JP5462069B2 - 落重特性および母材靭性に優れた高強度厚鋼板 - Google Patents

落重特性および母材靭性に優れた高強度厚鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、橋梁や高層建造物、船舶、タンクなどの溶接構造物に適用される厚鋼板に関し、殊に落重特性と共に母材の靭性にも優れた厚鋼板に関するものである。
焼入れ・焼戻しして用いられる厚鋼板(以下、「QT鋼板」と呼ぶことがある)は、高強度、高靭性を有すると共に、良好な溶接性を有することから、従来から橋梁や高層建造物、船舶、タンクなどの溶接構造物として広く用いられてきた。こうしたQT鋼板は、近年における溶接構造物の大型化設計に伴って、より高強度(例えば、585MPa以上)が要求される傾向がある。
厚鋼板は母材(鋼板)としての基本的な靭性が良好であることは勿論のこと、脆性破壊特性の指標である落重特性にも優れている必要がある。しかしながら、高強度化、厚肉化に伴ってこれらの特性を満足し難い状況である。
上記のような落重特性と大角粒界径(結晶方位差が15°以上である大角粒界で囲まれた結晶粒径)との間には良好な相関関係があることが知られており、落重特性を改善するには大角粒界径の微細化を図ることが有効であることが知られている。
大角粒界径の微細化に関する方法としては、焼入れ時のオーステナイト粒(γ粒)の微細化を図るのが最も一般的である。この方法は、高温においても炭窒化物を生成する元素(例えば、NbやTi等)の添加によって、それらの炭窒化物を用いてγ粒のピンニングを行ない、加熱、保持時におけるγ粒成長を抑制するものである。
こうした方法では、γ粒の微細化に伴い、破壊の単位となる変態後のパケット、ブロックサイズも細かいものとなるが、落重特性を十分に改善するに至るほどに微細化を図ることはできない。
大角粒界径の微細化に関する他の方法としては、焼入れ性を高めること、即ち変態の駆動力を高めることによって、変態後のパケットやブロックを微細化する方法も考えられる。
しかしながら、近年の大型構造物の需要拡大から、要求される板厚が増し、厚物材において焼きの入った微細な組織を得るためには、合金元素の多量の添加が必要となり、落重特性が良好になっても、母材靭性が却って低下する場合がある。
落重特性を良好にする技術として、例えば特許文献1のような技術も提案されている。この技術では、所定の化学成分組成を有する高張力鋼板に対して、Ar3〜(Ar3−60℃)の温度域から400〜200℃の任意の温度まで10℃/秒以上の冷却速度で冷却することによって、上記特性を満足させるものである。
この技術は板厚が比較的薄いものを想定したものであり、厚鋼板では10℃/秒以上の冷却速度を確保することは困難であり、こうした技術を適用して厚鋼板での落重特性および母材靭性を良好にするための技術として適用することはできない。こうしたことから、必要な合金元素の含有量を制御するだけで、良好な落重特性および母材靭性を確保できる厚鋼板の実現が望まれているのが実情である。
特開昭61−276920号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、必要な合金元素の含有量を制御するだけで、良好な落重特性および母材靭性を確保できる厚鋼板を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る厚鋼板とは、C:0.1〜0.16%(「質量%」の意味。以下同じ)、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.9〜1.6%、Al:0.01〜0.06%、Mo:0.13〜0.3%、B:0.0005〜0.002%を夫々含有する他、Cr:0.3%以下および/またはV:0.07%以下を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、且つ下記(1)式で規定されるF値が3.20≦F値≦4.50の関係を満足すると共に、2つの結晶の方位差が15°以上の大角粒界で囲まれた結晶粒の平均円相当径が4μm以下である焼戻しベイナイト組織からなる点に要旨を有する。
F値=9.4×[Mo]+8.1×[V]+4.7×[Cr] …(1)
但し、[Mo],[V]および[Cr]は、夫々Mo,VおよびCrの含有量(質量%)を示す。
