図4に示すように、電柱101に固定された腕金102に架空電線103が架設されている。腕金102には、架空電線103を支持するピン碍子104が取り付けられている。また、腕金102から離れた位置で、架空電線103がカバー105に覆われた引留クランプ(図示せず)に保持されている。そして、引留クランプと腕金102との間に耐張碍子110a,110bとストラップ106とが接続されている。
耐張碍子110a,110bは、図示したように2本直列に接続される場合以外に、3本以上又は1本のみ接続される場合がある。ここでは、クランプ側耐張碍子110aとストラップ側耐張碍子110bとが接続されている場合について説明する。
いずれの耐張碍子110a,110bも、連結穴を形成した連結軸111が一端部から突出し、他端部112を先割れ形状としている。この他端部112には、縦方向の溝部と交差する横方向のコッタピン用穴が形成されている。
そして、クランプ側耐張碍子110aの連結軸111の連結穴を使用して、クランプ側耐張碍子110aと引留クランプとが連結されている。
そして、クランプ側耐張碍子110aの溝部内にストラップ側耐張碍子110bの連結軸111が挿し込まれ、クランプ側耐張碍子110aのコッタピン用穴とクランプ側耐張碍子110aの連結穴とが連通し、両穴をコッタピン113が貫通することで、クランプ側耐張碍子110aとストラップ側耐張碍子110bとが連結されている。
また、ストラップ106の両端部には、連通穴が形成されている。そして、ストラップ106は、2枚一組で使用され、一端部が縦向きに重ね合わされてストラップ側耐張碍子110bの溝部内に挿し込まれ、中間部で捻られ、他端部112が横向きに離間して腕金102を挟んでいる。
そして、ストラップ側耐張碍子110bの溝部内に挿し込まれたストラップ106の連通穴とストラップ側耐張碍子110bのコッタピン用穴とが連通し、この連通穴とコッタピン用穴をコッタピン113が貫通することで、ストラップ側耐張碍子110bとストラップ106とが連結されている。
コッタピン113は、図5に示すような軸状部材であり、一端部には、抜止用の鍔部113aが形成され、他端側には、貫通孔113bが形成されている。この貫通孔113bに割ピン120が挿通されている。コッタピン113の鍔部113aと割ピン120とが耐張碍子110a,110bの先割れの他端部112の両外面とを挟むことで、コッタピン113がコッタピン用穴及び連結穴から、また、コッタピン用穴及び連通穴から抜けないようにされている。
割ピン120は、図5に示すように、軸状部材を中心又はほぼ中心で二つ折りにし、同一方向に延びて向き合った2本の脚部121,121の各端部を頭部122で連結したヘアピンのような形状をしている。頭部122は、一方の脚部121の外面と他方の脚部121の外面との間隔である外寸よりも拡径され、内側に孔123が設けられている。この孔123は、2本の脚部121,121の間隙124に連続している。また、2本の脚部121,121は、先端側が若干拡開している。また、一方の脚部121の先端部には、外向きに若干膨出した係止部125が設けられている。
そして、耐張碍子110a,110bを交換するなどの工事においては、割ピン120をコッタピン113の貫通孔113bから引き抜く。続いて、コッタピン113をクランプ側耐張碍子110aのコッタピン用穴及びストラップ側体張碍子110bの連結穴から引き抜き、さらに、コッタピン113をストラップ側耐張碍子110bのコッタピン用穴孔及びストラップ106の連通穴から引き抜く。こうすることで、クランプ側耐張碍子110aとストラップ側耐張碍子110bとを分離し、また、ストラップ側耐張碍子110bとストラップ106とを分離する。
