JP2009220431A - インク廃液吸収体及びその含浸液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プラスチックフォームを界面活性剤と消泡剤を含む含浸液で含浸処理してなるインク廃液吸収体。含浸液処理時の界面活性剤に起因する泡立ちが、消泡剤を併用することにより防止され、良好な作業性のもとに円滑に含浸処理することができ、生産性が向上する。基材フォームとしては、非ハロゲン系難燃性軟質ポリウレタンフォームが好ましい。
【選択図】なし
Description
(a) リン/ハロゲン系難燃剤由来の可塑化効果により、フォームの硬度低下、引張強度低下、圧縮永久歪の増大などが生じてフォーム物性が著しく低下する。
(b) フォームを高温下で使用する際、経時で難燃剤が揮発損失する傾向があり、このため難燃効果の致命的な低下が生じたり、更には揮散難燃剤が周辺機器や部材に付着して汚染が進行し易い。
(c) 鉄、アルミニウム等の金属類と直接接触させて使用すると、金属類との接触部位に錆が発生して腐食が生じる。
(1) 含浸処理時に界面活性剤に起因する泡立ちが発生し、含浸作業性が悪く、このため生産性が悪い。
(2) 十分なインク吸収性能を発揮させるためには多量の界面活性剤を必要とする。例えば、特許文献1では所望のインク吸収性能を発揮させるために、15000g/m3もの界面活性剤含浸量とする必要がある。このため、高価な界面活性剤使用量が多いことによりコスト高となる。
本発明において、基材フォームに含浸させる含浸液は、界面活性剤と消泡剤とを含み、更に好ましくはバインダーを含むものである。通常、この含浸液は、水溶液ないし水分散液として調製される。
界面活性剤としては、例えば、コハク酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、エチレンオキシド等の陰イオン界面活性剤(アニオン系界面活性剤);アルキルアミン塩、第四アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤(カチオン系界面活性剤);ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルアリルエーテル、アルキルエーテル、アルキルエステル、アルキルアミン、フェニルエーテル、アルキルアルカノールアミド等の非イオン界面活性剤(ノニオン系界面活性剤);アミノ酸、アルキルベタイン、アミンオキサイド、アルキルイミダゾリニウム等の両性界面活性剤;ポリシロキサン等のシリコーン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤;等が用いられる。また、本発明においては高分子型界面活性剤、反応型界面活性剤も好適に使用可能である。
消泡剤としては、例えば、アルコール類、エーテル類、ポリオール類、脂肪酸エステル類、金属石鹸類、燐酸エステル類、シリコーン類、及びノニオン性界面活性剤類等を挙げることができるが、本発明では、これらのうち、特にシリコーン系消泡剤が自己乳化型シリコーン系消泡剤であることにより好ましい。
BAN MS−575(Ultra Additives Inc. 製)、カルビノール変性としてKF−6001、KF−6003(信越シリコーン株式会社製)等を挙げることができる。
バインダーとしては、例えば油性、油分散性、水溶性、水分散性、両親媒性のバインダーのいずれも使用可能である。中でも、水等の溶剤に溶解、または分散可能で、溶剤を除去することにより被膜を形成するものが好適である。この点で、樹脂やエラストマー等の有機高分子材料が好適である。これらは熱可塑性、熱硬化性のいずれであってもよいが、特に、水溶性のものが好ましい。
本発明の含浸液は、上記界面活性剤、消泡剤、バインダー及び媒体としての水の他、必要に応じて水溶性溶剤や、保湿剤、pH調整剤、防腐・防カビ剤、荷電制御剤等の各種の添加剤の1種又は2種以上を含有することができる。
本発明の含浸液は、水に、界面活性剤及び消泡剤と、更に、必要に応じて添加されるバインダー及び各種の添加剤を混合することにより調製される。
本発明の含浸液中の界面活性剤の含有量は、1〜50重量%、特に3〜20重量%であることが好ましい。含浸液中の界面活性剤の含有量が少ないと、含浸効率が悪く、多いと手で握る等の強い圧力を加えると界面活性剤が染み出す場合がある(ベトツキ)。
界面活性剤及び消泡剤を含む本発明の含浸液を用いて基材フォームの含浸処理を行う方法としては、特に制限はないが、例えば、界面活性剤と消泡剤とバインダーとを含む本発明の含浸液に基材フォームを浸漬して、基材フォームに含浸液を含浸させる方法が挙げられる。含浸液の含浸後には、必要に応じて過剰の液分を絞り取った後、乾燥する。この乾燥は100〜180℃程度の温度に加熱して行っても良い。
