以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る表示装置を説明する説明図であり、(A)は平面図、(B)は(A)の矢符B方向から見た側面図、(C)は(A)の矢符C方向から見た側面図である。
本実施の形態に係る表示装置1は、表面実装型の発光装置である表面実装型発光装置10と、表面実装型発光装置10が実装された配線基板20と、表面実装型発光装置10の正面に配置されたレンズ部30と、レンズ部30の周囲を囲んで配置された枠体部40cとを備える。配線基板20は、筐体50に取り付けられ、レンズ部30の正面側にひさし部60が配置されている。筐体50は、表示装置1が設置される電子機器への取り付けを容易にする係合部51を備えている。
本実施の形態では、表面実装型発光装置10は、縦16個(16行)、横16個(16列)のドットマトリックス状に配置され、合計で256個の表面実装型発光装置10が配線基板20に実装されている。また、ひさし部60は、縦方向の16行に対応させて16個配置されている。
上述したとおり、本実施の形態に係る表示装置1は、表面実装用の外部端子11(図3参照)を有する表面実装型発光装置10と、配線基板20とを備え、表面実装型発光装置10に対向して配置されたレンズ部30と、レンズ部30を囲んで配置された枠体部40cとを備える。
したがって、表示装置1は、表面実装型発光装置10から発光された光を集光してレンズ部30の正面での光度を向上させることから、点灯、非点灯を明瞭に区別して表示することが可能となり、また、接続構造を簡単にして接続(実装)の作業性、信頼性を向上させ、薄型化することができる。
図2は、本発明の実施の形態に係る表示装置の製造工程の概要を示す工程図である。
本実施の形態に係る表示装置1は、次のステップS1ないしステップS7を主要な製造工程として製造される。
ステップS1:
表面実装型発光装置10(後述する図3参照。)を配線基板20(後述する図4参照。)に実装する。
ステップS2:
レンズアレイ40L(レンズアレイモジュール40m。後述する図7参照。)を配線基板20に取り付ける(後述する図9参照。)。レンズアレイモジュール40mは、枠体部40cの取り付け単位として適宜の大きさに形成され、配線基板20に取り付けられる。
ステップS3:
配線基板20を筐体50に取り付ける(図9参照)。
ステップS4:
表面実装型発光装置10とレンズ部30との間の空間に透光性樹脂(合成樹脂。図9参照)を充填する。
ステップS5:
充填した透光性樹脂を硬化して充填樹脂部38(図9参照)を形成する。
ステップS6:
枠体被覆部47s(後述する図10参照。)を形成する。
ステップS7:
ひさし部60(後述する図11参照。)を取り付ける。
図3は、本発明の実施の形態に係る表示装置に実装される表面実装型発光装置を説明する説明図であり、(A)は平面図、(B)は(A)の矢符B方向から透視的に見た状態の要部を示す透視側面図である。
表面実装型発光装置10は、表面実装用の外部端子11を有する。また、表面実装型発光装置10は、適宜の形状に形成されたパッケージ部12と、パッケージ部12に形成された凹部13とを備える。凹部13には、赤色(R)を発光する半導体発光素子14r、緑色(G)を発光する半導体発光素子14g、青色(B)を発光する半導体発光素子14bが搭載されている。
道路表示(特に文字によって注意を喚起する必要がある場合など)において、文字の色としては視認性の観点、注意喚起性の観点からオレンジ色、あるいは赤色が良く使用される。通常、オレンジ色は、赤色と緑色を混色させて生成される。したがって、赤色を中央に配置することによって視認性を向上させることができる。本実施の形態に係る表面実装型発光装置10では、中央に半導体発光素子14rを配置し、半導体発光素子14rの両側に半導体発光素子14g、半導体発光素子14bを配置して、視認性の向上を図っている。
半導体発光素子14r、半導体発光素子14g、半導体発光素子14bは、半導体基板を分割したチップ状態で凹部13の底面に搭載され、例えばワイヤを介して外部端子11に接続されている。凹部13には、透光性樹脂部15が充填され、半導体発光素子14r、半導体発光素子14g、半導体発光素子14bを外部環境から保護している。半導体発光素子14r、半導体発光素子14g、半導体発光素子14bは、それぞれ1個の場合を示すが、それぞれ複数を配置することも可能である。
なお、凹部13の開口形状は、図示したように矩形状とすることによって、発光パターンに横方向への広がりを持たせることができる。この構成によって、円形とした場合に比較して横方向への発光の広がりを持たせることができる。また、凹部13の開口形状を矩形状とすることによって、矩形状を有する保持部32(図5参照)に対する導光性を向上させて曲面部31の光強度を向上させ光取り出し効率を向上させることができる。
また、凹部13の開口形状は、レンズ部30の曲面部31(図5参照)に対して相似形とすることも可能である。つまり、発光パターンとなる凹部13の開口形状を曲面部31の外周形状に対向させることで、表面実装型発光装置10(凹部13の開口形状)と曲面部31との間での光結合の損失を低減することができる。
また、パッケージ部12の表面(凹部13の表面の外側)には、黒色部16が形成され、凹部13から放射される光の認識性(識別性)を向上させている。パッケージ部12は、配線基板20に対する表面実装が可能であれば良く、適宜の形状とすることが可能である。図3では、パッケージ部12の表面は平坦な状態として示したが、例えば、黒色部16の内側で透光性樹脂部15に多少のレンズ特性(凸形状)を持たせることも可能である。
