JP5468968B2 - インク廃液吸収体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリウレタンフォームにインク吸収性及び排出性向上のための含浸液を含浸処理してなるインク廃液吸収体であって、顔料系のインク廃液の吸収性及び排出性に優れると共に、取り扱い性及び加工性に優れたインク廃液吸収体に関するものである。
近年、パソコンの普及に伴いプリンターも多くの機種が提供されている。そして、最近ではこれらのプリンターはワイヤドット方式やインクリボン方式から、レーザー方式やインクジェット方式に移行しつつある。特に、インクジェット方式はレーザー方式に比べて安価であり、広く採用されている。かかるインクジェット方式のプリンターには、従来染料系インクが広く用いられていたが、近年のカラープリンター化に伴い、顔料系インクが用いられるようになってきた。
インクジェット方式のプリンターでは、プリンターヘッドのクリーニング等により、余分なインクはプリンター内に溜め込まれるが、これが流れ出してプリンターヘッド周辺を汚染させることがある。また、縁無印刷を行った場合には、紙の周囲にもインクが吐出されるため、このインクがプリンター内に堆積して印刷紙を汚染したり、インクミストとしてプリンター内部を汚染する。このため、プリンター内には余分なインクを吸収するためのインク吸収材がプリンターヘッドに対応して敷き詰められており、さらに、このインク吸収材の近傍には、このインク吸収材が吸収したインクを吸着・貯蔵するためのシートなどが設けられている。
このインク吸収材には、吐出されたインクを撥き返すことなく吸収する優れたインク吸収性と、吸収したインクを内部に堆積させることなく、前記シートに対してインクを円滑に排出する良好なインク排出性が要求される。
このインク吸収材は、旧来はパルプや繊維質の不織布で構成されていたが、羽毛立ちにより繊維がプリンター内に飛散する問題があるために、近年では軟質ポリウレタンフォームが広く用いられている。そして、インクが染料系インクから顔料系インクに変わりつつあるために、この軟質ポリウレタンフォームシートについてもインクの吸収性及び排出性に改良が重ねられている。即ち、顔料系インクには、微細なカーボンブラック等の顔料粒子が分散状態で含まれていることから、吸収のための要求性能が染料系インクとは異なり、例えばカーボンブラック等の顔料粒子による目詰まりのために、従来のインク吸収材では十分な吸収性が得られない場合があった。
特許文献1には、通気量が10〜200cm/cm/secのポリウレタン樹脂発泡体を圧縮すると共に、貫通孔を形成して廃インクの吸収性と排出性を高めた廃インク吸収体が提案されている。
また、特許文献2には、顔料系のインクの吸収性及び排出性を向上させるために、基材であるフォームを、水溶性溶剤であるグリセリンにシリコーン系消泡剤を配合した含浸液で含浸処理したインク廃液吸収体が提案されている。この特許文献2のように、グリセリンを含浸させたインク廃液吸収体であれば、目詰まりしやすい顔料系の廃インクであっても、グリセリンの潤滑作用により容易にインクが吸収体に吸収され、かつ排出されるようになるため、インク吸収体の吸収性能が向上する。この特許文献2においては、含浸液が湿潤状態でインク廃液吸収体中に含まれていることが好ましいとされている。
特開2007−290174号公報 特開2007−030235号公報
前述の特許文献1では、基材として通気量が10〜200cm/cm/secであるポリウレタン樹脂発泡体を用いているが、廃インクの吸収性及び排出性を高めるために、前記ポリウレタン樹脂発泡体を圧縮した後、ニードルパンチングなどの手段により複数個の貫通孔を形成する必要があり、製造工程数が多く、生産効率が悪い。
一方、特許文献2では、含浸液としてグリセリンを多量に含むものを用いて含浸させている。しかしながら、このようにグリセリンを多量に含む含浸液に含浸させて得られた湿潤状態のインク廃液吸収体は、取り扱い性、加工性が悪い。従って、例えば、原反サイズのポリウレタンフォームを含浸処理した後、打ち抜き加工を行うという製造方法を採用することができず、含浸液による処理を行う前にポリウレタンフォームを所定の大きさに加工しておく必要がある。即ち、インク廃液吸収体毎に浸漬処理を行う必要があるため、製産効率が著しく劣るものとなる。また、インク廃液吸収体をプリンターに取付ける際の取り扱い性も悪いことが考えられる。
本発明は上記従来の問題点を解決し、ポリウレタンフォームにインク廃液吸収性及び排出性向上のための含浸液で含浸処理してなるインク廃液吸収体であって、インク廃液の吸収性及び排出性に優れると共に、取り扱い性、加工性に優れるインク廃液吸収体を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)のインク廃液吸収体は、ポリウレタンフォームを、消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとを含む含浸液で含浸処理してなるインク廃液吸収体において、該ポリウレタンフォームは、セル数が20〜60個/25mmであり、該含浸液は、該含浸液中の消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとの重量比が1/0.8〜1/70で、消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとの合計の含有率が5〜45重量%であることを特徴とするものである。
請求項2のインク廃液吸収体は、請求項1において、前記ポリウレタンフォームは、通気度が120〜450cc/cm/secであり、セル数が30〜60個/25mmであることを特徴とするものである。
請求項3のインク廃液吸収体は、請求項1又は2において、前記消泡剤がシリコーン系消泡剤であることを特徴とするものである。