本発明において「平均円相当径」とは、前記方位差が15°以上である大角粒界に囲まれた結晶粒で、同一面積の円に換算したときの直径(円相当直径)の平均値を意味する。2つの結晶の方位差が15°以上の大角粒界で囲まれた領域を結晶粒としたときの当該結晶粒の平均円相当径を、以下、「大角粒界径」と略称することがある。
本発明の厚鋼板には、必要によって更に(a)Cu:0.35%以下、(b)Ni:0.6%以下、(c)Ca:0.003%以下等を含有させることも有用であり、こうした元素を含有することでその種類に応じて厚鋼板の特性が更に改善されることになる。
本発明によれば、焼戻しベイナイトからなる鋼板において、上記(1)式の関係を満足させつつ、鋼板の化学成分組成を適切に制御することによって、大角粒界径の微細化が図れるため、良好な落重特性および母材靭性を確保できる厚鋼板が実現できた。
F値と大角粒界径との関係を示すグラフである。 大角粒界径と無延性遷移温度(NDT)との関係を示すグラフである。
本発明者は、所定の強度、母材靭性を確保するために、焼戻しベイナイトからなる鋼板に着目し、その鋼板における落重特性および靭性を良好にするための手段について様々な角度から検討した。まず本発明者は、焼入れ前にオーステナイト粒界に固溶状態で偏析しやすい元素であり、その結果、粒界からの核生成を抑制し、焼入れ性を大きく増大させる元素として知られているBに着目した。しかしながら、BはFe23(CB)6として析出することが知られており、Bを添加するだけでは、Fe23(CB)6(以下、「B化合物」と呼ぶことがある)の析出により焼入れ時の固溶B量が減少してしまい、適切な効果を発揮しない場合があることが判明した。即ち、このBを固溶状態で存在させることが、鋼材組織の微細化には重要であり、上記特性を向上させる方向で作用させ得ると考えられた。
そこで本発明者は、固溶B量を増加させることによって、粒界からの粒生成を抑制し、焼入れ性を増加させ、微細組織が得られる成分系を広範囲且つ詳細に検討した。その結果、落重特性および母材靭性に優れた585MPa以上の厚鋼板が実現できる成分系を見出し、本発明を完成した。以下、本発明が完成された経緯に沿って、本発明の作用効果について説明する。
本発明では、化学成分組成を適切に制御すると共に、Mo,V,Cr等の元素含有量によって下記(1)式で規定されるF値が、3.20≦F値≦4.50の関係を満足することが必要である。
F値=9.4×[Mo]+8.1×[V]+4.7×[Cr] …(1)
但し、[Mo],[V]および[Cr]は、夫々Mo,VおよびCrの含有量(質量%)を示す。
Mo,VおよびCrは、炭化物生成能が強い元素であり、これらの元素を所定量含有させることによって、鋼中のCを捕捉し、B化合物の析出を抑制することによって、Bの固溶量を増加させ、Bによる微細化効果を最大限に発揮させることができる。こうした観点から、下記(1)式で規定されるF値が、3.20以上とする必要がある。
上記炭化物生成元素の含有量が過剰になると、母材靭性が却って低下することになる。焼入れ時に粒内に生成するセメンタイトは、母材靭性への悪影響は少ないとされているが、上記炭化物生成元素の含有量が過剰になると、焼戻しの際に上記元素の炭化物がセメンタイトと取って代わるときに、それらの炭化物が粒界上に析出するため、破壊の起点となり、靭性の低下を生じさせるものと考えられる。こうした状況は、上記F値が4.50を超えた場合に生じるので、上記F値は4.50以下とする必要がある。
上記(1)式は、B化合物の析出を抑制する元素であるMo,VおよびCrの項目によって規定されるものである。この式は、縦軸に大角粒界径、横軸に各元素の含有量をとったときに、各元素含有量に対する大角粒界径の減少量(即ち「傾き」)から、各元素の効果を表す係数を計算することによって求められたものである。また、上記F値を規定する元素のうち、VおよびCrについては、同効元素に相当するものであり、上記(1)式で規定するF値が所定の範囲内になる限り、VおよびCrの少なくともいずれかが含まれていれば、本発明の効果が達成される。従って、上記(1)式には、必要によって含有される元素も含まれるものとなるが(VまたはCr)、いずれかの元素を含まないときには、その項目がないものとしてF値を計算し、いずれかの元素を含むときには、上記(1)式からF値を計算すれば良い。
上記(1)式で規定するF値を適切な範囲に制御することによって、基本的に鋼材の組織微細化が図れ、優れた落重特性および母材靭性が実現できるのであるが、上記(1)に関連する各元素含有量についても適切な範囲がある。こうした観点から、各元素(Mo,V,Cr,B)の含有量は下記のように調整する必要がある。