上述したとおり、表示装置1に実装される表面実装型発光装置10は、互いに異なる発光色を有する複数の半導体発光素子14r、半導体発光素子14g、半導体発光素子14bを備える。したがって、表示装置1は、マルチカラーを表示することができる。つまり、半導体発光素子14r、半導体発光素子14g、半導体発光素子14bは、1組となってマルチカラーを表示する1画素を構成することができる。
図4は、図3に示した表面実装型発光装置を配線基板に実装した状態を部分的に拡大して示す部分拡大平面図である。
表面実装型発光装置10は、表面実装用の外部端子11を有することから、配線基板20の表面(表示面20d)にそのまま載置され実装(接続)される。なお、図4では、見易さを考慮して配線基板20(表示面20d)の部分(配線基板20の端部付近での表面実装型発光装置10の配置状態)のみを拡大して示す。
なお、表面実装型発光装置10は、表面実装型であることから、配線基板20での表面実装型発光装置10の高さは、表面実装型発光装置10のパッケージ部12の高さとなる。したがって、配線基板20の表示面20dに沿った薄型化が可能となる。
従来の表示装置で一般的に採用されている砲弾型LEDランプ(砲弾型発光装置)の高さは、リードの長さを考慮する必要があることから通常24mmである。したがって、砲弾型LEDランプを配線基板20に搭載したときの基板表面からの高さは、リードの長さを10mm差し引いて14mmとなる。これに対して、表面実装型発光装置10の高さは、例えば1.4mmとされている。したがって、表面実装型発光装置10を配線基板20に搭載したときの基板表面からの高さは、1.4mmとすることができる。つまり、表面実装型発光装置10を採用することによって表示装置1を薄型化することができる。
また、砲弾型LEDランプの重量は、例えば0.28g(グラム)であり、表面実装型発光装置10の重量は、例えば0.025g(グラム)である。したがって、表面実装型発光装置10を採用することによって、表面実装型発光装置10による重量は、従来例に比較して10分の1とすることができる。つまり、表面実装型発光装置10を採用することによって表示装置1を軽量化することができる。また、低価格化を実現することが可能となることから、表示装置1を道路情報表示装置に採用した場合は、道路建設に関する建設費を低減することができる。
配線基板20の平面形状は、例えば160mm×160mmの矩形(図1参照)であり、配線基板20の厚さは、例えば1mmである。また、16行×16列のドットマトリックス状で表示面20dに配置された表面実装型発光装置10は、縦方向の配置ピッチが10mm、横方向の配置ピッチが10mmである。なお、表面実装型発光装置10の配置は、ドットマトリックス状に限らず、適用される表示装置の表示仕様に応じて任意のパターンとすることができる。
配線基板20は、表面実装型発光装置10を配列して固定(接続)するための配線パターン(図示省略)を有する。つまり、表面実装型発光装置10の外部端子11は、半田などの導電性部材により、配線基板20(配線パターン)に対して電気的および機械的に接続される。また、表面実装型発光装置10へ配線パターンを介して電力を供給する駆動回路70(図9参照)が表示面20dの反対側の裏面20c(図9参照)に実装される。
配線基板20は、機械的強度が高く熱変形の少ないものが好ましい。具体的には絶縁性合成樹脂、セラミックス、ガラス、アルミニウム合金等を用いたプリント基板、すなわち、リジッド基板を好適に利用することができる。
表示面20dは、表示装置1の表示面に対応して配置される。したがって、コントラスト、防湿性、および絶縁性を向上させるために、配線基板20は、防湿性を備えた黒色系樹脂で形成することが好ましい。なお、配線基板20の表面(表示面20d)に、ソルダーレジスト、マーキングインキの形態で黒色系樹脂を塗布することも可能である。
図5は、本発明の実施の形態に係る表示装置に適用されるレンズ部を説明する説明図であり、(A)は平面図、(B)は(A)の矢符B−Bでの断面図、(C)は(A)の矢符C−Cでの断面図である。
本実施の形態に係るレンズ部30は、凸レンズとされて集光特性を有する曲面部31(曲面を有する曲面部31)と、曲面部31から枠体部40c(図6参照)まで延長され曲面部31を保持する保持部32とを備える。したがって、表示装置1は、集光特性を確保した状態でレンズ部30と枠体部40cとを高精度に形成することが可能となるので表示特性(表示精度)を向上させることができる。
保持部32は、配線基板20の側へ延長され枠体部40c(図6参照)に当接するすそ部36を備える。したがって、レンズ部30と枠体部40cとを容易に、かつ高精度に形成でき、また、充填樹脂部38(図9参照)を容易に、かつ高精度に形成することができる。
また、すそ部36は、保持部32の側に対して配線基板20の側ほど外側へ拡大されている。つまり、すそ部36の表面36sは、保持部32から配線基板20に向けて広がるように傾斜している。したがって、枠体部40cとすそ部36との成形が容易となる。つまり、レンズ部30および枠体部40cを2色成形方法によって一体に形成する場合、射出成形の金型に対する離型性を向上させることができる。なお、表面36sの傾斜角は、2度とされている。
すそ部36(レンズ部30)は、枠体部40cに対する整合性を考慮して、枠状とされ、方向性を明確にするために適宜の角取り(面取り)が施されている。すそ部36の内側に表面実装型発光装置10が配置され、さらに透光性樹脂(合成樹脂)が充填されて充填樹脂部38が形成される(図9参照)。すそ部36は、全方位に形成されていることが望ましいがこれに限るものではない。つまり、すそ部36は、枠体部40cに対して位置決めできる構成であればよい。
