JP5460835B1 - Dc/dc電圧変換装置およびその電圧変換制御方法 - Google Patents

Dc/dc電圧変換装置およびその電圧変換制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5460835B1
JP5460835B1 JP2012262215A JP2012262215A JP5460835B1 JP 5460835 B1 JP5460835 B1 JP 5460835B1 JP 2012262215 A JP2012262215 A JP 2012262215A JP 2012262215 A JP2012262215 A JP 2012262215A JP 5460835 B1 JP5460835 B1 JP 5460835B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
power semiconductor
voltage
inductor
positive
terminal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012262215A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014110643A (ja
Inventor
勝 小林
又彦 池田
博敏 前川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2012262215A priority Critical patent/JP5460835B1/ja
Priority to CN201310530364.6A priority patent/CN103856047B/zh
Priority to DE102013223204.7A priority patent/DE102013223204A1/de
Priority to US14/091,929 priority patent/US8803491B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP5460835B1 publication Critical patent/JP5460835B1/ja
Publication of JP2014110643A publication Critical patent/JP2014110643A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02MAPPARATUS FOR CONVERSION BETWEEN AC AND AC, BETWEEN AC AND DC, OR BETWEEN DC AND DC, AND FOR USE WITH MAINS OR SIMILAR POWER SUPPLY SYSTEMS; CONVERSION OF DC OR AC INPUT POWER INTO SURGE OUTPUT POWER; CONTROL OR REGULATION THEREOF
    • H02M3/00Conversion of dc power input into dc power output
    • H02M3/02Conversion of dc power input into dc power output without intermediate conversion into ac
    • H02M3/04Conversion of dc power input into dc power output without intermediate conversion into ac by static converters
    • H02M3/10Conversion of dc power input into dc power output without intermediate conversion into ac by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode
    • H02M3/145Conversion of dc power input into dc power output without intermediate conversion into ac by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode using devices of a triode or transistor type requiring continuous application of a control signal
    • H02M3/155Conversion of dc power input into dc power output without intermediate conversion into ac by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode using devices of a triode or transistor type requiring continuous application of a control signal using semiconductor devices only
    • H02M3/156Conversion of dc power input into dc power output without intermediate conversion into ac by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode using devices of a triode or transistor type requiring continuous application of a control signal using semiconductor devices only with automatic control of output voltage or current, e.g. switching regulators
    • H02M3/158Conversion of dc power input into dc power output without intermediate conversion into ac by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode using devices of a triode or transistor type requiring continuous application of a control signal using semiconductor devices only with automatic control of output voltage or current, e.g. switching regulators including plural semiconductor devices as final control devices for a single load
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02MAPPARATUS FOR CONVERSION BETWEEN AC AND AC, BETWEEN AC AND DC, OR BETWEEN DC AND DC, AND FOR USE WITH MAINS OR SIMILAR POWER SUPPLY SYSTEMS; CONVERSION OF DC OR AC INPUT POWER INTO SURGE OUTPUT POWER; CONTROL OR REGULATION THEREOF
    • H02M7/00Conversion of ac power input into dc power output; Conversion of dc power input into ac power output
    • H02M7/42Conversion of dc power input into ac power output without possibility of reversal
    • H02M7/44Conversion of dc power input into ac power output without possibility of reversal by static converters
    • H02M7/48Conversion of dc power input into ac power output without possibility of reversal by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode
    • H02M7/483Converters with outputs that each can have more than two voltages levels
    • H02M7/4837Flying capacitor converters

Abstract

【課題】従来と比較してパワー半導体ユニットの発生損失が不連続となることに起因して発生する過渡的な電圧変動(DC/DC電圧変換性能の悪化)を抑えたDC/DC電圧変換装置を得る。
【解決手段】それぞれスイッチ素子と整流素子が逆並列接続されてなる2つのパワー半導体ユニットからなる対を2対以上含み、各対の一方のパワー半導体ユニット同士が一次側の正極側端子と二次側の正極側端子の間で直列接続され、他方のパワー半導体ユニット同士が一次側の正極側端子と二次側の負極側端子の間で前記一方のパワー半導体ユニットとは逆方向に直列接続されてなるパワーモジュールをリアクトルと直列に接続し、リアクトル電流の極性が正か負のいずれか一方のみの場合と、正又は負の一方の極性に留まる場合とで切り替わる際の過渡的な電圧変動が生じるのを抑制するように制御する。
【選択図】図9