請求項4のインク廃液吸収体は、請求項3において、前記シリコーン系消泡剤が自己乳化型シリコーン系消泡剤であることを特徴とするものである。
請求項5のインク廃液吸収体は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記含浸液がアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤のうちの1種又は2種以上を含むものであることを特徴とするものである。
請求項6のインク廃液吸収体は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記ポリウレタンフォームへの消泡剤及び/又は整泡剤の含浸量が0.01〜8.0kg/mであり、グリセリンの含浸量が1.0〜8.0kg/mであることを特徴とするものである。
請求項7のインク廃液吸収体は、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記ポリウレタンフォームが、非ハロゲン系難燃剤を含む難燃性軟質ポリウレタンフォームであることを特徴とするものである。
請求項8のインク廃液吸収体は、請求項1ないし7のいずれか1項において、前記ポリウレタンフォームに前記含浸液を含浸させた後、所定の大きさに切断して得られることを特徴とするものである。
本発明のインク廃液吸収体は、含浸液に含まれる消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとの重量比、及び含浸液中の消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとの合計の含有率を調整し、かつ、この含浸液を用いて、所定の通気度及びセル数を備えるポリウレタンフォームを含浸処理しているため、高いインク吸収性及び排出性と、優れた取り扱い性及び加工性を兼ね備える。本発明のインク廃液吸収体であれば、ベースとなるポリウレタンフォームに対して含浸処理を行った後、打ち抜き加工等で所定の寸法に加工することが可能であるため、加工を行ってから含浸処理を施す従来の方法に比べて生産効率が格段に優れたものとなる。また、取り扱い性に優れていることから、プリンターへの取り付けも容易に行うことができる。
前記ポリウレタンフォームは、通気度が120〜450cc/cm/secであり、セル数が30〜60個/25mmであることが好ましい(請求項2)。通気度及びセル数が上記範囲内であれば、より一層、取り扱い性及び加工性が向上する。
前記消泡剤は、シリコーン系消泡剤であることが好ましく(請求項3)、特に、自己乳化型シリコーン系消泡剤であることが好ましい(請求項4)。自己乳化型シリコーン系消泡剤は、親水性の変性シリコーンオイルからなるため、これを用いた場合にはインク廃液吸収体のインクの吸収性及び排出性がより一層向上する。
前記含浸液は、更に、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤のうちの1種又は2種以上を含むものであることが好ましい(請求項5)。消泡剤及び/又は整泡剤、グリセリンと共に界面活性剤を含む含浸液で含浸処理を行うことにより、インク廃液吸収体のインク吸収性がより一層向上する。
前記ポリウレタンフォームへの消泡剤及び/又は整泡剤の含浸量は0.01〜8.0kg/mであり、グリセリンの含浸量は1.0〜8kg/mであることが好ましい(請求項6)。
前記ポリウレタンフォームは、非ハロゲン系難燃剤を含む難燃性軟質ポリウレタンフォームであることが好ましい(請求項7)。
本発明のインク廃液吸収体は、優れた加工性を備えるため、ベースとなるポリウレタンフォームに対して含浸処理を行った後、打ち抜き加工等で所定の大きさに切断することができる(請求項8)。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明のインク廃液吸収体は、ポリウレタンフォームを、消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとを含む含浸液で含浸処理してなるものであり、該ポリウレタンフォームとして、通気度が120以上cc/cm/secで、セル数が20〜60個/25mmであるものを用い、該含浸液として、該含浸液中の消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとの重量比が1/0.8〜1/70で、グリセリンと消泡剤との合計の含有率が5〜45重量%であるものを用いることを特徴とする。
本発明によれば、前記物性を備えるポリウレタンフォームを、前記所定配合からなる含浸液で含浸処理することにより、高いインク吸収性と排出性とを有し、かつ取り扱い性及び加工性に優れたインク廃液吸収体を得ることができる。
以下、本発明において用いる含浸液について説明し、次いでポリウレタンフォームについて説明する。なお、本発明において、「消泡剤」とは、泡膜の薄化に抵抗を示さない化合物であり、「整泡剤」とは、表面張力を上げることにより泡を発生させやすくする化合物である。また、「界面活性剤」とは、気泡の液膜が薄くなっていったときに、分子同士の静電反発により泡膜の薄化に抵抗を示す化合物である。
[含浸液]
本発明において、ポリウレタンフォームに含浸させる含浸液(以下、「本発明の含浸液」と称す場合がある。)は、消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとを含み、更に好ましくはバインダーを含むものである。通常、この含浸液は、水溶液ないし水分散液として調製される。