レンズ部30のレンズ材質は、紫外線吸収剤含有ポリカーボネート(Polycarbonate)樹脂、つまり、透光性ポリカーボネート系の樹脂である。したがって、外光に含まれる紫外線がレンズ部30の内部に配置された表面実装型発光装置10(図9参照)に照射されることを防止することができる。なお、紫外線吸収剤として、サリチル酸フェニルを適用した。
紫外線吸収剤含有樹脂は、透光性樹脂材料としてのポリカーボネート樹脂に紫外線吸収剤を配合および分散して形成される。紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系等の各種有機系紫外線吸収剤を適用することができる。
レンズ材質としては、アクリル、ポリカーボネート等の成形加工が可能な樹脂材料を用いることが可能である。アクリルは、耐侯性に優れるが、耐衝撃性、耐熱性に難点があるほか、屈折率が1.49とポリカーボネートの1.59に比べて低く、同じ集光特性(レンズ特性)を持たせようとする場合は、ポリカーボネートに対してレンズ厚さが厚くなる。
ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性に優れるが、太陽光中に含まれる紫外線によって、透過率の低下、黄変等の問題が発生し耐侯性の点で劣る。耐侯性を改善するために、紫外線吸収剤を添加した耐侯性タイプのポリカーボネートがある。本実施の形態では、上述したとおり、耐候性タイプのポリカーボネートを適用した。
曲面部31は、直径6mm、高さ5.74mm(すそ部36を含む)、レンズ厚2.9mmとした。曲面部31の配線基板20に対向する内側面31rは、配線基板20に向けて凸状とされている。
保持部32は、合成樹脂としての透光性樹脂(充填樹脂部38)を充填するときに注入口として適用される樹脂注入口34と、樹脂注入口34に対向して形成された樹脂排出口35とを備える。樹脂注入口34から透光性樹脂を注入し、樹脂排出口35から過剰に供給された透光性樹脂を排出することによってレンズ部30の内側(樹脂充填部38が形成される内部)に対するエアー抜きが可能となり、気泡の混入の無い充填樹脂部38を容易に、かつ高精度に形成することができる。したがって、樹脂注入口34および樹脂排出口35は、保持部32の平面上で相互に対向する位置に配置されることが望ましい。
保持部32は、平面視で円形の曲面部31の光軸に対して交差方向で鍔状に形成され、平面視で少なくとも4つの角部を有する多角形とすることが望ましい。保持部32を4角形以上の多角形とすることで、樹脂注入口34および樹脂排出口35を対角線上に配置された角部で相互に対向するように配置することが可能となり、高精度に形成することができる。
保持部32を平面視で円形とすると、樹脂注入口34および樹脂排出口35を高精度に対向させることが困難となり、形成したとしても配置がいびつとなり、合成樹脂の注入と排出を高精度に実施することができなくなる。なお、保持部32を配置しない状態ですそ部36を配置すると、実質上、樹脂注入口34および樹脂排出口35を形成することができない。
樹脂注入口34は、合成樹脂を注入する注入機のノズルの大きさに対応した大きさとされている。また、樹脂排出口35は、樹脂注入口34の幅に比較して幅広とすることで、合成樹脂に混入した空気を効率よく排出できる形状とされている。
本実施の形態では、レンズ部30は、射出成形で形成されてあり、保持部32を延長した外側位置に配置されて射出成形の金型のゲート部に対応するゲート対応部32gと、ゲート対応部32gと保持部32との間に形成された段差32sとを備える。
したがって、表示装置1は、枠体部40cおよび保持部32を覆う枠体被覆部47s(図10参照)を形成したとき、ゲート対応部32gに金型のゲート部の樹脂残りが生じていても保持部32に対する枠体被覆部47sの平面性を確保することができる。
仮に段差32sが無い場合、ゲート対応部32gの樹脂残り(ゲート樹脂残り)があると、ゲート対応部32gの領域に枠体被覆部47sが重ねて形成されたとき、ゲート対応部32gの上に重なった枠体被覆部47sが盛り上がった状態となり枠体被覆部47sの表面が平坦にならないで、コントラストのムラ・表示ムラ等を生じる恐れがある。
段差32sを設けることにより、ゲート対応部32gの樹脂残りの突き出し量が段差32sの高さより少ない場合は、枠体被覆部47sを形成した場合、枠体被覆部47sの表面を平坦に維持することができ、表示特性を向上させることができる。なお、段差は0.2mmである。
曲面部31は、保持部32との境界で保持部32と交差する方向に形成された外周端面31tを備える。また、外周端面31tは、曲面部31の側に比較して保持部32の側が外側へ拡大している。レンズの厚さは上述したとおり2.99mm、外周端面31tの高さは2.44mm、外周端面31tの傾斜角は5.2度(保持部32の側が曲面部31の頂面の側に比べて外側へ拡大している。)である。
外周端面31tの作用について説明する。本実施の形態では、曲面部31の相互間に配置された枠体部40cを被覆して曲面部31の相互間の空間を被覆する枠体被覆部47s(図10参照)が形成される。枠体被覆部47sは、黒色樹脂(例えば黒色シリコーン樹脂)で形成され、曲面部31の相互間の空間を被覆することから、表示装置1のコントラスト比および防水性を向上させることができる。
外周端面31tが存在しない場合(曲面部31の曲面がそのままの状態で保持部32まで延長されている場合)、枠体被覆部47sを形成すると枠体被覆部47s(黒色シリコーン樹脂)が曲面部31に這い上がる恐れがある。また、曲面部31と枠体被覆部47sの境界が明確にならず、枠体被覆部47sの高さ、表面の平坦性の制御が困難となる。枠体被覆部47sが曲面部31に這い上がりレンズ内部(表面実装型発光装置10)からの光を遮る恐れがある。
