる同一垂直平面上に位置している。したがって、第1ヘッダタンク(3)と第2ヘッダタンク(4)とは、平面から見て重なることなくずれている。また、第1ヘッダタンク(3)の上端は第2ヘッダタンク(4)の下端よりも上方に位置しており、第1ヘッダタンク(3)が、重力を利用して気液を分離しかつ液を溜める受液部としての機能を有している。すなわち、第1ヘッダタンク(3)の内容積は、第1ヘッダタンク(3)内に流入した気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒が重力により第1ヘッダタンク(3)内の下部に溜まるとともに、気液混相冷媒のうちの気相成分が重力により第1ヘッダタンク(3)内の上部に溜まり、これにより第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内には液相主体混相冷媒のみが流入するような内容積となっている。
コンデンサ(1)の右端部側には、第1〜第3熱交換パス(P1)〜(P3)を構成するすべての熱交換管(2A)(2B)が接続される第3ヘッダタンク(5)が配置されている。第3ヘッダタンク(5)の横断面形状は第2ヘッダタンク(4)と同一である。第3ヘッダタンク(5)内は、第2熱交換パス(P2)と第3熱交換パス(P3)との間の高さ位置に設けられたアルミニウム製仕切板(8)により上側ヘッダ部(11)と下側ヘッダ部(12)とに区画されている。
そして、第2ヘッダタンク(4)、第1ヘッダタンク(3)における第2熱交換パス(P2)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(11)、第1熱交換パス(P1)および第2熱交換パス(P2)により冷媒を凝縮させる凝縮部(1A)が形成され、第1ヘッダタンク(3)における第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(12)および第3熱交換パス(P3)により冷媒を過冷却する過冷却部(1B)が形成され、第1および第2熱交換パス(P1)(P2)(第2ヘッダタンク(4)に接続された第2熱交換管(2B)からなる熱交換パスと、第1ヘッダタンク(3)に接続された第1熱交換管(2A)からなる熱交換パスのうちの上端の熱交換パス)が冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスとなっているとともに、第3熱交換パス(P3)(第1ヘッダタンク(3)に接続された第1熱交換管(2A)からなる熱交換パスのうち上端の熱交換パスを除いた熱交換パス)が冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスとなっている。
凝縮部(1A)を構成する第2ヘッダタンク(4)の上端部に冷媒入口(13)が形成され、過冷却部(1B)を構成する第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(12)に冷媒出口(15)が形成されている。そして、第2ヘッダタンク(4)に冷媒入口(13)に通じる冷媒入口部材(14)が接合され、第3ヘッダタンク(5)に冷媒出口(15)に通じる冷媒出口部材(16)が接合されている。
全熱交換管(2A)(2B)は真っ直ぐであり、第1ヘッダタンク(3)に接続された第1熱交換管(2A)の左端部(第1ヘッダタンク(3)側端部)が、第2ヘッダタンク(4)に接続された第2熱交換管(2B)の左端部(第2ヘッダタンク(4)部側端部)よりも左方までのびており、これにより第1熱交換管(2A)の左側部分(第1ヘッダタンク(3)側の部分)に、第2熱交換管(2B)における左端部よりも左側(左右方向外側)に突出した突出部(2a)が設けられている。また、第1コルゲートフィン(6A)の左端部も、第2コルゲートフィン(6B)の左端部よりも左方までのびており、これにより第1コルゲートフィン(6A)の左側部分に、第2コルゲートフィン(6B)の左端部よりも左側に突出し、かつ隣り合う第1熱交換管(2A)の突出部(2a)に配置された突出部(6a)が設けられている。そして、全第1熱交換管(2A)の突出部(2a)および全第1コルゲートフィン(6A)の突出部(6a)によって、熱交換部(17)が形成されている。図2においては、熱交換部(17)を網掛け線で示す。