Description

この発明は、直流電圧を昇圧あるいは降圧した直流電圧に変換するDC/DC電圧変換装置等に関するものである。
従来から、直列接続したスイッチ素子のスイッチオン、スイッチオフ動作を利用して、インダクタへのエネルギの蓄積、放出とエネルギ移行用キャパシタの充電、放電動作を組み合わせ、直流から直流への電圧変換を行う装置が用いられている(例えば下記特許文献1、非特許文献1参照)。
これは、スイッチ素子及びこれと逆並列に整流素子を接続したパワーデバイスを少なくとも4個以上、直列接続した回路構成であって、パワーデバイスの直列接続体のうち、同時には半数のパワーデバイスしかオン状態(スイッチ素子ならばスイッチオン、整流素子ならば順バイアス)とならないことから、個々のパワーデバイスの耐電圧を低く設定することができる。このため、耐電圧が高いことに起因して各パワーデバイスの導通損失が増加してしまうのを抑えつつ、DC/DC電圧変換装置の取り扱い電圧を高電圧に設定可能である。
ここで、商用交流電源(AC100V、AC200V)を整流した後の電圧を変換するDC/DC電圧変換装置や、およそ100Vから1,000Vの範囲の電圧を変換するDC/DC電圧変換装置には、パワーデバイスとして主に、スイッチ素子にSi(珪素)を材料としたIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ:Insulated Gate Bipolar Transistor)が、整流素子に同じくSiを材料としたPiNダイオードが用いられている。
このようなDC/DC電圧変換装置は直流を交流に変換するインバータと組み合わせてシステムを構成する場合があり、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車の電気駆動システム、太陽光発電用の電力変換システム、エアーコンディショナ等の電力変換システムが挙げられる。
これらシステムに用いられるDC/DC電圧変換装置は、電源の状態(例えば、太陽光発電システムの太陽電池の光の照射量)や負荷の状態(例えば、ハイブリッド自動車の電気駆動システムのモータの回転速度)に応じて、変換する電圧の比率を調整し、その出力電圧をコントロールしている。
特開平11−186478号公報
三菱電機技報、Vol.61、1987年、No.2
しかしながら、上記従来のDC/DC電圧変換装置においては、負荷量の変化によって、インダクタ電流ILの極性が、正か負のいずれか一方のみの場合と、正または負の一方の極性に留まる場合とで、DC/DC電圧変換装置のパワー半導体ユニットの発生損失が不連続となることに起因して、DC/DC変換にて過渡的な電圧変動が生じ、性能が劣化するという課題が生じる。
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、従来のDC/DC電圧変換装置と比較してパワー半導体ユニットの発生損失が不連続となることに起因して発生する過渡的な電圧変動(DC/DC電圧変換性能の悪化)を抑えたDC/DC電圧変換装置等を提供することを目的とする。
この発明は、変換主回路と前記変換主回路の電圧変換制御を行う制御ユニットを備えたDC/DC電圧変換装置であって、前記変換主回路は、前記変換主回路の一次側、二次側のそれぞれの正極側端子と負極側端子の間に接続され電圧を平滑する第1および第2の平滑キャパシタと、それぞれがスイッチ素子と整流素子が逆並列接続されてなる2つのパワー半導体ユニットからなるパワー半導体ユニットの対を2対以上含み、各対の一方のパワー半導体ユニット同士が一次側の正極側端子と二次側の正極側端子の間で直列接続され、他方のパワー半導体ユニット同士が一次側の正極側端子と二次側の負極側端子の間で前記一方のパワー半導体ユニットとは逆方向に直列接続されてなるパワーモジュールと、二次側端の前記パワー半導体ユニットの対を除いて、各パワー半導体ユニットの対の一方のパワー半導体ユニットと他方のパワー半導体ユニットのそれぞれの二次側端間に接続されたエネルギ移行用キャパシタと、一次側端の前記パワー半導体ユニットの対と一次側の正極側端子の間接続されたインダクタと、を含み、前記制御ユニットは、前記変換主回路の動作時において、前記インダクタの導通電流が正極性か負極性のいずれか一方に留まる場合に、前記各パワー半導体ユニットのスイッチ素子のゲート容量の電荷充電速度を増加させるよう抵抗値の異なる複数のスイッチオン回路を切り替えて制御を行う手段を含む、ことを特徴とするDC/DC電圧変換装置等にある。
この発明では、従来のDC/DC電圧変換装置と比較してパワー半導体ユニットの発生損失が不連続となることに起因して発生する過渡的な電圧変動(DC/DC電圧変換性能の悪化)を抑えたDC/DC電圧変換装置等を提供できる。
この発明の実施の形態1によるDC/DC電圧変換装置の全体構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1によるDC/DC電圧変換装置の一次側と二次側の間の電圧変換と電力の流れを模式的に示した図である。 この発明の実施の形態1による変換主回路の回路配線の一例を示す図である。 この発明の実施の形態1における昇圧時(オンデューティ50%未満)の動作を説明する波形図である。 この発明の実施の形態1における昇圧時(オンデューティ50%以上)の動作を説明する波形図である。 この発明の実施の形態1における降圧時(オンデューティ50%未満)の動作を説明する波形図である。 この発明の実施の形態1における降圧時(オンデューティ50%以上)の動作を説明する波形図である。 この発明におけるオンデューティとDC/DC電圧変換比との関係を示す特性図である。 この発明の実施の形態1における制御ユニットと変換主回路の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1におけるゲート駆動部の詳細な構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1におけるスイッチオン回路の選択方法を説明する図である。 この発明の実施の形態1におけるインダクタ電流が正の極性に留まる動作を説明する波形図である。 この発明の実施の形態1におけるインダクタ電流がゼロを跨いで正負の極性が切り替わる動作を説明する波形図である。 この発明の実施の形態1におけるIGBTのターンオン動作を説明する波形図である。 この発明の実施の形態1におけるスイッチオン回路の切り替えの動作を説明する波形図である。 この発明の実施の形態2におけるスイッチング周波数の選択方法を説明する図である。 この発明の実施の形態2におけるスイッチオン回路の切り替えとスイッチング周波数の切り替えの動作を説明する波形図である。 この発明の実施の形態3における変換主回路の回路配線の一例を示す図である。 PiNダイオードを用いる場合のIGBTのターンオン動作を説明する波形図である。 この発明の実施の形態3におけるSiC製ショットキーバリアダイオードを用いる場合のIGBTのターンオン動作を説明する波形図である。 この発明の実施の形態4におけるゲート駆動回路の詳細な構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態4におけるゲート駆動回路の詳細な構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態5における変換主回路の回路配線の一例を示す図である。 DC/DC電圧変換装置を用いた自動車用電気駆動システムの構成図である。 DC/DC電圧変換装置を用いた太陽光発電用の電力変換システムの構成図である。
最初に、DC/DC電圧変換装置を直流を交流に変換するインバータと組み合わせてシステムを構成する例として例えば、図24に示すハイブリッド自動車や電気自動車の電気駆動システム、図25に示す太陽光発電用の電力変換システム、エアーコンディショナ等の電力変換システムが挙げられる。
図24の電気駆動システムは、DC/DC電圧変換装置1の一次側端子P1、N1にニッケル水素電池やリチウムイオン電池、燃料電池などの電池41を、二次側端子P2、N2にインバータ51a、51bを接続している。さらにインバータ51aには回転機52aが、インバータ51bには回転機52bが接続しており、DC/DC電圧変換装置1は一次側の電池41の電圧をDC/DC変換して二次側のインバータ51a、51bに供給する。インバータ51aは回転機52aと、インバータ51bは回転機52bと交流電力を授受する。
図25の太陽光発電用電力変換システムは、DC/DC電圧変換装置1の一次側端子P1、N1に太陽電池42を、二次側端子P2、N2にインバータ51cを接続している。インバータ51cはフィルタ6を介して商用交流電源7に接続しており、DC/DC電圧変換装置1は一次側の太陽電池42の発電電圧をDC/DC変換して二次側のインバータ51cに供給する。インバータ51cは直流電圧を所定の商用交流電圧の振幅、周波数にDC/AC変換して、フィルタ6を介して商用交流電源7で示されるような商用電力系統に供給する。
これらシステムに用いられるDC/DC電圧変換装置は、上述のように例えば、太陽光発電システムの太陽電池の光の照射量のような電源の状態や、例えば、ハイブリッド自動車の電気駆動システムのモータの回転速度のように負荷の状態に応じて、変換する電圧の比率を調整し、その出力電圧をコントロールしているが、負荷量の変化によって、インダクタ電流ILの極性が、正か負のいずれか一方のみの場合と、正または負の一方の極性に留まる場合とで、DC/DC電圧変換装置のパワー半導体ユニットの発生損失が不連続となることに起因して、DC/DC変換にて過渡的な電圧変動が生じ、性能が劣化する。この発明ではこの課題を解消する。
以下、この発明によるDC/DC電圧変換装置等を各実施の形態に従って図面を用いて説明する。なお、各実施の形態において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。
実施の形態1.
図1から図15を用いて、この発明の実施の形態1によるDC/DC電圧変換装置につき説明する。図1はこの発明の実施の形態1によるDC/DC電圧変換装置の全体構成を示すブロック図である。DC/DC電圧変換装置1は変換主回路2と制御ユニット3から構成されている。DC/DC電圧変換装置1は電力経路の接続端子として変換主回路2の一次側に正極側端子P1、負極側端子N1、二次側に正極側端子P2、負極側端子N2を備えている(以下単に端子と略す場合あり)。
図2はこの実施の形態によるDC/DC電圧変換装置の一次側と二次側の間の電圧変換と電力の流れを模式的に示した図である。DC/DC電圧変換装置1の一次側には端子P1、N1に直流電源4が、二次側には端子P2、N2に電気機器5が接続される。
図2において、直流電源4はリチウムイオン電池やニッケル水素電池、鉛電池といった二次電池の他、太陽電池、燃料電池などの電源に電気二重層キャパシタや二次電池を組み合わせたものなどが想定される。電気機器5は電気負荷を含んで発電装置や蓄電装置と組み合わさって成る機器である。
DC/DC電圧変換装置1は、一次側端子電圧V1と二次側端子電圧V2について、V1≦V2の関係のもとで電圧変換を行い、相互に電力をやり取りする。
ここで、図2の(a)に示すように、直流電源4が放電動作であり電気機器5が電力消費動作の場合、DC/DC電圧変換装置1は一次側から二次側の方向へ電圧を昇圧して電力を送り込む。また、図2の(b)に示すように、直流電源4が充電動作であり電気機器5が電力供給動作の場合、DC/DC電圧変換装置1は二次側から一次側の方向へ電圧を降圧して電力を送り込む。
この時、電圧の変換は制御ユニット3から出力されるゲート駆動信号8に従い、変換主回路2に備わるパワー半導体ユニット内のスイッチ素子のオン、オフを制御することによってなされる。
変換主回路2は、一次側端子電圧V1を平滑化する平滑キャパシタC1と、二次側端子電圧V2を平滑化する平滑キャパシタC2と、インダクタLと、エネルギ移行用キャパシタC0と、スイッチ素子と整流素子の並列接続体を単位とするパワー半導体ユニットPU1〜PU4から構成される(図3参照)。
ここで、DC/DC電圧変換装置1の動作内容について図3から図11を用いて説明する。図3は、変換主回路2の回路配線の一例を示す図であり、4個のパワー半導体ユニットPU1〜PU4を、2個のパワー半導体ユニットが逆並列接続されるように構成されたパワー半導体ユニットの対を2対直列に接続し、一次側から二次側へ昇圧の電力供給を、また、二次側から一次側へ降圧の電力供給を行う。
変換主回路2は、一次側端子電圧V1を平滑化する一次側平滑キャパシタ(第1の平滑キャパシタ)C1と、二次側端子電圧V2を平滑化する二次側平滑キャパシタ(第2の平滑キャパシタ)C2と、エネルギの蓄積、放出を行う、インダクタLおよびエネルギ移行用キャパシタC0と、4個のパワー半導体ユニットPU1〜PU4を備えている。
パワー半導体ユニットPU1〜PU4は、図3の例では、スイッチ素子としてSi材料によるIGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor)であるIGBT1、IGBT2、IGBT2、IGBT1を採用している。また、整流素子としてSi材料によるPiNダイオードDi1、Di2、Di3、Di4を採用している。
上記パワー半導体ユニットの数等はこれに限定されず、変換主回路2は、変換主回路2の一次側、二次側のそれぞれの正極側端子P1,P2と負極側端子N1,N2の間に接続され電圧を平滑する第1および第2の平滑キャパシタC1,C2と、それぞれがスイッチ素子(IGBT)と整流素子(Di)が逆並列接続されてなる2つのパワー半導体ユニット(PU)からなるパワー半導体ユニットの対を2対以上含み、各対の一方のパワー半導体ユニット同士が一次側の正極側端子P1と二次側の正極側端子P2の間で直列接続され、他方のパワー半導体ユニット同士が一次側の正極側端子P1と二次側の負極側端子N2の間で前記一方のパワー半導体ユニットとは逆方向に直列接続されてなるパワーモジュール(PU1〜PU4)と、二次側端のパワー半導体ユニットの対を除いて、各パワー半導体ユニットの対の一方のパワー半導体ユニットと他方のパワー半導体ユニットのそれぞれの二次側端間に接続されたエネルギ移行用キャパシタ(C0)と、一次側端のパワー半導体ユニットの対と一次側の正極側端子P1の間接続されたインダクタ(L)とで構成される。
続けて、変換主回路2の接続の詳細について説明する。
一次側平滑キャパシタC1の両端子は、変換主回路2の一次側の正極側端子P1、負極側端子N1に接続されており、負極側端子N1は変換主回路2の二次側の負極側端子N2とも接続の上、Vcomとして接地されている。正極側端子P1は、平滑キャパシタC1の一方の端子とインダクタLの一方の端子に接続され、平滑キャパシタC1の他方の端子は負極側端子N1およびVcomに接続される。
また、平滑キャパシタC2の両端子は、変換主回路2の二次側の正極側端子P2、負極側端子N2に接続されている。
パワー半導体ユニットPU4のIGBT4のコレクタ端子(C)は変換主回路2の二次側の正極側端子P2に、エミッタ端子(E)はパワー半導体ユニットPU3のIGBT3のコレクタ端子に、IGBT3のエミッタ端子はパワー半導体ユニットPU2のIGBT2のコレクタ端子に、IGBT2のエミッタ端子はパワー半導体ユニットPU1のIGBT1のコレクタ端子に、IGBT1のエミッタ端子は二次側の負極側端子N2に、順に接続されている。
パワー半導体ユニットPU4のPiNダイオードDi4はIGBT4に対し逆並列に接続され、PiNダイオードDi4のアノード端子(A)がIGBT4のエミッタ端子(E)へ、PiNダイオードDi4のカソード端子(K)がIGBT4のコレクタ端子(C)へ接続されている。同様にPiNダイオードDi3、Di2、Di1は、それぞれIGBT3、IGBT2、IGBT1へ逆並列に接続されている。
エネルギ移行用キャパシタC0は、一方の端子をIGBT4とIGBT3との接続点に、他方の端子をIGBT2とIGBT1との接続点に接続されている。
インダクタLは上記のように、一方の端子を変換主回路2の一次側の正極側端子P1と平滑キャパシタC1の端子の接続点に接続され、他方の端子をIGBT3とIGBT2の接続点に接続されている。
図1、図9等に示された後述する制御ユニット3からは、ゲート駆動信号8としてIGBTをオン、オフ制御するための信号がIGBT4、IGBT3、IGBT2、IGBT1に対応して、それぞれGate4、Gate3、Gate2、Gate1信号としてIGBT4からIGBT1のゲート端子(G)に入力されるよう信号線が接続されている。IGBT4はGate4信号の、IGBT3はGate3信号の、IGBT2はGate2信号の、IGBT1はGate1信号の電圧変化に従って、スイッチング動作する。
次に、変換主回路2の動作について説明する。
上述のように、DC/DC電圧変換装置1は、一次側から二次側へ電圧を昇圧、あるいは、二次側から一次側へ電圧を降圧するよう電圧変換する。この昇圧動作、降圧動作は、IGBTのオン、オフ動作のタイミングをゲート駆動信号8であるGate4、Gate3、Gate2、Gate1で調整することによって制御される。
このゲート駆動信号8による電圧変換の制御について、昇圧動作時と降圧動作時とに分けて説明する。
昇圧動作時:
1) オンデューティ50%未満の場合:
但し、オンデューティはGate1信号とGate2信号に対する値に関するものであり、Gate4信号とGate3信号はそれぞれGate1信号、Gate2信号と相補であるから、Gate3信号とGate4信号のオンデューティは100%−(Gate1信号、Gate2信号のオンデューティ)の関係となる。
図4に昇圧動作時でゲート駆動信号のオンデューティが50%未満の場合の波形を示す。図4の(a)はゲート駆動信号、(b)はインダクタ電流IL、(c)はスイッチングモードとその切り替わりタイミングを示している。
インダクタ電流ILは、インダクタLを正極側端子P1側の接続端子からIGBT3側の接続端子の方向に流れる極性を正とする。
図4の(a)において、Gate1信号がハイ「H」の場合にIGBT1が、Gate2信号がハイの場合にIGBT2がオンし、コレクタからエミッタに向けて電流が流れる。
Gate3信号がハイの場合にIGBT3が、Gate4信号がハイの場合にIGBT4がそれぞれオンするが、昇圧動作時には、逆並列接続されたPiNダイオードDi3、Di4を、アノードからカソードに向けて電流が流れる。