外周端面31tが存在しない場合、さらに、枠体被覆部47sの表面に凹凸面が発生し、水はけ(特に屋外に設置した場合の雨水の水はけ)が十分にできない恐れがある。水はけが十分でないと、筐体50の内部に配置された駆動回路70などに悪影響するばかりでなく、レンズ部30(曲面部31)の表面に水分が溜まるなど、視認性を低下させる恐れがある。
本実施の形態に係る表示装置1(レンズ部30)は、外周端面31tを有することから、上述した表示特性、信頼性などでの問題を解消することができる。
上述したとおり、本実施の形態に係る表示装置1では、レンズ部30の保持部32は、透光性樹脂の充填に適用される樹脂注入口34と、樹脂注入口34に対応して形成された樹脂排出口35とを備える。したがって、表示装置1は、充填樹脂部38を容易に、かつ高精度に形成することができる。
また、曲面部31は、保持部32との境界で保持部32と交差する方向に形成された外周端面31tを備える。したがって、表示装置1は、外周端面31tによって枠体被覆部47sを規制することから、枠体被覆部47sが曲面部31に重なることを防止し、枠体被覆部47sによる曲面部31の識別性(表示精度)を向上させることができる。
また、外周端面31tは、曲面部31の頂面の側に対して保持部32の側が外側へ拡大している。したがって、表示装置1は、枠体被覆部47sを外周端面31tで確実に規制して曲面部31を高精度に画定することが可能となるので、表示精度をさらに向上させることができる。また、レンズ部30および枠体部40cを2色成形方法によって一体に形成する場合、射出成形の金型に対する離型性を向上させることができる。
図6は、本発明の実施の形態に係る表示装置に適用されるレンズ部および枠体部を2色成形して形成したレンズアレイモジュールの一部状態を拡大して示す拡大説明図であり、(A)は平面図、(B)は(A)の矢符B−Bでの断面図である。
図7は、図6に示したレンズアレイモジュールの全体を説明する説明図であり、(A)は平面図、(B)は(A)の矢符B方向から透視的に見た状態を示す透視側面図である。
枠体部40cは、レンズ部30を8行×8列のドットマトリックス状に配置したレンズアレイモジュール40mとされてあり、マトリックス全体でレンズアレイモジュール40mを構成している。つまり、枠体部40cは、レンズ部30を囲んで配置されレンズ部30の位置を確定する。また、レンズアレイモジュール40mは、64個のレンズ部30を組み込んでレンズアレイ40Lを構成する。それぞれのレンズ部30には、配線基板20に実装された表面実装型発光装置10が対応して配置される(図9参照)。
すなわち、レンズ部30はドットマトリックス状に配置され、枠体部40cは格子状に形成されている。つまり、表示装置1は、表面実装型発光装置10に対するレンズ部30の位置精度を確保して信頼性と表示精度を向上させることができる。
また、レンズアレイモジュール40mは、2色成形方法によって形成されている。したがって、レンズ部30(1次側)を透光性樹脂で成形した後、枠体部40c(2次側)を黒色樹脂で成型することが可能となり、高精度のレンズアレイモジュール40mを効率的に形成することができる。つまり、レンズ部30および枠体部40c(レンズアレイモジュール40m)を一体で成形することによって、高精度に、かつ容易に形成することができ、レンズ部30が高精度に配置されたレンズアレイ40Lを形成することができる。また、一次側(レンズ部30)と二次側(導電性枠体部40c)とを一体で成形することにより高精度のシールド特性を持つ枠体部40c(表示装置1)が得られる。
なお、レンズ部30と枠体部40cとを個別に形成し、枠体部40cにレンズ部30を接着剤で接着する形態の場合は、接着剤が樹脂注入口34および樹脂排出口35などに付着して形状不良を生じる恐れがある。また、接着剤が樹脂注入口34および樹脂排出口35に付着すると開口部を塞ぐことになり、接着剤を注入/排出することができなくなる。つまり、充填すべき樹脂量が不足して充填樹脂部38が形状不良となる。
したがって、レンズ部30および枠体部40cを2色成形とすることによって、高精度に生産性良くレンズアレイモジュール40mを形成することができる。なお、必要に応じて、レンズ部30と枠体部40cとを個別に形成し、枠体部40cにレンズ部30をはめ込んで一体化することも可能である。
枠体部40cは、充填樹脂部38(図9参照)を形成するときに樹脂排出口35から排出された透光性樹脂を溜める樹脂溜め溝41を備える。したがって、表示装置1は、充填樹脂部38を形成したときに樹脂排出口35から溢れた透光性樹脂をレンズ部30から分離して樹脂溜め溝41に収容することができるので、レンズ部30の光学特性への影響を防止することができる。
レンズアレイモジュール40mを形成する枠体部40cは、相互に隣接する表面実装型発光装置10および充填樹脂部38を相互に遮光するために遮光性を持たせてあり、例えば黒色(カーボンブラック)ポリカーボネート樹脂、黒色シリコーン樹脂などの黒色樹脂で形成されている。なお、ポリカーボネート樹脂は、透明性・耐衝撃性・耐熱性・難燃性などにおいて優れていることから、耐候性を向上させることができ、表示装置1が屋外に設置される場合に特に有効である。
樹脂溜め溝41は、充填樹脂部38を形成するために注入された透光性樹脂があふれない最適な寸法とすれば良く、例えば、幅1mm、深さ1mmとした。
また、枠体部40cは、樹脂溜め溝41より深く形成され樹脂溜め溝41に連結した樹脂溜め穴42を備える。したがって、表示装置1は、充填樹脂部38を形成する透光性樹脂が過剰に供給されたときでも、樹脂溜め溝41を介して透光性樹脂を樹脂溜め穴42へ収容するので、透光性樹脂がレンズ部30(特に曲面部31)の光学特性を害することを確実に防止することができる。
