JP5462435B2 - ダイカスト電気溶解炉ヒータの監視方法及び監視装置 - Google Patents
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Description
このように、溶融材料を溶解状態に保持するため、溶融材料(溶湯)を加熱するための熱電対で構成されたヒータが必要となる。
しかし、この保護管は、前述の通り、溶湯の高い熱エネルギーに曝されるため、高い耐久性が要求される。
また、電気溶解炉内部の温度等の状態は、常に監視されており、監視された温度でヒータへの通電を制御し、異常加熱を防止し、寿命低下や寿命時期の安定性が図られている(例えば、特許文献2)。
このように、特許文献1の技術においては、筒状剛性部材を溶湯と接触する面に配設することにより、ヒータチューブを保護して、接触事故やスパーク、穴あきを等の発生を防止している。
また、特許文献2には、浸漬式棒状ヒータの通電制御方法が開示されている。
特許文献2の技術においては、溶湯の温度分布差による棒状ヒータの加熱を防止するための通電方法が開示されたものである。
つまり、棒状ヒータから離隔して配設される溶湯温度検出器と、先端感温部がヒータ保護管内部に挿入された局部温度検出器を備え、この溶湯温度検出器と局部温度検出器とはリレー接続されている。この溶湯温度検出器と局部温度検出器との検出値により、棒状ヒータのオンオフを行う。
このように、制御されるため、熱容量の大きな溶湯の熱対流の遅れに起因する溶湯温度検出器の感応遅れを補い、棒状ヒータ及びヒータ保護管の異常過熱を防止することができるので、異常過熱が原因となっていた棒状ヒータ及びヒータ保護管の寿命低下や寿命時期の不安定さを解消することができる。
例えば、ヒータ保護管に穴があくと、溶融材料(アルミニウム溶材等)が、この穴から浸入し、複数のヒータ線がショートし、電源ブレーカが切れて炉内温度が低下するという不具合が生じる。
このようにヒータ保護管が劣化した場合、このヒータ保護管を新たなものに交換する必要があるが、この交換作業は、保全工数(通常、8時間×3人程度)がかかり、設備稼働率の低下を招く。
また、このようなヒータ保護管の劣化による不具合は、突発的に発生するものであり、ライン稼働中に生じると問題が大きいが、劣化状態の定期的確認は、高温環境であることや開口部が狭小であるという環境から、実施困難であるのが実情である。
つまり、ヒータ保護管に穴や亀裂等が形成されている場合には、この間隙から圧力がリークする。
このため、このリークした圧力を測定することにより、ヒータ保護管に形成された穴や亀裂等の有無、すなわちヒータ保護管の劣化状態を予測することができる。
また、このヒータ保護管の劣化度合いにより、リークする圧力の程度が異なるため、この圧力を測定することによって、ヒータ保護管の劣化度合もまた予測することができる。
更に、異常を検知した場合に、異常報知が行われるため、視覚的に確実に異常を捉えることができる。
つまり、ヒータ線が短絡している場合に生じる、三相交流各相のメータリレーのオン・オフのタイミングのズレを検出することにより、ヒータ線の短絡を検知することができる。
このため、ヒータ線の劣化状態を予測することができるとともに、このばらつきの程度によって、ヒータ線の短絡度合もまた予測することができる。
更に、異常を検知した場合に、異常報知が行われるため、視覚的に確実に異常を捉えることができる。
このため、2つの指標から、ヒータの劣化状況を予測することができる。
すなわち、ヒータ保護管の劣化と、ヒータ線の短絡とを双方検出することができ、より確実に電気溶解炉ヒータの監視を行うことができる。
つまり、ヒータ保護管は劣化しているけれども、若干の猶予がある段階である。
また、第2の異常報知が行われる場合というのは、ヒータ保護管には穴や亀裂が生じているとともに、ヒータ線の短絡まで起こっている場合である。
つまり、猶予のない状態である。