図1〜図4に示すように、第2熱交換パス(P2)の上端の第1熱交換管(2A)と第1熱交換パス(P1)の下端の第2熱交換管(2B)との間に、これらの熱交換管(2A)(2B)と離隔するとともに、両熱交換管(2A)(2B)とほぼ平行になるように、左右方向にのびるアルミニウム製中間部材(18)が配置されている。第2熱交換パス(P2)の上端の第1熱交換管(2A)と中間部材(18)との間には第1コルゲートフィン(6A)が配置されて第1熱交換管(2A)および中間部材(18)にろう付され、第1熱交換パス(P1)の下端の第2熱交換管(2B)と中間部材(18)との間には第2コルゲートフィン(6B)が配置されて第2熱交換管(2B)および中間部材(18)にろう付されている。中間部材(18)の左右両端部は、第1ヘッダタンク(3)および第3ヘッダタンク(5)に近接した位置にあって第1ヘッダタンク(3)および第3ヘッダタンク(5)内には挿入されていない。中間部材(18)の左端部(第1ヘッダタンク(3)側の端部)は、第2ヘッダタンク(4)の下方に間隔をおいて位置している。なお、中間部材(18)における第2ヘッダタンク(4)の下方に位置する部分には第2コルゲートフィン(6B)は配置されていない。中間部材(18)としては、第2熱交換管(2B)と同一構成の管が用いられている。中間部材(18)の両端部は第1ヘッダタンク(3)内および第3ヘッダタンク(5)内に挿入されていないので、第2熱交換管(2B)と同一構成の管を用いることが可能になっている。
コンデンサ(1)は、圧縮機、膨張弁(減圧器)およびエバポレータとともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両に搭載される。
上述した構成のコンデンサ(1)において、圧縮機により圧縮された高温高圧の気相冷媒が、冷媒入口部材(14)および冷媒入口(13)を通って第2ヘッダタンク(4)内に流入し、第1熱交換パス(P1)の第2熱交換管(2B)内を右方に流れる間に凝縮させられて第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(11)内に流入する。第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(11)内に流入した冷媒は第2熱交換パス(P2)の第1熱交換管(2A)内を左方に流れる間に凝縮させられて第1ヘッダタンク(3)内に流入する。
第1ヘッダタンク(3)内に流入した冷媒は気液混相冷媒であり、当該気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒は重力により第1ヘッダタンク(3)内の下部に溜まって、第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内に入る。第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内に入った液相主体混相冷媒は第1熱交換管(2A)内を右方に流れる間に過冷却された後、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(12)内に入り、冷媒出口(15)および冷媒出口部材(16)を通って流出し、膨張弁を経て蒸発器に送られる。
一方、第1ヘッダタンク(3)内に流入した気液混相冷媒のうちの気相成分は、第1ヘッダタンク(3)内の上部に溜まる。
ここで、全第1熱交換管(2A)のうちの上端に位置する第1熱交換管(2A)の左端部と、第2ヘッダタンク(4)との間の上下方向の隙間が比較的大きくなるとともに、当該隙間にフィンが存在せず、当該隙間に熱交換管の腐食を促進させる物質が比較的多く溜まったとしても、腐食促進物質によっては中間部材(18)が腐食させられるだけであるから、上端の第1熱交換管(2A)からの冷媒の洩れが防止される。
図5〜図9はこの発明によるコンデンサの他の実施形態を示す。なお、図7〜図9はコンデンサを模式的に示すものであり、個々の熱交換管の図示は省略されるとともに、コルゲートフィン、サイドプレート、冷媒入口部材および冷媒出口部材の図示も省略されている。
図5および図6に示すコンデンサ(20)の場合、第2熱交換パス(P2)の上端の第1熱交換管(2A)と第1熱交換パス(P1)の下端の第2熱交換管(2B)との間に、これらの熱交換管(2A)(2B)と離隔するとともに、両熱交換管(2A)(2B)とほぼ平行になるように配置された左右方向にのびるアルミニウム製中間部材(21)は、幅方向を前後方向に向けた中実の扁平板からなる。中間部材(21)の前後方向の幅、上下方向の厚みおよび左右方向の長さは、第1熱交換管(2A)の前後方向の幅、上下方向の厚みおよび左右方向の長さと等しくなっており、中間部材(21)の左右両端部は第1ヘッダタンク(3)および第3ヘッダタンク(5)内に挿入されて両ヘッダタンク(3)(5)にろう付されている。中間部材(21)の左端寄りの部分は、第2ヘッダタンク(4)の下方に間隔をおいて位置している。中間部材(21)における第2ヘッダタンク(4)の下方に位置する部分には第2コルゲートフィン(6B)は配置されていない。