レンズアレイモジュール40m(枠体部40c)は、配線基板20に取り付ける際に位置決め手段および係合手段として作用する係合突起45を裏面側に備える。本実施の形態では、レンズアレイモジュール40m(レンズアレイ40L)を4枚組みとして配線基板20に取り付けることができる。つまり、表示装置1の全体で64×4=256個の表面実装型発光装置10およびレンズ部30が配置されている。
上述したとおり、本実施の形態に係る表示装置1では、保持部32は、配線基板20の側へ延長され枠体部40cに当接するすそ部36を備える。したがって、表示装置1は、レンズ部30と枠体部40cとを容易に、かつ高精度に形成することができ、また、充填樹脂部38を容易に、かつ高精度に形成することができる。
また、すそ部36は、配線基板20の側ほど外側へ拡大している。したがって、表示装置1は、枠体部40cとすそ部36とを高精度に形成することが可能となる。
レンズアレイモジュール40m(枠体部40c)は、配線基板20に取り付けるためのネジ穴40sを備える。つまり、レンズアレイモジュール40mは、ネジ(M2.6)によって配線基板20に取り付けられる。
また、レンズアレイモジュール40m(枠体部40c)は、枠体部40cを貫通する貫通溝40hを備える。貫通溝40hは、配線基板20に形成された配線パターン(配線基板20の両面を貫通して相互配線を施す貫通孔21(図9参照)に対応するランドパターン)に対応するように配置されている。したがって、配線基板20に形成された配線パターンは、貫通溝40hを介して高精度に認識されるので、レンズアレイモジュール40mは、配線基板20に対して高精度に位置合わせされる。
なお、充填樹脂部38を形成する合成樹脂(透光性樹脂)が貫通溝40hにも同様に充填され溝充填樹脂部38hが形成される(図9参照)ので配線基板20が露出することはなく、防水上の問題は生じない。
本実施の形態では、枠体部40cに導電性を持たせて電磁シールド効果を得られるように構成してある。以下、具体的な実施例について説明する。
枠体部40cは、レンズ部30と一体に形成されてレンズアレイモジュール40mとされ、レンズ部30は、透光性を有する非導電性樹脂で形成され、枠体部40cは、導電性樹脂で形成されている。したがって、表示装置1は、レンズ部30の光学特性を確保し、枠体部40cおよびレンズ部30の一体強度を確保した状態で、枠体部40cを軽量化することができるので、軽量で信頼性の高い表示装置1となる。
シールド部材(電磁シールド手段)として枠体部40cに導電性樹脂を使用することから、従来技術のような金属体を使用したものと比べて大幅に軽量化が図れる。
レンズアレイモジュール40mは、2色成形方法によって形成され、一次側(レンズ部30)となる部分を成形してから同一金型内で二次側(枠体部40c)となる部分を一次側(レンズ部30)と一体で成形する。つまり、表示装置1は、レンズ部30(1次側)を透光性を有する非導電性樹脂で形成し、枠体部40c(2次側)を導電性樹脂で形成することが可能となり、高精度のレンズアレイモジュール40mを効率的に生産性良く形成することができる。
なお、枠体部40cとしては、粉塵が発生しない、反りが少ない、静電気が起きないことなどの要件を満たす材質が望ましく、導電性の合成樹脂(導電性樹脂)が最適である。導電性樹脂は、合成樹脂に導電性付与剤(導電性フィラー)を含有させて形成することができる。
したがって、表示装置1は、枠体部40cを生産性良く容易に形成することができるので、安価な表示装置1を容易に製造することができる。なお、合成樹脂としては、黒色ポリカーボネート樹脂、黒色シリコーン樹脂などを適用することが可能である。
上述したとおり、枠体部40cは、導電性付与剤を練り込んだ合成樹脂(例えば、黒色ポリカーボネート樹脂、黒色シリコーン樹脂などの導電性黒色樹脂)で形成される。導電性付与剤としては、カーボンブラックとステンレス鋼の微小繊維を混合したものを用いた。カーボンブラックは黒色に着色することができ、枠体部40cのコントラスト比を向上できるだけでなく、導電性を有する枠体部40cとすることができる。なお、枠体部40cのシート抵抗は3Ω/□以下であった。
導電性付与剤について、次に示すように種々の観点で区分した材料を選択することが可能である。
導電性付与剤は、例えば、カーボン系の粉末または繊維であることが望ましい。枠体部40cの導電性を容易に制御することが可能となるので電磁波障害を高精度に抑制することができる。
カーボン系の粉末としては、例えばカーボンブラックを適用することができる。また、カーボン系の繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維などの炭素繊維を適用することができる。
また、導電性付与剤は、例えば、金属系の粉末または繊維であることが望ましい。枠体部40cの導電性を容易に制御することが可能となるので電磁波障害を高精度に抑制することができる。
金属系の粉末としては、例えばAg、Cu、Niなどの金属粉末、例えばSnO2、ZnOなどの金属酸化物粉末を適用することができる。また、金属系の繊維としては、例えばAl、ステンレスなどの金属繊維を適用することができる。
また、導電性付与剤は、例えばカーボン系の粉末または繊維と、例えば金属系の粉末または繊維との混合物であることが望ましい。異種の導電性付与材を複数種類組み合わせて特性を確実に均一化することから、枠体部40cの導電性を容易に、かつ高精度に制御することが可能となるので電磁波障害を高精度に抑制することができる。
図8は、本発明の実施の形態に係る表示装置の製造工程において、枠体部を配線基板の接地電位パターンに接続した状態を拡大して示す拡大断面図である。
先ず、配線基板20の表面(表示面20d)に表面実装型発光装置10を実装し、配線基板20の裏面20cに駆動回路70(図9参照)を実装する。その後、表面実装型発光装置10とレンズ部30とを対応させて、表示面20dにレンズアレイモジュール40m(レンズアレイ40L)を取り付ける。なお、全体(レンズアレイモジュール40m)の状態については、図9で詳細を説明する。