ここで、Gate1信号とGate4信号は、互いにハイ「H」、ロー「L」の論理が相反する相補信号であり、Gate1信号がハイの時にはGate4信号はロー、Gate1信号がローの時にはGate4信号はハイとなる。但し、ハイとローの論理の切り替わり時はIGBTのスイッチング動作の応答遅れにより双方が同時にオンとならないよう阻止時間(デッドタイム)を設ける。
同様に、Gate2信号とGate3信号は、互いにハイ、ローの論理が相反する相補信号であり、Gate1信号とGate2信号は位相差が180度である。即ち、ゲート駆動信号8は、相補信号として対を成す信号が2通り有って、互いの位相差が等間隔となっている。
この時、Gate1からGate4のゲート駆動信号のハイ、ローの論理の組み合わせは、スイッチングモードB、C、Dの三種に分類されB→D→C→D→Bの順に切り替わる。
スイッチングモードBでは、IGBT1とIGBT3がオン、IGBT2とIGBT4がオフであって、
電流が、正極側端子P1→インダクタL→PiNダイオードDi3→エネルギ移行用キャパシタC0→IGBT1→負極側端子N1の経路に流れ、エネルギがインダクタLとエネルギ移行用キャパシタC0に蓄えられる。電気機器5には、後述する動作で蓄電された平滑キャパシタC2の両端電圧が印加され、平滑キャパシタC2からエネルギが供給される。
IGBT1、PiNダイオードDi3がオンして電流が導通することから、エネルギ移行用キャパシタC0のIGBT1側接続端子の電位はおよそVcom=0、IGBT3側接続端子の電位はおよそVLとなる。よって、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VL=エネルギ移行用キャパシタC0の両端電圧Vc0となる。
スイッチングモードDでは、IGBT3とIGBT4がオン、IGBT1とIGBT2がオフであって、
正極側端子P1→インダクタL→PiNダイオードDi3→PiNダイオードDi4→正極側端子P2→電気機器5→負極側端子N2の経路に電流が流れ、インダクタLに蓄積されたエネルギが放出される。
また、電圧VLは、PiNダイオードDi3とPiNダイオードDi4に電流が導通し、およそV2となることから、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧と正極側端子P1側接続端子の電圧の差は(V1−V2)で負となり、インダクタ電流ILはIL<0の方向へ向けて減少する。
スイッチングモードCでは、IGBT2とIGBT4がオン、IGBT1とIGBT3がオフであって、
電流が、正極側端子P1→インダクタL→IGBT2→エネルギ移行用キャパシタC0→PiNダイオードDi4→正極側端子P2→電気機器5→負極側端子N2の経路に電流が流れ、エネルギがインダクタLに蓄えられ、エネルギ移行用キャパシタC0から放出される。また、同時に平滑キャパシタC2にも電流が流れてエネルギが蓄えられる。
IGBT2、PiNダイオードDi4がオンして電流が導通することから、エネルギ移行用キャパシタC0のIGBT2側接続端子の電位はおよそVL、IGBT4側接続端子の電位はおよそV2となる。よって、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VL=V2−Vc0となる。
ここで、Gate1信号とGate2信号のオンデューティは等しいため、スイッチングモードB、Cにおける電圧VLは時間平均的に等しく、Vc0=(V2−Vc0)の関係となる。よって、エネルギ移行用キャパシタC0の両端電圧Vc0は、二次側端子電圧V2の1/2倍の、V2/2となる。
上記を整理すると、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VLは、
スイッチングモードBでは、VL=Vc0=V2/2
スイッチングモードCでは、VL=(V2−Vc0)=V2/2
スイッチングモードDでは、VL=V2
となる。
これより、インダクタLの両端の電位差と、IGBT1、IGBT2のスイッチオン時間ton、スイッチオフ時間toffは、次の関係で表される。
スイッチングモードB、C:
L・ILrpl=ton・(V1−V2/2) (1a)
スイッチングモードD:
L・ILrpl=−toff・(V1−V2) (1b)
但し、Lは、インダクタLのインダクタンス、ILrplは、インダクタLに流れるリップル電流成分(交流電流成分)の振幅を示す。
式(1a)と式(1b)の左辺同士が等しいことから、次の関係が成り立つ。
ton・(V1−V2/2)=toff・(V2−V1) (2)
上の式(2)を一次側端子電圧V1と二次側端子電圧V2について整理すると次のようになる。
(V2/V1)=(ton+toff)/(ton+toff−ton+ton/2)
=1/(1−ton/T) (3)
但し、ton+toff=T/2
上の式(3)で周期Tは、スイッチングモードB→D→C→D→Bの順に切り替わって一周する期間を示しており、周期Tの内に、ton期間が2回、toff期間が2回含まれている。ton+toffは、T/2となる。
また、式(3)の左辺、V2/V1は、DC/DC電圧変換装置1の一次側電圧V1と二次側電圧V2との比率であり、DC/DC電圧変換比である。
図4に示される、ゲート駆動信号のオンデューティが50%未満の動作では、ton/T<0.5であり、式(3)に当てはめると、DC/DC電圧変換比は、2未満となる。よって、V2<(V1×2)である。
これらから、スイッチングモードB、Cでは、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VL=V2/2<V1、インダクタLの正極側端子P1側の接続端子の電圧がV1である。よって、VLを基準としてインダクタLの両端間の電位差は正となり、インダクタ電流ILは正の方向へ増加する。
以上のように、スイッチングモードB→D→C→D→Bの切り替わりにおいて、
スイッチングモードB、Cでは、インダクタ電流ILは、IL≧0の状態から更に正の方向に向けて変化し、
スイッチングモードDでは、インダクタ電流ILは、IL<0の状態に向けて変化する。
このことから、IGBTのスイッチング周期Tに亘ってインダクタ電流ILの増加、減少はT/2周期で2回繰り返されることとなる。即ち、IGBTのスイッチング周波数に対してインダクタLには2倍の周波数の交流電流が導通することとなる。
2) オンデューティ50%以上の場合:
次に、昇圧動作時でゲート駆動信号のオンデューティが50%以上である場合について説明する。
図5は、当該時の動作波形を示しており、(a)はゲート駆動信号、(b)はインダクタ電流IL、(c)はスイッチングモードとその切り替わりタイミングである。
図5の(a)において、図4の(a)と同様に、Gate1信号がハイ「H」の場合にIGBT1が、Gate2信号がハイの場合にIGBT2がオンし、コレクタからエミッタに向けて電流が流れる。
Gate3信号がハイの場合にIGBT3が、Gate4信号がハイの場合にIGBT4がオンするが、昇圧動作時には、逆並列接続されたPiNダイオードDi3、PiNダイオードDi4を、アノードからカソードに向けて電流が流れる。
また、Gate1信号とGate4信号、Gate2信号とGate3信号はそれぞれ相補信号であり、ハイとローの論理の切り替わり時にIGBTのスイッチング動作の応答遅れにより双方が同時にオンとならないよう阻止時間(デッドタイム)を設ける。Gate1信号とGate2信号は位相差が180度である。
この時、Gate1からGate4のゲート駆動信号のハイ、ローの論理の組み合わせは、スイッチングモードA、B、Cの三種に分類されA→B→A→C→Aの順に切り替わる。
先ず、スイッチングモードAでは、IGBT1とIGBT2がオン、IGBT3とIGBT4がオフであって、
電流が、正極側端子P1→インダクタL→IGBT2→IGBT1→負極側端子N1の経路に流れ、インダクタLにエネルギが蓄積される。
電圧VLは、IGBT1とIGBT2に電流が導通し、およそVcom=0となることから、インダクタLのIGBT2側接続端子の電圧VLと正極側端子P1側の接続端子の電圧との差は、(V1−0)で正となり、インダクタ電流ILは正の方向へ増加する。
スイッチングモードBでは、IGBT1とIGBT3がオン、IGBT2とIGBT4がオフであって、
電流が、正極側端子P1→インダクタL→PiNダイオードDi3→エネルギ移行用キャパシタC0→IGBT1→負極側端子N1の経路に流れ、エネルギがインダクタLから放出され、エネルギ移行用キャパシタC0に蓄えられる。電気機器5には、後述する動作で蓄電された平滑キャパシタC2の両端電圧が印加され、平滑キャパシタC2からエネルギが供給される。
IGBT1、PiNダイオードDi3がオンして電流が導通することから、エネルギ移行用キャパシタC0のIGBT1側接続端子の電位は、およそVcom=0、IGBT3(PiNダイオードDi3)側接続端子の電位は、およそVLとなる。
よって、インダクタLのIGBT3(PiNダイオードDi3)側接続端子の電圧VL=Vc0となる。
スイッチングモードCでは、IGBT2とIGBT4がオン、IGBT1とIGBT3がオフであって
電流が、正極側端子P1→インダクタL→IGBT2→エネルギ移行用キャパシタC0→PiNダイオードDi4→正極側端子P2→電気機器5→負極側端子N2の経路に流れ、エネルギがインダクタLとエネルギ移行用キャパシタC0から放出される。
IGBT2、PiNダイオードDi4がオンして電流が導通することから、エネルギ移行用キャパシタC0のIGBT2側接続端子の電位は、およそVL、IGBT4(PiNダイオードDi4)側接続端子の電位は、およそV2となる。
よって、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VL=V2−Vc0となる。
また、上述のオンデューティが50%未満の動作と同様に、Gate1信号とGate2信号のオンデューティは等しいため、スイッチングモードB、Cにおける電圧VLは、時間平均的に等しくVc0=(V2−Vc0)の関係となる。よって、エネルギ移行用キャパシタC0の両端電圧Vc0は、二次側端子電圧V2の1/2倍の、V2/2となる。
上記を整理すると、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VLは、
スイッチングモードAでは、VL=0
スイッチングモードBでは、VL=Vc0=V2/2
スイッチングモードCでは、VL=(V2−Vc0)=V2/2
となる。
これより、インダクタLの両端の電位差と、IGBT1、IGBT2のスイッチオン時間ton、スイッチオフ時間toffは、次の関係で表される。
スイッチングモードA:
L・ILrpl=(ton−toff)/2・V1 (4a)
スイッチングモードB、C:
L・ILrpl=−toff・(V1−V2/2) (4b)
式(4a)と式(4b)の左辺同士が等しいことから、次の関係が成り立つ。
(ton−toff)/2・V1=−toff・(V1−V2/2) (5)
上の式(5)を一次側端子電圧V1と二次側端子電圧V2について整理すると次のようになる。
(V2/V1)=(ton+toff)/toff
=1/(1−ton/T) (6)
但し、ton+toff=T
上記式(6)で、周期Tは、スイッチングモードA→B→A→C→Aの順に切り替わって一周する期間を示しており、周期Tの内に、ton期間が1回、toff期間が1回含まれている。ton+toff=Tとなる。
式(6)は、式(3)と等しいものであり、即ち、オンデューティが50%未満であっても50%以上であっても無関係にオンデューティの変化に合わせて連続的にDC/DC電圧変換比は調整される。
なお、図5に示されるゲート駆動信号のオンデューティが50%以上の動作では、ton/T≧0.5であり、式(6)に当てはめると、DC/DC電圧変換比は、2以上となる。よって、V2≧(V1×2)である。
これらから、スイッチングモードB、Cでは、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VL=V2/2≧V1、インダクタLの正極側端子P1側接続端子の電圧がV1である。よって、VLを基準としてインダクタLの両端間の電位差は負となり、インダクタ電流ILは負の方向へ減少する。
以上のように、スイッチングモードA→B→A→C→Aの切り替わりにおいて、
スイッチングモードAでは、インダクタ電流ILは、IL≧0の状態から更に正の方向に増加するよう変化し、
スイッチングモードB、Cでは、インダクタ電流ILは、IL<0の状態に向けて変化する。
このことから、IGBTのスイッチング周期Tに亘ってインダクタ電流ILの増加、減少はT/2周期で2回繰り返されることとなる。即ち、ゲート駆動信号のオンデューティが50%以上である場合についても、IGBTのスイッチング周波数に対してインダクタLには2倍の周波数の交流電流が導通することとなる。
次に、降圧動作時について説明する。
降圧動作時:
1) オンデューティ50%未満の場合:
降圧動作では図2の(b)に示すように、電圧V1≦電圧V2の関係で、DC/DC変換装置1の二次側に接続した電気機器5が発生する電力をV2からV1へDC/DC電圧変換して直流電源4で回収する。
図6に降圧動作時でゲート駆動信号のオンデューティが50%未満の場合の波形を示する。図6の(a)はゲート駆動信号、(b)はインダクタ電流IL、(c)はスイッチングモードとその切り替わりタイミングを示している。
図6の(a)において、Gate3信号がハイの場合にIGBT3が、Gate4信号がハイの場合にIGBT4がオンし、コレクタからエミッタに向けて電流が流れる。Gate1信号がハイの場合にIGBT1が、Gate2信号がハイの場合にIGBT2がオンするが、
降圧動作時には、逆並列接続されたPiNダイオードDi1、Di2を、アノードからカソードに向けて電流が流れる。
図6の(a)のゲート駆動信号と図6の(c)のスイッチングモードとその切り替えタイミングは、昇圧動作時でゲート駆動信号のオンデューティが50%未満での、図4の(a)、図4の(c)と同じである。
即ち、降圧動作時も昇圧動作時もゲート駆動信号は同じ波形であり、Gate1からGate4のゲート駆動信号のハイ、ローの論理の組み合わせは、スイッチングモードB→D→C→D→Bの順に切り替わる。
スイッチングモードDでは、IGBT3とIGBT4がオン、IGBT1とIGBT2がオフであって、
電流が、正極側端子P2→IGBT4→IGBT3→インダクタL→正極側端子P1→直流電源4→負極側端子N1の経路に流れ、インダクタLにエネルギが蓄積される。その電流導通の方向から、インダクタ電流ILの極性は負である。
また、IGBT3とIGBT4がオンして電流が導通することから、電圧VLは、およそV2となる。
よって、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧と正極側端子P1側の接続端子の電圧との差は、(V1−V2)で負となり、インダクタ電流ILは、IL<0の状態から負方向へ増加する。
スイッチングモードBでは、IGBT1とIGBT3がオン、IGBT2とIGBT4がオフであって、
電流が、エネルギ移行用キャパシタC0→IGBT3→インダクタL→正極側端子P1→直流電源4→負極側端子N1→PiNダイオードDi1の経路に流れ、エネルギがインダクタLとエネルギ移行用キャパシタC0から放出される。また、平滑キャパシタC2には、電気機器5の発電電圧V2が印加され、平滑キャパシタC2にエネルギが供給される。
IGBT1(PiNダイオードDi1)、IGBT3がオンして電流が導通することから、エネルギ移行用キャパシタC0のIGBT1(PiNダイオードDi1)側接続端子の電位は、およそVcom=0、IGBT3側接続端子の電位は、およそVLとなる。
よって、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VL=Vc0となる。
スイッチングモードCでは、IGBT2とIGBT4がオン、IGBT1とIGBT3がオフであって、
電流が、正極側端子P2→IGBT4→エネルギ移行用キャパシタC0→PiNダイオードDi2→インダクタL→正極側端子P1→直流電源4→負極側端子N1の経路に流れ、エネルギがインダクタLから放出され、エネルギ移行用キャパシタC0に蓄えられる。
PiNダイオードDi2、IGBT4がオンして電流が導通することから、エネルギ移行用キャパシタC0のIGBT2(PiNダイオードDi2)側接続端子の電位は、およそVL、IGBT4側接続端子の電位は、およそV2となる。
よって、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VL=V2−Vc0となる。
ここで、Gate3信号とGate4信号のオンデューティは等しいため、スイッチングモードB、Cにおける電圧VLは時間平均的に等しく、Vc0=(V2−Vc0)の関係となる。
よって、昇圧動作時と同様にエネルギ移行用キャパシタC0の両端電圧Vc0は、二次側端子電圧V2の1/2倍の、V2/2となる。
上記を整理すると、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VLは、
スイッチングモードBでは、VL=Vc0=V2/2
スイッチングモードCでは、VL=(V2−Vc0)=V2/2
スイッチングモードDでは、VL=V2
となる。
これより、インダクタLの両端の電位差と、IGBT1、IGBT2のスイッチオン時間ton、スイッチオフ時間toffは、昇圧動作時のゲート駆動信号のオンデューティが50%未満での関係を示す式(1a)、(1b)と同じとなる。
このため、同様に、式(2)、式(3)の関係が成り立つ。
即ち、DC/DC電圧変換装置1の電圧変換比(V2/V1)は、式(3)で示される。
図6のゲート駆動信号のオンデューティが50%未満の動作では、ton/T<0.5であり、式(3)に当てはめるとDC/DC電圧変換比は、2未満となる。よって、V2<(V1×2)である。即ち、一次側端子電圧V1は、二次側端子電圧V2の1/2倍より高く1倍よりも低い電圧へ降圧される。
これらから、スイッチングモードB、Cでは、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VL=V2/2<V1、インダクタLの正極側端子P1側の接続端子の電圧がV1である。よって、VLを基準としてインダクタLの両端間の電位差は正となり、インダクタ電流ILは正の方向に向けて減少する。即ち、降圧動作時でインダクタ電流IL<0の状態から、IL≧0の状態に向けてILは変化する。