前者の場合には、緊急にラインを停止する必要はないと考えられるため、近日中にヒータ保護管若しくは電気溶解炉ヒータの交換を行うよう促せばよいが、後者の場合には、緊急にラインを停止してヒータ保護管若しくは電気溶解炉ヒータの交換を行う必要がある。
このように、本発明では、複数の指標により、電気溶解炉ヒータの劣化の緊急度を階層的に報知することができる。
更に、異常を検知した場合に、異常報知手段による報知が行われるため、視覚的に確実に異常を認知させることができる。
このように、本発明では、複数の報知手段により、電気溶解炉ヒータの劣化の緊急度を階層的に報知することができる。
また、その監視による結果より、ヒータ保護管及びヒータの寿命を予測し、的確な保全を行うことができる。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、ヒータ及びヒータ保護管の状態を簡易に監視することができるとともに、ヒータ保護管及びヒータの寿命を予測し、的確な保全を行うことが可能なダイカスト電気溶解炉ヒータの監視方法及び監視装置に関するものである。
本実施形態に係るヒータ状態監視装置Sは、ダイカスト電気溶解炉Dの状態のうち、特にヒータ4の状態を監視するための装置である。
本実施形態にかかるヒータ状態監視装置Sは、エアー検出部1、断線検知部2、警報報知部3、を有して構成されている。
本実施形態に係るエアー検出部1は、ヒータ4を構成するヒータ保護管41からのエアーリークを検知する圧力メータである。
このエアー検出部1では、検出されたエアー圧力がデジタル表示される。
図2に示すように、ダイカスト電気溶解炉Dには、溶融材料を加熱するためのヒータ4が挿入されている。このヒータ4がダイカスト電気溶解炉ヒータに相当する。
このヒータ4は、発熱源である複数のヒータ線43と、このヒータ線43を保護するためのヒータ保護管41とを有して構成されている。
なお、ヒータ線43は、ヒータ保護管41に被覆されており、外部より視認不可となっているため、図示は省略してある。
また、このエアーテスタ42は、ヒータ状態監視装置Sのエアー検出部1に接続されている。
この状態で、ダイカスト電気溶解炉DにエアーX1をかけることにより、ヒータ保護管41に形成された穴や亀裂等の有無が検出される。
本実施形態においては、エアーX1の圧力は、0.15kgf/cm2(≒15KPa)に設定されている。
この場合、エアー検出部1の圧力レンジは、0〜0.1kgf/cm2でデジタル表示できるように設定されている。
そして、このエアーX3の軌跡を通ったエアーは、エアーテスタ42に検出されることとなる。
エアーテスタ42にて検出されたエアーの圧力は、エアー検出部1にて検知されて報知される。
仮に、ヒータ保護管41に穴41aが形成されてなければ、このエアー検出部1において、エアーの圧力が検出されることはなく、逆に、ヒータ保護管41に穴41aが形成されていれば、このエアー検出部1においてエアーの圧力が検出される。
また、エアー圧力には、一定の閾値が設定されており、エアー検出部1で検出されたエアー圧力が閾値以上となった場合には、ヒータ保護管41に穴41aが形成されていると推定される。
例えば、穴41aの大きさを変化させて、ヒータ保護管41に同一のエアー圧力をかけ、検出されるエアー圧力を各々計測して、穴41aの大きさと検出されるエアー圧力との相関式を作成する。この相関式より、回帰計算を行ない、穴41aの大きさを推測することができる。
つまり、ヒータ保護管41に穴41aが形成されると、溶融材料がその穴41aより浸入し、その内部に配設されたヒータ線43が短絡するのであるが、このヒータ保護管41に形成された穴41aが小さいものである場合には、溶融材料が高粘度であるため、すぐにヒータ保護管41内部に浸入して短絡を引き起こす可能性は低い。
よって、この穴41aの大きさがわかれば、ヒータ保護管41の交換の緊急性を予測することができる。
例えば、この穴41aの大きさとヒータ保護管41の寿命の関係もまた、穴41aの大きさとヒータ保護管41の寿命との関係を示す相関式により推測する。
