JP5466461B2 - 積層体 - Google Patents

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本発明は、樹脂基材の表面に、耐擦傷性に優れた表面層が形成されている積層体に関する。
ポリ(メタ)アクリレート樹脂又はポリカーボネート樹脂は、成形加工性に優れている。また、ポリ(メタ)アクリレート樹脂又はポリカーボネート樹脂により形成された樹脂成形品は、ガラスと比較して軽い。このため、上記樹脂成形品は、眼鏡、コンタクトレンズ又は光学装置用レンズ等に広く用いられている。特にポリカーボネート樹脂により形成された樹脂成形品は耐衝撃性に優れており、大型の樹脂成形品に好適に用いられている。例えば、ポリカーボネート樹脂により形成された樹脂成形品は、自動車のヘッドランプレンズ、又は電車もしくは新幹線などの窓材料として実用化されている。
しかしながら、上記樹脂成形品は、ガラスに比べると表面の硬度が低い。このため、運搬時、部品の取り付け時もしくは使用中に上記樹脂成形品に傷が付きやすい。また、上記樹脂成形品の耐久性は低い。
従来、硬度を高めるために、上記樹脂成形品の表面に、硬度が高い表面層が形成されている。
例えば、下記の特許文献1には、多官能性アクリレート単量体と、コロイド状シリカと、アクリルオキシ官能性シランと、光重合開始剤とを含有する組成物により形成された表面層を有する樹脂成型品が開示されている。特許文献1の実施例では、上記アクリルオキシ官能性シランとして、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランが用いられている。
下記の特許文献2には、紫外線硬化樹脂と、シロキサン化合物からなる表面改質剤とを含有する組成物により形成された表面層を有する樹脂成型品が開示されている。上記紫外線硬化樹脂の具体例として、アクリロイル基を分子中に2個以上有するアクリルオリゴマー、及びコロイダルシリカが結合されたアクリルモノマー又はオリゴマーが挙げられている。上記シロキサン化合物の具体例として、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエーテル変性メチルアルキルポリシロキサン共重合体、及びポリエステル変性ジメチルポリシロキサンが挙げられている。
下記の特許文献3には、熱可塑性アクリルポリマーを用いてプライマー層を形成した後、該プライマー層の表面に、コロイド状シリカが充填されたオルガノポリシロキサンを用いてトップコート層を形成した2層の表面層を有する樹脂成型品が開示されている。
下記の特許文献4には、光硬化性のポリシロキサン組成物に光を照射することによりプライマー層を形成した後、該プライマー層の表面に、シリコン熱重合硬化組成物を加熱することによりトップコート層を形成した2層の表面層を有する樹脂成型品が開示されている。
特開昭57−131214号公報 特開2003−338089号公報 特公平04−002614号公報 特開平07−118425号公報
上記特許文献1〜4では、表面層の硬度が充分に高くならないことがある。
さらに、上記特許文献3では、プライマー層とトップコート層との密着力が低いことがある。上記特許文献4では、プライマー層とトップコート層との界面を均一にできず、表面層の外観がよくないことがある。
本発明の目的は、耐擦傷性に優れた表面層を有する積層体を提供することである。
本発明によれば、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一部の領域に積層された第1の層と、上記第1の層の上記樹脂基材が積層された一方の面とは反対側の他方の面に積層された第2の層とを備え、上記第1の層が、下記式(1)で表されるシラン化合物を含む無機ポリマー構成成分を加水分解縮合させて得られた無機ポリマーと、水溶性多官能(メタ)アクリレートと、活性エネルギー線重合開始剤とを含む第1の組成物を硬化させることにより形成されており、上記第2の層が、熱硬化性オルガノシロキサンを含む第2の組成物を硬化させることにより形成されている、積層体が提供される。
Si(R1)(OR2)4−p ・・・式(1)
上記式(1)中、R1は重合性二重結合を有する炭素数1〜30の有機基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、pは1又は2を表す。pが2であるとき、複数のR1は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、上記第1の組成物に含まれている上記水溶性多官能(メタ)アクリレートは、下記式(2)で表されるオキシアルキレン変性グリセリン(メタ)アクリレート、又は下記式(3)で表されるアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートである。
Figure 0005466461
上記式(2)中、R5はエチレン基又はプロピレン基を表し、R6は水素又はメチル基を表し、R7は水素又はメチル基を表し、x、y及びzの合計は6〜30の整数を表す。複数のR5、R6及びR7はそれぞれ、同一であってもよく、異なっていてもよい。
Figure 0005466461
上記式(3)中、R8は水素又はメチル基を表し、R9はエチレン基又はプロピレン基を表し、pは1〜25の整数を表す。
本発明に係る積層体の他の特定の局面では、上記第2の組成物に含まれている上記熱硬化性オルガノシロキサンは、下記式(4)で表されるシラン化合物を含む成分の加水分解縮合物である。