以上のように、スイッチングモードB→D→C→D→Bの切り替わりにおいて、
スイッチングモードB、Cでは、インダクタ電流ILは、IL≧0の状態に向けて変化し、
スイッチングモードDでは、インダクタ電流ILは、IL<0の状態から更に負の方向に増加するよう変化する。
このことから、IGBTのスイッチング周期Tに亘ってインダクタ電流ILの増加、減少はT/2周期で2回繰り返されることとなる。即ち、昇圧動作時と同様にIGBTのスイッチング周波数に対してインダクタLには2倍の周波数の交流電流が導通することとなる。
2) オンデューティ50%以上の場合:
次に、降圧動作時でゲート駆動信号のオンデューティが50%以上である場合について説明する。
図7は、当該時の動作波形を示しており、(a)はゲート駆動信号、(b)はインダクタ電流IL、(c)はスイッチングモードとその切り替わりタイミングである。
図7の(a)において、Gate3信号がハイの場合にIGBT3が、Gate4信号がハイの場合にIGBT4がオンし、コレクタからエミッタに向けて電流が流れる。
Gate1信号がハイの場合にIGBT1が、Gate2信号がハイの場合にIGBT2がオンするが、降圧動作時には、逆並列接続されたPiNダイオードDi1、Di2を、アノードからカソードに向けて電流が流れる。
図7の(a)のゲート駆動信号と図7の(c)のスイッチングモードとその切り替えタイミングは、昇圧動作時でゲート駆動信号のオンデューティが50%以上での図5の(a)、図5の(c)と同じである。
即ち、降圧動作時も昇圧動作時もゲート駆動信号は同じ波形であり、Gate1からGate4のゲート駆動信号のハイ、ローの論理の組み合わせは、スイッチングモードA→B→A→C→Aの順に切り替わる。
先ず、スイッチングモードCでは、IGBT2とIGBT4がオン、IGBT1とIGBT3がオフであって、
電流が、正極側端子P2→IGBT4→エネルギ移行用キャパシタC0→PiNダイオードDi2→インダクタL→直流電源4→負極側端子N1の経路に流れ、エネルギがインダクタLとエネルギ移行用キャパシタC0に蓄えられる。
IGBT2(PiNダイオードDi2)、IGBT4がオンして電流が導通することから、エネルギ移行用キャパシタC0のIGBT2側接続端子の電位は、およそVL、IGBT4側接続端子の電位は、およそV2となる。
よって、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VL=V2−Vc0となる。
スイッチングモードBでは、IGBT1とIGBT3がオン、IGBT2とIGBT4がオフであって、
電流が、エネルギ移行用キャパシタC0→IGBT3→インダクタL→正極側端子P1→直流電源4→負極側端子N1→PiNダイオードDi1の経路に流れ、エネルギがインダクタLに蓄えられ、エネルギ移行用キャパシタC0から放出される。
IGBT1(PiNダイオードDi1)、IGBT3がオンして電流が導通することから、エネルギ移行用キャパシタC0のIGBT1側接続端子の電位は、およそVcom=0、IGBT3側接続端子の電位は、およそVLとなる。
よって、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VL=Vc0となる。
スイッチングモードAでは、IGBT1とIGBT2がオン、IGBT3とIGBT4がオフであって、
電流が、インダクタL→正極側端子P1→直流電源4→負極側端子N1→PiNダイオードDi1→PiNダイオードDi2の経路に流れ、エネルギがインダクタLから放出される。
電圧VLは、PiNダイオードDi1とPiNダイオードDi2に電流が導通し、およそVcom=0となることから、インダクタLのIGBT2側接続端子の電圧VLと正極側端子P1側の接続端子の電圧との差は、V1で正となり、インダクタ電流ILは、IL<0の状態から正の方向へ向けて変化する。
また、上述のオンデューティが50%未満の動作と同様に、Gate3信号とGate4信号のオンデューティは等しいため、スイッチングモードB、Cにおける電圧VLは、時間平均的に等しく、Vc0=(V2−Vc0)の関係となる。よって、昇圧動作時と同様に、エネルギ移行用キャパシタC0の両端電圧Vc0は、二次側端子電圧V2の1/2倍の、V2/2となる。
上記を整理すると、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VLは、
スイッチングモードAでは、VL=Vcom=0
スイッチングモードBでは、VL=Vc0=V2/2
スイッチングモードCでは、VL=(V2−Vc0)=V2/2
となる。
これより、インダクタLの両端の電位差とIGBT1、IGBT2のスイッチオン時間ton、スイッチオフ時間toffの関係は、昇圧動作時のゲート駆動信号のオンデューティが50%以上での関係を示す式(4a)、(4b)と同じとなる。このため、同様に式(5)、式(6)の関係が成り立つ。
即ち、DC/DC電圧変換装置1の電圧変換比(V2/V1)は、式(6)で示される。
図7のゲート駆動信号のオンデューティが50%以上の動作では、ton/T≧0.5であり、式(6)に当てはめるとDC/DC電圧変換比は、2以上となる。よって、V2≧(V1×2)である。即ち、一次側端子電圧V1は、二次側端子電圧V2の1/2倍より低い電圧へ降圧される。
これらから、スイッチングモードB、Cでは、インダクタLのIGBT3側接続端子の電圧VL=V2/2≧V1、インダクタLの正極側端子P1側接続端子の電圧がV1である。よって、VLを基準としてインダクタLの両端間の電位差は負となり、インダクタ電流ILは負の方向に増加する。即ち、降圧動作時でインダクタ電流IL<0の状態から、更に負の方向へ増加するよう変化する。
上述のように、スイッチングモードA→B→A→C→Aの切り替わりにおいて、
スイッチングモードAでは、インダクタ電流ILは、IL≧0の状態に向けて変化し、
スイッチングモードB、Cでは、インダクタ電流ILは、IL<0の状態から更に負の方向に増加するよう変化する。
このことから、IGBTのスイッチング周期Tに亘ってインダクタ電流ILの増加、減少はT/2周期で2回繰り返されることとなる。即ち、ゲート駆動信号のオンデューティが50%以上である場合についても、IGBTのスイッチング周波数に対してインダクタLには2倍の周波数の交流電流が導通することとなる。
続いて、図9を参照して、制御ユニット3の動作について説明する。図9は制御ユニット3と変換主回路2の構成を説明するブロック図である。
制御ユニット3は、外部から変換主回路2の一次側端子電圧V1、二次側端子電圧V2、インダクタ電流IL(例えば図3の変換主回路2がV1,V2,ILのための検出器(図示省略)を含む、これらの検出器より得る)、及び、図示しない外部装置からのDC/DC電圧変換比指示を入力して内部で制御演算を行い、変換主回路2内のIGBT4、IGBT3、IGBT2、IGBT1のスイッチング動作を制御するゲート駆動信号8(Gate4、Gate3、Gate2、Gate1)を出力する。
なお、変換制御部10、ゲートPWM生成部11はマイクロコンピュータ等で構成され得る。
制御ユニット3に入力する一次側端子電圧V1、二次側端子電圧V2、インダクタ電流IL、DC/DC電圧変換比指示は、変換制御部10に入力する。変換制御部10は二次側端子電圧V2と一次側端子電圧V1の比から、実際に動作中の変換主回路2の電圧変換比を算出するとともに、外部装置からのDC/DC電圧変換比指示と突き合わせて公知の比例積分(PI)演算等を用いた負帰還制御演算を行ってIGBT1とIGBT2のオンデューティの目標量Ldutyを算出する。Ldutyはデューティの下限を0%、上限を100%とする範囲で、例えば0%の際にLduty=0.0、100%の際にLduty=1.0として間を直線補間した量として表す。また、インダクタ電流ILは上記の電圧変換比の負帰還制御演算に内包される制御演算ループとして、インダクタ電流IL_refとインダクタ電流ILを突き合わせて行う負帰還制御演算の入力量として用いられる。
このインダクタ電流の負帰還マイナー制御演算を適用すれば外周のDC/DC電圧変換比の負帰還制御系の制御帯域を高周波数に設定可能となり、電圧変換比指示への変換比制御の追従応答性が向上する。
次にLdutyはゲートPWM生成部11に入力される。ゲートPWM生成部11はLdutyの値に対応して、パルス幅変調(PWM:Pulese Width Modulation)し、図4の(a),図5の(a),図6の(a),図7の(a)に示されるゲート駆動信号8(Gate4、Gate3、Gate2、Gate1)の原信号となる矩形状のゲートPWM信号Gpwm1、Gpwm2、Gpwm3、Gpwm4を生成出力する。これは、例えば三角波比較法を用いて周波数がスイッチ素子のスイッチング周波数、振幅が1.0の三角波とLdutyとの大小比較を行って生成される。
ゲートPWM信号Gpwm1、Gpwm2、Gpwm3、Gpwm4はゲート駆動部12に入力される。ゲート駆動部12はゲートPWM信号の論理に応じてスイッチ素子のオン、オフ動作させるゲート駆動信号8を出力する。ゲート駆動部12はゲートPWM生成部11との間でゲートPWM信号を受け渡しする必要から、信号を絶縁して受信する。これは、IGBT4、IGBT3、IGBT2、IGBT1のエミッタ電位がそれぞれ個別の値となり、またIGBT4、IGBT3、IGBT2、IGBT1のオン、オフを切り替えるために、それぞれのIGBTのエミッタ電位を基準として、ゲートの電位を操作する必要がある一方、ゲートPWM生成部11は、同一の基準電位でゲートPWM信号を生成出力するためである。
また、上述のようにエミッタ電位が個別である各IGBTを動作させるよう、ゲート駆動部12はゲート駆動回路(1)121、ゲート駆動回路(2)122、ゲート駆動回路(3)123、ゲート駆動回路(4)124に分かれる。
各ゲート駆動回路121〜124は対応するIGBT1〜4のエミッタ電位と信号接続しており、ゲート駆動信号8の電圧を電源電圧VD1〜4とするかエミッタ電位とするかを切り替えることで、スイッチオン、スイッチオフを制御する。電源電圧VD1〜4も各IGBT1〜4に応じて個別に供給する必要から、4通りの相互に絶縁された電源電圧VD1、VD2、VD3、VD4をゲート電源回路13で作り、それぞれゲート駆動回路(1)121、ゲート駆動回路(2)122、ゲート駆動回路(3)123、ゲート駆動回路(4)124に供給する。
ゲート駆動回路(1)121はGate1信号を出力しIGBT1を、ゲート駆動回路(2)122はGate2信号を出力しIGBT2を、ゲート駆動回路(3)123はGate3信号を出力しIGBT3を、ゲート駆動回路(4)124はGate4信号を出力しIGBT4をそれぞれスイッチング動作する。
IGBT1とIGBT2のオンデューティとDC/DC電圧変換比の関係は、式(6)に従って図8に示される特性となる。DC/DC電圧変換装置1は上述のように、図示しない外部装置からのDC/DC電圧変換比指示に追従すべく制御ユニット3で演算を行い、定常的には図8の特性線上の指示されたDC/DC電圧変換比に対応するオンデューティでのゲート駆動信号8を出力して変換主回路2内のスイッチ素子のスイッチオン、スイッチオフを制御する。
なお、例えば制御ユニット3の記憶部(図示省略)に予め求めた図8に示す特性のデータ(テーブル)を格納しておき、このデータに基づいてオンデューティを求めることが考えられる。
オンデューティが0%の場合にDC/DC電圧変換装置1の一次側電圧V1と二次側電圧V2は等しくなる。オンデューティが大きくなるに連れ、電圧変換比V2/V1は大きくなる。昇圧動作時は一次側から二次側の方向へ昇圧比V2/V1が1.0以上の範囲で電力を送り、降圧動作時は二次側から一次側の方向へ降圧比V1/V2が1.0以下の範囲で電力を送る。
ここで、スイッチ素子のスイッチングタイミングとインダクタ導通電流波形、各スイッチ素子と整流素子の導通電流波形、及び、損失に関して、図12、図13を用いて説明する。
図12、図13は、昇圧動作時であってオンデューティ50%未満で、一次側から二次側へ電力を供給する場合を示している。
図12は、DC/DC電圧変換装置の負荷電力が大きく、インダクタ電流ILの極性が正に留まる場合での動作波形を示しており、図12の、(a)はゲート駆動信号、(b)はインダクタ電流IL、(c)はスイッチングモードとその切り替わりタイミング、(d)はスイッチ素子と整流素子に導通する電流を示している。
オンデューティ50%未満の動作において、スイッチングモードは前述のように、B→D→C→D→Bの順で循環するよう切り替わる。
まず、スイッチングモードDにて、IGBT3とIGBT4がオン、IGBT1とIGBT2がオフであって、正極側端子P1→インダクタL→PiNダイオードDi3→PiNダイオードDi4→正極側端子P2→電気機器5→負極側端子N2の経路に電流が流れる。すなわち、半導体素子の内、PiNダイオードDi3とPiNダイオードDi4に電流が流れ、PiNダイオードDi3とPiNダイオードDi4には順方向に電流が流れることによる定常損失が生じる。
次に、スイッチングモードBに切り替わると、IGBT1とIGBT3がオン、IGBT2とIGBT4がオフであって、
電流が、正極側端子P1→インダクタL→PiNダイオードDi3→エネルギ移行用キャパシタC0→IGBT1→負極側端子N1の経路に流れる。半導体素子の内、IGBT1とPiNダイオードDi3に電流が流れ、IGBT1とPiNダイオードDi3には順方向に電流が流れることによる定常損失が生じる。また、スイッチングモードDからスイッチングモードBへの切り替えに際し、PiNダイオードDi4は導通状態から非導通状態へ移る。
ここで、PiNダイオードDi3、PiNダイオードDi4はSi材料によるPiNダイオードであってバイポーラの素子である。順方向バイアスで導通状態では、正孔(ホール)と電子の双方が電荷の担い手として、ダイオードの中を充満して移動している。ここで、逆方向バイアスに切り替わると、ホールと電子は、順バイアス時に移動していた方向とは逆の方向に移動を始めるため、ダイオードの外部から見ると逆方向に電流が流れることとなる。これは、ダイオードの逆回復(リカバリ)特性と称され、逆方向に流れる電流はリカバリ電流と呼ばれる。ホールは電子に比べてキャリア移動度が低いため、特にホールのキャリア移動度の低さに起因して、リカバリ電流が流れ続ける時間が長くなる。
スイッチングモードDからスイッチングモードBへの切り替えにて、PiNダイオードDi4は導通状態から非導通状態へ移るため、PiNダイオードDi4にはスイッチング損失の成分としてリカバリ電流による逆回復損失Errが発生する。
一方、IGBT1は図12の(d)のタイミングm1に示すように、非導通状態から導通状態に移る。これはターンオンと呼ばれる動作である。IGBT1のスイッチングとIGBT4、PiNダイオードDi4のスイッチングは相補の動作であるため、IGBT1のターンオンのタイミングで、PiNダイオードDi4にリカバリ電流が流れる。このリカバリ電流はIGBT1の電流に重畳するため、IGBT1のターンオン時のスイッチング損失(ターンオン損失Esw(on))の多さに影響を及ぼす。
続けて、スイッチングモードDに切り替わると、再び、IGBT3とIGBT4がオン、IGBT1とIGBT2がオフし、半導体素子の内、PiNダイオードDi3とPiNダイオードDi4に電流が流れる。PiNダイオードDi3とPiNダイオードDi4には順方向に電流が流れることによる定常損失が生じる。
スイッチングモードBからスイッチングモードDへの切り替えにて、IGBT1は導通状態から非導通状態へ移る。これはターンオフと呼ばれる動作であり、この際、スイッチング損失としてターンオフ損失Esw(off)が生じる。
次に、スイッチングモードCに切り替わると、IGBT2とIGBT4がオン、IGBT1とIGBT3がオフであって、
電流が、正極側端子P1→インダクタL→IGBT2→エネルギ移行用キャパシタC0→PiNダイオードDi4→正極側端子P2→電気機器5→負極側端子N2の経路に流れる。
半導体素子の内、IGBT2とPiNダイオードDi4に電流が流れ、定常損失が生じる。
また、スイッチングモードDからスイッチングモードCへの切り替えに際し、図12(d)のタイミングm4に示すように、PiNダイオードDi3は導通状態から非導通状態に移るため、リカバリ電流による逆回復損失Errが発生する。
IGBT2は、非導通状態から導通状態に移り、ターンオン損失Esw(on)を生じる。IGBT2のスイッチングとIGBT3、PiNダイオードDi3のスイッチングは相補の動作であるため、IGBT2のターンオンのタイミングで、上記のようにPiNダイオードDi3にリカバリ電流が流れる。
再び、スイッチングモードDに切り替わると、上述のように半導体素子の内、PiNダイオードDi3とPiNダイオードDi4に電流が流れ定常損失が生じる。
スイッチングモードCからスイッチングモードDへの切り替えにて、IGBT2は導通状態から非導通状態へ移り、ターンオフ損失Esw(off)を生じる。
以上をIGBT1、IGBT2の損失、PiNダイオードDi3、PiNダイオードDi4の損失として整理してみると、
GBT1は、スイッチングモードBへ移る際のターンオン損失Esw(on)、期間中にインダクタ電流ILと同じ量の電流が流れることによる定常損失、スイッチングモードBから移る際のターンオフ損失Esw(off)の三つの成分が生じることとなる。
同様にIGBT2は、スイッチングモードCを対象に、上記のIGBT1と相似のターンオン損失Esw(on)、定常損失、ターンオフ損失Esw(off)の三つの損失成分が生じる。
PiNダイオードDi3は、図12の(d)のタイミングm3で電流が流れ始め、スイッチングモードD、スイッチングモードB、スイッチングモードDを経てタイミングm4で電流が遮断される。期間中はインダクタ電流ILと同じ量の電流が流れることによる定常損失が生じる。また、タイミングm4ではリカバリ電流による逆回復損失Errが発生する。
同様にPiNダイオードDi4は、スイッチングモードD、スイッチングモードC、スイッチングモードDの期間を、上記のPiNダイオードDi3と相似な波形で電流が流れる。損失として、定常損失と、逆回復損失Errが発生する。