この含浸液に含まれる消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとの重量比は、1/0.8〜1/70、特に1/0.98〜1/50程度とすることが好ましい。上記範囲よりも消泡剤及び/又は整泡剤の量が少ないと、ポリウレタンフォームに対して含浸液を含浸させにくくなるため好ましくない。また、上記範囲よりも消泡剤及び/又は整泡剤の量が多いとグリセリンを配合することによる効果を得にくくなる。前記範囲を満たすように消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとを配合することにより、インクの吸収性が向上すると共に、インクの排出性も向上する。
本発明の含浸液中の消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとの合計の含有率は、5〜45重量%、特に6〜42重量%であることが好ましい。含浸液に含まれる消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとの合計量が少ないと、インク廃液吸収体のインク吸収性が低下し、前記合計量が多いと、結果として含浸液中のグリセリンの配合量が増加するのでインク廃液吸収体の取り扱い性及び加工性が低下する。
<消泡剤>
消泡剤としては、例えば、アルコール類、エーテル類、ポリオール類、脂肪酸エステル類、金属石鹸類、燐酸エステル類、シリコーン類、及びノニオン性界面活性剤類等を挙げることができる。本発明では、これらのうち、特にシリコーン系消泡剤が好ましく、特に自己乳化型シリコーン系消泡剤が好ましい。自己乳化型シリコーン系消泡剤を用いた場合には、親水性変性シリコーンオイルの作用により、インク廃液吸収体のインク吸収性及び排出性を向上させることができる。
シリコーン系消泡剤としては、例えば、オイル型、コンパウンド型、自己乳化型、又はエマルジョン型シリコーン系消泡剤等を挙げることができ、特にオイル型としては、一般的なジメチルポリシロキサン構造のシリコーンオイルの他にメチル基の一部を変性させた変性シリコーンオイルを挙げることができ、例えば、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、異種官能基変性、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸含有、又はフッ素変性等の変性シリコーンオイルを挙げることができる。市販品としては、オイル型としてSH200(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、KF−96、KS−604、KI−6702(信越シリコーン株式会社製)、コンパウンド型としてSNデフォーマー5016(サンノプコ株式会社製)、SH5500,SC5540(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、自己乳化型としてBY28−503(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、KS−502、KS−508、KS−530、KS−537、KS−538(信越シリコーン株式会社製)、エマルジョン型としてSM5511、SM5512、SM5515(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、KM72、KM73、KM98(信越シリコーン株式会社製)等を挙げることができ、また変性シリコーンオイル型としては、アミノ変性としてSF5417、エポキシ変性としてSF8411、SF8413、カルボキシル変性としてBY16−880、フッ素変性としてFS1265(いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、ポリエーテル変性としてKF−6017(信越シリコーン株式会社製)、アルキル変性シリコーンとポリエーテル変性を含有したFORM
BAN MS−575(Ultra Additives Inc. 製)、カルビノール変性としてKF−6001、KF−6003(信越シリコーン株式会社製)等を挙げることができる。
これらの整泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
<整泡剤>
整泡剤としては、ポリジメチルシロキサン−ポリエチレンオキサイド共重合体、ポリジメチルシロキサン−ポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリジメチルシロキサン−ポリエチレンアジペート共重合体などからなる整泡剤を挙げることができるが、シリコーン系整泡剤が好ましく、特に自己乳化型シリコーン系整泡剤が好ましい。このようなシリコーン系整泡剤の市販品としては、WI55、L−6202B(いずれも東レ・ダウコーニング株式会社製)などを挙げることができる。
これらの消泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
<グリセリン>
グリセリンとしては、市販のものを適宜用いることができる。具体的には、阪本薬品工業株式会社製、関東化学株式会社製のものを用いることができる。
<バインダー>
バインダーとしては、例えば油性、油分散性、水溶性、水分散性、両親媒性のバインダーのいずれも使用可能である。中でも、水等の溶剤に溶解、または分散可能で、溶剤を除去することにより被膜を形成するものが好適である。この点で、樹脂やエラストマー等の有機高分子材料が好適である。これらは熱可塑性、熱硬化性のいずれであってもよいが、特に、水溶性のものが好ましい。