さらに、架空電線103の末端延長工事など、ストラップ側耐張碍子110bをストラップ106に締結する工事においては、ストラップ側耐張碍子110bのコッタピン用穴及びストラップ106の連通穴にコッタピン113を挿通し、このコッタピン113の貫通孔113bに割ピン120を挿通する。
なお、特許文献1には、ストラップ側耐張碍子110bとストラップ106とを連結しているコッタピン113の貫通孔113bに、割ピン120を挿し込むための割ピン取付具、及び、割ピン120を引き抜くための割ピン取外具が記載されている。この割ピン取付具及び割ピン取外具は、間接活線把持工具の絶縁棒の先端に備えられた把持部に把持されることで、停電させることなく工事することを可能にしている。
この割ピン取付具は、割ピン120よりも弾性係数が小さく変形しやすいクロロプレンゴムによって、平板状の基部の一端に延出部を延設した段差付きの角型形状に形成されている。基部は、幅広薄肉の直方体状で、間接活線把持工具の把持部に把持される。延出部は、幅狭厚肉の直方体状で、割ピン120の頭部122を挿入する保持孔が基部と反対面から形成されている。
このような割ピン取付具によって割ピン120をコッタピン113の貫通孔113bに挿し込むには、予め、作業者が割ピン120の頭部122を割ピン取付具の保持孔内に挿入し、割ピン120の脚部121,121を延出部から突出させておく。そして、間接活線把持工具の把持部が割ピン取付具の基部を把持し、割ピン120の脚部121,121をコッタピン113の貫通孔113bにアプローチし、コッタピン113の貫通孔113bに挿通する。割ピン120の係止部125がコッタピン113の貫通孔113bの開口部周縁で係止される。
その後、割ピン取付具を引っ張る。割ピン取付具が割ピン120よりも変形しやすいため、また、割ピン120の係止部125がコッタピン113の貫通孔113bの開口部周縁で係止されているため、割ピン120が貫通孔113bに残り、割ピン取付具が割ピン120から外れる。
また、割ピン取外具は、針金を曲げて成形した鉤状の引掛部を先端部に成形したものとされている。このような割ピン取外具によってコッタピン113の貫通孔113bに挿通された割ピン120を外すには、間接活線把持工具の把持部が割ピン取外具の基端部を把持し、割ピン取外具の引掛部を割ピン120の頭部122に引っ掛け、間接活線把持工具を引っ張ることで、割ピン120をコッタピン113の貫通孔113bから引き抜く。
特許文献1に記載された割ピン取付具は、割ピン120の頭部122を挿入する保持孔を形成している。すなわち、割ピン120の2本の脚部121,121は、保持孔内に挿入されず、延出部から一定の方向を向いて突出しない。したがって、割ピン120の向きと間接活線把持工具の絶縁棒の向きとが一致しなくなることがある。そうすると、作業者は、間接活線把持工具の絶縁棒の向きを割ピン120の向きに合わせなければならず、面倒な作業となる。
また、割ピン取外具は、引掛部を鉤状に曲げただけである。したがって、引掛部に引っ掛けられて、コッタピン113の貫通孔113bから引き抜かれた割ピン120は、引掛部から脱落しやすくなっている。脱落した割ピン120を探す時間が無駄になるだけでなく、割ピン120が脱落することで、下方周辺に危険を及ぼすこともある。
また、割ピン取付具と割ピン取外具とが別部材であると、携行性がよいものとならない。
そこで、本発明は、間接活線作業によって、作業性よく、割ピンをコッタピンの貫通孔から引抜き可能、かつ、この貫通孔に挿し込み可能にしたコッタピン用割ピンの着脱工具を提供することを課題とする。
本発明に係るコッタピン用割ピンの着脱工具は、同一方向に延びて向き合った2本の脚部の各端部を頭部で連結した割ピンを、コッタピンに形成された貫通孔に挿し込んだり引き抜いたりするためのコッタピン用割ピンの着脱工具であって、前記割ピンの頭部に掛止する、曲げられた懐部を有するフックと、前記割ピンの2本の脚部を入れる切欠部を有し、かつ、前記フックの懐部の外側の第1位置と該第1位置から離れた第2位置とに変位する支持部と、前記フックの懐部の内側に入る閉口位置と該閉口位置から離れた開口位置とに変位する抜止部材とを備えていることを特徴としている。