その他の構成は図1〜図4に示すコンデンサ(1)と同様であり、図1〜図4に示すコンデンサ(1)の場合と同様にして冷媒が流れる。なお、図5において、図1に示すコンデンサ(1)と同様な構成である凝縮部を(20A)で示し、同じく過冷却部を(20B)で示す。
図7に示すコンデンサ(30)の場合、上下に連続して並んだ複数の熱交換管(2A)(2B)からなる熱交換パス(P1)(P2)(P3)(P4)が上下に並んで4つ設けられている。4つの熱交換パスを、上から順に第1〜第4熱交換パス(P1)(P2)(P3)(P4)というものとする。各熱交換パス(P1)(P2)(P3)(P4)を構成する全ての熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が異なっている。
第1および第2熱交換パス(P1)(P2)を構成する熱交換管(2B)の左右両端部は、第2ヘッダタンク(4)および第3ヘッダタンク(5)にろう付により接続されている。第3および第4熱交換パス(P3)(P4)を構成する熱交換管(2A)の左右両端部は、第1ヘッダタンク(3)および第3ヘッダタンク(5)にろう付により接続されている。したがって、第3および第4熱交換パス(P3)(P4)を構成する熱交換管(2A)が第1熱交換管であり、第1および第2熱交換パス(P1)(P2)を構成する熱交換管(2B)が第2熱交換管である。
第3ヘッダタンク(5)内は、第1熱交換パス(P1)と第2熱交換パス(P2)との間の高さ位置、および第3熱交換パス(P3)と第4熱交換パス(P4)との間の高さ位置にそれぞれ設けられたアルミニウム製仕切板(31)(32)により上側ヘッダ部(33)と、中間ヘッダ部(34)と、下側ヘッダ部(35)とに区画されている。第1熱交換パス(P1)の第2熱交換管(2B)の左端部は第2ヘッダタンク(4)に、同右端部は第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(33)にそれぞれ接続され、第2熱交換パス(P2)の第2熱交換管(2B)の左端部は第2ヘッダタンク(4)に、同右端部は第3ヘッダタンク(5)の中間ヘッダ部(34)にそれぞれ接続され、第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)の左端部は第1ヘッダタンク(3)に、同右端部は第3ヘッダタンク(5)の中間ヘッダ部(34)にそれぞれ接続され、第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)の左端部は第1ヘッダタンク(3)に、同右端部は第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(35)にそれぞれ接続されている。
そして、第2ヘッダタンク(4)、第1ヘッダタンク(3)における第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(33)および中間ヘッダ部(34)、ならびに第1〜第3熱交換パス(P1)〜(P3)により冷媒を凝縮させる凝縮部(30A)が形成され、第1ヘッダタンク(3)における第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)が接続された部分、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(35)および第4熱交換パス(P4)により冷媒を過冷却する過冷却部(30B)が形成され、第1〜第3熱交換パス(P1)〜(P3)が冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスとなっているとともに、第4熱交換パス(P4)が冷媒を過冷却する冷媒過冷却パスとなっている。
凝縮部(30A)を構成する第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(33)に冷媒入口(36)が形成され、過冷却部(30B)を構成する第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(35)に冷媒出口(37)が形成されている。そして、第3ヘッダタンク(5)に、冷媒入口(36)に通じる冷媒入口部材(図示略)および冷媒出口(37)に通じる冷媒出口部材(図示略)が接合されている。
