JP5466431B2 - 熱伝導性成形体の製造方法、及び熱伝導性シート - Google Patents

熱伝導性成形体の製造方法、及び熱伝導性シート Download PDF

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Description

本発明は、熱伝導性成形体、熱伝導性シートおよび熱伝導性シートの製造方法に関する。
従来からデジタル家電の普及に伴い、電気機器や電子機器の高速化や高機能化の要求が高まっている。電気機器や電子機器において、電子制御を行うLSI(大規模集積回路)やCPU(中央演算処理装置)等の半導体素子は、コンピュータの集積度の増大および動作の高速化により消費電力が増大するだけでなく発熱量も増大している。半導体素子に生じる不具合等を解決するためには、半導体素子等の発熱体から発生する熱を放熱する必要がある。
電気機器および電子機器における放熱方法としては、ヒートシンク等の冷却用部品を取り付け、ヒートシンクを冷却ファン等により強制的に空冷する方法等が用いられている。ノート型パーソナルコンピュータを始めとする小型の電気機器や、高密度実装される電子機器は、冷却ファン等を設置する空間が小さい等といった制約から、シリコーングリースを塗布することにより放熱する方法が行われている。
電気機器や電子機器に対する高性能化の要求に対応するため、熱伝導性シートが使用されている。熱伝導性シートは、ヒートシンク等の硬質な冷却用部品と硬質な発熱体との間に挟む等して用いられ、両者の近接性を向上させるのに有効な軟質のシートである。両者が近接すれば、熱を冷却用部品へ効率よく伝達することができる。
熱伝導性シートとして、シリコーンゴムに比較的熱伝導性の高い充填剤を混合させた熱伝導性シートが使用されている。このシリコーンゴム製熱伝導性シートは、取り扱いが容易である。特許文献1では、合成ゴムに水酸化アルミニウムを用いた熱伝導材が開示されている。特許文献2では、スチレン系熱可塑性エラストマーに水酸化アルミニウムと軟化剤を配合する放熱性組成物が開示されている。
特開2000−150740号公報 特開2004−146106号公報
しかしながら、シリコーンゴム製熱伝導性シートは、原料となるシリコーンゴムそのものが高価であり、硬化工程が必要であるため工程数が増加する等の問題がある。また、シリコーンゴムは樹脂中に低分子量シロキサンが含まれている。そのため、シリコーンゴム製熱伝導性シートを発熱体に貼り付けて使用する場合、低分子シロキサンガスが発生する。このガスが電極接点等へ付着して二酸化ケイ素を生成することにより、接点不良となる場合がある。
また、合成ゴムやスチレン系熱可塑性エラストマーに高熱伝導性充填材を混合したシートは、合成ゴムやスチレン系熱可塑性エラストマーの結晶化による収縮のため、加熱溶融時に附形したシート表面が温度の低下に伴い収縮し、シート表面が平滑になりにくく、シートと発熱体等との接触熱抵抗が大きくなる場合がある。
熱伝導性シートには、熱伝導性以外にも様々な物性を満たすことが要求される。まず、熱伝導性シートには、発熱体と冷却用部品との間の熱抵抗を小さくすることが求められる。そして、シート表面と発熱体等との接触抵抗が低いことが求められる。
また、熱伝導性シートを電子機器に密着させて使用する場合、熱伝導性シートに粘着層を設けるとそれ自体が熱抵抗となり好ましくない。そのため、熱伝導性シート自体に粘着性があることが求められる。
さらに、熱伝導性シートに強い粘着性を付与する場合、熱伝導性シートに粘着層をラミネートすることが行われる。その場合、熱伝導性シートと粘着層の間に気泡が入ることを防ぐため、熱伝導性シート自体に表面平滑性があることが求められる。
またさらに、電子部品は多くの尖頭部を有するため、尖頭部に熱伝導性シートを押し付けても破れない程度の突刺強度が求められる。
そこで、本発明は、上記事項を鑑みてなされたものであり、熱抵抗性が低く、粘着性、ラミネート性および突刺強度に優れた熱伝導性成形体、熱伝導性シート、並びに熱伝導性成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、結晶化ピークが実質的に存在しない共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体と、熱伝導性充填材とを含み、JIS K7105に準拠する表面光沢度(60度鏡面光沢度)を所定数値以上となるよう制御することにより、熱抵抗性が低く、粘着性、ラミネート性および突刺強度に優れた熱伝導性成形体および熱伝導性シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下のものを提供する。
[1]
(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる下記(a)〜(d)を満たす水添共重合体と、
(B)熱伝導性充填材と、を含み、
JIS K7105に準拠する表面光沢度(60度鏡面光沢度)が、15%以上である熱伝導性成形体。
(a)ビニル芳香族化合物の含有量が50質量%を越え、90質量%以下、
(b)ビニル芳香族化合物重合体ブロックの量が40質量%以下、
(c)重量平均分子量が5万〜100万、
(d)共役ジエン化合物に基づく二重結合の10%以上が水添されている。
[2]
成形体中における、前記(B)成分の含有量が40〜95体積%である、[1]の熱伝導性成形体。
[3]
さらに、(C)ゴム用軟化剤を含む、[1]または[2]の熱伝導性成形体。
[4]
前記(A)成分と前記(C)成分の合計量に対する、前記(C)成分の含有量が、50質量%以下である、[3]の熱伝導性成形体。
[5]
前記(A)成分中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が10質量%未満である、[1]〜[4]のいずれかの熱伝導性成形体。
[6]
前記(A)成分中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの量が10〜40質量%である、[1]〜[4]のいずれかの熱伝導性成形体。
[7]
前記(B)成分が、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物および金属炭化物からなる群から選ばれるいずれか1つを含む、[1]〜[6]のいずれかの熱伝導性成形体。
[8]
[1]〜[7]のいずれかの熱伝導性成形体をシート状に成形してなる熱伝導性シート。
[9]
(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる下記(a)〜(d)を満たす水添共重合体と、(B)熱伝導性充填材とを含む樹脂組成物を加熱溶融して成形体とする工程、及び
前記成形体を、成形体温度50℃以上で、JIS K7105に準拠する表面光沢度が15%以上である転写材の表面へ押圧した後、成形体温度50℃未満で、前記転写材の表面から前記成形体を引き離すことにより、JIS K7105に準拠する表面光沢度が15%以上である表面を有する成形体を得る工程、を含む熱伝導性成形体の製造方法。
(a)ビニル芳香族化合物の含有量が50質量%を越え、90質量%以下、
(b)ビニル芳香族化合物重合体ブロックの量が40質量%以下、
(c)重量平均分子量が5万〜100万、
(d)共役ジエン化合物に基づく二重結合の10%以上が水添されている。
本発明によれば、低熱抵抗性に優れるだけでなく、粘着性、ラミネート性、および突刺強度に優れた熱伝導性成形体および熱伝導性シートとすることができる。
実施例で用いたロール構成の概略図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明の例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態の熱伝導性成形体は、
(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる下記(a)〜(d)を満たす水添共重合体と、(B)熱伝導性充填材と、を含み、JIS K7105に準拠する表面光沢度(60度鏡面光沢度)が15%以上である熱伝導性成形体である。
(a)ビニル芳香族化合物の含有量が50質量%を越え、90質量%以下。
(b)ビニル芳香族化合物重合体ブロックの量が40質量%以下。
(c)重量平均分子量が5万〜100万。
(d)共役ジエン化合物に基づく二重結合の10%以上が水添されている。
<(A)成分>
本実施形態では、(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体を用いる。
共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体(A)におけるビニル芳香族化合物の含有量は、50質量%を越え90質量%以下、好ましくは50質量%を越え88質量%以下、さらに好ましくは50質量%を越え86質量%以下である。ビニル芳香族化合物の含有量を上記範囲とすることにより、柔軟性、耐摩耗性、耐傷付き性、強度などに優れた成形体を得ることができる。
なお、(A)成分において、水素添加されたビニル芳香族化合物が含まれている場合があるが、この水素添加されたビニル芳香族化合物も水添共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量に含まれるものとする。本実施形態において、ビニル芳香族単位の含有量は、紫外分光光度計を用いて測定することができる。水添共重合体におけるビニル芳香族化合物の含有量は、水素添加前の共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量から求めることができる。