導電性を有する枠体部40cと、配線基板20の接地電位パターン20gとは、ネジ穴40sを介して配置された導電性を有するボルト20b、ナット20nによって締結される。したがって、枠体部40cは、接地電位パターン20gに接続された状態となる。
枠体部40cは、格子状の全体が接地電位となり、表示面20dの側は接地電位とされた枠体部40cに覆われた状態となることから、電磁シールド特性を有することになる。つまり、電磁ノイズが表示面20dを介して外部へ放射されること、あるいは、電磁ノイズが表示面20dを介して外部から侵入することを抑制することができる。
なお、枠体部40cの電位を接地電位にする方法は、種々の方法が可能である。図8では、ボルト20b、ナット20nを介して配線基板20の裏面20cの側に配置された接地電位パターン20gと枠体部40cとを接続する例を示したが、表面20dの側に配置された表面実装型発光装置10に対する配線パターンの中の接地電位に対応する配線パターンを活用することも可能である。表面実装型発光装置10に対する配線パターンを適用することによってさらに確実に枠体部40cを接地電位とすることができる。
上述したとおり、表示装置1は、配線基板20に表面実装された表面実装型発光装置10と、表面実装型発光装置10に対向して配置されたレンズ部30と、レンズ部30の周囲を囲んで配置された枠体部40cとを備え、枠体部40cは、導電性部材で形成されている。
したがって、本実施の形態に係る表示装置1は、枠体部40cに電磁シールド特性を持たせることができるので、表面実装型発光装置10を駆動する駆動回路70(図9参照)で発生した電磁波が表示面(表示面20d)から外部へ放射されることを防止し、また、逆に外部から駆動回路70へ侵入する電磁波を遮蔽することが可能となり、電磁波障害を抑制した信頼性の高い表示装置となる。
なお、配線基板20の裏面20cの側から外部へ放射される電磁波については、適宜の遮蔽手段を裏面20cの側に配置して併用することが可能である。
図9は、本発明の実施の形態に係る表示装置の製造工程において、レンズアレイモジュールを取り付けた配線基板を筐体に取り付け、表面実装型発光装置とレンズ部との間に透光性樹脂を充填して充填樹脂部を形成した状態を説明する説明図であり、(A)は側面状態を模式的に示す模式側面図、(B)は(A)の符号Bの領域を拡大して示す拡大断面図である。
枠体部40cは、レンズ部30をドットマトリックス状に配置したレンズアレイモジュール40m(レンズアレイ40L)とされ、レンズアレイモジュール40m(レンズアレイ40L)は、取り付け単位として配線基板20に取り付けられている。したがって、表示装置1は、枠体部40cの強度を確保し、レンズ部30の表面実装型発光装置10に対する位置精度を確保して信頼性と表示精度を向上させることができる。
つまり、表示装置1の表示面を複数(例えば、上述した4枚組)のレンズアレイモジュール40m(レンズアレイ40L)によって区分して配線基板20に取り付けることから、配線基板20に対する表面実装型発光装置10およびレンズ部30の位置ズレを抑制し、位置精度を確保して、表示精度を向上させることができる。
上述したとおり、表示装置1は、表面実装型発光装置10を駆動する駆動回路70を備え、駆動回路70は、配線基板20の表面実装型発光装置10が配置された表示面20dと反対側の裏面20cに実装されている。したがって、表示装置1は、表面実装型発光装置10を駆動する駆動回路70の実装(接続)を容易にし、信頼性を向上させることができる。なお、配線基板20の表示面20dに配置された表面実装型発光装置10と裏面20cに配置された駆動回路70とは、配線基板20に予め形成された貫通孔21を介して相互に接続される。
配線基板20の両面の配線パターンは、貫通孔21を介して接続されることから、表示面20dに配置された表面実装型発光装置10と、裏面20cに配置された駆動回路70とは、コンパクトに接続される。
レンズアレイモジュール40m(レンズアレイ40L)は、上述したとおり、配線基板20にネジ止めで固定され、あるいは、配線基板20に塗布された接着剤(例えばシリコーン樹脂)によって固定される。また、レンズアレイモジュール40mは、筐体50にネジ止めされる。
表面実装型発光装置10とレンズ部30(曲面部31)との間には、合成樹脂(透光性樹脂)が充填され充填樹脂部38が形成される。つまり、表示装置1は、表面実装型発光装置10と曲面部31(レンズ部30)との間に合成樹脂(透光性樹脂)が充填された充填樹脂部38を備える。したがって、表示装置1は、表面実装型発光装置10の耐環境性(信頼性)を向上させ、表面実装型発光装置10とレンズ部30との間の空気層を除去して光の透過性(表示装置1の正面での光強度、つまり、表示特性)を向上させることができる。なお、充填樹脂部38を形成するとき過剰に供給された合成樹脂は、樹脂止め溝41に流出して溝充填樹脂部38rを形成する。
合成樹脂は、透光性樹脂であることが望ましい。つまり、合成樹脂を透光性樹脂とするので、必要に応じた光度を容易に実現することができる。以下、合成樹脂あるいは透光性樹脂の一方のみの記載とすることがある。
充填樹脂部38は、図5で説明したとおり、注入機(ポッティング)により透光性樹脂(透光性シリコーン樹脂)を樹脂注入口34から注入して形成される。樹脂排出口35が樹脂注入口34に対向する位置に配置されているので、空気を抜きながら透光性樹脂を充填することができる。
約1秒の注入時間で樹脂注入口34から注入した透光性樹脂が樹脂排出口35から溢れた(排出された)ので、透光性樹脂の注入時間は約1秒とした。樹脂排出口35から排出された透光性樹脂は、樹脂溜め溝41および樹脂溜め穴42に吸収することが可能である。したがって、レンズ部30(曲面部31)に余分な透光性樹脂が付着することは無い。