[Mo:0.13〜0.3%]
Moは、前記F値を3.20以上にできるだけ確保するために(即ち、B化合物の析出抑制のために)、0.13%以上含有させる必要がある。しかしながら、Mo含有量が過剰になると溶接性を損なうので、0.3%以下とする必要がある。尚、Mo含有量の好ましい下限は0.2%程度である。
[Cr:0.3%以下および/またはV:0.07%以下]
Mo含有量の上限との関係から、Mo単独で上記F値を満足することは困難であるので、Moと同様の効果を発揮する元素として、CrやVを含有させる。上記の効果を発揮させるために、少なくともいずれかを上記F値を満足するように含有させればよいが、いずれも上記範囲を超えて過剰に含有されると、溶接性を阻害することになるので、上記のように含有量を適切に調整する必要がある。尚、Cr含有量の好ましい範囲は0.2〜0.3%程度であり、V含有量の好ましい範囲は0.015〜0.030%程度である。
[B:0.0005〜0.002%]
Bによる焼入れ性増大効果を発揮させるためには、その含有量は少なくとも0.0005%以上を確保する必要がある。しかしながら、B含有量が過剰になると溶接性を阻害することになるので、0.002%以下とする必要がある。尚、B含有量の好ましい上限は0.0015%程度である。
上記(1)式で規定するF値を適切な範囲に制御することによって、基本的に鋼板の組織微細化が図れるのであるが、このような鋼板では、2つの結晶の方位差が15°以上の大角粒界で囲まれた結晶粒の平均円相当径が4μm以下のものとなる。尚、前記「方位差(結晶方位差)」は、「ずれ角」若しくは「傾角」とも呼ばれているものであり、方位差を測定するには、後述する実施例で示すように、EBSP法(Electron Backscattering Pattern法)を採用すれば良い。
次に、本発明の厚鋼板(母材)における基本成分組成について説明する。本発明の厚鋼板は、その化学成分組成が上記(1)式で規定されるF値が所定の範囲内にあっても、夫々の化学成分(元素)の含有量が適正範囲内になければ、優れた機械的特性を達成することができない。従って、本発明の厚鋼板では、適正量のMo,CrおよびVで規定されるF値[上記(1)式]が所定の範囲に制御されることに加えて、夫々の化学成分の量が、以下に記載するような適正範囲内にあることも必要である。これらの成分の範囲限定理由は、下記の通りである。
[C:0.1〜0.16%]
Cは、鋼板の焼入れ性を向上させて強度を確保する上で重要な元素であるが、その含有量が過剰になると溶接性を損なうので、0.16%以下とする必要がある。溶接性を確保するという観点からすると、C含有量は少ないほど好ましいが、0.1%未満になると、焼入れ性が却って低下し、強度が確保できなくなる。C含有量の好ましい下限は0.11%であり、好ましい上限は0.14%である。
[Si:0.05〜0.5%]
Siは、鋼を溶製する際に脱酸剤として作用し、鋼の強度を上昇させる効果を発揮する。こうした効果を有効に発揮させるためには、Si含有量は0.05%以上とする必要がある。しかしながら、Si含有量が過剰になると溶接性が低下するので、0.5%以下とする必要がある。尚、Si含有量の好ましい下限は0.15%であり、好ましい上限は0.35%である。
[Mn:0.9〜1.6%]
Mnは、鋼板の強度を高める効果を発揮する元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、Mnは0.9%以上含有させる必要がある。好ましくは1.4%以上である。しかしながら、Mn含有量が1.6%を超えて過剰に含有させると溶接性が損なわれることになる。
[Al:0.01〜0.06%]
Alは、脱酸剤として添加されるが、その含有量が0.01%未満では十分な効果が発揮されず、0.06%を超えて過剰に含有されると、鋼板における清浄性が阻害されることになる。Al含有量に好ましい下限は0.04%である。
本発明で規定する含有元素は上記の通りであって、残部は鉄および不可避的不純物であり、該不可避的不純物として、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素(例えば、P,S,N,Sn,As,Pb等)の混入が許容され得る。これらの不純物のうち、P,S,Nについては、下記のように抑制することが好ましい。また本発明の厚鋼板には、必要によって更に(a)Cu:0.35%以下、(b)Ni:0.6%以下、(c)Ca:0.003%以下等を含有させることも有用であり、こうした元素を含有することでその種類に応じて厚鋼板の特性が更に改善されることになる。