Si(R11)(OR12)4−m ・・・式(4)
上記式(4)中、R11はフェニル基、炭素数1〜30のアルキル基又はエポキシ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表し、R12は炭素数1〜6のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表す。mが2であるとき、複数のR11は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数のR12は同一であってもよく、異なっていてもよい。
本発明に係る積層体のさらに他の特定の局面では、上記樹脂基材は、ポリカーボネート樹脂基材である。
本発明では、樹脂基材の表面に、表面層として第1,第2の層が形成されており、更に、上記第1の層が、式(1)で表されるシラン化合物を含む無機ポリマー構成成分を加水分解縮合させて得られた無機ポリマーと、水溶性多官能(メタ)アクリレートと、活性エネルギー線重合開始剤とを含む第1の組成物を硬化させることにより形成されており、かつ上記第2の層が、熱硬化性オルガノシロキサンを含む第2の組成物を硬化させることにより形成されているため、表面層の耐擦傷性を高めることができる。
図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る積層体を示す斜視図及び正面断面図である。 図2(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る積層体を得る各工程を説明するための正面断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)及び(b)に、本発明の一実施形態に係る積層体を斜視図及び正面断面図で示す。
図1(a)及び(b)に示すように、積層体1は、樹脂基材2と、該樹脂基材2の表面2aに積層された第1の層3と、第1の層3の樹脂基材2が積層された一方の面3aとは反対側の他方の面3bに積層された第2の層4とを有する。積層体1は、表面層として、第1,第2の層3,4を有する。
第1の層3は、樹脂基材2の一方の主面の全領域に積層されている。ただし、第1の層3は、樹脂基材2の少なくとも一部の領域に積層されていてもよく、樹脂基材2の表面の全領域に必ずしも積層されていなくてもよい。 例えば、樹脂基材2の表面2aの耐擦傷性が求められる領域のみに、表面層として第1,第2の層3,4が積層されていてもよい。さらに、樹脂基材2の両側の主面に、表面層として第1,第2の層3,4が積層されていてもよい。
樹脂基材2は、樹脂を用いて形成されている。樹脂基材2を形成する樹脂は特に限定されない。樹脂基材2を形成する樹脂としては、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABSなどのスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂及び酢酸セルロース等が挙げられる。なかでも、ポリ(メタ)アクリレート樹脂又はポリカーボネート樹脂が好ましく、ポリカーボネート樹脂がより好ましい。ポリ(メタ)アクリレート樹脂又はポリカーボネート樹脂は、成形加工性に優れている。また、ポリ(メタ)アクリレート樹脂又はポリカーボネート樹脂により形成された樹脂基材は、ガラスと比較して軽い。ポリカーボネート樹脂により形成された樹脂基材は耐衝撃性に優れている。従って、樹脂基材2は、ポリ(メタ)アクリレート樹脂基材又はポリカーボネート樹脂基材であることが好ましく、ポリカーボネート樹脂基材であることがより好ましい。
樹脂基材2の形状は特に限定されず、板状又はフィルム状などを選択できる。
第1の層3は樹脂基材2と第2の層4の密着性を高める目的で設けられているため、密着性を高めるために第1の層3の厚みは適宜設定できる。第1の層3の厚みの好ましい下限は1μm、好ましい上限は20μmである。耐擦傷性を充分に高める観点からは、第2の層4の厚みの好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は20μmである。
積層体1は、例えば下記のようにして得ることができる。
図2(a)に示すように、樹脂基材2の表面2aに、第1の組成物を塗布し、第1の組成物層11を形成する。
その後、図2(b)に示すように、第1の組成物層11に活性エネルギー線を照射することにより、第1の組成物層11を硬化させる。活性エネルギー線の照射により、光硬化した第1の組成物層11Aを形成する。
第1の組成物層11に活性エネルギー線を照射すると、例えば、活性エネルギー線重合開始剤が分解してラジカルを生じ、上記水溶性多官能(メタ)アクリレートと、上記式(1)で表されるシラン化合物に由来する無機ポリマーの重合性二重結合とが第1の重合反応を起こし、架橋が進行する。
第1の組成物層11を硬化させる際に照射する活性エネルギー線には、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、X線、赤外線及び可視光線が含まれる。これらの活性エネルギー線のなかでも、硬化性に優れ、かつ硬化物が劣化し難いため、紫外線又は電子線が好ましい。