次に、図13のDC/DC電圧変換装置の負荷電力が小さく、インダクタ電流ILの極性がゼロを跨いで正と負が切り替わる場合での動作波形を示しており、図12の(a)は、ゲート駆動信号、(b)はインダクタ電流IL、(c)はスイッチングモードとその切り替わりタイミング、(d)はスイッチ素子と整流素子に導通する電流を示している。
オンデューティ50%未満の動作において、スイッチングモードは前述のように、B→D→C→D→Bの順で循環するよう切り替わる。
まず、スイッチングモードDにて、IGBT3とIGBT4がオン、IGBT1とIGBT2がオフであって、スイッチングモードDへ切り替わり後は、正極側端子P1→インダクタL→PiNダイオードDi3→PiNダイオードDi4→正極側端子P2→電気機器5→負極側端子N2の経路に電流が流れつつ、インダクタ電流ILはゼロへ向けて減衰して行く。
半導体素子の内、PiNダイオードDi3とPiNダイオードDi4に電流が流れ、定常損失が生じる。
インダクタ電流ILがゼロを跨いで負極性になると、負極側端子N2→電気機器5→正極側端子P2→IGBT4→IGBT3→インダクタL→正極側端子P1の経路に電流が流れつつ、インダクタ電流ILは負方向に増加して行く。
半導体素子の内、IGBT3とIGBT4に電流が流れ、定常損失が生じる。インダクタ電流ILがゼロの状態からIGBT3、IGBT4がターンオンすることから、非導通状態から導通状態に移る際のターンオン損失Esw(on)は発生しない(図13の(a)(d)参照、以下同様)。
次に、インダクタ電流ILが負極性にてスイッチングモードBに切り替わると、IGBT1とIGBT3がオン、IGBT2とIGBT3がオフであって、電流が、負極側端子N1→PiNダイオードDi1→エネルギ移行用キャパシタC0→IGBT3→インダクタL→正極側端子P1の経路に流れつつ、電流はゼロへ向けて減衰して行く。
半導体素子の内、PiNダイオードDi1とIGBT3に電流が流れ、定常損失が生じる。
インダクタ電流ILがゼロを跨いで正極性になると、電流が、正極側端子P1→インダクタL→PiNダイオードDi3→エネルギ移行用キャパシタC0→IGBT1→負極側端子N1の経路に流れつつ、インダクタ電流ILは正方向に拡大して行く。
半導体素子の内、IGBT1とPiNダイオードDi3に電流が流れ、定常損失が生じる。
インダクタ電流ILがゼロの状態からIGBT1がターンオンすることから、ターンオン損失Esw(on)は発生しない。
また、スイッチングモードDからスイッチングモードBへの切り替えに際し、IGBT4は導通状態から非導通状態へ移り、ターンオフ損失Esw(off)が生じる。
続けて、インダクタ電流ILが正極性にてスイッチングモードDに切り替わると、再び、IGBT3とIGBT4がオン、IGBT1とIGBT2がオフし、半導体素子の内、PiNダイオードDi3とPiNダイオードDi4に電流が流れ、定常損失が生じる。インダクタ電流ILはゼロへ向けて減衰して行く。
インダクタ電流ILがゼロを跨いで負極性になると、負極側端子N2→電気機器5→正極側端子P2→IGBT4→IGBT3→インダクタL→正極側端子P1の経路に電流が流れつつ、インダクタ電流ILは負方向に増加して行く。
半導体素子の内、IGBT3とIGBT4に電流が流れ、定常損失が生じる。インダクタ電流ILがゼロの状態からIGBT3、IGBT4がターンオンすることから、非導通状態から導通状態に移る際のターンオン損失Esw(on)は発生しない。
また、スイッチングモードBからスイッチングモードDへの切り替えに際し、IGBT1は導通状態から非導通状態へ移り、ターンオフ損失Esw(off)が生じる。
次に、インダクタ電流ILが負極性にてスイッチングモードCに切り替わると、IGBT2とIGBT4がオン、IGBT1とIGBT3がオフであって、電流が、負極側端子N2→電気機器5→正極側端子P2→IGBT4→エネルギ移行用キャパシタC0→PiNダイオードDi2→インダクタL→正極側端子P1の経路に流れつつ、電流はゼロへ向けて減衰して行く。
半導体素子の内、IGBT4とPiNダイオードDi2に電流が流れ、定常損失が生じる。
また、インダクタ電流ILが負極性の状態から減衰してゼロを跨ぐ際に、IGBT4がターンオフすることから、IGBT4にターンオフ損失Esw(off)は発生しない。
インダクタ電流ILがゼロを跨いで正極性になると、
電流が、正極側端子P1→インダクタL→IGBT2→エネルギ移行用キャパシタC0→PiNダイオードDi4→正極側端子P2→電気機器5→負極側端子N2の経路に流れつつ、インダクタ電流ILは正方向に増加して行く。
半導体素子の内、IGBT2とPiNダイオードDi4に電流が流れ、定常損失が生じる。
インダクタ電流ILがゼロの状態からIGBT2がターンオンすることから、IGBT2にターンオン損失Esw(on)は発生しない。
また、スイッチングモードDからスイッチングモードCへの切り替えに際し、IGBT3は導通状態から非導通状態へ移り、ターンオフ損失Esw(off)が生じる。
続けて、インダクタ電流ILが正極性にてスイッチングモードDに切り替わると、上述のように、PiNダイオードDi3とPiNダイオードDi4に電流が流れ、定常損失が生じる。インダクタ電流ILはゼロへ向けて減衰して行く。
インダクタ電流ILがゼロを跨いで負極性になり負方向に増加していくと、IGBT3とIGBT4に電流が流れ、定常損失が生じる。
インダクタ電流ILがゼロの状態からIGBT3、IGBT4がターンオンすることから、ターンオン損失Esw(on)は発生しない。
また、スイッチングモードCからスイッチングモードDへの切り替えに際し、IGBT2は導通状態から非導通状態へ移り、ターンオフ損失Esw(off)が生じる。
以上をIGBT1、IGBT2、IGBT3、IGBT4の損失、PiNダイオードDi1、Di2、Di3、Di4の損失として整理してみると、
IGBT1は、スイッチングモードB内でインダクタ電流ILが正極性の期間中にインダクタ電流ILと同じ量の電流が流れることによる定常損失、スイッチングモードBから移る際のターンオフ損失Esw(off)の二つの成分が生じることとなる。
同様にIGBT2は、スイッチングモードCを対象に、上記のIGBT1と相似の定常損失、ターンオフ損失Esw(off)の二つの損失成分が生じる。
IGBT3は、スイッチングモードD内でインダクタ電流ILが負極性の期間中、及び、スイッチングモードB内でインダクタ電流ILが負極性の期間中に定常損失が生じる。また、スイッチングモードDからスイッチングモードCに切り替わる際にターンオフ損失Esw(off)が生じる。
IGBT4は、スイッチングモードD内でインダクタ電流ILが負極性の期間中、及び、スイッチングモードC内でインダクタ電流ILが負極性の期間中に定常損失が生じる。また、スイッチングモードDからスイッチングモードBに切り替わる際にターンオフ損失Esw(off)が生じる。
PiNダイオードDi1は、スイッチングモードB内でインダクタ電流ILが負極性の期間中に定常損失が生じる。
同様にPiNダイオードDi2は、スイッチングモードC内でインダクタ電流ILが負極性の期間中に定常損失が生じる。
PiNダイオードDi3は、スイッチングモードD内でインダクタ電流ILが正極性の期間中、及び、スイッチングモードB内でインダクタ電流ILが正極性の期間中に定常損失が生じる。
PiNダイオードDi4は、スイッチングモードD内でインダクタ電流ILが正極性の期間中、及び、スイッチングモードC内でインダクタ電流ILが正極性の期間中に定常損失が生じる。
これらのことから、インダクタ電流ILの極性が正にとどまる場合は、
IGBTには、ターンオン損失Esw(on)、定常損失、ターンオフ損失Esw(off)の三つの損失成分が生じ、また、
PiNダイオードDiには、定常損失と、逆回復損失Errの二つの損失成分が生じる。
一方、インダクタ電流ILの極性がゼロを跨いで正極性と負極性が切り替わる場合は、
IGBTには、定常損失、ターンオフ損失Esw(off)の二つの損失成分が生じ、また、
PiNダイオードDiには、定常損失だけが生じる。
従って、インダクタ電流ILが正極性に留まる場合と、ゼロを跨いで正極性と負極性が切り替わる場合とでは、IGBTにターンオン損失Esw(on)が発生するか否か、PiNダイオードDiに逆回復損失Errが発生するか否かの相違がある。
このため、インダクタ電流ILの極性がゼロを跨いで正極性と負極性が切り替わる場合と、一方の極性に留まる場合とで、IGBTとPiNダイオードDiに生じる損失量が異なるため、DC/DC電圧変換装置全体で見た場合に、電圧変換装置のパワー半導体ユニットの発生損失が不連続となることに起因して、過渡的な電圧変動(DC/DC電圧変換性能の悪化)が発生する。インダクタ電流ILの極性の切り替わり有無は、DC/DC電圧変換装置の負荷量によって様々に変化することから、当要因で過渡的な電圧変動が頻発することは問題となる。
この課題を解決するため、この発明のDC/DC変換装置は、制御ユニット3において、インダクタ電流ILの大きさによって、ゲート駆動部12のスイッチオン回路を切り替える。すなわち、インダクタ電流ILの極性がゼロを跨いで正極性と負極性が切り替わるような負荷量においては、スイッチオン回路(2)を用い、インダクタ電流ILの極性が正または負の一方の極性に留まるような負荷量においては、スイッチオン回路(1)を用いる。
スイッチオン回路(1)とスイッチオン回路(2)それぞれでの、IGBTのターンオン波形は、図14に示される。図14の(a)はIGBTのターンオン時のコレクタ電流波形、図14の(b)はIGBTのターンオン時のコレクタ−エミッタ間電圧波形である。
図14の(a)において、スイッチオン回路(1)を用いてターンオンすると、オーバーシュートを伴って高い電流勾配di/dtで、早く立ち上がる。スイッチオン回路(2)を用いてターンオンすると、スイッチオン回路(1)を用いる場合に比べて、少ないオーバーシュート量でもって低い電流勾配di/dtで、ゆっくりと立ち上がる。
図14の(b)を参照して、スイッチオン回路(1)を用いてターンオンすると、コレクタ−エミッタ間電圧は、素早く低下し飽和電圧Vce(sat)に到達する。スイッチオン回路(2)を用いてターンオンすると、スイッチオン回路(1)を用いる場合に比べて、長い時間をかけてゆっくりと低下して飽和電圧Vce(sat)に到達する。
IGBTのターンオン損失は、コレクタ電流の立ち上がり電流量と、コレクタ−エミッタ間電圧の立ち下がり電流量の積となるため、スイッチオン回路(1)を用いた際のターンオン損失Esw(on)1は、スイッチオン回路(2)を用いた際のターンオン損失Esw(on)2よりも少なくなる。
以上のスイッチオン回路(1)とスイッチオン回路(2)を切り替える制御ユニット3の動作の詳細は、次のようになる。
図9を参照して、制御ユニット3内の変換制御部10は、電圧変換比の負帰還演算を行ってIGBT1とIGBT2のオンデューティの目標量Ldutyを出力する。
続いて、ゲートPWM生成部11はLdutyを入力し、パルス幅変調を行う。さらにゲートPWM信号Gpwm1、Gpwm2、Gpwm3、Gpwm4を生成し、ゲート駆動部12へ出力する。
また、インダクタ電流ILの値を用いて、スイッチオン回路(1)とスイッチオン回路(2)のいずれを選択するかの切り替え信号DCselをゲート駆動部12へ出力する。
ゲート駆動部12の詳細な構成は図10に示される。図10はゲート駆動部12を構成する4つの個別のゲート駆動回路121、122、123、124の内の一つを代表してゲート駆動回路12xとして示している。上記の個別のゲート駆動回路121、122、123、124は同じ構成、動作であって、ゲート駆動回路121はIGBT1に、122はIGBT2に、123はIGBT3に、124はIGBT4に対応している。
ゲート駆動回路12xはスイッチオン回路(1)24、スイッチオン回路(2)25、スイッチオフ回路26のいずれかを動作させてゲート駆動信号8を生成し出力する。
スイッチオン回路(1)24は、小信号用の電界効果トランジスタ等の半導体スイッチ241と回路抵抗242から成る。同様にスイッチオン回路(2)25は、半導体スイッチ251と回路抵抗252、スイッチオフ回路26は、半導体スイッチ261と回路抵抗262から成る。ここで(回路抵抗242の抵抗値)<(回路抵抗252の抵抗値)の関係である。
ゲートPWM信号Gpwmがゲート駆動回路12xに入力すると、内部で信号バッファ21、信号バッファ(反転)22に伝送される。信号バッファ21はゲートPWM信号Gpwmの論理がスイッチオン論理の場合に閉、スイッチオフ論理の場合に開とするよう半導体スイッチ241、251を制御する増幅回路である。
Gpwmがスイッチオン論理の場合に半導体スイッチ241か半導体スイッチ251の何れかが閉となって、ゲート駆動信号8(Gate)の電圧は電源電圧VDとなる。よって、対応する変換主回路2内のIGBTがスイッチオンする。
Gpwmがスイッチオフ論理の場合に半導体スイッチ261が閉となって、ゲート駆動信号8(Gate)の電圧はエミッタ電位と等しくなる。よって、対応する変換主回路2内のIGBTがスイッチオフする。
ここで、半導体スイッチ241と半導体スイッチ251の何れを閉とするかは、回路切り替え器23で選択される。
信号バッファ21の出力と切り替え信号DCselが回路切り替え器23に入力し、スイッチオン回路(1)24とスイッチオン回路(2)25のどちらを動作させるか選択して、選択した側のスイッチオン回路内の半導体スイッチを閉とするよう制御信号を伝送する。
回路切り替え器23でのスイッチオン回路の選択は、図11に示す形態で行われる。
図11はインダクタ電流IL(絶対値)に対応して、スイッチオン回路のいずれを選択するかを模式的に示す説明図である。図11にて、スイッチオン回路の切り替えはインダクタ電流ILに関して幅ΔILhのヒステリシスをもって行われる。
すなわち、スイッチオン回路(2)25が選択されている状態で、インダクタ電流の絶対値が|ILt|A以上となれば、スイッチオン回路(1)24を選択するよう切り替える。また、スイッチオン回路(1)24が選択されている状態で、インダクタ電流の絶対値が(|ILt|−ΔILh)A未満となれば、スイッチオン回路(2)25を選択するよう切り替える。
すなわち、インダクタ電流の絶対値が大きくなり第1の閾値|ILt|A以上に上昇した場合に、低い回路抵抗値のスイッチオン回路(1)24で動作させ、インダクタ電流の絶対値が小さくなり第2の閾値(|ILt|−ΔILh)A未満に減少した場合に、高い回路抵抗値のスイッチオン回路(2)25で動作させる。
スイッチオン回路(1)24では、IGBTのゲート電荷充電速度が速く、スイッチオン回路(2)25では、IGBTのゲート電荷充電速度が遅い。よって、IGBTのターンオン時の電流、電圧の波形は上述の図14に図示されるものとなる。
以上に示した動作にて、制御ユニット3はインダクタ電流ILの閾値との大小関係に基づいて、IGBT4〜IGBT1のターンオン動作時のスイッチオン回路を切り替え、Gate1からGate4のゲート駆動信号を出力する。ここで、ターンオン動作時のスイッチオン回路の切り替えは、インダクタ電流ILの極性がゼロを跨いで正極性と負極性が切り替わる場合と、一方の極性に留まる場合とで、IGBTとPiNダイオードDiに生じる損失量が異なることで、DC/DC電圧変換装置全体で見て電圧変換装置のパワー半導体ユニットの発生損失が不連続となり、過渡的な電圧変動が生じることを抑えるように働く。
このことを、図15を用いて説明する。図15の(a)はインダクタ電流ILおよびスイッチオン回路の切り替え、図15の(b)は本実施の形態で動作する場合のDC/DC電圧変換装置の二次側電圧V2、図15の(c)は従来のDC/DC電圧変換装置の二次側電圧V2の時間波形であって、DC/DC電圧変換装置の負荷量の変動により、インダクタ電流ILが負から正の方向へ増加して行く場合を示している。
図15の(c)の従来のDC/DC電圧変換装置の二次側電圧V2の波形では、インダクタ電流ILがゼロを跨いで負極性から正極性に移った後、再び電流ILがゼロへ向けて変化するタイミングTf2で電圧波形はポイントpy1に示すように乱れる。また、インダクタ電流ILが正の方向へ更に増加して行き、リップルによってもゼロを跨がないようになったタイミングTf4でもポイントpy2に示すように電圧波形は乱れる。
一方、本実施の形態で動作する場合のDC/DC電圧変換装置の二次側電圧V2は図15の(b)で示される。
図15の(a)のインダクタ電流ILは、各スイッチングモードの中間のタイミング(電流波形中の○印)で、マイクロプロセッサあるいは電子回路(図示省略)などによってサンプリングされ、制御ユニット3に入力され、スイッチオン回路(1)とスイッチオン回路(2)の切り替え判定に用いられる。
切り替えの判定条件は、図11に示したように、タイミングTf1でスイッチオン回路(1)からスイッチオン回路(2)へ切り替える。
続いて、インダクタ電流ILが正の方向へ更に増加して行くと、タイミングTf3でスイッチオン回路(2)からスイッチオン回路(1)へ切り替える。
この動作により、タイミングTf2での電圧波形の乱れは、ポイントpz1に示す程度となる。また、タイミングTf4でもポイントpz2に示す程度となる。
以上に説明したように、本実施の形態によれば、インダクタ電流ILの極性がゼロを跨いで正極性と負極性が切り替わる場合と、一方の極性に留まる場合とで、IGBTとPiNダイオードDiに生じる損失量が異なることでの過渡的な電圧変動を低減することができる。
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2によるDC/DC電圧変換装置を図16から図17を用いて説明する。
この発明の実施の形態2によるDC/DC電圧変換装置は、制御ユニット3内のゲートPWM生成部11の動作を除いて、先の実施の形態1のDC/DC電圧変換装置の場合と同じであり、以下では、実施の形態1と同じ構成、動作、作用の箇所については適宜説明を省略する。
先ず、図16はこの発明の実施の形態2におけるインダクタ電流ILとスイッチング周波数切り替えの関係を模式的に示す説明図である。
図16にて、スイッチング周波数の切り替えはインダクタ電流ILに関して幅ΔILhのヒステリシスをもって行われる。
すなわち、スイッチング周波数fsw(2)が選択されている状態で、インダクタ電流の絶対値が|Ilta|A以上となれば、スイッチング周波数fsw(1)で動作するよう切り替える。また、スイッチング周波数fsw(1)が選択されている状態で、インダクタ電流の絶対値が(|ILta|−ΔILha)A未満となれば、スイッチング周波数fsw(2)で動作するよう切り替える。