メータリレー21は、R相メータリレー21a、S相メータリレー21b、T相メータリレー21cで構成されている。
カウンタ22は、ヒータ4を構成するヒータ線43が瞬間的に短絡した際に生じる電流低下の回数をカウントして表示する。
つまり、エアーのリークが検出されたとしても、このメータリレー21(R相メータリレー21a、S相メータリレー21b、T相メータリレー21c)のオンオフのタイミングのズレが検出されなければ、ヒータ保護管41内部のヒータ線43には、現時点では短絡が生じていないことが推測される。
なお、本実施形態においては、このメータリレー21(R相メータリレー21a、S相メータリレー21b、T相メータリレー21c)のオンオフのタイミングのズレには、閾値が設定されており、この閾値を超えるズレが検出された場合に、ヒータ線43の短絡が生じていると判定される。
警報報知部3は、エアー検出部1、断線検知部2において、ヒータ保護管41及びヒータ線43に生じた異常を検知した場合に、その検知信号を受け、シーケンサを介して所定のランプを点灯させることによって、その異常を報知する。
なお、このランプの組合せにより、予測された寿命を報知してもよいし(例えば、色により「猶予有」「至急」「緊急」を区別する、点灯個数により「猶予有」「至急」「緊急」を区別する等)、デジタル表示器を配設して寿命をデジタル表示してもよい。
この場合には、電源ブレーカが切れ、炉内温度の低下が突発的に起こる可能性があるため、直ちにラインを停止してヒータ4を交換する必要があると考えられる。
よって、ラインを停止してヒータ4を直ちに交換することを促すものである。
なお、制御方法はこれに限られることはなく、本発明の趣旨の範囲内において、改変することができることはもちろんのことである。
また、本実施形態においては、タイマにおいて管理された一定時間毎にエアーの圧力をかける構成としたが、これに限られることはなく、例えば、常時エアー圧力をかける構成としてもよい。
次いで、ステップS2によりタイマがアップしたか否かを判定する。
ステップS2により、タイマがアップしていないと判定した場合(ステップS2:No)、ステップS2に戻り、タイマがアップしたか否かを判定する。つまり、タイマがアップするのを待つ。
次いで、ステップS4でエアー検出部1においてエアーのリークが検出されたか否かを判定する。
ステップS4でエアーのリークが検出されたと判定した場合(ステップS4:Yes)、ステップS5でそのエアーリーク量が閾値以上であるか否かを判定する。
ステップS5でエアーリーク量が閾値以上であると判定した場合(ステップS5:Yes)、ステップS6でヒータ保護管41の寿命を算出して、ステップS7で警報及び寿命を報知する。
例えば、予測された寿命(例えば、上記相関式等による回帰計算により予測する)は、このランプの組合せにより(例えば、色により「猶予有」「至急」「緊急」を区別する、点灯個数により「猶予有」「至急」「緊急」を区別する等)報知する。
ステップS8で、短絡が検出されていないと判定した場合(ステップS8:No)、ステップS10で、ヒータ交換指示報知行い、ステップS14でエアー加圧をOFFしてリターンとなる。ヒータ交換指示報知は、警報報知部3において、所定のランプを点灯させることによって実行される。
ステップS9で、閾値以上ではないと判定した場合(ステップS9:No)、ステップS10で、ヒータ交換指示報知行い、ステップS14でエアー加圧をOFFしてリターンとなる。
ヒータ交換指示報知は、警報報知部3において、所定のランプを点灯させることによって実行される。
この報知は、警報報知部3において、所定のランプを点灯させることによって実行される。
例えば、予測された寿命(例えば、上記相関式等による回帰計算により予測する)は、このランプの組合せにより(例えば、色により「猶予有」「至急」「緊急」を区別する、点灯個数により「猶予有」「至急」「緊急」を区別する等)報知する。
