JP5466431B2 - 熱伝導性成形体の製造方法、及び熱伝導性シート - Google Patents
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Description
[1]
(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる下記(a)〜(d)を満たす水添共重合体と、
(B)熱伝導性充填材と、を含み、
JIS K7105に準拠する表面光沢度(60度鏡面光沢度)が、15%以上である熱伝導性成形体。
(a)ビニル芳香族化合物の含有量が50質量%を越え、90質量%以下、
(b)ビニル芳香族化合物重合体ブロックの量が40質量%以下、
(c)重量平均分子量が5万〜100万、
(d)共役ジエン化合物に基づく二重結合の10%以上が水添されている。
[2]
成形体中における、前記(B)成分の含有量が40〜95体積%である、[1]の熱伝導性成形体。
[3]
さらに、(C)ゴム用軟化剤を含む、[1]または[2]の熱伝導性成形体。
[4]
前記(A)成分と前記(C)成分の合計量に対する、前記(C)成分の含有量が、50質量%以下である、[3]の熱伝導性成形体。
[5]
前記(A)成分中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が10質量%未満である、[1]〜[4]のいずれかの熱伝導性成形体。
[6]
前記(A)成分中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの量が10〜40質量%である、[1]〜[4]のいずれかの熱伝導性成形体。
[7]
前記(B)成分が、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物および金属炭化物からなる群から選ばれるいずれか1つを含む、[1]〜[6]のいずれかの熱伝導性成形体。
[8]
[1]〜[7]のいずれかの熱伝導性成形体をシート状に成形してなる熱伝導性シート。
[9]
(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる下記(a)〜(d)を満たす水添共重合体と、(B)熱伝導性充填材とを含む樹脂組成物を加熱溶融して成形体とする工程、及び
前記成形体を、成形体温度50℃以上で、JIS K7105に準拠する表面光沢度が15%以上である転写材の表面へ押圧した後、成形体温度50℃未満で、前記転写材の表面から前記成形体を引き離すことにより、JIS K7105に準拠する表面光沢度が15%以上である表面を有する成形体を得る工程、を含む熱伝導性成形体の製造方法。
(a)ビニル芳香族化合物の含有量が50質量%を越え、90質量%以下、
(b)ビニル芳香族化合物重合体ブロックの量が40質量%以下、
(c)重量平均分子量が5万〜100万、
(d)共役ジエン化合物に基づく二重結合の10%以上が水添されている。
(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる下記(a)〜(d)を満たす水添共重合体と、(B)熱伝導性充填材と、を含み、JIS K7105に準拠する表面光沢度(60度鏡面光沢度)が15%以上である熱伝導性成形体である。
(a)ビニル芳香族化合物の含有量が50質量%を越え、90質量%以下。
(b)ビニル芳香族化合物重合体ブロックの量が40質量%以下。
(c)重量平均分子量が5万〜100万。
(d)共役ジエン化合物に基づく二重結合の10%以上が水添されている。
本実施形態では、(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体を用いる。
特に耐候性に優れた熱伝導性成形体を得る場合は、水素添加率は、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
また、水添共重合体に架橋をする場合は、水素添加率は好ましくは98%以下、より好ましくは95%以下、さらに好ましくは90%以下である。
本実施形態で使用する水添共重合体は、下記一般式(イ)〜(ホ)で表される構造を有する共重合体の水素添加物からなる任意の混合物でもよい。
また、水添共重合体にビニル芳香族化合物重合体が混合されてもよい。
(ロ)X−Y
(ハ)X−Y−X
(ニ)(X−Y)m−Z
(ホ)(X−Y)n−Z−Yp
(ここで、Xは共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックであり、Yはビニル芳香族化合物重合体ブロックである。mは2以上の整数であり、nおよびpはそれぞれ1以上の整数である。Zはカップリング剤残基を示す。)
第3級アミン化合物またはエーテル化合物のようなビニル量調整剤の種類と量が一定の場合、重合中のポリマー鎖に組み込まれるビニル結合含量は、重合温度によって決まる。従って、等温で重合した重合体はビニル結合が均一に分散した重合体となる。
これに対し、昇温で重合した重合体は、初期(低温で重合)が高ビニル結合含量、後半(高温で重合)が低ビニル結合含量といった具合にビニル結合含量に差のある重合体となる。