本発明のインク廃液吸収体において、基材フォームへの界面活性剤含浸量は、インク廃液吸収体に要求される性能によっても異なるが、好ましくは1000〜10000g/m3、更に好ましくは3000〜6000g/m3である。即ち、本発明では、前述の如く、消泡剤を併用することにより、少ない界面活性剤含浸量で十分なインク吸収性能を得ることができるが、上記範囲よりも界面活性剤含浸量が少ないと十分なインク吸収性能を得ることができない。界面活性剤含浸量が上記範囲よりも多くてもインク吸収性能に大差はなく、徒に界面活性剤量が多くなることにより、コスト高となり好ましくない。また、界面活性剤の染み出しによるベトツキで作業性に不利がある。
本発明のインク廃液吸収体の基材フォームとしてのプラスチックフォームとしては特に制限はないが、インク吸収性能に優れることから軟質ポリウレタンフォームが好ましく、特に難燃剤の配合で難燃性を付与した難燃性軟質ポリウレタンフォームが好ましく、とりわけ、難燃剤として非ハロゲン系難燃剤を用いた難燃性軟質ポリウレタンフォームが好ましい。
基材フォームの通気性は、10cc/cm2/sec以上であることが好ましく、特に150〜500cc/cm2/secであることが好ましい。基材フォームの通気性が低いと含浸液の含浸性、生産性に劣るものとなることから高い方が好ましいが、過度に通気性の高いものは、インク廃液吸収体としての硬度等の要求特性を満足し得ず、好ましくない。
基材フォームの密度は、10〜100kg/m3であることが好ましく、特に20〜50kg/m3であることが好ましい。密度が過度に高いとコスト高となるが、過度に密度の低いものは、インク廃液吸収体としての硬度等の要求特性を満足し得ず、好ましくない。
基材フォームの硬度は、プリンターへの組み付け性に関係し、10〜30kgfが好ましく、特に15〜20kgfであることが好ましい。硬度が高過ぎても低過ぎても、プリンターへの組み付け性に劣るものとなる。
セル数(1インチ当たりのセルの数)は20〜100個/1インチであることが好ましい。セル数がこの範囲より少ないとインクをフォーム内で保持することに困難をきたし、多いと含浸液に基材フォームを含浸させる場合、含浸しにくくなり、含浸液の付着量が一定になりにくい。また、含浸速度も遅く、コスト高をまねく。
上述の基材フォームに前述の含浸液を含浸処理してなる本発明のインク廃液吸収体は、そのインク吸収性能やプリンターへの組み付け性、耐久性、コスト等から、次のような物性を有することが好ましい。なお、以下の物性についても、その測定方法は、後述の実施例の項に示す通りである。
20〜110kg/m3、特に25〜55kg/m3であることが好ましい。
10〜30kgf、特に15〜20kgfであることが好ましい。
10cc/cm2/sec以上であることが好ましく、特に150〜500cc/cm2/secであることが好ましい。
このような本発明のインク廃液吸収体は、特にインクジェット式記録装置のプリンターヘッドに対応するインク導通材又はインク吸収材、このインク導通材に接触させるインク吸収体等に適用されるが、何らこれらに限定されるものではない。
エネックス社製「SEレベラ450」:アニオン・ノニオン系混合界面活性剤(樹脂濃度85重量%、アニオン:ノニオン=3:7(成分比))
信越化学工業社製「KS−502」:下記式で表される自己乳化型シリコーン消泡剤
エネックス社製「BS−050301−1」:アクリル樹脂系エマルジョン接着剤(樹脂濃度50重量%、アニオン性乳化剤1重量%未満含有)
JIS−K6400に従って測定した。
得られた各インク廃液吸収体の重量から軟質ポリウレタンフォームの重量を差し引いて、含浸された界面活性剤、バインダー、及び消泡剤の総量を算出した。界面活性剤、バインダー、及び消泡剤の各々の含浸量については、含浸量比が、使用した各含浸液における各成分の配合比に等しいとして算出した。
水平においた各インク廃液吸収体のテスト片(100mm×100mm×10mm厚さ)の上面中央部に対して、テスト片上面から高さ5cmの位置にシリンジの針の先端をセットし、1ccのインクを滴下し、インクがテスト片表面から吸収されるまでの時間(秒)を測定し、以下の基準で評価した。
◎:0.5秒以下
○:0.5秒を超え、1.0秒以下
△:1.0秒を超え、2.0秒以下
×:2.0秒を超え、5.0秒以上
各インク廃液吸収体を市販のインクジェットプリンターに搭載し、標準インクカートリッジをカラー列に装着した。15℃及び10%相対湿度の環境下で、L版フォトペーパー500枚の縁無印刷を実施後、官製ハガキ30枚の縁無印刷を実施した。この官製ハガキの印刷裏面のインク汚れ、及びインクミスト汚れを目視にて観察し、汚れマスターサンプルにて、各サンプルの点数つけを行い、下記基準で評価した。