次いで、ステップS13でライン停止指示の報知を行い、ステップS14でエアー加圧をOFFしてリターンとなる。
このライン停止指示の報知は、警報報知部3において、所定のランプを所定の態様で(所定の色、組合せ、フリッカー等)点灯させることによって実行される。
この場合には、電源ブレーカが切れ、炉内温度の低下が突発的に起こる可能性があるため、直ちにラインを停止してヒータ4を交換する必要があると考えられる。
つまり、エアーのリークにより、ヒータ保護管41の劣化状態(穴41aが形成されているか否か)を知ることができるとともに、このヒータ保護管41の劣化により内部に配設されたヒータ線43が短絡しているか否かを判定することができる。
このように、本発明においては、段階的にヒータ4の劣化状態を知ることができ、ヒータ4の寿命及び保全の必要性を簡易に判断することができる。
2‥断線検知部、21‥メータリレー、
21a‥R相メータリレー、21b‥S相メータリレー、21c‥T相メータリレー、
22‥カウンタ、
3‥警報報知部、
4‥ヒータ、41‥ヒータ保護管、41a‥穴、42‥エアーテスタ、43‥ヒータ線、
D‥ダイカスト電気溶解炉、S‥ヒータ状態監視装置
Claims (4)
- ダイカスト電気溶解炉内部を加温するための複数のヒータ線を被覆して保護するヒータ保護管を備えたダイカスト電気溶解炉ヒータの監視方法であって、
前記ダイカスト電気溶解炉内部を加圧する第1の工程と、
前記ヒータ保護管に配設された圧力測定手段により、圧力を測定するとともに、前記複数のヒータ線に流れる電流値を、三相交流各相の電流を計測する電流測定手段により検出する第2の工程と、
該第2の工程により検出された圧力が一定値以上であるか否かを判定し、前記検出された圧力が一定値以上であった場合に異常報知を行うとともに、前記第2の工程により検出された前記電流値のばらつきが一定値以上であるか否かを判定し、前記電流値のばらつきが一定値以上であった場合に異常報知を行う第3の工程と、
を備えることを特徴とするダイカスト電気溶解炉ヒータの監視方法。 - 前記第3の工程では、前記第2の工程により検出された圧力が一定値以上であって、前記第2の工程により検出された前記電流値のばらつきが一定値以上でない場合に、第1の異常報知を行い、
前記第2の工程により検出された圧力が一定値以上であるとともに、前記第2の工程により検出された前記電流値のばらつきが一定値以上であった場合には、第2の異常報知を行うことを特徴とする請求項1に記載のダイカスト電気溶解炉ヒータの監視方法。 - ダイカスト電気溶解炉内部を加温するための複数のヒータ線を被覆して保護するヒータ保護管を備えたダイカスト電気溶解炉ヒータの監視装置であって、
前記ダイカスト電気溶解炉内部を加圧する加圧手段と、
前記ヒータ保護管の一端部に配設され、前記ヒータ保護管の周壁を介して漏洩する圧力を計測する圧力測定手段と、
前記複数のヒータ線に流れる三相交流各相の電流値を計測する電流測定手段と、
前記圧力測定手段により検知された圧力値が一定値以上である場合と、前記電流測定手段により検知された電流値のばらつきが一定値以上である場合の少なくとも一方が生じた場合に、異常報知を行う異常報知手段と、
を備えたことを特徴とするダイカスト電気溶解炉ヒータの監視装置。 - 前記圧力測定手段により検知された圧力を表示する圧力表示手段と、
前記電流測定手段により検知された電流値を表示する電流値表示手段とを更に備え、
前記異常報知手段は、前記圧力測定手段により検出された圧力値が一定値以上であって、前記電流測定手段により検知された電流値のばらつきが一定値以上ではない場合に報知を行う第1の報知手段と、前記圧力測定手段により検出された圧力値が一定値以上であるとともに、前記電流測定手段により検知された電流値のばらつきが一定値以上である場合に報知を行う第2の報知手段と、を少なくとも備えることを特徴とする請求項3に記載のダイカスト電気溶解炉ヒータの監視装置。
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