図7に示すコンデンサ(30)において、第3熱交換パス(P3)の上端の第1熱交換管(2A)と第2熱交換パス(P2)の下端の第2熱交換管(2B)との間に、これらの熱交換管(2A)(2B)と離隔するとともに、両熱交換管(2A)(2B)とほぼ平行になるように、左右方向にのびる中間部材(18)が配置されている。図示は省略したが、第3熱交換パス(P3)の上端の第1熱交換管(2A)と中間部材(18)との間には第1コルゲートフィン(6A)が配置されて第1熱交換管(2A)および中間部材(18)にろう付され、第2熱交換パス(P2)の下端の第2熱交換管(2B)と中間部材(18)との間には第2コルゲートフィン(6B)が配置されて第2熱交換管(2B)および中間部材(18)にろう付されている。
その他の構成は図1〜図4に示すコンデンサと同様である。
図7に示すコンデンサ(30)において、圧縮機により圧縮された高温高圧の気相冷媒が、冷媒入口部材および冷媒入口(36)を通って第3ヘッダタンク(5)の上側ヘッダ部(33)内に流入し、第1熱交換パス(P1)の第2熱交換管(2B)内を左方に流れる間に凝縮させられて第2ヘッダタンク(4)内に流入する。第2ヘッダタンク(4)内に流入した冷媒は、第2熱交換パス(P2)の第2熱交換管(2B)内を右方に流れる間に凝縮させられて第3ヘッダタンク(5)の中間ヘッダ部(34)内に流入する。第3ヘッダタンク(5)の中間ヘッダ部(34)内に流入した冷媒は第3熱交換パス(P3)の第1熱交換管(2A)内を左方に流れる間に凝縮させられて第1ヘッダタンク(3)内に流入する。
第1ヘッダタンク(3)内に流入した冷媒は気液混相冷媒であり、当該気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒は重力により第1ヘッダタンク(3)内の下部に溜まり、第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)内に入る。第4熱交換パス(P4)の第1熱交換管(2A)内に入った液相主体混相冷媒は第1熱交換管(2A)内を右方に流れる間に過冷却された後、第3ヘッダタンク(5)の下側ヘッダ部(35)内に入り、冷媒出口(37)および冷媒出口部材を通って流出し、膨張弁を経て蒸発器に送られる。
一方、第1ヘッダタンク(3)内に流入した気液混相冷媒のうちの気相成分は、第1ヘッダタンク(3)内の上部に溜まる。
図8に示すコンデンサ(40)の場合、上下に連続して並んだ複数の熱交換管(2A)(2B)からなる熱交換パス(P1)(P2)が上下に並んで2つ設けられている。2つの熱交換パスを、上から順に第1〜第2熱交換パス(P1)(P2)というものとする。各熱交換パス(P1)(P2)を構成する全ての熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が異なっている。
第1熱交換パス(P1)を構成する熱交換管(2B)の左右両端部は、第2ヘッダタンク(4)および第3ヘッダタンク(5)にろう付により接続されている。第2熱交換パス(P2)を構成する熱交換管(2A)の左右両端部は、第1ヘッダタンク(3)および第3ヘッダタンク(5)にろう付により接続されている。したがって、第2熱交換パス(P2)を構成する熱交換管(2A)が第1熱交換管であり、第1熱交換パス(P1)を構成する熱交換管(2B)が第2熱交換管である。
そして、第1〜第3ヘッダタンク(3)〜(5)、ならびに第1および第2熱交換パス(P1)(P2)により冷媒を凝縮させる凝縮部(40A)が形成され、第1および第2熱交換パス(P1)(P2)、すなわちすべての熱交換パスが冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスとなっている。
凝縮部(40A)を構成する第2ヘッダタンク(4)の上端部に冷媒入口(41)が形成され、第1ヘッダタンク(3)の下端部に冷媒出口(42)が形成されている。そして、第1ヘッダタンク(5)に冷媒入口(41)に通じる冷媒入口部材(図示略)が接合され、同じく第1ヘッダタンク(3)に冷媒出口(42)に通じる冷媒出口部材(図示略)が接合されている。