このような樹脂としては、例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、エステル樹脂、塩化ビニル樹脂、各種アルキル樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等)、アリル樹脂、スチレン樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂、カーボネート樹脂、アセタール樹脂、ビニル樹脂、フタレート樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、フラン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェニレンサルファイド樹脂、セルロース系樹脂、レーヨン、ケイ素系樹脂、フッ素系樹脂、これらの2種以上の共重合体、等を挙げることができる。また、エラストマーとしては、ブチル、EPDM、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等のゴム(ラテックス)が挙げられる。特に好ましいのは、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、クロロプレンゴムである。
これらのバインダーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。併用に際しては、各成分の溶解液又は分散液を予め調製した後に混合しても良い。
バインダーとしては市販品を用いることができ、例えば、エネックス社製アクリル樹脂系エマルジョン「BS−050310−1」、エネックス社製アクリル樹脂「SEバインダー−9300」、三井武田ケミカル社製ウレタン樹脂「タケラックWS−5000」、東洋インキ社製「TOCRYL W−461」などを用いることができる。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、例えば、コハク酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、エチレンオキシド等の陰イオン界面活性剤(アニオン系界面活性剤);アルキルアミン塩、第四アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤(カチオン系界面活性剤);ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルアリルエーテル、アルキルエーテル、アルキルエステル、アルキルアミン、フェニルエーテル、アルキルアルカノールアミド等の非イオン界面活性剤(ノニオン系界面活性剤);アミノ酸、アルキルベタイン、アミンオキサイド、アルキルイミダゾリニウム等の両性界面活性剤;ポリシロキサン等のシリコーン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤;等が用いられる。また、本発明においては高分子型界面活性剤、反応型界面活性剤も好適に使用可能である。
これらの界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
安定な含浸液を調製するために、界面活性剤は水溶性のものが好ましい。
これらの中では、特にコハク酸ナトリウム変性物、スルホン酸塩、第四級アンモニウム塩などのアニオン系界面活性剤と、アルキルアリルエーテルなどのノニオン系界面活性剤の混合物が好ましい。この場合、コハク酸ナトリウム変性物としては、下記一般式(1)で示されるコハク酸のジアルキルエステルスルホン酸ソーダが好適に用いられる。
Figure 0005468968
(但し、R,Rはそれぞれ独立に、アルキル基又はアラルキル基であり、炭素数1〜18のものが挙げられる。)
具体的に上記ジアルキルエステルとしては、ジ−n−アミル、ジ−n−ヘキシル、ジ−n−ヘプチル、ジ−n−オクチル、ジ−n−ノニル、モノエチルモノドデシル、モノブチルモノドデシル、モノ−2−エチルヘキシル−モノ−1−メチルベンジル、モノ−2−エチルヘキシル−モノ−1−メチル−4−エチルヘキシル、ジ−1−メチルブチル、ジ−2−メチルブチル、ジ−イソアミル、ジ−1,3−ジメチルブチル、ジ−1−メチルアミル、ジ−ジメチルアミル、ジ−1−イソプロピルイソブチル、ジ−1−プロピルブチル、ジ−1−メチルヘキシル、ジ−2−エチルヘキシル、ジ−1−メチルヘプチル、ジ−1−ブチルアミル、ジ−1−イソブチル−3−メチルブチル、ジ−1−メチル−4−エチルヘキシル、ジ−1−メチル−4−エチルオクチル等が挙げられる。
界面活性剤としては市販品を用いることができ、例えば、エネックス社製アニオン・ノニオン系混合界面活性剤「SEレベラ450」、ライオン社製カチオン系界面活性剤「リパール870P」、ライオン社製ノニオン系界面活性剤「レオコールTD−150」等と用いることができる。
含浸液中の界面活性剤の含有量は、1〜50重量%、特に3〜20重量%であることが好ましい。含浸液中の界面活性剤の含有量が少ないと、含浸効率が悪く、多いと手で握る等の強い圧力を加えると界面活性剤が染み出す場合がある(ベトツキ)。
<その他の添加剤>
本発明の含浸液は、上記消泡剤及び/又は整泡剤、グリセリン、界面活性剤、バインダー及び媒体としての水の他、必要に応じて水溶性溶剤や、保湿剤、pH調整剤、防腐・防カビ剤、荷電制御剤等の各種の添加剤の1種又は2種以上を含有することができる。
<含浸液の調製>
本発明の含浸液は、水に、消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンと、更に、必要に応じて添加されるバインダー及び各種の添加剤を混合することにより調製される。
なお、バインダーは、後述の如く、消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとは別の水溶液として用いても良い。バインダーを消泡剤及び/又は整泡剤、及びグリセリンと別の水溶液として用いる場合、バインダー水溶液のバインダー含有量は1〜50重量%程度であることが好ましい。バインダーを消泡剤及び/又は整泡剤、及びグリセリンを含む水溶液中に含有させる場合は、バインダーの含有量は1〜50重量%程度、特に3〜20重量%であることが好ましい。