このコッタピン用割ピンの着脱工具によれば、コッタピンの貫通孔に挿し込まれた割ピンを引き抜く際に、フックの懐部を割ピンの頭部の孔に通すことで、フックが割ピンの頭部を引っ掛け、抜止部材がフックの懐部の内側の閉口位置に進入した状態にする。フックを引っ張ることで、コッタピンの貫通孔に挿し込まれた割ピンがその貫通孔から引き抜かれる。このとき、抜止部材がフックの懐部の内側の閉口位置に進入していることにより、割ピンはフックから脱落することなく作業者の方に引き寄せられる。
そして、コッタピンの貫通孔に割ピンを挿し込む際は、割ピンの2本の脚部を支持部の切欠部に予め挟み込んでおき、この支持部をフックの懐部の第1位置に位置させ、割ピンの頭部の孔にフックの懐部を通し、フックの懐部の内側の閉口位置に抜止部材を進入させる。したがって、割ピンがフックから脱落しないように引っ掛けられ、割ピンの脚部をコッタピンの貫通孔に向けてアプローチすることができる。そして、割ピンがコッタピンの貫通孔に挿し込まれた後、支持部の切欠部を割ピンの2本の脚部から外れるように、支持部を第2位置に変位させるとともに、抜止部材がフックの懐部の内側から退出した開口位置に変位させる。
また、前記コッタピン用割ピンの着脱工具の一態様として、中間部を支点に揺動するアームを備え、該アームの揺動に追従するように前記支持部と前記抜止部材とがアームに取り付けられている構成を採用することができる。
このコッタピン用割ピンの着脱工具によれば、アームが揺動することにより、アームに取り付けられた支持部材がフックの懐部の外側の第1位置に位置するとともに、抜止部材がフックの懐部の内側の閉口位置に進入し、そして、逆に、支持部材が第2位置に変位するとともに、抜止部材がフックの懐部の内側から退出した開口位置に変位する。このように、このコッタピン用割ピンの着脱工具は、支持部材の変位及び抜止部材の変位をアームの揺動に追従させることができる。
また、前記コッタピン用割ピンの着脱工具の他態様として、前記アームが揺動可能に入れられる溝部を形成したベースであって、前記アームの中間部を軸支するベースを備えている構成を採用することができる。
このコッタピン用割ピンの着脱工具によれば、アームがベースによってガードされ、損傷しにくいようにするとともに、アームの幅方向の振れがベースによって規制され、アームが所期の方向で揺動する。さらに、このコッタピン用割ピンの着脱工具は、ベースをアタッチメントとして、間接活線工具の絶縁棒の先端に取り付けることができる。
また、前記コッタピン用割ピンの着脱工具の他態様として、間接活線工具の絶縁棒に併設された補助棒の先端部と前記アームの基端部とが軸支されている構成を採用することができる。
このコッタピン用割ピンの着脱工具によれば、アームの基端部が間接活線工具の絶縁棒に併設された補助棒の先端部に軸支されていることにより、補助棒を操作することで、アームを揺動させることができる。
また、前記コッタピン用割ピンの着脱工具の他態様として、前記フックは、懐部の向きを変更可能とした構成を採用してもよい。
このコッタピン用割ピンの着脱工具によれば、割ピンの頭部の孔を切欠部の切欠方向と直交するように向けて割ピンの2本の脚部が切欠部に嵌め込んでも、あるいは、割ピンの頭部の孔を切欠部の切欠方向に向けて割ピンの2本の脚部を切欠部に入れても、その向きに合わせてフックの懐部の向きを変更し、フックの懐部を割ピンの頭部に引っ掛けることができる。