[P:0.02%以下(0%を含まない)]
不純物元素であるPは、粒界に偏析し、焼戻し脆化を引き起こす元素であるので、その量はできるだけ少ないことが好ましい。母材靭性を確保するという観点からして、P含有量は0.02%以下に抑制することが好ましく、より好ましくは0.01%以下とする。しかし、工業的に、鋼中のPを0%にすることは困難である。
[S:0.01%以下(0%を含まない)]
Sは、鋼板中の合金元素と種々の介在物を形成する不純物であり、その量ができるだけ少ないことが好ましい。延性、靭性を確保するという観点からして、S含有量は0.01%以下に抑制することが好ましく、より好ましくは0.002%以下とする。しかし、工業的に、鋼中のSを0%にすることは困難である。
[N:0.01%以下(0%を含まない)]
Nは、過剰に含有すると固溶N量が増し、母材およびHAZ(溶接熱影響部)の靭性を劣化させるので、N含有量は0.01%以下に抑制することが好ましく、より好ましくは0.006%以下とする。しかし、工業的に、鋼中のNを0%にすることは困難である。
[Cu:0.35%以下]
Cuは、強度上昇に有効な元素であるが、その含有量が過剰になると、熱間加工の際に割れが発生しやすくなり、また溶接性を損なうことにもなるので、0.35%以下にすることが好ましい。尚、Cuによる効果を有効に発揮させるための好ましい範囲は0.10〜0.20%である。
[Ni:0.6%以下]
Niは、鋼板と靭性の両方を高めるのに有効に作用する元素であるが、その含有量が過剰になると溶接性を損なうことになるので、0.6%以下にすることが好ましい。また、Niは、0.3〜0.5%の範囲で含有させることが好ましい。
[Ca:0.003%以下]
Caは、介在物の制御により鋼板の靭性を向上させるのに有効に作用する元素である。しかし、Ca含有量が過剰になると鋼中介在物が増加し、鋼材(母材)の靭性や継手性能を損なうのでことになるので、0.003%以下にすることが好ましい。また、Caは、0.0005〜0.002%の範囲で含有させることがより好ましい。
本発明の厚鋼板は、焼戻しベイナイト組織からなるものであるが、オーステナイト状態で冷却を行うことによって、過冷状態となり、ベイナイト組織とすることができ、これを焼戻しすることによって、焼戻しベイナイトを主体とする組織とすることができる。
本発明の厚鋼板を製造するには、上記成分組成を満たす溶鋼を用い、通常の条件(圧延温度、圧下率、焼入れ温度、焼戻し温度)に従ってQT鋼板とすれば良い。このとき、B化合物の析出をより抑制するという観点からして、鋼板を880℃以上の温度で焼入れを行なうことが好ましい。
本発明は厚鋼板に関するものであり、当該分野において厚鋼板とは、JISで定義されるように、一般に板厚が3.0mm以上であるものを指す。しかし、本発明で対象とする厚鋼板の板厚は、好ましくは80mm以上、より好ましくは90mm以上である。即ち、本発明では、板厚の大きい鋼板であっても、良好な落重特性と母材靭性を示すものとなる。こうして得られる本発明の厚鋼板は、例えば橋梁や高層建造物、船舶、タンクなどの溶接構造物の材料として使用できる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
下記表1に示す化学成分組成の鋼を、通常の溶製法によって溶製し、この溶鋼を冷却してスラブ(断面形状:210mm×150mm)とした後、1100℃に加熱して熱間圧延を行ない、板厚:90mmの熱間圧延板とし、930℃に加熱して焼入れ(Q)し、650℃に加熱して焼戻し(T)して厚鋼板(QT鋼板)を製造した。
Figure 0005462069
上記の様にして得られた各鋼板を用いて、母材の強度(TS)、落重特性(無延性遷移温度NDT)および母材靭性(vE-30)を下記の各方法によって評価した。これらの結果を、F値と共に下記表2に示す。尚、いずれの評価においても、試験片の採取位置は、板厚全体の代表位置としてのt(t:板厚)/4部位の位置とした。
[平均大角粒界径の測定]