<含浸方法>
本発明の含浸液を用いてポリウレタンフォームの含浸処理を行う方法としては、特に制限はないが、例えば、前記含浸液にポリウレタンフォームを浸漬して、ポリウレタンフォームに含浸液を含浸させる方法が挙げられる。含浸液の含浸後には、必要に応じて過剰の液分を絞り取った後、乾燥する。この乾燥は100〜180℃程度の温度に加熱して行っても良い。
なお、本発明において、「含浸処理」とは、ポリウレタンフォームに含浸液を含ませることができる方法であれば良く、上述のような浸漬による方法に限らず、スプレー等でポリウレタンフォームに含浸液を塗布する方法であっても良い。また、バインダーについては、消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとを含む含浸液とは別に、消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとを含む含浸液をポリウレタンフォームに含浸させる前又は後に、或いは同時に、バインダー水溶液を含浸させる方法でポリウレタンフォームに含浸させても良い。
このようにして含浸液をポリウレタンフォームに含浸させて、各成分を付着させた後は、必要に応じて圧縮成形しても良く、これにより、毛細管現象によるインク吸収性を向上させることができる。
[インク廃液吸収体の製造方法]
本発明のインク廃液吸収体は、優れた加工性を備えるものであるため、ベースとなるポリウレタンフォームに対して含浸処理を行った後、打ち抜き加工等で所定の寸法に加工して製造することが好ましい。この方法であれば、従来のようにベースとなるポリウレタンフォームに対して打ち抜き加工などを行った後、インク廃液吸収体毎に含浸処理を施すという煩雑な工程を経ることなく製造することが可能である。
<ポリウレタンフォームへの各成分の含浸量>
本発明のインク廃液吸収体において、ポリウレタンフォームへの消泡剤及び/又は整泡剤の含浸量は、インク廃液吸収体に要求される性能によっても異なるが、好ましくは0.01〜8.0kg/m、更に好ましくは0.05〜4.0kg/mである。消泡剤及び/又は整泡剤の含浸量が少ない場合には、十分なインク吸収性を得ることができない。また、ポリウレタンフォームへのグリセリンの含浸量は1.0〜8.0kg/m、特に1.6〜4.0kg/mが好ましい。グリセリンの含浸量が上記範囲よりも少ないとグリセリン用いることによる本発明の効果を十分に得ることができず、多いと取り扱い性及び加工性が低下するため好ましくない。
[ポリウレタンフォーム]
本発明のインク廃液吸収体のポリウレタンフォームとしては、前述の如く、所定の物性を備えたものが好ましい。以下、好ましいポリウレタンフォームの物性について具体的に説明する。なお、以下のフォーム物性の測定方法は、後述の実施例の項に記載される通りである。
<通気度>
ポリウレタンフォームの通気度は、120以上cc/cm/sec、特に120〜450cc/cm/sec、とりわけ120〜300cc/cm/sec、であることが好ましい。通気度が前記範囲よりも小さいと、インク廃液吸収体のインク排出性が低くなり、インク廃液吸収体にインクが堆積する原因となる。ポリウレタンフォームの通気度が低いと含浸液の含浸性、生産性に劣るものとなることから高い方が好ましいが、過度に通気度の高いものは、インク廃液吸収体としての硬度等の要求特性を満足し得ず、好ましくない。
<セル数>
セル数は20〜60個/25mmであり、特に、30〜60個/25mmであることが好ましい。セル数がこの範囲より少ないとインクをフォーム内で保持することが困難になる。また、セル数が20個/25mmよりも少ないポリウレタンフォームは、製造することが困難であるため製造効率が低下する原因となる。セル数が前記範囲よりも多いと含浸液にポリウレタンフォームを含浸させる場合、含浸しにくくなり、含浸液の含浸量が一定になりにくい。また、含浸速度も遅く、コスト高をまねく。セル数が前記範囲内であるポリウレタンフォームであれば、インクの吸収性が高いインク廃液吸収体を得ることができる。
<密度>
ポリウレタンフォームの密度は、10〜100kg/mであることが好ましく、特に20〜50kg/mであることが好ましい。密度が過度に高いとコスト高となるが、過度に密度の低いものは、インク廃液吸収体としての硬度等の要求特性を満足し得ず、好ましくない。
本発明のインク廃液吸収体では、最適な重合体含有ポリオールを選択使用することにより、密度を比較的低くした上で、十分な硬度を得ることが好ましい。
<硬度>
ポリウレタンフォームの硬度は、プリンターへの組み付け性に関係し、10〜30kgfが好ましく、特に15〜20kgfであることが好ましい。硬度が高過ぎても低過ぎても、プリンターへの組み付け性に劣るものとなる。
本発明のインク廃液吸収体のポリウレタンフォームとしては、特に、インク吸収性及び排出性に優れることから軟質ポリウレタンフォームが好ましく、特に難燃剤の配合で難燃性を付与した難燃性軟質ポリウレタンフォームが好ましく、とりわけ、難燃剤として非ハロゲン系難燃剤を用いた難燃性軟質ポリウレタンフォームが好ましい。
以下に、本発明に好適な非ハロゲン系難燃性軟質ポリウレタンフォームの一例を挙げるが、本発明で用いるポリウレタンフォームは以下のものに何ら限定されるものではない。
この非ハロゲン系難燃性軟質ポリウレタンフォームに用いられる非ハロゲン系難燃剤としては特に制限はないが、ノンハロゲンタイプの有機リン系難燃剤が好ましく、特に、水酸基を含有しない非オリゴマー状有機リン系難燃剤と、リン含量が10重量%以上で、少なくとも3つのリン酸エステル単位を有するオリゴマー状有機リン系難燃剤とを併用することが好ましい。