第1の組成物層11を紫外線の照射により硬化させるために、種々の紫外線照射装置を用いることができる。光源として、キセノンランプ、高圧水銀灯又はメタルハライドランプ等を使用できる。紫外線の照射エネルギーは、10〜10,000mJ/cmの範囲内にあることが好ましく、100〜5,000mJ/cmの範囲内にあることがより好ましい。紫外線の照射エネルギーが低すぎると、第1の組成物層11が硬化しにくく、第1の層3及び第1の層3を含む表面層の耐擦傷性が低かったり、密着性が悪くなる傾向がある。紫外線の照射エネルギーが高すぎると、第1の層3及び第1の層3を含む表面層が劣化したり、第1の層3及び第1の層3を含む表面層の透明性が低下したりすることがある。
第1の組成物層11を電子線の照射により硬化させるために、種々の電子線照射装置を用いることができる。電子線の照射エネルギーは、0.5〜20Mradの範囲内にあることが好ましく、1.0〜10Mradの範囲内にあることがより好ましい。電子線の照射エネルギーが低すぎると、第1の組成物層11が硬化しにくく、第1の層3及び第1の層3を含む表面層の耐擦傷性が低くなる傾向がある。電子線の照射エネルギーが高すぎると、第1の層3及び第1の層3を含む表面層が劣化したり、第1の層3及び第1の層3を含む表面層の透明性が低下したりすることがある。
次に、図2(c)に示すように、光硬化した第1の組成物層11Aの樹脂基材2が積層された一方の面11aとは反対側の他方の面11bに、第2の組成物を塗布し、第2の組成物層12を形成する。
第2の組成物層12を形成する際の光硬化した第1の組成物層11Aの硬化の状態は、光硬化した第1の組成物層11Aと第2の組成物層12との層間が乱れない程度に硬化していればよい。光硬化した第1の組成物層11Aの架橋が十分に進行していると、得られる積層体の表面層の耐擦傷性が高くなる。
次に、光硬化した第1の組成物層11Aと第2の組成物層12とを焼成することにより、光硬化した第1の組成物層11Aと第2の組成物層12とを硬化させる。焼成により、光硬化した第1の組成物層11Aに含まれている光架橋した無機ポリマーがさらに縮合し、第2の重合反応が進行する。これにより、光硬化した第1の組成物層11Aがさらに硬化して、硬度が高い第1の層3が形成される。また、焼成により、第2の組成物層12に含まれている熱硬化性オルガノシロキサンが縮合し、第2の組成物層12が硬化し、第2の層4が形成される。
さらに、焼成の際に、光硬化した第1の組成物層11Aに含まれている光架橋した無機ポリマーは、第2の組成物層12に含まれている熱硬化性オルガノシロキサンとも縮合する。このため、第1の層3と第2の層4との密着性を高めることができ、従って表面層としての第1,第2の層3,4の耐擦傷性を高めることがでる。
光硬化した第1の組成物層11Aと第2の組成物層12とを焼成する際の焼成温度は、特に限定されない。上記焼成温度は、110〜130℃の範囲内であることが好ましい。反応時間は焼成温度により適宜変更することができ特に限定されない。上記反応時間は、30分〜4時間の範囲内であることが好ましい。
以下、第1の層3を形成するための第1の組成物、並びに第2の層4を形成するための第2の組成物の詳細を説明する。
(第1の組成物)
第1の層3を形成するための第1の組成物は、無機ポリマー構成成分を加水分解縮合させて得られた無機ポリマーと、水溶性多官能(メタ)アクリレートと、活性エネルギー線重合開始剤とを含む。第1の組成物は、活性エネルギー線硬化型組成物である。
上記「無機ポリマー構成成分」とは、無機ポリマーを得る際に用いられる成分であって、得られた無機ポリマーの骨格の一部を構成する成分を意味する。
上記無機ポリマーは、下記式(1)で表されるシラン化合物を含む無機ポリマー構成成分を加水分解縮合させて得られた無機ポリマーである。
Si(R1)(OR2)4−p ・・・式(1)
上記式(1)中、R1は重合性二重結合を有する炭素数1〜30の有機基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、pは1又は2を表す。pが2であるとき、複数のR1は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記式(1)中のR1の重合性二重結合としては、炭素−炭素二重結合が挙げられる。
上記式(1)中のR1の具体例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、又は3−(メタ)アクリロキシアルキル基等が挙げられる。上記「(メタ)アクリロキシ」とは、メタクリロキシ又はアクリロキシを意味する。
上記(メタ)アクリロキシアルキル基としては、(メタ)アクリロキシメチル基、(メタ)アクリロキシエチル基又は(メタ)アクリロキシプロピル基等が挙げられる。なかでも、R1は(メタ)アクリロキシアルキル基であることが好ましい。R1の炭素数の好ましい下限は2、好ましい上限は30、より好ましい上限は10である。
上記式(1)中のR2の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基又はイソブチル基等が挙げられる。
上記式(1)で表されるシラン化合物の具体例としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、又は3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。上記式(1)で表されるシラン化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記無機ポリマー構成成分は、上記式(1)で表される化合物以外の他の化合物を含有してもよい。上記他の化合物は、第1の層3及び第1の層3を含む表面層の透明性及び耐擦傷性を低下させない範囲で、上記式(1)で表される化合物と共重合、又はグラフト重合していてもよい。