割ピンは、一般的に一方の脚部の外面と他方の脚部の外面との間隔である外寸の方が割ピンの脚部の幅よりも大きいため、切欠部は長辺と短辺を有する長方形状に形成される。そして、割ピンをコッタピンの貫通孔から引き抜くときは、割ピンを切欠部内に入れやすいように、割ピンの頭部の孔を切欠方向に直交して切欠部に入れられる。一方、割ピンをコッタピンの貫通孔に挿し込むときは、2本の脚部の間隔を狭くするため、割ピンの頭部の孔を切欠方向に向けて切欠部に入れられる。
要するに、長方形状の切欠部から割ピンを抜いたり入れたりする場合にあっては、割ピンの頭部の孔の方向が90°転換する。したがって、フックの懐部を割ピンの頭部の孔に通すに際して、フックの懐部の向きを割ピンの頭部の孔の向きに合わせて転換しなければならない。
このコッタピン用割ピンの着脱工具によれば、割ピンの頭部の孔の向きに合わせてフックの懐部の向きを変更することができるため、切欠部に嵌め込まれた割ピンの頭部の孔がどちらの方向を向いていても、フックの懐部を割ピンの頭部の孔に通して引っ掛けることができる。
また、前記コッタピン用割ピンの着脱工具の他態様として、前記支持部の切欠部は、開口側の幅広部と、該幅広部に連続する奥側の狭窄部とを備え、前記幅広部は、2本の脚部の間隔を狭めない幅を有し、前記狭窄部は、割ピンの2本の脚部の間隔を狭める幅を有している構成を採用することができる。
このコッタピン用割ピンの着脱工具によれば、切欠部が幅広部と狭窄部とを有していることにより、割ピンの向きを転換することなく、割ピンをコッタピンの貫通孔に通すことができる。すなわち、コッタピンの貫通穴に挿し込まれた割ピンを引き抜くときは、コッタピンの2本の脚部を切欠部の幅広部に入れる。
そして、割ピンをコッタピンの貫通孔に挿し込むときは、割ピンの2本の脚部を切欠部の狭窄部に挟み、2本の脚部の間隔を狭める。いずれであっても、割ピンの頭部の孔が同一方向を向いているため、フックの懐部の向きを転換することなく、フックは割ピンの孔状部に通して頭部を引っ掛けることができる。
また、前記コッタピン用割ピンの着脱工具の他態様として、前記狭窄部には、割ピンの脚部が抜けやすいように嵌められる凹部が形成されている構成を採用することができる。
このコッタピン用割ピンの着脱工具によれば、狭窄部に形成された凹部に割ピンの脚部が嵌められることで、切欠部に入れられた割ピンが位置ずれしないようにすることができる。そして、割ピンの脚部が凹部から抜けやすくされているため、割ピンをコッタピンの貫通孔に挿し込んだ後、支持部を第1位置から第2位置に変位しやすくすることができる。
本発明によれば、間接活線作業によって、作業性よく、割ピンをコッタピンの貫通孔から引抜き可能、かつ、この貫通孔に挿し込み可能にしたコッタピン用割ピンの着脱工具を提供することができる。
本発明に係るコッタピン用割ピンの着脱工具の第1の実施形態について図1及び図2を参照しながら説明する。なお、コッタピン113及び割ピン120は、背景技術で説明したものと同じであり、同一符号を付して説明する。
このコッタピン用割ピンの着脱工具(以下、主として「着脱工具」という。)は、図1に示すように、フック10、支持部20、アーム30、ベース40、抜止部材50を備えている。
フック10は、図2に示すように、線条体を曲げた懐部11を有し、線条体の先端部12側を開口したものとしている。図示した懐部11は、円弧状に曲げられているが、「コ」字状に曲げられても、「レ」字状に曲げられても、「L」字状に曲げられてもよい。いずれにしても、フック10は、懐部11を割ピン120の頭部122の孔123に通し、割ピン120を引っ掛けた状態と、懐部11を割ピン120の孔122から抜いて、割ピン120を外した状態とされる。
そして、支持部20は、図1に示すように、板状部材の一辺に切欠部21を形成したもので、この切欠部21内に割ピン120の2本の脚部121,121が入れられる。切欠部21は、周縁側の幅広部21aと、この幅広部21aの奥端から延長された狭窄部21bとを有している。
