JP5468864B2 - 揺変性付与剤及びそれを含む一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、モノカルボン酸、水素添加ひまし油脂肪酸(12−ヒドロキシステアリン酸)及び脂肪族ポリアミンを反応させて得られたポリアマイドを、希釈剤に膨潤させてなるダレ防止剤及びこれを含む塗料組成物が開示されている。
特許文献2には、脂肪族及び/又は脂環族ジイソシアネートモノマー、ポリエーテルポリオール等を用いて得られたイソシアネート末端プレポリマーと、揺変性付与剤とを含有し、シーリング剤組成物として有用な湿気硬化型のポリイソシアネート組成物が開示されている。そして、揺変性付与剤として、水素添加ひまし油脂肪酸、アマイドワックス、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、微粉末シリカ、有機ベントナイト、ベントン、無水ケイ酸、ケイ酸誘導体、尿素誘導体、アエロジル等が例示されており、アマイドワックスとして、上記特許文献1におけるポリアマイドが用いられている。
特許文献3には、ポリエーテルポリオールと、過剰のポリイソシアネートとを反応させて得られた活性イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、及び、ポリエステルポリオールと、過剰のポリイソシアネートとを反応させて得られた活性イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを所定の割合で含有するポリウレタン樹脂組成物、並びに、これらのプレポリマーと、無水シリカ等の揺変性付与剤とを含有するポリウレタン樹脂組成物が開示されている。
更に、特許文献4には、ポリエーテルポリオールを用いて得られたイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、微粉状シリカ、及び、有機イソシアネートと水酸基に結合した窒素原子を有する化合物とを反応させて得られた揺変性付与助剤からなる硬化性組成物が開示されている。
また、一液型の硬化性樹脂組成物は、上記のように広く利用されるようになったことから、その使用環境や、季節性等による保存環境も多様化している。そして、組成物の使用時の物性が、組成物の製造直後の物性から大きく変化してしまうと、製品に対する所期の効果を損なう場合がある。例えば、30℃を超える温度で貯蔵された組成物の使用を想定した場合、組成物の貯蔵安定性を、揺変性付与剤を含有する組成物と、揺変性付与剤を含有しない組成物との間で比較すると、一般に、前者が劣る。そこで、組成物の揺変性及び貯蔵安定性のバランスに優れた一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物が求められている。
本発明の目的は、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物に配合することにより、優れた揺変性を与える揺変性付与剤、並びに、揺変性、貯蔵安定性及び硬化性に優れる一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を提供することである。
1.ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させて得られたイソシアネート基を有するプレポリマーであって、該イソシアネート基の合計量の含有割合が、該プレポリマーの分子量に対して、3.5〜11%であるプレポリマーを含有する一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物に配合される揺変性付与剤であって、下記一般式(I)で表され、且つ、数平均分子量が500〜3,000であるジアミド(I)、及び、下記一般式(II)で表され、且つ、数平均分子量が500〜3,000であるジアミド(II)のうちの少なくとも一方を含有することを特徴とする揺変性付与剤。
2.更に、ポリウレアを含有する上記1に記載の揺変性付与剤。
3.[A]ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させて得られたイソシアネート基(NCO)を有するプレポリマーであって、該イソシアネート基(NCO)の合計量の含有割合が、該プレポリマーの分子量に対して、3.5〜11%であるプレポリマー、及び、[B]上記1又は2に記載の揺変性付与剤を含有することを特徴とする一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
4.上記揺変性付与剤[B]の含有量が、上記プレポリマー[A]100質量部に対して、0質量部を超えて50質量部以下である上記3に記載の一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
5.上記ポリオールがエステル結合を有するポリオールを含み、該エステル結合含有ポリオールの数平均分子量が500〜8,000である上記3又は4に記載の一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
6.上記エステル結合含有ポリオールが、ヒドロキシカルボン酸と、多価アルコールとから形成されたポリオール、及び、ヒドロキシカルボン酸と、多価アルコールのグリシジルエーテルとから形成されたポリオール、から選ばれた少なくとも1種である上記5に記載の一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