充填樹脂部38を形成する透光性樹脂は、レンズ部30、表面実装型発光装置10、配線基板20、および枠体部40cとの密着性がよいことが求められる。具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが好適である。さらに密着性をあげるためには配線基板20の表面(表示面20d)、表面実装型発光装置10のパッケージ部12の表面、枠体部40cなどにプライマーを塗布し、その後、透光性樹脂を注入すると密着性が向上する。
枠体部40cに形成された貫通溝40hに対しても、充填樹脂部38を形成するときに使用された合成樹脂(透光性樹脂)が充填される。樹脂注入口34への合成樹脂の注入と同様にして注入される。したがって、貫通溝40hには、溝充填樹脂部38hが形成される。
注入した透光性樹脂は、例えば、常温で24時間放置して樹脂の硬化および気泡除去を行う。その後、硬化条件として80℃、45分の加熱処理を施して硬化させることによって充填樹脂部38が形成される。
上述したとおり、曲面部31の配線基板20に対向する内側面31r(図5参照)は、配線基板20に向けて凸状とされている。したがって、表示装置1は、表面実装型発光装置10と曲面部31との間に合成樹脂(透光性樹脂)を充填したとき、充填樹脂部38に気泡が残留することを防止することができる。
なお、駆動回路70を裏面20cに配置した場合を示したが、レイアウトを変更すれば、駆動回路70を表示面20dに配置することも可能である。その際、駆動回路70は、いずれか一方のみの配置とすることが望ましい。
つまり、本発明に係る表示装置1では、表面実装型発光装置10を駆動する駆動回路70を備え、駆動回路70は、配線基板20の表面実装型発光装置10が配置された表示面20dあるいは反対側の裏面20cのいずれか一面のみに実装されていることが望ましい。
したがって、本発明に係る表示装置1は、駆動回路70を配線基板20の表示面20dのみに配置する場合に、表面実装型発光装置10および駆動回路70を同時に配線基板20へ実装することが可能となり、生産性を向上させることができる。また、本発明に係る表示装置1は、駆動回路70を配線基板20の裏面20cのみに配置する場合に、配線基板20を表示装置1の外形に合わせて形成し、表面実装型発光装置10を表示装置1の外形に合わせて配置することができる。
図10は、本発明の実施の形態に係る表示装置の製造工程において、枠体被覆部を形成した状態を説明する説明図であり、(A)は側面状態を模式的に示す模式側面図、(B)は(A)の符号Bの領域を拡大して示す拡大断面図である。
充填樹脂部38を形成した後、枠体部40cを被覆する枠体被覆部47sを形成する。つまり、表示装置1は、枠体部40cを被覆する枠体被覆部47sを備える。したがって、表示装置1は、枠体被覆部47sが枠体部40cを被覆することから、レンズ部30と枠体部40cとの境界を被覆することが可能となるので、レンズ部30(曲面部31)相互間の区別を明瞭化して表示精度を向上させ、また、耐環境性(防水性)を向上させることができる。
枠体被覆部47sに適用される材料は、レンズ部30、枠体部40c、筐体50などとの密着性がよいことが求められる。また、駆動回路70を保護するため、柔軟性や耐候性が要求される。したがって、枠体被覆部47sの材料は、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂から選択された少なくとも一種などを適用することができる。また、コントラストを向上させるために枠体被覆部47sを形成する樹脂中に黒色(カーボンブラック)など暗色系の着色染料や着色顔料を含有させてもよい。
なお、本実施の形態では、枠体被覆部47sは、非導電性樹脂で形成する。つまり、表示装置1は、非導電性樹脂で形成され枠体部40cを被覆する枠体被覆部47sを備える。したがって、表示装置1は、枠外被覆部が枠体部40cを被覆することから、レンズ部30と枠体部40cとの境界を被覆することが可能となるので、レンズ部30(曲面部)相互間の区別を明瞭化して表示精度を向上させ、また、耐環境性を向上させることができる。さらに、熱伝導を向上させる目的で熱伝導部材を含有させてもよい。本実施の形態では、枠体被覆部47sは、黒色(カーボンブラック)含有シリコーン樹脂で形成されている。
また、本実施の形態では、枠体被覆部47sは、保持部32を被覆する。したがって、表示装置1は、枠体被覆部47sが枠体部40cと保持部32の両方を被覆することから、レンズ部30(曲面部31)相互間の区別をさらに明瞭化して表示精度をさらに向上させ、また、耐環境性をさらに向上させることができる。
枠体被覆部47sを形成する被覆樹脂は、保持部32および枠体部40cを被覆するようにレンズ部30(外周端面31t)相互間に供給される。外周端面31tの相互間に被覆樹脂を充填した後、例えば、常温で24時間放置して被覆樹脂を硬化する。その後、硬化条件として80℃、45分の加熱処理を施して硬化させることによって枠体被覆部47sが形成される。
枠体被覆部47sは、保持部32を被覆することから、樹脂注入口34、樹脂排出口35を塞ぐことが可能となる。したがって、例えば、充填樹脂部38に偶発的に形成されたピンホールなどへ水が浸入することを防止することができる。また、充填樹脂部38および枠体被覆部47sは、互いに重なるように形成されることから、偶発的に生じたピンホールを塞ぐことができるので、防水性が向上する。
上述したとおり、本実施の形態に係る表示装置1では、表面実装型発光装置10、駆動回路70、レンズアレイモジュール40m(レンズアレイ40L)が搭載された配線基板20は、筐体50に取り付けられる。