図8に示すコンデンサ(40)において、第2熱交換パス(P2)の上端の第1熱交換管(2A)と第1熱交換パス(P1)の下端の第2熱交換管(2B)との間に、これらの熱交換管(2A)(2B)と離隔するとともに、両熱交換管(2A)(2B)とほぼ平行になるように、左右方向にのびる中間部材(18)が配置されている。図示は省略したが、第2熱交換パス(P2)の上端の第1熱交換管(2A)と中間部材(18)との間には第1コルゲートフィン(6A)が配置されて第1熱交換管(2A)および中間部材(18)にろう付され、第1熱交換パス(P1)の下端の第2熱交換管(2B)と中間部材(18)との間には第2コルゲートフィン(6B)が配置されて第2熱交換管(2B)および中間部材(18)にろう付されている。
その他の構成は図1〜図4に示すコンデンサと同様である。
図8に示すコンデンサ(40)において、圧縮機により圧縮された高温高圧の気相冷媒が、冷媒入口部材および冷媒入口(41)を通って第2ヘッダタンク(4)内に流入し、第1熱交換パス(P1)の第2熱交換管(2B)内を右方に流れる間に凝縮させられて第3ヘッダタンク(5)内に流入する。第3ヘッダタンク(5)内に流入した冷媒は、第2熱交換パス(P2)の第1熱交換管(2A)内を左方に流れる間に凝縮させられて第1ヘッダタンク(3)内に流入する。
第1ヘッダタンク(3)内に流入した冷媒は気液混相冷媒であり、当該気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒は重力により第1ヘッダタンク(3)内の下部に溜まり、冷媒出口(42)および冷媒出口部材を通って流出し、膨張弁を経て蒸発器に送られる。
一方、第1ヘッダタンク(3)内に流入した気液混相冷媒のうちの気相成分は、第1ヘッダタンク(3)内の上部に溜まる。
図9に示すコンデンサ(50)の場合、上下に連続して並んだ複数の熱交換管(2A)(2B)からなる熱交換パス(P1)(P2)が上下に並んで2つ設けられている。2つの熱交換パスを、下から順に第1〜第2熱交換パス(P1)(P2)というものとする。各熱交換パス(P1)(P2)を構成する全ての熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が同一となっているとともに、隣り合う2つの熱交換パスの熱交換管(2A)(2B)の冷媒流れ方向が異なっている。
第1ヘッダタンク(3)の下端は第2ヘッダタンク(4)の上端よりも下方に位置しており、第1ヘッダタンク(3)が気液分離機能を有している。
第1熱交換パス(P1)を構成する熱交換管(2B)の左右両端部は、第2ヘッダタンク(4)および第3ヘッダタンク(5)にろう付により接続されている。第2熱交換パス(P2)を構成する熱交換管(2A)の左右両端部は、第1ヘッダタンク(3)および第3ヘッダタンク(5)にろう付により接続されている。したがって、第2熱交換パス(P2)を構成する熱交換管(2A)が第1熱交換管であり、第1熱交換パス(P1)を構成する熱交換管(2B)が第2熱交換管である。
そして、第1〜第3ヘッダタンク(3)〜(5)、ならびに第1および第2熱交換パス(P1)(P2)により冷媒を凝縮させる凝縮部(50A)が形成され、第1および第2熱交換パス(P1)(P2)、すなわちすべての熱交換パスが冷媒を凝縮させる冷媒凝縮パスとなっている。
凝縮部(50A)を構成する第1ヘッダタンク(5)の下端部に冷媒入口(51)が形成され、第2ヘッダタンク(4)の下端部に冷媒出口(52)が形成されている。そして、第1ヘッダタンク(3)に冷媒入口(51)に通じる冷媒入口部材(図示略)が接合され、同じく第2ヘッダタンク(4)に冷媒出口(52)に通じる冷媒出口部材(図示略)が接合されている。
図9に示すコンデンサ(50)において、第2熱交換パス(P2)の下端の第1熱交換管(2A)と第1熱交換パス(P1)の上端の第2熱交換管(2B)との間に、これらの熱交換管(2A)(2B)と離隔するとともに、両熱交換管(2A)(2B)とほぼ平行になるように、左右方向にのびる中間部材(18)が配置されている。図示は省略したが、第2熱交換パス(P2)の下端の第1熱交換管(2A)と中間部材(18)との間には第1コルゲートフィン(6A)が配置されて第1熱交換管(2A)および中間部材(18)にろう付され、第1熱交換パス(P1)の上端の第2熱交換管(2B)と中間部材(18)との間には第2コルゲートフィン(6B)が配置されて第2熱交換管(2B)および中間部材(18)にろう付されている。
その他の構成は図1〜図4に示すコンデンサと同様である。