幅広部21aの幅は、開口側が大きく、狭窄部21b側へ次第に狭くなるテーパ面を有するように形成され、幅広部21aの開口側の幅は、割ピン120の2本の脚部121,121の外寸よりも大きくされている。このような幅広部21a内に、割ピン120の頭部122の孔123が切欠方向を向くように入れられる。
そして、狭窄部21bの中間には、一対の凹部21c,21cが形成されている。この各凹部21c,21cは、割ピン120の各脚部121,121を入れる「コ」字状に形成されている。割ピン120の脚部121,121がこの凹部21c,21cに入れられることにより、各脚部121,121の間隔が狭められる。
また、この凹部21c,21cに入れられた脚部121,121が幅広部21a側へスムーズに抜け出るように、凹部21c,21cと幅広部21aとの境界部は、円弧状に形成されている。なお、凹部21c,21cは、「コ」字状でなく、脚部121,121を軽く係止する「V」字状などに形成してもよい。
この支持部20は、図2(b)に示すように、前記フック10の懐部11に向き合う第1位置Xと、図2(a)に示すように、第1位置Xから離れる第2位置Yとに変位する。支持部20は、板状のアーム30の先端部31に固定され、アーム30が揺動することで変位する。アーム30は、ベース40に軸支されて揺動する。
ベース40は、間接活線工具の絶縁棒1の先端部に取り付けられる柱状体(図面では円柱状体であるが、角柱状体であってもよい。)であり、絶縁棒1の先端部を取り付けるアタッチメントとしても使用される。
ベース40の端面には、アーム30の幅よりも若干広い幅の溝41が形成されている。この溝41は、端面の直径を通るラインに形成されている。この溝41内にアーム30の中間部が入れられ、アーム30の中間部が溝41内で軸支されている。
アーム30の基端部32は、溝41から突出し、間接活線工具の絶縁棒1に併設された補助棒2の先端部に軸支される。補助棒2は、長さ方向に往復動するため、アーム30の基端部32も補助棒2の往復動に追従し、アーム30を揺動させる。
アーム30の先端部31は、鈍角に折曲され、溝41から突出している。また、アーム30の先端部31には、直角向きに支持部20が設けられている。アーム30が揺動することにより、支持部20がベース40の端面と対向する第1位置Xと、支持部20がベース40の側方に位置する第2位置Yとに変位する。支持部20の切欠部21は、第1位置Xにおいてフック10の懐部11と対向する。
そして、抜止部材50は、図2(b)に示すように、前記フック10の懐部11の内側に入る閉口位置Aと、図2(a)に示すように、フック10の先端部12側を開口させる開口位置Bとの間を進退するように変位する。
フック10が割ピン120の頭部122を引っ掛けた状態において、抜止部材50が閉口位置Aに進入することで、割ピン120がフック10から外れないようにされている。また、抜止部材50が開口位置Bに退出することで、フック10に引っ掛けられた割ピン120をフックから外すことができる。
この抜止部材50は、ベース40の端面の中心で進退する。しかし、ベース40の端面の直径を通るラインには、溝41が形成されている。したがって、ベース40の端面の中心には、溝41を跨ぐような台座51が取り付けられている。台座51の中心に貫通孔が形成され、この貫通孔を抜止部材50が進退自在に貫通している。また、前記フック10の基端部13も、この台座51に固定されている。
この着脱工具は、以上のように構成され、次に、コッタピン113の貫通孔113bに挿し込まれた割ピン120を引き抜く方法について説明する。まず、間接活線工具の絶縁棒1を持ち上げ、図2(a)に示すように、着脱工具を割ピン120にアプローチする。着脱工具のフック10の懐部11が割ピン120の頭部122の孔123に向けられる。また、支持部20が第2位置Yに位置し、抜止部材50が開口位置Bに位置するように、アーム30が傾斜している。