ここで、スイッチング周波数fswは、fsw(2)の方が高周波となるfsw(2)>fsw(1)の関係である。
すなわち、ゲートPWM生成部11はインダクタ電流の絶対値が大きくなり|ILta|A以上に上昇した場合に、周波数の低いスイッチング周波数fsw(1)でゲートPWM信号を生成出力させ、インダクタ電流の絶対値が小さくなり(|ILta|−ΔILha)A未満に減少した場合に、スイッチング周波数fsw(1)より周波数の高いスイッチング周波数fsw(2)でゲートPWM信号を生成出力する。
スイッチング周波数が高まると、単位時間当たりのスイッチ回数が増えるため、スイッチ素子、整流素子の双方の損失が増加する。
一方、実施の形態1で説明したように、インダクタ電流ILが正極性に留まる場合と、ゼロを跨いで正極性と負極性が切り替わる場合とでは、IGBTにターンオン損失Esw(on)が発生するか否か、PiNダイオードDiに逆回復損失Errが発生するか否かの相違が有り、IGBTとPiNダイオードDiに生じる損失量が異なるため、パワー半導体ユニットの発生損失が不連続となる。
本実施の形態では、実施の形態1でのスイッチオン回路の切り替え動作に加え、スイッチング周波数の切り替えも行うことで、パワー半導体ユニットの発生損失が不連続となるのを、さらに抑え、過渡的な電圧変動が発生するのを防止する。
このことを、図17を用いて説明する。図17の(a)はインダクタ電流IL、およびスイッチング周波数、スイッチオン回路の切り替え、、図17の(b)は本実施の形態で動作する場合のDC/DC電圧変換装置の二次側電圧V2の時間波形であって、DC/DC電圧変換装置の負荷量の変動により、インダクタ電流ILが負から正の方向へ増加して行く場合を示している。
図17の(a)のインダクタ電流ILは、電流波形中の○印のタイミングで、マイクロプロセッサあるいは電子回路(図示省略)などによってサンプリングされ、制御ユニット3に入力されて、スイッチオン回路(1)とスイッチオン回路(2)の切り替え判定と共に、スイッチング周波数fsw(1)とスイッチング周波数fsw(2)の切り替え判定に用いられる。
図17では、図示の簡単化のため、|ILt|と|ILta|を等しく、ΔILhとΔILhaを等しく設定している。
スイッチング周波数の切り替えの判定条件は、図16に示したように、タイミングTf1aでスイッチング周波数をfsw(2)へ切り替える判定を行い、タイミングTf2a以降で実際のPWM波形として反映される。
続いて、インダクタ電流ILが正の方向へ更に増加して行くと、タイミングTf3aでスイッチング周波数をfsw(1)へ切り替える判定を行い、タイミングTf4a以降で実際のPWM波形として反映される。
同じく、スイッチオン回路(1)とスイッチオン回路(2)の切り替えが、タイミングTf1a、タイミングTf3aで行われている。
上述の動作により、タイミングTf2aでの電圧波形の乱れはポイントpx1で、タイミングTf4aでの電圧波形の乱れはポイントpx2で示すように、図15の(b)に示される実施の形態1のものよりも、さらに低減される。
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3によるDC/DC電圧変換装置を図18から図20を用いて説明する。
この発明の実施の形態3によるDC/DC電圧変換装置は、変換主回路2の整流素子であるダイオードDi4a、Di3aとして、Si材料からなるバイポーラ型のPiNダイオードではなく、バンドギャップがさらに大きいシリコンカーバイド(SiC、炭化珪素)材料のユニポーラ型(ユニポーラ半導体)のショットキーバリア・ダイオード(SBD)を用いている。
変換主回路2の構成、動作を除いて、先の実施の形態1のDC/DC電圧変換装置の場合と同じであり、以下では、実施の形態1と同じ構成、動作、作用の箇所については適宜説明を省略する。
先ず、図18を参照して説明する。図18は、本実施の形態による変換主回路2の構成を示しており、パワー半導体ユニットPU1〜PU4のダイオードDi1、Di2、Di3a、Di4aの整流素子の内、変換主回路2の、二次側の正極側P2に近いダイオードDi3a、Di4aがSiC材料のショットキーバリアダイオード、負極側N2に近いダイオードDi2、Di1がSi材料のPiNダイオードである。
実施の形態1で説明したように、IGBT1とIGBT4、IGBT2とIGBT3は、互いに相補の論理でスイッチングすることから、IGBT1がターンオンする際には、IGBT4と逆並列に接続されるショットキーバリアダイオードDi4aのリカバリ電流がIGBT1の導通電流に重畳し、ターンオン損失Esw(on)の量に影響する。
また、IGBT2がターンオンする際には、IGBT3と逆並列に接続されるショットキーバリアダイオードDi3aのリカバリ電流がIGBT2の導通電流に重畳し、ターンオン損失Esw(on)の量に影響する。
ここで、図19、図20を用いて、ダイオードにSi製PiNダイオードを用いる場合と、SiC製ショットキーバリアダイオードを用いる場合でのIGBTのターンオン波形の相違について説明する。
図19はSi製PiNダイオードを用いた場合のIGBTのターンオン時の波形であって、図19の(a)はコレクタ電流波形、(b)はコレクタ−エミッタ間電圧波形である。
ターンオンすると、コレクタ−エミッタ間電圧は低下し、飽和電圧Vce(sat)に到達する。コレクタ電流は勾配di/dtで立ち上がり、オーバーシュートの後、所定値に収束する。このオーバーシュートは、相補動作するSi製PiNダイオードのリカバリ電流が重畳するために生じている。
図20はSiC製ショットキーバリアダイオードを用いた場合のIGBTのターンオン時の波形であって、図20の(a)はコレクタ電流波形、(b)はコレクタ−エミッタ間電圧波形である。
図19の(b)と同様に、ターンオンすると、コレクタ−エミッタ間電圧は低下し、飽和電圧Vce(sat)に到達する。図19との対比において、IGBTをスイッチオンするためのゲート容量の電荷充電速度を同じとしており、コレクタ電流は、図19の(a)と同じ勾配di/dtで立ち上がる。但し、オーバーシュートは生じていない。これは、SiC製ショットキーバリアダイオードが、ユニポーラ型の整流素子であって、電子のみが電荷の担い手(キャリア)として働くことから、ダイオードの逆バイアス時のリカバリ電流がほとんど流れないためである。
IGBTのターンオン時に際して、Si製PiNダイオードを用いるよりも、SiC製ショットキーバリアダイオードを用いる方が、ダイオードのリカバリ電流が少なく、コレクタ電流の立ち上がり電流量と、コレクタ−エミッタ間電圧の立ち下がり電流量の積であるIGBTのターンオン損失Esw(on)は、低減する。
DC/DC電圧変換装置1が、図24のハイブリッド自動車や電気自動車の電気駆動システムに組み込まれ、一次側端子P1、N1にニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの充放電可能な二次電池が適用される場合、電池の中に存在する内部抵抗成分によって、電池が放電状態であるか、充電状態であるかによって、同じ絶対値の電流量を出力する場合であっても電池の端子電圧は大きく異なる。
すなわち、同じ二次電圧、同じ絶対値の電流量を扱う場合であっても、DC/DC電圧変換装置1が一次側から二次側へ電力を供給する昇圧力行動作であるか、二次側から一次側へ電力を供給する降圧回生動作であるかによって、一次側の電圧は大きく異なり、昇圧力行動作では一次側電圧は低い目に、降圧回生動作では一次側電圧は高い目になる。
このため、同じ二次電圧、同じ絶対値の電流量を扱う場合で、DC/DC電圧変換装置1の昇圧力行動作では昇圧比V2/V1は高く、降圧回生動作では昇圧比V2/V1は低くなる。したがって、一次側電流は、昇圧比V2/V1の高い昇圧力行動作の方が、昇圧比V2/V1の低い降圧回生動作よりも一次側電流が多く、スイッチ素子、整流素子の損失が多くなる。
以上のように、本実施の形態では、昇圧力行動作で主たるスイッチングを担うIGBT1、IGBT2のターンオン損失Esw(on)が低減するよう、ダイオードDi3a、Di4aにSiC製ショットキーバリアダイオードを適用している。
このため、DC/DC電圧変換装置1の負荷量の大小によるパワー半導体ユニットの発生損失の不連続度合いが、さらに抑えられ、インダクタの導通電流ILの極性の取り方の違いに起因して発生する過渡的な電圧変動を、さらに小さくすることができる。
また、スイッチ素子、整流素子の双方の損失が低減し、DC/DC電圧変換装置の動作効率が向上、取り扱い可能な出力電力容量が拡大し、電力密度が増えるという効果が得られる。
実施の形態4.
以下、この発明の実施の形態4におけるDC/DC電圧変換装置を図21、図22を用いて説明する。
この発明の実施の形態3によるDC/DC電圧変換装置は、制御ユニット3内のゲート駆動部12の構成、動作を除いて、先の実施の形態1から実施の形態3ののDC/DC電圧変換装置の場合と同じであり、以下では、実施の形態1から実施の形態3と同じ構成、動作、作用の箇所については適宜説明を省略する。尚、本実施の形態では、実施の形態3で説明した図18で示す変換主回路2が用いられる。
本実施の形態では、ゲート駆動部12を構成する4つの個別のゲート駆動回路(1)121、ゲート駆動回路(2)122、ゲート駆動回路(3)123、ゲート駆動回路(4)124の内、IGBT1、IGBT2に対応するゲート駆動回路(1)121、ゲート駆動回路(2)122は図21に示す構成である。
IGBT3、IGBT4に対応するゲート駆動回路(3)123、ゲート駆動回路(4)124は図22に示す構成である。
図21のゲート駆動回路(1)121、ゲート駆動回路(2)122と、図22のゲート駆動回路(3)123、ゲート駆動回路(4)124は、スイッチオン回路(1)24a,24b、スイッチオン回路(2)25a,25b内の回路抵抗242a、252a、242b、252bの抵抗値が異なり、
(回路抵抗242aの抵抗値)<(回路抵抗252aの抵抗値)、
(回路抵抗242bの抵抗値)<(回路抵抗252bの抵抗値)の関係に加え、
(回路抵抗242bの抵抗値)<(回路抵抗242aの抵抗値)、
(回路抵抗252bの抵抗値)<(回路抵抗252aの抵抗値)の関係となっている。
すなわち、ゲート駆動回路(3)123、ゲート駆動回路(4)124のスイッチオン回路(1)24b、スイッチオン回路(2)25bの回路抵抗値は、それぞれ、ゲート駆動回路(1)121、ゲート駆動回路(2)122のスイッチオン回路(1)24a、スイッチオン回路(2)25aの回路抵抗値よりも低く、IGBT3、IGBT4のゲート容量の電荷充電速度は、IGBT1、IGBT2のゲート容量の電荷充電速度よりも高速となる。
本実施の形態の変換主回路2の構成は、図18で示すものであり、ダイオードDi3a、Di4aにSiC材料のショットキーバリアダイオード、ダイオードDi2、Di1にSi材料のPiNダイオードを用いている。よって、ショットキーバリアダイオードDi3a、Di4aのリカバリ電流が極度に少なく、IGBT1、IGBT2でのリカバリ電流の重畳によるターンオン損失Esw(on)の増加はほとんどない。
一方、PiNダイオードDi1、Di2には、バイポーラ素子であることからリカバリ電流が流れ、これが重畳して、IGBT3、IGBT4のターンオン損失Esw(on)は多くなる。
このように、IGBT3、IGBT4は、ゲート駆動回路に同じ回路抵抗値を用いてターンオン動作させた場合、IGBT1、IGBT2よりもターンオン損失Esw(on)が多くなる。これに対し、ゲート駆動回路(121〜124)の回路抵抗値を上記の関係に設定し、IGBT3、IGBT4のゲート容量の電荷充電速度を、IGBT1、IGBT2のゲート容量の電荷充電速度よりも高速とすれば、高い電流勾配di/dtで、早く立ち上がるため、IGBT3、IGBT4と比較したターンオン損失Esw(on)の差は小さくなる。
以上より、図18の変換主回路2の構成の通り、ダイオードDi3、Di4がSiC材料のショットキーバリアダイオード、ダイオードDi2、Di1がSi材料のPiNダイオードの場合であっても、IGBT1、IGBT2に対する、IGBT3、IGBT4の発生損失の差を縮めることができるため、昇圧力行動作と降圧回生動作の間で、短時間に大きな負荷量の変化が生じたとしても、パワー半導体ユニットの発生損失の不連続度合いを抑え、過渡的な電圧変動を、小さくすることができる。
また、Si材料に対し、高コストとなるSiC材料の半導体使用量を少なく(ダイオードDi3、Di4のみSiC材料を使用)し、コストの増加を抑えつつも、スイッチ素子、整流素子の双方の損失が低減し、DC/DC電圧変換装置の動作効率が向上、取り扱い可能な出力電力容量が拡大して、電力密度が増えるという効果が得られる。
実施の形態5.
以下、この発明の実施の形態5におけるDC/DC電圧変換装置を図23を用いて説明する。
変換主回路2の構成、動作を除いて、先の実施の形態1のDC/DC電圧変換装置の場合と同じであり、以下では、実施の形態1と同じ構成、動作、作用の箇所については適宜説明を省略する。
図23を参照して、本実施の形態のDC/DC電圧変換装置は、変換主回路2の各パワー半導体ユニットPU1〜PU4の整流素子、スイッチ素子すべてに、Si材料よりもバンドギャップがさらに大きいSiC材料のユニポーラ型の素子を用いる。
すなわち、SiC材料によるショットキーバリアダイオード(SBD)を整流素子(ダイオード)Di1a、Di2a、Di3a、Di4aとして用いている。また、IGBT1、IGBT2、IGBT3、IGBT4の代わりに、SiC材料によるMOS−FETをスイッチ素子FET1、FET2、FET3、FET4を用いている。
本実施の形態のように変換主回路2を構成すれば、DC/DC電圧変換装置1の負荷量の大小によるパワー半導体ユニットの発生損失の不連続度合いを抑え、過渡的な電圧変動を小さくするできるとともに、スイッチ素子、整流素子の双方の損失が低減し、DC/DC電圧変換装置の動作効率が向上、取り扱い可能な出力電力容量が拡大し、電力密度が増えるという効果が得られる。
また、スイッチ素子、整流素子の何れもが、ユニポーラ型の素子であるため、ターンオン動作、ターンオフ動作での電流勾配di/dtを、Si材料を用いたバイポーラ型素子よりも高く設定できることから、スイッチ素子、整流素子を高周波で動作できる。したがって、DC/DC電圧変換装置に用いるキャパシタ、インダクタなどの受動部品を小型化できることから、DC/DC電圧変換装置自体の小型化、軽量化、電力密度の向上といった効果が得られる。
この発明のDC/DC電圧変換装置によれば、変換主回路の動作時において、インダクタの導通電流が正か負のいずれか一方のみの場合に、スイッチ素子のゲート容量の電荷充電速度を増加させるよう、スイッチオン時の駆動回路を切り替える。
このため、DC/DC電圧変換装置の負荷量が多く、インダクタの導通電流が、正あるいは負の一方の極性に留まることで生じるスイッチ素子のターンオン動作によるスイッチング損失の増加を抑えることとなり、DC/DC電圧変換装置の負荷量の大小によってインダクタの導通電流の極性の取り方(ゼロを跨いで正負切り替わり/正あるいは負の極性に留まる)の違いでDC/DC電圧変換装置のパワー半導体ユニットの発生損失が不連続となることに起因して発生する過渡的な電圧変動(DC/DC電圧変換性能の悪化)を、抑えることができる。
また、直列接続されたパワーモジュールの複数(2対以上)対のパワー半導体ユニットの内、少なくとも変換主回路の二次側端子の高電位側ノード寄りの半数のパワー半導体ユニットの整流素子は、バンドギャップがSi材料による整流素子のそれよりも大きいユニポーラ半導体による整流ダイオードを用いる。
変換主回路の二次側端子の低電位側ノード寄りのスイッチ素子をスイッチングして、電圧変換装置の一次側から二次側へ電力を供給する昇圧力行動作において、スイッチ素子のターンオン動作時のスイッチング損失が低減され、DC/DC電圧変換装置の負荷量の大小によるパワー半導体ユニットの発生損失の不連続度合いが、さらに緩和されることから、インダクタの導通電流の極性の取り方の違いに起因して発生する過渡的な電圧変動(DC/DC電圧変換性能の悪化)を、さらに小さくすることができる。
また、スイッチ素子、整流ダイオードの双方の損失が低減し、DC/DC電圧変換装置の動作効率が向上、取り扱い可能な出力電力容量が拡大し、電力密度が増えるという効果が得られる。
また、この発明のDC/DC電圧変換装置によれば、パワー半導体ユニットのスイッチ素子、整流素子として、バンドギャップがSiのそれよりも大きい半導体材料を用いて構成するため、実用的な半導体接合部温度の上限が従来のSi材料によるスイッチ素子、整流素子よりも引き上げられことから、DC/DC電圧変換装置が取り扱い可能な出力電力容量が拡大し、電力密度が向上するという効果が得られる。
これは、出力電力を増し、パワーデバイスに生じる損失が増えて半導体接合部温度がさらに高温となっても、スイッチ素子、整流素子の特性の劣化が少なく、耐熱性能が向上しており支障ないためである。
以上のように、この発明に関する実施の形態を、実施の形態1から実施の形態5によって説明したが、これらはこの発明の好適な実施事例を例示したものに過ぎない。
この発明は、これら実施の形態の構成、動作に限定されるものでなく、この発明の範囲内にある限り、別な構成、動作へ変更を加えて実施してもよい。
さらにこの発明は上記各実施の形態の可能な組み合わせを全て含むことは云うまでもない。
1 DC/DC電圧変換装置、2 変換主回路、3 制御ユニット、4 直流電源、5 電気機器、6 フィルタ、10 変換制御部、11 ゲートPWM生成部、12x ゲート駆動回路、12 ゲート駆動部、13 ゲート電源回路、21,22 信号バッファ、23 回路切り替え器、24 スイッチオン回路(1)、25 スイッチオン回路(2)、26 スイッチオフ回路、121〜124 ゲート電源回路(1〜4)、241 半導体スイッチ、242,242a,242b 回路抵抗、251 半導体スイッチ、252,252a,252b 回路抵抗、261 半導体スイッチ、262 回路抵抗、C0 エネルギ移行用キャパシタ、C1,C2 平滑キャパシタ、Di,Di1〜Di4 PiNダイオード、Di3a,Di4a ショットキーバリアダイオード、FET1〜FET4 スイッチ素子、L インダクタ、N1,N2 負極側端子、P1,P2 正極側端子、PU1〜PU4 パワー半導体ユニット。