図9に示すコンデンサ(50)において、圧縮機により圧縮された高温高圧の気相冷媒が、冷媒入口部材および冷媒入口(51)を通って第2ヘッダタンク(4)内に流入し、第1熱交換パス(P1)の第2熱交換管(2B)内を右方に流れる間に凝縮させられて第3ヘッダタンク(5)内に流入する。第3ヘッダタンク(5)内に流入した冷媒は、第2熱交換パス(P2)の第1熱交換管(2A)内を左方に流れる間に凝縮させられて第1ヘッダタンク(3)内に流入する。第1ヘッダタンク(3)内に流入した冷媒は気液混相冷媒であり、当該気液混相冷媒のうち液相主体混相冷媒は重力により第1ヘッダタンク(3)内の下部に溜まり、冷媒出口(52)および冷媒出口部材を通って流出し、膨張弁を経て蒸発器に送られる。
一方、第1ヘッダタンク(3)内に流入した気液混相冷媒のうちの気相成分は、第1ヘッダタンク(3)内の上部に溜まる。
図8および図9に示すコンデンサ(40)(50)において、第2ヘッダタンク(4)と第3ヘッダタンク(5)との間に、上下に連続して並んだ複数の第2熱交換管(2B)からなる熱交換パスが上下に並んで2以上設けられていてもよい。第2ヘッダタンク(4)と第3ヘッダタンク(5)との間に偶数の熱交換パスが設けられる場合には、第3ヘッダタンク(5)の下端部に冷媒入口が形成されるとともに、第2ヘッダタンク(4)内および第3ヘッダタンク(5)内に適当な数のヘッダ部が設けられる。また、第2ヘッダタンク(4)と第3ヘッダタンク(5)との間に奇数の熱交換パスが設けられる場合には、第2ヘッダタンク(4)の下端部に冷媒入口が形成されるとともに、第2ヘッダタンク(4)内および第3ヘッダタンク(5)内に適当な数のヘッダ部が設けられる。
図示は省略したが、図7〜図9に示すコンデンサ(30)(40)(50)において、それぞれ全熱交換管(2A)(2B)は真っ直ぐであり、第1ヘッダタンク(3)に接続された第1熱交換管(2A)の左端部が、第2ヘッダタンク(4)に接続された第2熱交換管(2B)の左端部よりも左方までのびており、これにより第1熱交換管(2A)の左側部分に、第2熱交換管(2B)における左端部よりも左側に突出した突出部(2a)が設けられている。また、第1コルゲートフィン(6A)の左端部も、第2コルゲートフィン(6B)の左端部よりも左方までのびており、これにより第1コルゲートフィン(6A)の左側部分に、第2コルゲートフィン(6B)の左端部よりも左側に突出し、かつ隣り合う第1熱交換管(2A)の突出部(2a)に配置された突出部(6a)が設けられている。そして、全第1熱交換管(2A)の突出部(2a)および全第1コルゲートフィン(6A)の突出部(6a)によって、熱交換部(17)が形成されている。図7〜図9においては、熱交換部(17)を網掛け線で示す。
図7〜図9に示すコンデンサ(30)(40)(50)において、中間部材(18)の代わりに、図5および図6に示す中間部材(20)を用いてもよい。この場合、中間部材(21)の左右両端部は第1ヘッダタンク(3)および第3ヘッダタンク(5)内に挿入されて両ヘッダタンク(3)(5)にろう付される。
図10は、コンデンサの第1ヘッダタンクおよび第2ヘッダタンクを設ける位置、ならびに第1熱交換管および第2熱交換管の変形例を示す。
図10において、第2ヘッダタンク(4)は第3ヘッダタンク(5)よりも後方に配置され、第1ヘッダタンク(3)は第2ヘッダタンク(4)の左斜め後方に配置されており、第1ヘッダタンク(3)と第2ヘッダタンク(4)とは、平面から見て重なることなくずれている。そして、第1ヘッダタンク(3)に接続される第1熱交換管(2A)、第2ヘッダタンク(4)に接続される第2熱交換管(2B)(図示略)および中間部材(18)の左端部は、それぞれ同方向、ここでは斜め後方に同角度曲げられており、曲げられた両熱交換管(2A)(2B)および中間部材(18)の曲げ部(2c)(18a)が、当該熱交換管(2A)(2B)および中間部材(18)の曲げられていない部分と同一平面内に位置している。また、第2ヘッダタンク(4)は、第2ヘッダタンク(4)に接続された第2熱交換管(2B)の曲げられていない部分の幅方向の中心線よりも左斜め後方に配置され、第1ヘッダタンク(3)は、第2ヘッダタンク(4)の左斜め後方に配置されている。第1コルゲートフィン(6A)の左側部分の突出部(6a)は、隣り合う第1熱交換管(2A)の曲げ部(2c)どうしの間、および第1熱交換管(2A)の曲げ部(2c)と中間部材(18)の曲げ部(18a)との間に存在している。
なお、上述した全てのコンデンサ(1)(20)(30)(40)(50)において、第1ヘッダタンク(3)内に、乾燥剤、気液分離部材およびフィルタのうちの少なくともいずれか1つが配置されることがある。