上記式(1)で表される化合物を含む無機ポリマー構成成分に、溶媒又は水と触媒等とを加えて、ゾル−ゲル法により無機ポリマー構成成分を加水分解縮合させた反応溶液から、溶媒、水及び縮合により生じたアルコール類等を除去することにより、無機ポリマーを得ることができる。
上記溶媒は、上記式(1)で表される化合物を溶解する溶媒であれば、特に制限されない。上記溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールなどのアルコール溶剤、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン及びジエチルエーテルなどのエーテル溶剤、ベンゼン、トルエン及びn−ヘキサンなどの炭化水素溶剤、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノンなどのケトン溶剤、並びに酢酸エチル及び酢酸ブチルなどのエステル溶剤等が挙げられる。上記溶媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、溶媒の揮発が容易であるため、低沸点溶剤が好ましい。上記低沸点溶剤として、メタノール、エタノール、n−プロパノールもしくはイソプロパノール等のアルコール溶剤を用いることが好ましい。
加水分解反応に用いる水は、上記式(1)で表される化合物のアルコキシ基を水酸基に変換するために添加される。上記加水分解反応に用いる水は、上記アルコキシ基のモル数に対して、0.1〜10倍当量となるように添加されることが好ましい。上記加水分解反応に用いる水の添加量が少なすぎると、加水分解反応及び縮合反応が十分に進まず、無機ポリマーが得られないことがある。上記加水分解反応に用いる水の添加量が多すぎると、無機ポリマーがゲル化することがあるため、反応時間及び反応温度を最適に調整する必要がある。
上記触媒の具体例としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸及びスルファミン酸等の無機酸、並びにギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホン酸及びアクリル酸等の有機酸が挙げられる。なかでも、加水分解反応及び縮合反応を制御しやすいことから、上記触媒は、塩酸、酢酸又はアクリル酸であることがより好ましい 。
上記第1の組成物に含まれている水溶性多官能(メタ)アクリレートは、水溶性を有し、かつ2以上の(メタ)アクリロイル基を有していれば特に限定されない。水溶性多官能(メタ)アクリレートは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記(メタ)アクリロイルは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。上記(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
上記水溶性多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、又はペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、上記水溶性多官能(メタ)アクリレートとしては、下記式(2)で表されるオキシアルキレン変性グリセリン(メタ)アクリレート、又は下記式(3)で表されるアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記水溶性多官能(メタ)アクリレートは、下記式(2)で表されるオキシアルキレン変性グリセリン(メタ)アクリレート、又は下記式(3)で表されるアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートであることが好ましい。これらの好ましい水溶性多官能(メタ)アクリレートの使用により、第1の層3及び第1の層3を含む表面層の耐擦傷性をより一層高めることができる。
Figure 0005466461
上記式(2)中、R5はエチレン基又はプロピレン基を表し、R6は水素又はメチル基を表し、R7は水素又はメチル基を表し、x、y及びzの合計は6〜30の整数を表す。複数のR5、R6及びR7はそれぞれ、同一であってもよく、異なっていてもよい。
Figure 0005466461
上記式(3)中、R8は水素又はメチル基を表し、R9はエチレン基又はプロピレン基を表し、pは1〜25の整数を表す。
上記水溶性多官能(メタ)アクリレートは、アルキレングリコール単位を3以上有することが好ましく、6以上有することがより好ましく、さらに9以上有することがより好ましい。上記アルキレングリコール単位が多いほど、第1の層3及び第1の層3を含む表面層の耐擦傷性がより一層高くなる。
第1の組成物中の上記無機ポリマーと上記水溶性多官能(メタ)アクリレートとの重量比は特に限定されない。ただし、水溶性多官能(メタ)アクリレートの含有量が多すぎると、第1の層3と第2の層4との密着性が低下し、耐擦傷性が低くなる傾向がある。従って、第1の組成物中、上記無機ポリマーと上記水溶性多官能(メタ)アクリレートとの重量比(無機ポリマー:水溶性多官能(メタ)アクリレート)は、5:95〜90:10であることがこが好ましく、10:90〜60:40であることがより好ましい。