また、本発明の一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物によれば、揺変性、貯蔵安定性及び硬化性に優れる。
本発明の一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物において、上記揺変性付与剤[B]の含有量が、上記プレポリマー[A]100質量部に対して、0質量部を超えて50質量部以下である場合には、揺変性及び貯蔵安定性に特に優れた組成物とすることができる。
本発明の一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物において、上記プレポリマー[A]を形成するポリオールがエステル結合を有するポリオールを含み、このエステル結合含有ポリオールの数平均分子量が500〜8,000である場合には、揺変性、貯蔵安定性及び硬化性に優れ、電気絶縁性に優れた硬化物を得ることができる。
本発明の揺変性付与剤は、下記一般式(I)で表され、且つ、数平均分子量が500〜3,000であるジアミド(I)、及び、下記一般式(II)で表され、且つ、数平均分子量が500〜3,000であるジアミド(II)のうちの少なくとも一方を含有することを特徴とする。
また、R2は、2価の炭化水素基であり、好ましい炭素原子数は6〜50であり、より好ましくは8〜45、更に好ましくは10〜40である。尚、上記炭化水素基は、脂肪族炭化水素からなる基であってよいし、環構造(脂環族炭化水素又は芳香族炭化水素に由来する構造)を含む基であってもよい。
また、R5は、2価の炭化水素基であり、好ましい炭素原子数は6〜50であり、より好ましくは8〜45、更に好ましくは10〜40である。尚、上記炭化水素基は、脂肪族炭化水素からなる基であってよいし、環構造(脂環族炭化水素又は芳香族炭化水素に由来する構造)を含む基であってもよい。
上記ジアミドが、ジアミド(I)及びジアミド(II)の両方からなる場合、得られる組成物の揺変性及び貯蔵安定性の観点から、両者の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、好ましくは5〜95質量%及び5〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%及び10〜90質量%、更に好ましくは15〜85質量%及び15〜85質量%である。
この場合、本発明の揺変性付与剤は、上記ジアミドと、ポリウレアとからなるものとすることができる。このポリウレアは、その含有量の上限を10質量%とする揺変性付与剤により、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物の特性を大きく低下させるものではない。
また、上記一般式(V)におけるR9は、1価の有機基であり、置換基を有してもよい炭化水素基等とすることができる。この炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは2〜50、より好ましくは4〜45、更に好ましくは6〜40である。尚、上記炭化水素基は、脂肪族炭化水素に由来する基であってよいし、環構造を含む基、即ち、脂環族炭化水素に由来する基又は芳香族炭化水素に由来する基であってもよい。
上記ジアミド(I)を含有する揺変性付与剤の場合、その製造方法は、炭素原子数が6〜50であるモノアミンと、炭素原子数が6〜50であるジカルボン酸とを反応させてジアミド(I)を生成させるジアミド(I)合成工程を備える。尚、反応系に、未反応の原料成分が残存する場合には、これをそのまま揺変性付与剤として用い、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物に配合すると、本発明の効果が得られない。従って、未反応の原料成分を排除するための後工程を更に備えることができる。例えば、反応系にモノアミンが残存する場合には、イソシアネートを添加して、モノアミンと反応させて、上記一般式(V)で表されるポリウレアを生成させることができる。
脂環族モノアミン化合物としては、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
また、芳香族モノアミン化合物としては、アニリン、ベンジルアミン、フェネチルアミン等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
また、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
反応系にモノアミンが残存する場合には、イソシアネート(後述)を添加して、モノアミンと反応させることができる。この場合、反応温度は、通常、40℃〜120℃である。
脂環族ジアミン化合物としては、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
また、芳香族ジアミン化合物としては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレンジアミン、5−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,4−ビス(b−アミノ−tert−ブチル)トルエン、1,3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