Claims (6)

  1. 変換主回路と前記変換主回路の電圧変換制御を行う制御ユニットを備えたDC/DC電圧変換装置であって、
    前記変換主回路は、
    前記変換主回路の一次側、二次側のそれぞれの正極側端子と負極側端子の間に接続され電圧を平滑する第1および第2の平滑キャパシタと、
    それぞれがスイッチ素子と整流素子が逆並列接続されてなる2つのパワー半導体ユニットからなるパワー半導体ユニットの対を2対以上含み、各対の一方のパワー半導体ユニット同士が一次側の正極側端子と二次側の正極側端子の間で直列接続され、他方のパワー半導体ユニット同士が一次側の正極側端子と二次側の負極側端子の間で前記一方のパワー半導体ユニットとは逆方向に直列接続されてなるパワーモジュールと、
    二次側端の前記パワー半導体ユニットの対を除いて、各パワー半導体ユニットの対の一方のパワー半導体ユニットと他方のパワー半導体ユニットのそれぞれの二次側端間に接続されたエネルギ移行用キャパシタと、
    一次側端の前記パワー半導体ユニットの対と一次側の正極側端子の間接続されたインダクタと、
    を含み、
    前記制御ユニットは、前記変換主回路の動作時において、前記インダクタの導通電流が正極性か負極性のいずれか一方に留まる場合に、前記各パワー半導体ユニットのスイッチ素子のゲート容量の電荷充電速度を増加させるよう抵抗値の異なる複数のスイッチオン回路を切り替えて制御を行う手段を含む、
    ことを特徴とするDC/DC電圧変換装置。
  2. 前記制御ユニットは、前記変換主回路の動作時において、前記インダクタの導通電流がゼロを跨いで正極性と負極性と交互に切り替わる場合に、前記スイッチ素子のスイッチング周波数を高めるよう切り替える手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のDC/DC電圧変換装置。
  3. 前記パワーモジュールの各パワー半導体ユニットの対の前記一方の側のパワー半導体ユニットの整流素子が、バンドギャップがSi材料による整流素子のバンドギャップより大きいユニポーラ半導体のダイオードからなることを特徴とする請求項1または2に記載のDC/DC電圧変換装置。
  4. 前記制御ユニットは、前記パワーモジュールの各パワー半導体ユニットの対の前記一方の側のパワー半導体ユニットのスイッチ素子のゲート容量の電荷充電速度が、前記他方の側のパワー半導体ユニットのスイッチ素子のゲート容量の電荷充電速度よりも高速となるよう動作することを特徴とする請求項3に記載のDC/DC電圧変換装置。
  5. 前記各パワー半導体ユニットのスイッチ素子と整流素子のいずれか一方または両方が、バンドギャップがSi材料によるバンドギャップよりも大きい半導体からなる素子であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のDC/DC電圧変換装置。
  6. 変換主回路の電圧変換制御を制御ユニットで行うDC/DC電圧変換装置の電圧変換制御方法であって、
    前記変換主回路が、前記変換主回路の一次側、二次側のそれぞれの正極側端子と負極側端子の間に接続され電圧を平滑する第1および第2の平滑キャパシタと、それぞれがスイッチ素子と整流素子が逆並列接続されてなる2つのパワー半導体ユニットからなるパワー半導体ユニットの対を2対以上含み、各対の一方のパワー半導体ユニット同士が一次側の正極側端子と二次側の正極側端子の間で直列接続され、他方のパワー半導体ユニット同士が一次側の正極側端子と二次側の負極側端子の間で前記一方のパワー半導体ユニットとは逆方向に直列接続されてなるパワーモジュールと、二次側端の前記パワー半導体ユニットの対を除いて、各パワー半導体ユニットの対の一方のパワー半導体ユニットと他方のパワー半導体ユニットのそれぞれの二次側端間に接続されたエネルギ移行用キャパシタと、一次側端の前記パワー半導体ユニットの対と一次側の正極側端子の間接続されたインダクタとを備え、変換主回路の動作時において、前記インダクタの導通電流が正極性か負極性のいずれか一方に留まる場合に、前記各パワー半導体ユニットのスイッチ素子のゲート容量の電荷充電速度を増加させるよう抵抗値の異なる複数のスイッチオン回路を切り替えて制御を行う、
    ことを特徴とするDC/DC電圧変換装置の電圧変換制御方法。
JP2012262215A 2012-11-30 2012-11-30 Dc/dc電圧変換装置およびその電圧変換制御方法 Active JP5460835B1 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012262215A JP5460835B1 (ja) 2012-11-30 2012-11-30 Dc/dc電圧変換装置およびその電圧変換制御方法
CN201310530364.6A CN103856047B (zh) 2012-11-30 2013-10-31 Dc/dc电压转换装置及其电压转换控制方法
DE102013223204.7A DE102013223204A1 (de) 2012-11-30 2013-11-14 Gleichspannungswandler und Spannungswandlungssteuerverfahren
US14/091,929 US8803491B2 (en) 2012-11-30 2013-11-27 DC/DC voltage converter and voltage conversion control method therefor