本実施形態において(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体が、ビニル芳香族単位からなる重合体ブロックを含む共重合体である場合には、ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは3〜40質量%、さらに好ましくは5〜35質量%である。ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量を上記数値範囲とすることにより、柔軟性と耐ブロッキング性に優れた成形体を得ることができる。
柔軟性がより優れた熱伝導性成形体とする場合、ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量は、(A)成分の総量に対して、好ましくは10質量%未満、より好ましくは8質量%未満、さらに好ましくは5質量%未満である。
また、水添共重合体等として耐ブロッキング性に優れたものにしたい場合、ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量は、(A)成分の総量に対して、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは13〜37質量%、さらに好ましくは15〜35質量%である。
ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量の測定は、例えば、四酸化オスミウムを触媒として水素添加前の共重合体をターシャルブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法;以下、「KOLTHOFFの方法」という場合がある。)により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分の質量(但し、平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている。)を用いて、次の式から求めることができる。
ビニル芳香族炭化水素重合体のブロック成分の含有量(質量%)={(水素添加前の共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分の質量/水素添加前の共重合体の質量)}×100
なお、(A)成分におけるビニル芳香族単位のブロック率は、好ましくは50質量%未満、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは18質量%以下である。ビニル芳香族単位のブロック率を上記数値範囲とすることにより、柔軟性がより良好な成形体とすることができる。ビニル芳香族単位のブロック率とは、(A)の水添共重合体中の全ビニル芳香族単位量に対するビニル芳香族単位からなる重合体ブロックの含有量の割合をいう。
(A)成分である水添共重合体の重量平均分子量は5万〜100万、好ましくは8万〜80万、さらに好ましくは13万〜50万である。水添共重合体の重量平均分子量を5万以上とすることで優れた靭性を付与でき、100万以下とすることで優れた成形加工性を付与できる。さらに、重量平均分子量を上記範囲とすることで低分子量成分の含有量を低減できるため、揮発成分が少ない熱伝導性成形体とすることができる。その結果、発熱体等に貼付する場合であっても揮発性ガスの発生を抑制できる。
ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が10〜40質量%である水添共重合体を使用する場合、その重量平均分子量は10万を越え50万未満、好ましくは13万〜40万、さらに好ましくは15万〜30万である。
本実施形態において、(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体の分子量分布(Mw/Mn)(数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比)は、成形加工性の点で、好ましくは1.01〜8.0、より好ましくは1.1〜6.0、さらに好ましくは1.1〜5.0である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布の形状は特に制限はなく、山(ピーク)が二ヶ所以上存在するポリモーダルの分子量分布を持つものでもよいが、山が一つであるモノモーダルの分子量分布を持つ水添共重合体が好ましい。
(A)成分である水添共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。共役ジエン単位とビニル芳香族単位とからなる共重合体の分子量分布も、同様にGPCによる測定から求めることができる。
(A)成分は共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体の水素添加物であり、共重合体中の共役ジエン単位に基づく不飽和二重結合の水素添加率は、10%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上である。水素添加率が10%以上の場合、柔軟性、強度、および伸びが熱劣化により低下することなく良好な耐熱性を付与できる。
特に耐候性に優れた熱伝導性成形体を得る場合は、水素添加率は、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
また、水添共重合体に架橋をする場合は、水素添加率は好ましくは98%以下、より好ましくは95%以下、さらに好ましくは90%以下である。
さらに、耐熱性に優れた熱伝導性成形体を得る場合、水添共重合体のビニル結合の水素添加率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
ここで、ビニル結合の水素添加率とは、水素添加前の共重合体中に組み込まれている共役ジエン中のビニル結合の内、水素添加されたビニル結合の割合をいう。
(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体中のビニル芳香族に基づく芳香族二重結合の水素添加率は、特に限定されず、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。
(A)成分である水添共重合体中のビニル芳香族に基づく芳香族二重結合の水素添加率とは、水素添加前の共重合体が含んでいたビニル芳香族の芳香族二重結合に対する、水素添加共重合体の水素添加された芳香族二重結合の割合をいう。
ここで、共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合のトータル水素添加率とは、水素添加前の共重合体が含んでいた共役ジエンの二重結合に対する、水素添加共重合体の水素添加された二重結合の割合をいう。
水素添加共重合体の水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定できる。ビニル結合含有量の測定は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定できる。
本実施形態で使用する水添共重合体は、示差走査熱量測定法(DSC法)において、−50〜100℃の温度範囲において結晶化ピークが実質的に存在しない水素添加物が好ましい。ここで、−50〜100℃の温度範囲において結晶化ピークが実質的に存在しないとは、この温度範囲において結晶化に起因するピークが現れない、もしくは結晶化に起因するピークが認められる場合においても、その結晶化における結晶化ピーク熱量が3J/g未満、好ましくは2J/g未満、さらに好ましくは1J/g未満であり、特に好ましくは結晶化ピーク熱量が無いものである。
本実施形態で使用する(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体の、動的粘弾性スペクトルにおける損失正接(tanδ)のピークの少なくとも1つは、−30〜80℃に存在することが好ましく、より好ましくは−20〜70℃、さらに好ましくは−20〜50℃である。tanδのピークが−30〜80℃の範囲に少なくとも1つ存在することで、柔軟性と靭性に優れた共重合体とすることができる。
本実施形態において、水添共重合体の構造は特に制限はなく、いかなる構造のものでも使用できるが、特に奨励されるものは、下記一般式(イ)〜(ホ)から選ばれる少なくとも一つの構造を有する共重合体の水素添加物である。
本実施形態で使用する水添共重合体は、下記一般式(イ)〜(ホ)で表される構造を有する共重合体の水素添加物からなる任意の混合物でもよい。
また、水添共重合体にビニル芳香族化合物重合体が混合されてもよい。
(イ)X
(ロ)X−Y
(ハ)X−Y−X
(ニ)(X−Y)m−Z
(ホ)(X−Y)n−Z−Yp
(ここで、Xは共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックであり、Yはビニル芳香族化合物重合体ブロックである。mは2以上の整数であり、nおよびpはそれぞれ1以上の整数である。Zはカップリング剤残基を示す。)