かかる構造を有する共重合体に、水素を添加することにより特異構造の水添共重合体等が得られる。
また、ビニル芳香族単位重合体ブロックの量は、前述したKOLTHOFFの方法等で知ることができる。
水素添加前の共重合体中の共役ジエンに基づくビニル結合含量は、核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。
また、水添共重合体の水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。
重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、特に好ましくは0.1〜10時間である。
また、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。
本実施形態において、(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体の水添前の共重合体として重合体の少なくとも1つの重合体鎖に極性基含有原子団が結合した変性共重合体を使用することができる。変性共重合体は、特に限定されず、重合体鎖に極性基含有原子団を有するものであればよい。
(i)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、
(ii)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩またはアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、
(iii)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒等。
チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できるが、具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物が挙げられる。
また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有機亜鉛化合物等が挙げられる。
溶媒の分離の方法としては、例えば、水添後の溶液にアセトンまたはアルコール等の重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法、水添共重合体または変性水添共重合体の溶液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、または直接重合体溶液を加熱して溶媒を留去する方法等を挙げることができる。
フェノール系安定剤としては、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
リン系安定剤としては、トリフェニルホスファイトが挙げられる。
イオウ系安定剤としては、ジラウリル3,3−チオジプロピオネートが挙げられる。
アミン系安定剤としては、フェニル−4−ピペリジニルカーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバゲートが挙げられる。
本実施形態に用いる(B)熱伝導性充填材は、特に限定されず、例えば、公知のものを用いることができる。具体的には金属粉、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物、天然黒鉛、球状黒鉛粒子が挙げられる。
金属粉としては、金、銀、銅、アルミニウム等が挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等が挙げられる。
金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛等が挙げられる。それらの中でも、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛の中から選ばれる1種または2種以上の混合物が好ましい。水酸化アルミニウムは難燃剤であり、かつ熱伝導性フィラーとして作用するためより好ましい。水酸化アルミニウムの吸熱量は約1.97kJ/gであり、水酸化マグネシウムの約1.31kJ/g、水酸化カルシウムの約0.93kJ/gと比較して大きな値であり、難燃効果が高い点でも好ましい。
金属窒化物としては、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
金属炭化物としては、炭化ケイ素等が挙げられる。
また、これら熱伝導性充填材の形状は繊維状および/または非繊維状(板状、鱗片状、粒状、不定形状、球状)であってもよい。
電気絶縁性の必要のない用途では、上記(B)成分は、金属粉、炭素繊維、天然黒鉛、球状黒鉛粒子等が挙げられる。コストの面より天然黒鉛、球状黒鉛粒子が好ましい。
本実施形態の熱伝導性成形体は、表面光沢度が15%以上であり、より好ましくは18%以上であり、さらに好ましくは20%以上である。