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012262215A JP5460835B1 (ja) 2012-11-30 2012-11-30 Dc/dc電圧変換装置およびその電圧変換制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5460835B1 true JP5460835B1 (ja) 2014-04-02
JP2014110643A JP2014110643A (ja) 2014-06-12

Family

ID=50619311

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012262215A Active JP5460835B1 (ja) 2012-11-30 2012-11-30 Dc/dc電圧変換装置およびその電圧変換制御方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US8803491B2 (ja)
JP (1) JP5460835B1 (ja)
CN (1) CN103856047B (ja)
DE (1) DE102013223204A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019161905A (ja) * 2018-03-14 2019-09-19 東洋電機製造株式会社 降圧コンバータ

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5189620B2 (ja) * 2010-06-29 2013-04-24 三菱電機株式会社 Dc/dc電力変換装置
JP2014027253A (ja) * 2012-06-22 2014-02-06 Toshiba Corp 整流回路
US10103540B2 (en) * 2014-04-24 2018-10-16 General Electric Company Method and system for transient voltage suppression devices with active control
FR3040113A1 (fr) * 2015-08-10 2017-02-17 Commissariat Energie Atomique Convertisseur dc-dc
JP6121018B1 (ja) * 2016-03-23 2017-04-26 三菱電機株式会社 Dc/dcコンバータ
EP3242385A1 (en) * 2016-05-06 2017-11-08 Merus Audio ApS A load adaptable boost dc-dc power converter
US10965126B2 (en) * 2017-05-01 2021-03-30 Futurewei Technologies, Inc. Systems and methods for control of photovoltaic arrays
WO2020017260A1 (ja) * 2018-07-19 2020-01-23 シャープ株式会社 整流回路、電源装置、および整流回路の駆動方法
CN109344419B (zh) * 2018-08-06 2022-10-11 清华大学 一种针对igbt和pin二极管换流单元的瞬态分段分析模型
KR102358835B1 (ko) * 2020-05-11 2022-02-07 주식회사 에코스 고효율 양방향 멀티레벨 fc 승압 dc-dc 컨버터 및 그 동작 방법
CN113114061B (zh) * 2021-03-26 2022-06-24 台达电子企业管理(上海)有限公司 变换器及抑制变换器的环流干扰的方法
CN117254692B (zh) * 2023-11-13 2024-03-22 宁德时代新能源科技股份有限公司 Dc/dc变换器的控制方法、电池系统、装置、设备及介质

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006320179A (ja) * 2005-05-16 2006-11-24 Hitachi Ltd 回転電機制御装置
JP2011229247A (ja) * 2010-04-19 2011-11-10 Mitsubishi Electric Corp Dc/dc電圧変換装置
JP2012170304A (ja) * 2011-02-17 2012-09-06 Mitsubishi Electric Corp Dc/dc電圧変換装置

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6253171A (ja) 1985-08-30 1987-03-07 Mitsubishi Electric Corp 車両用補助電源装置
JP3326102B2 (ja) 1997-12-17 2002-09-17 株式会社東芝 半導体モジュール
JP3520961B2 (ja) * 1998-02-09 2004-04-19 山洋電気株式会社 インバータ装置
JP4430531B2 (ja) * 2004-12-28 2010-03-10 株式会社日立製作所 双方向絶縁型dc−dcコンバータ
JP4094649B2 (ja) * 2006-03-22 2008-06-04 三菱電機株式会社 双方向昇降圧dcdcコンバータ装置、鉄道車両駆動制御システム、電気鉄道き電システム
JP2008017596A (ja) * 2006-07-05 2008-01-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd 半導体集積回路
CN101277064A (zh) * 2007-03-28 2008-10-01 台达电子工业股份有限公司 隔离式转换器及其控制方法
US7812647B2 (en) * 2007-05-21 2010-10-12 Advanced Analogic Technologies, Inc. MOSFET gate drive with reduced power loss
US8310218B2 (en) * 2007-08-08 2012-11-13 Advanced Analogic Technologies, Inc. Time-multiplexed-capacitor DC/DC converter with multiple outputs
JP4837023B2 (ja) * 2008-12-22 2011-12-14 三菱電機株式会社 Dc/dc電力変換装置
JP5359637B2 (ja) * 2009-07-17 2013-12-04 富士電機株式会社 電力変換装置
US20110285369A1 (en) * 2010-05-20 2011-11-24 Cuks, Llc Three-switch step-down converter
US9252665B2 (en) * 2010-06-01 2016-02-02 Honda Motor Co., Ltd. DC-DC converter control apparatus
CN102801317B (zh) * 2012-08-16 2014-09-10 电子科技大学 自适应分段驱动dc-dc变换器

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006320179A (ja) * 2005-05-16 2006-11-24 Hitachi Ltd 回転電機制御装置
JP2011229247A (ja) * 2010-04-19 2011-11-10 Mitsubishi Electric Corp Dc/dc電圧変換装置
JP2012170304A (ja) * 2011-02-17 2012-09-06 Mitsubishi Electric Corp Dc/dc電圧変換装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019161905A (ja) * 2018-03-14 2019-09-19 東洋電機製造株式会社 降圧コンバータ

Also Published As

Publication number Publication date
US8803491B2 (en) 2014-08-12
CN103856047A (zh) 2014-06-11
CN103856047B (zh) 2016-04-27
US20140152276A1 (en) 2014-06-05
DE102013223204A1 (de) 2014-06-05
JP2014110643A (ja) 2014-06-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5460835B1 (ja) Dc/dc電圧変換装置およびその電圧変換制御方法
JP6295485B2 (ja) プリチャージ回路及び太陽光発電インバータ
US9083274B2 (en) Power stage precharging and dynamic braking apparatus for multilevel inverter
US9197135B2 (en) Bi-directional DC/DC converter with frequency control change-over
KR101514914B1 (ko) 전원 시스템
JP6394421B2 (ja) 半導体スイッチング素子の駆動装置
JP5590124B2 (ja) Dc−dcコンバータ
US9007040B2 (en) DC-DC power conversion apparatus
US9356516B2 (en) Driving apparatus and electric power converter
JP5099194B2 (ja) 電力変換装置
Florescu et al. The advantages, limitations and disadvantages of Z-source inverter
JP5162685B2 (ja) Dc/dc電圧変換装置
JP6185860B2 (ja) 双方向コンバータ
JP2009011013A (ja) 電力変換装置
JP6402828B2 (ja) 充電共用インバータ
JPWO2018110440A1 (ja) スナバ回路及びそれを用いた電力変換システム
US20130241290A1 (en) Filter circuit and bidirectional power conversion apparatus including thereof
JP2010119239A (ja) Smes装置、smes用インターフェース装置及びその駆動方法
JP2013172530A (ja) 電力変換装置
JP7021623B2 (ja) マルチレベル電力変換装置
US10135353B2 (en) Unidirectional matrix converter with regeneration system
US9300208B2 (en) Power converter with switched current supply control element
JP6447944B2 (ja) 電力変換装置、及びそれを用いたパワーコンディショナ
JP6242353B2 (ja) 出力電圧反転型dcdcコンバータ
US20230308030A1 (en) Power conversion apparatus

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131217

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140114

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5460835

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250