脂環族モノカルボン酸としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、2−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸等が挙げられる。
また、芳香族モノカルボン酸としては、安息香酸、フェニル酢酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、4−tert−ブチル安息香酸、1−ナフタレンカルボン酸、2−ナフタレンカルボン酸、1−メチル−2−ナフトエ酸、2−イソプロピル−1−ナフトエ酸等が挙げられる。
反応系にジアミンが残存する場合には、イソシアネート(後述)を添加して、ジアミンと反応させることができる。この場合、反応温度は、通常、40℃〜120℃である。
上記ポリイソシアネートとしては、脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネート及び脂環族イソシアネートが挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記脂環族イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート(CHDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加XDI(H6XDI)、水素添加MDI(H12MDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等が挙げられる。
本発明の一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物は、[A]ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させて得られたイソシアネート基(NCO)を有するプレポリマーであって、イソシアネート基(NCO)の合計量の含有割合が、このプレポリマーの分子量に対して、3.5〜11%であるプレポリマー(以下、「成分[A]」ともいう。)、及び、[B]上記本発明の揺変性付与剤(以下、「成分[B]」ともいう。)を含有することを特徴とする。
また、上記ポリオール(A1)の平均水酸基価は、組成物を扱う際の作業性、硬化性(指触乾燥性)、貯蔵安定性の観点から、好ましくは30〜250mgKOH/g、より好ましくは40〜170mgKOH/gである。尚、水酸基価は、JIS K1557−1又はJIS K0070に準じて測定することができる。
更に、上記ポリオール(A1)の数平均分子量(以下、「Mn」という。)は、組成物の貯蔵安定性、硬化性(指触乾燥性)、組成物を扱う際の作業性の観点から、好ましくは500〜8,000である。このMnが大きすぎると、硬化性(指触乾燥性)、貯蔵安定性が低下する場合がある。一方、Mnが小さすぎると、作業性が低下する場合がある。
本発明においては、揺変性、貯蔵安定性及び硬化性に優れた組成物が得られることから、上記ポリオール(A1)は、エステル結合を有する化合物(以下、「ポリオール(A11)」という。)であることが好ましい。
上記多価アルコールとしては、2つのヒドロキシル基を有するジオール、及び、3つ以上のヒドロキシル基を有するポリオールが挙げられる。
上記ポリイソシアネートとしては、上記本発明の揺変性付与剤の製造方法の記載のうち、モノアミン又はジアミンと反応させるために用いるイソシアネート(ポリイソシアネート)として例示した化合物を、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。更に、これらのポリイソシアネートの変性物を用いることもできる。
変性イソシアネートとしては、イソシアネート化合物のウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビューレット変性体、ウレア変性体、イソシアヌレート変性体、オキサゾリドン変性体、イソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。
上記ポリオール(A1)及び上記ポリイソシアネート(A2)の反応は、通常、無溶剤下、50℃〜100℃の温度で加熱攪拌する等により進めることができる。これらの化合物の反応中又は反応後、必要に応じて、金属塩、有機スズ化合物、有機ビスマス化合物、アミン等のウレタン化触媒を併用することもできる。
また、上記ポリオール(A1)及び上記ポリイソシアネート(A2)の反応の際には、これらの反応を阻害しないものであれば、後述する添加剤を反応系に併存させておいてもよい。
本発明の一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物における上記成分[B]の含有量は、上記成分[A]100質量部に対して、好ましくは0質量部を超えて50質量部以下、より好ましくは0.05〜40質量部、更に好ましくは0.1〜20質量部である。上記成分[B]の含有量が、上記範囲にあれば、揺変性、貯蔵安定性及び硬化性に優れる。
また、本発明の一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物における上記成分[B]の含有量は、組成物全体に対して、好ましくは0質量%を超えて10質量%以下、より好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは1〜5質量%である。上記成分[B]の含有量が、上記範囲にあれば、揺変性、貯蔵安定性及び硬化性に優れる。