上記水溶性多官能(メタ)アクリレートは、上記無機ポリマー構成成分をゾルーゲル法により加水分解及び縮合反応により重合し、溶媒及び水等を除去した後に添加されてもよく、上記無機ポリマー構成成分を重合した直後に添加されてもよい。
上記第1の組成物に含まれる活性エネルギー線重合開始剤は特に限定されない。活性エネルギー線重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により、ラジカルを発生させる光重合開始剤であることが好ましい。上記光重合開始剤として、一般に市販されている光重合開始剤を用いることができる。
上記光重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物又はホスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。上記光重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ベンゾイン化合物としては、ベンゾイン、ベンゾイメチルエーテル、ベンゾイエチルエーテル、ベンゾイプロピルエーテル又はベンゾイイソブチルエーテル等が挙げられる。
上記アセトフェノン化合物としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、又は2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
上記アントラキノン化合物としては、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン又は2−アミルアントラキノン等が挙げられる。
上記チオキサントン化合物としては、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン又は2−クロロチオキサントン等が挙げられる。
上記ケタール化合物としては、アセトフェノンジメチルケタール又はベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記ベンゾフェノン化合物としては、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド又は4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
上記ホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、又はビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
光の照射後の黄変を抑制する観点からは、上記光重合開始剤は、アセトフェノン化合物又はホスフィンオキサイド化合物であることが好ましい。光の照射後の黄変をより一層抑制する観点からは、上記光重合開始剤は、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド又はビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイドであることが好ましく、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン又は1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンであることがより好ましい。
上記活性エネルギー線重合開始剤の含有量は、上記第1の組成物中に含まれる成分の重合性二重結合の種類及びモル数、紫外線などの活性エネルギー線の照射エネルギーによって適宜調整できる。上記無機ポリマー、上記水溶性多官能(メタ)アクリレート及び上記活性エネルギー線重合開始剤の合計100重量%中、上記活性エネルギー線重合開始剤の含有量は0.5〜20重量%の範囲内であることが好ましい。上記活性エネルギー線重合開始剤の含有量の好ましい下限は2重量%、好ましい上限は15重量%である。上記活性エネルギー線重合開始剤の含有量が少なすぎると、重合反応が十分に進行しないために、第1の層3及び第1の層3を含む表面層の耐擦傷性が低くなる傾向がある。上記活性エネルギー線重合開始剤の含有量が多すぎると、紫外線などの活性エネルギー線の照射時、又は積層体1の使用時の紫外線等により、第1の層3及び第1の層3を含む表面層が割れてクラックが生じたり、分解物が表面にブリードアウトしたりして、外観不良が生じることがある。
上記第1の組成物は、上記無機ポリマーと、上記水溶性多官能(メタ)アクリレートと、上記活性エネルギー線重合開始剤と、必要に応じて配合される他の成分とを混合することにより得られる。
(第2の組成物)
第2の層4を形成するための上記第2の組成物は、熱硬化性オルガノシロキサンを含む。
上記第2の組成物を充分に熱硬化させる観点からは、上記第2の組成物100重量%中、上記熱硬化性オルガノシロキサンの含有量は、40〜100重量%の範囲内であることが好ましい。上記熱硬化性オルガノシロキサンの含有量のより好ましい下限は50重量%で ある。上記第2の組成物100重量%中、上記熱硬化性オルガノシロキサンの含有量は100重量%であることが特に好ましい。
上記熱硬化性オルガノシロキサンは、下記式(4)で表されるシラン化合物を含む成分の加水分解縮合物であることが好ましい。該加水分解縮合物の使用により、第1の層3と第2の層4との密着性をより一層高めることができ、第2の層4及び第2の層4を含む表面層の耐擦傷性をより一層高めることができる。
Si(R11)(OR12)4−m ・・・式(4)