表面光沢度を15%以上とすることにより熱伝導性成形体の熱抵抗性を低くできるだけでなく、優れた粘着性を付与でき、他の粘着層とラミネートする際の気泡の発生を著しく低減でき(ラミネート性)、かつ突刺強度を著しく向上できる。
本実施形態における表面光沢度とは、JIS K7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠した、60度鏡面光沢度の値である。
本実施形態の熱伝導性成形体は、(C)ゴム用軟化剤を含むことが好ましい。
(C)ゴム用軟化剤は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、シリコーンオイル、合成系オイル、フッ素系オイル、鉱物オイル(石油系オイル)、合成オイルが挙げられる。それらの中でも、好ましくは、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル等が挙げられ、より好ましくは、パラフィン系オイルおよびナフテン系オイル等が挙げられる。パラフィン系オイルおよびナフテン系オイルを用いることで、優れた耐寒性や耐久性を熱伝導性成形体に付与できる。それらの中でもパラフィン系オイルが、よりさらに好ましく、パラフィン系のなかでも芳香族環成分の少ないものが特に適している。
本実施形態の熱伝導性成形体の製造方法は、(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる下記(a)〜(d)を満たす水添共重合体と、(B)熱伝導性充填材とを含む樹脂組成物を加熱溶融して成形体とする工程、及び
前記成形体を、成形体温度50℃以上で、JIS K7105に準拠する表面光沢度が15%以上である転写材の表面へ押圧した後、成形体温度50℃未満で、前記転写材の表面から前記成形体を引き離すことにより、JIS K7105に準拠する表面光沢度が15%以上である表面を有する成形体を得る工程、を含むものである。
(a)ビニル芳香族化合物の含有量が50質量%を越え、90質量%以下、
(b)ビニル芳香族化合物重合体ブロックの量が40質量%以下、
(c)重量平均分子量が5万〜100万、
(d)共役ジエン化合物に基づく二重結合の10%以上が水添されている。
本実施形態の熱伝導性成形体を得るための混練方法は、特に限定はされず、公知の方法を用いることができる。例えば、ブレード型混練機(ニーダー等)、ロール型混練機(ロールミル、テーパーロール、加圧ニーダー、バンバリーミキサ、インターナルミキサ、ラボプラストミル、ミックスラボ、エクストルーダ等)等が挙げられるが、好ましくはニーダー、ロールミル、バンバリー、エクストルーダである。上記の混練方法によって、成分(a)〜(d)を混練して成形体とすることができる。
本実施形態の熱伝導性成形体は、用途に応じて厚さ0.1〜3mmのシート状に加工できる。加工方法は、特に限定されず、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形等によって加工できる。それらの中でも、連続的に成形でき、かつ巻き取りが可能な押出し成形やカレンダー成形が好ましい。なお、本実施形態における「シート」は、「フィルム」等とも呼ばれることがある。
[原料]
<(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体>
(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体は以下に示す手順で共重合体を得た。なお、得られた重合体の特性や物性の測定は次のようにして行った。
(1)ビニル芳香族炭化水素の含有量:紫外分光光度計((株)島津製作所製、UV−2450)を用いて測定した。
反応器:内容積が10Lの撹拌装置およびジャケット付き槽型反応器を用いた。
反応温度:重合中は70℃を保持した。水素添加反応中は65℃を保持した。
水素添加触媒:窒素置換した水素添加触媒調整用反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1Lを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mmolを添加した。充分に攪拌しながら、トリメチルアルミニウム200mmolを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて3日間反応させたものを用いた。
シクロヘキサン10質量部を反応器に仕込んで温度70℃に調整した。1段目反応として、n−ブチルリチウム0.076質量部、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、「TMEDA」と略記する。)をn−ブチルリチウム1molに対して0.4mol添加した。スチレン8質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を3分間かけて添加し、添加終了後30分間反応させた。