エポキシ化植物油系可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。
エポキシ化脂肪酸アルキルエステルとしては、エポキシステアリン酸メチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
その他、エポキシ化ポリブタジエン、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、3−(2−キセノキシ)−1,2−エポキシプロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビニルジシクロヘキセンジエポキサイド、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとエピクロルヒドリンの重縮合物等が挙げられる。
本発明の一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物が、可塑剤を含有する場合、その含有量は、上記成分[A]100質量部に対して、好ましくは10〜300質量部、より好ましくは12〜100質量部、更に好ましくは15〜40質量部である。
揺変性付与剤及び一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物に係る物性測定方法及び評価方法は、以下の通りである。
1−1.数平均分子量(Mn)
昭和電工社製高性能SEC専用システム「Shodex GPC−104」(商品名)を用いて測定した。溶離液は、テトラヒドロフラン又はクロロホルムである。
1−2.粘度
一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を製造した直後、及び、これを温度40℃で10日間静置した後における粘度を、東機産業社製「RB80型粘度計」(商品名)を用いて、温度25℃、回転数5rpm及び50rpmで測定した。
1−3.揺変性
上記1−2項で測定された粘度を用いて、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を製造した直後の、回転数5rpm及び50rpmにおける粘度(V11及びV12)から、V11/V12値を算出し、揺変性を下記基準で判定した。
◎: V11/V12>4であり、揺変性に極めて優れる。
○: 3≦V11/V12≦4であり、揺変性に優れる。
×: V11/V12<3であり、揺変性に劣る。
上記1−2項で測定された粘度のうち、同一回転数の粘度(一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を製造した直後の粘度V11又はV12、及び、これを温度40℃で10日間静置した後における粘度V21又はV22)を用いて、下記式(1)及び(2)により、変化率S1(%)及びS2(%)を算出した。貯蔵安定性は、S1及びS2のうちの高い方の計算値をもって、下記基準で判定した。
○:20%〜40%であり、貯蔵安定性に優れる。
×:40%を超えており、貯蔵安定性に劣る。
組成物の硬化性を、以下の方法による指触乾燥性をもって評価した。
一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を、平板状基材に塗布した後、温度25℃及び湿度40%の条件下、静置した状態で、塗膜形成から1分おきに、塗膜表面を指触した。そして、未硬化物が指に付着しなくなるまでの時間を計測した。
◎:タックフリータイムが10分未満であり、指触乾燥性に極めて優れる。
○:タックフリータイムが10〜15分であり、指触乾燥性に優れる。
×:タックフリータイムが15分を超えており、指触乾燥性に劣る。
1−6.電気絶縁性
型枠に、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を流し込み、温度25℃及び湿度40%の条件下、24時間静置して硬化させ、100mm×100mm×3mmの板状試験片を得た。日置電機社製平板試料用電極「SME−8310」(型式名)と、同社製ディジタル超絶縁/微少電流計「DSM−8104」(型式名)とを用いて、体積抵抗率を測定し、下記基準で判定した。
◎:体積抵抗値が1.0E+13Ω・cmを超えており、電気絶縁性に極めて優れる。
○:体積抵抗値が1.0E+11〜1.0E+13Ω・cmであり、電気絶縁性に優れる。
×:体積抵抗値が1.0E+11Ω・cm未満であり、電気絶縁性に劣る。
実施例1−1(ジアミド(b−1)を含む揺変性付与剤(B−1)の合成)
攪拌機、温度計、窒素ガス供給装置、検水装置及び加熱装置を備える反応用容器に、ダイマー酸620部及びステアリルアミン640部を仕込んだ。その後、これらの成分を撹拌しながら、また、反応系に窒素ガスを導入しながら、温度240℃で5時間反応させ、Mnが1,100であるジアミド(b−1)を得た。次いで、反応系に、トリレンジイソシアネート(以下、「TDI」という。)12部を添加し、残存しているステアリルアミンと反応させてポリウレアとし、上記ジアミド(b−1)及びポリウレアからなる揺変性付与剤(B−1)を得た。この揺変性付与剤(B−1)に含まれるジアミド(b−1)の含有割合は99%である(表1参照)。
攪拌機、温度計、窒素ガス供給装置、検水装置及び加熱装置を備える反応用容器に、セバシン酸230部及びステアリルアミン640部を仕込んだ。その後、これらの成分を撹拌しながら、また、反応系に窒素ガスを導入しながら、温度240℃で5時間反応させ、Mnが800であるジアミド(b−2)を得た。次いで、反応系に、TDI7部を添加し、残存しているステアリルアミンと反応させてポリウレアとし、上記ジアミド(b−2)及びポリウレアからなる揺変性付与剤(B−2)を得た。この揺変性付与剤(B−2)に含まれるジアミド(b−2)の含有割合は99%である(表1参照)。