筐体50(外観ケース)は、枠体被覆部47sを形成する被覆樹脂(例えば、シリコーン樹脂)との密着性が優れているものが好ましい。筐体50の材料としては、成形の容易性などからポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が好適である。本実施の形態では、筐体50は、ポリカーボネート樹脂で形成されている。
筐体50は、配線基板20の表示面20dにマトリックス状に配列された表面実装型発光装置10、配線基板20の裏面20cに搭載された駆動回路70、および配線基板20などを外部から機械的に保護する部材であり、所望の大きさに形成することができる。
図11は、本発明の実施の形態に係る表示装置の製造工程において、ひさし部を取り付けた状態を説明する説明図であり、(A)は側面状態を模式的に示す模式側面図、(B)は(A)の符号Bの領域を拡大して示す拡大断面図である。
各表面実装型発光装置10(レンズ部30、枠体部40c)に対応させてひさし部60が配置される。ひさし部60は、枠体部40c(レンズアレイモジュール40m)および枠体被覆部47sの行方向に対応させて配置されている。つまり、ひさし部60は、図1で示したとおり、表示装置1が備える表面実装型発光装置10の16行に対応させて16個配置されている。ひさし部60を行方向で配置するのは、太陽光など垂直方向上部からの照射光(外来光)によって視認性が低下することを防止するためである。なお、ひさし部60は、遮光効率を向上させるために黒色系などで着色することが好ましく、黒色(カーボンブラック)ポリカーボネート樹脂を適用することができる。
ひさし部60の高さH1は10mmとし、垂直方向で最上段に配置されたひさし部60の高さH2は12.5mmとしている。ひさし部60の高さは、上下方向の視野角度として10度を確保し、太陽光の直射光が表面実装型発光装置10に直接照射されることをできるだけ抑制するようにして設計される。したがって、表示装置1は、視認性と遮光性の両方を有することが可能となる。
また、ひさし部60は、水抜きのために、筐体50(枠体被覆部47s)との間に高さ1mm、幅4mmの水抜き部61を設けている。ひさし部60は、筐体50にネジ(図示せず)で取り付けられる。具体的には、ひさし部60は、配線基板20の裏面20cの側から枠体部40cを介して筐体50にネジで固定される。
なお、ポリカーボネートは、透明性、耐衝撃性、耐熱性、難燃性等において、高い物性を示す樹脂材料である。また、物性の優位性に比較して安価であり、本実施の形態でも、上述したとおり、黒色(カーボンブラック)ポリカーボネート樹脂を枠体部40c、筐体50、ひさし部60など種々適用した。以下に、ポリカーボネートに対する変形例を説明する。
ポリカーボネートに紫外線反射剤を混合してもよい。この場合、太陽光が含む紫外線による部材(枠体部40c、筐体50、ひさし部60など)の劣化を防止することができ、表示装置1の信頼性を向上させることができる。
紫外線反射剤含有樹脂は、ポリカーボネート樹脂または透光性樹脂材料としてのシリコーン樹脂に紫外線反射剤を配合、分散して樹脂とすることで形成される。紫外線反射剤としては、酸化ケイ素の微粉末および酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物の微粉末を適用することができる。
ポリカーボネートに赤外線反射剤をさらに適用してもよい。赤外線反射部材として、水酸化チタンを4価のチタン塩水溶液中で加熱し、篩い(ふるい)に通すことによってTi02の粉末を形成する。Ti02粉末をシリコーン樹脂中に混合、撹拌させることによって赤外線反射部材含有樹脂となるスラリーを得た。表面実装型発光装置10の開口部を除いて筐体50、配線基板20、および、ひさし部60に赤外線反射部材を適用することができる。
また、ひさし部60は、シールドする電磁波の周波数に応じて、その周波数の電磁波を効果的に遮蔽しうる有色透明または無色透明な導電性ポリマーを適用することも可能であり、枠体部40cに加えてさらに電磁シールド特性を向上させることができる。
紫外線反射剤、赤外線反射剤を適用した表示装置1は、温度上昇が抑えられ、また、気泡等の混入物を含まず、優れた信頼性および光学特性を実現できることを確認した。
表示装置1は、配線基板20に形成する配線パターンを任意の配置とすることが可能であることから、表面実装型発光装置10の配置を任意に設定することが可能であり、多様な表示が可能な表示装置となる。
また、表面実装型発光装置10、レンズ部30、充填樹脂部38、枠体部40c(レンズアレイモジュール40m)、枠体被覆部47sを構成要素として採用することから、使用する樹脂量を大幅に削減し、軽量化することが可能であり、また、耐環境性を向上させて信頼性を向上させることができる。
図12は、本発明の実施の形態に係る表示装置の電磁波遮蔽性能を特性グラフである。
本実施の形態に係る表示装置1の電磁波遮蔽性能を試験した。結果は図12に示すとおりである。横軸は周波数(MHz)、縦軸はノイズレベル(dB)であり、基準レベル(0dB)以下に抑制されている。具体的には、80MHz以上では、マイナス10dB以下を確保し、70〜80MHzでは、マイナス10dB±5dBを確保し、70MHz以下では、マイナス15dB以下を確保している。
したがって、広い周波数範囲にわたってノイズレベルを低減することができ、基準レベル以内に抑制することができる。
なお、表面実装型発光装置10として、半導体発光素子(例えば、LED)を例示したが、これに限るものではなく、配線基板に実装された表面実装型発光装置であって高周波でスイッチング制御され、駆動回路からの電磁波の放射が生じる表面実装型発光装置であれば本発明の作用効果を実現することが可能である。