2段目反応として、1,3−ブタジエン48質量部とスチレン36質量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を60分かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、添加終了後30分間反応させた。
3段目反応としてスチレン8質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を3分間かけて添加し、添加終了後30分間反応させ、共重合体を得た。
得られた共重合体に対し、上記水素添加触媒をチタン量換算で100質量ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。
反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共重合体に対して0.3質量%添加し、水素添加共重合体を得た。
動的粘弾性測定の結果、tanδのピーク温度は−15℃に存在した。
DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。
比較例の熱可塑性エラストマーとして、EPDM(ダウ・ケミカル(株)社製、商品名「NORDEL IP 4770R」)を使用した。表1にその含有量を示す。
<(B)熱伝導充填材(水酸化アルミニウム)>
(B)熱伝導性充填材として、水酸化アルミニウム(日本軽金属(株)製、商品名「BW53」、累積中位径:51μm)を使用した。表1にそれぞれの含有量を示す。
ゴム用軟化剤として、出光興産(株)製、商品名「ダイアナプロセスオイルPW−380(潤滑油基油、パラフィン系オイル)」を使用した。表1にその含有量を示す。
<混練>
表1の組成物を75Lニーダー((株)モリヤマ製、加圧型ニーダー DX75−150)を用いて、150℃で5分間混練した。得られた混練物を150℃のフィダールーダーで押出しペレットを得た。
用いたロール構成の概略図を図1に示す。幅240mmのダイス1を装着した65φ押出機に、上記ペレットを投入し、温度120℃でTダイより押出した。押出シートを圧延する金属製ロールの構成は、表面光沢度70%の第1ロール4と、表面光沢度70%で0.1ミリ厚の金属製シートをベルト状(ベルト状金属シート3)に巻いた第2ロール5と第3ロール6とから成る。
第1ロール4、第2ロール5、第3ロール6の温度を表1に示す条件に設定し、第1ロール4と第2ロール5の間にTダイからの押出シートを導入し圧延した。圧延部での熱伝導性シート温度は100℃、ロール線圧は100kg/cmであった。
第1ロール4と第2ロール5で溶融した成形体2を圧延してシート状とし、第3ロール6を経てベルト状金属シート3から溶融した成形体2を引き剥がすことにより、厚さ0.3ミリの熱伝導性シート7を得た。ベルト状金属シート3との分離点から4cmの温度測定位置8で、熱伝導性シート7の温度を熱電対温度計で測定した。得られた熱伝導性シート7の表面光沢度、熱抵抗、粘着性、ラミネート品の気泡の有無、突刺強度を表1に示す。
<表面光沢度>
得られたシートを、50mm×50mm×0.3mm(厚さ)に切り出し、試験片とした。JIS K7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠し、多光源分光測色計(スガ試験機(株)製、MSC−5N)とデジタル変角光沢計(スガ試験機(株)製、UGV−5D)を用い、測色角度60度での60度鏡面光沢度を測定した。試験片の3箇所を測定し、その平均を求めた。
得られたシートを10mm×10mm×0.3mm(厚さ)に切り出し、試験片とした。ASTM(American Society for Testing and Materials)D5470に準拠し、樹脂材料熱抵抗測定装置(日立製作所製)を用いて、測定温度30℃で、熱抵抗値を測定した。
得られたシートを、100mm×100mm×0.3mm(厚さ)に切り出し、試験片とした。試験片を200mm×300mm×0.5mmのアルミ製鏡面板に貼り付けた。このアルミ製鏡面板を垂直に立て10分経過させた後、試験片が自重で剥がれるか否かを目視で確認した。評価は、剥がれなかったものを「○」とし、剥がれたものを「×」とした。
得られたシートを、光沢面に低密度ポリエチレンの合紙(LDPE合紙)を挟んで240mm幅で10m巻き取った。これに、透明な2μm厚の粘着層を付与した厚さ25μmの透明粘着ポリエチレンテレフタレートシート(透明粘着PETシート)を合わせてラミネートした。
ラミネートは、まず、熱伝導性シートのLDPE合紙を剥がしながら、その面が透明粘着PETシート上の粘着層と重なるように重ね合わせた。次いで、重ね合わせたシートを、温度50℃、線圧0.25kg/cmに調整したスチールロール/弾性ロールの2本ロールに通してラミネートをして、ラミネート品とした。
ラミネート後、ラミネート品の両端部をカッターでトリミングし、210mm幅に調整した。210mm幅のラミネート品1mを採取し、透明粘着PETシート面側から、内部に存在する1mmφ以上の気泡が含まれる個数を目視によって、計測した。