攪拌機、温度計、窒素ガス供給装置、検水装置及び加熱装置を備える反応用容器に、ベヘニン酸730部及びヘキサメチレンジアミン130部を仕込んだ。その後、これらの成分を撹拌しながら、また、反応系に窒素ガスを導入しながら、温度240℃で5時間反応させ、Mnが780であるジアミド(b−3)を得た。次いで、反応系に、TDI2部を添加し、残存しているヘキサメチレンジアミンと反応させてポリウレアとし、上記ジアミド(b−3)及びポリウレアからなる揺変性付与剤(B−3)を得た。この揺変性付与剤(B−3)に含まれるジアミド(b−3)の含有割合は99%である(表1参照)。
攪拌機、温度計、窒素ガス供給装置、検水装置及び加熱装置を備える反応用容器に、ベヘニン酸590部及びダイマージアミン500部を仕込んだ。その後、これらの成分を撹拌しながら、また、反応系に窒素ガスを導入しながら、温度240℃で5時間反応させ、Mnが1,200であるジアミド(b−4)を得た。次いで、反応系に、TDI15部を添加し、残存しているダイマージアミンと反応させてポリウレアとし、上記ジアミド(b−4)及びポリウレアからなる揺変性付与剤(B−4)を得た。この揺変性付与剤(B−4)に含まれるジアミド(b−4)の含有割合は98%である(表1参照)。
攪拌機、温度計、窒素ガス供給装置、検水装置及び加熱装置を備える反応用容器に、ステアリン酸620部及び1,3−ビスアミノシクロヘキサン160部を仕込んだ。その後、これらの成分を撹拌しながら、また、反応系に窒素ガスを導入しながら、温度240℃で5時間反応させ、Mnが700であるジアミド(b−5)を得た。次いで、反応系に、TDI7部を添加し、残存している1,3−ビスアミノシクロヘキサンと反応させてポリウレアとし、上記ジアミド(b−5)及びポリウレアからなる揺変性付与剤(B−5)を得た。この揺変性付与剤(B−5)に含まれるジアミド(b−5)の含有割合は99%である(表1参照)。
攪拌機、温度計、窒素ガス供給装置、検水装置及び加熱装置を備える反応用容器に、ステアリン酸630部、ヘキサメチレンジアミン45部及び1,3−ビスアミノシクロヘキサン110部を仕込んだ。その後、これらの成分を撹拌しながら、また、反応系に窒素ガスを導入しながら、温度240℃で5時間反応させ、Mnが690であるジアミド(b−6)を得た。次いで、反応系に、TDI9部を添加し、残存しているヘキサメチレンジアミン及び1,3−ビスアミノシクロヘキサンと反応させてポリウレアとし、上記ジアミド(b−6)及びポリウレアからなる揺変性付与剤(B−6)を得た。この揺変性付与剤(B−6)に含まれるジアミド(b−6)の含有割合は99%である(表1参照)。
攪拌機、温度計、窒素ガス供給装置、検水装置及び加熱装置を備える反応用容器に、ラウリン酸650部及びエチレンジアミン100部を仕込んだ。その後、これらの成分を撹拌しながら、また、反応系に窒素ガスを導入しながら、温度240℃で5時間反応させ、Mnが460であるジアミド(b−7)を得た。次いで、反応系に、TDI2部を添加し、残存しているエメチレンジアミンと反応させてポリウレアとし、上記ジアミド(b−7)及びポリウレアからなる揺変性付与剤(B−7)を得た。この揺変性付与剤(B−7)に含まれるジアミド(b−7)の含有割合は99%である(表1参照)。
3−1.プレポリマー
一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物に用いるプレポリマーとして、以下の合成例で得られたものを用いた。
この混合物(M−1)に含まれるプレポリマー(A−1)及びリン酸トリクレジルの質量比は8:3である。
上記ポリエステルポリオール(a−1)及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量を、それぞれ、56部及び24部とした以外は、合成例1−1と同様にして、イソシアネート基の含有割合が6.0%であり、Mnが1,600であるプレポリマー(A−2)と、リン酸トリクレジルとからなる混合物(M−2)を得た。
この混合物(M−2)に含まれるプレポリマー(A−2)及びリン酸トリクレジルの質量比は8:3である。
上記ポリエステルポリオール(a−1)及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量を、それぞれ、52部及び28部とした以外は、合成例1−1と同様にして、イソシアネート基の含有割合が8.0%であり、Mnが1,200であるプレポリマー(A−3)と、リン酸トリクレジルとからなる混合物(M−3)を得た。
この混合物(M−3)に含まれるプレポリマー(A−3)及びリン酸トリクレジルの質量比は8:3である。
上記ポリエステルポリオール(a−1)及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量を、それぞれ、44部及び36部とした以外は、合成例1−1と同様にして、イソシアネート基の含有割合が12.0%であり、Mnが800であるプレポリマー(A−4)と、リン酸トリクレジルとからなる混合物(M−4)を得た。
この混合物(M−4)に含まれるプレポリマー(A−4)及びリン酸トリクレジルの質量比は8:3である。