一般式(イ)〜(ホ)において、ランダム共重合体ブロックX中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布していても、またはテーパー状に分布していてもよい。また該共重合体ブロックXには、ビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分および/またはテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。また、mは2以上、好ましくは2〜10の整数であり、nおよびpはそれぞれ1以上、好ましくは1〜10の整数である。
ブロックXを共役ジエンとビニル芳香族とのランダム構造にすることで、共重合体中の結晶部分を極力少なくする、またはなくすことができ、充填剤を多量に混合することが可能となる。
本実施形態において共役ジエン単位は1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上を使用してもよい。
また、ビニル芳香族単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N、N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N、N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられ、これらは1種のみならず2種以上を使用してもよい。
本実施形態で使用する(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体の共役ジエン部分のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、特に限定されず、後述する極性化合物等の使用により任意に変えることができる。
共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合含有量は共役ジエン部分100質量%に対して5〜80質量%、好ましくは10〜60質量%である。
共役ジエンとしてイソプレンを使用した場合、または1,3−ブタジエンとイソプレンを併用した場合には、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計含有量は、好ましくは3〜75%、より好ましくは5〜60%である。なお、本実施形態においては、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計含有量(ただし、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合含有量)を「ビニル結合含有量」と呼ぶ。
(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体中の共役ジエンに基づくビニル結合含有量は、核磁気共鳴装置(NMR)によって測定できる。
また、本実施形態において、水素添加前の共重合体鎖中におけるビニル結合含量の最大値と最小値との差が10%未満、好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下である。共重合体鎖中のビニル結合は、均一に分布していてもテーパー状に分布していてもよい。ここで、ビニル結合含量の最大値と最小値との差とは、重合条件、すなわちビニル量調整剤の種類、量および重合温度で決定される、ビニル結合含有量の最大値と最小値の差である。
共役ジエン重合体鎖中のビニル結合含量の最大値と最小値との差は、例えば、共役ジエンの重合時または共役ジエンとビニル芳香族化合物の共重合時の重合温度によって制御することができる。
第3級アミン化合物またはエーテル化合物のようなビニル量調整剤の種類と量が一定の場合、重合中のポリマー鎖に組み込まれるビニル結合含量は、重合温度によって決まる。従って、等温で重合した重合体はビニル結合が均一に分散した重合体となる。
これに対し、昇温で重合した重合体は、初期(低温で重合)が高ビニル結合含量、後半(高温で重合)が低ビニル結合含量といった具合にビニル結合含量に差のある重合体となる。
かかる構造を有する共重合体に、水素を添加することにより特異構造の水添共重合体等が得られる。
本実施形態において、ビニル芳香族単位の含有量は、紫外分光光度計を用いて知ることができる。
また、ビニル芳香族単位重合体ブロックの量は、前述したKOLTHOFFの方法等で知ることができる。
水素添加前の共重合体中の共役ジエンに基づくビニル結合含量は、核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。
また、水添共重合体の水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。
本実施形態において、水添共重合体の分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。
本実施形態において、(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体の水素添加前の共重合体は、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の開始剤を用いてアニオンリビング重合により得られる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンの如き脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタンの如き脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如き芳香族炭化水素類である。
また、開始剤としては、一般的に共役ジエン化合物およびビニル芳香族化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等が含まれ、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等である。好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1から20の脂肪族および芳香族炭化水素リチウム化合物であり、1分子中に1個のリチウムを含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が含まれる。
具体的には、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンの反応生成物等が挙げられる。
さらに、米国特許5,708,092号明細書に開示されている1−(t−ブトキシ)プロピルリチウムおよびその溶解性改善のために1〜数分子のイソプレンモノマーを挿入したリチウム化合物、英国特許2,241,239号明細書に開示されている1−(t−ブチルジメチルシロキシ)ヘキシルリチウム等のシロキシ基含有アルキルリチウム、米国特許5,527,753号明細書に開示されているアミノ基含有アルキルリチウム、ジイソプロピルアミドリチウムおよびヘキサメチルジシラジドリチウム等のアミノリチウム類も使用することができる。
本実施形態において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン単位とビニル芳香族単位を共重合する際に、重合体に組み込まれる共役ジエン単位に起因するビニル結合(1,2または3,4結合)の含有量の調整や共役ジエン単位とビニル芳香族単位とのランダム共重合性を調整するために、調整剤として第3級アミン化合物またはエーテル化合物を添加することが好ましい。
第3級アミン化合物としては一般式RR'R''N(ここで、R、R'、R''は、夫々独立して、炭素数1から20の炭化水素基または第3級アミノ基を有する炭化水素基である。)の化合物である。例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’−ジオクチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
また、エーテル化合物としては、直鎖状エーテル化合物および環状エーテル化合物から選ばれ、直鎖状エーテル化合物としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類が挙げられる。また、環状エーテル化合物としてはテトラヒドロフラン、ジオキサン、2,5−ジメチルオキソラン、2,2,5,5−テトラメチルオキソラン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、フルフリルアルコールのアルキルエーテル等が挙げられる。
本実施形態において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を共重合する方法は、バッチ重合であっても連続重合であっても、或いはそれらの組み合わせであってもよい。特に分子量分布を好ましい適正範囲に調整する点で、連続重合方法が好ましい。
共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を共重合させる際の重合温度は、特に限定されず、好ましくは0℃〜180℃、より好ましくは30℃〜150℃である。