上記式(4)中、R11はフェニル基、炭素数1〜30のアルキル基又はエポキシ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表し、R12は炭素数1〜6のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表す。mが2であるとき、複数のR11は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数のR12は同一であってもよく、異なっていてもよい。
なお、本明細書にいて、「エポキシ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基」における炭化水素基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エポキシ基に由来する酸素原子を含む基である。
(第1,第2の組成物に添加され得る他の成分)
上記第1,第2の組成物は、樹脂基材に均一に塗布するために、溶剤により希釈して使用できる。
上記溶剤としては、有機溶剤が挙げられる。上記溶剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記有機溶剤の具体例としては、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール及び1−メトキシ−2−エタノールなどのアルコール溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル及び酢酸ブチルなどのエステル溶剤、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンなどのケトン溶剤、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素溶剤、並びに石油エーテル及び石油ナフサなどの石油溶剤等が挙げられる。
上記第1,第2の組成物は、必要に応じて、レベリング剤、チキソ性付与剤、分散剤、難燃剤、着色剤、紫外線吸収剤又は酸化防止剤等を含有してもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
以下の第1の組成物1〜8と、第2の組成物A,Bとを用意した。
(第1の組成物1)
エタノール95.2gと、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)99.4g(0.4モル)と、メチルトリメトキシシラン(MeTS)109.0g(0.8モル)とをフラスコに添加し、混合することにより、混合液を得た。得られた混合液を0℃に冷却しながら、水30.4gにより12Nの濃塩酸8.75gを希釈した希塩酸を混合液に滴下し、10分攪拌し、室温で10分さらに攪拌し、混合溶液を得た。得られた混合溶液を、80℃に加熱し、エバポレーターにより濃縮することにより、粘稠かつ透明な無機ポリマー含有溶液125.0gを得た。
得られた無機ポリマー含有溶液に、上記式(2)で表される水溶性多官能(メタ)アクリレートに相当するエトキシ化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−GLY−9E、x+y+z=9)500.0g、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、Irgacure651)31.3g、及びイソプロピルアルコール625.0gを添加し、第1の組成物1を得た。
(第1の組成物2)
上記3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)の添加量を99.4g(0.4モル)から49.7g(0.2モル)に変更したこと、並びに上記メチルトリメトキシシラン(MeTS)の添加量を109.0g(0.8モル)から136.2g(1.0モル)に変更したこと以外は第1の組成物1の無機ポリマー含有溶液と同様にして、粘稠かつ透明な無機ポリマー含有溶液111.5gを得た。
得られた無機ポリマー含有溶液に、水溶性多官能(メタ)アクリレートとしてのエトキシ化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−GLY−9E)446.0g、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、Irgacure651)27.9g、及びイソプロピルアルコール557.5gを添加し、第1の組成物2を得た。
(第1の組成物3)
上記3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)の添加量を99.4g(0.4モル)から298.1g(1.2モル)に変更したこと、並びに上記メチルトリメトキシシラン(MeTS)を添加しなかったこと以外は第1の組成物1の無機ポリマー含有溶液と同様にして、粘稠かつ透明な無機ポリマー含有溶液208.7gを得た。
得られた無機ポリマー含有溶液に、水溶性多官能(メタ)アクリレートとしてのエトキシ化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−GLY−9E)834.8g、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、Irgacure651)52.2g、及びイソプロピルアルコール1043.5gを添加し、第1の組成物3を得た。