上記ポリエステルポリオール(a−1)及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量を、それぞれ、63部及び17部とした以外は、合成例1−1と同様にして、イソシアネート基の含有割合が3.0%であり、Mnが3,200であるプレポリマー(A−5)と、リン酸トリクレジルとからなる混合物(M−5)を得た。
この混合物(M−5)に含まれるプレポリマー(A−5)及びリン酸トリクレジルの質量比は8:3である。
攪拌機、温度計、窒素ガス供給装置及び加熱装置を備える反応用容器に、上記ポリエステルポリオール(a−1)60部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名「ミリオネートMT」、日本ポリウレタン工業社製)20部、及び、可塑剤(C−2)であるグリセリル−トリ(アセチルリシノレート)30部を仕込んだ。その後、これらの成分を撹拌しながら昇温し、反応系に窒素ガスを導入しながら、上記ポリエステルポリオール(a−1)及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、温度85℃で反応させた(反応時間3時間)。そして、イソシアネート基の含有割合(NCO率)が4.0%であり、Mnが2,400であるプレポリマー(A−6)と、グリセリル−トリ(アセチルリシノレート)とからなる混合物(M−6)を得た。
この混合物(M−6)に含まれるプレポリマー(A−6)及びグリセリル−トリ(アセチルリシノレート)の質量比は、8:3である。
攪拌機、温度計、窒素ガス供給装置及び加熱装置を備える反応用容器に、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(坂本薬品工業社製)300部及びリシノレイン酸(伊藤製油社製)3,100部を仕込んだ。その後、これらの成分を攪拌しながら昇温し、反応系に窒素ガスを導入しながら、温度210℃で反応させた。反応系の酸価が3以下となった時点で反応を終了し(反応時間20時間)、平均3.0個のヒドロキシル基を有し、水酸基価が55mgKOH/gであり、Mnが3,000であるポリエステルポリオール(a−2)を得た。
この混合物(M−7)に含まれるプレポリマー(A−7)及びリン酸トリクレジルの質量比は8:3である。
実施例2−1
合成例1−1で得られた混合物(M−1)110部(80部のプレポリマー(A−1)及び30部の可塑剤(C−1)からなる)を85℃とした後、これに、揺変性付与剤(B−1)3部を添加して溶解させ、更に、充填剤として水酸化アルミニウム(商品名「ハイジライトH−21」、昭和電工社製)20部と、硬化用触媒としてトリエチレンジアミン1部とを配合し、混合した。次いで、室温に冷却して、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製した(表2)。この一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物について評価し、その結果を表2に併記した。
混合物(M−1)110部に代えて、混合物(M−2)110部(80部のプレポリマー(A−2)及び30部の可塑剤(C−1)からなる)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製し、その評価を行った。その結果を表2に併記した。
混合物(M−1)110部に代えて、混合物(M−3)110部(80部のプレポリマー(A−3)及び30部の可塑剤(C−1)からなる)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製し、その評価を行った。その結果を表2に併記した。
揺変性付与剤(B−1)に代えて、揺変性付与剤(B−2)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製し、その評価を行った。その結果を表3に併記した。
揺変性付与剤(B−1)に代えて、揺変性付与剤(B−3)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製し、その評価を行った。その結果を表3に併記した。
揺変性付与剤(B−1)に代えて、揺変性付与剤(B−4)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製し、その評価を行った。その結果を表3に併記した。
揺変性付与剤(B−1)に代えて、揺変性付与剤(B−5)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製し、その評価を行った。その結果を表3に併記した。
揺変性付与剤(B−1)に代えて、揺変性付与剤(B−6)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製し、その評価を行った。その結果を表3に併記した。
合成例1−6で得られた混合物(M−6)110部(80部のプレポリマー(A−6)及び30部の可塑剤(C−2)からなる)を85℃とした後、これに、揺変性付与剤(B−1)3部を添加して溶解させ、更に、充填剤として水酸化アルミニウム(商品名「ハイジライトH−21」、昭和電工社製)20部と、硬化用触媒としてトリエチレンジアミン1部とを配合し、混合した。次いで、室温に冷却して、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製した(表3)。この一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物について評価し、その結果を表3に併記した。