水酸基を含有しない非オリゴマー状有機リン系難燃剤としては、下記一般式(2)で表されるリン酸エステルが好ましい。
Figure 0005468968
(上記一般式[2]中、R”は炭素数1〜5個のアルキル基、又はアリール基を表し、一分子中に複数存在するR”は同一であっても異なるものであっても良いが、好ましくはR”は同一である。)
このような非オリゴマー状有機リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート(「TPP」);プロピル化又はブチル化されたTPP(それぞれ「PTPP」及び「BTPP」);トリエチルホスフェート(「TEP」);トリブチルホスフェート(「TBP」)等が挙げられる。また、非オリゴマー状有機リン系難燃剤は非オリゴマー状であれば、必ずしもモノマーである必要はなく、ダイマー、トリマー、テトラマー又はそれらの混合物であっても良い。好ましくは、ダイマー、トリマー又はそれらの混合物であり、ダイマーが最も好ましい。そのようなダイマーの例としては、レゾルシノールジホスフェート(「RDP」)が挙げられる。
また、非オリゴマー状有機リン系難燃剤は、上記一般式(2)における−OR”基の1つが−R”基で置き換えられた、非オリゴマー状のものであっても良く、このような非オリゴマー状有機リン系難燃剤としては、ジメチルメチルホスホネートが挙げられる。
一方、オリゴマー状有機リン系難燃剤は、リン含量が10重量%以上で、少なくとも3つのリン酸エステル単位を有するものであるが、ここで、「オリゴマー状」とは「モノマー」「ダイマー」を除き、少量のトリマー、テトラマーを含んでいても良いオリゴマーを意味する。このオリゴマー状有機リン系難燃剤は、例えば、5酸化リンを、選択されたトリアルキルホスフェート(例えばトリエチルホスフェート)と反応させて、P−O−P結合を含むポリホスフェートエステルを形成し、これをエポキシド(例えばエチレンオキシド)と反応させて、所望の生成物を形成することによって製造することができる。
本発明において好ましいオリゴマー状有機リン系難燃剤は、下記一般式(3)で表される。
Figure 0005468968
(上記一般式(3)中、nは数平均に基づいて2〜20の範囲であり、Rはアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表し、R’はアルキレン基を表す。なお、一分子中に複数存在するRは同一であっても異なるものであっても良いが、好ましくはRは同一である。)
上記一般式(3)において、nはより好ましくは2〜10の範囲である。また、Rは炭素数1〜24のアルキル基、特に炭素数2〜10のアルキル基、とりわけ炭素数2〜4のアルキル基、又は炭素数1〜24で1〜10個のヒドロキシル基を含むヒドロキシアルキル基、特に炭素数2〜10で1〜4個のヒドロキシ基を含むヒドロキシアルキル基、とりわけ炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、また、R’は炭素数1〜24、特に炭素数2〜10、とりわけ炭素数2〜4のアルキレン基であることが好ましい。
特に好ましいオリゴマー状有機リン系難燃剤は、上記一般式(3)において、Rがエチル基で、R’がエチレン基であり、約30mg−KOH/g以下のヒドロキシ官能基を有し、約2.5mg−KOH/g以下の酸価を有し、かつ約15〜25重量%の範囲のリン含量を有するものである。以下において、このようなオリゴマー状有機リン系難燃剤を「PEEOP」(又は「ポリ(エチルエチレンオキシ)ホスフェート」)と称す場合がある。
なお、オリゴマー状有機リン系難燃剤としては、上記一般式(3)において、右側の末端の−OR基の一つ、或いはカッコ内の繰り返し単位の−OR基が−R基で置換されたものを含んでいても良い。
軟質ポリウレタンフォームの製造に用いる難燃剤中の非オリゴマー状有機リン系難燃剤の割合は25〜95重量%で、オリゴマー状有機リン系難燃剤の割合は75〜5重量%であることが好ましい。
本発明に好適な非ハロゲン系難燃性軟質ポリウレタンフォームは、難燃剤としてこのような非オリゴマー状有機リン系難燃剤とオリゴマー状有機リン系難燃剤とを併用すること以外は、ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、触媒等のポリウレタンフォーム原料を反応させて常法に従って製造することができ、その製造方法には特に制限はなく、ワンショット法、プレポリマー法等、各種の方法を採用することができる。
ポリオール成分としては、例えば官能基数が2以上の活性水素含有化合物にエチレンオキサイド以外のアルキレンオキサイドとエチレンオキサイドを付加したポリ(オキシエチレン−オキシアルキレン)ポリエーテルポリオールが例示される。ここで、アルキレンオキサイド成分としては、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等が例示される。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することも可能である。
上記ポリオールを製造する際に使用する活性水素含有化合物としては、例えばポリアルコール類、ポリアミン類等であり、ポリアルコール類を例示すれば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖等がある。
また、ポリオールとしては、親水性を有する有機酸金属塩及び/又はその重合体含有ポリオールをポリオールの一部として用いることもでき、有機酸のカリウム、マグネシウム、スズ、銅、リチウム、又は銀の塩等が有効であり、好ましくはカリウム塩、ナトリウム塩である。かかるポリオールは、通常の軟質ポリウレタンフォームの製造に使用されるポリオールとブレンドして使用することができる。