重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、特に好ましくは0.1〜10時間である。
また、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。
重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマーおよび溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されるものではない。更に、重合系内は触媒およびリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば、水、酸素、炭酸ガスなどが混入しないように留意することが好ましい。
本実施形態において、前記重合終了時に2官能以上のカップリング剤を必要量添加してカップリング反応を行うことができる。
2官能カップリング剤としては公知のものいずれでもよく、特に限定されない。例えば、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。
また、3官能以上の多官能カップリング剤としては公知のものいずれでもよく、特に限定されない。例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物、一般式R4-nSiXn(ただし、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3または4)で示されるハロゲン化ケイ素化合物、例えば、メチルシリルトリクロリド、t−ブチルシリルトリクロリド、四塩化ケイ素およびこれらの臭素化物等、一般式R4-nSnXn(ただし、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3または4)で示されるハロゲン化錫化合物、例えば、メチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物が挙げられる。炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用できる。
(変性)
本実施形態において、(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体の水添前の共重合体として重合体の少なくとも1つの重合体鎖に極性基含有原子団が結合した変性共重合体を使用することができる。変性共重合体は、特に限定されず、重合体鎖に極性基含有原子団を有するものであればよい。
極性基含有原子団としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボン酸基、チオカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基等が挙げられる。それらの中でも、好ましくは、水酸基、アミノ基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシラン基の少なくとも1個を重合体鎖に有するものであり、より好ましくは、水酸基、アミノ基、エポキシ基の少なくとも1個を重合体鎖に有するものである。
変性共重合体は、共重合体の重合終了時にこれらの極性基含有原子団を有する化合物を反応させることにより得られる。極性基含有原子団を有する化合物としては、具体的には、特公平4−39495号公報に記載された変性処理剤を使用できる。
本実施形態で用いる好ましい変性水添共重合体は、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団が結合している変性水添共重合体である。かかる変性水添共重合体は、有機リチウム化合物を重合触媒として上述のような方法で得た共重合体のリビング末端に、官能基含有の変性剤を付加反応させることにより、共重合体に水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団が少なくとも1個結合している変性物(以後、「変性共重合体」と呼ぶことがある。)に水素を添加することにより得ることができる。
変性共重合体を得る他の方法として、変性前の水添共重合体に有機リチウム化合物等の有機アルカリ金属化合物を反応(メタレーション反応)させ、有機アルカリ金属が付加した共重合体に官能基含有の変性剤を付加反応させる方法が挙げられる。なお、変性剤の種類により、変性剤を反応させた段階で一般に水酸基やアミノ基等は有機金属塩となっていることもあるが、その場合には水やアルコール等活性水素を有する化合物で処理することにより、水酸基やアミノ基等にすることができる。
本実施形態において、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団として好ましい原子団は、下記一般式で示されるものから選ばれる原子団が挙げられる。
上式で、R1〜R4は、水素または炭素数1〜24の炭化水素基、あるいは水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を有する炭素数1〜24の炭化水素基を示す。
5は炭素数1〜48の炭化水素鎖、あるいは水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を有する炭素数1〜48の炭化水素鎖を示す。
なお、R1〜R4の炭化水素基、およびR5の炭化水素鎖中には、水酸基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシラン基以外の結合様式で、酸素、窒素、シリコン等の元素が結合していてもよい。
6は、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示す。
本実施形態において、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団が少なくとも1個結合している変性水添共重合体を得るために使用される変性剤としては、下記のものが挙げられる。
例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
また、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペンオキシシランが挙げられる。
また、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジフェノキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルメトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルエトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルフェノキシシランが挙げられる。
また、トリス(γ−グリシドキシプロピル)メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、ビス(γ−メタクリロキシプロピル)ジメトキシシラン、トリス(γ−メタクリロキシプロピル)メトキシシランが挙げられる。
また、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジメトキシシランが挙げられる。
また、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルエトキシシランが挙げられる。
さらにまた、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジイソプロペンオキシシラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
有機リチウム化合物を重合触媒として上述のような方法で得た共重合体のリビング末端に上記の変性剤を反応させることにより、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団が結合している変性剤の残基が結合している変性共重合体が得られる。
本実施形態において、(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体は、上記で得られた水素添加前の共重合体または変性共重合体を水素添加することにより得られる。
水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である以下の触媒を用いることができる。
(i)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、
(ii)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩またはアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、
(iii)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒等。
その他、具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。