◎:10〜9点
○:8〜7点
△:6〜4点
×:3点以下
基材フォームへの含浸液の含浸処理によるインク廃液吸収体製造時の従来の生産ラインスピードを基準として、従来より速ければ○、従来同等及び従来以下であれば×とした。
なお、従来の生産スピードは1.0m/minであり、目標は2.0m/min以上である。実施例ではいずれも2.0m/min以上となった。従来における生産スピード悪化の原因は、泡立ちによるラインスピード低下である。
基材フォームへの含浸液の含浸処理によるインク廃液吸収体製造時の従来の作業性を基準として、従来より良好であれば○、従来同等及び従来以下であれば×とした。
なお、従来は泡立ちによって含浸処理が困難になり、放置するなどして作業性が悪かった。実施例ではいずれも消泡剤適用により、泡立ちは起こらなかった。
下記配合のポリウレタンフォーム原料を用い、ワンショット法で非ハロゲン系難燃性軟質ポリウレタンフォームAを得た。得られたフォームの密度(JIS−K6400)は26kg/m3であり、セル数は35個(1インチ当り)であった。また、通気性は160cc/cm2/secであった。
ポリオール(ポラノール3943A、ダウ・ケミカル日本社製):100
イソシアネート(コスモネートT−80、三井武田ケミカル社製):50
水:4
アミン系触媒(DABCO−33LV、エアープロダクツジャパン社製):0.2
スズ系触媒(ニッカオクチックススズ28%、日本化学産業社製):0.2
シリコーン系整泡剤(F−242T、信越化学工業社製):1
ノンハロゲン難燃剤(ファイロールPNX−S、アクゾノーベル社製):15
イソシアネートインデックス:100〜110(103)
下記配合のポリウレタンフォーム原料を用い、ワンショット法でハロゲン系難燃性軟質ポリウレタンフォームBを得た。得られたフォームの密度(JIS−K6400)は20kg/m3であり、セル数は30個(1インチ当り)であった。また、通気性は110cc/cm2/secであった。
ポリオール(サンニックスGS−3000、三洋化成工業社製):100
イソシアネート(コスモネートT−80、三井武田ケミカル社製):60
水:5
アミン系触媒(カオーライザーNo.25、花王社製):0.1
スズ系触媒(ニッカオクチックススズ28%、日本化学産業社製):0.2
シリコーン系整泡剤(F−242T、信越化学工業社製):2
メチレンクロライド(トクヤマ社製):6
難燃剤a(ポリ塩化ビニル、東ソー社製):15
難燃剤b(三酸化アンチモン、日本シイベルヘグナー社製):7
難燃剤c(酸化亜鉛、三井金属鉱業社製):3
イソシアネートインデックス:100〜110(105)
表1に示す配合の含浸液を調製し、この含浸液中に表1に示す軟質ポリウレタンフォームを浸漬した後引き上げ、160℃で5分乾燥してインク廃液吸収体を得た。
また、特に非ハロゲン系難燃剤を用いた軟質ポリウレタンフォームを基材フォームとした場合には、リン/ハロゲン系難燃剤を添加した場合の前述の(a)〜(c)の問題が解決され、また、環境負荷の面でも好ましい。
Claims (7)
- プラスチックフォームを、界面活性剤と消泡剤を含む含浸液で含浸処理してなることを特徴とするインク廃液吸収体。
- 請求項1において、更にバインダーを含浸させてなることを特徴とするインク廃液吸収体。
- 請求項1又は2において、前記界面活性剤がアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤のうちの2種以上の混合物であることを特徴とするインク廃液吸収体。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記消泡剤がシリコーン系消泡剤であることを特徴とするインク廃液吸収体。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記プラスチックフォームが非ハロゲン系難燃剤を含む難燃性軟質ポリウレタンフォームであることを特徴とするインク廃液吸収体。
- インクジェット式記録装置のプリンターヘッドに対応するインク導通材、インク吸収材、又はインク導通材に接触させるインク吸収体であることを特徴とするインク廃液吸収体。
- インク廃液吸収体用プラスチックフォームに含浸させるための含浸液であって、界面活性剤と消泡剤とを含むことを特徴とするインク廃液吸収体用含浸液。
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