(第1の組成物4)
エタノール95.2gと、テトラエトキシシラン(TEOS)20.8g(0.1モル)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)74.5g(0.3モル)と、メチルトリメトキシシラン(MeTS)109.0g(0.8モル)とをフラスコに添加し、混合することにより、混合液を得た。得られた混合液を0℃に冷却しながら、水30.4gにより12Nの濃塩酸8.75gを希釈した希塩酸を混合液に滴下し、10分攪拌し、室温で10分さらに攪拌し、混合溶液を得た。得られた混合溶液を、80℃に加熱し、エバポレーターにより濃縮することにより、粘稠かつ透明な無機ポリマー含有溶液122.6gを得た。
得られた無機ポリマー含有溶液に、水溶性多官能(メタ)アクリレートとしてのエトキシ化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−GLY−9E)490.4g、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、Irgacure651)30.7g、及びイソプロピルアルコール613.0gを添加し、第1の組成物4を得た。
(第1の組成物5)
上記エトキシ化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−GLY−9E)の添加量を250.0gに、上記光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、Irgacure651)の添加量を18.8gに、並びにイソプロピルアルコールの添加量を375.0gにそれぞれ変更したこと以外は第1の組成物1と同様にして、第1の組成物5を作製した。
(第1の組成物6)
上記エトキシ化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−GLY−9E)の添加量を125.0gに、上記光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、Irgacure651)の添加量を12.5gに、並びにイソプロピルアルコールの添加量を250.0gにそれぞれ変更したこと以外は第1の組成物1と同様にして、第1の組成物6を作製した。
(第1の組成物7)
上記エトキシ化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−GLY−9E)を、非水溶性多官能(メタ)アクリレートとしてのトリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−TMPT)500.0gに変更したこと以外は第1の組成物1と同様にして、第1の組成物7を作製した。
(第1の組成物8)
上記エトキシ化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−GLY−9E)を添加しなかったこと、並びに上記光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、Irgacure651)の添加量を6.3gに、及びイソプロピルアルコールの添加量を125.0gにそれぞれ変更したこと以外は第1の組成物1と同様にして、第1の組成物8を作製した。
(第2の組成物A)
0℃に冷却しながらテトラエトキシシラン(TEOS)208g(1モル)と0.01Nの塩酸81gと、イソプロピルアルコール11gとをフラスコに添加し、混合した後、25℃で3時間撹拌し、テトラエトキシシランの加水分解縮合溶液300gを得た。
メチルトリメトキシシラン(MeTS)136.2g(1モル)に、水72gと酢酸20gとを添加し、25℃で1時間撹拌し、メチルトリメトキシシランの加水分解縮合溶液を作製した。
得られたメチルトリメトキシシランの加水分解縮合溶液に、得られたテトラエトキシシランの加水分解縮合溶液を加え、25℃にて更に1時間撹拌し、溶液を得た。得られた溶液にイソプロピルアルコール272gを添加して、第2の組成物A800gを得た。
(第2の組成物B)
メチルトリメトキシシラン(MeTS)をフェニルトリメトキシシラン(PhTS)198.3g(1モル)に変更したこと以外は第2の組成物Aと同様にして、第2の組成物B800gを得た。
得られた第1の組成物1〜8及び第2の組成物A,Bの詳細を下記の表1に示す。なお、下記の表1では、第2の組成物A,Bにおける希釈溶媒の配合量の記載は省略した。
Figure 0005466461
(実施例1〜7及び比較例1,3)
市販の無色透明なポリカーボネート板(縦10cm×横10cm×厚み4mm)を用意した。このポリカーボネート板上に、スピンコーターを用いて、下記表2に示す第1の組成物を均一に塗布し、第1の組成物層を形成した。第1の組成物層を室温(25℃)で10分間乾燥した。その後、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて照射エネルギーが1500mJ/cmとなるように紫外線を、第1の組成物層に照射した。
次に、光硬化した第1の組成物層上に、スピンコーターを用いて、下記表2に示す第2の組成物を均一に塗布し、第2の組成物層を形成した。第2の組成物層を室温(25℃)で10分間乾燥した。その後、125℃のオーブン内で2時間、第2の組成物層を加熱した。このようにして、ポリカーボネート板の上面に、表面層としての第1の層及び第2の層を形成し、積層体を得た。
(比較例2)