好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物および/または還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できるが、具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物が挙げられる。
また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有機亜鉛化合物等が挙げられる。
水添反応は一般的に0〜200℃、より好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は通常0.1〜15MPa、好ましくは0.2〜10MPa、さらに好ましくは0.3〜5MPaである。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
水素添加反応後の反応溶液は、必要に応じて触媒残査を除去し、水添共重合体または変性水添共重合体を反応溶液から分離することができる。
溶媒の分離の方法としては、例えば、水添後の溶液にアセトンまたはアルコール等の重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法、水添共重合体または変性水添共重合体の溶液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、または直接重合体溶液を加熱して溶媒を留去する方法等を挙げることができる。
なお、本実施形態で使用する水添共重合体または変性水添共重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
フェノール系安定剤としては、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
リン系安定剤としては、トリフェニルホスファイトが挙げられる。
イオウ系安定剤としては、ジラウリル3,3−チオジプロピオネートが挙げられる。
アミン系安定剤としては、フェニル−4−ピペリジニルカーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバゲートが挙げられる。
本実施形態の熱伝導性成形体における(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体の含有量は、特に限定されず、熱伝導性樹脂組成物の総量に対して5〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。(A)成分の含有量を5質量%以上とすることで、十分な成形性を付与できる。(A)成分の含有量を25質量%以下とすることで、優れた熱伝導性と難燃性を付与できる。
<(B)成分>
本実施形態に用いる(B)熱伝導性充填材は、特に限定されず、例えば、公知のものを用いることができる。具体的には金属粉、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物、天然黒鉛、球状黒鉛粒子が挙げられる。
金属粉としては、金、銀、銅、アルミニウム等が挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等が挙げられる。
金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛等が挙げられる。それらの中でも、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛の中から選ばれる1種または2種以上の混合物が好ましい。水酸化アルミニウムは難燃剤であり、かつ熱伝導性フィラーとして作用するためより好ましい。水酸化アルミニウムの吸熱量は約1.97kJ/gであり、水酸化マグネシウムの約1.31kJ/g、水酸化カルシウムの約0.93kJ/gと比較して大きな値であり、難燃効果が高い点でも好ましい。
金属窒化物としては、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
金属炭化物としては、炭化ケイ素等が挙げられる。
また、これら熱伝導性充填材の形状は繊維状および/または非繊維状(板状、鱗片状、粒状、不定形状、球状)であってもよい。
熱伝導性と電気絶縁性に優れた熱伝導性成形体を得る場合は、上記(B)成分は、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。また、熱伝導性と電気絶縁性、難燃性に優れた熱伝導性成形体を得る場合は、上記(B)成分は、金属水酸化物が好ましい。
電気絶縁性の必要のない用途では、上記(B)成分は、金属粉、炭素繊維、天然黒鉛、球状黒鉛粒子等が挙げられる。コストの面より天然黒鉛、球状黒鉛粒子が好ましい。
(B)熱伝導性充填材の含有量は、特に限定されないが、熱伝導性成形体の総量に対して、40〜95体積%であることが低熱抵抗性の観点から好ましい。(B)成分の含有量を40体積%以上とすることで、優れた低熱抵抗性を熱伝導性成形体に付与できる。(B)成分の含有量を95体積%以下とすることで優れた成形性を熱伝導性成形体に付与できる。かかる観点から、前記(B)成分の含有量は、好ましくは50〜90体積%であり、より好ましくは60〜85体積%である。
本実施形態において、(B)熱伝導性充填材の粒径は、特に限定されないが、低熱抵抗性とするには、累積中位径が1〜95μmのものが好ましい。この範囲とすることにより熱伝導性成形体の低熱伝導性と表面光沢度を著しく向上させることができる。累積中位径は、より好ましくは5〜90μm、さらに好ましくは10〜85μmである。
ここで、累積中位径とは、粉体集団の全体積を100%とする粉体集合の粒度分布において、粒子径に対する累積カーブを求め、その累積カーブが50%となる点の粒子径をいう。
本実施形態において、金属水酸化物成分の粒子径(μm)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した体積基準の粒子径である。粒子径は水または有機溶剤に金属水酸化物を分散させて測定する。このとき、分散できない場合は界面活性剤を使用してもよく、ホモジナイザーや超音波によって分散させてもよい。分散させる金属水酸化物粉体の濃度は1%以下である。
金属水酸化物の累積中位径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて粒子径を測定し、金属水酸化物粉体集合の粒径と頻度(体積%)からなる粒度分布を求め、その集合の全体積を100%として累積カーブを求める。累積カーブが50%となる点の粒子径(μm)をその金属水酸化物の累積中位径とする。
本実施形態では、必要に応じて、(B)熱伝導性充填材に前処理を行ってもよい。前処理としては、特に限定されず、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ステアリン酸等で前処理することによって表面改質を施した金属水酸化物を使用してもよい。
<表面光沢度>
本実施形態の熱伝導性成形体は、表面光沢度が15%以上であり、より好ましくは18%以上であり、さらに好ましくは20%以上である。
表面光沢度を15%以上とすることにより熱伝導性成形体の熱抵抗性を低くできるだけでなく、優れた粘着性を付与でき、他の粘着層とラミネートする際の気泡の発生を著しく低減でき(ラミネート性)、かつ突刺強度を著しく向上できる。
本実施形態における表面光沢度とは、JIS K7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠した、60度鏡面光沢度の値である。
<(C)成分>
本実施形態の熱伝導性成形体は、(C)ゴム用軟化剤を含むことが好ましい。
(C)ゴム用軟化剤は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、シリコーンオイル、合成系オイル、フッ素系オイル、鉱物オイル(石油系オイル)、合成オイルが挙げられる。それらの中でも、好ましくは、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル等が挙げられ、より好ましくは、パラフィン系オイルおよびナフテン系オイル等が挙げられる。パラフィン系オイルおよびナフテン系オイルを用いることで、優れた耐寒性や耐久性を熱伝導性成形体に付与できる。それらの中でもパラフィン系オイルが、よりさらに好ましく、パラフィン系のなかでも芳香族環成分の少ないものが特に適している。
パラフィン系オイルの40℃における動粘度は、特に限定されないが、好ましくは100mm2/sec以上、より好ましくは100〜10000mm2/sec、さらに好ましくは200〜5000mm2/secである。動粘度の測定は、JIS K2283の方法に準拠した方法によって行う。上記数値範囲とすることで、熱伝導性成形体からオイルがにじむことがなく、柔軟性を熱伝導性成形体に付与できる。
パラフィン系オイルとして、例えば、日本油脂株式会社製「NAソルベント(商品名)」、出光興産株式会社製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW−90、PW−380」、出光石油化学株式会社製「IP−ソルベント2835(商品名)」、三光化学工業株式会社製「ネオチオゾール(商品名)」等が挙げられる。