混合物(M−1)110部に代えて、混合物(M−7)110部(80部のプレポリマー(A−7)及び30部の可塑剤(C−1)からなる)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製し、その評価を行った。その結果を表3に併記した。
揺変性付与剤を配合しなかったこと以外は、実施例2−1と同様にして、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製し、その評価を行った。その結果を表2に併記した。
混合物(M−1)110部に代えて、混合物(M−4)110部(80部のプレポリマー(A−4)及び30部の可塑剤(C−1)からなる)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製し、その評価を行った。その結果を表2に併記した。
混合物(M−1)110部に代えて、混合物(M−5)110部(80部のプレポリマー(A−5)及び30部の可塑剤(C−1)からなる)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製し、その評価を行った。その結果を表2に併記した。
揺変性付与剤(B−1)に代えて、揺変性付与剤(B−7)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製し、その評価を行った。その結果を表4に併記した。
揺変性付与剤(B−1)に代えて、日本アエロジル社製フュームドシリカ(商品名「Aerosil RY200」、以下、「揺変性付与剤(B−8)」という。)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を調製し、その評価を行った。その結果を表4に併記した。
実施例2−1〜2−10は、本発明の構成を備える一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物の例であり、揺変性、貯蔵安定性及び硬化性に優れている。
一方、比較例2−1は、揺変性付与剤を含有しない組成物を用いた例であり、揺変性が不十分であった。比較例2−2は、イソシアネート基の合計量の含有割合が、その分子量に対して、12%と多いプレポリマーを含有する組成物を用いた例であり、貯蔵安定性が不十分であった。比較例2−3は、イソシアネート基の合計量の含有割合が、その分子量に対して、3%と少ないプレポリマーを含有する組成物を用いた例であり、揺変性が不十分であった。比較例2−4は、Mnが460の揺変性付与剤を含有する組成物を用いた例であり、揺変性及び貯蔵安定性が不十分であった。また、比較例2−5は、揺変性付与剤として、フュームドシリカを含有する組成物を用いた例であり、揺変性及び貯蔵安定性が不十分であった。
また、バリスタ、コンデンサ、抵抗、コイル等、過負荷、自己発熱等を伴う電子部品に電気絶縁性の保護皮膜を形成するための塗料として用いることもできる。
Claims (6)
- ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させて得られたイソシアネート基を有するプレポリマーであって、該イソシアネート基の合計量の含有割合が、該プレポリマーの分子量に対して、3.5〜11%であるプレポリマーを含有する一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物に配合される揺変性付与剤であって、下記一般式(I)で表され、且つ、数平均分子量が500〜3,000であるジアミド(I)、及び、下記一般式(II)で表され、且つ、数平均分子量が500〜3,000であるジアミド(II)のうちの少なくとも一方を含有することを特徴とする揺変性付与剤。
- 更に、ポリウレアを含有する請求項1に記載の揺変性付与剤。
- [A]ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させて得られたイソシアネート基を有するプレポリマーであって、該イソシアネート基の合計量の含有割合が、該プレポリマーの分子量に対して、3.5〜11%であるプレポリマー、及び、[B]請求項1又は2に記載の揺変性付与剤を含有することを特徴とする一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
- 上記揺変性付与剤[B]の含有量が、上記プレポリマー[A]100質量部に対して、0質量部を超えて50質量部以下である請求項3に記載の一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
- 上記ポリオールがエステル結合を有するポリオールを含み、該エステル結合含有ポリオールの数平均分子量が500〜8,000である請求項3又は4に記載の一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
- 上記エステル結合含有ポリオールが、ヒドロキシカルボン酸と、多価アルコールとから形成されたポリオール、及び、ヒドロキシカルボン酸と、多価アルコールのグリシジルエーテルとから形成されたポリオール、から選ばれた少なくとも1種である請求項5に記載の一液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
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