市販の無色透明なポリカーボネート板(縦10cm×横10cm×厚み4mm)を用意した。このポリカーボネート板上に、スピンコーターを用いて、下記の表2に示す第2の組成物を均一に塗布し、第2の組成物層を形成した。第2の組成物層を室温(25℃)で10分間乾燥した。その後、125℃のオーブン内で2時間、第2の組成物層を加熱した。このようにして、ポリカーボネート板の上面に、表面層としての第2の層を形成し、積層体を得た。
(1)第1の層及び第2の層の厚み
ウルトラミクロトームを用いて積層体の薄片を作製した。透過型電子顕微鏡にて、得られた薄片の断面を観察をすることにより、第1の層及び第2の層の厚みを評価した。
(2)外観
焼成後の表面層の状態を目視にて確認し、下記の評価基準で評価した。
[外観の評価基準]
○:表面層が無色で均一
△:表面層にむらがあり、透視像がゆがむか、塗膜が白濁する。
×:表面層にクラックが生じている
(3)透明性の評価
JIS K7136に準拠して、ヘイズメーター(東京電色社製「TC−HIIIDPK」)により、表面層が形成されたポリカーボネート板のヘイズ値を測定した。なお、ヘイズ値が小さいほど、透明性が高いことを示す。
なお、上記表面層が形成されていない上記ポリカーボネート板のヘイズ値を測定したところ、ヘイズ値は0.2%であった。
(4)耐擦傷性の評価
JIS R3212に準拠して、70回/分の速度で回転する水平な回転テーブルと、65±3mmの間隔で固定された円滑に回転する1対の摩耗輪とにより構成された東洋精機社製のテーバー摩耗試験機「ロータリーアブレーションテスタTS」を用いて、耐擦傷性を評価した。なお、摩耗輪はCS−10F(タイプIV)、荷重500gにおける、500サイクル試験後のヘイズと初期ヘイズとのヘイズ差(Δヘイズ%)を測定した。
なお、上記表面層が形成されていない上記ポリカーボネート板の上記ヘイズ差(Δヘイズ%)を測定したところ、ヘイズ差は48%であった。比較例2の積層体の表面層はクラックが生じたため、耐擦傷性を評価しなかった。
(5)密着性
JIS K5400に準拠して、ポリカーボネート板の表面に形成された表面層に、カミソリ刃を用いて1mm間隔で縦11本及び横11本の切り目を入れて、区切られた合計100個の基盤目を形成した。基盤目が形成された表面層に、市販のセロハンテープを密着させた後、セロハンテープを表面層から90度方向に急激に剥がした。合計100個の基盤目のうちの、表面層がポリカーボネート板から剥離せずに残存している基盤目の数を数えた。
結果を下記の表2に示す。
Figure 0005466461
1…積層体
2…樹脂基材
2a…表面
3…第1の層
3a…一方の面
3b…他方の面
4…第2の層
11…第1の組成物層
11A…光硬化した第1の組成物層
11a…一方の面
11b…他方の面
12…第2の組成物層

Claims (3)

  1. 樹脂基材と、
    前記樹脂基材の少なくとも一部の領域に積層された第1の層と、
    前記第1の層の前記基材が積層された一方の面とは反対側の他方の面に積層された第2の層とを備え、
    前記第1の層が、下記式(1)で表されるシラン化合物を含む無機ポリマー構成成分を加水分解縮合させて得られた無機ポリマーと、水溶性多官能(メタ)アクリレートと、活性エネルギー線重合開始剤とを含む第1の組成物を硬化させることにより形成されており、
    前記第2の層が、熱硬化性オルガノシロキサンを含む第2の組成物を硬化させることにより形成されており、
    前記第1の組成物に含まれている前記水溶性多官能(メタ)アクリレートが、下記式(2)で表されるオキシアルキレン変性グリセリン(メタ)アクリレートである、積層体。
    Si(R1)(OR2)4−p・・・式(1)
    上記式(1)中、R1は重合性二重結合を有する炭素数1〜30の有機基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、pは1又は2を表す。pが2であるとき、複数のR1は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
    Figure 0005466461
    上記式(2)中、R5はエチレン基又はプロピレン基を表し、R6は水素又はメチル基を表し、R7は水素又はメチル基を表し、x、y及びzの合計は6〜30の整数を表す。複数のR5、R6及びR7はそれぞれ、同一であってもよく、異なっていてもよい。
  2. 前記第2の組成物に含まれている前記熱硬化性オルガノシロキサンが、下記式(4)で表されるシラン化合物を含む成分の加水分解縮合物である、請求項1に記載の積層体。
    Si(R11)(OR12)4−m・・・式(4)
    上記式(4)中、R11はフェニル基、炭素数1〜30のアルキル基又はエポキシ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表し、R12は炭素数1〜6のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表す。mが2であるとき、複数のR11は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数のR12は同一であってもよく、異なっていてもよい。
  3. 前記樹脂基材が、ポリカーボネート樹脂基材である、請求項1又は2に記載の積層体。
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