そして、図2(b)に示すように、フック10の懐部11を割ピン120の頭部122の孔123に通し、アーム30を反対方向に傾斜させることで、支持部20が第1位置Xに変位し、抜止部材50が閉口位置Aに変位する。また、割ピン120の2本の脚部121,121が切欠部21の幅広部21a内に入る状態となる。幅広部21aの幅が2本の脚部121,121の外寸よりも大きいため、2本の脚部121,121は、切欠部21の幅広部21a内に容易に入る。
そして、間接活線工具の絶縁棒1を引っ張ることで、着脱工具をコッタピン113から離間させ、割ピン120をコッタピン113の貫通孔113bから引き抜く。フック10の開口側が抜止部材50によって閉じられているため、割ピン120は、フック10の開口側から脱落することなく、作業者の手元の方に引き寄せられる。
次に、割ピン120をコッタピン113の貫通孔113bに挿し込む方法について説明する。割ピン120の各脚部121,121を支持部20の切欠部21の狭窄部21bに形成された凹部21c,21cに嵌め込む。割ピン120の2本の脚部121,121は、支持部20の狭窄部21bによって支持部20に対して直交方向の姿勢が規制される。この割ピン120の2本の脚部121,121の間隔は、先端側で狭くされる。ただし、割ピン120の頭部122の孔123は、割ピン120を抜くときと同じく、切欠部21の切欠方向を向いている。
したがって、支持部20を第1位置Xに位置させることで、フック10は、割ピン120を抜くときと同じ向きで、頭部122の孔123に懐部11を通すことができる。なお、支持部20が第1位置Xに位置した状態で、支持部20の切欠部21に割ピン120の2本の脚部121,121を嵌め込んでもよい。
また、支持部20が第1位置Xに位置することによって、抜止部材50も閉口位置Aに位置する。したがって、割ピン120は、フック10の開口側から脱落することなく、コッタピン113の貫通孔113bにアプローチすることができる。また、割ピン120は、切欠部21の凹部21c,21cに嵌め込まれて姿勢が規制されているため、2本の脚部121,121がコッタピン113の貫通孔113bに向けられている。
しかも、割ピン120の2本の脚部121,121の先端側の間隔が切欠部21の凹部21c,21cによって狭くされている。したがって、割ピン120の2本の脚部121,121は、間接活線工具の絶縁棒1を上昇させることで、着脱工具がコッタピン113の貫通孔113b内に挿し込まれる。
そして、割ピン120の一方の脚部121に形成された係止部125がコッタピン113の貫通孔113b内に挿し込まれ、2本の脚部121,121の間隔が狭くなった状態で、アーム30を傾斜させ、支持部20を第2位置Yに変位させ、支持部20材の切欠部21を割ピン120の脚部121,121から外すとともに、抜止部材50を開口位置Bに変位させる。この状態において、フック10の懐部11を割ピン120の頭部122の孔123から引き抜く。
最後に、割ピン120の一方の脚部121に設けられた係止部125をコッタピン113の貫通孔113bから突出させ、貫通孔113bの開口縁に引っ掛かる状態にすることで、割ピン120をコッタピン113の貫通孔113bに挿し込む操作が終了する。
次に、本発明に係るコッタピン用割ピンの着脱工具の第2の実施形態について図3を参照しながら説明する。第2の着脱工具は、支持部20に形成する切欠部21を一定幅とし、フック10の懐部11の向きが90°転換するようしたことを特徴としている。
切欠部21は、2本の脚部121,121の間隔を狭くする幅を有する長方形状に形成されている。すなわち、切欠部21の幅(短辺の長さ)は、1本の脚部121の幅よりも広く、2本の脚部121,121の間隔を狭くする長さとされている。したがって、この切欠部21に入れられる割ピン120は、頭部122の孔123が切欠方向に直交する方向と切欠方向との90°の角度で2方向に入れられる。