また、ポリイソシアネート成分としては、トルエンジイソシアネート(TDI)又はピュア、クルードタイプを問わずジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)或いは変性MDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、これらのイソシアネート類のプレポリマータイプ、カルボジイミド変性タイプ等が主に用いられる。更に、クルードMDIとTDIとの混合物等を使用することもできる。
ポリウレタンフォーム原料のイソシアネートインデックスは通常80〜120程度である。
また、触媒としては、主としてスタナスオクトエート等の金属触媒を用いるが、これにアミン系触媒を併用してもよい。触媒の配合量は、ポリオール成分100重量部に対して0.1〜5.0重量部とするのが好ましく、特にスズ系触媒0〜1重量部とアミン系触媒0.1〜4.0重量部とを用いるのが好ましい。
また、発泡剤としては、通常水が用いられ、その配合量はポリオール成分100重量部に対して0.5〜6.0重量部とするのが好ましい。
なお、ポリウレタンフォーム原料には、上記の各種成分の他、整泡剤や、必要に応じて各種の添加剤等を配合することができる。その他の添加剤等としては、着色剤、紫外線吸収剤等、通常、ポリウレタンフォームの製造に使用されるものが挙げられる。これら添加剤等の配合量は、得られる軟質ポリウレタンフォームのインク吸収性、その他の特性を損なわない程度とすればよい。
このようにして製造される軟質ポリウレタンフォームは、圧縮しないでそのまま(非圧縮フォーム)又は圧縮して(圧縮フォーム)使用し得る。また、軟質ポリウレタンフォームとしては、セル膜のないもの(膜なしフォーム)を用いてもよい。このセル膜のない軟質ポリウレタンフォームは、通常の処方でセル膜を有する軟質ポリウレタンフォームを得た後、セル膜を除去する方法や、セル膜を生じない処方で軟質ポリウレタンフォームを製造する方法によって得ることができる。
[インク廃液吸収体の特性]
上述のポリウレタンフォームに前述の含浸液を含浸処理してなる本発明のインク廃液吸収体は、そのインク吸収性やプリンターへの組み付け性、耐久性、コスト等から、次のような物性を有することが好ましい。なお、以下の物性についても、その測定方法は、後述の実施例の項に示す通りである。
<密度>
15〜110kg/m、特に20〜50kg/mであることが好ましい。
<硬度>
10〜30kgf、特に15〜20kgfであることが好ましい。
<通気度>
120cc/cm/sec以上であることが好ましく、特に120〜450cc/cm/secであることが好ましい。通気度が120cc/cm/sec以下であるとインク廃液吸収体のインク排出性が低下し、インクが堆積しやすくなる。このインク廃液吸収体の通気度が120cc/cm/sec以上であれば、インクが詰まりにくくなるため、インク排出性が向上し、インクが堆積しにくくなると共に、インクが着弾しやすくなるため、ミスト性能も向上する。
本発明のインク廃液吸収体は、密度やセル数、含浸液の含浸量等が異なる軟質ポリウレタンフォームシートを複数枚積層して用いても良い。
また、インク廃液吸収体のインク吸収側の表面をスリット加工することにより、更にインク吸収性を高めることができる。この場合、スリットは2〜50mm、特に5〜10mm間隔に互いに平行状態で、又はます目状に設けることができる。
[用途]
このような本発明のインク廃液吸収体は、特にインクジェット式記録装置のプリンターヘッドに対応するインク導通材又はインク吸収材、このインク導通材に接触させるインク吸収体等に適用されるが、何らこれらに限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜10、比較例1〜12]
表1に示す配合の含浸液を調製し、この含浸液中に表1に示す特性を備える軟質ポリウレタンフォームを浸漬した後引き上げ、160℃で5分乾燥してインク廃液吸収体を得た。実施例及び比較例で用いたポリウレタンフォーム、消泡剤及び/又は整泡剤、グリセリン、界面活性剤及びバインダーの仕様は以下の通りである。
<ポリウレタンフォーム>
ブリヂストン社製の軟質ポリウレタンフォームを用いた。軟質ポリウレタンフォームの物性は表1の通りである。なお、実施例1〜10及び比較例1〜11では厚さが3mmである軟質ポリウレタンフォームをそれぞれ用い、比較例12では厚さが2mmである軟質ポリウレタンフォームを用いた。また、実施例1〜10及び比較例1〜11では、硬度が15kgfである軟質ポリウレタンフォームを用い、比較例12では、硬度が11kgfである軟質ポリウレタンフォームをそれぞれ用いた。
上記軟質ポリウレタンフォームの密度(kg/cm)、硬度(kgf)、通気度(cc/cm/sec)、セル数(個/25mm)は、いずれもJIS K 6400に準じて測定した。
<消泡剤A>
信越化学工業社製「KS−502」:シリコーン系自己乳化型消泡剤
<消泡剤B>
信越化学工業社製「KS−537」:シリコーン系自己乳化型消泡剤
<整泡剤>
東レ・ダウコーニング社製「L−6202B」:シリコーン系自己乳化型整泡剤
<グリセリン>
関東化学社製「グリセリン」
<界面活性剤>
エネックス社製「SEレベラ450」:アニオン・ノニオン系混合界面活性剤(樹脂濃度85重量%、アニオン:ノニオン=3:7(成分比))
<バインダー>
エネックス社製「BS−050301−1」:アクリル樹脂系エマルジョン接着剤(樹脂濃度50重量%、アニオン性乳化剤1重量%未満含有)
また、サンプルの性能等の評価方法は次の通りである。
<含浸液の含浸量>
実施例1〜5,8〜10及び比較例1〜10,12においては、軟質ポリウレタンフォームへの含浸液の含浸量が乾燥重量で5kg/cmとなるように調整した。また、実施例6,7においては、含浸量が乾燥重量でそれぞれ8kg/cm,4kg/cmとなるように調整し、比較例11においては、含浸量が乾燥重量で3kg/cmとなるように調整した。消泡剤及び/又は整泡剤、グリセリン、界面活性剤及びバインダーの各々の含浸量については、含浸量比が、使用した各含浸液における各成分の配合比に等しいとして算出した。