鋼板のt(t:板厚)/4部位における鋼板の圧延方向に平行な断面において、FE−SEM−EBSP(電子放出型走査電子顕微鏡を用いた電子後方散乱回折像法)によって大角粒界径を測定した。具体的には、Tex SEM Laboratries社のEBSP装置(商品名:「OIM」)を、FE−SEMと組み合わせて用い、傾角(結晶方位差)が15°以上の境界を結晶粒界として、大角粒界径を測定した。このときの測定条件は、測定領域:200×200(μm2)、測定ステップ:0.5μm間隔とし、測定方位の信頼性を示すコンフィデンス・インデックス(Confidence Index)が0.1よりも小さい測定点は解析対象から除外した。このようにして求められる大角粒界径の平均値を算出して、本発明における「大角粒界径(平均円相当径)」とした。尚、大角粒界径が1.0μm以下のものについては、測定ノイズと判断し、平均値計算の対象から除外した。
[引張試験]
各鋼板のt(t:板厚)/4部位から、圧延方向に対して直角の方向にASTM A370−05(0.500−in.Round specimen)の試験片を採取して、ASTM A370−05の要領で引張試験を行ない、引張強度(TS)を測定した。そして、TSが585MPa以上のものを合格と評価した。
[母材の靭性(衝撃特性)の評価]
各鋼板のt(t:板厚)/4部位から、圧延方向に対して直角の方向にASTM A370−05の試験片を採取し、母材靭性を評価した。ASTM A370−05に準拠して、−30℃でシャルピー衝撃試験を行い、吸収エネルギー(vE-30)を測定した。
[落重特性の評価]
ASTM E208に準拠し、P−3の試験片を用い、無延性遷移温度NDTを測定し、落重特性の評価基準とした。NDT<−50℃を合格とした。
Figure 0005462069
表1、2から次のように考察できる(尚、下記No.は、表1、2の実験No.を示す)。No.10〜21は、本発明で規定する要件を満足する例であり、化学成分組成およびF値が適切に制御されており、落重特性および母材靭性が良好な厚鋼板が得られていることが分かる。
これに対して、No.1〜9は、本発明で規定するいずれかの要件を外れる例であり、少なくとも落重特性が劣っている。このうちNo.1〜6のものは、F値が本発明で規定する下限に満たないものであり、結晶粒の微細化が図れず、落重特性が劣化している。またNo.7のものは、Bを含まないものであり、結晶粒の微細化が図れず、落重特性が劣化している。更に、No.8、9のものでは、F値が本発明で規定する上限を超えるものであり、結晶粒の微細化が図れて落重特性は良好であるが、母材靭性が劣化している。
これらの結果に基づき、F値と平均大角粒界径との関係を図1に、平均大角粒界径と無延性遷移温度(NDT)との関係を図2に示す。この結果から明らかなように、F値を3.20〜4.50の範囲に制御することによって、大角粒界径の微細化が図れること、および大角粒界径の微細化を図ることによって、良好な落重特性が発揮できることが分かる。

Claims (4)

  1. C:0.1〜0.16%(「質量%」の意味。以下同じ)、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.9〜1.6%、Al:0.01〜0.06%、Mo:0.13〜0.3%、B:0.0005〜0.002%を夫々含有する他、Cr:0.3%以下および/またはV:0.07%以下を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、且つ下記(1)式で規定されるF値が3.20≦F値≦4.50の関係を満足すると共に、2つの結晶の方位差が15°以上の大角粒界で囲まれた結晶粒の平均円相当径が4μm以下である焼戻しベイナイト組織からなることを特徴とする引張強度が585MPa以上で落重特性および母材靭性に優れた高強度厚鋼板。
    F値=9.4×[Mo]+8.1×[V]+4.7×[Cr] …(1)
    但し、[Mo],[V]および[Cr]は、夫々Mo,VおよびCrの含有量(質量%)を示す。
  2. 更に、Cu:0.35%以下を含有するものである請求項1に記載の厚鋼板。
  3. 更に、Ni:0.6%以下を含有するものである請求項1または2に記載の厚鋼板。
  4. 更に、Ca:0.003%以下を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の厚鋼板。
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