ゴム用軟化剤は、引火点が、170〜300℃、重量平均分子量が100〜5000のものが好ましい。ゴム用軟化剤の引火点を170℃以上とすることにより、耐熱性が向上でき、300℃以下とすることにより、良成形性を得ることができる。ゴム用軟化剤の重量平均分子量を100以上とすることにより、熱伝導性成形体からゴム用軟化剤がにじみことがなく、5000以下とすることにより、柔軟性を熱伝導性成形体に付与できる。ゴム用軟化剤の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質として、移動相にテトラヒドロフランを用いたGPCによって測定できる。
(C)ゴム用軟化剤の含有量は、特に限定されず、(A)成分と(C)成分の合計量に対する(C)成分の含有量(C/(A+C))が50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。ゴム用軟化剤の含有量(C/(A+C))をかかる範囲とすることで、ゴム用軟化剤のブリードアウトを防止でき、かつ熱伝導性組成物に優れた難燃性を付与できる。
本実施形態の熱伝導性成形体は、その目的を損なわない範囲で必要に応じて、粘着性付与剤を含んでもよい。粘着性付与剤は、熱伝導性成形体をシート状に成形して使用する際、電子部品、半導体装置あるいは表示装置と冷却用放熱装置を固定するために添加する。
本実施形態に使用できる粘着性付与剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ロジン系樹脂(ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、変性ロジン系樹脂(水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジン等)、ロジンエステル系(ロジングリセリンエステル、水素添加ロジン・グリセリンエステル、ロジン・ペンタエリスリトールエステル、水素添加ロジン・ペンタエリスリトールエステル、過水素添加ロジン・グリセリンエステル、安定化ロジン・ペンタエリスリトールエステル等)等)、石油系樹脂(炭化水素系(脂肪族石油系、芳香族石油系、ジシクロペンタジエン系、熱反応型、芳香族変性脂肪族石油系等)、脂肪族系石油樹脂(C5系)、芳香族系石油樹脂(C9系)、共重合系石油樹脂(C5/C9系)、脂環族系石油樹脂(水素添加系、ジシクロペンタジエン系等)、テルペン系樹脂(α−ピネン、β−ピネン、d−リモネン、芳香族変性、フェノール変性テルペン、ポリテルペン、水素添加テルペン等)、純モノマー系樹脂(スチレン/α−メチルスチレン、α−メチルスチレン/ビニルトルエン、スチレン等、(メタ)アクリル系)、クマロン・インデン樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。これらは単独であるいは2種以上併せて用いることができる。
それらの中でも、より好ましくは、ロジン系(ロジン系樹脂、変性ロジン系樹脂)、テルペン系(テルペン系樹脂)、石油系(石油系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂)が挙げられる。熱伝導性樹脂組成形体中の含有量は、特に限定されず、目的とする粘着力に応じて添加できるが、熱伝導性成形体の総量に対して1〜20質量%が好ましい。
本実施形態の熱伝導性成形体は、必要に応じて、脂肪酸、脂肪酸塩、酸化防止剤、架橋剤、熱可塑性エラストマー、難燃剤、熱伝導性充填材以外のフィラー等を添加することができる。
脂肪酸としては、特に限定されず、例えば、ステアリン酸が挙げられる。
脂肪酸塩としては、特に限定されず、例えば、ステアリン酸亜鉛が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、アルデヒド類、アミン類、フェノール類、などが挙げられる。架橋剤としては、有機パーオキサイド、エポキシ類、イソシアナート類、ジ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されず、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ニトリルゴム、アクリルゴム等が挙げられる。
熱伝導性充填材以外のフィラーとしては、特に限定されず、例えば、ガラス繊維、有機繊維等が挙げられる。
難燃剤としては、特に限定されず、例えば、窒素系難燃剤(トリアジン系など)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、シリコーン系難燃剤、芳香族カルボン酸およびその金属塩、ホウ素化合物、亜鉛化合物等が挙げられる。
本実施形態の熱伝導性成形体および熱伝導性シートは、(B)熱伝導性充填材が高充填されており、熱伝導性を有し、その熱伝導率が1.0W/m・K以上であることが好ましい。熱伝導率は、ASTM(American Society for Testing and Materials)D5470に準拠して熱伝導率を測定する。
<熱伝導性成形体の製造方法>
本実施形態の熱伝導性成形体の製造方法は、(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる下記(a)〜(d)を満たす水添共重合体と、(B)熱伝導性充填材とを含む樹脂組成物を加熱溶融して成形体とする工程、及び
前記成形体を、成形体温度50℃以上で、JIS K7105に準拠する表面光沢度が15%以上である転写材の表面へ押圧した後、成形体温度50℃未満で、前記転写材の表面から前記成形体を引き離すことにより、JIS K7105に準拠する表面光沢度が15%以上である表面を有する成形体を得る工程、を含むものである。
(a)ビニル芳香族化合物の含有量が50質量%を越え、90質量%以下、
(b)ビニル芳香族化合物重合体ブロックの量が40質量%以下、
(c)重量平均分子量が5万〜100万、
(d)共役ジエン化合物に基づく二重結合の10%以上が水添されている。
<熱伝導性成形体の混練>
本実施形態の熱伝導性成形体を得るための混練方法は、特に限定はされず、公知の方法を用いることができる。例えば、ブレード型混練機(ニーダー等)、ロール型混練機(ロールミル、テーパーロール、加圧ニーダー、バンバリーミキサ、インターナルミキサ、ラボプラストミル、ミックスラボ、エクストルーダ等)等が挙げられるが、好ましくはニーダー、ロールミル、バンバリー、エクストルーダである。上記の混練方法によって、成分(a)〜(d)を混練して成形体とすることができる。
次に、得られた成形体の表面を表面光沢度15%以上にする。表面光沢度15%以上とする方法としては、表面光沢度15%以上の表面を有する転写材の表面を転写する方法(表面転写法)、表面研磨する方法、表面コーティング法等が挙げられるが、これらの中でも、効率の点から表面転写法が好ましい。
表面転写法を行う方法としては、得られた成形体の成形体温度を50℃以上に加熱した状態で、JIS K7105に準拠する表面光沢度が15%以上である転写材の表面へ押圧した後、成形体温度50℃未満で、前記転写材の表面から前記成形体を引き離すことにより、JIS K7105に準拠する表面光沢度が15%以上である表面を有する成形体を得る方法が挙げられる。
表面光沢度が高い熱伝導性成形体を得るという観点から、押圧前の成形体温度は50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。
押圧した後に引き離す際の成形体温度は50℃未満であることが好ましい。50℃未満の温度で引き離すことにより、成形体の表面全体に渡り高い表面光沢度とすることができる。より好ましくは45℃以下であり、さらに好ましくは40℃以下である。
表面転写法で用いる転写材は、JIS K7105準拠した表面光沢度が15%以上である表面を有する材料であればよく、その種類は特に限定されない。具体的には、PETやPSといった樹脂製シートを使用できる。表面転写法に用いる転写材の表面光沢度は、より好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは40%以上である。
転写材の厚みは、熱伝導性成形体の変形を防ぐため、0.05ミリ以上が好ましい。より好ましくは0.1ミリ以上であり、とりわけ好ましくは0.15ミリ以上である。
転写材の転写面として、金属製鏡面仕上げロールやベルト状の金属シートを使用する場合は、その表面粗度は0.2s〜0.8sの範囲であることが好ましい。表面粗度とは、10点平均高さRzにより求めた粗度である。これは、断面曲線より基準長さ分を抜き取った部分において、最高から5番目までの山頂の標高の平均値と、最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差をマイクロメートル(μm)で表したものである。例えば、表面粗度0.2sとは、10点平均高さが0.2μmであり、表面粗度0.8sとは、10点平均高さが0.8μmである。
表面粗度が0.2s〜0.8sである金属ロールを使用することにより、表面光沢度15%以上の熱伝導性樹脂シートを得る上で好ましい。
表面粗度が0.2s以上であるものの使用は設備自体やその保守について経済的である。また、表面粗度が0.8s以下である高鏡面のものを使用することにより、熱伝導性成形体が転写材の表面(鏡面)に付着することを防止できる。