これに対応して、フック10の懐部11の向きが90°転換するように、フック10の基端部13を固定する台座51が90°だけ、すなわち、四分一回転できるものにされている。
そして、第2の実施形態の着脱工具も、第1の実施形態のように、台座51を設置するベース40が間接活線工具の絶縁棒1の先端部に取り付けられ、絶縁棒1に併設された補助棒2を操作することによってアーム30が揺動する。
このような着脱工具によって、コッタピン113の貫通孔113bに挿し込まれた割ピン120を引き抜くには、第1の実施形態と同様、間接活線工具の絶縁棒1を持ち上げ、着脱工具を割ピン120にアプローチする。次に、フック10の懐部11を割ピン120の頭部122の孔123に通し、フック10を割ピン120の頭部122に引っ掛けた状態とする。
次に、間接活線工具の補助棒2を操作して、図3(a)に示すように、支持部20を第1位置Xに位置させ、支持部20の切欠部21内に割ピン120を入れる。割ピン120は、頭部122の孔123が切欠方向と直交する向きに入れられる。切欠部21は、その長辺と割ピン120の脚部121,121の側面との間に隙間が生じる大きさに形成されているため、割ピン120の脚部121,121を支持部20の切欠部21内に容易に入れることができる。
また、支持部20が第1位置Xに位置すると同時に、抜止部材50が閉口位置Aに位置する。そして、間接活線工具の絶縁棒1を引っ張ることで、着脱工具をコッタピン113から離間させ、割ピン120をコッタピン113の貫通孔113bから引き抜く。割ピン120は、抜止部材50によってフック10から脱落することなく、作業者の手元の方に引き寄せられる。
そして、割ピン120をコッタピン113の貫通孔113bに挿し込むときは、図3(b)に示すように、割ピン120の頭部122の孔123が切欠方向を向くように入れる。この割ピン120の2本の脚部121,121は、切欠部21の長辺と長辺とに挟まれることによって、間隔が狭くされる。
そして、支持部20が第1位置Xに位置し、抜止部材50が閉口位置Aに位置した状態とし、間接活線工具の絶縁棒1を上昇させ、割ピン120をコッタピン113の貫通孔113bに挿し込む。
そして、第1の実施形態で説明したように、支持部20を第2位置Yに変位させ、抜止部材50を開口位置Bに変位させ、フック10の懐部11を割ピン120の頭部122の孔123から引き抜く。最後に、割ピン120の一方の脚部121に設けられた係止部125をコッタピン113の貫通孔113bから突出させ、貫通孔113bの開口縁に引っ掛かる状態にすることで、割ピン120をコッタピン113に挿し込む操作が終了する。
なお、本発明は、前記実施の形態に限定することなく、種々変更することができる。例えば、第1の実施形態で説明した支持部20の切欠部21は、狭窄部21bに凹部21c,21cを設けない、すなわち、狭窄部21bの幅を一定の幅としてもよい。ただし、この場合の狭窄部21bは、割ピン120の2本の脚部121,121の間隔を狭める幅とされる。また、幅広部21aは、テーパ面でなく、平行な面としてもよい。
また、ベース40は、溝41を形成せず、アーム30を支持する支柱を突設することで、アーム30を揺動自在としてもよい。さらに、支持部20と抜止部材50は、アーム30の揺動に追従せず、独立して、変位するようにしてもよい。この場合、抜止部材50は、流体によって往復動するピストンロッドに連結してもよい。
また、第1の実施形態では、第2の実施形態のように、フック10の懐部11の向きを転換する必要はないが、使用状況によっては、フック10の懐部11の向きを転換するようにしてもよい。この場合、第1の実施形態における台座51が四分の1回転するように構成される。