評価は210mm×1000mmの単位面積あたりの気泡数が10個以下のものを「○」とし、10個以上のものを「×」とした。
得られたシートを、100mm×100mm×0.3mm(厚さ)に切り出し、試験片とした。試験片を固定し、固定した試験片の表面に直径1.6mmφ、先端形状の半径が0.8mmである半円形の針を、速度100mm/分で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を測定した。試験装置(材料試験機)は、オートグラフ((株)島津製作所製、AGS−1KNJ)を使用した。
表1に示す配合で、圧延ロール温度60℃で圧延し、60度表面光沢度が30%の熱伝導性シートを製造した。得られた熱伝導性シートの熱抵抗、粘着性、ラミネート品の気泡数の評価、突刺強度をそれぞれ測定・評価した。
熱伝導性充填材の配合を85質量%とし、表1に示す配合で、圧延ロール温度60℃で圧延し、60度表面光沢度が20%の熱伝導性シートを製造した。得られた熱伝導性シートの熱抵抗、粘着性、ラミネート品の気泡数の評価、突刺強度をそれぞれ測定・評価した。
熱伝導性充填材の配合を60質量%とし、表1に示す配合で、圧延ロール温度60℃で圧延し、60度表面光沢度が30%の熱伝導性シートを製造した。得られた熱伝導性シートの熱抵抗、粘着性、ラミネート品の気泡数の評価、突刺強度をそれぞれ測定・評価した。
水添共重合体をEPDMに変更したほかは、実施例1と同条件で、圧延ロール温度60℃で圧延し、60度表面光沢度が10%の熱伝導性シートを製造した。得られた熱伝導性シートの熱抵抗、粘着性、ラミネート品の気泡数の評価、突刺強度をそれぞれ測定・評価した。
圧延ロール温度を40℃に変更したほかは、実施例1と同条件で、表1に示す配合で、60度表面光沢度が8%の熱伝導性シートを製造した。得られた熱伝導性シートの熱抵抗、粘着性、ラミネート品の気泡数の評価、突刺強度をそれぞれ測定・評価した。
一方、比較例1、2は、表面光沢度が10%、8%であり、粘着性もなく、ラミネート性、突刺強度とも不十分であった。
2 溶融した成形体
3 ベルト状金属製シート
4 第1ロール
5 第2ロール
6 第3ロール
7 熱伝導性シート
8 温度測定位置
Claims (9)
- (A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる下記(a)〜(d)を満たす水添共重合体と、(B)熱伝導性充填材と、を含む樹脂組成物を加熱溶融して成形体とする工程、及び、
前記成形体を、成形体温度50℃以上で、JIS K7105に準拠する表面光沢度(60度鏡面光沢度)が15%以上である転写材の表面へ押圧した後、成形体温度50℃未満で、前記転写材の表面から前記成形体を引き離すことにより、JIS K7105に準拠する表面光沢度(60度鏡面光沢度)が、15%以上である表面を有する成形体を得る工程、を含む熱伝導性成形体の製造方法。
(a)ビニル芳香族化合物の含有量が50質量%を越え、90質量%以下、
(b)ビニル芳香族化合物重合体ブロックの量が40質量%以下、
(c)重量平均分子量が5万〜100万、
(d)共役ジエン化合物に基づく二重結合の10%以上が水添されている。 - 成形体中における、前記(B)成分の含有量が40〜95体積%である、請求項1に記載の熱伝導性成形体の製造方法。
- 前記(B)成分は、水酸化アルミニウムである、請求項1又は2に記載の熱伝導性成形体の製造方法。
- さらに、(C)ゴム用軟化剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱伝導性成形体の製造方法。
- 前記(A)成分と前記(C)成分の合計量に対する、前記(C)成分の含有量が、50質量%以下である、請求項4に記載の熱伝導性成形体の製造方法。
- 前記(A)成分中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が10質量%未満である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱伝導性成形体の製造方法。
- 前記(A)成分中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が10〜40質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱伝導性成形体の製造方法。
- 前記(B)成分が、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物および金属炭化物からなる群から選ばれるいずれか1つを含む、請求項1、2、4〜7のいずれか一項に記載の熱伝導性成形体の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法により得られる熱伝導性成形体をシート状に成形してなる熱伝導性シート。
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