JIS K7105に準拠した表面光沢度15%以上の面を、熱伝導性成形体に押圧する際の、押圧の圧力と時間は特に限定されないが、例えば、表面光沢度70%の金属製シートを熱伝導性成形体に圧延ロールで押圧する場合の線圧は、20〜200kgf/cmの範囲であることが好ましい。線圧20kgf/cmとすることで十分な転写を行うことができ、熱伝導性成形体の表面光沢度が優れたものになる。また、線圧200kgf/cm以下とすることで、熱伝導性成形体が圧延ロールに付着して剥がれないという現象を効果的に防止できる。
圧延ロールと熱伝導性成形体の接触時間は特に限定されないが、0.01秒以上であることが好ましい。接触時間を長くするほうが熱伝導性成形体の表面光沢度が優れたものになるため好ましい。好ましくは1秒以上であり、より好ましくは4秒以上である。
<熱伝導性シート>
本実施形態の熱伝導性成形体は、用途に応じて厚さ0.1〜3mmのシート状に加工できる。加工方法は、特に限定されず、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形等によって加工できる。それらの中でも、連続的に成形でき、かつ巻き取りが可能な押出し成形やカレンダー成形が好ましい。なお、本実施形態における「シート」は、「フィルム」等とも呼ばれることがある。
Tダイ押出成形やカレンダー成形では、圧延ロールの表面粗度と温度、線圧、接触時間を制御することにより、熱伝導性シートの表面光沢度を制御できるため好ましい。
本実施形態の熱伝導性シートは、離型フィルムまたは転写式粘着フィルムを挟んでロールにして巻き取ることが可能である。シートの大きさは特に限定されず、用途に応じて加工できる。
好ましい製造方法としては、エクストルーダにより各成分を混練しながらTダイに押出しすることでシートを成形し、離型フィルムまたは転写式粘着フィルムとともにシート引取装置によって巻き取る方法が挙げられる。この時の押出条件としては、特に限定されず、熱伝導性成形体の成分や成形するシートの幅等によって異なる。押出機の好ましい設定温度は90〜190℃であり、好ましいスクリュー回転数は5〜80rpmであり、好ましいL/D比(スクリューの長さと直径比)は20以上である。
また、本実施形態の熱伝導性シートはUL94規格(Underwriters Laboratories Inc.の規格番号94)のV−0規格を満たしていることが好ましい。UL94規格は装置および器具部品用のプラスチック材燃焼性試験に関する規格であり、この規格を満たすことは難燃性が高い材料と分類される。
例えば、水酸化アルミニウムは200℃以上で分解して水を放出するため、水酸化アルミニウムを含有させた熱伝導性成形体に難燃性を付与できる。本実施形態の熱伝導性組成物は0.5mmのシートに加工したとき、UL94規格のV−0を満たす難燃性を有しつつ、熱伝導性と絶縁破壊特性に優れたものにできる。
本実施形態の熱伝導性シートを、電子部品や半導体装置の発熱部分と、放熱部品や放熱板等との間に挟むことによって、発生した熱を効率的に放出できる。これによって電子部品、半導体装置および表示装置等といった装置機器の熱劣化等を低減できるため、機器装置の故障を低減し、製品寿命を延ばすことができる。
本実施形態の熱伝導性シートを用いることができる機器装置類、部品・部材類としては、例えば、コンピュータのCPU(中央演算素子)、液晶バックライト、プラズマディスプレイパネル、LED素子、LED照明、有機EL素子、二次電池あるいはその周辺機器、電動機の放熱器、ペルチェ素子、インバータ、(ハイ)パワートランジスタ等が挙げられる。特に、LED−バックライト、LED照明等のLED関連部品は発熱が大きく、熱の不均一化が生じやすく、放熱・均熱させるための構造設計が必要であるが、例えば、LED基板裏に本実施形態の熱伝導性シートを貼り、さらに放熱板(アルミシャーシ等)を貼着することより放熱・均熱可能な構造設計が実現できる。
以下、実施例によって、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各成分は以下のものを使用した。
[原料]
<(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体>
(A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる水添共重合体は以下に示す手順で共重合体を得た。なお、得られた重合体の特性や物性の測定は次のようにして行った。
・共重合体の特性
(1)ビニル芳香族炭化水素の含有量:紫外分光光度計((株)島津製作所製、UV−2450)を用いて測定した。
(2)ビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロックの含有量:水添前の重合体を用い、I.M.Kolthoff,et al.,J.Polym.Sci.1,429,1946に記載の方法に準拠して測定した。
(3)ビニル結合量および水素添加率:核磁気共鳴装置(BRUKER社製、DPX−400)を用いて測定した。
(4)分子量および分子量分布:GPC(測定装置は、ウォーターズ製)で測定し、溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。なお、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から求めた平均分子量をいう。また,分子量分布は,得られた重量平均分子量と数平均分子量の比である。
(5)結晶化ピークおよび結晶化ピーク熱量:DSC(マックサイエンス社製、DSC3200S)で測定した。室温から30℃/分の昇温速度で150℃まで昇温させ、その後10℃/分の降温速度で−100℃まで降温して結晶化カーブを測定して結晶化ピークの有無を確認した。また、結晶化ピークがある場合、そのピークが出る温度を結晶化ピーク温度とし、結晶化ピーク熱量を測定した。
(6)動的粘弾性のtanδピーク:ARES(Rheometric Scientific社製)を用いて−70℃から3℃/分の昇温速度で180℃まで測定した。
・反応条件等
反応器:内容積が10Lの撹拌装置およびジャケット付き槽型反応器を用いた。
反応温度:重合中は70℃を保持した。水素添加反応中は65℃を保持した。
水素添加触媒:窒素置換した水素添加触媒調整用反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1Lを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mmolを添加した。充分に攪拌しながら、トリメチルアルミニウム200mmolを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて3日間反応させたものを用いた。
・反応手順
シクロヘキサン10質量部を反応器に仕込んで温度70℃に調整した。1段目反応として、n−ブチルリチウム0.076質量部、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、「TMEDA」と略記する。)をn−ブチルリチウム1molに対して0.4mol添加した。スチレン8質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を3分間かけて添加し、添加終了後30分間反応させた。
2段目反応として、1,3−ブタジエン48質量部とスチレン36質量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を60分かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、添加終了後30分間反応させた。
3段目反応としてスチレン8質量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を3分間かけて添加し、添加終了後30分間反応させ、共重合体を得た。
得られた共重合体に対し、上記水素添加触媒をチタン量換算で100質量ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水素添加反応を行った。
反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共重合体に対して0.3質量%添加し、水素添加共重合体を得た。
得られた水素添加共重合体の重量平均分子量は16.5×104、分子量分布は1.2、水素添加率は99%であった。
動的粘弾性測定の結果、tanδのピーク温度は−15℃に存在した。
DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。
3段目反応後に得られた水素添加前共重合体から求めたビニル芳香族単位の含有量は52質量%、ビニル芳香族からなる重合体ブロックの含有量は16質量%、1,3−ブタジエン部のビニル結合含有量は21質量%であった。
<熱可塑性エラストマー>
比較例の熱可塑性エラストマーとして、EPDM(ダウ・ケミカル(株)社製、商品名「NORDEL IP 4770R」)を使用した。表1にその含有量を示す。
<(B)熱伝導充填材(水酸化アルミニウム)>
(B)熱伝導性充填材として、水酸化アルミニウム(日本軽金属(株)製、商品名「BW53」、累積中位径:51μm)を使用した。表1にそれぞれの含有量を示す。
<(C)ゴム用軟化剤>
ゴム用軟化剤として、出光興産(株)製、商品名「ダイアナプロセスオイルPW−380(潤滑油基油、パラフィン系オイル)」を使用した。表1にその含有量を示す。
[シートの製造方法]