<インク吸収性>
水平においた各インク廃液吸収体のテスト片(100mm×100mm×10mm厚さ)の上面中央部に対して、テスト片上面から高さ5cmの位置にシリンジの針の先端をセットし、1ccのインクを滴下し、インクがテスト片表面から吸収されるまでの時間(秒)を測定し、以下の基準で評価した。
◎:0.5秒以下
○:0.5秒を超え、1.0秒以下
△:1.0秒を超え、2.0秒以下
×:2.0秒を超え、5.0秒以上
<インクミスト防止性、インク堆積防止性>
各インク廃液吸収体を市販のインクジェットプリンターに搭載し、標準インクカートリッジをカラー列に装着した。15℃及び10%相対湿度の環境下で、L版フォトペーパーに対する縁無印刷を50枚実施し、その後24時間室温にて放置する工程を1工程とし、これを20工程繰り返した。各工程毎にインクミストによるプリンター内部の汚れを評価することにより、インク廃液吸収体のインクミスト防止性を下記基準により評価した。
◎:インクミストによる汚れが全くない
○:インクミストによる汚れがほとんどない
×:インクミストによる汚れがある
また、上記各工程毎にL版フォトペーパーの印刷裏面のインク汚れを目視にて観察することにより、インク廃液吸収体のインク堆積防止性を評価した。評価基準は、汚れマスターサンプルと対比することにより各実施例及び比較例の点数つけを行い、下記基準で評価した。
◎:10〜9点
○:8〜7点
△:6〜4点
×:3点以下
<加工性>
ベースとなる軟質ポリウレタンフォームを含浸液で含浸処理した後、打ち抜き加工で加工する際の加工性を以下の基準で評価した。
○:加工の際に軟質ポリウレタンフォームが変形しなかったもの
×:加工の際に軟質ポリウレタンフォームが変形したもの
<組付け性>
打ち抜き加工により加工したインク廃液吸収体をプリンターに組み付ける際の作業性により評価した。従来のインク廃液吸収体を組み付ける際の作業性と比較して、従来のインク廃液吸収体より作業性が良好であれば○、従来と同等及び従来以下であれば×とした。
<コスト>
実施例及び比較例のインク廃液吸収体を製造する際のコストを、従来のインク廃液吸収体を製造する場合のコストと比較して、以下の基準で評価した。
◎:非常に安価に製造することができる。
○:安価に製造することができる。
△:従来の製品と同程度のコストがかかる。
×:従来の製品よりコストがかかる。
××:従来の製品より多くのコストがかかる。
×××:従来の製品より極めて多くのコストがかかる。
各結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005468968
Figure 0005468968
以上の通り、本発明のインク廃液吸収体によれば、高いインク吸収性及び排出性と、優れた取り扱い性及び加工性を兼ね備えるインク廃液吸収体を得ることができる。特に、本発明によれば、原反サイズのポリウレタンフォームを含浸液で含浸処理した後、加工することが可能であるため、ポリウレタンフォームを加工した後、加工後の各ポリウレタンフォームを浸漬処理する場合に比べて、作業工程を減らすことができ、生産性が高い。

Claims (8)

  1. ポリウレタンフォームを、消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとを含む含浸液で含浸処理してなるインク廃液吸収体において、
    該ポリウレタンフォームは、通気度が120cc/cm/sec以上で、セル数が20〜60個/25mmであり、
    該含浸液は、該含浸液中の消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとの重量比が1/0.8〜1/70で、消泡剤及び/又は整泡剤とグリセリンとの合計の含有率が5〜45重量%であることを特徴とするインク廃液吸収体。
  2. 請求項1において、前記ポリウレタンフォームは、通気度が120〜450cc/cm/secであり、セル数が30〜60個/25mmであることを特徴とするインク廃液吸収体。
  3. 請求項1又は2において、前記消泡剤がシリコーン系消泡剤であることを特徴とするインク廃液吸収体。
  4. 請求項3において、前記シリコーン系消泡剤が自己乳化型シリコーン系消泡剤であることを特徴とするインク廃液吸収体。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記含浸液がアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤のうちの1種又は2種以上を含むものであることを特徴とするインク廃液吸収体。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記ポリウレタンフォームへの消泡剤及び/又は整泡剤の含浸量が0.01〜5.0kg/mであり、グリセリンの含浸量が1.0〜8.0kg/mであることを特徴とするインク廃液吸収体。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記ポリウレタンフォームが、非ハロゲン系難燃剤を含む難燃性軟質ポリウレタンフォームであることを特徴とするインク廃液吸収体。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、前記ポリウレタンフォームに前記含浸液を含浸させた後、所定の大きさに切断して得られることを特徴とするインク廃液吸収体。
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