<混練>
表1の組成物を75Lニーダー((株)モリヤマ製、加圧型ニーダー DX75−150)を用いて、150℃で5分間混練した。得られた混練物を150℃のフィダールーダーで押出しペレットを得た。
<熱伝導性シート成形>
用いたロール構成の概略図を図1に示す。幅240mmのダイス1を装着した65φ押出機に、上記ペレットを投入し、温度120℃でTダイより押出した。押出シートを圧延する金属製ロールの構成は、表面光沢度70%の第1ロール4と、表面光沢度70%で0.1ミリ厚の金属製シートをベルト状(ベルト状金属シート3)に巻いた第2ロール5と第3ロール6とから成る。
第1ロール4、第2ロール5、第3ロール6の温度を表1に示す条件に設定し、第1ロール4と第2ロール5の間にTダイからの押出シートを導入し圧延した。圧延部での熱伝導性シート温度は100℃、ロール線圧は100kg/cmであった。
第1ロール4と第2ロール5で溶融した成形体2を圧延してシート状とし、第3ロール6を経てベルト状金属シート3から溶融した成形体2引き剥がすことにより、厚さ0.3ミリの熱伝導性シート7を得た。ベルト状金属シート3との分離点から4cmの温度測定位置8で、熱伝導性シート7の温度を熱電対温度計で測定した。得られた熱伝導性シート7の表面光沢度、熱抵抗、粘着性、ラミネート品の気泡の有無、突刺強度を表1に示す。
[測定方法]
<表面光沢度>
得られたシートを、50mm×50mm×0.3mm(厚さ)に切り出し、試験片とした。JIS K7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠し、多光源分光測色計(スガ試験機(株)製、MSC−5N)とデジタル変角光沢計(スガ試験機(株)製、UGV−5D)を用い、測色角度60度での60度鏡面光沢度を測定した。試験片の3箇所を測定し、その平均を求めた。
<熱抵抗>
得られたシートを10mm×10mm×0.3mm(厚さ)に切り出し、試験片とした。ASTM(American Society for Testing and Materials)D5470に準拠し、樹脂材料熱抵抗測定装置(日立製作所製)を用いて、測定温度30℃で、熱抵抗値を測定した。
<粘着性>
得られたシートを、100mm×100mm×0.3mm(厚さ)に切り出し、試験片とした。試験片を200mm×300mm×0.5mmのアルミ製鏡面板に貼り付けた。このアルミ製鏡面板を垂直に立て10分経過させた後、試験片が自重で剥がれるか否かを目視で確認した。評価は、剥がれなかったものを「○」とし、剥がれたものを「×」とした。
<ラミネート品の気泡>
得られたシートを、光沢面に低密度ポリエチレンの合紙(LDPE合紙)を挟んで240mm幅で10m巻き取った。これに、透明な2μm厚の粘着層を付与した厚さ25μmの透明粘着ポリエチレンテレフタレートシート(透明粘着PETシート)を合わせてラミネートした。
ラミネートは、まず、熱伝導性シートのLDPE合紙を剥がしながら、その面が透明粘着PETシート上の粘着層と重なるように重ね合わせた。次いで、重ね合わせたシートを、温度50℃、線圧0.25kg/cmに調整したスチールロール/弾性ロールの2本ロールに通してラミネートをして、ラミネート品とした。
ラミネート後、ラミネート品の両端部をカッターでトリミングし、210mm幅に調整した。210mm幅のラミネート品1mを採取し、透明粘着PETシート面側から、内部に存在する1mmφ以上の気泡が含まれる個数を目視によって、計測した。
評価は210mm×1000mmの単位面積あたりの気泡数が10個以下のものを「○」とし、10個以上のものを「×」とした。
<突刺強度>
得られたシートを、100mm×100mm×0.3mm(厚さ)に切り出し、試験片とした。試験片を固定し、固定した試験片の表面に直径1.6mmφ、先端形状の半径が0.8mmである半円形の針を、速度100mm/分で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を測定した。試験装置(材料試験機)は、オートグラフ((株)島津製作所製、AGS−1KNJ)を使用した。
[実施例1]
表1に示す配合で、圧延ロール温度60℃で圧延し、60度表面光沢度が30%の熱伝導性シートを製造した。得られた熱伝導性シートの熱抵抗、粘着性、ラミネート品の気泡数の評価、突刺強度をそれぞれ測定・評価した。
[実施例2]
熱伝導性充填材の配合を85質量%とし、表1に示す配合で、圧延ロール温度60℃で圧延し、60度表面光沢度が20%の熱伝導性シートを製造した。得られた熱伝導性シートの熱抵抗、粘着性、ラミネート品の気泡数の評価、突刺強度をそれぞれ測定・評価した。
[実施例3]
熱伝導性充填材の配合を60質量%とし、表1に示す配合で、圧延ロール温度60℃で圧延し、60度表面光沢度が30%の熱伝導性シートを製造した。得られた熱伝導性シートの熱抵抗、粘着性、ラミネート品の気泡数の評価、突刺強度をそれぞれ測定・評価した。
[比較例1]
水添共重合体をEPDMに変更したほかは、実施例1と同条件で、圧延ロール温度60℃で圧延し、60度表面光沢度が10%の熱伝導性シートを製造した。得られた熱伝導性シートの熱抵抗、粘着性、ラミネート品の気泡数の評価、突刺強度をそれぞれ測定・評価した。
[比較例2]
圧延ロール温度を40℃に変更したほかは、実施例1と同条件で、表1に示す配合で、60度表面光沢度が8%の熱伝導性シートを製造した。得られた熱伝導性シートの熱抵抗、粘着性、ラミネート品の気泡数の評価、突刺強度をそれぞれ測定・評価した。
実施例1〜3はいずれも、表面光沢度が15%以上であり、低熱抵抗性、粘着性、ラミネート性、突刺強度に優れた熱伝導性シートであった。
一方、比較例1、2は、表面光沢度が10%、8%であり、粘着性もなく、ラミネート性、突刺強度とも不十分であった。
以上より、本実施例によれば、本実施形態の熱伝導性成形体および熱伝導性シートは、低熱抵抗性、粘着性、ラミネート性に優れるだけでなく、発熱体と接触時の突刺強度にも強く優れていることが示された。
本発明の熱伝導性成形体および熱伝導性シートは、低熱抵抗性、粘着性、突刺強度に優れるため、幅広い用途に用いることができる。例えば、発熱体と放熱体との間に設ける部品等として用いることができ、電気機器および電子機器の内部の電子基板上のIC、CPU、LED、LSI等の半導体素子に密着させる部材としても用いることができる。
1 ダイス
2 溶融した成形体
3 ベルト状金属製シート
4 第1ロール
5 第2ロール
6 第3ロール
7 熱伝導性シート
8 温度測定位置

Claims (9)

  1. (A)共役ジエン単位とビニル芳香族単位からなる共重合体に水素を添加してなる下記(a)〜(d)を満たす水添共重合体と、(B)熱伝導性充填材と、を含む樹脂組成物を加熱溶融して成形体とする工程、及び、
    前記成形体を、成形体温度50℃以上で、JIS K7105に準拠する表面光沢度(60度鏡面光沢度)が15%以上である転写材の表面へ押圧した後、成形体温度50℃未満で、前記転写材の表面から前記成形体を引き離すことにより、JIS K7105に準拠する表面光沢度(60度鏡面光沢度)が、15%以上である表面を有する成形体を得る工程、を含む熱伝導性成形体の製造方法。
    (a)ビニル芳香族化合物の含有量が50質量%を越え、90質量%以下、
    (b)ビニル芳香族化合物重合体ブロックの量が40質量%以下、
    (c)重量平均分子量が5万〜100万、
    (d)共役ジエン化合物に基づく二重結合の10%以上が水添されている。
  2. 成形体中における、前記(B)成分の含有量が40〜95体積%である、請求項1に記載の熱伝導性成形体の製造方法。
  3. 前記(B)成分は、水酸化アルミニウムである、請求項1又は2に記載の熱伝導性成形体の製造方法。
  4. さらに、(C)ゴム用軟化剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱伝導性成形体の製造方法。
  5. 前記(A)成分と前記(C)成分の合計量に対する、前記(C)成分の含有量が、50質量%以下である、請求項4に記載の熱伝導性成形体の製造方法。
  6. 前記(A)成分中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が10質量%未満である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱伝導性成形体の製造方法。
  7. 前記(A)成分中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が10〜40質量%である、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱伝導性成形体の製造方法。
  8. 前記(B)成分が、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物および金属炭化物からなる群から選ばれるいずれか1つを含む、請求項1、2、4〜7のいずれか一項に記載の熱伝導性成形体の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法により得られる熱伝導性成形体をシート状に成形してなる熱伝導性シート。
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